JP7441999B1 - リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、および、リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、および、リチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高レートでの放電容量を向上させることができるリチウム金属複合酸化物等を提供する。【解決手段】細孔を有するリチウム金属複合酸化物は、細孔の細孔径dpの増加に対して細孔の細孔表面積apが増加する割合dap/ddpが「dap/ddp≦0.10」の関係を満たす範囲における、細孔の細孔径dpの増加に対して細孔の細孔容積Vpが増加する割合dVp/ddpの最大値dV1が、dV1≦1.00×10-4に示す関係を満たし、「dap/ddp>0.10」の関係を満たす範囲における、dVp/ddpの最大値dV2が、dV2≧1.00×10-4に示す関係を満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、および、リチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池において、正極は、例えば、リチウム金属複合酸化物を含む正極活物質を用いて作製される。
従来、リチウム二次電池の性能を向上させるために、様々なリチウム金属複合酸化物が提案されている。
WO2019/069402
リチウム二次電池においては、放電容量の向上が要求されている。
本発明は、高レートでの放電容量を向上させることができる、リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、および、リチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]
Li、Ni、および、元素Mを含み、
前記元素Mが、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Al、Zn、Sn、Zr、B、Si、Nb、W、Ta、Ba、S、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
細孔を有する、
リチウム金属複合酸化物であって、
窒素吸着等温線からBarrett-Joyner-Halenda法によって前記細孔について算出される細孔径分布において、
前記細孔の細孔径dpの増加に対して前記細孔の細孔表面積apが増加する割合dap/ddpが「dap/ddp≦0.10」の関係を満たす範囲における、前記細孔の細孔径dpの増加に対して前記細孔の細孔容積Vpが増加する割合dVp/ddpの最大値dV1が、下記の(式A1)に示す関係を満たし、
前記dap/ddpが「dap/ddp>0.10」の関係を満たす範囲における、前記dVp/ddpの最大値dV2が、下記の(式A2)に示す関係を満たす、
リチウム金属複合酸化物。
dV1≦1.00×10-4 …(式A1)
dV2≧1.00×10-4 …(式A2)
[2]
前記細孔径分布において、細孔容積Vは、下記の(式B)に示す関係を満たす、
[1]に記載のリチウム金属複合酸化物。
0.001cm/g≦V≦0.01cm/g …(式B)
[3]
前記細孔径分布において、細孔表面積Apは、下記の(式C)に示す関係を満たす、
[1]又は[2]に記載のリチウム金属複合酸化物。
0.5m/g≦Ap≦2.0m/g …(式C)
[4]
前記細孔径分布において、平均細孔径Adpは、下記の(式D)に示す関係を満たす、
[1]から[3]のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物。
10nm≦Adp≦40nm …(式D)
[5]
(組成式I)で表されるリチウム金属複合酸化物であって、
(組成式I)において、
M1は、Mn、Al、及び、Coからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Zn、Sn、Zr、B、Si、Nb、W、Ta、Ba、S、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
下記(式Ia)から(式Id)に示す関係を満たす、
[1]から[4]のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物。
Li[Liα(Ni(1-x-y)M1M21-α]O ・・・(組成式I)
-0.1≦α≦0.2 ・・・(式Ia)
0≦x≦0.5 ・・・(式Ib)
0≦y≦0.7 ・・・(式Ic)
0<x+y<1 ・・・(式Id)
[6]
Li以外の金属元素の総物質量に対するCoの物質量が10モル%以下である、
[1]から[5]のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物。
[7]
(組成式I)において、下記の(式Id_1)に示す関係を満たす、
[5]に記載のリチウム金属複合酸化物。
0<x+y≦0.15 ・・・(式Id_1)
[8]
リートベルト解析から得られるメタル席占有率SRが、下記の(式E)に示す関係を満たす、
[1]から[7]のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物。
1.0%≦SR≦4.0% …(式E)
[9]
リートベルト解析から得られる平均結晶子サイズAKが、下記の(式F)に示す関係を満たす、
[1]から[8]のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物。
80nm≦AK≦200nm …(式F)
[10]
[1]から[9]のいずれか1項に記載のリチウム金属複合酸化物
を有する、
リチウム二次電池用正極活物質。
[11]
[10]に記載のリチウム二次電池用正極活物質
を有する、
リチウム二次電池用正極。
[12]
[11]に記載のリチウム二次電池用正極
を有する、
リチウム二次電池。
本発明によれば、高レートでの放電容量を向上させることができる、リチウム金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極、および、リチウム二次電池を提供することができる。
図1Aは、実施形態において、細孔の細孔径dpの増加に対して細孔の細孔表面積apが増加する割合dap/ddpの一例を示す図である。 図1Bは、実施形態において、細孔の細孔径dpの増加に対して細孔の細孔容積Vpが増加する割合dVp/ddpの一例を示す図である。 図1Cは、実施形態において、dap/ddpとdVp/ddpとの関係の一例を示す図である。 図2は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。 図3は、全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。
以下より、本発明の実施形態の一例について説明する。
本明細書では、金属複合化合物は、略語「MCC」(Metal Composite Compound)を用いて示している。リチウム金属複合酸化物は、略語「LiMO」(Lithium Metal composite Oxide)を用いて示している。リチウム二次電池用正極活物質は、略語「CAM」(Cathode Active Material for lithium secondary batteries)を用いて示している。また、「Ni」や「Li」とは、ニッケル金属単体やリチウム金属単体ではなく、ニッケル元素やリチウム元素であることを示す。CoやMn等の他の元素の表記も同様である。数値範囲について、例えば「5-15μm」と記載されている場合、5μmから15μmまでの範囲を意味し、下限値である5μmと上限値である15μmを含む数値範囲を意味する。リチウム二次電池は、正極と負極との間に電解質(非水電解質や固体電解質など)が配置され、リチウムイオンが電解質を介して正極と負極との間を移動することで、充電および放電が行われるものを意味する。
[A]LiMO
[A-1]結晶構造
本実施形態において、LiMOは、CAMとして用いられる物質であって、層状構造を有する。
LiMOの結晶構造は、例えば、六方晶型又は単斜晶型であることが好ましい。六方晶型の結晶構造は、P3、P3、P3、R3、P-3、R-3、P312、P321、P312、P321、P312、P321、R32、P3m1、P31m、P3c1、P31c、R3m、R3c、P-31m、P-31c、P-3m1、P-3c1、R-3m、R-3c、P6、P6、P6、P6、P6、P6、P-6、P6/m、P6/m、P622、P622、P622、P622、P622、P622、P6mm、P6cc、P6cm、P6mc、P-6m2、P-6c2、P-62m、P-62c、P6/mmm、P6/mcc、P6/mcm、およびP6/mmcからなる群から選ばれる一つの空間群に帰属される。また、単斜晶型の結晶構造は、P2、P2、C2、Pm、Pc、Cm、Cc、P2/m、P2/m、C2/m、P2/c、P2/c、およびC2/cからなる群から選ばれる一つの空間群に帰属される。上記のうち、LiMOの結晶構造は、放電容量が高いリチウム二次電池を得るために、空間群R-3mに帰属される六方晶型、又は、C2/mに帰属される単斜晶型であることがより好ましい。
LiMOの結晶構造は、粉末X線回折測定装置を用いて観察することにより確認できる。粉末X線回折測定は、X線回折装置、例えば、株式会社リガク製UltimaIVが使用できる。
[A-2]組成
LiMOの組成は、少なくとも、Li、Ni、および、元素Mを含む。
元素Mは、Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Al、Zn、Sn、Zr、B、Si、Nb、W、Ta、Ba、S、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
LiMOは、Li、Ni、並びに、Co、Mn、及び、Alからなる群から選択される少なくとも1種の元素M1を含むことが好ましい。
上記LiMOは、(組成式I)で表されることが好ましい。
Li[Liα(Ni(1-x-y)M1M21-α]O ・・・(組成式I)
(組成式I)において、M1は、Mn、Al、及び、Coからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Zn、Sn、Zr、B、Si、Nb、W、Ta、Ba、S、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
(組成式I)において、α、x、yは、下記(式Ia)から(式Id)に示す関係を満たすことが好ましい。
-0.1≦α≦0.2 ・・・(式Ia)
0≦x≦0.5 ・・・(式Ib)
0≦y≦0.7 ・・・(式Ic)
0<x+y<1 ・・・(式Id)
(組成式I)において、αの値が(式Ia)に示す範囲の下限値以上であることによって、リチウム二次電池の内部抵抗を低減し、高レートでの放電容量を向上させることができる。また、(組成式I)において、αの値が(式Ia)に示す範囲の上限値以下であることによって、リチウム二次電池の内部抵抗を低減し、高レートでの放電容量を向上させることができる。また、(組成式I)において、αは-0.03以上であることがより好ましく、-0.02以上であることがさらに好ましい。さらに、αは0.1以下がより好ましく、0.07以下がさらに好ましい。αの範囲としては、-0.03≦α≦0.1がより好ましく、-0.02≦α≦0.07がさらに好ましい。
(組成式I)において、xの値が(式Ib)に示す関係を満たすことによって、リチウム二次電池の内部抵抗を低減させ、高レートでの放電容量を増加させ、長寿命化し、レート特性を向上させることができる。また、(組成式I)において、xは0.01以上であることがより好ましく、0.02以上であることがさらに好ましい。さらに、xは0.4以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい。xの範囲としては、0.01≦x≦0.4がより好ましく、0.02≦x≦0.3がさらに好ましい。
(組成式I)において、yの値が(式Ic)に示す関係を満足することによって、リチウム二次電池のサイクル維持率を向上させることができる。また、LiMOがM2を含む場合、(組成式I)において、yは0.0002以上であることがより好ましく、0.0005以上であることがさらに好ましい。さらに、yは0.6以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。yの範囲としては、0≦y≦0.6がより好ましく、0.0002≦y≦0.6がさらに好ましく、0.0005≦y≦0.5が特に好ましい。
(組成式I)において、xの値とyの値との加算値(x+y)が(式Id)に示す関係を満足することによって、リチウム二次電池の初期容量、及び高レートでの放電容量を向上させることができる。また、(組成式I)において、(x+y)は0.6未満がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.15以下が特に好ましい。(x+y)は0.01以上がより好ましい。(x+y)の範囲としては、例えば、0.01≦x+y<0.6、0.01≦x+y≦0.3、0.01≦x+y≦0.15が挙げられ、特に、下記の(式Id_1)に示す関係を満たすことで、高レートでの放電容量を向上させることができる。
0<x+y≦0.15 ・・・(式Id_1)
M2は、Ti、Mg、Zr、B、Nb、及びWからなる群から選択される少なくとも1種の元素が好ましい。
上記LiMOは、Li以外の金属元素の総物質量に対するCoの物質量が10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下がより好ましく、3モル%以下がさらに好ましく、1モル%以下が特に好ましく、0であってもよい。Li以外の金属元素としては、Ni及び元素Mが挙げられる。LiMOが(組成式I)で表される場合、Li以外の金属元素の総物質量に対するCoの物質量は、Niの物質量[Ni]と、M1の物質量[M1]と、M2の物質量[M2]と、Coの物質量[Co]を用いて、下記の(式II)で算出することができる。Li以外の金属元素の総物質量に対するCoの物質量が上記範囲である場合には、リチウム二次電池の作動電圧が上昇しにくく、LiMO表面で電解液が分解しにくいため、抵抗を低減し、リチウム二次電池の高レートでの放電容量を向上させることができる場合がある。
100・[Co]/([Ni]+[M1]+[M2]) …(式II)
<組成の測定方法>
LiMOの組成は、例えば、ICP発光分光分析装置(Optima7300(株式会社パーキンエルマー製)等)を用いて測定される。組成の測定前に、測定元素に応じて試料を酸又はアルカリに溶解させる処理を行う。
[A-3]LiMOの細孔について
LiMOは細孔を有する。また、LiMOは、粉体である。LiMOは、一次粒子が凝集した二次粒子のみで構成されていてもよく、一次粒子と二次粒子との混合物であってもよい。例えば、LiMOは、複数の一次粒子と、その複数の一次粒子が凝集した二次粒子とを含んでいてもよい。
上記の「一次粒子」は、顕微鏡(走査型電子顕微鏡など)を用いて1000倍以上30000倍以下の視野でLiMOを観察した際に、外観上、粒界が存在しない粒子である。そして、上記の「二次粒子」は、その一次粒子の凝集体である。
LiMOを構成する二次粒子においては、複数の一次粒子の間に細孔が介在している。
LiMOの細孔について、細孔径(細孔直径)dp、細孔表面積ap、および、細孔容積Vpは、窒素吸着等温線からBarrett-Joyner-Halenda法(BJH法)によって算出される細孔径分布より得られる。apは、リチウム二次電池の反応場に影響し、Vpは、リチウム二次電池において電解液の含浸(アクセス性)に影響する。
<細孔容積割合の測定方法>
窒素吸着等温線は、真空加熱処理装置(例えば、BELSORP-vacII(マイクロトラック・ベル株式会社製))を用いて、LiMOの試料10gについて真空脱気処理を施した後に、吸着等温線の測定装置(例えば、BELSORP-mini(マイクロトラック・ベル株式会社製))を用いて、液体窒素下(温度77K)において試料を測定することで求められる。窒素吸着等温線において、単位重量のLiMOが窒素を吸着する窒素吸着量は、標準状態(STP;Standard Temperature and Pressure)の気体窒素の体積で表される。窒素吸着等温線をBJH法で解析することで、細孔径分布が得られる。細孔径分布から、後述の平均細孔径Adp、細孔容積V、および細孔表面積Apが求められる。BJH法は、細孔の形状を円柱状と仮定し、毛管凝縮を生じる細孔径と窒素の相対圧との関係式(ケルビン式)に基づいて解析を行う手法であって、細孔径dpが2-200nm程度である細孔(メソ孔等)の評価で用いられる。
(細孔容積Vpが増加する割合dVp/ddp)
LiMOは、上述で得られた細孔径分布において、細孔のdpの増加に対してapが増加する割合dap/ddpと、細孔のdpの増加に対してVpが増加する割合dVp/ddpとの間が、以降に説明するように、特定の関係を満たしている。
図1Aは、細孔のdap/ddpの一例を示す図である。図1Aにおいて、横軸は、細孔のdpを示し、縦軸は、細孔のdap/ddp(dpに対するapの変化率)を示している。
図1Bは、細孔のdVp/ddpの一例を示す図である。図1Bにおいて、横軸は、細孔のdpを示し、縦軸は、細孔のdVp/ddp(dpに対するVpの変化率)を示している。
図1Cは、dap/ddpとdVp/ddpとの関係の一例を示す図である。図1Cにおいて、横軸は、dap/ddpを示し、縦軸は、dVp/ddpを示している。
図1Cに示すように、本実施形態のLiMOは、「dap/ddp≦0.10」の関係を満たす範囲における、dVp/ddpの最大値dV1が、下記の(式A1)に示す関係を満たす。そして、上記LiMOは、dap/ddpが「dap/ddp>0.10」の関係を満たす範囲における、dVp/ddpの最大値dV2が、下記の(式A2)に示す関係を満たす。
dV1≦1.00×10-4 …(式A1)
dV2≧1.00×10-4 …(式A2)
「dap/ddp≦0.10」の関係を満たす範囲は、細孔径の増加に対する細孔表面積の増加割合が小さい領域であり、電極反応における反応場が少ない細孔を含む領域である。上記(式A1)を満たすLiMOは、この領域において、細孔径の増加に対する細孔容積の増加割合が小さく、電解液が含浸しにくい細孔が形成されにくいことを意味する。すなわち、上記(式A1)を満たすLiMOは電極反応において非効率な構造である細孔が少ないと考えられる。
「dap/ddp>0.10」の関係を満たす範囲は、細孔径の増加に対する細孔表面積の増加割合が大きい領域であり、電極反応における反応場が多い細孔を含む領域である。上記(式A2)を満たすLiMOは、この領域において、細孔径の増加に対する細孔容積の増加割合が大きく、電解液が含浸しやすい細孔が形成されていることを意味する。すなわち、上記(式A2)を満たすLiMOは電極反応において効率的な構造である細孔を十分に有すると考えられる。
そのため、(式A1)、および(式A2)に示す関係を満たすLiMOは、リチウム二次電池の高レートでの放電容量を向上させることができる。
高レートでの放電容量を向上させる観点から、dV1は0.90×10-4以下がより好ましく、0.80×10-4以下がさらに好ましい。また、dV1は0.20×10-4以上がより好ましく、0.35×10-4以上がさらに好ましく、0.50×10-4以上が特に好ましい。dV1の範囲は、0.20×10-4≦dV1≦0.90×10-4がより好ましく、0.35×10-4≦dV1≦0.80×10-4がさらに好ましく、0.50×10-4≦dV1≦0.80×10-4が特に好ましい。
高レートでの放電容量を向上させる観点から、dV2は1.01×10-4以上がより好ましく、1.03×10-4以上がさらに好ましい。また、dV2は2.50×10-4以下がより好ましく、2.30×10-4以下がさらに好ましく、2.00×10-4以下が特に好ましい。dV2の範囲は、1.01×10-4≦dV2≦2.50×10-4がより好ましく、1.03×10-4≦dV2≦2.30×10-4がさらに好ましく、1.03×10-4≦dV2≦2.00×10-4が特に好ましい。
(細孔容積V)
LiMOの細孔容積Vは、下記の(式B)に示す関係を満たすことが好ましい。Vは、前記細孔径分布において、細孔径が2-200nmにおける細孔容積である。
0.001cm/g≦V≦0.01cm/g …(式B)
式(B)を満たすLiMOは、十分な細孔容積を有しており、電解液の含浸性と、反応場の形成とのバランスが良好な細孔が十分存在する。その結果、上記LiMOは、リチウム二次電池の高レートでの放電容量を向上させることが可能である。
Vは0.009cm/g以下がより好ましく、0.008cm/g以下がさらに好ましい。また、Vは0.002cm/g以上がより好ましく、0.004cm/g以上がさらに好ましい。Vの範囲としては、0.002cm/g≦Vp≦0.009cm/gがより好ましく、0.004cm/g≦Vp≦0.009cm/gがさらに好ましく、0.004cm/g≦Vp≦0.008cm/gが特に好ましい。
(細孔表面積Ap)
LiMOの細孔表面積Apは、下記の(式C)に示す関係を満たすことが好ましい。Apは、前記細孔径分布において、細孔径が2-200nmにおける細孔表面積である。
0.5m/g≦Ap≦2.0m/g …(式C)
式(C)を満たすLiMOは、十分な細孔表面積を有しており、反応場の形成が容易である。その結果、リチウム二次電池の高レートでの放電容量を向上させることが可能である。
Apは0.7m/g以上がより好ましく、0.9m/g以上がさらに好ましい。また、Apは1.8m/g以下がより好ましく、1.6m/g以下がさらに好ましい。Apの範囲としては、0.7m/g≦Ap≦1.8m/gがより好ましく、0.9m/g≦Ap≦1.6m/gがさらに好ましい。
(平均細孔径Adp)
LiMOの平均細孔径Adpは、下記の(式D)に示す関係を満たすことが好ましい。
10nm≦Adp≦40nm …(式D)
式(D)を満たすLiMOは、電極反応に効果的な細孔が適切な細孔径で存在している。その結果、リチウム二次電池の高レートでの放電容量を向上させることが可能である。
Adpは35nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。また、Adpは15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。Adpの範囲としては、15nm≦Adp≦35nmがより好ましく、20nm≦Adp≦30nmがさらに好ましい。
[A-4]その他の特性について
(メタル席占有率SR)
LiMOのメタル席占有率SRは、下記の(式E)に示す関係を満たすことが好ましい。
1.0%≦SR≦4.0% …(式E)
SRは、層状構造のLiMOを構成するLi層(Li席)中において、Li以外の金属元素(例えば、Ni、元素M)が存在する割合である。SRが上記の上限値以下である場合には、リチウム二次電池において拡散抵抗が上昇しにくく、高レートでの放電容量の低下を抑制できる。SRが上記の下限値以上である場合には、リチウム二次電池の体積変化率が上昇しにくく、破損等が生じにくい。
SRは3.5%以下がより好ましく、3.0%以下がさらに好ましい。また、SRは1.1%以上がより好ましく、1.2%以上がさらに好ましい。SRの範囲としては、1.1%≦SR≦3.5%がより好ましく、1.2%≦SR≦3.0%がさらに好ましい。
(平均結晶子サイズAK)
LiMOの平均結晶子サイズAKは、下記の(式F)に示す関係を満たすことが好ましい。
80nm≦AK≦200nm …(式F)
AKが上記範囲内である場合、LiMOの結晶が適度且つ十分に成長しており、リチウム二次電池の抵抗の上昇を抑制し、高レートでの放電容量を向上させることができる。
AKは170nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましく、130nm以下が特に好ましい。また、AKは90nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましく、105nm以上が特に好ましい。AKの範囲としては、90nm≦AK≦170nmがより好ましく、100nm≦AK≦150nmがさらに好ましく、105nm≦AK≦130nmが特に好ましい。
<メタル席占有率及び平均結晶子サイズの測定方法>
SRとAKは、粉末X線回折測定により得られる粉末X線回折パターンについてリートベルト解析を行うことにより算出される。リートベルト解析は、実測された粉末X線回折パターンと、結晶構造モデルから得たシミュレーションパターンとを比較し、両者の差が最小となるように、結晶構造モデルにおける結晶構造パラメータを最適化するための手法である。
粉末X線回折測定は、X線回折装置を用いて行う。X線回折装置としては、例えば、D8 Advance(Bruker社製)を用いることができる。具体的には、LiMOの粉末を専用の基板に充填し、CuKα線源を用いて、回折角2θ=10°-90°、サンプリング幅0.02°の条件にて測定を行い、粉末X線回折パターンを得る。得られた粉末X線回折パターンをリートベルト解析する。リートベルト解析ソフトは、Bruker社製TOPAS ver.4.2を用いる。このとき、初期結晶構造モデルとして層状岩塩型結晶構造(Li1-nMe)(Me1-nLi)Oを用い、Liサイト中のメタル席占有率nの最適化を行う。これにより、SRとAKを算出することができる。
[B]LiMOの製造方法
上記LiMOを作製する製造方法について説明する。
LiMOを作製する際には、混合工程と焼成工程とを順次実行する。
[B-1]混合工程
混合工程では、LiMOの前駆体であるMCCとリチウム化合物とを含む混合物を準備する。
[B-1-1]MCC
MCCは、LiMOを構成するNiおよび元素Mを含む物質であって、例えば、金属複合水酸化物、金属複合酸化物、または、これらの混合物である。
MCCとして用いられる金属複合水酸化物は、例えば、公知のバッチ式共沈殿法又は連続式共沈殿法により製造される。
以下、金属元素として、Ni、及び元素Mを含む金属複合水酸化物を例に、その製造方法を詳述する。
具体的には、JP-A-2002-201028に記載された連続式共沈殿法によって、ニッケル塩溶液と元素Mの金属塩溶液と錯化剤とを反応させる。これにより、Ni、および元素Mを含む金属複合水酸化物(Ni(1-a)(OH)(0<a<1))が製造される。
ニッケル塩溶液の溶質であるニッケル塩は、例えば、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケルおよび酢酸ニッケルのうちの少なくとも1種である。
元素Mの金属塩溶液の溶質である金属塩は、例えば、硫酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、硫酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウムおよび酢酸アルミニウムのうちの少なくとも1種である。
上記の金属塩は、(Ni(1-a)(OH))に対応する割合で混合される。そして、ここでは、溶媒として、水が使用される。
金属複合水酸化物の製造工程では、錯化剤を使用してもよい。この場合、錯化剤の量は、例えば、金属塩(ニッケル塩および元素Mの金属塩)のモル数の合計に対するモル比が、0より大きく2以下である。
錯化剤は、水溶液中で、ニッケルイオンおよび元素Mのイオンと錯体を形成可能な材料である。錯化剤は、例えば、アンモニウムイオン供給体(水酸化アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、又は弗化アンモニウム等)、ヒドラジン、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ウラシル二酢酸、およびグリシンのうちの少なくとも1種である。
共沈殿法では、ニッケル塩溶液、元素Mの金属塩溶液、および錯化剤を含む混合液について、pH値を調整する。このため、混合液のpHがアルカリ性から中性になる前に、混合液にアルカリ金属水酸化物を添加する。アルカリ金属水酸化物は、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
なお、ここでは、pHの値は、混合液の温度が40℃である時に測定される。反応槽からサンプリングした混合液の温度が、40℃でない場合には、混合液を40℃になるまで加温又は冷却した後に、pHを測定する。
上記ニッケル塩溶液および元素Mの金属塩溶液の他に、錯化剤を反応槽に連続して供給することによって、反応が生じ、(Ni(1-a)(OH))が生成される。
反応槽の温度は、例えば、20-80℃の範囲内、好ましくは、30-70℃の範囲内で制御される。
また、反応に際しては、反応槽内の混合液のpH値は、例えば、9-13の範囲内で制御される。
そして、反応槽内で形成された反応沈殿物を撹拌した状態で中和させる。反応沈殿物を中和させる時間は、例えば、1-20時間の範囲である。
連続式共沈殿法で用いる反応槽としては、形成された反応沈殿物を分離するために、オーバーフローが生ずるタイプの反応槽を使用することができる。
バッチ式共沈殿法により金属複合水酸化物を製造する場合、オーバーフローパイプを備えない反応槽や、オーバーフローした反応沈殿物を、オーバーフローパイプに連結された濃縮槽で濃縮し、再び反応槽へ循環させる機構を有する装置等が使用される。
ここでは、各種気体(例えば、窒素、アルゴン又は二酸化炭素等の不活性ガス、空気又は酸素等の酸化性ガス、又はそれらの混合ガス)を反応槽内に供給してもよい。
上記の反応が完了後、中和された反応沈殿物を単離する。単離は、例えば、反応沈殿物を含むスラリーを遠心分離や吸引ろ過などで脱水する方法で行われる。また、単離前に反応沈殿物を洗浄してもよい。
そして、単離された反応沈殿物について、必要に応じて、乾燥および篩別を実行することで、金属複合水酸化物が得られる。
反応沈殿物の洗浄は、水又はアルカリ性洗浄液を用いて行うことが好ましい。反応沈殿物の洗浄では、アルカリ性洗浄液を用いることが好ましく、特に、水酸化ナトリウム水溶液をアルカリ性洗浄液として用いることが好ましい。また、硫黄元素を含有する洗浄液を用いて、洗浄を行ってもよい。硫黄元素を含有する洗浄液は、例えば、カリウムやナトリウムの硫酸塩水溶液等である。
なお、上記の例では、MCCとして、金属複合水酸化物を製造しているが、金属複合酸化物を調製してもよい。
金属複合酸化物は、例えば、金属複合水酸化物を酸化すること(酸化工程)によって製造される。酸化工程は、必要に応じて、複数回、実施してもよい。複数の酸化工程を行う場は、酸化温度は、複数の酸化工程のうち、最も高い温度で酸化した工程の温度を意味する。
酸化温度は、400-700℃の範囲であることが好ましく、450-680℃の範囲であることがより好ましい。なお、酸化温度は、酸化のために使用する装置の設定温度を意味する。
酸化工程において酸化温度を保持する時間は、0.1-20時間の範囲であることが好ましく、0.5-10時間の範囲であることがより好ましい。上記した酸化温度まで温度が上昇する昇温速度は、例えば、50-400℃/時間の範囲である。また、酸化工程は、例えば、大気、酸素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガスを含む雰囲気で実施される。
酸化のために使用する装置の内部は、適度に酸素を含有する酸素含有雰囲気でもよい。酸素含有雰囲気は、不活性ガスと酸素との混合ガス雰囲気でもよく、不活性ガス雰囲気下で酸化剤を存在させた状態でもよい。
酸素含有雰囲気は、遷移金属を酸化させるために十分な量の酸素原子が存在すればよい。
酸素含有雰囲気が不活性ガスと酸素とを含む混合ガス雰囲気である場合、装置内の雰囲気の制御は、装置内に酸素を通気させる方法、又は、混合液に酸素をバブリングする方法などによって、実行される。
酸化剤は、過酸化水素などの過酸化物、過マンガン酸塩などの過酸化物塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、硝酸、ハロゲン又はオゾンなどである。
[B-1-2]リチウム化合物
LiMOの製造で使用するリチウム化合物は、例えば、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、酸化リチウム、塩化リチウム、およびフッ化リチウムの少なくとも一つの粉体である。これらのうち、水酸化リチウム、水酸化リチウム一水和物、及び炭酸リチウムの少なくとも一方をリチウム化合物として用いることが好ましい。
リチウム化合物とMCCとを、最終目的物の組成比を勘案して混合し、リチウム化合物とMCCとの混合物を得る。MCCに含まれる金属元素の合計量1に対するLiの量(モル比)は、0.90~1.10が好ましく、0.95~1.10がより好ましく、0.98~1.07がさらに好ましい。
[B-2]焼成工程
焼成工程では、混合工程で準備された混合物を焼成することによって、焼成物を作製する。
焼成工程では、一次焼成と二次焼成とを順次実行することが好ましい。
一次焼成は、例えば、下記に示す焼成条件で実行される。
・一次焼成温度(保持温度):500-900℃
・一次焼成時間(保持時間):1-50時間
一次焼成温度は550-850℃であることがより好ましく、600-700℃であることがさらに好ましい。焼成温度が前記範囲の下限値以上であると、強固な結晶構造を有するLiMOを得ることができる。また、焼成温度が前記範囲の上限値以下であると、LiMOの粒子表面のリチウムイオンの揮発を低減できる。なお、一次焼成温度、または後述の二次焼成温度は、焼成装置の設定温度を意味する。一次焼成、または二次焼成を複数回行う場合、一次焼成温度、または二次焼成温度は、複数の一次焼成段階、または二次焼成段階のうち、最も高い温度で焼成した段階の温度を意味する。
二次焼成は、例えば、下記に示す焼成条件で実行される。
・二次焼成昇温速度:80℃/時間以上
・二次焼成温度(保持温度):600-900℃
・二次焼成時間(保持時間):1-50時間
二次焼成は、酸素ガスを供給した状態で実行される。具体的には、一次焼成で得られた一次焼成物の粉体のBET比表面積FS1と、二次焼成時(昇温時および保持時)の酸素流量FS2と、二次焼成時の鞘詰め量FS3とが、下記(式X)に示す関係を満たすように、二次焼成が実行される。二次焼成では、一次焼成物の粉体を直方体形状の容器である鞘の内部空間に入れる。鞘詰め量FS3は、その鞘の内部空間の底面の面積FS31と、その鞘の内部空間に入れた一次焼成物の粉体の層高さFS32との比に相当する(つまり、FS3=FS32/FS31)。
1.50≦(FS2/FS1)*FS3≦5.20 ・・・(式X)
(FS2/FS1)*FS3は1.7以上であることがより好ましく、1.9以上であることがさらに好ましく、2.3以上であることが特に好ましい。また、(FS2/FS1)*FS3は5.15以下であることがより好ましく、5.10以下であることがさらに好ましく、5.05以下であることが特に好ましい。(FS2/FS1)*FS3が前記範囲内であると、一次焼成物のBET比表面積に対する酸素量によって影響される焼成度と、鞘の内部空間における層高さと底面の比に影響される焼成の均一性が適切なバランスで制御され、(式A1)および(式A2)に示す関係を満たす細孔構造を有するLiMOを効率的に作製可能である。また、LiMOのAdp、V、Ap、SR、及びAKを上述の範囲に調整することができる。
(BET比表面積の測定方法)
一次焼成物のBET比表面積の測定では、吸着ガスとして窒素ガスを用いる。BET比表面積(単位:m/g)は、例えば、窒素雰囲気において、1gの一次焼成物を105℃の温度条件で30分間乾燥させた後に、BET比表面積計(例えば、Macsorb(マウンテック社製))を用いて測定される。
上記酸素流量FS2は、0.1-10L/分が好ましい。また、上記鞘詰め量FS3は、200-2000cmが好ましい。
なお、焼成は、連続静置式焼成炉、流動式焼成炉などの焼成装置を用いて実行される。連続静置式焼成炉は、例えば、トンネル炉、又は、ローラーハースキルンである。流動式焼成炉は、例えば、ロータリーキルンである。
焼成は、組成に応じて、大気、酸素、窒素、アルゴン又はこれらの混合ガス等を含む雰囲気で実行される。焼成は酸素雰囲気で実行することが好ましい。
焼成は、不活性溶融剤の存在下で実行してもよい。不活性溶融剤は、LiMOを使用した電池の初期容量が損なわれない程度に添加され、焼成物に残留してもよい。不活性溶融剤としては、例えばWO2019/177032A1に記載のものを使用することができる。
二次焼成の昇温速度は100℃/時間以上がより好ましく、150℃/時間以上がさらに好ましい。
二次焼成温度は一次焼成温度よりも高い温度で設定する。二次焼成温度は650-850℃であることがより好ましく、700-820℃であることがさらに好ましい。焼成温度が前記範囲の下限値以上であると、強固な結晶構造を有するLiMOを得ることができる。また、過度な焼結を抑制することができる。
二次焼成時間は2-20時間がより好ましい。焼成における保持時間が前記範囲の上限値以下であると、リチウムイオンの揮発が抑制され、電池性能の低下が抑制される。焼成における保持時間が前記範囲の下限値以上であると、結晶の発達が促進され、電池性能の低下が抑制される。
焼成工程後に適宜解砕を行ってもよい。
焼成工程で得られた焼成物は、適宜、後処理工程及び乾燥工程を実施してもよく、さらに解砕及び篩別してもよい。
[B-3]後処理工程
後処理工程では、焼成工程で作製された焼成物について後処理を実行する。後処理として、例えば、水、イオン交換水、アルカリ性水溶液、硫酸塩水溶液などの洗浄液を用いて、焼成物から不純物が除かれるように洗浄する処理が挙げられる。このとき、スラリー濃度は40%以上であることが好ましい。。洗浄時間としては、例えば、5-20分が挙げられる。なお、スラリー濃度は、焼成物の重量(WS)と洗浄液(WL)とを合計した重量(WS+WL)に対する、焼成物の重量(WS)の割合(つまり、100*WS/(WS+WL)(%))を意味する。
洗浄工程において、洗浄液と焼成物とを接触させる方法としては、各洗浄液中に、焼成物を投入して撹拌する方法や、各洗浄液をシャワー水として、焼成物にかける方法、洗浄液中に、焼成物を投入して撹拌した後、各洗浄液から焼成物を分離し、次いで、各洗浄液をシャワー水として、分離後の焼成物にかける方法が挙げられる。
洗浄に用いる洗浄液の温度は、15℃以下が好ましく、10℃以下がより好ましく、8℃以下がさらに好ましい。洗浄液の温度を上記範囲に制御することで、洗浄時に焼成物の結晶構造中から洗浄液中へのリチウムイオンの過度な溶出が抑制できる。
[B-4]乾燥工程
乾燥工程では、後処理工程において後処理が施された焼成物を乾燥させる。
乾燥工程では、例えば、100-400℃の温度である雰囲気において、焼成物を乾燥する。なお、乾燥は、例えば、減圧乾燥、真空乾燥、送風、加熱、および、これらの組み合わせによって実行される。
以上の工程により、LiMOを製造することができる。
[C]電池評価
LiMOの電池評価を実施する際には、LiMOから正極を作製した後に、その作製した正極を用いてリチウム二次電池を作製する。その後、その作製したリチウム二次電池に関して、電池評価として「3C放電容量」を測定する。
[C-1]リチウム二次電池用正極の作製
リチウム二次電池用正極の作製では、まず、ペースト状の正極合剤を調製する。正極合剤は、LiMOと導電材とバインダーとの混合物を混練することで調製する。ここでは、導電材として、アセチレンブラックを用い、バインダーとして、PVdFを用いる。そして、各材料を下記の割合で混合する。正極合剤の調製の際には、有機溶媒として、N-メチル-2-ピロリドンを用いる。
・LiMO:92質量部
・導電材:5質量部
・バインダー:3質量部
そして、上記のように調製したペースト状の正極合剤を、集電体(厚さが40μmであるアルミニウム箔)に塗布する。その後、正極合剤が塗布された集電体について、温度が150℃である雰囲気において、8時間、真空乾燥を行うことで、リチウム二次電池用正極を完成させる。ここでは、リチウム二次電池用正極の電極面積を1.65cmとする。
[C-2]リチウム二次電池の作製
リチウム二次電池を作製する際には、まず、上記のように作製した正極を、コイン型電池CR2032用パーツ(宝泉株式会社製)の下蓋の上面に置く。下蓋への設置では、リチウム二次電池用正極のアルミニウム箔面を下方に向ける。そして、正極が設置された下蓋の上面に、積層フィルムセパレータを設置する。ここでは、積層フィルムセパレータとして、厚みが16μmであって、ポリエチレン製多孔質フィルムの上に耐熱多孔層が積層されたものを用いる。
つぎに、上記パーツの内部に300μlの電解液を注入する。ここでは、電解液として、下記の割合で各物質が混合した混合液に、ビニレンカーボネートを1体積%加え、更に、LiPFが溶解した溶液を用いる。電解液は、LiPFの濃度が1mol/lになるように調製する。
・エチレンカーボネート:30体積部
・ジメチルカーボネート:35体積部
・エチルメチルカーボネート:35体積部
つぎに、負極をセパレータの上側に設置する。ここでは、負極として金属リチウムを用いる。そして、ガスケットを介して、上蓋の設置を行い、かしめ機を用いて上蓋をかしめる。これにより、リチウム二次電池を作製する。
[C-3]「3C放電容量」の測定
「3C放電容量(mAh/g))」の測定は、リチウム二次電池に関して、下記の条件で実施する。
・処理温度:25℃
・充電最大電圧4.3V、充電電流1CA、定電流定電圧充電
・放電最小電圧2.5V、放電電流3CA、定電流放電
[D]リチウム二次電池
LiMOをCAMとして用いるリチウム二次電池用正極、および、そのリチウム二次電池用正極を備えるリチウム二次電池の一例について説明する。以下、リチウム二次電池用正極を正極と称することがある。
本実施形態の製造方法により製造されるLiMOを用いる場合の好適なリチウム二次電池の一例は、正極及び負極、正極と負極との間に挟持されるセパレータ、正極と負極との間に配置される電解液を有する。
図2は、リチウム二次電池の一例を示す模式図である。例えば円筒型のリチウム二次電池10は、次のようにして製造する。
まず、図2の部分拡大図に示すように、帯状を呈する一対のセパレータ1と、一端に正極リード21が設置された帯状の正極2と、一端に負極リード31が設置された帯状の負極3とを準備する。そして、セパレータ1、正極2、セパレータ1、および負極3の順に積層した積層体を巻回することによって、電極群4を作製する。
正極2は、一例として、LiMOを含む正極活物質層2aと、正極活物質層2aが一面に形成された正極集電体2bとを有する。このような正極2は、まずLiMO、導電材及びバインダーを含む正極合剤を調製し、正極合剤を正極集電体2bの一面に担持させて正極活物質層2aを形成することで製造できる。
負極3は、一例として、不図示の負極活物質を含む負極合剤が負極集電体に担持されてなる電極、及び負極活物質単独からなる電極を挙げることができ、正極2と同様の方法で製造できる。
次いで、電極群4およびインシュレーター(図示省略)を電池缶5に収容した後に電池缶5の缶底を封止する。そして、電池缶5において電極群4に電解液6を含浸させることで、正極2と負極3との間に電解質(図示省略)を介在させる。その後、トップインシュレーター7および封口体8で電池缶5の上部を封止する。これにより、リチウム二次電池10を完成させる。
電極群4の形状としては、電極群4を巻回の軸に対して垂直方向に切断したときの断面形状が、例えば、円、楕円、長方形、又は、角を丸めた長方形となるような柱状の形状を挙げることができる。
また、このような電極群4を有するリチウム二次電池の形状としては、国際電気標準会議(IEC)が定めた規格であるIEC60086、又は、JIS C 8500で定められる形状を採用することができる。例えば、円筒型又は角型等の形状を挙げることができる。
さらに、リチウム二次電池は、上記巻回型の構成に限らず、正極、セパレータ、負極、およびセパレータの積層構造を繰り返し重ねた積層型の構成であってもよい。積層型のリチウム二次電池としては、いわゆるコイン型電池、ボタン型電池、又はペーパー型(又はシート型)電池を例示することができる。
リチウム二次電池を構成する正極、セパレータ、負極及び電解液については、例えば、WO2022/113904A1の[0113]~[0140]に記載の構成、材料及び製造方法を用いることが出来る。
[E]全固体リチウム二次電池
本実施形態のLiMO(CAM)を用いたリチウム二次電池用正極を備えるリチウム二次電池の一例として、全固体リチウム二次電池について説明する。
図3は、全固体リチウム二次電池の一例を示す模式図である。
図3に示すように、全固体リチウム二次電池1000は、正極110と負極120と固体電解質層130とを有する積層体100と、積層体100を収容する外装体200とを備える。全固体リチウム二次電池1000は、集電体の両側にLiMOと負極活物質とを配置したバイポーラ構造であってもよい。バイポーラ構造の具体例は、例えば、JP-A-2004-95400に記載されている構造が挙げられる。
正極110は、正極活物質層111と正極集電体112とを有している。正極活物質層111は、上述したLiMO及び固体電解質を含む。また、正極活物質層111は、導電材及びバインダーを含んでいてもよい。
負極120は、負極活物質層121と負極集電体122とを有している。負極活物質層121は、負極活物質を含む。また、負極活物質層121は、固体電解質及び導電材を含んでいてもよい。
積層体100は、正極集電体112に接続される外部端子113と、負極集電体122に接続される外部端子123とを有していてもよい。その他、全固体リチウム二次電池1000は、正極110と負極120との間にセパレータを有していてもよい。
全固体リチウム二次電池1000は、さらに、積層体100と外装体200とを絶縁するインシュレーター(図示無し)、および外装体200の開口部200aを封止する不図示の封止体を有する。
外装体200は、アルミニウム、ステンレス鋼又はニッケルメッキ鋼などの耐食性の高い金属材料を成形した容器である。また、外装体200は、少なくとも一方の面に耐食加工を施したラミネートフィルムを袋状に加工した容器でもよい。
全固体リチウム二次電池1000の形状は、例えば、コイン型、ボタン型、ペーパー型(またはシート型)、円筒型、角型、又はラミネート型(パウチ型)等が挙げられる。
全固体リチウム二次電池1000は、一例として、積層体100を1つ有する形態であるが、これに限らない。全固体リチウム二次電池1000は、積層体100を単位セルとし、外装体200の内部に複数の単位セル(積層体100)を封じた構成でもよい。
全固体リチウム二次電池については、例えば、WO2022/113904A1の[0151]~[0181]に記載の構成、材料及び製造方法を用いることができる。
さらに本発明は、以下の様態を包含してもよい。
[13]Li、Ni、および、前記元素Mを含み、細孔を有する、LiMOであって、前記dV1が(式A1_1)に示す関係を満たし、前記dV2が(式A2_1)に示す関係を満たす、LiMO。
0.50×10-4≦dV1≦0.80×10-4 …(式A1_1)
1.03×10-4≦dV2≦2.00×10-4 …(式A2_1)
[14]前記(組成式I)で表される[13]に記載のLiMO。
[15]前記(組成式I)において、上記の(式Id_1)に示す関係を満たす、[14]に記載のLiMO。
[16]Li以外の金属元素の総物質量に対するCoの物質量が1モル%以下である、[14]または[15]に記載のLiMO。
[17]前記Vは下記の(式B_1)に示す関係を満たす[13]から[16]のいずれか1項に記載のLiMO。
0.004cm/g≦V≦0.009cm/g …(式B_1)
[18]前記Apは下記の(式C_1)に示す関係を満たす[13]から[17]のいずれか1項に記載のLiMO。
0.9m/g≦Ap≦1.6m/g …(式C_1)
[19]前記Adpは下記の(式D_1)に示す関係を満たす[13]から[18]のいずれか1項に記載のLiMO。
20nm≦Adp≦30nm …(式D_1)
[20]前記SRは下記の(式E_1)に示す関係を満たす[13]から[19]のいずれか1項に記載のLiMO。
1.1%≦SR≦3.5% …(式E_1)
[21]前記SRは下記の(式E_2)に示す関係を満たす[13]から[20]のいずれか1項に記載のLiMO。
1.2%≦SR≦3.0% …(式E_2)
[22]前記AKは下記の(式F_1)に示す関係を満たす[13]から[21]のいずれか1項に記載のLiMO。
90nm≦AK≦170nm …(式F_1)
[23]前記AKは下記の(式F_2)に示す関係を満たす[13]から[22]のいずれか1項に記載のLiMO。
105nm≦AK≦130nm …(式F_2)
[24]
[13]から[23]のいずれか1項に記載のLiMOを有する、CAM。
[25]
[24]に記載のCAMを有する、リチウム二次電池用正極。
[26]
[25]に記載のリチウム二次電池用正極を有する、リチウム二次電池。
以下より、実施例および比較例について表1を用いて説明する。表1において、(例1)から(例3)は、実施例に相当し、(例C1)および(例C2)は、比較例に相当する。
Figure 0007441999000001
[1]試料作製
各例に係るLiMOの試料を作製した手順について、順次、説明する。なお、各例の一次焼成物のBET比表面積は、上記(BET比表面積の測定方法)に記載の方法に従って測定した。
(例1)
まず、撹拌器及びオーバーフローパイプを備えた反応槽内に水を入れた後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、液温を70℃(反応槽の温度)に保持した。
硫酸ニッケル水溶液と硫酸マンガン水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、[Ni]:[Mn]:[Al]が表1に示す値((例1)では、93:3.5:3.5)になるように混合することで、混合原料液1を調製した。
反応槽内に窒素ガスを流通し、混合原料液1を撹拌させた状態で、硫酸アンモニウム水溶液を錯化剤として連続的に添加した。そして、反応槽内の混合液のpHが11.4(測定温度:40℃)になるまで、水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下することによって、反応沈殿物1を得た。
5質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、反応沈殿物1を洗浄した。反応沈殿物1の洗浄では、反応沈殿物1の質量に対して20倍の水酸化ナトリウム水溶液を用いた。遠心分離機を用いて、洗浄された反応沈殿物1を脱水した後に、水で洗浄し、更に脱水することにより、反応沈殿物1を単離した。単離された反応沈殿物1を、105℃、20時間の条件で乾燥することにより、Ni、Mn、及びAlを含む金属複合水酸化物1を得た。
金属複合水酸化物1を、大気雰囲気下において、650℃、5時間の条件で酸化し、金属複合酸化物であるMCC1を得た。
つぎに、リチウム化合物として準備した水酸化リチウム一水和物の粉末と、MCC1の粉末とを混合し、混合物1を得た。ここでは、MCC1に含まれるNi、Mn及びAlの合計量1に対するLiの量(モル比)が1.05となる割合で混合し、混合物1を得た。
混合物1を、酸素雰囲気下、保持温度650℃,保持時間5時間で焼成し、一次焼成物1を得た。
次いで、一次焼成物1の粉体を鞘の内部空間に入れた。このとき、鞘詰め量FS3は、表1に示す値であった。
そして、酸素雰囲気下、昇温速度300℃/時間、保持温度750℃,保持時間5時間で、一次焼成物1を二次焼成した。二次焼成は、酸素ガスを供給した状態で実行された。このとき、二次焼成時(昇温時および保持時)の酸素流量FS2は、3.0L/分であった。
このとき、一次焼成物1のBET比表面積FS1で、上記酸素流量FS2を割った値に、鞘詰め量FS3を積算した値((FS2/FS1)*FS3)は、表1に示す値であった。
得られた焼成物1と純水(液温5℃)とを混合することでスラリーを作製した。スラリーは、50質量%の焼成物を含むように作製された。そのスラリーを20分間、撹拌させた。そして、窒素雰囲気下、210℃、10時間の条件で、焼成物1を乾燥させた。
これにより、表1に示す組成(α,x,y)で構成された本例のLiMO1の試料を得た。
(例2)
硫酸ニッケル水溶液と硫酸マンガン水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、[Ni]:[Mn]:[Al]が表1に示す値になるように添加して混合し、反応槽内の混合液のpHが11.0(測定温度:40℃)となるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、((FS2/FS1)*FS3)が表1に示す条件で二次焼成した以外は、(例1)の場合と同様に、試料の作製を実行した。これにより、表1に示す組成(α,x,y)で構成されたLiMO2の試料を得た。
(例3)
硫酸ニッケル水溶液と硫酸マンガン水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とを、[Ni]:[Mn]:[Al]が表に示す値になるように添加して混合し、反応槽内の混合液のpHが11.2(測定温度:40℃)となるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、((FS2/FS1)*FS3)が表1に示す条件で二次焼成した以外は、(例1)の場合と同様に、試料の作製を実行した。これにより、表1に示す組成(α,x,y)で構成されたLiMO3の試料を得た。
(例C1)
反応槽内の混合液のpHが12.2(測定温度:40℃)となるよう水酸化ナトリウム水溶液を適時滴下し、((FS2/FS1)*FS3)が表1に示す条件で二次焼成した以外は、(例1)の場合と同様に、試料の作製を実行した。これにより、表1に示す組成(α,x,y)で構成されたLiMO4の試料を得た。
(例C2)
((FS2/FS1)*FS3)が表1に示す条件で二次焼成した以外は、(例2)の場合と同様に、試料の作製を実行した。これにより、表1に示す組成(α,x,y)で構成されたLiMO5の試料を得た。
[2]試料の特性
上記のように各例について作製したLiMOの試料の各特性に関して求めた。その結果を表1に示す。
[2-1]LiMOの組成
LiMOの組成は、上記<組成の測定方法>に記載の方法に従って測定した。また、Li以外の金属元素の総物質量に対するCoの物質量は、上記(式II)により算出した。
[2-2]LiMOの細孔特性
表1に示すように、LiMOの細孔特性として、上記<細孔容積割合の測定方法>に記載の方法に従って、dV1、dV2、V、Ap、およびAdpを求めた。
[2-2]LiMOのその他特性
表1に示すように、各例のLiMOのその他特性として、上記<メタル席占有率及び平均結晶子サイズの測定方法>に記載の方法に従って、SRとAKとを求めた。
[3]電池評価
上記のように、各例において作製したLiMOの試料に関しては、表1に示すように、電池評価を実施した。電池評価は、上記「[C]電池評価」に記載の方法に従って行った。
[4]まとめ
各例の結果に関して説明する。
[4-1](例1)から(例3)について
(例1)から(例3)は、表1に示すように、LiMOの組成が、上記の(式Ia)、(式Ib)、(式Ic)、(式Id)、および(式Id_1)に示す関係を満たす。
また、(例1)から(例3)におけるLiMOは、(式A1)および(式A2)に示す関係を満たす。更に、(例1)から(例3)におけるLiMOは、(式B)、(式C)、(式D)、(式E)、および、(式F)に示す関係を満たす。
これにより、(例1)から(例3)のリチウム二次電池は、表に示すように、3C放電容量が150mAh/g以上であって、好適な結果が得られた。
[4-2](例C1)および(例C2)の結果について
(例C1)および(例C2)は、表に示すように、LiMOの組成が、上記の(式Ia)、(式Ib)、(式Ic)、(式Id)、および(式Id_1)に示す関係を満たす。また、(例C1)および(例C2)のLiMOは、(式B)、(式C)、(式D)、および、(式F)に示す関係を満たす。
しかし、(例C1)のLiMOは、(式A1)に示す関係を満たさない。(例C2)のLiMOは、(式A2)に示す関係を満たさない。
このため、(例C1)および(例C2)のリチウム二次電池は、表に示すように、3C放電容量が150mAh/g未満であった。
本発明によれば、高レートでの放電容量を向上させることができる、LiMO、CAM、リチウム二次電池用正極、および、リチウム二次電池を提供することができる。
1…セパレータ、2…正極、2a…正極活物質層、2b…正極集電体、3…負極、4…電極群、5…電池缶、6…電解液、7…トップインシュレーター、8…封口体、10…リチウム二次電池、21…正極リード、31…負極リード、100…積層体、110…正極、111…正極活物質層、112…正極集電体、113…外部端子、120…負極、121…負極活物質層、122…負極集電体、123…外部端子、130…固体電解質層、200…外装体、200a…開口部、1000…全固体リチウム二次電池

Claims (12)

  1. Li、Ni、および、元素Mを含み、
    前記元素Mが、 Co、Mn、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Al、Zn、Sn、Zr、B、Si、Nb、W、Ta、Ba、S、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    細孔を有する、
    リチウム金属複合酸化物であって、
    窒素吸着等温線からBarrett-Joyner-Halenda法によって前記細孔について算出される細孔径分布において、
    前記細孔の細孔径dpの増加に対して前記細孔の細孔表面積apが増加する割合dap/ddpが「dap/ddp≦0.10」の関係を満たす範囲における、前記細孔の細孔径dpの増加に対して前記細孔の細孔容積Vpが増加する割合dVp/ddpの最大値dV1が、下記の(式A1)に示す関係を満たし、
    前記dap/ddpが「dap/ddp>0.10」の関係を満たす範囲における、前記dVp/ddpの最大値dV2が、下記の(式A2)に示す関係を満たす、
    リチウム金属複合酸化物。
    dV1≦1.00×10-4 …(式A1)
    dV2≧1.00×10-4 …(式A2)
  2. 前記細孔径分布において、細孔容積Vは、下記の(式B)に示す関係を満たす、
    請求項1に記載のリチウム金属複合酸化物。
    0.001cm/g≦V≦0.01cm/g …(式B)
  3. 前記細孔径分布において、細孔表面積Apは、下記の(式C)に示す関係を満たす、
    請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
    0.5m/g≦Ap≦2.0m/g …(式C)
  4. 前記細孔径分布において、平均細孔径Adpは、下記の(式D)に示す関係を満たす、
    請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
    10nm≦Adp≦40nm …(式D)
  5. (組成式I)で表されるリチウム金属複合酸化物であって、
    (組成式I)において、
    M1は、Mn、Al、及び、Coからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    M2は、Fe、Cu、Ti、Mg、Ca、Zn、Sn、Zr、B、Si、Nb、W、Ta、Ba、S、及び、Pからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、
    下記(式Ia)から(式Id)に示す関係を満たす、
    請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
    Li[Liα(Ni(1-x-y)M1M21-α]O ・・・(組成式I)
    -0.1≦α≦0.2 ・・・(式Ia)
    0≦x≦0.5 ・・・(式Ib)
    0≦y≦0.7 ・・・(式Ic)
    0<x+y<1 ・・・(式Id)
  6. Li以外の金属元素の総物質量に対するCoの物質量が10モル%以下である、
    請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
  7. (組成式I)において、下記の(式Id_1)に示す関係を満たす、
    請求項5に記載のリチウム金属複合酸化物。
    0<x+y≦0.3 ・・・(式Id_1)
  8. リートベルト解析から得られるメタル席占有率SRが、下記の(式E)に示す関係を満たす、
    請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
    1.0%≦SR≦4.0% …(式E)
  9. リートベルト解析から得られる平均結晶子サイズAKが、下記の(式F)に示す関係を満たす、
    請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物。
    80nm≦AK≦200nm …(式F)
  10. 請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物
    を有する、
    リチウム二次電池用正極活物質。
  11. 請求項10に記載のリチウム二次電池用正極活物質
    を有する、
    リチウム二次電池用正極。
  12. 請求項11に記載のリチウム二次電池用正極
    を有する、
    リチウム二次電池。
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