JP7353235B2 - 液状シリコーンゴムコーティング剤組成物 - Google Patents
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そこで、シリコーンゴム組成物に接着剤を添加した自己接着性シリコーンゴム組成物を用いることが、前記塗布工程が不要となるため作業時間の短縮、およびコスト削減ができ、作業性も向上するため、被着体との一体成型体を製造する上で有効な手段である。
(A)粘度が1,000~1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)(メタ)アクリル基を1分子中に2個以上有する有機化合物:0.1~10質量部、
(C)前記(B)成分以外の接着性向上剤:0.1~10質量部
を含むことを特徴とする液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を提供する。
(A)粘度が1,000~1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)(メタ)アクリル基を1分子中に2個以上有する有機化合物:0.1~10質量部、
(C)前記(B)成分以外の接着性向上剤:0.1~10質量部
を含むことを特徴とする液状シリコーンゴムコーティング剤組成物である。
本発明の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、以下の(A)~(C)成分を含有してなるものであって、室温(25℃)で液状のものである。さらに、(A)~(C)成分以外に、補強性シリカ微粉末、縮合助触媒、非補強性充填剤などを含んでもよい。以下、各成分について詳細に説明する。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、本発明で使用する液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の主剤(ベースポリマー)となる成分であり、25℃における粘度が1,000~1,000,000mPa・s、好ましくは1,500~500,000mPa・s、より好ましくは3,000~100,000mPa・sである。
(B)成分である(メタ)アクリル基を1分子中に2個以上有する有機化合物は、液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の硬化性を向上させるための成分である。この硬化性向上剤は、EB照射によるシリコーンゴムコーティング剤の硬化性を向上させることができるものであれば特に限定されない。具体例としては、1分子中にアクリル基を2つ以上、好ましくは3つ以上有する有機化合物などが挙げられる。
(C)成分である(B)成分以外の接着性向上剤は、被着体である有機樹脂、エアーバッグ用の合成繊維織物基材、不織布基材等に対する、液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の硬化物(ゴムコーティング層)の接着性を向上させるための成分である。この接着性向上剤は、硬化物の自己接着性を向上させることができるものであれば特に限定されない。
その具体例としては、有機ケイ素化合物や非ケイ素有機化合物等が挙げられ、中でも、イソシアネート基、アクリル基、メタクリル基、アルコキシ基、アルケニル基、エステル基の群から選ばれる1つ以上の官能基を1分子中に少なくとも1種有するものが好ましく、2種以上有するものがより好ましい。
本発明の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物としては、更に(D)成分として補強性シリカ微粉末を配合することが好ましい。
本発明に係る組成物には、前記(A)~(D)成分以外にも、目的に応じて、その他の任意の成分を配合することができる。その具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのその他の成分は、各々、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
接着促進のための縮合助触媒として作用する有機チタニウム化合物、有機ジルコニウム化合物を用いることができる。上記成分の具体例としては、例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド、チタンテトラオクチルオキシド(チタン酸オクチル)等の有機チタン酸エステル、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタンキレート化合物等のチタン系縮合助触媒(チタニウム化合物)、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド等の有機ジルコニウムエステル、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウムキレート化合物等のジルコニウム系縮合助触媒(ジルコニウム化合物)が挙げられる。上記成分は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(D)成分の補強性シリカ微粉末以外の充填剤として、例えば、結晶性シリカ(例えば、BET法比表面積が50m2/g未満の石英粉)、有機樹脂製中空フィラー、ポリメチルシルセスキオキサン微粒子(いわゆるシリコーンレジンパウダー)、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、カーボンブラック、ケイ藻土、タルク、カオリナイト、ガラス繊維等の充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面疎水化処理した充填剤;シリコーンゴムパウダー;シリコーンレジンパウダー等が挙げられる。
上記の他にも、例えば、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン、有機溶剤、クリープハードニング防止剤、可塑剤、チキソ性付与剤、顔料、染料、防かび剤等を配合することができる。
上記(A)~(C)成分、必要に応じて配合される(D)成分、その他の任意成分を均一に混合することにより、液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を調製することができる。
こうして得られる液状シリコーンゴムコーティング剤組成物は、25℃で液状の組成物であり、JIS K 7117-1:1999に記載の方法で測定した25℃における粘度は、好ましくは1,000~1,000,000mPa・sであり、より好ましくは10,000~700,000mPa・sである。この粘度範囲内であれば、エアーバッグ用基布に塗工する際に、塗工むらや硬化後の基布への接着力不足などが生じにくいため、好適に用いることができる。
本発明において、被着体として使用される有機樹脂としては、通常の熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的にはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ウレタン(PU)樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ナイロン6(PA6)樹脂、ナイロン66(PA66)樹脂、ポリフタルアミド(PPA)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリイミド樹脂及び液晶樹脂等が挙げられる。
本発明において、上記組成物の硬化物からなるシリコーンゴム層が形成されるエアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)としては、公知のものが用いられ、その具体例としては、6,6-ナイロン、6-ナイロン、アラミド繊維などの各種ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの各種ポリエステル繊維などの各種合成繊維の織生地が挙げられる。
上記液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を、有機樹脂やエアーバッグ用基布(繊維布からなる基材)等の被着体の少なくとも一方の表面、特には一方の表面に最大厚みが0.5mmの薄膜状に塗布した後、例えば30~300kGyの電子線を照射することで、これを架橋、硬化させてシリコーンゴム層(硬化被膜層)を形成する。このようにしてシリコーンゴム層(硬化被膜層)を形成させることができる。
本発明においては、上記液状シリコーンゴムコーティング剤組成物の硬化方法として、例えば照射線量30~300kGyの電子線を照射することにより、好ましくは電子線成形装置を用いて照射線量30~300kGyの電子線を照射することによって硬化させることができる。加速電圧は、例えば50~500kV、好ましくは80~300kVとすることができる。
上記シリコーンゴムの成型方法により得たシリコーンゴム層を用いて、シリコーンゴムコーティングエアーバッグを製造することができる。この時、上記被着体が合成繊維製基布であることが好ましい。
25℃における粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)60質量部、へキサメチルジシラザン8質量部、水2質量部、およびBET法による比表面積が約300m2/gである補強性シリカ微粉末(D)(商品名:アエロジル300、日本アエロジル社製)40質量部を、ニーダー中で1時間混合した。次にニーダー内の温度を150℃に昇温し、引き続き2時間混合した。次いで、該温度を100℃まで降温した後、粘度が約30,000mPa・sであり、平均重合度が750である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)30質量部を添加し、均一になるまで混合することで、ベースコンパウンド(BC1)を得た。
得られたベースコンパウンド(BC1)55質量部に、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖された25℃の粘度が30,000mPa・s(平均重合度:約750)である分子鎖両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(A1)35質量部、アクリル基含有化合物(B1)0.9質量部、接着性向上剤(C1)0.9質量部を均一に混合し、液状シリコーンゴムコーティング剤組成物(組成物A、粘度:172,000mPa・s)を調製した。
寸法が幅25mm、長さ100mmからなる被着体に上記液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を厚さ0.5mm以下の薄膜状になるように塗工した後に、加速電圧200kV、電流7.8mA、搬送速度5m/min、照射線量150kGyの電子線で照射を行い、シリコーンゴム層を有する成型体を作製した。被着体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ナイロン6(PA6)樹脂、ナイロン66(PA66)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂を選択した。下記の測定方法に従って、接着性の試験を行った。得られた結果を表1に示す。
成型体の表面を削った時のコーティング部分の破壊状況を目視で確認し、シリコーンゴム層が上記被着体(有機樹脂)のコーティング面から剥離していない場合を「接着」と評価し、剥離するが力を加える必要がある場合を「密着」と評価し、容易に剥離する場合を「×」と評価した。
エアーバッグ用PET基布(495デニール)に表面塗布量が10~20g/m2になるようにコーティングした後に、約150kGyの電子線照射線量で照射を行い、シリコーンゴム硬化物でコーティングされたエアーバッグ基布(シリコーンゴム被覆PET基布)を作製した。下記の測定方法に従って、接着性の試験を行った。得られた結果を表2に示す。
上記のシリコーンゴム被覆PET基布について、ISO 5981に記載の方法で、スクラブ試験機(SERVONETIC Control Instruments製)を用いて接着性を評価した。600回スクラブ試験を行った後、コーティング部分の破壊状況を目視で確認し、シリコーンゴム層がコーティング面から剥離していない場合を合格と評価し、剥離している場合を不合格と評価した。
実施例1の接着性向上剤(C1)を接着性向上剤(C2)に置き換えたこと以外は同様にして組成物B(粘度:148,000mPa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験を行った。得られた結果を表1、2に示す。
実施例1の接着性向上剤(C1)を配合しなかったこと以外は同様にして組成物C(粘度:172,000mPa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験を行った。得られた結果を表1、2に示す。
実施例1のアクリル基含有化合物(B1)を配合しなかったこと以外は同様にして組成物D(粘度:186,000mPa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験を行った。得られた結果を表1、2に示す。
実施例2のアクリル基含有化合物(B1)を配合しなかったこと以外は同様にして組成物E(粘度:126,000mPa・s)を調製し、実施例1と同様に接着性試験を行った。得られた結果を表1、2に示す。
比較例2の接着性向上剤(C1)を接着性向上剤(C3)に変えて配合したこと以外は同様にして組成物F(粘度:122,000mPa・s)を調製し、シリコーンゴム成型体2について実施例1と同様に接着性試験を行った。得られた結果を表2に示す。
Claims (6)
- (A)粘度が1,000~1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)(メタ)アクリル基を1分子中に2個以上有する有機化合物:0.1~10質量部、
(C)前記(B)成分以外の接着性向上剤:0.1~10質量部
を含むことを特徴とする液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。 - (C)成分が、イソシアネート基、(メタ)アクリル基、アルコキシ基、アルケニル基、エステル基の群から選ばれる1つ以上の官能基を1分子中に2つ以上有するものであることを特徴とする請求項1に記載の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。
- 更に、(D)成分として補強性シリカ微粉末を、(A)成分100質量部に対して1~100質量部含有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。
- 前記(D)成分が、BET法における比表面積が50m2/g以上のヒュームドシリカであることを特徴とする請求項3に記載の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を被着体上に厚さ0.5mm以下の薄膜状に塗布した後、電子線を照射することで塗布した前記液状シリコーンゴムコーティング剤組成物を硬化させることを特徴とするシリコーンゴムの成型方法。
- 請求項5に記載のシリコーンゴムの成型方法を用いるシリコーンコーティングエアーバッグの製造方法であって、前記被着体が、合成繊維製基布であることを特徴とするシリコーンコーティングエアーバッグの製造方法。
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