JP7338234B2 - 非水電解質蓄電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン非水電解質二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体、及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
このような非水電解質蓄電素子の高エネルギー密度化を図る技術としては、例えば負極活物質の高密度化、セパレータの薄膜化等が提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2014-209472号公報 特開2007-179758号公報
しかしながら、負極の充電中における膨張に伴い、非水電解質蓄電素子の平均厚さ方向(すなわち正極とセパレータと負極とが積層される方向)にかかる荷重の増加が顕著になる。そのため、上記従来技術においては、荷重の増加によってセパレータの細孔が塞がれてイオン伝導性が低下することにより、非水電解質蓄電素子の充放電サイクル後の出力性能が低下するおそれがある。上記課題に対して、平均厚さ方向の圧縮弾性率が高いセパレータや空隙容積割合を表す気孔率が高いセパレータを用いることでイオン伝導性の低下が改善されることが知られている。一方、上記圧縮弾性率や気孔率が高いセパレータを用いると、セパレータの表面に平行な方向である面内方向(すなわち上記平均厚さ方向に直交する方向)の引張強度が低下する。負極は、充電中、平均厚さ方向の膨張に加えて面内方向にも膨張する。そのため、上記圧縮弾性率や気孔率が高いセパレータを用いた場合、充電中にセパレータが膨張する負極に引っ張られて容易に変形し、空隙容積が増大することにより、正極及び負極間の微小短絡の発生率が増大するおそれがある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れる非水電解質蓄電素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、一軸延伸された多孔質樹脂層を有し、上記負極合剤層に沿って積層されるセパレータとを備え、上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係が、5.7≦A×B/10000≦15.2である非水電解質蓄電素子である。
本発明の他の一態様は、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、二軸延伸された多孔質樹脂層を有し、上記負極合剤層に沿って積層されるセパレータとを備え、上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係が、3.6≦A×C/10000≦9.1である非水電解質蓄電素子である。
本発明によれば、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れる非水電解質蓄電素子を提供できる。
本発明の非水電解質蓄電素子の一実施形態に係る負極及びセパレータを示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を示す外観斜視図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。 第1実施形態に係る実施例の充放電サイクル後の出力性能を表すグラフである。 第1実施形態に係る実施例の充放電サイクル後の微小短絡発生率を表すグラフである。 第2実施形態に係る実施例の充放電サイクル後の出力性能を表すグラフである。 第2実施形態に係る実施例の充放電サイクル後の微小短絡発生率を表すグラフである。
本発明の一態様は、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、上記負極合剤層に沿って積層され、一軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータとを備え、上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係が、5.7≦A×B/10000≦15.2である非水電解質蓄電素子である。
黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、上記負極合剤層に沿って積層され、一軸延伸された多孔質樹脂層(以下、一軸延伸多孔質樹脂層ともいう。)を有するセパレータとを備え、上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)とが上記関係を満たす当該非水電解質蓄電素子は、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れる。このような効果が得られる理由としては、例えば次のように考えられる。
上記X線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aは、垂直方向の面に対する水平方向の面のピーク強度比であり、負極合剤層の配向性の指標となるものである。負極活物質として黒鉛粒子を含む場合、上記ピーク強度比Aは、黒鉛粒子のベンゼン縮合平面からなるベーサル面と、該ベーサル面に直交する層状のエッジ面との配向性に由来する。黒鉛粒子は、エッジ面からの電荷担体の挿入に伴いベーサル面と直交する方向に膨張する。上記ピーク強度比Aは、小さくなるほど上記ベーサル面が負極基材(負極の面内方向)に対して垂直方向に配向していることを意味する。そのため、負極の面内方向の膨張が増し、負極の平均厚さ方向の膨張が抑制される。一方、上記ピーク強度比Aは、大きくなるほど上記ベーサル面が負極基材(負極の面内方向)に対して平行方向に配向していることを意味する。そのため、負極の平均厚さ方向の膨張が増し、負極の面内方向の膨張が抑制される。また、セパレータの透気度は、大きくなるほどセパレータの気孔率が小さくなり、引張強度が大きくなる傾向がある。
上記負極合剤層を有する負極と、上記一軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータとを備える非水電解質蓄電素子の負極合剤層のX線回折における上記ピーク強度比Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係において、A×B/10000が15.2以下であることで、負極の平均厚さ方向の膨張が抑制される。また、セパレータの気孔率が大きくなる傾向がある。そのため、負極の平均厚さ方向の膨張に起因してセパレータの細孔が塞がれやすくなることによる非水電解質蓄電素子のイオン伝導性及び充放電サイクル後の出力性能の低下を抑制できる。一方、上記A×B/10000が5.7以上であることで、負極の面内方向の膨張が抑制される。また、セパレータの引張強度が大きくなる傾向がある。そのため、負極の面内方向の膨張に起因してセパレータが裂けやすくなることによる充放電サイクル後の正極及び負極間の微小短絡の発生を抑制できる。
従って、当該非水電解質蓄電素子は、一軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを備える場合、5.7≦A×B/10000≦15.2を満たすことで、充電時における負極の平均厚さ方向及び面内方向の膨張と、セパレータの気孔率及び引張強度との適切なバランスがとられる。その結果、当該非水電解質蓄電素子が、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れると推測される。ただし、この理由のみに限定解釈されるものではない。
本発明の他の一態様は、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、上記負極合剤層に沿って積層され、二軸延伸された多孔質樹脂層(以下、二軸延伸多孔質樹脂層ともいう。)を有するセパレータとを備え、上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係が、3.6≦A×C/10000≦9.1である非水電解質蓄電素子である。
黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、上記負極合剤層に沿って積層され、二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータとを備え、上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)とが上記関係を満た当該非水電解質蓄電素子は、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れる。このような効果が得られる理由としては、例えば次のように考えられる。
上記負極合剤層を有する負極と、上記二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータとを備える非水電解質蓄電素子の負極合剤層のX線回折における上記ピーク強度比Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係において、A×C/10000が9.1以下であることで、負極の平均厚さ方向の膨張が抑制される。また、セパレータの気孔率が大きくなる傾向がある。そのため、負極の平均厚さ方向の膨張に起因してセパレータの細孔が塞がれやすくなることによる非水電解質蓄電素子のイオン伝導性及び充放電サイクル後の出力性能の低下を抑制できる。一方、上記A×C/10000が3.6以上であることで、負極の面内方向の膨張が抑制される。また、セパレータの引張強度が大きくなる傾向がある。そのため、負極の面内方向の膨張に起因してセパレータが裂けやすくなることによる充放電サイクル後の正極及び負極間の微小短絡の発生を抑制できる。
従って、当該非水電解質蓄電素子は、二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを備える場合、3.6≦A×C/10000≦9.1を満たすことで、充電時における負極の平均厚さ方向及び面内方向の膨張と、セパレータの気孔率及び引張強度との適切なバランスがとられる。その結果、当該非水電解質蓄電素子が、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れると推測される。ただし、この理由のみに限定解釈されるものではない。
上記ピーク強度比Aが300以上700以下であることが好ましい。上記ピーク強度比Aの範囲が300以上700以下であることで、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
上記黒鉛粒子が中実粒子であることが好ましい。上記黒鉛粒子が中実粒子であることで、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
上記黒鉛粒子の平均粒子径が、2.0μm以上6.0μm以下であることが好ましい。上記黒鉛粒子の平均粒子径が、2.0μm以上6.0μm以下であることで、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
上記黒鉛粒子の平均アスペクト比が、1.0以上5.0以下であることが好ましい。上記黒鉛粒子の平均アスペクト比が上記範囲であることで、放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
本明細書において「一軸延伸」とは、熱可塑性フィルムをガラス転移温度以上で引き延ばし分子を配向させるプロセスにおいて、一方向(例えば、長手方向)にのみ延伸することをいい、「二軸延伸」とは、直交する二方向(例えば、長手方向および幅方向)に延伸することをいう。ここで、長手方向とはフィルムの搬送方向に平行であり、幅方向とは長手方向と直交する方向をいう。「透気度」は、ガーレ値ともいい、一定圧力で圧縮された100mLの空気が直径28.6mm(面積642mm)の円形の多孔質樹脂層を通過するのに要した秒数を示し、JIS-P8117(2009)に準拠して測定される値である。「中実」とは、粒子内部が詰まっていて実質的に空隙が存在しないことを意味する。より具体的には本明細書においては、中実とは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて取得されるSEM像において観察される粒子の断面において、粒子全体の面積に対して粒子内の空隙が占める面積を除いた面積率が95%以上であることを意味する。「平均アスペクト比」とは、走査型電子顕微鏡を用いて取得されるSEM像において観察される粒子の断面において、粒子の最長となる長径Tと、長径Tに垂直な方向において最長となる短径Yとの比であるT/Y値を意味する。
以下、本発明に係る非水電解質蓄電素子について図面を参照しつつ詳説する。
<非水電解質蓄電素子>
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、正極、負極、セパレータ及び非水電解質を有する。以下、当該非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(特にリチウムイオン非水電解質二次電池)について説明するが、本発明の適用対象を限定する意図ではない。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体はケースに収納され、このケース内に非水電解質が充填される。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記ケースとしては、非水電解質二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属製ケース等を用いることができる。
図1は、当該非水電解質蓄電素子の一実施形態に係る負極及びセパレータを示す概略断面図である。図1に示すように、負極1は、負極基材2及び負極合剤層3を有する。セパレータ4は、一軸延伸された多孔質樹脂層を有する。セパレータ4は、負極合剤層3に沿って積層される。負極合剤層3の上面に図示しない負極オーバーコート層が設けられた場合は、セパレータ4は、負極オーバーコート層の上面に積層される。
[セパレータ]
第1実施形態に係る非水電解質蓄電素子のセパレータは、一軸延伸された多孔質樹脂層を有する。上述したように、「一軸延伸」とは、熱可塑性フィルムをガラス転移温度以上で引き延ばし分子を配向させるプロセスにおいて、一方向(例えば、長手方向)にのみ延伸する。上記一軸延伸としては、例えば熱可塑性の結晶性ポリマーを加熱溶融後にフィルム状に押出成形及び延伸を行い、結晶間界面を剥離し多孔構造を形成する乾式一軸延伸法が挙げられる。また、一軸延伸として湿式一軸延伸法を用いてもよい。好ましい一態様では、一軸延伸された多孔質樹脂層は、温度120℃で1時間乾燥した際におけるフィルムの搬送方向(MD)の熱収縮率が5%以下(例えば1%以上4%以下)であり、かつ、フィルムの搬送方向に直交する幅方向(TD)の熱収縮率が1%以下(例えば0.5%以下、典型的には0%)であり得る。
上記多孔質樹脂層を構成する材料としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの中では、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。また、これらの樹脂を構成する単量体の共重合体を用いてもよい。
上記一軸延伸された多孔質樹脂層の透気度Bとしては、後述するピーク強度比Aとの間でA×B/10000が所定の範囲内である限りにおいて特に制限されないが、その下限としては、50秒/100mLが好ましく、90秒/100mLがより好ましい。本態様による効果をより発揮しやすくする観点から、上記多孔質樹脂層の透気度Bは、120秒/100mL以上がさらに好ましく、150秒/100mL以上が特に好ましい。いくつかの態様において、上記透気度Bは、例えば160秒/100mL以上であってもよく、典型的には170秒/100mL以上であってもよい。一方、上記透気度Bの上限としては、400秒/100mLが好ましく、300秒/100mLがより好ましい。本態様による効果をより発揮しやすくする観点から、上記多孔質樹脂層の透気度Bは、250秒/100mL以下がさらに好ましく、220秒/100mL以下が特に好ましい。いくつかの態様において、上記透気度Bは、例えば200秒/100mL以下であってもよく、典型的には180秒/100mL以下であってもよい。ここに開示される技術は、例えば上記多孔質樹脂層の透気度Bが120秒/100mL以上220秒/100mL以下(好ましくは150秒/100mL以上190秒/100mL以下)である態様で好ましく実施され得る。上記透気度Bを上記範囲とすることで、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより効果的に高めることができる。なお、上記多孔質樹脂層の一方の面又は両面に耐熱層が形成されたセパレータを用いる場合、上記透気度の測定においては、上記耐熱層を除いた多孔質樹脂層の透気度を測定する。
上記多孔質樹脂層の平均厚さは特に限定されないが、その下限としては、3μmが好ましく、5μmがより好ましく、7μmがより好ましい。いくつかの態様において、上記多孔質樹脂層の平均厚さは、例えば8μm以上であってもよく、典型的には10m以上であってもよい。一方、上記多孔質樹脂層の平均厚さの上限としては、30μmが好ましく、25μmがより好ましい。いくつかの態様において、上記多孔質樹脂層の平均厚さは、例えば20μm以下であってもよく、典型的には15μm以下であってもよい。上記多孔質樹脂層の平均厚さを上記下限以上とすることで、十分な絶縁性を有することができる。上記多孔質樹脂層の平均厚さを上記上限未満とすることで、当該非水電解質蓄電素子の良好なエネルギー密度を維持することができる。
上記多孔質樹脂層の気孔率は特に限定されないが、その下限としては、20%が好ましく、30%がより好ましい。いくつかの態様において、上記多孔質樹脂層の気孔率は、例えば35%以上であってもよく、典型的には40%以上であってもよい。一方、上記気孔率の上限としては、80%が好ましく、70%がより好ましい。いくつかの態様において、上記多孔質樹脂層の気孔率は、例えば65%以下であってもよく、典型的には60%以下(例えば55%以下)であってもよい。上記気孔率を上記範囲とすることで、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。気孔率とは、上記多孔質樹脂層の全体容積中に占める空隙容積の比率であり、JIS-L1096(2010)に規定される「気孔容積率」に準じて測定される。
なお、セパレータと正極との間に、耐熱層が配設されていても良い。この耐熱層は、多孔質の層である。また、上記多孔質樹脂層の一方の面又は両面に耐熱層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記耐熱層は、通常、耐熱粒子及びバインダーとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、大気下で500℃にて重量減少が5%以下であるものが好ましく、大気下で800℃にて重量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。重量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
[負極]
負極は、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する。
負極合剤層の上面に、少なくとも無機粒子とバインダーとを有する負極オーバーコート層を設けてもよい。負極オーバーコート層を設けることにより、イオン伝導性の向上や短絡の可能性の低下などの効果が得られる。
(負極基材)
上記負極基材は、導電性を有する基材(集電体)である。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。また、負極基材の形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。なお、「導電性」を有するとは、JIS-H0505(1975)に準拠して測定される体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が1×10Ω・cm超であることを意味する。
上記負極基材の平均厚さの上限としては、例えば30μmであってよいが、20μmが好ましく、10μmがより好ましい。負極基材の平均厚さを上記上限以下とすることで、当該非水電解質蓄電素子のエネルギー密度をより高めることができる。一方、この平均厚さの下限としては、例えば1μmであってよく、5μmであってもよい。なお、平均厚さとは、任意に選んだ10カ所において測定した厚さの平均値をいう。
[負極合剤層]
負極合剤層は、負極基材の少なくとも一方の面に沿って直接又は中間層を介して積層される。負極合剤層は、負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成される。上記負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。当該非水電解質蓄電素子は、負極活物質として黒鉛粒子を含む。
上記負極合剤層の平均厚さ(片面厚さ)としては特に限定されない。上記負極合剤層の平均厚さの下限としては、30μmが好ましく、50μmがより好ましく、60μmがさらに好ましく、70μmが特に好ましい。いくつかの態様において、上記負極合剤層の平均厚さは、例えば80μm以上であってもよく、典型的には85μm以上であってもよい。一方、上記負極合剤層の平均厚さの上限としては、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、130μmがさらに好ましく、120μmが特に好ましい。いくつかの態様において、上記負極合剤層の平均厚さは、例えば110μm以下であってもよく、典型的には100μm以下であってもよい。
負極合剤層の多孔度としては、特に限定されないが、概ね50%以下(例えば40%以下)であることが好ましい。負極の多孔度を50%以下とすることで、当該非水電解質蓄電素子のエネルギー密度をより高めることができる。また、負極の多孔度は、20%以上であることが好ましい。上記負極の「多孔度」とは、体積基準の値であり、負極の細孔体積(mL)及びかさ体積(mL)を測定し、多孔度=細孔体積×100/かさ体積の式により、多孔度(%)を算出する。
第1実施形態の非水電解質蓄電素子の上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係は、5.7≦A×B/10000≦15.2である。上記負極合剤層を有する負極と、上記一軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータとを備える非水電解質蓄電素子の負極合剤層のX線回折における上記ピーク強度比Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係において、A×B/10000が15.2以下であることで、負極の平均厚さ方向の膨張が抑制される。また、セパレータの気孔率が小さくなる傾向があり、セパレータの細孔が塞がれやすくなることによる非水電解質蓄電素子のイオン伝導性及び充放電サイクル後の出力性能の低下を抑制できる。一方、上記A×B/10000が5.7以上であることで、負極の面内方向の膨張が抑制される。また、セパレータの引張強度が大きくなる傾向があり、セパレータが裂けやすくなることによる充放電サイクル後の正極及び負極間の微小短絡が発生を抑制できる。従って、当該非水電解質蓄電素子は、一軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを備える場合、5.7≦A×B/10000≦15.2を満たすことで、充電時における負極の平均厚さ方向及び面内方向の膨張と、セパレータの気孔率及び引張強度との適切なバランスがとられる。その結果、当該非水電解質蓄電素子が、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れると推測される。
充放電サイクル後の出力性能の低下を抑制する等の観点から、上記A×B/10000は、好ましくは15.0以下、より好ましくは14.5以下、さらに好ましくは14.0以下である。例えば、上記A×B/10000は、例えば13.5以下であってもよく、典型的には13.0以下であってもよい。また、充放電サイクル後における微小短絡をより良く抑制する等の観点から、上記A×B/10000は、好ましくは6.0以上、より好ましくは6.2以上、さらに好ましくは6.5以上である。例えば、上記A×B/10000は、例えば7.0以上であってもよく、典型的には8.0以上であってもよい。ここに開示される技術は、例えば上記ピーク強度比(I(002)/I(110))Aと上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係が5.7≦A×B/10000≦15.2(好ましくは5.7≦A×B/10000≦13.5)である態様で好ましく実施され得る。
上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aとしては、多孔質樹脂層の透気度Bとの間でA×B/10000が上記所定の範囲内である限りにおいて特に制限されないが、その下限としては、100が好ましく、200がより好ましい。本態様による効果をより発揮しやすくする観点から、上記ピーク強度比Aは、250以上がさらに好ましく、300以上が特に好ましい。いくつかの態様において、上記ピーク強度比Aは、例えば350以上であってもよく、典型的には450以上であってもよい。一方、上記ピーク強度比Aの上限としては、1200が好ましく、1000がより好ましい。本態様による効果をより発揮しやすくする観点から、上記ピーク強度比Aは、800以下がさらに好ましく、700以下が特に好ましい。いくつかの態様において、上記ピーク強度比Aは、例えば650以下であってもよく、典型的には550以下であってもよい。ここに開示される技術は、例えば上記ピーク強度比Aが250以上800以下(好ましくは300以上700以下)である態様で好ましく実施され得る。上記ピーク強度比Aを上記範囲とすることで、負極が適度な配向性を有するため、負極全体の膨張が抑制される。従って、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
上記ピーク強度比Aは、例えば、負極合剤層に含まれる黒鉛粒子の種類や性状を変えることによって調整することができる。すなわち、黒鉛粒子の種類および性状を適切に選択することによって、上記ピーク強度比Aをここに開示される上記好適な範囲に調整することができる。その他、上記ピーク強度比Aを上記好適な範囲に調整する方法としては、後述する負極の作製工程において、負極合剤層を平均厚さ方向にプレスするときの圧力を変える、負極合剤層の厚さおよび密度を変える、負極合剤層中の黒鉛粒子に磁場を付与して所定方向に配向させる等の方法を採用することができる。上記ピーク強度比Aを制御する方法は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
(黒鉛粒子)
「黒鉛」とは、充放電前または放電状態においてX線回折法から測定される(002)面の平均格子面間隔d(002)が0.340nm未満(典型的には0.330nm以上0.340nm未満)の炭素物質である。ここで、「放電状態」とは、負極活物質として黒鉛粒子を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、上記単極電池における開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する黒鉛粒子を含む負極の電位とほぼ同等である。つまり、上記単極電池における開回路電圧が0.7V以上であることは、負極活物質である黒鉛粒子から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。黒鉛粒子の種類や性状は、負極合剤層の上記ピーク強度比Aが多孔質樹脂層の透気度との間で上記関係を満たす限りにおいて特に制限はない。例えば、黒鉛粒子は、人造黒鉛粒子および天然黒鉛粒子のいずれかであり得る。なかでも、人造黒鉛粒子が好ましい。これら黒鉛粒子表面に非晶質炭素コートを施した粒子であってもよい。かかる黒鉛粒子は、扁平な鱗片形状の黒鉛粒子であってもよいし、この鱗片状黒鉛を球状化した球状化黒鉛粒子であってもよい。好ましい一態様では、黒鉛粒子は、中実の黒鉛粒子である。中実の黒鉛粒子は、負極合剤層の上記ピーク強度比Aを上記好適な範囲に適切に調整し得るという観点から好適である。また、上記黒鉛粒子が中実粒子であることで、黒鉛粒子内の密度が均一であり、電流集中が起こりにくいことから不均一な負極の膨張を抑制できる。そのため、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
〈中実黒鉛粒子〉
中実黒鉛粒子とは、粒子内部が詰まっていて実質的に空隙が存在しない黒鉛粒子を意味する。上述したように、本明細書においては、中実黒鉛粒子とは、走査型電子顕微鏡を用いて取得されるSEM像において観察される粒子の断面において、粒子全体の面積に対して粒子内の空隙が占める面積を除いた面積率が95%以上である黒鉛粒子を意味する。上記面積率は、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上であり得る。面積率は、つぎの通り決定することができる。
(1)測定用試料の準備
測定対象とする黒鉛粒子の粉末を熱硬化性の樹脂で固定する。樹脂で固定された黒鉛粒子について、クロスセクション・ポリッシャを用いることで、断面を露出させ、測定用試料を作製する。
(2)SEM像の取得
SEM像の取得には、走査型電子顕微鏡としてJSM-7001F(日本電子株式会社製)を用いる。SEM像の取得の条件は、二次電子像を観察するものとする。加速電圧は、15kVとする。観察倍率は、一視野に現れる黒鉛粒子が3個以上15個以内となる倍率に設定する。得られたSEM像は、画像ファイルとして保存する。その他、スポット径、ワーキングディスタンス、照射電流、輝度、フォーカス等の諸条件は、黒鉛粒子の輪郭が明瞭になるように適宜設定する。
(3)黒鉛粒子の輪郭の切り抜き
画像編集ソフトAdoBe Photoshop Elements 11の画像切り抜き機能を用いて、取得したSEM像から黒鉛粒子の輪郭を切り抜く。この輪郭の切り抜きは、クイック選択ツールを用いて活物質粒子の輪郭より外側を選択し、黒鉛粒子以外を黒背景へと編集して行う。ついで、輪郭を切り抜くことができた全ての黒鉛粒子の画像について、二値化処理を行う。このとき、輪郭を切り抜くことができた黒鉛粒子が3個未満であった場合は、再度、SEM像を取得し、輪郭を切り抜くことができた黒鉛粒子が3個以上になるまで、黒鉛粒子の輪郭の切り抜きを行う。
(4)二値化処理
切り抜いた黒鉛粒子のうち1つ目の黒鉛粒子の画像について、画像解析ソフトPopImaging 6.00を用い、強度が最大となる濃度から20%分小さい濃度を閾値に設定して二値化処理を行う。二値化処理により、濃度の低い側の面積を算出することで「粒子内の空隙が占める面積を除いた面積S1」とする。
ついで、先ほどと同じ1つ目の黒鉛粒子の画像について、濃度10を閾値として二値化処理を行う。二値化処理により、黒鉛粒子の外縁を決定し、当該外縁の内側の面積を算出することで、「粒子全体の面積S0」とする。
上記算出したS1及びS0を用いて、S0に対するS1を算出する(S1/S0)ことにより、一つ目の黒鉛粒子における「粒子全体の面積に対して粒子内の空隙が占める面積を除いた面積率R1」を算出する。
切り抜いた黒鉛粒子のうち2つ目以降の黒鉛粒子の画像についても、それぞれ、上記の二値化処理を行い、面積S1、面積S0を算出する。この算出した面積S1、S0に基づいて、それぞれの黒鉛粒子の面積率R2、面積率R3、・・・を算出する。
(5)面積率の決定
二値化処理により算出した全ての面積率R1、面積率R2、面積率R3、・・・の平均値を算出することにより、「粒子全体の面積に対して粒子内の空隙が占める面積を除いた黒鉛粒子の面積率」を決定する。
上記中実黒鉛粒子のX線回折法から測定される(002)面の平均格子面間隔d(002)としては、0.338nm未満が好ましい。また、上記中実黒鉛粒子の平均格子面間隔d(002)は、0.335nm以上であることが好ましい。球状中実黒鉛粒子は、真球に近い形のものが好ましいが、楕円形、卵形等であってもよく、表面に凹凸を有していてもよい。中実黒鉛粒子は、複数の中実黒鉛粒子が凝集した粒子を含んでいてもよい。
上記中実黒鉛粒子の真密度としては、2.1g/cm以上が好ましい。このように真密度の高い中実黒鉛粒子を用いることで、当該非水電解質蓄電素子のエネルギー密度をより高めることができる。一方、上記中実黒鉛粒子の真密度の上限としては、例えば2.5g/cmである。真密度は、ヘリウムガスを用いたピクノメータによる気体容積法で測定される。
ここで開示される黒鉛粒子の平均粒子径は特に限定されないが、その下限としては、0.5μmが好ましく、1.0μmがより好ましい。例えば、黒鉛粒子の平均粒子径は、1.5μm以上であってもよく、典型的には2.0μm以上(例えば2.5μm以上)であってもよい。一方、上記黒鉛粒子の平均粒子径の上限としては、10.0μmが好ましく、8.0μmがより好ましい。いくつかの態様において、黒鉛粒子の平均粒子径は、6.0μm以下であってもよく、典型的には4.0μm以下(例えば3.6μm以下)であってもよい。ここに開示される技術は、例えば黒鉛粒子の平均粒子径が1.0μm以上6.0μm以下(好ましくは2.0μm以上3.4μm以下)である態様で好ましく実施され得る。上記平均粒子径を有する黒鉛粒子は、負極合剤層の上記ピーク強度比Aを上記好適な範囲に適切に調整し得るという観点から好適である。また、上記黒鉛粒子の平均粒子径が、上記範囲であることで、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
なお、上記平均粒子径は、メジアン径によって示される値である。「メジアン径」とは、JIS-Z8819-2(2001)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値(D50)を意味する。具体的には以下の方法による測定値とすることができる。測定装置としてレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社の「SALD-2200」)、測定制御ソフトとしてWing SALD-2200を用いる。散乱式の測定モードを採用し、測定試料が分散溶媒中に分散する分散液が循環する湿式セルにレーザー光を照射し、測定試料から散乱光分布を得る。そして、散乱光分布を対数正規分布により近似し、累積度50%にあたる粒子径をメジアン径(D50)とする。
上記黒鉛粒子の平均アスペクト比は特に限定されないが、その下限としては、1.0であり、1.2が好ましい。上記態様の負極合剤層における黒鉛粒子として、平均アスペクト比が1.4以上の黒鉛粒子を好ましく採用することができる。一方、上記黒鉛粒子の平均アスペクト比の上限としては、5.0であり、4.0が好ましい。例えば、平均アスペクト比が3.0以下の黒鉛粒子が好ましく、2.5以下のものがより好ましく、2.0以下(例えば1.8以下)のものが特に好ましい。上記平均アスペクト比を有する黒鉛粒子は、負極合剤層の上記ピーク強度比Aを上記好適な範囲に適切に調整し得るという観点から好適である。また、上記黒鉛粒子の平均アスペクト比が上記範囲であることで、黒鉛粒子が球形に近いために、電流集中が起こりにくいことから不均一な負極の膨張を抑制できる。そのため、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
上述したように、「平均アスペクト比」とは、走査型電子顕微鏡を用いて取得されるSEM像において観察される粒子の断面において、粒子の最長となる長径Tと、長径Tに垂直な方向において最長となる短径Yとの比であるT/Y値を意味する。平均アスペクト比は、つぎの通り決定することができる。
(1)測定用試料の準備
上述した面積率を決定する際に使用した断面を露出させた測定用試料を用いる。
(2)SEM像の取得
SEM像の取得には、走査型電子顕微鏡としてJSM-7001F(日本電子株式会社製)を用いる。SEM像の取得条件は、二次電子像を観察するものとする。加速電圧は、15kVとする。観察倍率は、一視野に現れる黒鉛粒子が100個以上1000個以内となる倍率に設定する。得られたSEM像は、画像ファイルとして保存する。その他、スポット径、ワーキングディスタンス、照射電流、輝度、フォーカス等の諸条件は、黒鉛粒子の輪郭が明瞭になるように適宜設定する。
(3)平均アスペクト比の決定
取得したSEM像から、ランダムに100個の黒鉛粒子を選び、それぞれについて、黒鉛粒子の最長となる長径Tと、長径Tに垂直な方向において最長となる短径Yを測定し、T/Y値を算出する。算出した全てのT/Y値の平均値を算出することにより、黒鉛粒子の平均アスペクト比を決定する。
上記黒鉛粒子の最長となる長径Tの平均値(平均長径)としては特に限定されないが、概ね1.0μm以上である。上記黒鉛粒子の平均長径は、好ましくは1.2μm以上、より好ましくは1.5μm以上、さらに好ましくは1.8μm以上である。いくつかの態様において、上記平均長径は、例えば2.0μm以上であってもよく、典型的には2.5μm以上(例えば3.0μm以上)であってもよい。また、上記黒鉛粒子の平均長径は、概ね15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは8.0μm以下(例えば6.0μm以下)である。ここに開示される技術は、例えば、上記黒鉛粒子の平均長径が2.5μm以上8.0μm以下である態様で好ましく実施され得る。
上記黒鉛粒子の長径Tに垂直な方向において最長となる短径Yの平均値(平均短径)としては特に限定されないが、概ね0.2μm以上である。上記黒鉛粒子の平均短径は、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上である。また、上記黒鉛粒子の平均短径は、概ね10μm以下、好ましくは8μm以下、より好ましくは6.0μm以下(例えば4.0μm以下)である。いくつかの態様において、上記平均短径は、例えば3.0μm以下であってもよく、典型的には2.5μm以下(例えば2.0μm以下)であってもよい。ここに開示される技術は、例えば、上記黒鉛粒子の平均短径が0.5μm以上2.5μm未満である態様で好ましく実施され得る。
(他の負極活物質)
負極合剤層は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記黒鉛粒子以外の他の負極活物質を含有していてもよい。そのような他の負極活物質の例としては、難黒鉛化性炭素粒子、易黒鉛化性炭素粒子等の炭素材料;金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素等が挙げられる。
ここに開示される技術は、負極合剤層に含まれる負極活物質の全質量のうち上記黒鉛粒子の割合が50質量%よりも大きい態様で好ましく実施され得る。上記負極活物質の総質量に対する上記黒鉛粒子の含有量の下限としては、60質量%が好ましく、70質量%がより好ましい。例えば、負極活物質の総質量に対する上記黒鉛粒子の含有量は、例えば80質量%以上、典型的には90質量%以上であり得る。黒鉛粒子の含有量を上記下限以上とすることで、充放電効率をより高めることができる。一方、上記負極活物質の総質量に対する上記黒鉛粒子の含有量の上限としては、例えば100質量%であってもよい。
負極合剤層中の負極活物質の含有量は特に限定されないが、その下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。
(その他の任意成分)
上記黒鉛粒子も導電性を有するが、負極合剤層は導電剤を含んでもよい。導電剤としては、金属、導電性セラミックス、アセチレンブラック等の黒鉛、難黒鉛化性炭素及び易黒鉛化性炭素粒子等の炭素材料以外の炭素材料等が挙げられる。負極合剤層において導電剤を使用する場合、負極合剤層全体に占める導電剤の割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、負極合剤層が上記導電剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
上記バインダーとしては、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等のエラストマー以外の熱可塑性樹脂;多糖類高分子等が挙げられる。負極合剤層においてバインダーを使用する場合、負極合剤層全体に占めるバインダーの割合は、およそ0.50質量%~15質量%とすることができ、通常はおよそ1.0質量%~10質量%(例えば1.5質量%~5.0質量%)とすることが好ましい。
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。負極合剤層において増粘剤を使用する場合、負極合剤層全体に占める増粘剤の割合は、およそ0.10質量%~10質量%とすることができ、通常はおよそ0.20質量%~5.0質量%(例えば0.30質量%~1.0質量%)とすることが好ましい。
上記フィラーとしては、特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。負極合剤層においてフィラーを使用する場合、負極合剤層全体に占めるフィラーの割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、負極合剤層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
(中間層)
上記中間層は、負極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで負極基材と負極合剤層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。ここで開示される技術は、上記中間層を有さない態様で好ましく実施され得る。
[正極]
正極は、正極基材と、正極合剤層とを有する。上記正極合剤層は、正極活物質を含有する。上記正極合剤層は、上記正極基材の少なくとも一方の面に沿って直接又は中間層を介して積層される。
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H4000(2014)に規定されるA1085、A3003等が例示できる。
正極合剤層は、正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成される。また、正極合剤層を形成する正極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記正極活物質としては、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi1-x]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物として、LiMn4、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4、LiCoPO4、Li(PO3、LiMnSiO4、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極合剤層においては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。正極合剤層中の正極活物質の含有量は特に限定されないが、その下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量%がより好ましい。
上記導電剤としては、導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛化炭素、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電材の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。導電剤を使用する場合、正極合剤層全体に占める導電剤の割合は、およそ1.0質量%~20質量%とすることができ、通常はおよそ2.0質量%~15質量%(例えば3.0質量%~6.0質量%)とすることが好ましい。
上記バインダーとしては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。バインダーを使用する場合、正極合剤層全体に占めるバインダーの割合は、およそ0.50質量%~15質量%とすることができ、通常はおよそ1.0質量%~10質量%(例えば1.5質量%~3.0質量%)とすることが好ましい。
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。増粘剤を使用する場合、正極合剤層全体に占める増粘剤の割合は、およそ8質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極合剤層が上記増粘剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
上記フィラーとしては、特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。フィラーを使用する場合、正極合剤層全体に占めるフィラーの割合は、およそ8.0質量%以下とすることができ、通常はおよそ5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極合剤層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極合剤層との接触抵抗を低減する。負極と同様、中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。ここで開示される技術は、上記中間層を有さない態様で好ましく実施され得る。
[非水電解質]
上記非水電解質としては、一般的な非水電解質二次電池(非水電解質蓄電素子)に通常用いられる公知の非水電解質が使用できる。上記非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩を含む。なお、上記非水電解質は、固体電解質等であってもよい。
上記非水溶媒としては、一般的な非水電解質蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、特に限定されないが、例えば5:95から50:50とすることが好ましい。
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもECが好ましい。
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもEMCが好ましい。
上記電解質塩としては、一般的な非水電解質蓄電素子用非水電解質の電解質塩として通常用いられる公知の電解質塩を用いることができる。上記電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。
上記リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等の水素がフッ素で置換された炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
上記非水電解質における上記電解質塩の含有量の下限としては、0.1mol/Lが好ましく、0.3mol/Lがより好ましく、0.5mol/Lがさらに好ましく、0.7mol/Lが特に好ましい。一方、この上限としては、特に限定されないが、2.5mol/Lが好ましく、2.0mol/Lがより好ましく、1.5mol/Lがさらに好ましい。
上記非水電解質には、その他の添加剤が添加されていてもよい。また、上記非水電解質として、常温溶融塩、イオン液体などを用いることもできる。
第1実施形態に係る非水電解質蓄電素子によれば、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、上記負極合剤層に沿って積層され、二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータとを備える。当該第2実施形態に係る非水電解質蓄電素子も、第1実施形態に係る非水電解質蓄電素子と同様、正極、負極、セパレータ及び非水電解質を有する。当該第2実施形態に係る非水電解質蓄電素子においては、上記第1実施形態に係る非水電解質蓄電素子と同様の構成については説明を省略する。
第2実施形態の非水電解質蓄電素子の上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係は、3.6≦A×C/10000≦9.1である。上記負極合剤層を有する負極と、上記二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータとを備える非水電解質蓄電素子の負極合剤層のX線回折における上記ピーク強度比Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係において、A×C/10000が9.1以下であることで、負極の平均厚さ方向の膨張が抑制される。また、セパレータの気孔率が小さくなる傾向があり、セパレータの細孔が塞がれやすくなることによる非水電解質蓄電素子のイオン伝導性及び充放電サイクル後の出力性能の低下を抑制できる。一方、上記A×C/10000が3.6以上であることで、負極の面内方向の膨張が抑制される。また、セパレータの引張強度が大きくなる傾向があり、セパレータが裂けやすくなることによる充放電サイクル後の正極及び負極間の微小短絡の発生を抑制できる。従って、当該非水電解質蓄電素子は、二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを備える場合、3.6≦A×C/10000≦9.1を満たすことで、充電時における負極の平均厚さ方向及び面内方向の膨張と、セパレータの気孔率及び引張強度との適切なバランスがとられる。その結果、当該非水電解質蓄電素子が、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れると推測される。
充放電サイクル後の出力性能の低下を抑制する等の観点から、上記A×C/10000は、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.5以下、さらに好ましくは8.0以下である。例えば、上記A×B/10000は、例えば7.5以下であってもよく、典型的には7.0以下であってもよい。また、充放電サイクル後における正極及び負極間の微小短絡を抑制する等の観点から、上記A×C/10000は、好ましくは3.8以上、より好ましくは4.0以上、さらに好ましくは4.5以上である。例えば、上記A×C/10000は、例えば5.0以上であってもよく、典型的には5.5以上であってもよい。ここに開示される技術は、例えば上記ピーク強度比(I(002)/I(110))Aと上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係が3.6≦A×C/10000≦9.1(好ましくは4.0≦A×C/10000≦8.5)である態様で好ましく実施され得る。
第2実施形態に係る非水電解質蓄電素子のセパレータは、二軸延伸された多孔質樹脂層を有する。上述したように、「二軸延伸」とは、熱可塑性フィルムをガラス転移温度以上で引き延ばし分子を配向させるプロセスにおいて、直交する二方向(例えば、長手方向および幅方向)に延伸することをいう。上記二軸延伸としては、例えばポリマーと可塑剤を加熱混合後にフィルム状に押出成形及び延伸を行い、最後に溶剤で可塑剤を抽出し多孔構造を形成する湿式二軸延伸法が挙げられる。また、二軸延伸として乾式一軸延伸法を用いてもよい。好ましい一態様では、二軸延伸された多孔質樹脂層は、温度120℃で1時間乾燥した際におけるフィルムの搬送方向(MD)の熱収縮率が4%以下(例えば1%以上3%以下)であり、かつ、フィルムの搬送方向に直交する幅方向(TD)の熱収縮率が4%以下(例えば1%以上3%以下)であり得る。
上記多孔質樹脂層の平均厚さは特に限定されないが、その下限としては、2μmが好ましく、4μmがより好ましく、6μmがより好ましい。いくつかの態様において、上記多孔質樹脂層の平均厚さは、例えば7μm以上であってもよく、典型的には9m以上であってもよい。一方、上記多孔質樹脂層の平均厚さの上限としては、30μmが好ましく、25μmがより好ましい。いくつかの態様において、上記多孔質樹脂層の平均厚さは、例えば20μm以下であってもよく、典型的には15μm以下(例えば12μm以下)であってもよい。上記多孔質樹脂層の平均厚さを上記下限以上とすることで、十分な絶縁性を有することができる。上記多孔質樹脂層の平均厚さを上記上限未満とすることで、当該非水電解質蓄電素子の良好なエネルギー密度を維持することができる。
上記二軸延伸された多孔質樹脂層の透気度Cとしては、上記ピーク強度比Aとの間でA×C/10000が所定の範囲内である限りにおいて特に制限されないが、その下限としては、10秒/100mLが好ましく、30秒/100mLがより好ましい。本態様による効果をより発揮しやすくする観点から、上記多孔質樹脂層の透気度Cは、60秒/100mL以上がさらに好ましく、80秒/100mL以上が特に好ましい。いくつかの態様において、上記透気度Cは、例えば90秒/100mL以上であってもよく、典型的には100秒/100mL以上(例えば110秒/100mL以上)であってもよい。一方、上記透気度の上限としては、300秒/100mLが好ましく、200秒/100mLがより好ましい。本態様による効果をより発揮しやすくする観点から、上記多孔質樹脂層の透気度Cは、180秒/100mL以下がさらに好ましく、150秒/100mL以下が特に好ましい。いくつかの態様において、上記透気度Cは、例えば130秒/100mL以下であってもよく、典型的には120秒/100mL以下であってもよい。ここに開示される技術は、例えば上記多孔質樹脂層の透気度Cが60秒/100mL以上180mL以下(好ましくは90秒/100mL以上130mL以下)である態様で好ましく実施され得る。上記透気度Cを上記範囲とすることで、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより効果的に高めることができる。
上記多孔質樹脂層の気孔率は特に限定されないが、その下限としては、20%が好ましく、30%がより好ましい。いくつかの態様において、上記多孔質樹脂層の気孔率は、例えば35%以上であってもよく、典型的には40%以上であってもよい。一方、上記気孔率の上限としては、80%が好ましく、70%がより好ましい。いくつかの態様において、上記多孔質樹脂層の気孔率は、例えば65%以下であってもよく、典型的には60%以下(例えば55%以下)であってもよい。上記気孔率を上記範囲とすることで、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
第2実施形態に係る非水電解質蓄電素子によれば、二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを用いる場合においても、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れる。
[非水電解質蓄電素子の具体的構成]
次に、本発明の実施形態の非水電解質蓄電素子の具体的構成例について説明する。図2に、本発明の非水電解質蓄電素子の一例である矩形状の非水電解質二次電池10の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図2に示す非水電解質二次電池10は、電極体12が電池容器13(ケース)に収納されている。電極体12は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード14’を介して正極端子14と電気的に接続され、負極は、負極リード15’を介して負極端子15と電気的に接続されている。上記負極として、本発明の一実施形態に係る負極が用いられている。また、電池容器13内には図示しない注入孔から非水電解質(電解液)が注入される。
[非水電解質蓄電素子の製造方法]
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極を作製すること、及び一軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを上記負極合剤層に沿って積層することを備える。上記一軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを用いる場合、上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係は、5.7≦A×B/10000≦15.2である。上記非水電解質蓄電素子の製造方法は、正極活物質を含有する正極合剤層を有する正極を作製すること、及び上記セパレータの上記負極合剤層とは反対の面側に、上記正極合剤層を積層することをさらに備えることが好ましい。
また、本発明の別の実施形態に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極を作製すること、及び二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを上記負極合剤層に沿って積層することを備える。上記二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを用いる場合は、上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係は、3.6≦A×C/10000≦9.1である。
上記負極を作製する工程では、例えば負極基材への負極合剤の塗工により、黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を負極基材の少なくとも一方の面に沿って積層する。具体的には、例えば負極基材に負極合剤を塗工して乾燥することにより負極合剤層を積層する。上記乾燥後は、負極合剤層と負極基材との密着性等を高めるために、負極合剤層の平均厚さ方向にプレスを行ってもよい。好ましい一態様では、負極及び正極を積層することの前に、上記負極合剤層をプレスすることを有さない。すなわち、負極合剤層は、未プレスの状態で負極基材上に配置される。ここでいう「未プレス」とは、製造時において、ロールプレス機等のワークに圧力を加えることを用途とする装置により負極合剤層に対して10kgf/mm以上の圧力(線圧)を加える工程が行われていないことを意味する。つまり、負極を巻き取る等の他の工程において、負極合剤層に若干の圧力が加わったものも、「未プレス」に含まれる。また、「未プレス」は、10kgf/mm未満の圧力(線圧)を加える工程が行われていることを含む。このように、負極合剤層を未プレスの状態で負極基材上に配置することにより、上記負極合剤層のピーク強度比Aを前述した好適な範囲に適切に調整することができる。また、未プレスの状態で配置された負極合剤層は、負極合剤層に加えられた圧力が無い又は小さいため、黒鉛粒子自体に残留応力が少なく、残留応力が解放されることに起因する不均一な負極の膨張を抑制できる。そのため、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果をより高めることができる。
なお、負極合剤層が「未プレス」であることは、上記負極合剤層が配置されている領域における上記負極基材の表面粗さR1に対する上記負極合剤層が配置されていない領域(いわゆる負極基材の露出領域)における上記負極基材の表面粗さR2の比であるR2/R1から把握することができる。すなわち、負極基材は、圧力がかかるほど、負極合剤層が形成されている領域の表面粗さR1が大きくなるため、上記R2/R1が小さくなる。換言すると、負極合剤層に圧力がかかっていない状態の場合、上記負極合剤層が配置されている領域と上記負極合剤層が配置されていない領域とで、負極基材の表面粗さがほとんど同じ値になる。つまり、R2/R1が1に近づくことになる。未プレスの状態で負極合剤層が負極基材上に配置された負極は、上記R2/R1が例えば0.90以上(典型的には0.95以上)であり得る。
上記負極合剤は、上述の任意成分以外に、さらに分散媒を含んだ状態である負極合剤ペーストであってもよい。この分散媒としては、例えば、水、水を主体とする混合溶媒等の水系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、トルエン等の有機系溶媒を用いることができる。
次に、上記セパレータを積層する工程では、一軸延伸又は二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを上記負極合剤層に沿って積層する。
上記正極を作製する工程では、例えば正極基材への正極合剤の塗工により、正極活物質を含有する正極合剤層を正極基材の少なくとも一方の面に沿って積層することができる。具体的には、例えば正極基材に正極合剤を塗工して乾燥することにより正極合剤層を積層する。上記乾燥後は、正極合剤層と正極基材との密着性等を高めるために、正極合剤層の平均厚さ方向にプレスを行ってもよい。また、上記正極合剤は、上述の任意成分以外に、さらに分散媒を含んだ状態である正極合剤ペーストであってもよい。分散媒は、負極合剤で例示したものから任意に選択できる。
また、上記工程以外に、例えば上記負極、上記セパレータ及び上記正極が積層された電極体をケースに収容する工程及び上記ケースに上記非水電解質を注入する工程を備える。上記注入は、公知の方法により行うことができる。注入後、注入口を封止することにより非水電解質蓄電素子を得ることができる。当該製造方法によって得られる非水電解質蓄電素子を構成する各要素についての詳細は上述したとおりである。
[その他の実施形態]
本発明の非水電解質蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施の形態においては、非水電解質蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。非水電解質二次電池としては、リチウムイオン非水電解質二次電池が挙げられる。
本発明は、上記の非水電解質蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。また、本発明の非水電解質蓄電素子を単数又は複数個用いることにより蓄電ユニットを構成することができ、さらにこの蓄電ユニットを用いて蓄電装置を構成することができる。この場合、蓄電ユニット又は蓄電装置に含まれている少なくとも一つの非水電解質蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図3に、電気的に接続された二以上の非水電解質蓄電素子10が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質二次電池10を備えている。上記蓄電装置は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として用いることができる。さらに、上記蓄電装置30は、エンジン始動用電源装置、補機用電源装置、無停電電源装置(UPS)等の種々の電源装置に用いることができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1~実施例10及び比較例1~比較例5の負極の作製]
負極活物質としての人造中実黒鉛粒子(平均粒子径3.2μm、平均アスペクト比1.6)と、バインダーとしてのSBRと、増粘剤としてのCMCとを含有し、水を分散媒とする負極合剤ペーストを調製した。負極活物質、バインダー、増粘剤の比率は、質量比で、97:2:1とした。負極合剤ペーストを平均厚さ10μmの銅箔基材の両面に塗工し、乾燥して、負極合剤層を形成し、実施例1~実施例10及び比較例1~比較例5の負極を得た。負極活物質の物性値及びプレス工程の有無を表1に示す。乾燥後の片面の単位面積当たりの負極合剤(負極合剤ペーストから分散媒を蒸発させたもの)の塗布量は、1.0g/100cmとなるようにした。また、実施例6、比較例2及び比較例4は、5kgf/mmの圧力(線圧)となるように、それぞれロールプレス機を用いて上記負極合剤ペーストの乾燥後にプレスを行った。
(黒鉛粒子の平均粒子径)
平均粒子径として、上記した方法にてJIS-Z8819-2(2001)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となるメジアン径(D50)を求めた。
(黒鉛粒子の平均アスペクト比の決定)
上記した方法にて黒鉛粒子の最長となる長径Tと、長径Tに垂直な方向において最長となる短径Yを測定し、黒鉛粒子の平均アスペクト比を決定した。
[実施例1~実施例10及び比較例1~比較例5のセパレータの準備]
セパレータとして、ポリエチレン製微多孔膜を用意した。この微多孔膜は乾式一軸延伸法で製造されたものである。かかる一軸延伸微多孔膜は、温度120℃で1時間乾燥した際におけるフィルムの搬送方向(MD)の熱収縮率が4%であり、かつ、フィルムの搬送方向に直交する幅方向(TD)の熱収縮率が0%である。表1に、セパレータの透気度B、平均厚さ及び気孔率を示す。
[実施例11~実施例19及び比較例6~比較例11の負極の作製]
負極の構成を表2のようにした以外は、実施例1と同様にして、実施例11~実施例19及び比較例6~比較例11の負極を得た。実施例11~実施例19及び比較例6~比較例11のいずれにおいても、負極活物質として、実施例1で使用したものと同様の黒鉛(平均粒径3.2μm、平均アスペクト比1.6)を使用した。
[実施例11~実施例19及び比較例6~比較例11のセパレータの準備]
セパレータとして、ポリエチレン製微多孔膜を用意した。この微多孔膜は湿式二軸延伸法で製造されたものである。かかる二軸延伸微多孔膜は、温度120℃で1時間乾燥した際におけるフィルムの搬送方向(MD)の熱収縮率が3%であり、かつ、フィルムの搬送方向に直交する幅方向(TD)の熱収縮率が3%である。表2に、セパレータの透気度C、平均厚さ及び気孔率を示す。
[実施例1~実施例19及び比較例1~比較例11の非水電解質蓄電素子の作製]
EC、EMC及びDMCを体積比率として30:35:35で混合した非水溶媒にLiPFを1.2mol/Lとなるように溶かした非水電解質を調製した。
正極は、以下のように作製した。正極活物質としてのLi1.1Ni3/5Mn1/5Co1/5と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)と、導電剤としてのアセチレンブラックとを含有し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を分散媒とする正極合剤ペーストを調製した。正極活物質、バインダー、導電剤の比率は、質量比で、95:4:1とした。正極合剤ペーストを平均厚さ15μmのアルミニウム箔基材の両面に塗工し、乾燥し、プレスして、正極合剤層を形成した。乾燥後の片面の単位面積当たりの正極合剤(正極合剤ペーストから分散媒を蒸発させたもの)の塗布量は、1.7g/100cmとなるようにした。
上記負極と、上記正極と、上記ポリエチレン製セパレータとを積層した状態で巻回することで、電極体を作製した。上記電極体を金属製のケースに収納し、内部に上記非水電解質を注入した後、封口し、試験用セルである実施例1~実施例19及び比較例1~比較例11の非水電解質蓄電素子を得た。このようにして作製された各電池に対して所定の初期充放電処理を行った。
(負極合剤層のピーク強度比(I(002)/I(110))
上記初期充放電処理後の各電池について、25℃の恒温槽中で、充電状態(SOC:State of Charge)が0%(放電末期状態)となる電圧まで1CAで定電流放電した。放電後の電池を露点-20℃以下の雰囲気中において解体して負極を取り出した後、正極と対向していない部分を切り出した。DMCに浸漬して負極に付着したリチウム塩を洗浄した後、DMCを乾燥させた。
こうして得られた負極の負極合剤層に対してエックス線回折(XRD)測定を実施した。測定には、エックス線回折装置(株式会社リガク製、RINT PTR3)を用い、以下の条件を採用した。
光源 : Cu-Kα
出力電圧 : 50kV
出力電流 : 300mA
スキャンスピード : 1°/sec
ステップ幅 : 0.03°
スキャン範囲 : 10~100°
スリット幅(受光側) : 0.3mm
測定により得られたデータを装置の付属ソフトであるPDXL1.8.1を用いて解析し、負極合剤層の(002)面に帰属される回折ピークと(100)面に帰属される回折ピークとのピーク強度比(I(002)/I(110))を求めた。
なお、エックス線回折データの解析に際して、バックグラウンド除去を行った。Kα2に由来するピーク除去は行わなかった。また、回折ピークの強度とは回折ピークの積分強度を意味する。
(負極合剤層の平均厚さの測定)
測定用試料として非水電解質蓄電素子作製前の負極の2cm×1cmの面積の試料を10枚作製し、ミツトヨ社製の高精度デジマチックマイクロメータを用いて、それぞれ、負極の平均厚さを測定した。1枚の負極に対して、5箇所の厚さを測定し、その平均値から負極基材の平均厚さ8μmを差し引くことで、1枚の負極の負極合剤層の平均厚さとした。10枚の負極の負極合剤層の平均厚さの平均値を算出することで、負極合剤層の平均厚さとした。
[評価]
(充放電サイクル後の出力性能)
(1)充放電サイクル試験
上記初期充放電処理後の実施例及び比較例の非水電解質蓄電素子について、45℃の恒温槽内に5時間保管した後、それぞれSOC(State of Charge)100%となる電圧まで0.5CAで定電流充電したのち、定電圧充電した。充電の終了条件は、電流値が0.01CAを下回るまでとした。次に、充電後に10分間の休止を設けた。その後、SOC0%となる電圧まで放電電流1CAで定電流放電を行った後、10分間の休止を設けた。これら充電及び放電の工程を1サイクルとして、このサイクルを500サイクル繰り返した。充電、放電及び休止ともに、45℃の恒温槽内で行った。
(2)25℃における出力性能試験
上記充放電サイクル後の各非水電解質蓄電素子について、25℃の恒温槽中で、SOC100%となる電圧まで0.5CAで定電流充電したのち、定電圧充電した。充電の終了条件は、電流値が0.01CAを下回るまでとした。次に、1CAで定電流放電してSOCを50%に調整し、その後、下限電圧を2.75VとしてIV法により通電1秒目の出力を測定した。実施例1の出力の測定値に対する各非水電解質蓄電素子の出力の測定値の割合(%)を算出し、出力性能とした。
(充放電サイクル後の微小短絡発生率)
上記充放電サイクル後の各非水電解質蓄電素子を、SOC20%まで充電し、25℃にて14日間保存した場合に、非水電解質蓄電素子の保存前の電圧と保存後の電池電圧との差(電池電圧低下)が0.01V以上であった電池の割合(%)を微小短絡発生率とした。なお、本実施例では、3.55Vの定電圧充電を5時間実施した後、170時間経過後から220時間経過後までに電圧測定し、25℃にて14日間保存した後に再度電圧測定を行い、その差異を電池電圧低下とした。そして、1水準あたり20セルの試験を行い、当該割合を計算して微小短絡発生率とした。
一軸延伸された多孔質樹脂層のセパレータを備える実施例1~実施例10及び比較例1~比較例5の非水電解質蓄電素子の評価結果を表1に示す。二軸延伸された多孔質樹脂層のセパレータを備える実施例11~実施例19及び比較例6~比較例11の非水電解質蓄電素子の評価結果を表2に示す。また、図4は、実施例1~実施例10及び比較例1~比較例5の負極合剤層のピーク強度比A×多孔質樹脂層の透気度B/10000と出力性能との関係を示し、図6は、実施例11~実施例19及び比較例6~比較例11の負極合剤層のピーク強度比A×多孔質樹脂層の透気度C/10000と出力性能との関係を示す。図5は、実施例1~実施例10及び比較例1~比較例5の負極合剤層のピーク強度比A×多孔質樹脂層の透気度B/10000と微小短絡発生率との関係を示し、図7は、実施例11~実施例19及び比較例6~比較例11の負極合剤層のピーク強度比A×多孔質樹脂層の透気度C/10000と微小短絡発生率との関係を示す。
Figure 0007338234000001
Figure 0007338234000002
表1、図4及び図5に示されるように、一軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを備え、負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係が、5.7≦A×B/10000≦15.2である実施例1~実施例10は、充放電サイクル後の出力性能及び微小短絡に対する抑制効果がいずれも優れていた。また、実施例6から、負極をプレスした場合においても優れることがわかる。
一方、負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係が、5.7未満又は15.2を超える比較例1~比較例5は、負極のプレスの有無に係わらず、実施例1~実施例10と比較して充放電サイクル後の出力性能、微小短絡に対する抑制効果のいずれかが劣っていた。
また、表2、図6及び図7に示されるように、二軸延伸された多孔質樹脂層を有するセパレータを備え、負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係が、3.6≦A×C/10000≦9.1である実施例11~実施例19は、充放電サイクル後の出力性能及び微小短絡に対する抑制効果がいずれも優れていた。
一方、負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係が、3.6未満又は9.1を超える比較例6~比較例11は、負極のプレスの有無に係わらず、実施例11~実施例19と比較して充放電サイクル後の出力性能、微小短絡に対する抑制効果のいずれかが劣っていた。
以上のように、当該非水電解質蓄電素子は、充放電サイクル後の出力性能並びに正極及び負極間の微小短絡に対する抑制効果に優れることが示された。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される非水電解質二次電池をはじめとした非水電解質蓄電素子として好適に用いられる。
1 負極
2 負極基材
3 負極合剤層
4 セパレータ
10 非水電解質二次電池
12 電極体
13 電池容器
14 正極端子
14’ 正極リード
15 負極端子
15’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (6)

  1. 黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、
    一軸延伸された多孔質樹脂層を有し、上記負極合剤層に沿って積層されるセパレータと
    を備え、
    上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度B(秒/100mL)との関係が、5.7≦A×B/10000≦15.2であり、
    上記ピーク強度比Aが300以上1200以下(但し、I(110)/I(002)が0.0018である場合を除く。)である非水電解質蓄電素子。
  2. 黒鉛粒子を含む負極活物質を含有する負極合剤層を有する負極と、
    二軸延伸された多孔質樹脂層を有し、上記負極合剤層に沿って積層されるセパレータと
    を備え、
    上記負極合剤層のX線回折における(110)面に対する(002)面のピーク強度比(I(002)/I(110))Aと、上記多孔質樹脂層の透気度C(秒/100mL)との関係が、3.6≦A×C/10000≦9.1である非水電解質蓄電素子。
  3. 上記ピーク強度比Aが300以上700以下である請求項1又は請求項2の非水電解質蓄電素子。
  4. 上記黒鉛粒子が中実粒子である請求項1から請求項3のいずれか1項の非水電解質蓄電素子。
  5. 上記黒鉛粒子の平均粒子径が、2.0μm以上6.0μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項の非水電解質蓄電素子。
  6. 上記黒鉛粒子の平均アスペクト比が、1.0以上5.0以下である請求項1から請求項5のいずれか1項の非水電解質蓄電素子。
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