JP7337744B2 - 車体構造 - Google Patents
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Description
たとえば、特許文献1では、センターピラー自体が車室内側へ移動することで、中間変形許容部を潰し、車体の側方から入力される衝突荷重を吸収する構造が提案されている。
また、特許文献2では、車体の側方から衝突荷重が入力された際に、センターピラーの車室内側への移動に伴うピラートリムの車室側への移動を抑制する構造が提案されている。
このため、車室内の乗員を保護する目的を充分に満足する構造とは言えない。
また、特許文献2の構造は、ピラートリムとセンターピラーとの係合を解除するための構造であり、側突荷重の吸収や反力を発生させる構造ではない。
このため、過大な荷重が入力された際にピラー本体の車室内侵入を抑制することはできない、という問題を抱えている。
本実施形態の車体構造S1は、車体の側方から衝突(側面衝突)された場合に、車室内の乗員を保護するための構造として、サイドシルB4とセンターピラーB5との結合部分に設定されている(図1参照)。
また、本実施形態の車体構造S1は、骨格凹部10と、骨格凹部10に配置される圧潰機構20とで構成されている。
そこで、骨格凹部10、圧潰機構20の順に説明する。
サイドシルB4は、車体BDの骨格となる骨格部材B1を構成しており、筒形状に形成されつつ、筒内には所定の間隔を空けてバルクヘッドB4aが配置されている。
バルクヘッドB4aは、前後方向に面しつつ、水平面に対して直交する板状部材で構成され、サイドシルB4を補強する補強部材である。
また、サイドシルB4は、車体床部分の側縁部に、車両前後方向に沿って延在し、車体側面開口部の下縁部分を構成している。
また、サイドシルB4は、骨格部材B1の中でも比較的高剛性に設定されている。
センターピラーB5は、車体BDの骨格となる骨格部材B1を構成している。
センターピラーB5は、車両上下方向に延在し、サイドシルB4とサイドルーフレールB8とを連結し、車体側面開口部を前席側開口部B2と後席側開口部B3とに仕切っている。
つまり、センターピラーB5は、サイドシルB4から上方へ立設している。
なお、サイドルーフレールB8は、車体側面開口部の上縁部分、つまり車体天井部分の側縁部を構成する骨格部材B1である。
インナーピラーB6は、サイドシルB4とサイドルーフレールB8とを連結している。
アウターピラーB7は、インナーピラーB6の車幅方向外側に面した外側面上に配置されている。
そして、アウターピラーB7は、外部から設定値以上の荷重が入力された際に、圧潰することで衝撃吸収可能に剛性が設定されている。
つまり、インナーピラーB6は、センターピラーB5の骨格部分を構成し、アウターピラーB7は、センターピラーB5の衝撃吸収部分を構成している。
アウター部材B9は、センターピラーB5の外側面(インナーピラーB6の上部、アウターピラーB7、骨格凹部10、圧潰機構20)を覆う外装材として設置されている(図1参照)。
このため、アウター部材B9は、板状部材で構成され、センターピラーB5の車幅方向外側に面した外側面(車外側側面)に配置されている。
骨格凹部10は、前述のサイドシルB4とセンターピラーB5との結合部分に形成されている。
つまり、骨格凹部10には、車両内外方向に沿って立設する下立壁14(立壁)と、下立壁14の車内側縁部に連結する奥壁12とで、断面略L字形状の凹形状が形成されている。
さらにこの構成を言い換えると、骨格凹部10は、車両内外方向に沿って立設しつつ、対向配置された一対の対向壁11と、両対向壁11の縁部を繋ぐ奥壁12とによって構成され、断面略コ字形状に形成されている。
また、骨格凹部10は、断面略コ字形状が車体外側に向かって開口するように配置されている。
上立壁13は、壁面が車両内外方向に沿いつつ、水平面に倣って立設されている。
奥壁12は、インナーピラーB6の外側面によって形成されている。
一対の対向壁11の他方を構成する下立壁14(立壁)は、サイドシルB4の上面によって形成されている。
そして、アウターピラーB7は、外部から設定値以上の荷重が入力された際に、圧潰することで衝撃吸収可能に剛性が設定されている。
そして、下立壁14が形成されるサイドシルB4の部位の筒内には、バルクヘッドB4aが配置されている(図1、図2参照)。
つまり、上立壁13と、奥壁12とは、センターピラーB5に形成され、下立壁14(立壁)は、サイドシルB4に形成されている。
また、上立壁13と下立壁14とは、水平面に沿って、平行に対向配置されている。
圧潰機構20は、インパクター21、スライダー31、圧潰部材41を備えている。
また、圧潰機構20は、インパクター21とスライダー31との間に、変向手段50を備えている。
インパクター21は、アウター部材B9の内面に固定されている。そして、アウター部材B9に対して車外側から車内側へ荷重が入力された際に、インパクター21は、アウター部材B9の車内側への変形とともに、車内側へ変位する。
この構成を言い換えると、インパクター21は、車幅方向(車両内外方向)に沿って、外側から内側に向かって、変位可能に配置されている。
また、インパクター21は、圧潰部材41よりも高剛性に設定されている。
そして、インパクター21は、インパクター摺動面22とインパクター傾斜面23とで、奥壁12側に向かって先細のくさび形状に形成されている。
インパクター摺動面22は、骨格凹部10の開口部側から奥壁12に向かう方向に沿って形成された面である。
つまり、インパクター摺動面22は、水平面、および下立壁14の壁面と平行な平坦面で構成されている。
インパクター傾斜面23は、インパクター摺動面22(上立壁の壁面)と奥壁12の壁面(奥壁壁面12a)の2つの面と斜めに交差しつつ、これら2つの面が交差する交線と平行な平坦面で形成されている。
スライダー31は、奥壁12の壁面(奥壁壁面12a)上を上方から下方に向かって移動可能に、且つ車両前後方向には変位不能に、配置されている。
つまり、スライダー31は、奥壁12上を、上立壁13から下立壁14(立壁)に向かって変位可能に配置されている。
そして、スライダー31は、スライダー摺動面32とスライダー傾斜面33とで、上立壁13側に向かって先細のくさび形状に形成されている。
スライダー摺動面32は、奥壁12に対向しつつ、上立壁13側から下立壁14側に向かう方向と平行に面して形成されている。
スライダー傾斜面33は、スライダー摺動面32(奥壁壁面12a)と上立壁壁面13aの2つの面と斜めに交差しつつ、これら2つの面が交差する交線と平行な平坦面で形成されている。
つまり、スライダー傾斜面33は、外部から荷重が入力される方向と、力の働く向きを変えられた後の荷重の方向と、の2方向に対して斜めに交差する平面で構成されている。
スライダー傾斜面33とインパクター傾斜面23とは、圧潰機構20が骨格凹部10内に配置された状態で、奥壁壁面12aとのなす角度(傾斜角度)が、同一の角度になるように設定されている。
したがって、スライダー傾斜面33とインパクター傾斜面23とは、隙間なく摺接する。
このように構成することによって、変向手段50は、車体に入力された荷重の一部を奥壁壁面12aに沿った方向の力に向きを変える作用を行う。
つまり、圧潰部材41は、スライダー31が移動する先の立壁に設定された下立壁14(立壁)上に配置されている。
そして、圧潰部材41は、スライダー31が上立壁側から下立壁側へ移動する際に、スライダー31によって圧潰される。
また、圧潰部材41は、その剛性が、アウターピラーB7よりも低く設定されている。
さらに、圧潰部材41の剛性は、所定の設定値を超える荷重が入力された場合に潰れるように設定されている。
これによって、圧潰部材41が圧潰する際に、求められる潰れ方を実現している。
なお、想定される衝突状況に応じて、求められる圧潰部材41の潰れ方は異なる。このため、求められる潰れ方に応じて、圧潰部材41の構成は設定されている。
つまり、圧潰部材41の構成は、閉断面を形成する箱形状に限定されるものではなく、求められる剛性、潰れ方に応じて、様々な形状、形態を採用することができる。
まず、図2には、初期状態の車体構造S1が示されている。初期状態とは、圧潰機構20を骨格凹部10に組付けた状態、つまり車体構造S1が機能する前、外力が入力される前の状態を示している。
このような初期状態の車体構造S1に対して、側面衝突などによって、車外から水平方向に沿って、図の左側から右側(車体外側から内側)へ過大な荷重が入力される。
そして、インパクター21は、荷重が入力されることによって、上立壁13の壁面上を骨格凹部10の開口部側から奥壁12に向かう方向(車両内外方向)に水平方向に沿って変位する。
また、奥壁12側へ変位するインパクター21は、インパクター傾斜面23がスライダー傾斜面33上を摺動することで、図の右斜め上方向へ移動しようとする。
しかしながら、インパクター21の上方への移動は、アウター部材B9に固定されていることによって制限されている。
このため、インパクター21は、外部から荷重によって、水平方向に奥壁側へ移動しつつ、スライダー傾斜面33(スライダー31)を下方へ押し退ける。
さらに、スライダー31は、下立壁14側へ変位することで、圧潰部材41を圧迫する。
圧潰部材41は、スライダー31を介して作用する荷重が設定値を超えたところで、荷重に耐え切れずに圧潰し、衝突時のエネルギーを吸収する。
つまり、アウターピラーB7は、インパクター21が移動した後に圧潰するように設定されている。
このため、アウターピラーB7が圧潰することで、圧潰機構20の働きに影響を及ぼすことはない。
本実施形態の車体構造S1は、変向手段50を備えることで、骨格凹部10の開口部側から奥壁12に向かって作用する力の一部を上立壁13側から下立壁14側(立壁側)に向かって作用する力に変換している。
そして、上立壁13側から下立壁14側に向かって作用する力によって圧潰部材41を圧潰し、衝突エネルギーが吸収される。
つまり、過大な荷重が車両に入力された際に、骨格部材B1の車室側への変位を抑制しつつ、衝撃荷重を吸収することができる。
また、このことから、センターピラーB5に限らず、外部から荷重が入力する方向の寸法(奥行き寸法)を充分に確保できない部位であっても、荷重を吸収する機能を備えた車体構造S1を配置することができる。
これによって、比較的単純な構成で伝わる力の向きを変えることができるため、変向手段50をより確実に作用させることができる。
また、単純な構成で伝わる力の向きを変えることができるため、変向手段50のコンパクト化を図ることができる。
これによって、センターピラーB5とサイドシルB4との結合部分の他にも、充分な奥行き寸法を確保できない車体BDの様々な部位に車体構造S1を配置することを可能にしている。
また、両傾斜面は、隙間なく摺接する平坦面で構成されている。
これによって、インパクター21とスライダー31との摺動面積が増し、面圧が低減されるため、噛み込みなどの誤動作の発生が抑制され、変向手段50をより確実に作用させることができる。
これによって、スライダー31による圧潰部材41の圧潰をより確実にすることができる。
これによって、骨格部材B1の中でも高剛性に設定されるサイドシルB4が、圧潰部材41にかかる荷重を受け止めることができるため、スライダー31による圧潰部材41の圧潰をより確実にすることができる。
つまり、圧潰部材41は、サイドシルB4上に配置され、且つバルクヘッドB4aと重なる位置に配置されている。
これにより、サイドシルB4の中でも剛性のより高い部位で圧潰部材41を支持することができる。
なお、本実施形態のバルクヘッドB4aは、車両前後方向に面して水平面に直交する板状部材で構成されているが、これに限定するものではない。
たとえば、車幅方向に面しつつ、車両前後方向に延在するとともに、水平面に直交する板状部材で構成することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
インナーピラーB6の剛性を高くすることで、スライダー31にかかる側突荷重を変形することなく支持することができるため、スライダーを下方に移動させることができる。
また、圧潰機構20の作用に加え、アウターピラーが変形することで側突荷重を吸収することができるため、インナーピラーの車室側侵入をさらに抑制することができる。
たとえば、圧潰機構20を構成するインパクター21、スライダー31、圧潰部材41を1つの箱型ケース(図示せず)に同梱してユニット化して、圧潰ユニット(図示せず)を形成することも可能である。
このような場合には、圧潰機構20は、圧潰ユニットの形で骨格凹部10に配置され、インパクター21は、箱型ケースの内面に固定される。
このような構成で外部から荷重が入力された際には、アウター部材B9が箱型ケースを押し潰して、インパクター21が奥壁12側へ変位する。
そして、インパクター21が奥壁12側へ変位して以降は、前述の第1実施形態と同様である。
このような構成で外部から荷重が入力された際には、アウター部材B9がインパクター21を押して、押されたインパクター21がレール状の構造上を奥壁12側へ変位する。
そして、インパクター21は、荷重が入力されることによって、上立壁13の壁面上を骨格凹部10の開口部側から奥壁12に向かって(水平方向に)変位する。
しかしながら、インパクター21の上方への移動は、上立壁13によって制限されている。
このため、インパクター21は、外部から荷重によって、水平方向に奥壁側へ移動しつつ、スライダー傾斜面33(スライダー31)を下方へ押し退ける。
そして、インパクター21がスライダー31を下方へ押し退けて以降は、前述の第1実施形態と同様である。
第1別態様の車体構造S1αが、前述の第1実施形態の車体構造S1と大きく異なる点は、変向手段50αの構成である。
つまり、本態様の変向手段50αは、スライダー31のスライダー傾斜面33と、インパクター21のインパクター角辺21aと、を備えている。
スライダー傾斜面33は、第1実施形態と同様の構成のため、説明を省略する。
インパクター角辺21aは、インパクター下面21bの奥壁側縁部と、インパクター内面21cの下側縁部と、が交差することで形成される角部である。
また、インパクター内面21cは、インパクター摺動面22の奥壁側縁部と、インパクター下面21bの奥壁側縁部と、を繋ぐ面を構成し、奥壁壁面12aと平行な面で形成されている。
つまり、本態様のインパクター21は、直方体形状に形成されている。
以上のような構成、および働きによって、本態様に係る車体構造S1αは、第1実施形態の車体構造S1と同様の作用効果を得ることができる。
第2別態様の車体構造S1βが、前述の第1実施形態の車体構造S1と大きく異なる点は、変向手段50βの構成である。
つまり、本態様の変向手段50βは、インパクター21のインパクター傾斜面23と、スライダー31のスライダー角辺31aと、を備えている。
インパクター傾斜面23は、第1実施形態と同様の構成のため、説明を省略する。
スライダー角辺31aは、スライダー外面31bの上側縁部と、スライダー上面31cの開口側縁部と、が交差することで形成される角部である。
また、スライダー上面31cは、スライダー摺動面32の上側縁部と、スライダー外面31bの上側縁部と、を繋ぐ面を構成し、下立壁14と平行な面で形成されている。
つまり、本態様のスライダー31は、直方体形状に形成されている。
以上のような構成、および働きによって、本態様に係る車体構造S1βは、第1実施形態の車体構造S1と同様の作用効果を得ることができる。
第2実施形態の車体構造S2が、前述の第1実施形態の車体構造S1と大きく異なる点は、変向手段502の構成、つまり、インパクター傾斜面232、スライダー傾斜面332の各構成が異なる。
スライダー傾斜面332は、傾斜角度の異なる2つの平坦面(導入傾斜面34a、主傾斜面34b)で構成されている。
つまり、本実施形態の変向手段502は、摺接可能に配置されたインパクター21とスライダー31との摺接部位における一方に、平面からなる傾斜面を備えている。
なお、導入傾斜面34aとスライダー摺動面32とのなす角を導入傾斜角θaと定義する。
主傾斜面34bは、スライダー傾斜面332における奥壁12側を構成している。
なお、主傾斜面34bとスライダー摺動面32とのなす角を主傾斜角θbと定義する。
そして、導入傾斜角θaが、主傾斜角θbよりも大きくなるように、導入傾斜面34a、および主傾斜面34bは、形成されている。
(導入傾斜角θa)>(主傾斜角θb)
なお、導入傾斜面34a、および主傾斜面34bが、スライダー摺動面32と上立壁壁面13aの2つの面と斜めに交差しつつ、これら2つの面が交差する交線と平行な平坦面で形成されている点は、第1実施形態と同様である。
したがって、本実施形態の変向手段502は、スライダー312にのみ、外部から荷重が入力される方向と、力の働く向きを変えられた後の荷重の方向と、の2方向に対して斜めに交差する平面からなる傾斜面を備えている。
本実施形態の車体構造S2では、インパクター傾斜面232は、スライダー312に向かって凸の円弧面で構成され、スライダー傾斜面332は、傾斜角の異なる2つの平坦面で構成されている。
そして、スライダー傾斜面332が、導入傾斜面34aと主傾斜面34bとによって、インパクター212に向かって凹の断面略V字形状に形成されている。
これによって、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加え、スライダー312の下方への移動がよりスムーズになり、より確実に圧潰部材41を圧潰することができる。
第3実施形態の車体構造S3が、前述の第1実施形態の車体構造S1と大きく異なる点は、スライダー313の構成である。
スライダーブラケット35は、奥壁壁面12a上に配置されている。
また、スライダーブラケット35は、上立壁13と下立壁14との間を繋ぐように平行に延在する一対のスライド溝37を備えている。
各スライド溝37は、断面略コ字形状を備え、コ字形状が車体外側に向かって開口するように配置されている。
また、スライダー摺動面32には、一対のスライドコマ38が突設されている。
各スライドコマ38は、スライド溝37毎に、溝内に前後方向へのガタつきなく、スライド溝37内を延在方向に移動可能に形成されている。
本実施形態の車体構造S3では、スライダー313が、スライダーブラケット35、スライダー本体36を備えている。
そして、スライダー本体36が、スライダーブラケット35に対して、前後方向にガタつきなく、スライド溝37の延在方向に移動可能に配置されている。
これによって、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加え、スライダー本体36の下方への移動がよりスムーズになり、より確実に圧潰部材41を圧潰することができる。
なお、本実施形態は、前述の第3実施形態の変形例である。
そこで、説明において、第3実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
第4実施形態の車体構造S4は、前述の第3実施形態のスライダー313を備えた2つの圧潰機構20が1つの骨格凹部10に前後方向に並べて配置されている。
2つの圧潰機構20は、連係されておらず、各圧潰機構20が、別々に動作が可能となっている。
本実施形態の車体構造S4では、1つの骨格凹部10の中に、2つの圧潰機構20が、別々に動作が可能な状態で、並べて配置されている。
これによって、本実施形態では、第3実施形態の作用効果に加え、車体側面に対して、様々な方向から衝突された場合においても、より確実に圧潰部材41を圧潰することができる。
また、車体側面に対して斜め前方から衝突された場合には、衝突荷重が入力された圧潰機構20から順に動作し、衝突荷重を吸収する。
以上のことから、衝突される方向を問わず、各圧潰機構20は、確実に動作することができる。
第5実施形態の車体構造S5が、前述の第1実施形態の車体構造S1と大きく異なる点は、圧潰機構205の構成が異なる点である。
本実施形態の車体構造S5は、1つのインパクター215に対して、一対のスライダー31、および一対の圧潰部材41を備えている。
つまり、本実施形態の車体構造S5は、2つの圧潰機構205が1つのインパクター215を共有した状態で、1つの骨格凹部10に配置されている。
第1実施形態では、スライダー31と圧潰部材41とが、下立壁14上にのみ配置されているが、本実施形態では、上立壁13(立壁)と下立壁14(立壁)とのそれぞれに、スライダー31と圧潰部材41とが配置されている。
そして、骨格凹部10には、車両内外方向に沿って立設する上立壁13(立壁)と、上立壁13の車内側縁部に連結する奥壁12とで、断面略L字形状の凹形状が形成されている。
さらに、骨格凹部10には、車両内外方向に沿って立設する下立壁14(立壁)と、下立壁14の車内側縁部に連結する奥壁12とで、断面略L字形状の凹形状が形成されている。
上立壁13上のスライダー31(上方スライダー31U)と下立壁14上のスライダー31(下方スライダー31L)とは、互いのくさび形状の先端部が対向するように配置されている。
各スライダー31と各対向壁11との間に、圧潰部材41を配置する構成は、第1実施形態と同様である。
上方インパクター傾斜面23Uの傾斜角度は、上方スライダー傾斜面33Uの傾斜角度と同一の角度(傾斜角度θ)になるように設定されている。
したがって、上方インパクター傾斜面23Uと上方スライダー傾斜面33Uとは、隙間なく摺接する。
下方インパクター傾斜面23Lの傾斜角度は、下方スライダー傾斜面33Lの傾斜角度と同一の角度(傾斜角度θ)になるように設定されている。
したがって、下方インパクター傾斜面23Lと下方スライダー傾斜面33Lとは、隙間なく摺接する。
これは、上方スライダー31Uと下方スライダー31Lとが、同一の仕様で構成されていることによる。
まず、図10には、初期状態の車体構造S5が示されている。
このような初期状態の車体構造S5に対して、側面衝突などによって、車外から水平方向に沿って、図の左側から右側(車体外側から内側)へ過大な荷重が入力される。
そして、インパクター215は、荷重が入力されることによって、車両内外方向に沿って骨格凹部10の開口部側から奥壁12に向かって変位する。
奥壁12側へ変位するインパクター21は、上方インパクター傾斜面23Uが上方スライダー傾斜面33U上を摺動し、下方インパクター傾斜面23Lが下方スライダー傾斜面33L上を摺動する。
下方インパクター傾斜面23Lが、下方スライダー傾斜面33L上を摺動することで、インパクター215は、図の右斜め上方向へ移動しようとする。
しかしながら、上方インパクター傾斜面23Uを介して作用する下方への力と、下方インパクター傾斜面23Lを介して作用する上方への力とは、相殺される。
これは、上方インパクター傾斜面23Uの傾斜角度は、下方インパクター傾斜面23Lの傾斜角度と同一角度(傾斜角度θ)に形成されていることによる。
上方スライダー傾斜面33Uが、上方に押し退けられることで、上方スライダー31Uは、奥壁12の壁面上を摺動しつつ、下立壁14側から上立壁13側(立壁側)に向かって変位する。
また、下方スライダー傾斜面33Lが、下方に押し退けられることで、下方スライダー31Lは、奥壁12の壁面上を摺動しつつ、上立壁13側から下立壁14側(立壁側)に向かって変位する。
また、下方スライダー31Lは、下立壁14側へ変位することで、下方圧潰部材41Lを圧迫する。
両圧潰部材41は、各スライダー31を介して作用する荷重が設定値を超えたところで、荷重に耐え切れずに圧潰し、衝突時のエネルギーを吸収する。
第6実施形態の車体構造S6が、前述の第1実施形態の車体構造S1と大きく異なる点は、スライダー316、および変向手段506の構成である。
なお、スライダー316が、インパクター216と圧潰部材416との間に配置される構成は、第1実施形態と同様である。
これに対して、本実施形態のスライダー316では、スライダー摺動面32が下立壁14側から上立壁13側へ行くに従って、奥壁12から離間するように形成されている。
つまり、スライダー摺動面32は、図12において、右下がりの傾斜面に形成されている。
さらに、本実施形態のスライダー316では、スライダー圧接面39が、後述する圧潰部材圧接面42(圧接傾斜面)に対して、一体に固定された状態で、圧潰部材41上に設置されている。
そして、圧潰部材41は、骨格凹部10における、下立壁14と奥壁12とで形成される略L字形状の凹部に設置されている。
つまり、スライダー316は、車両内外方向外側から内側への移動が、制限された状態で骨格凹部10内に配置されている。
変向手段506は、インパクター傾斜面23(傾斜面)、スライダー傾斜面33(傾斜面)の他に、スライダー圧接面39(圧接傾斜面)を備えている。
なお、インパクター傾斜面23、スライダー傾斜面33、およびインパクター216は、第1実施形態と同様の構成のため、説明を省略する。
スライダー圧接面39(圧接傾斜面)は、スライダー316におけるスライダー傾斜面33の裏面側を構成し、スライダー傾斜面33と平行な平坦面で形成されている。
つまり、スライダー圧接面39は、圧潰機構206が骨格凹部10内に配置された状態で、奥壁壁面12aとのなす角度θ6Sが、スライダー傾斜面33の傾斜角θと同一の角度になるように形成されている。
圧潰部材圧接面42は、圧潰機構206が骨格凹部10内に配置された状態で、奥壁壁面12aとのなす角度θ6が、スライダー傾斜面33の傾斜角θと同一の角度になるように形成されている。
つまり、圧潰部材圧接面42は、スライダー傾斜面33と平行な平坦面で形成されている。
そして、スライダー圧接面39は、圧潰部材圧接面42に対して隙間無く当接しつつ、配置されている。
初期状態の車体構造S1に対して、側面衝突などによって、車外から水平方向に沿って、図の左側から右側(車体外側から内側)へ過大な荷重が入力される。
入力された荷重は、アウター部材B9を介してインパクター216に作用する。
そして、インパクター216は、荷重が入力されることによって、上立壁13の壁面上を骨格凹部10の開口部側から奥壁12に向かう方向(車両内外方向)に水平方向に沿って変位する。
しかしながら、インパクター216の上方への移動は、アウター部材B9に固定されていることによって制限されている。
このため、インパクター216は、外部から荷重によって、水平方向に奥壁側へ移動しつつ、スライダー傾斜面33(スライダー316)を下方へ押し退ける。
ここで、スライダー316は、スライダー圧接面39が圧潰部材圧接面42に固定されているため、奥壁12側への移動が制限されている。
そこで、スライダー316は、上立壁13側から下立壁14側(立壁側)に向かって変位しつつ、スライダー316の下端部を中心にして、時計回りに回動する。
圧潰部材416は、スライダー316を介して作用する荷重が設定値を超えたところで、荷重に耐え切れずに圧潰し、衝突時のエネルギーを吸収する。
本実施形態の車体構造S6では、圧接傾斜面としてのスライダー圧接面39、および圧潰部材圧接面42を介して、スライダー316と圧潰部材416とが一体に配置されている。
また、圧接傾斜面(スライダー圧接面39、圧潰部材圧接面42)は、傾斜面としてのインパクター傾斜面23、およびスライダー傾斜面33と平行に形成されている。
このような構成とすることで、荷重が入力された際に、スライダー316が下方へ移動しつつ、回動する。
これによって、本実施形態では、第1実施形態の作用効果に加え、圧潰部材416をより多く潰すことができ(圧潰量が増大する)、衝突の衝撃を吸収することができる。
たとえば、図14に示すように、傾斜面と圧接傾斜面とのなす角度が鋭角となるように、傾斜面、および圧接傾斜面を形成することも可能である。
そして、傾斜面と圧接傾斜面とのなす角度が鋭角となるように設定した場合であっても、本実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
たとえば、圧潰部材416を断面略コ字形状に形成し、コ字形状が、車両上方視にて、車両内外方向外側に向かって開口するように配置する構成とすることも可能である。
そして、圧潰部材416を断面略コ字形状に形成することによって、スライダー316の回動による圧潰を行いやすくする、圧潰部材416の軽量化を図れる、などの作用効果が付加される。
10 骨格凹部
12 奥壁
14 下立壁(立壁)
21 インパクター
23 インパクター傾斜面(傾斜面)
31 スライダー
33 スライダー傾斜面(傾斜面)
35 スライダーブラケット
36 スライダー本体
37 スライド溝
39 スライダー圧接面
41 圧潰部材
42 圧潰部材圧接面
50 変向手段
BD 車体
B1 骨格部材
B4 サイドシル
B4a バルクヘッド
B5 センターピラー
B6 インナーピラー
B7 アウターピラー
Claims (10)
- 車両内外方向に沿って立設する立壁と、該立壁の車内側縁部に連結する奥壁とで、車体の骨格部材表面に断面略L字形状の凹形状を形成する骨格凹部と、
該骨格凹部の開口部側から該奥壁に向かって変位可能に配置されたインパクターと、
該立壁に向かって変位可能に配置されつつ、該インパクターと摺接可能に配置されたスライダーと、
摺接可能に配置された該インパクターと該スライダーとの摺接部位における少なくともどちらか一方に、該インパクターの変位方向と、該スライダーの変位方向と、の2方向に対して斜めに交差する傾斜面を備えた変向手段と、
設定値を超える荷重が入力された場合に潰れるように設定されつつ、該スライダーと該立壁との間に配置された圧潰部材と、
を備え、
荷重が該インパクターに作用した際に、
該インパクターが、該奥壁に向かって移動し、
該スライダーが、該変向手段を介して該圧潰部材に向かって移動し、
該スライダーを介して該圧潰部材に作用する荷重が設定値を超えた場合に、該圧潰部材が、移動する該スライダーによって潰される
ことを特徴とする車体構造。 - 前記スライダーは、
前記奥壁上を前記立壁に向かって変位可能に配置されつつ、前記インパクターと摺接可能に配置され、
荷重が前記変向手段を介して該スライダーに作用した際に、
該スライダーが、前記圧潰部材に向かって該奥壁に沿って移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の車体構造。 - 前記変向手段は、
摺接可能に配置された前記スライダーと前記圧潰部材との摺接部位に、前記傾斜面と平行に、または該傾斜面とのなす角度が鋭角となるように、該傾斜面と斜めに交差して形成された圧接傾斜面を備え、
荷重が前記インパクターに作用し、該インパクターが、前記奥壁に向かって移動した際に、
該スライダーが、該変向手段を介して該圧潰部材に向かって回動する
ことを特徴とする請求項1に記載の車体構造。 - 前記圧潰部材は、
車両上方視にて、閉断面を形成する部材で構成されつつ、
前記インパクター、および前記スライダーよりも剛性が低く設定された
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記骨格部材は、
車両前後方向に延在するサイドシルと、
該サイドシルから上方へ立設するセンターピラーと、
を備え、
該センターピラーは、
該奥壁を備え、
該サイドシルは、
前記立壁を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記サイドシルは、
筒形状に形成されつつ、前記立壁と重なる部位の筒内にバルクヘッドを備え、
該バルクヘッドは、
水平面に対して直交する板状部材からなる
ことを特徴とする請求項5記載の車体構造。 - 前記センターピラーは、
車幅方向外側部を構成するアウターピラーと、
車幅方向内側部を構成し、該アウターピラーと一体に、且つ該アウターピラーよりも高剛性に設定されたインナーピラーと、
を備え、
前記奥壁は、
該インナーピラーに形成された
ことを特徴とする請求項5、または請求項6に記載の車体構造。 - 前記スライダーは、
前記奥壁に設置されつつ、該スライダーの変位方向に沿って延在するスライド溝を具備するスライダーブラケットと、
該スライド溝を延在方向に移動可能に配置されるスライダー本体と、
を備える
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の車体構造。 - 前記インパクターは、
前記スライダーと前記圧潰部材と共に圧潰機構を構成し、
複数の該圧潰機構が、
同一の前記骨格凹部内に、該各スライダーのスライド方向が平行となるように配置された
ことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の車体構造。 - 1つの前記インパクターは、
複数の前記スライダーと摺接可能に配置され、
該スライダー毎に圧潰部材が配置された
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の車体構造。
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