JP7336986B2 - 熱可塑性エンジニアリングプラスチックの層を備えた積層体及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性エンジニアリングプラスチックの層を備えた積層体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性エンジニアリングプラスチックの層を備えた積層体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、厚み均質性と表面平滑性に優れた薄膜エンジニアリングプラスチックフィルム及びその製造方法に関する。
熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムを製造する方法としては通常、溶融押出された樹脂をニップロールで挟み込んだり、大径の冷却ドラムに密着させてフィルムを製造することが広く行われている。
しかしながら、溶融押出された樹脂をニップロールで挟み込み、冷却させてフィルムを製造すると、ダイス出口とニップロール間で伸びムラが生じ、フィルム端部が極端に薄くなったり、溶融体のネックインによって厚くなった端部をスリット刃によってトリミングする際にフィルムの破断や伸びが頻発する場合があった。また、大型の冷却ドラムに密着させてフィルムを製造した場合、表面平滑性のある均一なフィルムを得ることが困難であるという課題があった。これは、高温で溶融されたフィルムを室温まで冷却する際、その温度降下によって溶融フィルムに収縮が生じ、冷却ドラム上で溶融フィルムが滑り、均一に冷却固化されにくくなる為である。
一方、樹脂を特殊な溶媒で希釈し、コーティングすることで薄膜を得る溶媒キャスト法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、使用した溶媒を回収する必要があり、作業環境の管理も課題となる。
他の方法として、エンジニアリングプラスチック溶融体と該溶融体と剥離性のある樹脂溶融体を共押出成形した後に、剥離性のある樹脂膜を剥がし、目的のエンジニアリングプラスチックフィルムを得る方法が提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、溶融状態で押出された剥離膜がエンジニアリングプラスチックに対して良好な剥離性となる必要があり、また、共押出にて外観良好なフィルムを得るには溶融時の流動特性が類似した樹脂である必要があることから、使用できる樹脂の種類が限定的となる課題がある。
一方、医療関連分野、食品関連分野、電気・電子部品関連分野などにおいては、耐加水分解性、耐熱水性、耐薬品性、耐電子線性、耐ガンマ線性などが優れているエンジニアリングプラスチックフィルムが求められていた。
特開2009-226632号公報 特開2007-21912号報
本発明は、250μm以下の熱可塑性エンジニアリングプラスチックの層を備えた積層体及びその製造方法に関し、特に厚み均一性と表面平滑性に優れた薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムを提供する。
本発明者等は、前記の課題について鋭意検討した結果、剥離フィルムの一方の面に対してエンジニアリングプラスチック溶融体を押出コートし、積層体を成形後に剥離フィルムを剥がすことで、本発明の課題を克服したエンジニアリングプラスチックフィルムが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、前記課題を解決する本発明は、下記より構成される。
(1)生産方向の引張破断強度が115MPa以上、引張破断伸びが190%以下の剥離フィルムの一方の面に、厚さが250μm以下、厚み精度が15%以下の熱可塑性エンジニアリングプラスチックの層が積層された積層体。
(2)前記エンジニアリングプラスチックの層がポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー及びこれらの変性体からなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物からなることを特徴とする前記(1)に記載の積層体。
(3)前記剥離フィルムがポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドからなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物からなることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の積層体。
(4)前記エンジニアリングプラスチックの層の、前記剥離フィルムと接触する側の面の算術平均表面粗さが1.0μm以下であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれか1項に記載の積層体。
(5)前記(1)から(4)のいずれか1項に記載の積層体の前記エンジニアリングプラスチックの層からなる薄膜フィルム。
(6)フィルムコンデンサ用のフィルムである前記(5)に記載の薄膜フィルム。
(7)スピーカー振動板用のフィルムである前記(5)に記載の薄膜フィルム。
(8)回路基板用のフィルムである前記(5)に記載の薄膜フィルム。
(9)ヒーター絶縁材用のフィルムである前記(5)に記載の薄膜フィルム。
(10)ガラス保護用のフィルムである前記(5)に記載の薄膜フィルム。
(11)生産方向の引張破断強度が115MPa以上、引張破断伸びが190%以下の剥離フィルムの一方の面に、熱可塑性エンジニアリングプラスチック溶融体を押出し、厚さ250μm以下、厚み精度15%以下の熱可塑性エンジニアリングプラスチックの層を積層する積層体の製造方法であって、前記熱可塑性エンジニアリングプラスチック溶融体が前記剥離フィルムに接触する際の温度をTx、前記剥離フィルムのガラス転移温度をTg1、及び前記剥離フィルムの融点をTmとした時、Tg1≦Tx≦Tg1+180℃≦Tmの関係を満たすことを特徴とする前記積層体の製造方法。
(12)前記エンジニアリングプラスチックの層がポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー及びこれらの変性体からなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物からなることを特徴とする前記(11)に記載の前記積層体の製造方法。
(13)前記剥離フィルムがポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドからなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物からなることを特徴とする前記(11)又は(12)に記載の前記積層体の製造方法。
(14)前記エンジニアリングプラスチックの層の、少なくとも前記剥離フィルムと接触する側の面の算術平均表面粗さが1.0μm以下であることを特徴とする前記(11)~(13)のいずれか1項に記載の前記積層体の製造方法。
(15)前記(11)~(14)のいずれか1項に記載の積層体の製造方法によって前記積層体を得た後に、前記積層体から前記剥離フィルムを剥離して除去することを特徴とする、薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムの製造方法。
(16)熱水、薬品、滅菌、オゾンの何れかの処理を行った(5)に記載の薄膜フィルム。
(17)プレッシャークッカー条件で120℃×100%RHの環境下、96時間のプレッシャークッカー試験前後での引張伸度保持率が35%以上である(5)に記載の薄膜フィルム。
(18)電子線照射、ガンマ線照射の何れかの処理を行った(5)に記載の薄膜フィルム。
(19)家電製品部材用フィルムである(5)に記載の薄膜フィルム。
(20)自動車部品部材用フィルムである(5)に記載の薄膜フィルム。
本発明の薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムは厚みが250μm以下と薄いにもかかわらず、厚みムラ(厚み精度)が15%以下という優れた厚みの均質性を有する。このような厚みの均質性に優れた薄膜のエンジニアリングプラスチックフィルムはフィルムコンデンサやスピーカー振動板、回路基板材料など高精度が要求される用途に有用である。
本発明における薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムが積層された積層体は、熱可塑性エンジニアリングプラスチック溶融体を剥離フィルムに対して押出コートして得られる積層体である。また、本発明における薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムは、積層体から剥離フィルムを剥離して得られる、薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムであることを特徴とする。本発明を以下の好適例により詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。
<エンジニアリングプラスチック>
熱可塑性のエンジニアリングプラスチックフィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、結晶性、非晶性を問わず、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー及びこれらの変性体からなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物を好適に用いることができる。
<剥離フィルム>
剥離フィルムの生産方向の引張破断強度は、押出コート後の積層体の破断を防止するために好ましくは115MPa以上であり、より好ましくは120MPa以上であり、さらに好ましくは130MPa以上であり、特に好ましくは140MPa以上であり、最も好ましくは150MPa以上である。
剥離フィルムの生産方向の引張破断伸びは、押出コート後の積層体の伸びを防止するために好ましくは190%以下であり、より好ましくは170%以下であり、さらに好ましくは160%以下であり、特に好ましくは150%以下であり、最も好ましくは100以上110%未満である。
剥離フィルムの厚みは、特に規定されるものではない。しかし、薄すぎると生産方向の引張破断強度の低下や引張破断伸びの上昇、巻取り時の皺の発生が起こりやすくなり、厚すぎると巻取り時にフィルム自体の弾性によって積層体から剥離フィルムが剥離し、巻取り自体ができなくなるほか、コストの上昇を招く。そのため、剥離フィルムの厚みは、好ましくは12μm以上100μm以下であり、より好ましくは12μm以上80μm以下であり、さらに好ましくは13μm以上70μm以下であり、特に好ましくは14μm以上60μm以下であり、最も好ましくは15μm以上50μm以下である。
剥離フィルムの材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドから選ばれる少なくとも1種類以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物を好適に用いることができる。特に生産方向の引張破断強度や引張破断伸びの観点から、生産方向に対する一軸延伸または二軸延伸フィルムを用いるのがより好ましい。また、剥離フィルムと熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムとの密着性を向上させる場合は、剥離フィルム表面にコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、アルカリ処理、蒸着処理、及びプライマ処理等の公知の易接着処理を施すことができる。一方、剥離フィルムと熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムとの剥離性を向上させる場合は、剥離フィルム表面に離型剤をコーティングする等の公知の離型処理を施すことができる。
<添加剤>
熱可塑性エンジニアリングプラスチック及び剥離フィルムには、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、無機フィラー、着色剤、結晶核剤、難燃剤、可塑剤等の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤の配合量は、熱可塑性のエンジニアリングプラスチック或いは剥離フィルムを構成する樹脂成分100質量%に対して、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下であり、最も好ましくは10質量%以下である。添加剤の配合量が40質量%を超えると、フィルムの外観や成形性が著しく低下する恐れがある。
<エンジニアリングプラスチックフィルム>
本発明の熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムは、剥離フィルムを剥がした後の厚みが好ましくは250μm以下、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下であり、特に好ましくは30μm以下であり、最も好ましくは20μm以下であることを特徴とする。
更に本発明の熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムは、剥離フィルムを剥がした後の厚み精度が好ましくは15%以下、より好ましくは12%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、特に好ましくは7%以下であり、最も好ましくは5%以下であることを特徴とする。ここで厚み精度とは、厚みの誤差を示す指標であり、その数値が低いほど厚みの精度が高いことを意味している。本発明の厚み精度はJIS K 7130に準じて、1μmまで測定可能なミツトヨ社製のダイヤルゲージで等間隔に20点測定して平均値(dave)、最大値(dmax)及び最小値(dmin)をとり、下記式より算出することができる。
厚み精度(%)=((dmax-dmin)/dave)×100
本発明の熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムは、少なくとも剥離フィルムと接触する面の算術平均表面粗さは1.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.8μm以下であり、さらに好ましくは0.6μm以下であり、特に好ましくは0.5μm以下であり、最も好ましくは0.2μm以下である。特にフィルムコンデンサ用途として使用されるフィルムは、算術平均表面粗さが1.0μmよりも大きいと、容量や耐電圧が著しく低下し、フィルムコンデンサとして用いた場合に充分な性能を得ることが難しくなる。
<エンジニアリングプラスチックフィルムの成形>
本発明の熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムを成形する方法としては、押出コート法を用いることが好ましい。熱可塑性のエンジニアリングプラスチック溶融体を構成する樹脂或いは樹脂組成物を個別の単軸押出機或いは二軸押出機から、単層あるいはマルチマニホールドダイやフィードブロック方式によって二層以上に積層された状態で剥離フィルム上に押出し、積層体とした後に剥離フィルムを剥離することで、薄膜の熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムを得ることができる。
このとき、押出された熱可塑性エンジニアリングプラスチック溶融体が剥離フィルムに接触する温度(Tx(℃))は、剥離フィルムのガラス転移温度(Tg1(℃))及び融点(Tm(℃))に対して、好ましくはTg1≦Tx≦Tg1+180℃≦Tm、より好ましくはTg1+5℃≦Tx≦Tg1+180℃≦Tm、さらに好ましくはTg1+10℃≦Tx≦Tg1+180℃≦Tm、特に好ましくはTg1+15℃≦Tx≦Tg1+180℃≦Tm、最も好ましくはTg1+20℃≦Tx≦Tg1+180℃≦Tmの関係を満足することが好ましい。TxがTg1よりも低い場合、熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムと剥離フィルム間の良好な接着強度を得ることができず、工程内や巻取り時に破断や伸び、皺の発生の原因となる。一方、TxがTg1+180℃を超えると剥離強度が高すぎて剥離フィルムを剥がせない他に、剥離フィルムの収縮率が大きくなるため、皺が発生してしまい、TxがTmを超えると剥離フィルムが溶けてしまう。
金属ロールの温度(Ty(℃))は、熱可塑性エンジニアリングプラスチックのガラス転移温度(Tg2(℃))に対して、好ましくはTg2-120℃≦Ty≦Tg2+20℃、より好ましくはTg2-115℃≦Ty≦Tg2+15℃、さらに好ましくはTg2-110℃≦Ty≦Tg2+12℃、特に好ましくはTg2-110℃≦Ty≦Tg2+10℃、最も好ましくはTg2-100℃≦Ty≦Tg2+5℃の関係を満足することが好ましい。TyがTg2-120℃よりも低い場合、熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムと剥離フィルム間の良好な接着強度が得られ難くなり、また、TyがTg+20℃を超えると熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムが金属ロールに粘着し、金属ロールからフィルムをスムースに剥離することが難しくなり、フィルムの外観が悪化しやすくなる。
積層体における剥離フィルムの剥離強度は、好ましくは3g/cm以上1000g/cm以下である。なお、積層体における剥離フィルムの剥離強度は、3g/cm以上10g/cm未満、または100g/cm以上1000g/cm以下であることも好ましいが、最も好ましくは10g/cm以上100g/cm未満である。剥離強度が3g/cmよりも小さい場合、巻取に至る工程内においてフィルムが剥がれ、破断や伸び、皺の発生の原因となる。一方、剥離強度が1000g/cmよりも大きいと剥離フィルムを剥がせず、フィルムの材破を生ずる可能性がある。
<エンジニアリングプラスチックフィルムの用途>
本発明の薄膜のエンジニアリングプラスチックフィルムの用途としては、フィルムコンデンサ、スピーカー振動板、回路基板、ヒーター絶縁材、ガラス保護フィルム、家電製品部材、自動車部品部材が挙げられる。
フィルムコンデンサ用途において、本発明のフィルムは、誘電体として機能し、エンジニアリングプラスチックフィルムに対して、導体層が積層される。この導体層は例えば、蒸着法、スパッタリング法、金属箔との貼り合わせによって形成される。誘電体の厚み及びその精度は容量や耐電圧に大きく影響することから、10μm以下の薄膜且つ15%以下の厚み精度が要求されるが、本発明の薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムならばこれらを満足することができる。
スピーカー振動板用途において、本発明のフィルムは振動板として機能し、エンジニアリングプラスチックフィルムに対して、分割振動や共鳴による固有振動が少なく変換効率が良いことが求められる。このために、フィルムには高ヤング率の他に高い厚み精度が求められるが、本発明の薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムならば15%以下の厚み精度であるために、本用途に好適に用いることができる。
回路基板用途において、本発明のフィルムは積層体の基材フィルムとして機能し、金属層、セラミック層、樹脂層等が積層される。例えばFPC(Flexible printed circuits, フレキシブルプリント基板)の場合、ドライラミネート法、鍍金法、蒸着法、スパッタリング法等により、基材フィルムの表面に配線用の金属層が形成される。本発明のエンジニアリングプラスチックフィルムは、樹脂及び樹脂組成物が耐熱変形性、耐熱寸法安定性及び耐熱靱性に優れるので、本発明のフィルムを基材フィルムとして使用した積層体は、反りが十分に抑制されており、積層した金属層等の剥離が生じ難く、フレキシブル性の低下による割れや破断等も生じ難い。また、厚み精度が高いため、積層体面内での耐電圧特性の均質性に優れる。
ヒーター絶縁材用途において、本発明のフィルムは基材フィルムとして機能する。本発明のフィルムは厚みの精度が高いため、積層体面内での耐電圧特性の均質性に優れる。
ガラス保護フィルム用途において、本発明のフィルムは基材フィルムとして機能し、アクリルもしくはシリコーンを主成分とする接着層が積層される。ガラス板に対して接着層を介して、本発明のフィルムを貼り合わせることで、ガラスが割れた際の飛散防止となる。本発明のフィルムは薄く、厚みの精度や表面の平滑性に優れることから、ガラスに貼り合わせても良好な外観となり、有用である。
自動車部材用途では、本発明のスルホン系樹脂フィルムはエンジン回り部材やトランスミッション部材など200℃付近での環境下で使用される部材用として、機能する。更に加熱時のアウトガス発生量が少ないことから、他の電子機器への影響が少なく、有用である。
食品包装部材、調理機器部材などの用途において、熱可塑性エンジニアリングプラスチックの中で、特に、スルホン系樹脂を含む樹脂組成物が用いられる。例えば、スルホン系樹脂フィルムは、滅菌・殺菌工程で使用される部位の部材として適用し、熱水、薬品、高圧蒸気、流通蒸気、乾熱、紫外線照射、ガンマ線照射、電子線照射、酸化エチレンガス、オゾン等による処理を行った後でも物性劣化しないことが求められるが、本発明のスルホン系樹脂フィルムならばこれを満足することができるため、例えば、食品包装用袋(パウチなど)、家庭用調理機器(電子レンジ調理機器など)、業務用調理機器、自動販売機、浄水器等の部材として好適に使用できる。
また、本発明の熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルムは成形品としても適用することが出来る。例えば、スルホン系樹脂フィルムは、一般的な成形への対応が可能である。成形方法としては、インサート成形、インモールド成形の他にも、一般的な真空成形、圧空成形やこれらの応用として、樹脂シートを真空状態化で加熱軟化させ、大気圧下に開放することで既存の成形品表面へオーバーレイ(成形)する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、成形前にシートを加熱軟化させる方法として非接触加熱である赤外線ヒーター等による輻射加熱等、公知のシート加熱方法を適応することができる。ある実施形態の真空圧空成形において、例えば樹脂シートは表面温度が60℃~310℃で、20秒~480秒間加熱してから既存の成形品表面へと成形され、表面の形状により1.05~2.50倍に延伸され得る。
<スルホン系樹脂組成物>
スルホン系樹脂フィルムを構成するスルホン系樹脂組成物としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、及びこれらの変性体からなる群から選択される1種以上を80質量%以上含有する樹脂組成物が好ましい。
スルホン系樹脂は特に限定されるものではないが、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリフェニルスルホンまたは、式(2)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルスルホンが好ましい。ポリフェニルスルホンおよび/またはポリエーテルスルホンを1種類以上選択して用いることができる。
ポリフェニルスルホン(PPSU)は、式(1)の化学構造のみからなるホモポリマーであっても良いし、他に式(2)~(10)から選ばれる一種以上の化学構造を含んでいても良い。ただし、ポリフェニルスルホン中、式(1)の化学構造の割合が高い方がフィルム強度や耐熱性、成形加工性に優れることから、式(1)~(10)のユニット合計100モル%に対し、式(1)のユニットが50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましく、75モル%以上であることが特に好ましく、80%モル%以上であることが最も好ましい。ポリフェニルスルホンが、式(2)~(10)の化学構造を含む共重合体の場合、共重合形態はブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであっても良い。また、重合体末端のみに他の化学構造を有する末端変性体であっても良い。ポリフェニルスルホンの具体例としては、ソルベイスペシャリティポリマーズ社製の商品名:レーデルRシリーズ、BASF社製の商品名:ウルトラゾーンPシリーズが挙げられる。
ポリエーテルスルホン(PES)は、式(2)の化学構造のみからなるホモポリマーであっても良いし、他に(1)および(3)~(10)から選ばれる一種以上の化学構造を含んでいても良い。ただし、ポリエーテルスルホン中、式(2)の化学構造の割合は、フィルム強度や耐熱性、成形加工性に優れることから、式(1)~(10)のユニット合計100モル%に対し、式(2)のユニットが50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましく、75モル%以上であることが特に好ましく、80%モル%以上であることが最も好ましい。ポリエーテルスルホンが、(1)および(3)~(10)から選ばれる単数または複数の化学構造を有して共重合体となっている場合には、共重合形態はブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであっても良い。また重合体末端のみに他の化学構造を有する末端変性体であっても良い。ポリエーテルスルホンの具体例としては、住友化学社製の商品名:スミカエクセルPESシリーズ、BASF社製の商品名:ウルトラゾーンEシリーズ、SOLVAY SPECIALTY POLYMERS社製のベラデルRシリーズが挙げられる。
Figure 0007336986000001

以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例及び比較例において、熱可塑性エンジニアリングプラスチック及び剥離フィルムとして、以下を用いた。
<熱可塑性エンジニアリングプラスチック>
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK); ダイセル・エボニック社製、ガラス転移温度140℃、融点345℃
ポリフェニレンサルファイド(PPS); 東レ社製、ガラス転移温度90℃、融点280℃
ポリエーテルスルホン(PES); BASF社製、ガラス転移温度225℃、融点なし
ポリフェニルスルホン(PPSU):BASF社製、ガラス転移温度220℃、融点なし
ポリスルホン(PSU):BASF社製、ガラス転移点187℃、融点なし
<剥離フィルム>
二軸延伸ポリアミドフィルム(O-Ny1);ユニチカ社製、引張破断強度200MPa、引張破断伸び100%、ガラス転移温度120℃、融点305℃、厚み25μm
二軸延伸ポリアミドフィルム(O-Ny2);東洋紡社製、引張破断強度200MPa、引張破断伸び110%、ガラス転移温度70℃、融点230℃、厚み25μm
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(O‐PP);三井化学東セロ社製、引張破断強度130MPa、引張破断伸び170%、ガラス転移温度-20℃、融点170℃、厚み40μm
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(O-PET);東レ社製、引張破断強度153MPa、引張破断伸び105%、ガラス転移温度69℃、融点263℃、厚み16μm
無延伸ポリアミドフィルム(C-Ny);三菱樹脂社製、引張破断強度140MPa、引張破断伸び300%、ガラス転移温度70℃、融点230℃、厚み25μm
無延伸ポリプロピレンフィルム(C-PP);三井化学東セロ社製、引張破断強度80MPa、引張破断伸び700%、ガラス転移温度-20℃、融点170℃、厚み40μm
<引張破断強度及び引張破断伸びの測定>
JIS K 7127に準じて、東洋精機社製の引張試験装置を用いてフィルム生産方向に対し測定を行い、得られた応力-ひずみ曲線より、引張破断強度及び引張破断伸びを求めた。
<ガラス転移温度及び融点の測定>
熱可塑性エンジニアリングプラスチック及び剥離フィルムのガラス転移温度及び融点を、ブルカー社製の示差走査熱量計「DSC3100SA」を用い、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で室温から370℃までDSC(Differential scanning calorimetry, 示差走査熱量)測定を行い、ガラス転移点は、DSC曲線において、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の段階状変化部分の曲線とが交わる点とした。
(実施例1)
熱可塑性エンジニアリングプラスチックであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を径40mmの単軸押出機から押出し、二軸延伸ポリアミドフィルム(O‐Ny)に対して接触する温度が175℃となるように、ダイスの温度、樹脂吐出量、ライン速度、ダイス口とロール間の距離を調整し、金属ロールの温度を90℃に制御して積層体を得た。この積層体から二軸延伸ポリアミドフィルムを剥離し、厚みが50μmのエンジニアリングプラスチックフィルムを作製した。
(実施例2~12、比較例1~8、比較例11、比較例13~15、比較例17、18)
剥離フィルムの種類、熱可塑性エンジニアリングプラスチックの種類及び厚み、押出された溶融樹脂が剥離フィルムに接触する温度、及び積層体を冷却する金属ロール温度を表1、3に記載したように変更した以外は、実施例1と同様にしてエンジニアリングプラスチックフィルムを作製した。
(実施例13)
熱可塑性エンジニアリングプラスチックであるポリフェニルスルホン(PPSU)を径40mmの単軸押出機から押出し、二軸延伸ポリアミドフィルム(O‐Ny)に対して接触する温度が190℃となるように、ダイスの温度、樹脂吐出量、ライン速度、ダイス口とロール間の距離を調整し、金属ロールの温度を115℃に制御して積層体を得た。この積層体から二軸延伸ポリアミドフィルムを剥離し、厚みが25μmのエンジニアリングプラスチックフィルムを作製した。
(実施例14~23)
剥離フィルムの種類、熱可塑性エンジニアリングプラスチックの種類及び厚み、押出された溶融樹脂が剥離フィルムに接触する温度、及び積層体を冷却する金属ロール温度を表2に記載したように変更した以外は、実施例1と同様にしてエンジニアリングプラスチックフィルムを作製した。
(比較例9、10、12、16)
剥離フィルムを使用せず、熱可塑性のエンジニアリングプラスチックであるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはポリフェニレンサルファイド(PPS)、またはポリエーテルスルホン(PES)を用いて径40mmの単軸押出機から押出し、表3に記載したように押出された溶融樹脂を冷却する金属ロール温度を変更した以外は、実施例1と同様にして単層のエンジニアリングプラスチックフィルムを作製した。
<評価方法>
各実施例及び各比較例で作製した耐熱性フィルムについて下記に示す評価を行った。これらの結果をそれぞれ表1~表3にまとめて示す。
<厚みの測定>
JIS K 7130に準じて、1μmまで測定可能なミツトヨ社製のダイヤルゲージで等間隔に20点測定して平均値をとった。
<厚み精度の測定>
JIS K 7130に準じて、1μmまで測定可能なミツトヨ社製のダイヤルゲージで等間隔に20点測定して平均値(d ave)、最大値(d max)及び最小値(d min)をとり、下記式にて厚み精度(%)を算出した。
厚み精度(%)=((d max-d min)/d ave)×100
<剥離強度の測定>
積層体から試験片(長軸100mm×短軸10mm)を生産方向に対して切り出し、バンガードシステムズ社製の剥離テスターを用いて剥離角度180度で剥離した際の力から求めた。この時の剥離強度が10g以上100g未満/cmのものを「優」、3g以上10g未満または100g以上1000g以下/cmのものを「良」、0g以上3g未満/cmまたは1000g/cmを超えるものを「不良」とした。
<算術平均表面粗さの測定>
エンジニアリングプラスチックフィルムの剥離フィルムが接触していた面に対し、キーエンス社製のレーザー顕微鏡にて倍率1000倍で表面観察を実施し、JIS B 0601:1994に準じて算術平均表面粗さを算出した。
<積層体の温度測定>
エンジニアリングプラスチック溶融体と剥離フィルムの接点の温度は安立計器社製の接触式温度計を用いて幅方向3点を測定し、その平均値を算出した。
<金属ロールの表面温度>
金属ロールの表面温度は理化工業社製の接触式温度計を用いて、金属ロールの幅方向3点を測定し、その平均値を算出した。
<積層体の巻取シワ>
積層体を巻取機にて100m巻取った後に全幅を確認し、外観上、巻取シワが確認されたものを「あり」、確認されないものを「なし」とした。
<積層体の破断>
積層体を100m分巻取るまでに工程内で破断が発生した場合を「あり」、発生しない場合を「なし」とした。
<耐加水分解性評価>
薄膜フィルム(積層体から剥離フィルムを剥がした熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルム)をA4サイズに切り出し、プレッシャークッカー試験機(アルプ社製 SPY-4016)を用いて、120℃、100%RHの環境下に96時間保持した。その後、23℃×50%RHの環境下で、JIS K 7127に準拠し、引張試験を実施し、伸度保持率が35%以上であれば、実使用上問題ないと判断した。
伸度保持率は下記式で算出した。
伸度保持率=[(プレッシャークッカー試験後の引張伸度)/(プレッシャークッカー試験前の引張伸度)]×100
<耐熱水性評価>
薄膜フィルム(積層体から剥離フィルムを剥がした熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルム)をA4サイズに切り出し、恒温漕を用いて90℃に温調した熱水に、168時間浸漬した。その後、23℃×50%RHの環境下で、JIS K 7127に準拠し、引張試験を実施し、伸度保持率が50%以上であれば、良好と判断した。
伸度保持率は下記式で算出した。
伸度保持率=[(温水浸漬後の引張伸度)/(温水浸漬前の引張伸度)]×100
<耐薬品性評価>
薄膜フィルム(積層体から剥離フィルムを剥がした熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルム)をA4サイズに切り出し、硫酸(20%濃度)に2時間浸漬した。その後、
フィルムサンプルを取り出し、「白化」、「クラック」などの発生の有無を外観で判断した。発生しない場合は「〇」、発生した場合は「×」とした。
<耐電子線性評価>
薄膜フィルム(積層体から剥離フィルムを剥がした熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルム)を、電子線照射装置(岩崎電気社製)を用いて、加速電圧:200kV、線量:50kGy、100kGyの照射条件で電子線照射した。その後、23℃×50%RHの環境下で、JIS K 7127に準拠し、引張試験を実施し、伸度保持率が50%以上であれば実使用上問題ないと判断した。

伸度保持率は下記式で算出した。
伸度保持率=[(電子線照射後の引張伸度)/(電子線照射前の引張伸度)]×100
<耐ガンマ線性評価>
薄膜フィルム(積層体から剥離フィルムを剥がした熱可塑性エンジニアリングプラスチックフィルム)に対し、日本照射サービス社において、ガンマ線照射を実施した。線量:50kGy、100kGyの照射条件でガンマ線照射した。その後、23℃×50%RHの環境下で、JIS K 7127に準拠し、引張試験を実施し、伸度保持率が50%以上であれば、実使用上問題ないと判断した。
伸度保持率は下記式で算出した。
伸度保持率=[(ガンマ線照射後の引張伸度)/(ガンマ線照射前の引張伸度)]×100
Figure 0007336986000002

Figure 0007336986000003

Figure 0007336986000004

実施例1~12で得られた積層体は、巻取り時のシワの発生や破断がなく成形性(フィルム成膜性)に優れており、積層体から剥離フィルムを剥離して得られた薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムは、厚み精度と表面平滑性に優れたフィルムであった。特に実施例6、10、12の薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムはエンジニアリングプラスチック溶融体と剥離フィルムの接触点の温度 Tx(℃)、金属ロール温度 Ty(℃)、及び総厚みが最も好ましい条件を満たし、厚み精度、表面平滑性に優れていた。
実施例13~23で得られた積層体は、巻取り時のシワの発生や破断がなく成形性(フィルム成膜性)に優れており、積層体から剥離フィルムを剥離して得られた薄膜エンジニアリングプラスチック(スルホン系樹脂)フィルムは、厚み精度と表面平滑性に優れたフィルムであった。特に実施例14~17の薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムはエンジニアリングプラスチック溶融体と剥離フィルムの接触点の温度 Tx(℃)、金属ロール温度 Ty(℃)、及び総厚みが最も好ましい条件を満たし、厚み精度、表面平滑性に優れていた。更に、耐加水分解性、耐熱水性、耐薬品性、耐電子線性、耐ガンマ線性において、優れており、例えば、滅菌・殺菌される用途において、適用することが出来る。
本発明の薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムは、薄膜で厚み精度に優れるため、例えば、高精度が求められるフィルムコンデンサ、スピーカー振動板、回路基板、ヒーター絶縁材、ガラス保護フィルム、家電製品部材用、自動車部材用フィルムとしての用途にも適応できる。

Claims (9)

  1. 生産方向の引張破断強度が115MPa以上、引張破断伸びが190%以下の剥離フィルムの一方の面に、厚さが250μm以下、厚み精度が15%以下の熱可塑性エンジニアリングプラスチックの押出コート層が積層された積層体であって、
    前記剥離フィルムが、一軸延伸または二軸延伸された、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドからなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物からなり、かつ、厚みが12μm以上100μm以下であり、
    前記エンジニアリングプラスチックの押出コート層の、少なくとも前記剥離フィルムと接触する側の面の算術平均表面粗さが1.0μm以下である、積層体。
  2. 前記エンジニアリングプラスチックの押出コート層がポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー及びこれらの変性体からなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物からなることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 請求項1または2に記載の積層体の前記エンジニアリングプラスチックの押出コート層からなる薄膜フィルム。
  4. フィルムコンデンサ用、スピーカー振動板用、回路基板用、ヒーター絶縁材用、ガラス保護用、家電製品部材用、または自動車部品部材用のフィルムである請求項3に記載の薄膜フィルム。
  5. 生産方向の引張破断強度が115MPa以上、引張破断伸びが190%以下の剥離フィルムの一方の面に、熱可塑性エンジニアリングプラスチック溶融体を押出し、厚さ250μm以下、厚み精度15%以下の熱可塑性エンジニアリングプラスチックの層を積層する積層体の製造方法であって、前記熱可塑性エンジニアリングプラスチック溶融体が前記剥離フィルムに接触する際の温度をTx、前記剥離フィルムのガラス転移温度をTg1、及び前記剥離フィルムの融点をTmとした時、Tg1≦Tx≦Tg1+180℃≦Tmの関係を満たし、
    前記剥離フィルムが、一軸延伸または二軸延伸された、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドからなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物からなり、かつ、厚みが12μm以上100μm以下であり、
    前記エンジニアリングプラスチックの層の、少なくとも前記剥離フィルムと接触する側の面の算術平均表面粗さが1.0μm以下である、前記積層体の製造方法。
  6. 前記エンジニアリングプラスチックの層がポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイドポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、シクロオレフィンポリマー、液晶ポリマー及びこれらの変性体からなる群から選択される1種以上のポリマー又は前記の群から選択される2種以上のポリマーの混合物からなることを特徴とする請求項5に記載の前記積層体の製造方法。
  7. 請求項5または6に記載の積層体の製造方法によって前記積層体を得た後に、前記積層体から前記剥離フィルムを剥離して除去することを特徴とする、薄膜エンジニアリングプラスチックフィルムの製造方法。
  8. 熱水、薬品、滅菌、オゾン、電子線照射、ガンマ線照射の何れかの処理を行った請求項3に記載の薄膜フィルム。
  9. 120℃×100%RHの環境下、96時間のプレッシャークッカー試験前後での引張伸度保持率が35%以上である請求項3に記載の薄膜フィルム。
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