JP7302587B2 - 複合材料用部材、複合材料、移動体及びフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特に断らない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
また、本発明の他の実施形態である複合材料用部材は、ポリアリールエーテルケトンを主成分として含む樹脂成分を含有する複合材料用部材であって、該樹脂成分の分子量分布が4以上8以下、質量平均分子量が88000以上であり、該複合材料用部材が板状部材である。
好ましくは、前記ポリアリールエーテルケトンの分子量分布が4以上8以下、質量平均分子量が88000以上である。以下、詳細に説明する。
本発明の複合材料用部材に含まれる樹脂成分は、ポリアリールエーテルケトンを主成分として含み、分子量分布が4以上8以下、質量平均分子量が88000以上であれば特に制限はない。
一方、質量平均分子量は150000以下であることが好ましく、140000以下であることがより好ましく、135000以下であることがさらに好ましく、130000以下であることがよりさらに好ましく、125000以下であることが特に好ましく、120000以下であることがとりわけ好ましく、115000以下であることが最も好ましい。質量平均分子量が前記上限値以下であれば、結晶化度や結晶化速度、溶融成形時の流動性に優れる傾向となる。
以下、ポリアリールエーテルケトンについて説明する。
ポリアリールエーテルケトンは、1つ以上のアリール基、1つ以上のエーテル基及び1つ以上のケトン基を含むモノマー単位を含有する単独重合体又は共重合体である。例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトンケトン、ポリエーテルジフェニルエーテルケトン等や、これらの共重合体(例えば、ポリエーテルケトン-ポリエーテルジフェニルエーテルケトン共重合体)を挙げることができる。なかでも、耐熱性、機械特性、耐薬品性等に優れる点で、ポリエーテルエーテルケトンが特に好ましい。
[ポリエーテルエーテルケトン]
ポリエーテルエーテルケトンは、少なくとも2つのエーテル基とケトン基とを構造単位として有する樹脂であればよいが、熱安定性、溶融成形性、剛性、耐薬品性、耐衝撃性、耐久性に優れることから、好ましくは下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するものである。
一方、ポリエーテルエーテルケトンの分子量分布は8以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、6.5以下であることがさらに好ましく、6以下であることがよりさらに好ましく、5.7以下であることが特に好ましく、5.5以下であることがとりわけ好ましく、5.3以下であることが最も好ましい。分子量分布が前記上限値以下であれば、高分子量成分と低分子量成分の割合が多すぎないため、結晶化度と流動性、機械特性のバランスに優れる傾向となる。
一方、質量平均分子量は150000以下であることが好ましく、140000以下であることがより好ましく、135000以下であることがさらに好ましく、130000以下であることがよりさらに好ましく、125000以下であることが特に好ましく、120000以下であることがとりわけ好ましく、115000以下であることが最も好ましい。質量平均分子量が前記上限値以下であれば、結晶化度や結晶化速度、溶融成形時の流動性に優れる傾向となる。
具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができるが、例えば以下の方法で測定することができる。
(1)ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂成分の非晶状態のフィルムを得る。例えば、ポリエーテルエーテルケトン等の樹脂ペレットを、例えば350~400℃でプレスした後急冷するか、押出機でフィルム化する場合はキャストロールの温度を低く、例えば20~140℃で冷却して非晶状態のフィルムを得る。
(2)前記フィルム9mgに、ペンタフルオロフェノール3gを加える。
(3)ヒートブロックを用い、100℃で60分間加熱溶解する。
(4)続いてヒートブロックから取り出し、放冷後、常温(約23℃)のクロロホルム6gを少しずつ静かに加え穏やかに振り混ぜる。
(5)その後0.45μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)カートリッジフィルターでろ過して得られた試料について、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を測定する。
上述したポリアリールエーテルケトン、好ましくはポリエーテルエーテルケトンを主成分として含み、分子量分布が4以上8以下、質量平均分子量が88000以上である樹脂成分は、樹脂と樹脂を強化するための繊維(強化繊維)とを含む複合材料を得るための材料部材である複合材料用部材(以下「本部材」という場合がある)として好適に用いることができ、なかでも、樹脂と数平均繊維長が5mm以上の強化繊維とを含む複合材料用の部材としてより好適に用いることができる。本部材は、特に、上述した特定の分子量分布と質量平均分子量を有するポリアリールエーテルケトン、好ましくはポリエーテルエーテルケトンを含むことにより、得られる複合材料用部材は、剛性、耐久性、耐衝撃性、生産性に優れる傾向となる。特定のポリアリールエーテルケトン、特にポリエーテルエーテルケトンを含むことによるこれらの利点は、強化繊維として数平均繊維長が5mm以上のものと複合させる場合に特に顕著となる。
本部材の結晶融解温度は、330℃以上であることが好ましく、332℃以上であることがより好ましく、334℃以上であることがさらに好ましく、336℃以上であることが特に好ましい。本部材の結晶融解温度が前記下限値以上であれば、耐熱性に優れる傾向となる。一方、結晶融解温度は370℃以下であることが好ましく、365℃以下であることがより好ましく、360℃以下であることがさらに好ましく、355℃以下であることが特に好ましく、350℃以下であることが最も好ましい。本部材の結晶融解温度が前記上限値以下であれば、本部材を用いて強化繊維との複合材料を製造する際の繊維への含浸性等の二次加工性に優れる傾向となる。
本部材の結晶融解熱量は30J/g以上であることが好ましく、32J/g以上であることがより好ましく、34J/g以上であることがさらに好ましく、36J/g以上であることが特に好ましい。本部材の結晶融解熱量が前記下限値以上であれば、充分な結晶化度を有し、ひいては耐熱性と剛性に優れる傾向となる。また、強化繊維との複合材料とした場合も、耐熱性と剛性に優れる傾向となる。一方、本部材の結晶融解熱量は45J/g以下であることが好ましく、43J/g以下であることがより好ましく、40J/g以下であることがさらに好ましい。本部材の結晶融解熱量が前記上限値以下であれば、結晶化度が高すぎないため、強化繊維との複合材料を製造する際の繊維への含浸性等の二次加工性に優れる傾向となる。
本部材の降温過程における結晶化温度は288℃以上であることが好ましく、289℃以上であることがより好ましく、290℃以上であることがさらに好ましく、291℃以上であることが特に好ましい。本部材の降温過程における結晶化温度が前記下限値以上であれば、結晶化速度が大きく、強化繊維との複合材料を生産する際のサイクルを短くすることができ生産性に優れる傾向となる。
本部材の引張弾性率は3400MPa以上であることが好ましく、3500MPa以上であることがより好ましく、3600MPa以上であることがさらに好ましく、3650MPa以上であることが特に好ましく、3700MPa以上であることが最も好ましい。本部材に用いられるポリアリールエーテルケトン、好ましくはポリエーテルエーテルケトンは、分子量分布が広いため、剛性の高い結晶領域の割合が大きくなり、結果として引張弾性率が高くなりやすい。引張弾性率が前記下限値以上であれば剛性に優れ、得られる複合材料も剛性や強度に優れるものとなりやすい。
一方、引張弾性率は5000MPa以下であることが好ましく、4500MPa以下であることがより好ましく、4000MPa以下であることがさらに好ましく、3900MPa以下であることが特に好ましく、3800MPa以下であることが最も好ましい。引張弾性率が前記上限値以下であれば、剛性が高すぎることがなく、また得られる複合材料の賦形等の二次加工性にも優れる傾向となる。
なお、引張弾性率は、引張速度5mm/分の条件で測定するが、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本部材の耐折回数は5000回以上であることが好ましく、6000回以上であることがより好ましく、7000回以上であることがさらに好ましく、8000回以上であることが特に好ましく、9000回以上であることがとりわけ好ましく、10000回以上であることが最も好ましい。耐折回数がかかる範囲であれば、耐久性が充分に高く、また得られる複合材料も耐久性に優れ、繰り返し応力が加えられるような用途においても破壊しにくいものとなりやすい。なお、耐折回数はJIS P8115:2001に準拠し、厚み100μm、折り曲げ角度135度、折り曲げ速度175cpm、荷重9.8Nの条件で測定することができる。
本部材の厚み100μm、23℃、固定枠内径50mm、打ち抜きストライカー径12.7mm、試験速度3m/秒の条件で測定されるパンクチャー衝撃強度は0.2J以上であることが好ましく、0.4J以上であることがより好ましく、0.6J以上であることがさらに好ましく、0.8J以上であることが特に好ましい。23℃におけるパンクチャー衝撃強度がかかる範囲であれば、耐衝撃性が充分に高く、外部から衝撃が加わっても破壊しにくい複合材料用部材となりやすく、また得られる複合材料も耐衝撃性に優れるものとなりやすい。
なお、23℃及び-20℃におけるパンクチャー衝撃強度は、JIS K7124-2:1999を参考に、厚み100μm、測定サンプル固定枠の内径50mm、打ち抜きストライカー径12.7mm、試験速度3m/秒の条件で測定することができるが、本部材の厚みが1mm以上である場合には、JIS K7211-2:2006を参考にして、同様の条件で測定すればよい。
本部材の形状がフィルム、シート、板状等の長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さい薄い平らな形状である場合は、本部材の厚み精度は7%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、4%以下であることがさらに好ましく、3%以下であることが特に好ましく、2.5%以下であることがとりわけ好ましく、2%以下であることが最も好ましい。厚み精度がかかる範囲であれば、強化繊維と複合した際に、得られる複合材料中の強化繊維含有量のばらつきが小さくなりやすい、すなわち、複合材料の部位による強度等の機械的物性値のばらつきが小さく、機械物性の均一性の高い複合材料が得られやすくなる。厚み精度の下限は特に限定されるものではなく、0%であることが好ましいが、通常0.1%であり、0.3%であってもよく、0.5%であってもよく、0.8%であってもよく、1%であってもよい。
なお、厚み精度は、測定されるフィルム厚みの平均値と標準偏差から、下記の式1により算出することができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
[式1]
厚み精度(%)=標準偏差(μm)/平均値(μm)×100
本部材の形状がフィルム、シート、板状等の長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さい薄い平らな形状である場合は、少なくとも一面(片面)の表面粗さが特定の範囲であることが好ましい。具体的には、本部材の少なくとも片面の算術平均高さ(Sa)、最大高さ(Sz)、算術平均粗さ(Ra)、最大高さ粗さ(Rz)が後記する特定の範囲であることが好ましい。また、本部材の両面の表面粗さが後記する特定の範囲であることも好ましい。
本部材の少なくとも片面の算術平均高さ(Sa)は0.001μm以上であることが好ましく、0.005μm以上であることがより好ましく、0.007μm以上であることがさらに好ましく、0.01μm以上であることが特に好ましく、0.015μm以上であることがとりわけ好ましく、0.018μm以上であることが最も好ましい。また、算術平均高さ(Sa)は、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましく、0.1μm以下であることが特に好ましく、0.08μm以下であることがとりわけ好ましく、0.05μm以下であることが最も好ましい。
算術平均高さ(Sa)が前記下限値以上であれば、プリプレグ等の複合材料を製造する際の強化繊維シート等と積層する過程において、フィルムロール等からフィルム等を送り出す際の滑り性が低下することによりフィルム等が蛇行したり斜めになったりする不具合が発生しにくく、加工性に優れた複合材料用部材となりやすい。また、フィルムロール等に蓄積する静電気によりフィルム巻き出し時にスパークが発生しフィルム等の表面に傷を付けたり、浮遊している塵埃が静電気により引き寄せられフィルム等の表面に付着し、得られる複合材料中に異物が混入するといった問題も発生しにくく好ましい。また、算術平均高さ(Sa)が前記上限値以下であれば、強化繊維と複合した際に、得られる複合材料中の強化繊維含有量のばらつきが小さくなりやすい、すなわち、複合材料の部位による強度等の機械的物性値のばらつきが小さく、機械物性の均一性の高い複合材料が得られやすくなる。また、フィルムロール等からフィルム等を巻き出す際のフィルム搬送中に搬送ロール上でフィルム等が滑り、ずれ、捻じれ、しわ等が発生するといった問題も起こりにくいといった利点がある。
なお、算術平均高さ(Sa)は、白色干渉顕微鏡を用いて測定することができ、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本部材の少なくとも片面の最大高さ(Sz)は0.1μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましく、0.7μm以上であることが特に好ましく、0.8μm以上であることが最も好ましい。また、最大高さ(Sz)は10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であることが特に好ましく、2.5μm以下であることがとりわけ好ましく、2μm以下であることが最も好ましい。
最大高さ(Sz)が前記下限値以上であれば、プリプレグ等の複合材料を製造する際の強化繊維シート等と積層する過程において、フィルムロール等からフィルム等を送り出す際の滑り性が低下することによりフィルム等が蛇行したり斜めになったりする不具合が発生しにくく、加工性に優れた複合材料用部材となりやすい。また、フィルムロール等に蓄積する静電気によりフィルム巻き出し時にスパークが発生しフィルム等の表面に傷を付けたり、浮遊している塵埃が静電気により引き寄せられフィルム等の表面に付着し、得られる複合材料中に異物が混入するといった問題も発生しにくく好ましい。また、最大高さ(Sz)が前記上限値以下であれば、強化繊維と複合した際に、得られる複合材料中の強化繊維含有量のばらつきが小さくなりやすい、すなわち、複合材料の部位による強度等の機械的物性値のばらつきが小さく、機械物性の均一性の高い複合材料が得られやすくなる。また、フィルムロール等からフィルム等を巻き出す際のフィルム搬送中に搬送ロール上でフィルム等が滑り、ずれ、捻じれ、しわ等が発生するといった問題も起こりにくいといった利点がある。
なお、最大高さ(Sz)は、白色干渉顕微鏡を用いて測定することができ、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本部材の少なくとも片面の算術平均粗さ(Ra)は0.005μm以上であることが好ましく、0.008μm以上であることがより好ましく、0.01μm以上であることがさらに好ましく、0.015μm以上であることが特に好ましく、0.02μm以上であることが最も好ましい。また、算術平均粗さ(Ra)は1μm以下であることが好ましく、0.7μm以下であることがより好ましく、0.5μm以下であることがさらに好ましく、0.3μm以下であることがよりさらに好ましく、0.2μm以下であることが特に好ましく、0.15μm以下であることがとりわけ好ましく、0.1μm以下であることが最も好ましい。
算術平均粗さ(Ra)が前記下限値以上であれば、プリプレグ等の複合材料を製造する際の強化繊維シート等と積層する過程において、フィルムロール等からフィルム等を送り出す際の滑り性が低下することによりフィルム等が蛇行したり斜めになったりする不具合が発生しにくく、加工性に優れた複合材料用部材となりやすい。また、フィルムロール等に蓄積する静電気によりフィルム巻き出し時にスパークが発生しフィルム等の表面に傷を付けたり、浮遊している塵埃が静電気により引き寄せられフィルム等の表面に付着し、得られる複合材料中に異物が混入するといった問題も発生しにくく好ましい。また、算術平均粗さ(Ra)が前記上限値以下であれば、強化繊維と複合した際に、得られる複合材料中の強化繊維含有量のばらつきが小さくなりやすい、すなわち、複合材料の部位による強度等の機械的物性値のばらつきが小さく、機械物性の均一性の高い複合材料が得られやすくなる。また、フィルムロール等からフィルム等を巻き出す際のフィルム搬送中に搬送ロール上でフィルム等が滑り、ずれ、捻じれ、しわ等が発生するといった問題も起こりにくいといった利点がある。
なお、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601:2013に準拠し接触式表面粗さ計を用いて測定することができ、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本部材の少なくとも片面の最大高さ粗さ(Rz)は0.05μm以上であることが好ましく、0.08μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましく、0.15μm以上であることが特に好ましく、0.2μm以上であることが最も好ましい。また、最大高さ粗さ(Rz)は5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、2μm以下であることがさらに好ましく、1μm以下であることが特に好ましく、0.8μm以下であることが最も好ましい。
最大高さ粗さ(Rz)が前記下限値以上であれば、プリプレグ等の複合材料を製造する際の強化繊維シート等と積層する過程において、フィルムロール等からフィルム等を送り出す際の滑り性が低下することによりフィルム等が蛇行したり斜めになったりする不具合が発生しにくく、加工性に優れた複合材料用部材となりやすい。また、フィルムロール等に蓄積する静電気によりフィルム巻き出し時にスパークが発生しフィルム等の表面に傷を付けたり、浮遊している塵埃が静電気により引き寄せられフィルム等の表面に付着し、得られる複合材料中に異物が混入するといった問題も発生しにくく好ましい。また、最大高さ粗さ(Rz)が前記上限値以下であれば、強化繊維と複合した際に、得られる複合材料中の強化繊維含有量のばらつきが小さくなりやすい、すなわち、複合材料の部位による強度等の機械的物性値のばらつきが小さく、機械物性の均一性の高い複合材料が得られやすくなる。また、フィルムロール等からフィルム等を巻き出す際のフィルム搬送中に搬送ロール上でフィルム等が滑り、ずれ、捻じれ、しわ等が発生するといった問題も起こりにくいといった利点がある。
なお、最大高さ粗さ(Rz)は、JIS B0601:2013に準拠し接触式表面粗さ計を用いて測定することができ、具体的には後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本部材の相対結晶化度は50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが特に好ましく、90%以上であることがとりわけ好ましく、95%以上であることが最も好ましい。また、上限は、通常100%である。本部材の相対結晶化度が、前記下限値以上であると、本部材と強化繊維とを加熱圧着させ複合材料とする際に熱による収縮を抑制することが容易となり、また、耐熱性や剛性により優れたものとすることができる。
なお、相対結晶化度は、示差走査熱量計(例えば、パーキンエルマー社製「Pyris1 DSC」)を用いて、温度範囲25~400℃、加熱速度10℃/分で昇温し、このときに得られる結晶融解ピークの熱量(J/g)、再結晶化ピークの熱量(J/g)から下記の式2を用いて算出することで得られる。
[式2]
相対結晶化度(%)={1-(ΔHc/ΔHm)}×100
ΔHc:本部材の10℃/分の昇温条件下での再結晶化ピークの熱量(J/g)
ΔHm:本部材の10℃/分の昇温条件下での結晶融解ピークの熱量(J/g)
本部材の比重は、1.27以上であることが好ましく、1.28以上であることがより好ましい。相対結晶化度と比重は相関があり、通常は、相対結晶化度が高いほど、比重が高いものとなりやすい。そのため、比重が前記下限値以上であると、本部材と強化繊維とを加熱圧着等させ複合材料とする際に熱による収縮を抑制することができる傾向となり、また、耐熱性や剛性に優れたものとすることができる傾向となる。一方、本部材の比重は、1.35以下であることが好ましく、1.34以下であることがより好ましい。
なお、比重は、JIS K7112:1999(D法)の測定方法に準拠し、温度23℃の条件により測定した値である。
本部材の加熱収縮率は、2.5%以下であることが好ましく、2.2%以下であることがより好ましく、1.8%以下であることがさらに好ましく、1.5%以下であることが特に好ましく、1.2%以下であることがとりわけ好ましく、0.8%以下であることが殊に好ましく、0.7%以下であることが最も好ましい。加熱収縮率を前記上限値以下とすることにより、本部材と強化繊維とを加熱圧着等させ複合材料とする際に熱による収縮を抑制することができる傾向となり、得られる複合材料もシワ等の外観不良が発生しにくい傾向となる。本部材の加熱収縮率の下限は特に限定されるものではなく0%であることが好ましいが、0.1%であってもよく、0.2%であってもよく、0.3%であってもよい。
加熱収縮率は、フィルム状等とした本部材から切り出した大きさ120mm×120mmの試験片に、樹脂の流れ方向(MD)に直交する方向(TD)に100mm間隔の標線を付け、この試験片を200℃の環境下に10分間静置し、加熱前後の標線間距離から、下記の式3により求められる。
[式3]
加熱収縮率(%)=[(加熱前の標線間距離-加熱後の標線間距離)/加熱前の標線間距離]×100
本部材の加熱収縮応力は、1.2mN以下であることが好ましく、1mN以下であることがより好ましく、0.8mN以下であることがさらに好ましく、0.5mN以下であることが特に好ましく、0.3mN以下であることが最も好ましい。加熱収縮応力を前記上限値以下とすることにより、本部材と強化繊維とを加熱圧着等させ複合材料とする際に熱による収縮を抑制することができる傾向となり、得られる複合材料もシワ等の外観不良が発生しにくい傾向となる。本部材の加熱収縮応力の下限は特に限定されるものではなく0mNであることが好ましい。
加熱収縮応力は、以下の方法で求めることができる。
フィルム状等とした本部材から長さ10mm、幅3mmの短冊状の試験片を切り出し、熱機械分析装置(例えば、日立ハイテクサイエンス社製熱機械分析装置「TMA7100」)を用いて、試験片の一端を荷重検出器のチャックに、他端を固定チャックにセットし、荷重をかけない状態で室温(23℃)から340℃まで昇温速度5℃/分で加熱し、145℃における応力値を測定する。樹脂の流れ方向(MD)とそれと直交する方向(TD)についてそれぞれ測定を行い、応力値が大きい方を本発明の加熱収縮応力とする。
パウダー、ペレット等の形状のものを用いる場合は、原料の樹脂をそのまま用いてもよいし、パウダー状、ペレット状等に加工したものであってもよい。また、その他の形状である場合は、一般の成形法、例えば、押出成形、射出成形、溶融流延法等の流延成形、プレス成形等によって成形して、各種形状、好ましくはフィルム、板等の部材に成形できる。それぞれの成形方法において、装置及び加工条件は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。特に、後述の強化繊維との複合材料とする際の加工性の観点から、押出成形法、特にTダイ法によってフィルムとされた複合材料用部材であることが好ましい。
本部材がフィルムである場合、フィルムの製造方法は特に限定されないが、例えば、無延伸又は延伸フィルムとして得ることができる。複合材料を製造する際の二次加工性の観点から、無延伸フィルムとして得ることが好ましい。なお、無延伸フィルムとは、フィルムの配向を制御する目的で積極的に延伸しないフィルムであり、Tダイ法等の押出成形等においてキャストロールにより引き取る際に配向したフィルムや、延伸ロールでの延伸倍率が2倍未満であるフィルムも含むものとする。
例えば、樹脂成分としてポリエーテルエーテルケトンを含む場合、冷却温度(キャストロール温度)は180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましい。より高い結晶化度のフィルムを得る場合は、冷却温度(キャストロール温度)は210℃以上であることが特に好ましく、220℃以上であることが最も好ましい。一方、冷却温度(キャストロール温度)は300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、270℃以下であることがさらに好ましく、260℃以下であることが特に好ましく、250℃以下であることがとりわけ好ましく、240℃以下であることが最も好ましい。
特に、樹脂成分としてポリエーテルエーテルケトンを主成分として含む場合、冷却温度は180℃以上であることが好ましく、190℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、210℃以上であることが特に好ましい。
一方、冷却温度は300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、260℃以下であることがさらに好ましく、250℃以下であることが特に好ましく、240℃以下であることが最も好ましい。
(1)Tダイ等のダイのリップボルトを機械的に回転させてリップ開度を調整する方法
(2)ダイリップに一定間隔で加熱装置を付けそれらを個別に温度調整して、溶融樹脂の粘度の温度変化を利用しフィルム厚みを調整する方法
(3)フィルム状に押し出された溶融樹脂の膜振動や脈動ができるだけ発生しないように、ダイとキャストロールとの距離を調整する方法
(4)フィルム状に押し出された溶融樹脂がキャストロールに接触する際に周囲の空気等の気体の流れにより脈動しないように、プレートや覆いを設置して空気の流れを遮断する方法
(5)フィルム状に押し出す際の吐出量の変動が起きないように調整する方法
(6)キャストロールの回転変動率を小さくしロールの回転むらを抑える方法
(7)フィルム状に押し出された溶融樹脂に高電圧を印加した電極より静電荷を付与し、静電気力でキャストロールに密着させる方法(静電密着法)
(8)フィルム状に押し出された溶融樹脂にカーテン状の圧縮空気を吹き付け、キャストロールに密着させる方法
(9)フィルム状に押し出された溶融樹脂をニップロールによってキャストロールに密着させる方法
等が挙げられる。
なお、フィルムの厚みは、具体的には実施例の方法により測定される平均厚みをいう。
本部材は、剛性、耐久性、耐衝撃性、生産性に優れるため、樹脂と強化繊維、特に数平均繊維長が5mm以上の強化繊維との複合用の材料として用いることができる。特に、本部材がフィルムである場合に、数平均繊維長が5mm以上の強化繊維との複合用の材料として好適に使用することができる。
なお、強化繊維の数平均繊維長は、走査型電子顕微鏡等の電子顕微鏡や光学顕微鏡を用いて強化繊維を観察した際に、最も長さが長く観察される部分の平均長さをいう。具体的には、複合材料中に存在する強化繊維の長さ方向が観察可能な断面に対して観察を行い、測定された繊維長を数平均化することで求めることができる。
また別の方法として、溶媒等により樹脂成分を除去した強化繊維を適当な分散剤に分散させた分散液を薄膜ラミネートし、強化繊維をスキャナー等で撮影した画像を用いて、画像処理ソフト等により数平均繊維長を求める方法も挙げられる。
具体的には、分子量分布が4以上8以下、質量平均分子量が88000以上の樹脂成分を準備して押出機で溶融混練し、口金から溶融樹脂を押出し、該溶融樹脂をキャストロールで冷却させることによりフィルム形状とし、冷却後のフィルムの結晶化温度を288℃以上320℃以下とし、引張速度5mm/分の条件で測定される引張弾性率を3400MPa以上5000MPa以下とすることを特徴とする、フィルムの製造方法である。
実施例及び比較例においては、表1に記載の数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、結晶融解温度(Tm)、結晶融解熱量(ΔHm)、結晶化温度(Tc)を有するポリエーテルエーテルケトンを原料として用い、フィルムを製造した。
表1に記載のポリエーテルエーテルケトンの原料ペレットをΦ40mm単軸押出機に投入して混練しながら溶融させ、口金(Tダイ)から押出し、キャストロール(算術平均粗さ(Ra)が0.03μm、最大高さ粗さ(Rz)が0.34μm)に密着・冷却させ、厚み100μmの結晶化フィルムを得た。押出機、導管、口金(Tダイ)の温度は380℃とし、キャストロールの温度は210℃、ダイリップのリップクリアランスの調整を適宜行って製膜した。なお、押出機出口の樹脂温度は400℃であった。得られた厚み100μmの結晶化フィルムについて、下記記載の方法で結晶融解温度、結晶融解熱量、結晶化温度、耐折回数、パンクチャー衝撃強度及び引張弾性率の評価を行った。また、厚みを50μmとすること以外は同じ条件で別途厚み50μmの結晶化フィルムを作製し、このフィルムについて、厚み精度、表面粗さ、相対結晶化度、比重、加熱収縮率及び加熱収縮応力の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
上記実施例及び比較例で使用した樹脂原料及び上述の方法で得られたフィルムは、以下のようにして各種項目についての評価測定を行った。なお、フィルムの「縦」とは、口金(Tダイ)からフィルムが押し出されてくる方向(MD)を指し、フィルム面内でこれに直交する方向を「横」(TD)とする。
原料樹脂ペレットについて、ゲル浸透クロマトグラフィー(HLC-8320GPC(東ソー社製))を用いて、下記条件で測定した。
・カラム:TSKgel guardcolumn SuperH-H(4.6mmI.D.×3.5cm)+TSKgel SuperHM-H(6.0mmI.D.×15cm)×2本(東ソー社製)
・溶離液:ペンタフルオロフェノール/クロロホルム=1/2(質量比)
・検出器:示差屈折率計、polarity=(+)
・流速:0.6mL/分
・カラム温度:40℃
・試料濃度:0.1質量%
・試料注入量:20μL
・検量線:標準ポリスチレン(東ソー社製)を用いた3次近似曲線
原料樹脂ペレット及び上述の方法で得られたフィルムについて、JIS K7121:2012に準じて、パーキンエルマー社製示差走査熱量計「Pyris1 DSC」を用いて、温度範囲25~400℃、加熱速度10℃/分で昇温させ、検出されたDSC曲線の融解ピークのピークトップ温度から求めた。
原料樹脂ペレット及び上述の方法で得られたフィルムについて、JIS K7122:2012に準じて、パーキンエルマー社製示差走査熱量計「Pyris1 DSC」を用いて、温度範囲25~400℃、加熱速度10℃/分で昇温させ、検出されたDSC曲線の融解ピークの面積から結晶融解熱量を求めた。
原料樹脂ペレット及び上述の方法で得られたフィルムについて、JIS K7121:2012に準じて、パーキンエルマー社製示差走査熱量計「Pyris1 DSC」を用いて、温度範囲400~25℃、速度10℃/分で降温させ、検出されたDSC曲線の結晶化ピークのピークトップ温度から求めた。
上述の方法で得られたフィルムについて、JIS P8115:2001に準拠して、折り曲げ角度135度、折り曲げ速度175cpm、測定荷重9.8Nの条件で、東洋精機製作所社製MIT耐折疲労試験機を用いて、耐折回数を測定した。なお、測定は10000回まで行い終了した。
上述の方法で得られたフィルムについて、JIS K7124-2:1999を参考に、島津製作所社製高速パンクチャー衝撃試験機「ハイドロショット HITS-P10」を用いて、23℃及び-20℃の温度環境下で、測定サンプル固定枠の内径50mm、打ち抜きストライカー径12.7mm、試験速度3m/秒の条件で測定した。
上述の方法で得られたフィルムから長さ400mm、幅5mmの短冊状試験片を作製し、インテスコ社製「引張圧縮試験機205型」を用い、チャック間距離300mm、引張速度5mm/分の条件で、23℃における引張弾性率を測定し、剛性の指標とした。フィルムの縦方向、横方向でそれぞれ測定を行い、得られた測定値の平均値を採用した。
1μm単位の分解能をもつマイクロメーターを用い、上述の方法で得られたフィルムの幅方向の中央部について、フィルム縦方向(樹脂の流れ方向:MD)に10mm間隔で30点、厚みを測定した。得られた測定結果の平均値と標準偏差から、下記の式1を用いて厚み精度を算出した。
[式1]
厚み精度(%)=標準偏差(μm)/平均値(μm)×100
(9-1)算術平均高さ(Sa)、最大高さ(Sz)
フィルム製膜の際にキャストロールに接した側の面について、BRUKER社製白色干渉顕微鏡「ContourGT-X」を用いて、接眼レンズ倍率1.0倍、対物レンズ倍率20倍、計測エリア縦235μm×横313μmの条件で測定を行い、ガウシアン関数でスムージング処理を実施した後に算術平均高さ(Sa)、最大高さ(Sz)を計算した。
フィルム製膜の際にキャストロールに接した側の面について、小坂研究所社製接触式表面粗さ計「Surf Coder ET4000A」を用いて、触針先端半径0.5mm、測定長さ8.0mm、基準長さ8.0mm、カットオフ値0.8mm、測定速度0.2mm/秒の条件でフィルム縦方向(樹脂の流れ方向)に測定を行い、算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ粗さ(Rz)を計算した。
上述の方法で得られたフィルムについて、パーキンエルマー社製示差走査熱量計「Pyris1 DSC」を用いて、フィルムを10℃/分の昇温速度で加熱し、このときに得られる結晶融解ピークの熱量(J/g)、再結晶化ピークの熱量(J/g)から下記の式2を用いて、相対結晶化度を算出した。
[式2]
相対結晶化度(%)={1-(ΔHc/ΔHm)}×100
ΔHc:フィルムの10℃/分の昇温条件下での再結晶化ピークの熱量(J/g)
ΔHm:フィルムの10℃/分の昇温条件下での結晶融解ピークの熱量(J/g)
上述の方法で得られたフィルムについて、JIS K7112:1999(D法)に準拠して、温度23℃の条件により比重を測定した。
上述の方法で得られたフィルムから切り出した大きさ120mm×120mmの試験片に、フィルムの横方向に100mm間隔の標線を付け、この試験片を200℃の環境下に10分間静置し、加熱前後の標線間距離から、下記の式3により求めた。
[式3]
加熱収縮率(%)=[(加熱前の標線間距離-加熱後の標線間距離)/加熱前の標線間距離]×100
上述の方法で得られたフィルムから長さ10mm、幅3mmの短冊状の試験片を切り出し、日立ハイテクサイエンス社製熱機械分析装置「TMA7100」を用いて、試験片の一端を荷重検出器のチャックに、他端を固定チャックにセットし、荷重をかけない状態で室温(23℃)から340℃まで昇温速度5℃/分で加熱し、145℃における応力値を測定した。フィルムの縦方向と横方向についてそれぞれ測定を行い、応力値が大きい方向の値を加熱収縮応力(mN)とした。
なお、本測定方法において、加熱収縮応力がマイナスの値は、加熱収縮がないことを意味する。
また、質量平均分子量が88000以上であるため、得られたフィルムが完全に結晶化した場合でも結晶化度が低めに抑えられており、耐久性(耐折回数)及び耐衝撃性(パンクチャー衝撃強度)が高いことが分かった。
特に、実施例1と比較例1とを比較すると、比較例1の方が質量平均分子量が小さく結晶構造を取りやすいはずであるが、実施例1の方が結晶化温度が高く、引張弾性率も高いことから、分子量分布の影響が強く反映されていることが分かる。
なお、実施例、比較例のフィルムは、DSC昇温過程において結晶化に伴う発熱ピークが確認されず、完全に結晶化していること(相対結晶化度100%)を確認した。
2 口金
3 圧着ロール
4 キャストロール
5 フィルム
Claims (27)
- 前記樹脂成分中のポリアリールエーテルケトンの含有割合が90質量%超である、請求項1に記載の複合材料用部材。
- 前記樹脂成分の質量平均分子量が150000以下である、請求項1又は2に記載の複合材料用部材。
- 前記ポリアリールエーテルケトンの分子量分布が4以上8以下、質量平均分子量が88000以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 前記ポリアリールエーテルケトンの質量平均分子量が150000以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 結晶融解熱量が30J/g以上45J/g以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 結晶化温度が288℃以上320℃以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 引張速度5mm/分の条件で測定される引張弾性率が3400MPa以上5000MPa以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 厚み100μm、折り曲げ角度135度、折り曲げ速度175cpm、荷重9.8Nの条件で測定される耐折回数が5000回以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 厚み100μm、23℃、固定枠内径50mm、打ち抜きストライカー径12.7mm、試験速度3m/秒の条件で測定されるパンクチャー衝撃強度が0.2J以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 厚み100μm、-20℃、固定枠内径50mm、打ち抜きストライカー径12.7mm、試験速度3m/秒の条件で測定されるパンクチャー衝撃強度が0.2J以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 厚み精度が7%以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 少なくとも一面における表面の算術平均高さが0.001~1μmである、請求項1~12のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 少なくとも一面における表面の最大高さが0.1~10μmである、請求項1~13のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 少なくとも一面における表面の算術平均粗さが0.005~1μmである、請求項1~14のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 少なくとも一面における表面の最大高さ粗さが0.05~5μmである、請求項1~15のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 相対結晶化度が50%以上である、請求項1~16のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- フィルムである、請求項1~17のいずれか1項に記載の複合材料用部材。
- 請求項1~18のいずれか1項に記載の複合材料用部材を強化繊維と複合させてなる、複合材料。
- プリプレグである、請求項19に記載の複合材料。
- 請求項19又は20に記載の複合材料を用いた、航空機、自動車、船舶又は鉄道車両である移動体。
- 前記ポリアリールエーテルケトンがポリエーテルエーテルケトンである、請求項22に記載の複合材料用部材。
- 前記板状部材がフィルムである、請求項22又は23に記載の複合材料用部材。
- ポリアリールエーテルケトンを主成分として含む樹脂成分を含有するフィルムの製造方法であって、該樹脂成分として分子量分布が4以上8以下、質量平均分子量が88000以上の樹脂成分を準備して押出機で溶融混練し、口金から溶融樹脂を押出し、該溶融樹脂をキャストロールで冷却させることによりフィルム形状とし、冷却後のフィルムの結晶化温度を288℃以上320℃以下とし、引張速度5mm/分の条件で測定される引張弾性率を3400MPa以上5000MPa以下とすることを特徴とする、フィルムの製造方法。
- 前記ポリアリールエーテルケトンの分子量分布が4以上8以下、質量平均分子量が88000以上である、請求項25に記載のフィルムの製造方法。
- 前記冷却後のフィルムの、厚み100μm、折り曲げ角度135度、折り曲げ速度175cpm、荷重9.8Nの条件で測定される耐折回数を5000回以上とし、厚み100μm、固定枠内径50mm、打ち抜きストライカー径12.7mm、試験速度3m/秒の条件で測定される、23℃におけるパンクチャー衝撃強度を0.2J以上とするとともに、-20℃におけるパンクチャー衝撃強度を0.2J以上とすることを特徴とする、請求項25又は26に記載のフィルムの製造方法。
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