JP2024074510A - フィルム及びフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強化繊維に対する含浸性及び靭性が改善されたフィルム及びその製造方法の提供。【解決手段】下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂(A)が配合され、前記ポリエーテルイミド樹脂(A)の重量平均分子量(MwA)が47000~65000であり、前記ポリエーテルイミド樹脂(A)の数平均分子量(MnA)に対する前記重量平均分子量(MwA)の比である分子量分布(MwA/MnA)が2.2~5.0である、フィルム。TIFF2024074510000006.tif51170(式(1)中、nは10~100の数である。)【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム及びフィルムの製造方法に関する。
近年、電気・電子機器や自動車、航空機等の用途に用いるフィルムとして、耐熱性や機械特性、耐久性に優れていることから、ポリエーテルイミド(PEI)やポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等に代表されるスーパーエンジニアリングプラスチックが広く採用されている。
スーパーエンジニアリングプラスチックの中でも、比較的に安価であるポリエーテルイミドが、耐熱性や機械特性、耐久性にも優れるため、電気・電子機器や自動車、航空機等の用途向けに注目されている。
スーパーエンジニアリングプラスチックは、自動車や航空機向けの金属代替材料としての利用が期待されている。軽量、高剛性化させるため、スーパーエンジニアリングプラスチックはガラス繊維や炭素繊維と複合化し、繊維強化プラスチック(複合材料)として用いられることがある。
繊維強化プラスチックを得るための成形材料である、繊維強化プラスチックの前駆体(中間体)としては、プリプレグが用いられる。プリプレグとしては、炭素繊維等の強化繊維の一方向若しくは織物状等のシートと、熱可塑性樹脂製のパウダー又はフィルムとを複合化させたものが代表的である。プリプレグを最終的にプレス機やオートクレーブ等を用いた加工工程に供することにより、繊維強化プラスチックを得ることができる。
特許文献1には、分子量が特定の範囲にあるポリエーテルイミドと強化繊維とを組み合わせることで、良好な成形性を維持しつつ、耐熱性と靭性を兼ね備えたプリプレグが開示されている。
特開平6-179759号公報
本発明の目的の一つは、強化繊維に対する含浸性及び靭性が改善されたフィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂(A)が配合され、
前記ポリエーテルイミド樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が47000~65000であり、
前記ポリエーテルイミド樹脂(A)の数平均分子量(Mn)に対する前記重量平均分子量(Mw)の比である分子量分布(Mw/Mn)が2.2~5.0である、フィルム。
Figure 2024074510000001
式(1)中、nは10~100の数である。
[2] 前記数平均分子量(Mn)が17500~23000である、前記[1]のフィルム。
[3] 前記フィルムのTD方向の引張破断伸度が20%以上である、前記[1]又は[2]のフィルム。
[4] 前記フィルムの引張弾性率が2.5GPa以上である、前記[1]~[3]のいずれかのフィルム。
[5] 前記フィルムの総質量に対して、前記ポリエーテルイミド樹脂(A)を80質量%以上含む、前記[1]~[4]のいずれかのフィルム。
[6] 前記フィルムの厚さが5~200μmである、前記[1]~[5]のいずれかのフィルム。
[7] 前記[1]~[6]のいずれかのフィルムの製造方法であって、
前記フィルムの製造に用いる樹脂組成物に、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有し、重量平均分子量(Mwa1)が25000~50000であるポリエーテルイミド樹脂(a1)を配合する、フィルムの製造方法。
[8] 前記ポリエーテルイミド樹脂(a1)の数平均分子量(Mna1)が10000~22000である、前記[7]のフィルムの製造方法。
[9] 前記ポリエーテルイミド樹脂(A)の総質量に対して、前記ポリエーテルイミド樹脂(a1)の割合が10~90質量%となるように、前記樹脂組成物に前記ポリエーテルイミド樹脂(a1)を配合する、前記[7]又は[8]のフィルムの製造方法。
本発明によれば、強化繊維に対する含浸性及び靭性が改善されたフィルム及びその製造方法を提供できる。
[フィルム]
以下、本発明のフィルムの一実施形態について説明する。
本実施形態のフィルムは、以下に示すポリエーテルイミド樹脂(A)が配合されている。すなわち、本実施形態のフィルムは、ポリエーテルイミド樹脂(A)を含むフィルムである。
フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、ポリエーテルイミド樹脂(A)に加えて、ポリエーテルイミド樹脂(A)以外の成分(以下、「任意成分」ともいう。)がさらに配合されていてもよい。
フィルムは、シートを包含するものとする。一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K 6900:1994)。一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでないため、本発明においては、フィルムはシートを包含するものとする。よって、「フィルム」は「シート」であってもよい。
<ポリエーテルイミド樹脂(A)>
フィルムに配合されるポリエーテルイミド樹脂(A)は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(1)」ともいう。)を有する。
Figure 2024074510000002
式(1)中、nは10~100の数である。
nは、耐熱性の観点から、15~90の数が好ましく、20~80の数がより好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の総質量に対する、繰り返し単位(1)の割合は、10~100質量%が好ましく、30~100質量%がより好ましく、50~100質量%がさらに好ましい。
なお、nはポリエーテルイミド樹脂(A)全体から算出される値である。例えば、分子量の異なる一般式(1)で表される繰り返し単位を有する樹脂2種を配合した場合、両樹脂が配合された樹脂全体のGPC測定値からnを求める。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、47000~65000であり、50000~63000が好ましく、53000~61000がより好ましく、55000~60000がさらに好ましい。重量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であれば、フィルムの靭性が高まる。重量平均分子量(Mw)が上記上限値以下であれば、フィルムの溶融粘度の上昇を抑制でき、強化繊維に対するフィルムの含浸性が高まる。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で算出した分子量である。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、17500~23000が好ましく、18000~22500がより好ましく、18500~22000がさらに好ましく、19000~21500が特に好ましい。数平均分子量(Mn)が上記下限値以上であれば、フィルムの靭性が高まる。数平均分子量(Mn)が上記上限値以下であれば、フィルムの溶融粘度の上昇を抑制でき、強化繊維に対するフィルムの含浸性が高まる。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で算出した分子量である。
数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比である分子量分布(Mw/Mn)は、2.2~5.0であり、2.4~4.5が好ましく、2.5~4.0がより好ましく、2.7~3.5がさらに好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が上記下限値以上であれば、フィルムの溶融粘度の上昇を抑制でき、強化繊維に対するフィルムの含浸性が高まる。分子量分布(Mw/Mn)が上記上限値以下であれば、詳しくは後述するが、ポリエーテルイミド樹脂(A)が2種以上の樹脂で構成されている場合、ポリエーテルイミド樹脂(A)を構成する樹脂において、高分子量成分と低分子量成分の割合が多すぎないため、流動性と靭性のバランスに優れる。
ポリエーテルイミド樹脂(A)のメルトボリュームレート(MVR)は、336℃、6.6kgfの条件で10~35cm/10分が好ましく、15~30cm/10分がより好ましく、18~28cm/10分がさらに好ましい。メルトボリュームレート(MVR)が上記下限値以上であれば、フィルムの溶融粘度の上昇をより抑制でき、強化繊維に対するフィルムの含浸性がより高まる。メルトボリュームレート(MVR)が上記上限値以下であれば、靭性に優れるフィルムとなる。
ポリエーテルイミド樹脂(A)のメルトボリュームレート(MVR)は、ISO 1133に準拠し、温度360℃、荷重5kgの条件にて測定される値である。
ポリエーテルイミド樹脂(A)は、例えば、4,4’-[イソプロピリデンビス(p-フェニレンオキシ)ジフタル酸二無水物と、m-フェニレンジアミンとの重縮合物として公知の方法によって合成される。
ポリエーテルイミド樹脂(A)は、1種類の樹脂で構成されていてもよいし、2種以上の樹脂で構成されていてもよい。重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内に制御しやすい観点から、ポリエーテルイミド樹脂(A)は2種以上の樹脂を配合してもよい。
ポリエーテルイミド樹脂(A)に配合される樹脂(すなわち、ポリエーテルイミド樹脂(A)を構成する樹脂)としては、例えば、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有し、重量平均分子量(Mwa1)が25000~50000であるポリエーテルイミド樹脂(a1)が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂(a1)の総質量に対する、繰り返し単位(1)の割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、95~100質量%がさらに好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(a1)の重量平均分子量(Mwa1)は、25000~50000であり、30000~48000が好ましく、35000~47000がより好ましく、40000~46000がさらに好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(a1)の数平均分子量(Mna1)は、10000~22000が好ましく、11000~21000がより好ましく、12000~20000がさらに好ましく、13000~19000が特に好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(a1)の重量平均分子量(Mwa1)及び数平均分子量(Mna1)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で算出した分子量である。
ポリエーテルイミド樹脂(a1)としては市販品を用いることができ、例えば、SABIC Innovative Plastics社製の商品名「Ultem(登録商標。以下同様。) 1040A」、「Ultem 1040P」等が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂(a1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の総質量に対するポリエーテルイミド樹脂(a1)の割合は、10~90質量%が好ましく、15~70質量%がより好ましく、15~60質量%がさらに好ましく、20~50質量%が特に好ましく、20~40質量%が最も好ましい。ポリエーテルイミド樹脂(a1)の割合が上記下限値以上であれば、フィルムの溶融粘度の上昇をより抑制でき、強化繊維に対するフィルムの含浸性がより高まる。ポリエーテルイミド樹脂(a1)の割合が上記上限値以下であれば、フィルムの靭性がより高まる。
ポリエーテルイミド樹脂(A)は、ポリエーテルイミド樹脂(a1)に加えて、重量平均分子量がポリエーテルイミド樹脂(a1)と異なるポリエーテルイミド樹脂(a2)が配合されたものであってもよい。上述したように、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を上記範囲内に制御しやすい観点から、ポリエーテルイミド樹脂(A)は、ポリエーテルイミド樹脂(a1)とポリエーテルイミド樹脂(a2)とが配合されていることが好ましい。すなわち、ポリエーテルイミド樹脂(A)は、少なくともポリエーテルイミド樹脂(a1)とポリエーテルイミド樹脂(a2)とで構成されていることが好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(a2)は、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有する。
ポリエーテルイミド樹脂(a2)の総質量に対する、繰り返し単位(1)の割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、95~100質量%がさらに好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(a2)の重量平均分子量(Mwa2)は、52000~80000が好ましく、55000~75000がより好ましく、57000~72000がさらに好ましく、60000~70000が特に好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(a2)の数平均分子量(Mna2)は、22500~35000が好ましく、23000~32000がより好ましく、23500~30000がさらに好ましく、24000~28000が特に好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(a2)の重量平均分子量(Mwa2)及び数平均分子量(Mna2)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で算出した分子量である。
ポリエーテルイミド樹脂(a2)としては市販品を用いることができ、例えば、SABIC Innovative Plastics社製の商品名「Ultem 1000」、「Ultem 1010」、「Ultem 1000P」、「Ultem 1010P」等が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂(a2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の総質量に対するポリエーテルイミド樹脂(a2)の割合は、10~90質量%が好ましく、30~85質量%がより好ましく、40~85質量%がさらに好ましく、50~80質量%が特に好ましく、60~80質量%が最も好ましい。ポリエーテルイミド樹脂(a2)の割合が上記下限値以上であれば、フィルムの靭性がより高まる。ポリエーテルイミド樹脂(a2)の割合が上記上限値以下であれば、フィルムの溶融粘度の上昇をより抑制でき、強化繊維に対するフィルムの含浸性がより高まる。
フィルムは、フィルムの総質量に対してポリエーテルイミド樹脂(A)を80質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上であり、100質量%とすることもできる。すなわち、フィルムは、ポリエーテルイミド樹脂(A)のみからなるものであってもよい。
ポリエーテルイミド樹脂(A)の含有量は上記下限値以上であれば、フィルムの強化繊維に対する含浸性及び靭性がより高まる。
<任意成分>
任意成分としては、例えば、ポリエーテルイミド樹脂(A)以外のポリエーテルイミド樹脂(B)、ポリエーテルイミド樹脂以外の樹脂(以下、「他の樹脂」ともいう。)、添加剤等が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂(B)としては、例えば、下記一般式(2)で表される繰り返し単位(以下、「繰り返し単位(2)」ともいう。)を有するものが挙げられる。
Figure 2024074510000003
式(2)中、mは5~1500の数である。
mは、耐熱性の観点から、10~1000の数が好ましく、20~500の数がより好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(B)の総質量に対する、繰り返し単位(1)の割合は、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、95~100質量%がさらに好ましい。
ポリエーテルイミド樹脂(B)としては市販品を用いることができ、SABIC Innovative Plastics社製の商品名「Ultem CRS5001」、「Ultem CRS5011」等が挙げられる。
ポリエーテルイミド樹脂(B)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエーテルイミド樹脂(B)の含有量は、フィルムの総質量に対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、実質的に含まないようにすることもできる。
なお、本明細書において「実質的に含まない」とは、意図せずして含有するものを除き、積極的に配合しないことを意味する。
他の樹脂としては、例えば、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)樹脂、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂や、アクリロニトリルとスチレンの共重合体等が挙げられる。
他の樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
他の樹脂の含有量は、フィルムの総質量に対して10質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
添加剤としては、難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤(顔料、染料等)、相溶化剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、導電性フィラー等が挙げられる。
添加剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤の含有量は、フィルムの総質量に対して5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
<物性等>
フィルムのTD方向の引張破断伸度は、20%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%以上が特に好ましい。TD方向の引張破断伸度が上記下限値以上であれば、フィルムの靭性に特に優れる。
TD方向の引張破断伸度の値は高いほど好ましく、上限値については特に制限されないが、例えば、TD方向の引張破断伸度は1000%以下とすることができる。
フィルムのMD方向の引張破断伸度は、20%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、100%以上が特に好ましい。MD方向の引張破断伸度が上記下限値以上であれば、成形部品製造に適用したとき成形品の靭性に優れる傾向がある。
MD方向の引張破断伸度の値は高いほど好ましく、上限値については特に制限されないが、例えば、MD方向の引張破断伸度は1000%以下とすることができる。
なお、MD方向とは、フィルム製造時のフィルムの流れ方向(長手方向)、すなわち機械方向である。TD方向とは、フィルムを平面視したときにMD方向に対して垂直な方向(幅方向)である。
TD方向及びMD方向の引張破断伸度は、JIS K 7127:1999に準拠し、温度23℃、相対湿度50%、試験速度200mm/分、つかみ間隔50mmの条件にて測定される値である。
フィルムの引張弾性率は、2.5GPa以上が好ましく、2.7GPa以上がより好ましく、2.9GPa以上がさらに好ましく、3.0GPa以上が特に好ましい。引張弾性率が上記下限値以上であれば、成形部品製造に適用したとき成形品の剛性に優れる傾向がある。
引張弾性率の値は高いほど好ましく、上限値については特に制限されないが、例えば、引張弾性率は10.0GPa以下とすることができる。
なお、フィルムのTD方向の引張弾性率及びフィルムのMD方向の引張弾性率の少なくとも一方が、上記範囲内であること、すなわち2.5GPa以上であることが好ましく、フィルムのTD方向の引張弾性率及びフィルムのMD方向の引張弾性率の両方が、上記範囲内であることがより好ましい。
TD方向及びMD方向の引張弾性率は、万能材料試験機を用い、温度23℃、相対湿度50%、引張速度5mm/分、つかみ間隔50mmの条件にて測定される値である。
フィルムの溶融粘度は、200~950Pa・sが好ましく、300~900Pa・sがより好ましく、400~850Pa・sがさらに好ましい。フィルムの溶融粘度が上記下限値以上であれば、フィルムの靭性がより高まる。フィルムの溶融粘度が上記上限値以下であれば、強化繊維に対する含浸性がより高まる。
フィルムの溶融粘度は、温度360℃、せん断速度100sec-1の条件にて測定される値である。
フィルムの厚さは、5~200μmが好ましく、8~100μmがより好ましく、10~50μmがさらに好ましい。フィルムの厚さが上記下限値以上であれば、強化繊維への含浸性を高めつつ、プリプレグを構成する強化繊維とポリエーテルイミド樹脂(A)との接着性を十分に確保しやすい。フィルムの厚さが上記上限値以下であれば、プリプレグを薄くできるため、プリプレグを成形して得られる繊維強化プラスチックを軽量化できる。
フィルムの厚さは、マイクロメーターを用い、温度23℃の条件にて測定される値である。
<フィルムの製造方法>
ポリエーテルイミド樹脂(A)を含むフィルムは、例えば、ポリエーテルイミド樹脂(a1)を配合した樹脂組成物(C)を用い、この樹脂組成物(C)をフィルム状に成形することで得られる。すなわち、フィルムの製造方法は、例えば、樹脂組成物(C)を成形してフィルムを得る工程を含む。
ポリエーテルイミド樹脂(A)を含むフィルムが容易に得られやすくなる観点から、樹脂組成物(C)に、ポリエーテルイミド樹脂(a1)に加えて、上述したポリエーテルイミド樹脂(a2)をさらに配合することがより好ましい。また、必要に応じて、樹脂組成物(C)に、上述した任意成分をさらに配合してもよい。
なお、樹脂組成物(C)がポリエーテルイミド樹脂(a1)を含む場合、ポリエーテルイミド樹脂(a1)で構成されたポリエーテルイミド樹脂(A)を含むフィルムが得られる。
樹脂組成物(C)がポリエーテルイミド樹脂(a1)及びポリエーテルイミド樹脂(a2)を含む場合、ポリエーテルイミド樹脂(a1)及びポリエーテルイミド樹脂(a2)で構成されたポリエーテルイミド樹脂(A)を含むフィルムが得られる。
樹脂組成物(C)がポリエーテルイミド樹脂(a1)及びポリエーテルイミド樹脂(a2)と任意成分とを含む場合、ポリエーテルイミド樹脂(a1)及びポリエーテルイミド樹脂(a2)で構成されたポリエーテルイミド樹脂(A)と任意成分とを含むフィルムが得られる。
ポリエーテルイミド樹脂(a1)の配合割合は、ポリエーテルイミド樹脂(A)を含むフィルムが得られれば特に限定されないが、ポリエーテルイミド樹脂(A)の総質量に対して、ポリエーテルイミド樹脂(a1)の割合が10~90質量%となるように樹脂組成物(C)にポリエーテルイミド樹脂(a1)を配合することが好ましく、より好ましくは15~70質量%であり、さらに好ましくは15~60質量%であり、特に好ましくは20~50質量%であり、最も好ましくは20~40質量%である。ポリエーテルイミド樹脂(a1)の割合が上記下限値以上であれば、フィルムの溶融粘度の上昇をより抑制でき、強化繊維に対するフィルムの含浸性がより高まる。ポリエーテルイミド樹脂(a1)の割合が上記上限値以下であれば、フィルムの靭性がより高まる。
また、ポリエーテルイミド樹脂(A)の総質量に対して、ポリエーテルイミド樹脂(a2)の割合が10~90質量%となるように樹脂組成物(C)にポリエーテルイミド樹脂(a2)を配合することが好ましく、より好ましくは30~85質量%であり、さらに好ましくは40~85質量%であり、特に好ましくは50~80質量%であり、最も好ましくは60~80質量%である。ポリエーテルイミド樹脂(a2)の割合が上記下限値以上であれば、フィルムの靭性がより高まる。ポリエーテルイミド樹脂(a2)の割合が上記上限値以下であれば、フィルムの溶融粘度の上昇をより抑制でき、強化繊維に対するフィルムの含浸性がより高まる。溶融粘度調整の観点から、ポリエーテルイミド樹脂(a2)は、ポリエーテルイミド樹脂(a1)より多く配合されることが好ましい。
樹脂組成物(C)は、例えば、ポリエーテルイミド樹脂(a1)及びポリエーテルイミド樹脂(a2)と、必要に応じて任意成分とを混合機を用いて予め混合した後、混練機を用いて溶融混練することで得られる。
混合機としては、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
混練機としては、例えば、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等が挙げられる。これらの中でも、各成分の分散性に優れる観点から、単軸混練押出機、二軸混練押出機が好ましい。
また、一部の成分(例えば、必要に応じて配合される任意成分)を予め混合し、押出機に供給して溶融混練することで得られるマスターバッチを再度、残りの成分と混合し、溶融混練することによって樹脂組成物(C)を製造することもできる。
溶融混練の温度は特に制限されないが、例えば、320~420℃が好ましく、330~400℃がより好ましい。
こうして得られた樹脂組成物(C)をフィルム状に成形することでフィルムが得られる。
フィルムは、無延伸フィルムでもよいし、延伸フィルムでもよいが、二次加工性の観点から、無延伸フィルムとして得ることが好ましい。
なお、「無延伸フィルム」とは、シートの配向を抑制する目的で、積極的に延伸しないフィルムであるが、ここでは、押出成形等において延伸ロールでの延伸倍率が2倍未満であるフィルムも含むものとする。
無延伸フィルムの場合、例えば、樹脂組成物(C)を押出成形し、冷却することにより製造することができる。また、樹脂組成物(C)を構成する成分を溶融混練した後、引き続きフィルム状に押出成形し、冷却することにより製造してもよい。
押出成形は、例えば、Tダイ等の金型を用いた押出成形により行うことができる。
冷却は、例えば、冷却されたキャストロール等の冷却機にフィルムを接触させて急冷することにより行うことができる。これにより、成形品が固化し、無延伸フィルムが得られる。
冷却温度は、溶融温度よりも低温であれば限定されないが、例えば、120~240℃が好ましく、140~220℃がより好ましい。
このようにして得られたフィルムを必要に応じて2枚以上積層して多層フィルムとしてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上述したフィルム以外のフィルム(他のフィルム)を積層させて多層フィルムとしてもよい。
多層化の方法は、例えば、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等の公知の方法を用いることができる。
<作用効果>
以上説明した本実施形態のフィルムは、特定のポリエーテルイミド樹脂(A)を含むので、強化繊維に対する含浸性及び靭性が改善されている。
本実施形態のフィルムは、例えば、プリプレグや繊維強化プラスチック(複合材料)のマトリックスとして好適である。
[プリプレグ]
以下、フィルムを用いたプリプレグの一実施形態について説明する。フィルムとしては先に説明したものを用いることができる。
本実施形態のプリプレグは、強化繊維がフィルムを構成している樹脂で含浸されたものであり、強化繊維と、上述したポリエーテルイミド樹脂(A)とを含む。
プリプレグは、強化繊維及びポリエーテルイミド樹脂(A)以外の成分(任意成分)をさらに含んでいてもよい。
<強化繊維>
強化繊維としては、無機繊維、有機繊維、金属繊維、又はこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維が使用できる。
無機繊維としては、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。
有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステル繊維、液晶ポリマー繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維等が挙げられる。
金属繊維としては、例えば、ステンレス繊維、鉄繊維、アルミニウム繊維、マグネシウム繊維、チタン繊維、SUS繊維、銅繊維等が挙げられる。
ハイブリッド構成の強化繊維としては、例えば、金属を被覆した炭素繊維が挙げられる。
これらの中でも、プリプレグの強度等の機械物性を考慮すると、剛性、軽量性、経済性の観点から、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては特に制限されないが、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、リグニン系炭素繊維等が挙げられる。これらの中でも、PAN系炭素繊維が好ましい。
炭素繊維は、連続繊維が好ましい。
連続繊維とは、例えば、炭素繊維が一方向に引き揃えられたシート形態や、織物形態(例えば、平織、綾織、朱子織など)が挙げられる。
炭素繊維は、典型的には、複数の炭素繊維を束ねた炭素繊維束の形態で用いられる。
炭素繊維束のフィラメント数は、1000~60000本が好ましく、1000~50000本がより好ましく、12000~48000本がさらに好ましい。炭素繊維束のフィラメント数が上記範囲内であれば、工業的規模における生産性及び機械特性に優れる。
プリプレグ中における炭素繊維の体積含有率(Vf)は、プリプレグの総体積に対して20~75体積%が好ましく、30~70体積%がより好ましく、45~65体積%がさらに好ましい。炭素繊維の体積含有率(Vf)が上記下限値以上であれば、成形体の曲げ強度がより高まる。炭素繊維の体積含有率(Vf)が上記上限値以下であれば、炭素繊維とポリエーテルイミド樹脂(A)との接着性を十分に確保することができる。
なお、本明細書において、体積含有率は、JIS K 7075:1991に準拠する測定方法で得られる値である。
プリプレグ中におけるポリエーテルイミド樹脂(A)の質量含有率は、プリプレグの総質量に対して25~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましく、35~55質量%がさらに好ましい。ポリエーテルイミド樹脂(A)の質量含有率が上記下限値以上であれば、強化繊維とポリエーテルイミド樹脂(A)との接着性を十分に確保することができる。ポリエーテルイミド樹脂(A)の質量含有率が上記上限値以下であれば、強化繊維による補強効果が得られやすく、成形体の曲げ強度がより高まる。
<任意成分>
プリプレグに含まれる任意成分としては、上述したフィルムに含まれる任意成分が挙げられる。フィルムが任意成分を含んでいれば、このフィルムを強化繊維に含浸させて得られるプリプレグも任意成分を含むこととなる。
プリプレグ中における任意成分の質量含有率は、機械的強度保持の観点からプリプレグの総質量に対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
<形態>
プリプレグの形態としては、強化繊維を一方向に引き揃えたシート状の強化繊維束にフィルムが含浸した一方向プリプレグ(UDプリプレグ)、強化繊維の織物にフィルムが含浸したクロスプリプレグ、トウ(炭素繊維束)に予めフィルムが含浸したトウプリプレグ等が挙げられる。
プリプレグの厚さは0.04~0.7mmが好ましく、0.04~0.4mmがより好ましい。
<プリプレグの製造方法>
プリプレグの製造方法は特に制限されず、公知の方法によって製造できる。例えば、プリプレグは、フィルムを強化繊維基材に重ねてフィルムに含まれる樹脂を含浸させることで製造できる。
なお、「強化繊維基材」とは、強化繊維の集合体である。
以下、プリプレグの製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態のプリプレグの製造方法では、強化繊維基材の片面又は両面に、フィルムを重ね合わせて得られた積層体を加熱・加圧することによりフィルムを溶融させ、強化繊維基材中に樹脂成分を含浸させてプリプレグとすることができる。
加熱、加圧の条件を調整することによりプリプレグの含浸状態を調節することができる。具体的には、加圧工程を省略して、強化繊維基材の両面又は片面にフィルムを熱融着により一体化させ、空隙が存在する状態のプリプレグとすることが可能である。熱融着の方法としては、例えば、接触式の加熱ロール、加熱盤、非接触式の赤外線ヒーター、電磁誘導ヒーター、熱風、振動及び超音波等の公知の加熱方法を用いることができる。
空隙が存在する状態のプリプレグは、製造にかかる時間を短縮でき製造コストの低減に繋がるとともに、半含浸であるため、強化繊維同士が挙動しやすく柔軟性を有するという利点がある。
空隙が存在する状態のプリプレグは1枚以上を使用し、最終的に熱プレスやベルトプレス等の工程に供することにより、完全含浸したプリプレグを得たり、熱プレス成形、ヒートアンドクール成形やオートクレーブ成形等の公知の成形方法により直接的に加熱・固化させ複合材料を得たりすることができる。
上述したフィルムは、強化繊維に対する含浸性に優れるため、強化繊維基材にポリエーテルイミド樹脂(A)が十分に含浸したプリプレグが得られる。プリプレグの製造時に、強化繊維への含浸性に優れた樹脂製のフィルムを用いれば、最終的に得られる成形品の品質が安定化するだけでなく、加工プロセスの高速化も可能となる。また、上述したフィルムは靭性に優れるので、上述したフィルムが強化繊維に含浸したプリプレグも靭性に優れる。
このようにして得られるプリプレグは、繊維強化プラスチックを得るための成形材料(繊維強化プラスチックの中間体)として好適である。
[繊維強化プラスチック]
以下、繊維強化プラスチックの一実施形態について説明する。
本実施形態の繊維強化プラスチックは、上述した、本発明のフィルムが強化繊維に含浸してなるプリプレグ(P)を成形してなる成形体であり、プリプレグ(P)の固化物である。
本実施形態の繊維強化プラスチックは、プリプレグ(P)のみを2枚以上積層した積層体が成形された成形体であることが好ましい。なお、繊維強化プラスチックは、プリプレグ(P)と、プリプレグ(P)以外の他のプリプレグとを組み合わせて積層した積層体が成形された成形体であってもよい。
積層体におけるプリプレグ(P)の積層構成は、特に限定されない。
積層体におけるプリプレグの積層枚数は、プリプレグの厚さと繊維強化プラスチックに求められる厚さに応じて適宜設定できる。
プリプレグがUDプリプレグの場合、積層する各UDプリプレグの強化繊維の繊維方向(積層方向)は、繊維強化プラスチックに求められる物性により適宜設定できる。各UDプリプレグの積層方向は同一方向であってもよい。また、例えば、繊維強化プラスチックの物性に等方性が求められる場合は、積層する各UDプリプレグの平面視での強化繊維の繊維方向を、0°と90°の組み合わせ、0°、45°、90°、-45°の組み合わせ、又は0°、60°、-60°の組み合わせとし、厚さ方向に対称となるように積層することが好ましい。
<繊維強化プラスチックの製造方法>
繊維強化プラスチックは、プリプレグを成形することで得られる。
プリプレグの成形方法としては特に限定されないが、プリプレグ(P)1枚を、又はプリプレグ(P)を複数枚積層したものを、又は1枚以上のプリプレグ(P)と1枚以上の他のプリプレグとを積層したものを、金型プレス法、オートクレーブ法、熱間・冷間プレス法等で成形する方法が挙げられる。
プリプレグの積層方法としては、例えば、ロボットを活用した自動積層法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[材料]
実施例及び比較例で使用したポリエーテルイミド樹脂を以下に示す。
・PEI(a1-1):前記一般式(1)で表される繰り返し単位(1)を有するポリエーテルイミド樹脂(SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem 1040A」、重量平均分子量39800、数平均分子量14900)。
・PEI(a2-1):前記一般式(1)で表される繰り返し単位(1)を有するポリエーテルイミド樹脂(SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem 1000」、重量平均分子量65900、数平均分子量24900)。
・PEI(a2-2):前記一般式(1)で表される繰り返し単位(1)を有するポリエーテルイミド樹脂(SABIC Innovative Plastics社製、商品名「Ultem 1010」、重量平均分子量53200、数平均分子量26400)。
[測定・評価]
<重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定>
フィルムを構成するポリエーテルイミド樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量について、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC装置)(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8320」)を用い、以下のようにして測定した。
フィルムを濃度が0.003質量%になるようにクロロホルム(CHCl)に溶解してCHCl溶液を調製した。
株式会社島津製作所製のカラム(ShimPack 806(内径8.0mm、長さ30cm)1本、ShimPack 804C(内径8.0mm、長さ30cm)1本、ShimPack 8025C(内径8.0mm、長さ30cm)1本、ShimPack 801C(内径8.0mm、長さ30cm)1本、株式会社島津製作所製のガードカラムShimPack 800CP(内径4.6mm、長さ10cm)1本)が装着されたGPC装置に上記のCHCl溶液20μLを注入し、流量:1.0mL/分、カラム温度:40℃の条件で測定し、標準ポリスチレン換算にてポリエーテルイミド樹脂の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を算出し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
<試験片の作製>
フィルムを長さ100mm×幅15mmの寸法に切断して、試験片(厚さ0.05mm)を作製した。
<靭性の評価:引張破断伸度の測定>
JIS K 7127:1999に準拠し、万能材料試験機(株式会社インテスコ製、製品名「MODEL205」)を用いて、温度23℃、相対湿度50%、引張り速度200mm/分、つかみ間隔50mmの条件で、試験片(フィルム)のMD方向及びTD方向の引張破断伸度を測定した。
5つの試験片について引張破断伸度を測定し、その平均値をフィルムの引張破断伸度とした。
<含浸性の評価:溶融粘度の測定>
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製、製品名「CFT-500C」)にノズル(直径1mm、長さ10mm)を取り付け、試験片(フィルム)を360℃で5分間予熱した後、溶融粘度のせん断速度依存性を測定し、せん断速度100sec-1の時の溶融粘度(Pa・s)を求めた。
[実施例1]
ポリエーテルイミド樹脂として、PEI(a2-1)とPEI(a1-1)とを40:60の質量割合でドライブレンドしたものを、直径40mmの単軸押出機にて380℃で混練した後、Tダイを用いてフィルム状に押出成形した。得られた成形品を約200℃のキャストロールにて急冷し、ポリエーテルイミド樹脂を含むフィルム(厚さ0.05mm)を作製した。
得られたフィルムを構成するポリエーテルイミド樹脂の重量平均分子量と数平均分子量を測定した。結果を表1に示す。
また、得られたフィルムについて、引張破断伸度、溶融粘度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2、3、比較例1~3]
PEI(a2-1)とPEI(a1-1)との質量割合を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
ポリエーテルイミド樹脂として、PEI(a2-2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製し、各種測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 2024074510000004
表1から明らかなように、実施例1~3で得られたフィルムを構成するポリエーテルイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)は47000~65000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2~5.0であり、実施例1~3で得られたフィルムは、ポリエーテルイミド樹脂(A)を含んでいた。
ポリエーテルイミド樹脂(A)で構成された実施例1~3のフィルムは、MD方向の引張破断伸度が高く、靭性に優れていた。特に実施例2、3で得られたフィルムはTD方向の引張破断伸度も高く、靭性により優れていた。また、実施例1~3で得られたフィルムは、溶融粘度が低く、強化繊維に対する含浸性に優れることが示唆された。
重量平均分子量(Mw)が65000を超えるポリエーテルイミド樹脂で構成された比較例1のフィルムは、溶融粘度が高く、各実施例のフィルムに対して強化繊維に対する含浸性に劣ることが示唆された。
重量平均分子量(Mw)が47000未満であるポリエーテルイミド樹脂で構成された比較例2、3のフィルムは、MD方向の引張破断伸度が低く、靭性に劣っていた。
ポリエーテルイミド樹脂の、分子量分布(Mw/Mn)が2.2未満であるポリエーテルイミド樹脂で構成された比較例4のフィルムは、重量平均分子量(Mw)が65000以下であるポリエーテルイミド樹脂で構成されているにもかかわらず、溶融粘度が高く、各実施例のフィルムに対して強化繊維に対する含浸性に劣ることが示唆された。
本発明のフィルムは、プリプレグや繊維強化プラスチックのマトリックスとして好適である。本発明のフィルムを用いて得られるプリプレグ及び繊維強化プラスチックは、スポーツ用品、自動車、航空機、産業機器等に用いる部材として有用である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリエーテルイミド樹脂(A)が配合され、
    前記ポリエーテルイミド樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)が47000~65000であり、
    前記ポリエーテルイミド樹脂(A)の数平均分子量(Mn)に対する前記重量平均分子量(Mw)の比である分子量分布(Mw/Mn)が2.2~5.0である、フィルム。
    Figure 2024074510000005
    式(1)中、nは10~100の数である。
  2. 前記数平均分子量(Mn)が17500~23000である、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記フィルムのTD方向の引張破断伸度が20%以上である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記フィルムの引張弾性率が2.5GPa以上である、請求項1又は2に記載のフィルム。
  5. 前記フィルムの総質量に対して、前記ポリエーテルイミド樹脂(A)を80質量%以上含む、請求項1又は2に記載のフィルム。
  6. 前記フィルムの厚さが5~200μmである、請求項1又は2に記載のフィルム。
  7. 請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法であって、
    前記フィルムの製造に用いる樹脂組成物に、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有し、重量平均分子量(Mwa1)が25000~50000であるポリエーテルイミド樹脂(a1)を配合する、フィルムの製造方法。
  8. 前記ポリエーテルイミド樹脂(a1)の数平均分子量(Mna1)が10000~22000である、請求項7に記載のフィルムの製造方法。
  9. 前記ポリエーテルイミド樹脂(A)の総質量に対して、前記ポリエーテルイミド樹脂(a1)の割合が10~90質量%となるように、前記樹脂組成物に前記ポリエーテルイミド樹脂(a1)を配合する、請求項7に記載のフィルムの製造方法。
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