JP7320186B2 - 配線基板及び配線基板の製造方法 - Google Patents

配線基板及び配線基板の製造方法 Download PDF

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Description

本開示の実施形態は、伸縮性を有する基材と、配線とを備える配線基板及びその製造方法に関する。
近年、伸縮性などの変形性を有する電子デバイスの研究がおこなわれている。例えば、伸縮性を有する基材に伸縮性を有する銀配線を形成したものや、伸縮性を有する基材に馬蹄形の配線を形成したものが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、これらのタイプの電子デバイスは、基材の伸縮に伴って配線の抵抗値が変化し易いという課題を有する。
その他のタイプの電子デバイスとして、例えば特許文献2は、基材と、基材に設けられた配線と、を備え、伸縮性を有する配線基板を開示している。特許文献2においては、予め伸長させた状態の基材に回路を設け、回路を形成した後に基材を弛緩させる、という製造方法を採用している。特許文献2は、基材の伸長状態及び弛緩状態のいずれにおいても基材上の薄膜トランジスタを良好に動作させることを意図している。
特開2013-187308号公報 特開2007-281406号公報
配線基板が曲げられると、配線基板に曲げ応力が生じる。曲げ応力は、配線基板のうち曲げの曲率半径に関して内方の部分には、配線基板の面内方向において配線基板が縮む向きに生じ、配線基板のうち曲げの曲率半径に関して外方の部分には、配線基板の面内方向において配線基板が伸びる向きに生じる。このため、配線基板の配線にも配線基板が縮む向き又は伸びる向きにおいて応力が加わり、配線に折れなどの破損が生じてしまうことが考えられる。
本開示の実施形態は、このような課題を効果的に解決し得る配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、配線基板であって、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する第1基材と、前記第1基材の前記第1面と対向する第2面及び前記第2面の反対側に位置する第1面を含み、前記第1基材と同一の厚み及び弾性係数を有する第2基材と、前記第1基材の前記第1面と前記第2基材の前記第2面との間に位置する配線と、を備える、配線基板である。
本開示の一実施形態は、配線基板であって、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する第1基材と、伸縮性を有し、前記第1基材の前記第1面側に位置する第2基材と、前記第1基材と前記第2基材との間に位置し、前記配線基板の中立面と重なる配線と、を備える、配線基板である。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線は、前記第1基材の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記配線の前記蛇腹形状部の振幅よりも小さくてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第2基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記配線の前記蛇腹形状部の振幅よりも小さくてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記配線の前記蛇腹形状部の周期よりも大きくてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第2基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記配線の前記蛇腹形状部の周期よりも大きくてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の位置が、前記配線の前記蛇腹形状部の山部及び谷部の位置からずれていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第2基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の位置が、前記配線の前記蛇腹形状部の山部及び谷部の位置からずれていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、前記第1基材の前記第1面と前記第2基材の前記第2面との間に位置し、前記配線を支持する支持基板を更に備えていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記支持基板は、前記第1基材及び前記第2基材よりも高い弾性係数を有していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記支持基板は、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、又はポリエチレンテレフタラートを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、前記配線に電気的に接続される電子部品を更に備えていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、前記第1基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記電子部品に少なくとも部分的に重なり、前記第1基材及び前記第2基材よりも大きい弾性係数を有する補強部材を備えていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記補強部材は、前記第1基材の前記第2面側又は前記第2基材の前記第1面側の少なくともいずれか一方に位置していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記補強部材は、前記第1基材の前記第2面側又は前記第2基材の前記第1面側の両方に位置していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記補強部材は、前記第1基材又は前記第2基材の少なくともいずれか一方に埋め込まれていてもよい。
本開示の一実施形態は、配線基板の製造方法であって、伸縮性を有する第1基材に張力を加えて、前記第1基材を伸長させる第1伸長工程と、前記第1伸長工程によって伸長した状態の前記第1基材の第1面側に配線を設ける配線形成工程と、前記第1基材と同一の厚み及び弾性係数を有する第2基材に張力を加えて、前記第2基材を伸長させた状態で、伸長された状態の前記第1基材に前記配線の側から前記第2基材を積層する工程と、前記第1基材及び前記第2基材から前記張力を取り除く収縮工程と、を備える、配線基板の製造方法である。
本開示の一実施形態は、配線基板の製造方法であって、伸縮性を有する第1基材に張力を加えて、前記第1基材を伸長させる第1伸長工程と、前記第1伸長工程によって伸長した状態の前記第1基材の第1面側に配線を設ける配線形成工程と、伸縮性を有する第2基材に張力を加えて、前記第2基材を伸長させた状態で、伸長された状態の前記第1基材に前記配線の側から前記第2基材を積層する工程と、前記第1基材及び前記第2基材から前記張力を取り除く収縮工程と、を備え、前記配線は、前記配線基板の中立面と重なる、配線基板の製造方法である。
本開示の実施形態によれば、配線などの構成要素に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。
一実施の形態に係る配線基板を示す平面図である。 図1の配線基板のA-A線に沿った断面図である。 図1の配線基板のA-A線に沿った断面図のその他の例である。 配線基板を第1方向に沿って湾曲させた場合に配線基板に生じる力を示す図である。 図4の配線基板の中立面の算出方法を説明するための図である。 図2の配線基板を拡大して示す断面図である。 配線基板の断面図のその他の例である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 第1の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第2の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 図10の配線基板を拡大して示す断面図である。 第3の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第4の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第4の変形例に係る配線基板のその他の例を示す断面図である。 第5の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 図14の配線基板を拡大して示す断面図である。 第5の変形例に係る配線基板の製造方法を説明するための図である。 第6の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第7の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第8の変形例に係る配線基板を示す断面図である。
以下、本開示の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基板」は、基材、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
以下、図1乃至図8を参照して、本開示の一実施の形態について説明する。
(配線基板)
まず、本実施の形態に係る配線基板10について説明する。図1は、配線基板10を示す平面図である。図2は、図1の配線基板10のA-A線に沿った断面図である。
図1に示す配線基板10は、第1基材20、第2基材30及び配線52を少なくとも備える。以下、配線基板10の各構成要素について説明する。
〔第1基材〕
第1基材20は、少なくとも1つの方向において伸縮性を有するよう構成された部材である。第1基材20は、配線52側に位置する第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。図1に示す例において、第1基材20は、第1面21の法線方向に沿って見た場合に、第1方向D1に延びる一対の辺と、第2方向D2に延びる一対の辺とを含む四角形状を有する。第1方向D1と第2方向D2とは、図1に示すように互いに直交していてもよく、図示はしないが直交していなくてもよい。以下の説明において、第1面21の法線方向に沿って配線基板10又は配線基板10の構成要素を見ることを、単に「平面視」とも称する。本実施の形態において、第1基材20は、少なくとも第1方向D1において伸縮性を有する。第1基材20は第1方向D1以外の方向においても伸縮性を有していてもよい。
第1基材20の厚みH1は、例えば10μm以上10mm以下であり、より好ましくは20μm以上3mm以下である。第1基材20の厚みH1を10μm以上にすることにより、第1基材20の耐久性を確保することができる。また、第1基材20の厚みH1を10mm以下にすることにより、配線基板10の装着快適性を確保することができる。なお、第1基材20の厚みH1を小さくしすぎると、第1基材20の伸縮性が損なわれる場合がある。
なお、第1基材20の伸縮性とは、第1基材20が伸び縮みすることができる性質、すなわち、常態である非伸長状態から伸長することができ、この伸長状態から解放したときに復元することができる性質をいう。非伸長状態とは、引張応力が加えられていない時の第1基材20の状態である。本実施形態において、伸縮可能な基材は、好ましくは、破壊されることなく非伸長状態から1%以上伸長することができ、より好ましくは20%以上伸長することができ、更に好ましくは75%以上伸長することができる。このような能力を有する第1基材20を用いることにより、配線基板10が全体に伸縮性を有することができる。さらに、人の腕などの身体の一部に取り付けるという、高い伸縮が必要な製品や用途において、配線基板10を使用することができる。一般に、人の脇の下に取り付ける製品には、垂直方向において72%、水平方向において27%の伸縮性が必要であると言われている。また、人の膝、肘、臀部、足首、脇部に取り付ける製品には、垂直方向において26%以上42%以下の伸縮性が必要であると言われている。また、人のその他の部位に取り付ける製品には、20%未満の伸縮性が必要であると言われている。
また、非伸長状態にある第1基材20の形状と、非伸長状態から伸長された後に再び非伸長状態に戻ったときの第1基材20の形状との差が小さいことが好ましい。この差のことを、以下の説明において形状変化とも称する。第1基材20の形状変化は、例えば面積比で20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。形状変化の小さい第1基材20を用いることにより、後述する山部や谷部の形成が容易になる。
第1基材20の伸縮性を表すパラメータの例として、第1基材20の弾性係数を挙げることができる。第1基材20の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。このような弾性係数を有する第1基材20を用いることにより、配線基板10全体に伸縮性を持たせることができる。第1基材20の弾性係数は、1kPa以上であってもよい。
第1基材20の弾性係数を算出する方法としては、第1基材20のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、第1基材20のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。第1基材20のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から第1基材20の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の第1基材20の一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、第1基材20の弾性係数を算出する方法として、第1基材20を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて第1基材20の弾性係数を算出するという方法を採用することもできる。なお、本願における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
第1基材20の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、第1基材20の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m又はPa・mである。第1基材20の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって、第1基材20のうち配線52と重なっている部分を切断した場合の断面に基づいて算出される。
第1基材20を構成する材料の例としては、例えば、エラストマーを挙げることができる。また、第1基材20の材料として、例えば、織物、編物、不織布などの布を用いることもできる。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、具体的には、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、1,2-BR系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。また、第1基材20が、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンを含んでいてもよい。シリコーンは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れており、第1基材20の材料として好ましい。
〔第2基材〕
第2基材30も、第1基材20と同様に、少なくとも1つの方向において伸縮性を有するよう構成された部材である。例えば、第2基材30は、第1基材20と同様に、少なくとも第1方向D1において伸縮性を有する。第2基材30は第1方向D1以外の方向においても伸縮性を有していてもよい。
図2に示すように、第2基材30は、配線基板10の厚み方向において第1基材20と積層されている。例えば、第2基材30は、第1基材20の第1面21と対向する第2面32及び第2面32の反対側に位置する第1面31を含む。上述の配線52は、第1基材20の第1面21と第2基材30の第2面32との間に位置している。
第2基材30は、第1基材20と同一の厚み及び弾性係数を有している。これにより、配線基板10が曲げられた時に、第1基材20と第2基材30との間に位置する配線52に曲げ応力が生じることを抑制することができる。
なお、配線52に曲げ応力が生じることを抑制し、これによって配線52に折れなどの破損が生じることを抑制することができる限りにおいて、第2基材30の厚みH2及び弾性係数は、第1基材20の厚みH1及び弾性係数と完全に同一でなくてもよい。「第1基材20の厚みH1と第2基材30の厚みH2が同一」とは、ΔH12をH1で割った値が0.90以上且つ1.10以下であることを意味する。ΔH12は、第1基材20の厚みH1と第2基材30の厚みH2の差の絶対値である。ΔH12をH1で割った値は、0.92以上であってもよく、0.94以上であってもよく、0.96以上であってもよく、0.98以上であってもよい。また、ΔH12をH1で割った値は、1.08以下であってもよく、1.06以下であってもよく、1.04以下であってもよく、1.02以下であってもよい。
また、「第1基材20の弾性係数E1と第2基材30の弾性係数E2が同一」とは、ΔE12をE1で割った値が0.90以上且つ1.10以下であることを意味する。ΔE12は、第1基材20の弾性係数E1と第2基材30の弾性係数E2の差の絶対値である。ΔE12をE1で割った値は、0.92以上であってもよく、0.94以上であってもよく、0.96以上であってもよく、0.98以上であってもよい。また、ΔE12をE1で割った値は、1.08以下であってもよく、1.06以下であってもよく、1.04以下であってもよく、1.02以下であってもよい。
第2基材30を構成する材料としては、第1基材20を構成する材料として例示したものを用いることができる。第2基材30を構成する材料は、第1基材20を構成する材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
図2において、符号H0は、配線基板10全体の厚みを表す。第1基材20の厚みH1と第2基材30の厚みH2の和を配線基板10全体の厚みH0で割った値(以下、基材比率とも称する)は、例えば0.90以上である。基材比率を0.90以上にすることにより、後述する中立面を計算する際、第1基材20及び第2基材30以外の要素を無視することが可能になる。第1基材20の厚みH1と第2基材30の厚みH2の和を配線基板10全体の厚みH0で割った値は、0.92以上であってもよく、0.94以上であってもよく、0.96以上であってもよく、0.98以上であってもよい。
図3は、配線基板10のその他の例を示す断面図である。図3に示すように、第1基材20の第1面21と第2基材30の第2面32との間には接着層37が設けられていてもよい。
〔配線〕
配線52は、導電性を有し、平面視において細長い形状を有する部材である。図1に示す例において、配線52は、第1基材20の第1面21に位置し、第1面21の面内方向の1つである第1方向D1に延びている。
図2に示すように、配線52は、第1基材20の第1面21に接していてもよい。図示はしないが、第1基材20の第1面21と配線52との間にその他の部材が介在されていてもよい。また、配線52は、第2基材30の第2面32に接していてもよい。図示はしないが、第2基材30の第2面32と配線52との間にその他の部材が介在されていてもよい。
配線52の材料としては、後述する蛇腹形状部の解消及び生成を利用して第1基材20の伸長及び収縮に追従することができる材料が用いられる。配線52の材料は、それ自体が伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。
配線52に用いられ得る、それ自体は伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。配線52の材料自体が伸縮性を有さない場合、配線52としては、金属膜を用いることができる。
配線52に用いられる材料自体が伸縮性を有する場合、材料の伸縮性は、例えば、第1基材20の伸縮性と同様である。配線52に用いられ得る、それ自体が伸縮性を有する材料としては、例えば、導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物が挙げられる。導電性粒子としては、配線に使用できるものであればよく、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子が挙げられる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
好ましくは、配線52は、変形に対する耐性を有する構造を備える。例えば、配線52は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する。この場合、ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、第1基材20の伸縮に応じて配線52も変形することができる。また、変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線52の導電性を維持することができる。
配線52のベース材を構成する材料としては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。中でも、ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムが、その伸縮性や耐久性などの面から好ましく用いられる。また、配線52の導電性粒子を構成する材料としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子を用いることができる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
配線52の厚みは、第1基材20及び第2基材30の伸縮に耐え得る厚みであればよく、配線52の材料等に応じて適宜選択される。
例えば、配線52の材料が伸縮性を有さない場合、配線52の厚みは、25nm以上100μm以下の範囲内とすることができ、50nm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、100nm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましい。
また、配線52の材料が伸縮性を有する場合、配線52の厚みは、5μm以上60μm以下の範囲内とすることができ、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上40μm以下の範囲内であることがより好ましい。
配線52の幅は、例えば50μm以上且つ10mm以下である。
配線52の幅は、配線52に求められる電気抵抗値に応じて適宜選択される。配線52の幅は、例えば1μm以上であり、好ましくは50μm以上である。また、配線52の幅は、例えば10mm以下であり、好ましくは1mm以下である。
配線52の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、第1基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。あるいは、支持基板40上に金属箔を接着によって積層した後、フォトリソグラフィ法により金属箔をパターニングする方法が挙げられる。また、配線52の材料自体が伸縮性を有する場合、例えば、第1基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により上記の導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。
次に、配線基板10を第1方向D1に沿って湾曲させた場合に配線基板10に生じる力について、図4を参照して説明する。図4において、z軸は、湾曲した状態の配線基板10の曲率半径の方向(以下、半径方向とも称する)に沿って延び、x軸は、円周方向に沿って延びている。
図4に示すように配線基板10を湾曲させた場合、配線基板10のうち、半径方向において内方に位置する、第2基材30の第1面31側の部分には、配線基板10の面内方向において配線基板10が縮む向きの曲げ応力Fbが生じる。一方、配線基板10のうち、半径方向において外方に位置する、第1基材20の第2面22側の部分には、配線基板10の面内方向において配線基板10が伸びる向きの曲げ応力Faが生じる。また、配線基板10のうち第2基材30の第1面31と第1基材20の第2面22との間には、伸び縮みしない面が存在する。このような面を中立面と称する。
本実施の形態においては、上述のように、第2基材30は、第1基材20と同一の厚み及び弾性係数を有している。この場合、配線基板10の中立面は、第1基材20の第1面21と第2基材30の第2面32との間又はその近傍に存在する。また、上述のように、配線52は第1基材20の第1面21に位置している。従って、配線52は、配線基板10の中立面と重なるか、少なくとも中立面の近傍に位置している。これにより、配線52に、配線基板10が縮む向きの曲げ応力Fb又は配線基板10が伸びる向きの曲げ応力Faが加わることを抑制することができる。このため、配線52に折れなどの破損が生じることを抑制することができる。
次に、図4及び図5を参照して、配線基板10の中立面の算出方法について説明する。図5は、図4の配線基板10のB-B線に沿った断面図である。y軸は、配線基板10の中立面を通るとともにx軸及びz軸に直交するよう延びている。zは、y軸からの距離である。
配線基板10における力の釣り合いに基づいて、以下の式(1)が導かれる。
Figure 0007320186000001
dAは、y軸からz離れた位置の微小面積を表す。σは、微小面積dAに生じるx方向の応力を表す。Nは、応力σに起因して配線基板10に生じる合力である。配線基板10が外力を受けていない場合、Nは0である。
応力σは、フックの法則により以下の式(2)のように表される。
Figure 0007320186000002
εは、x方向の微小要素dxの歪みであり、Eは、配線基板10の弾性係数である。
中立面における配線基板10の曲率半径をRとすると、歪みεは以下の式(3)のように表される。
Figure 0007320186000003
式(3)及び式(1)に基づいて、以下の式(4)が導かれる。
Figure 0007320186000004
zはy軸からの距離であるので、式(4)が成立するようにy軸の位置を定めることにより、中立面の位置を算出することができる。
第1基材20の弾性係数と第2基材30の弾性係数が完全に同一であり、且つ、配線基板10のうち第1基材20及び第2基材30以外の部材が応力σに関して無視できる場合、式(4)は以下のように変換される。
Figure 0007320186000005
式(5)から導かれるように、合力Nが0であり、第1基材20の厚みと第2基材30の厚みとが完全に同一である場合、中立面は第1基材20の第1面21と第2基材30の第2面32との間に存在する。
なお、式(4)から分かるように、第2基材30の厚み及び弾性係数が第1基材20の厚み及び弾性係数と異なっている場合であっても、配線基板10の中立面が配線52と重なる又は配線52の近傍に位置することは可能である。すなわち、本実施の形態における「第2基材30が第1基材20と同一の厚み及び弾性係数を有する」という構成は、配線52に応力が加わることを抑制するための構成の一例であり、本実施の形態における技術思想は、その他の構成にも適用可能である。
次に、配線基板10の断面形状について詳細に説明する。図6は、図2の配線基板を拡大して示す図である。
後述するように、配線52は、張力を加えられて伸長された状態の第1基材20に設けられる。この場合、第1基材20から張力が取り除かれて第1基材20が収縮するとき、配線52は、図6に示すように、蛇腹状に変形して蛇腹形状部55を有するようになる。
配線52の蛇腹形状部55は、配線52が延びる第1方向D1方向に沿って並ぶ複数の山部53を含む。山部53は、配線52の表面において第1面21の法線方向に隆起した部分である。図6に示すように、配線52が延びる方向において隣り合う2つの山部53の間には谷部54が存在していてもよい。
図6に示す例において、配線52の山部53及び谷部54は、第1基材20の辺が延びる方向である第1方向D1に並んでいる。すなわち、配線52の山部53及び谷部54が並ぶ方向と、第1基材20の辺が延びる方向とが一致している。しかしながら、これに限られることはなく、図示はしないが、配線52の山部53及び谷部54が並ぶ方向と、第1基材20の辺が延びる方向とが一致していなくてもよい。また、図6においては、蛇腹形状部55の複数の山部53及び谷部54が一定の周期で並ぶ例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、蛇腹形状部55の複数の山部53及び谷部54は、第1方向D1に沿って不規則に並んでいてもよい。例えば、第1方向D1において隣り合う2つの山部53の間の間隔が一定でなくてもよい。
図6において、符号S3は、配線52の蛇腹形状部55に現れる山部及び谷部の振幅を表す。振幅S3は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。振幅S3を10μm以上とすることにより、第1基材20の伸長に追従して配線52が変形し易くなる。また、振幅S3は、例えば500μm以下であってもよい。
山部及び谷部の振幅は、例えば、山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部と谷部との間の、第1基材20の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部と谷部との間の距離を測定することができる。また、後述する山部23及び谷部24並びに山部33及び谷部34のように、山部及び谷部が配線基板10の表面に現れている場合、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いて山部及び谷部の振幅や後述する周期を算出してもよい。
図6において、符号F3は、蛇腹形状部55の山部53及び谷部54の周期を表す。周期F3は、例えば10μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。また、周期F3は、例えば100mm以下であり、より好ましくは10mm以下である。周期F3は、山部53及び谷部54が並ぶ方向における一定の範囲にわたって、複数の山部の間隔を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。
図6において、符号NPは、配線基板10の中立面を表す。上述の「配線52が中立面NPと重なる」とは、図6に示すように、配線52の蛇腹形状部55の少なくとも一部が中立面NPと重なっていることを意味している。また、上述の「配線52が中立面NPの近傍に位置する」とは、配線52の蛇腹形状部55と中立面NPとの間の距離の最小値が、配線基板10全体の厚みH0の10%以下であることを意味する。配線基板10全体の厚みH0に対する、蛇腹形状部55と中立面NPとの間の距離の最小値は、8%以下であってもよく、5%以下であってもよく、2%以下であってもよく、1%以下であってもよい。
図6に示すように、配線基板10のうち第1基材20の第2面22側の表面にも、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部や谷部が現れてもよい。図6に示す例において、第2面22側の山部23は、配線52の蛇腹形状部55の谷部54に重なる位置に現れ、第2面22側の谷部24は、配線52の蛇腹形状部55の山部53に重なる位置に現れている。
図6において、符号S1は、第1基材20の第2面22側における配線基板10の表面において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部23及び谷部24の、第1基材20の第2面22の法線方向における振幅を表す。第2面22側の山部23及び谷部24の振幅S1は、配線52の山部53及び谷部54の振幅S3と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第2面22側の山部23及び谷部24の振幅S1が、配線52の山部53及び谷部54の振幅S3よりも小さくてもよい。例えば、振幅S1は、振幅S3の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、振幅S1は、振幅S3の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。なお、「第2面22側の山部23及び谷部24の振幅S1が、配線52の山部53及び谷部54の振幅S3よりも小さい」とは、第2面22側における配線基板10の表面に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図6において、符号F1は、第1基材20の第2面22側における配線基板10の表面において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部23及び谷部24の周期を表す。第2面22側の山部23及び谷部24の周期F1は、配線52の山部53及び谷部54の周期F3と同一であってもよい。若しくは、第2面22側の山部23及び谷部24の周期F1は、配線52の山部53及び谷部54の周期F3よりも大きくてもよい。例えば、周期F1は、周期F3の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。なお、「第2面22側の山部23及び谷部24の周期F1が、配線52の山部53及び谷部54の周期F3よりも大きい」とは、第2面22側における配線基板10の表面に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図7は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図7に示すように、第2面22側の山部23及び谷部24の位置が、配線52の谷部54及び山部53の位置からJだけずれていてもよい。ずれ量Jは、例えば0.1×F3以上であり、0.2×F3以上であってもよい。
図6に示すように、配線基板10のうち第2基材30の第1面31側の表面にも、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部や谷部が現れてもよい。図6に示す例において、第1面31側の山部33は、配線52の蛇腹形状部55の山部53に重なる位置に現れ、第1面31側の谷部34は、配線52の蛇腹形状部55の谷部54に重なる位置に現れている。
図6において、符号S2は、第2基材30の第1面31側における配線基板10の表面において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部33及び谷部34の、第1基材20の第2面22の法線方向における振幅を表す。第1面31側の山部33及び谷部34の振幅S2は、配線52の山部53及び谷部54の振幅S3と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第1面31側の山部33及び谷部34の振幅S2が、配線52の山部53及び谷部54の振幅S3よりも小さくてもよい。例えば、振幅S2は、振幅S3の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、振幅S2は、振幅S3の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。なお、「第1面31側の山部33及び谷部34の振幅S2が、配線52の山部53及び谷部54の振幅S3よりも小さい」とは、第1面31側における配線基板10の表面に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図6において、符号F2は、第2基材30の第1面31側における配線基板10の表面において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部33及び谷部34の周期を表す。第1面31側の山部33及び谷部34の周期F2は、配線52の山部53及び谷部54の周期F3と同一であってもよい。若しくは、第1面31側の山部33及び谷部34の周期F2は、配線52の山部53及び谷部54の周期F3よりも大きくてもよい。例えば、周期F2は、周期F3の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。なお、「第1面31側の山部33及び谷部34の周期F2が、配線52の山部53及び谷部54の周期F3よりも大きい」とは、第1面31側における配線基板10の表面に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図7に示すように、第1面31側の山部33及び谷部34の位置が、配線52の谷部54及び山部53の位置からJだけずれていてもよい。ずれ量Jは、例えば0.1×F3以上であり、0.2×F3以上であってもよい。
(配線基板の製造方法)
次に、図8(a)~(d)を参照して、配線基板10の製造方法について説明する。
まず、図8(a)に示すように、第1面21及び第2面22を含み、伸縮性を有する第1基材20を準備する。また、第1面31及び第2面32を含み、伸縮性を有する第2基材30を準備する。
続いて、図8(b)に示すように、第1方向D1において第1基材20に張力Tを加えて、第1基材20を伸長させる第1伸長工程を実施する。第1方向D1における第1基材20の伸長率は、例えば10%以上且つ200%以下である。伸長率は、(L1-L0)×100/L0によって算出される。L0は、伸長される前の第1基材20の寸法であり、L1は、伸長されている状態の第1基材20の寸法である。第1伸長工程は、第1基材20を加熱した状態で実施してもよく、常温で実施してもよい。第1基材20を加熱する場合、第1基材20の温度は例えば50℃以上且つ100℃以下である。
続いて、図8(b)に示すように、第1伸長工程によって伸長した状態の第1基材20の第1面21側に配線を設ける配線形成工程を実施する。例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを第1基材20の第1面21に印刷する。
また、図8(b)に示すように、第1方向D1において第2基材30に張力Tを加えて、第2基材30を伸長させる第2伸長工程を実施する。続いて、図8(c)に示すように、伸長された状態の第1基材20に、配線52の側から、伸長された状態の第2基材30を積層する積層工程を実施する。例えば、第2基材30の第2面32を第1基材20の第1面21に接着層を介して接合する。
その後、第1基材20及び第2基材30から張力Tを取り除く収縮工程を実施する。これにより、図8(d)において矢印Cで示すように、第1方向D1において第1基材20及び第2基材30が収縮し、第1基材20に設けられている配線52にも変形が生じる。配線52の変形は、上述のように蛇腹形状部55として生じ得る。このようにして、蛇腹形状部が現れている配線基板10を得ることができる。
本実施の形態によれば、配線基板10の配線52が蛇腹形状部55を有している。このため、配線基板10の第1基材20及び第2基材30が伸長する際、配線52は、蛇腹形状部55の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、第1基材20及び第2基材30の伸長に追従することができる。このため、第1基材20及び第2基材30の伸長に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板10の伸長に起因して配線52の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
配線52の蛇腹形状部55によって得られる、配線52の電気抵抗値に関する効果の一例について説明する。ここでは、第1方向D1における張力が配線基板10に加えられていない第1状態における配線52の電気抵抗値を、第1電気抵抗値と称する。また、第1方向D1において配線基板10に張力を加えて配線基板10を第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における配線52の抵抗値を、第2電気抵抗値と称する。本実施の形態によれば、配線52に蛇腹形状部55を形成することにより、第1電気抵抗値に対する、第1電気抵抗値と第2電気抵抗値の差の絶対値の比率を、20%以下にすることができ、より好ましくは10%以下にすることができ、更に好ましくは5%以下にすることができる。
また、本実施の形態によれば、配線基板10が、伸縮性を有する第1基材20及び第2基材30を備え、配線52が第1基材20と第2基材30との間に位置している。このため、配線52に曲げ応力が生じることを抑制し、これによって配線52に折れなどの破損が生じることを抑制することができる。
配線基板10の用途としては、ヘルスケア分野、医療分野、介護分野、エレクトロニクス分野、スポーツ・フィットネス分野、美容分野、モビリティ分野、畜産・ペット分野、アミューズメント分野、ファッション・アパレル分野、セキュリティ分野、ミリタリー分野、流通分野、教育分野、建材・家具・装飾分野、環境エネルギー分野、農林水産分野、ロボット分野などを挙げることができる。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品を、本実施の形態による配線基板10を用いて構成する。配線基板10は伸長することができるので、例えば配線基板10を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板10を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、配線基板10が伸長した場合に配線52の電気抵抗値が低下することを抑制することができるので、配線基板10の良好な電気特性を実現することができる。他にも配線基板10は伸長することができるので、人などの生体に限らず曲面や立体形状に沿わせて設置や組込むことが可能である。それらの製品の一例としては、バイタルセンサ、マスク、補聴器、歯ブラシ、絆創膏、湿布、コンタクトレンズ、義手、義足、義眼、カテーテル、ガーゼ、薬液パック、包帯、ディスポーザブル生体電極、おむつ、リハビリ用機器家電製品、ディスプレイ、サイネージ、パーソナルコンピューター、携帯電話、マウス、スピーカースポーツウェア、リストバンド、はちまき、手袋、水着、サポーター、ボール、グローブ、ラケット、クラブ、バット、釣竿、リレーのバトンや器械体操用具、またそのグリップ、身体トレーニング用機器、浮き輪、テント、水着、ゼッケン、ゴールネット、ゴールテープ薬液浸透美容マスク、電気刺激ダイエット用品、懐炉、付け爪、タトゥー自動車、飛行機、列車、船舶、自転車、ベビーカー、ドローン、車椅子、などのシート、インパネ、タイヤ、内装、外装サドル、ハンドル、道路、レール、橋、トンネル、ガスや水道の管、電線、テトラポッド、ロープ首輪、リード、ハーネス、動物用のタグ、ブレスレット、ベルトなどゲーム機器、コントローラーなどのハプティクスデバイス、ランチョンマット、チケット、人形、ぬいぐるみ、応援グッズ帽子、服、メガネ、靴、インソール、靴下、ストッキング、スリッパインナーウェア、マフラー、耳あて、鞄、アクセサリー、指輪、時計、ネクタイ個人ID認識デバイス、ヘルメット、パッケージ、ICタグ、ペットボトル、文具、書籍、ペン、カーペット、ソファ、寝具、照明、ドアノブ、手すり、花瓶、ベッド、マットレス、座布団、カーテン、ドア、窓、天井、壁、床、ワイヤレス給電アンテナ、電池、ビニールハウス、ネット(網)、ロボットハンド、ロボット外装を挙げることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
図9は、本変形例に係る配線基板10を示す平面図である。図9に示すように、配線基板10は、配線52に電気的に接続された電子部品51を備えていてもよい。若しくは、配線基板10は、電子部品51が搭載されてはいないが、配線52に電気的に接続される電子部品51が搭載され得るように構成されていてもよい。
図9に示す例において、電子部品51は、配線52と同様に第1基材20の第1面21に位置している。図9に示すように、電子部品51及び配線52と第2基材30の第2面32との間には接着層37が設けられていてもよい。
電子部品51は、配線52に接続される電極を有していてもよい。この場合、配線基板10は、電子部品51の電極に接するとともに配線52に電気的に接続された接続部を有する。接続部は、例えばパッドである。
また、電子部品51は、配線52に接続される電極を有していなくてもよい。例えば、電子部品51は、配線基板10の複数の構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素と一体的な部材を含んでいてもよい。このような電子部品51の例として、配線基板10の配線52を構成する導電層と一体的な導電層を含むものや、配線52を構成する導電層とは別の層に位置する導電層を含むものを挙げることができる。例えば、電子部品51は、配線52を構成する導電層よりも平面視において広い幅を有する導電層によって構成されたパッドであってもよい。パッドには、検査用のプローブ、ソフトウェア書き換え用の端子などが接続される。また、電子部品51は、導電層が平面視においてらせん状に延びることによって構成された配線パターンであってもよい。このように、導電層がパターニングされて所定の機能が付与された部分も、電子部品51となり得る。
電子部品51は、能動部品であってもよく、受動部品であってもよく、機構部品であってもよい。電子部品51の例としては、トランジスタ、LSI(Large-Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCDなどの発光素子、センサ、ブザー等の発音部品、振動を発する振動部品、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線などの冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチ、コネクタなどを挙げることができる。電子部品51の上述の例のうち、センサが好ましく用いられる。センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、生体センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサ等を挙げることができる。これらのセンサのうち、生体センサが特に好ましい。生体センサは、心拍や脈拍、心電、血圧、体温、血中酸素濃度等の生体情報を測定することができる。
次に、電極を有さない電子部品51の用途について説明する。例えば、上述のパッドは、検査用のプローブ、ソフトウェア書き換え用の端子などが接続される部分として機能し得る。また、らせん状に延びることによって構成された配線パターンは、アンテナなどとして機能し得る。
(第2の変形例)
図10は、本変形例に係る配線基板10を示す平面図である。配線基板10は、補強部材60を備えていてもよい。補強部材60は、配線基板10を伸縮させる際に電子部品51に応力が加わることを抑制するための部材である。補強部材60は、第1基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51に少なくとも部分的に重なるよう配置されている。また、補強部材60は、第1基材20及び第2基材30よりも大きい弾性係数を有する。図10に示す例において、補強部材60は、第1基材20の第2面22側に位置する第1補強部材61を有する。第1補強部材61は、第1基材20及び第2基材30よりも大きい弾性係数を有する。
第1補強部材61などの補強部材60の弾性係数は、例えば1GPa以上であり、より好ましくは10GPa以上である。補強部材60の弾性係数は第1基材20及び第2基材30の弾性係数の100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。配線基板10がこのような補強部材60を備えることにより、第1基材20及び第2基材30のうち補強部材60と重なる部分が伸縮することを抑制することができる。これにより、第1基材20及び第2基材30を、伸縮が生じやすい部分と、伸縮が生じにくい部分とに区画することができる。補強部材60の弾性係数は、500GPa以下であってもよい。また、補強部材60の弾性係数は、第1基材20及び第2基材30の弾性係数の500000倍以下であってもよい。
補強部材60の弾性係数を算出する方法は、補強部材60の形態に応じて適宜定められる。例えば、補強部材60の弾性係数を算出する方法は、上述の第1基材20及び第2基材30の弾性係数を算出する方法と同様であってもよく、異なっていてもよい。後述する支持基板40の弾性係数も同様である。例えば、補強部材60又は支持基板40の弾性係数を算出する方法として、補強部材60又は支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
また、補強部材60は、第1基材20及び第2基材30の曲げ剛性よりも大きい曲げ剛性を有していてもよい。補強部材60の曲げ剛性は、第1基材20及び第2基材30の曲げ剛性の100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。
補強部材60を構成する材料の例としては、金属材料を含む金属層や、一般的な熱可塑性エラストマー、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系、シリコーン系等のオリゴマー、ポリマー等を挙げることができる。金属材料の例としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等を挙げることができる。補強部材60の厚みは、例えば10μm以上である。上述の材料のうち、金属層は、弾性率が大きくエッチング加工などにより微細加工可能であり、より好ましい。
補強部材60を構成する材料として、オリゴマー又はポリマーを用いる場合、補強部材60は、透明性を有していてもよい。また、補強部材60は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、補強部材60は黒色であってもよい。また、補強部材60の色と第1基材20及び第2基材30の色とが同一であってもよい。
補強部材60は、第1基材20を伸長させる第1伸長工程の前に第1基材20に設けられてもよく、若しくは、第1伸長工程によって第1基材20が伸長している間に第1基材20に設けられてもよい。
図11は、図10の配線基板を拡大して示す図である。第1補強部材61などの補強部材60は、第1基材20及び第2基材30よりも大きい弾性係数を有する。このため、図11に示すように、第1基材20及び第2基材30のうち電子部品51と重なる部分が伸長したり蛇腹状などに変形したりすることを抑制することができる。これにより、第1基材20及び第2基材30の変形に起因する応力が電子部品51に加わることを抑制することができ、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。
図11に示すように、補強部材60は、第1基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、配線52のうち電子部品51に接続されている部分に重なっていてもよい。これにより、配線52のうち電子部品51に接続されている部分が蛇腹状などに変形することを抑制することができる。このことにより、電子部品51と配線52との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
図11において、符号S4は、配線52のうち補強部材60に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅を表す。振幅S4は、配線52のうち補強部材60に重なっていない部分の山部53及び谷部54の振幅S3よりも小さくてもよい。例えば、振幅S4は、配線52のうち補強部材60に重なっていない部分の山部53及び谷部54の振幅S3の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。
図11において、符号W1は、補強部材60のうち電子部品51の周囲の配線52に重なっている部分の寸法を表す。寸法W1は、例えば5μm以上であり、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。また、寸法W1は、蛇腹形状部55の山部53及び谷部54の周期F3の0.5倍以上であってもよく、1倍以上であってもよく、2倍以上であってもよい。
(第3の変形例)
図12に示すように、補強部材60は、第1基材20の第2面22に位置する第1補強部材61に加えて、第2基材30の第1面31に位置する第2補強部材62を更に有していてもよい。第2補強部材62は、第1補強部材61と同様に、第1基材20及び第2基材30よりも大きい弾性係数を有する。図示はしないが、補強部材60は、第2基材30の第1面31に位置する第2補強部材62を有し、第1基材20の第2面22に位置する第1補強部材61を有していなくてもよい。
(第4の変形例)
図10乃至図12においては、補強部材60が第1基材20又は第2基材30の表面に位置する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、補強部材60は、第1基材20又は第2基材30に埋め込まれていてもよい。図13に示す例において、補強部材60は、第1基材20に埋め込まれている第1補強部材61を有する。この場合、第1補強部材61は、図13Aに示すように第1基材20の第1面21側に露出していてもよく、若しくは、図13Bに示すように第1基材20の表面に露出していなくてもよい。また、図示はしないが、補強部材60は、第2基材30に埋め込まれている第2補強部材62を有していてもよい。
(第5の変形例)
上述の実施の形態においては、配線52が第1基材20の第1面21に設けられる例を示したが、これに限られることはない。本変形例においては、配線52が支持基板によって支持される例を示す。
図14は、本変形例に係る配線基板10を示す断面図である。配線基板10は、第1基材20、第2基材30、支持基板40及び配線52を少なくとも備える。
〔支持基板〕
支持基板40は、第1基材20及び第2基材30よりも低い伸縮性を有するよう構成された部材である。支持基板40は、第1基材20側に位置する第2面42と、第2面42の反対側に位置する第1面41と、を含む。図14に示す例において、支持基板40は、その第1面41側において配線52を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において第1基材20の第1面21に接合されている。例えば、第1基材20と支持基板40との間に、接着剤を含む接着層27が設けられていてもよい。接着層27を構成する材料としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。接着層27の厚みは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。
図示はしないが、支持基板40は、その第2面42側において配線52を支持していてもよい。
図15は、図14の配線基板10を拡大して示す断面図である。本変形例においては、第1基材20及び第2基材30から張力が取り除かれて第1基材20及び第2基材30が収縮するとき、配線52の山部53及び谷部54と同様の山部及び谷部が支持基板40にも現れる。支持基板40の特性や寸法は、このような山部や谷部が形成され易くなるよう設定されている。例えば、支持基板40は、第1基材20及び第2基材30の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。
支持基板40の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。また、支持基板40の弾性係数は、第1基材20及び第2基材30の弾性係数の100倍以上50000倍以下であってもよく、好ましくは1000倍以上10000倍以下である。このように支持基板40の弾性係数を設定することにより、配線52の山部53及び谷部54の周期F3が小さくなり過ぎることを抑制することができる。また、配線52の山部53及び谷部54において局所的な折れ曲がりが生じることを抑制することができる。
なお、支持基板40の弾性係数が低すぎると、配線52の形成工程中に支持基板40が変形し易く、この結果、支持基板40に対する配線52の位置合わせが難しくなる。また、支持基板40の弾性係数が高すぎると、弛緩時の第1基材20及び第2基材30の復元が難しくなり、また第1基材20及び第2基材30の割れや折れが発生し易くなる。
支持基板40の厚みは、例えば500nm以上10μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。支持基板40の厚みが小さすぎると、支持基板40の製造工程や、支持基板40上に配線52などの部材を形成する工程における、支持基板40のハンドリングが難しくなる。支持基板40の厚みが大きすぎると、弛緩時の第1基材20及び第2基材30の復元が難しくなり、目標の第1基材20及び第2基材30の伸縮が得られなくなる。
支持基板40を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等を用いることができる。その中でも、耐久性や耐熱性がよいポリエチレンナフタレートかポリイミドが好ましく用いられ得る。
支持基板40の弾性係数は、第1基材20及び第2基材30の弾性係数の100倍以下であってもよい。支持基板40の弾性係数を算出する方法は、第1基材20及び第2基材30又は補強部材60の場合と同様である。
(配線基板の製造方法)
次に、図16(a)~(d)を参照して、本変形例に係る配線基板10の製造方法について説明する。
まず、支持基板40を準備する。続いて、支持基板40の第1面41に配線52を設ける。
例えば、まず、支持基板40の第1面41に銅層などの金属層を形成する。金属層を形成する方法は任意である。例えば、蒸着法によって金属層を形成してもよく、若しくは、支持基板40の第1面41に接着層などを介して銅箔などの金属箔を接合することによって金属層を形成してもよい。続いて、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて金属層を加工する。これにより、第1面41に配線52を得ることができる。
続いて、図16(b)に示すように、第1方向D1において第1基材20に張力Tを加えて、第1基材20を伸長させる第1伸長工程を実施する。続いて、図16(b)に示すように、第1伸長工程によって伸長した状態の第1基材20の第1面21側に配線52を設ける配線形成工程を実施する。本変形例の配線形成工程においては、図16(b)に示すように、第1基材20の第1面21に、配線52が設けられた支持基板40の第2面42を接合させる。この際、第1基材20と支持基板40との間に接着層27を設けてもよい。
また、図16(b)に示すように、第1方向D1において第2基材30に張力Tを加えて、第2基材30を伸長させる第2伸長工程を実施する。続いて、図16(c)に示すように、伸長された状態の第1基材20に、配線52の側から、伸長された状態の第2基材30を積層する積層工程を実施する。例えば、第2基材30の第2面32を、配線52を支持する支持基板40の第1面41に接着層を介して接合する。
その後、第1基材20及び第2基材30から張力Tを取り除く収縮工程を実施する。これにより、図16(d)において矢印Cで示すように、第1方向D1において第1基材20及び第2基材30が収縮し、第1基材20に接合されている支持基板40に設けられている配線52にも変形が生じる。配線52の変形は、上述のように蛇腹形状部55として生じ得る。このようにして、蛇腹形状部が現れている配線基板10を得ることができる。
本変形例においても、第2基材30は、第1基材20と同一の厚み及び弾性係数を有している。これにより、配線基板10が曲げられた時に、第1基材20と第2基材30との間に位置する支持基板40及び配線52に曲げ応力が生じることを抑制することができる。
(第6の変形例)
上述の第5の変形例においては、支持基板40が接着層27を介して第1基材20に接合される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、非接着表面を分子修飾させて、分子接着結合させる方法などによって支持基板40が第1基材20に接合されていてもよい。この場合、図17に示すように、第1基材20と支持基板40との間に接着層が設けられていなくてもよい。
(第7の変形例)
図18は、支持基板40を備える配線基板10の一例を示す断面図である。図18に示すように、支持基板40の第1面41と第2基材30の第2面32との間には接着層37が設けられていてもよい。
(第8の変形例)
図19は、支持基板40を備える配線基板10の一例を示す断面図である。図19に示すように、配線基板10は、支持基板40によって支持されている配線52に電気的に接続された電子部品51を備えていてもよい。この場合、配線基板10は、図19に示すように、第1基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51に少なくとも部分的に重なるよう配置されている補強部材60を備えていてもよい。
(第9の変形例)
上述の実施の形態においては、第2基材30が、伸長された状態で、伸長された状態の第1基材20に積層される部材である例を示した。しかしながら、配線52に曲げ応力が生じることを抑制することができる限りにおいて、第2基材30の構成は特には限られない。例えば、第2基材30は、伸長されていない状態で、伸長されていない、収縮後の状態の第1基材20に積層される部材であってもよい。
また、第2基材30は、第1基材20の上に液状の樹脂などを塗布し固化又は硬化させることによって、第1基材20に積層される層であってもよい。この場合、第2基材30を構成する樹脂としては、第1基材20と同様の樹脂を用いることができる。例えば、第1基材20がポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む場合、第2基材30を構成するために第1基材20の上に塗布される液状の樹脂としても、PDMSを用いることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
配線基板10として、図2に示すような、第1基材20及び第2基材30と、第1基材20の第1面21と第2基材30の第2面32との間に位置する配線52と、を含むものを作製した。以下、配線基板10の作製方法について説明する。
≪第1基材の準備≫
支持台の上に、2液付加縮合のPDMSを塗布し、PDMSを硬化させた。これにより、支持台の上に第1基材20を形成した。硬化後の第1基材20の厚さは約1mmであった。続いて、第1基材20の一部分をサンプルとして取り出し、第1基材20の弾性係数を、JIS K6251に準拠した引張試験により測定した。結果、第1基材20の弾性係数は0.05MPaであった。
≪配線の形成≫
続いて、第1方向D1において基材20を1.5倍に伸長させた。また、伸長されている状態の第1基材20の第1面21の上に導電性ペーストを所定のパターンで印刷することにより、配線52を形成した。印刷法としては、スクリーン印刷を用いた。導電性ペーストは、溶媒、バインダー樹脂及び銀の導電性粒子を含んでいた。溶媒としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを用いた。バインダー樹脂としては、ウレタンを用いた。印刷の後、オーブンにて80℃30分間にわたってアニール処理を実施し、溶媒を揮発させて、配線52を形成した。配線52は、20μmの厚み、200μmの線幅を有する。
≪第2基材の形成≫
続いて、配線52が形成されている第1基材20の第1面21に、配線を覆うように第2基材30を形成した。具体的には、第1基材20と同様のPDMSを含む溶液を第1基材20の第1面21に塗布し、硬化させた。硬化後の第2基材30の厚さは約1mmであった。このようにして、配線基板10を作製した。
(実施例2)
配線基板10として、図18に示すような、第1基材20及び第2基材30と、第1基材20の第1面21と第2基材30の第2面32との間に位置し、配線52を支持する支持基板40と、支持基板40の第2面42と第1基材20の第1面21との間に位置する接着層27と、支持基板40の第1面41と第2基材30の第2面32との間に位置する接着層37と、を含むものを作製した。以下、配線基板10の作製方法について説明する。
≪第1基材の準備≫
支持台の上に、接着層27として機能する粘着シートを載置した。粘着シートとしては、3M社製の粘着シート8146-2を用いた。続いて、粘着シート上に2液付加縮合のPDMSを塗布し、PDMSを硬化させた。これにより、粘着シートの上に第1基材20を形成した。硬化後の第1基材20の厚さは約1mmであった。続いて、第1基材20の一部分をサンプルとして取り出し、第1基材20の弾性係数を、JIS K6251に準拠した引張試験により測定した。結果、第1基材20の弾性係数は0.05MPaであった。
≪第2基材の準備≫
支持台の上に、接着層37として機能する粘着シートを載置した。粘着シートとしては、3M社製の粘着シート8146-2を用いた。続いて、粘着シート上に、第1基材20の場合と同様に、2液付加縮合のPDMSを塗布し、PDMSを硬化させた。これにより、粘着シートの上に第2基材30を形成した。硬化後の第2基材30の厚さは約1mmであった。
≪支持基板の準備≫
支持基板40として厚さ1μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを準備した。続いて、支持基板40の第1面41に、1μmの厚みを有する銅層を蒸着法により形成した。続いて、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて銅層を加工した。これにより、200μmの線幅を有する配線52を得た。
また、支持基板40の一部分をサンプルとして取り出し、支持基板40の弾性係数を、ASTM D882に準拠した引張試験により測定した。結果、支持基板40の弾性係数は2.2GPaであった。
続いて、第1方向D1において第1基材20を1.5倍に伸長させた。また、1.5倍に伸長された状態の第1基材20と、配線52が設けられた支持基板40の第2面42とを、粘着シートからなる接着層27を介して接合した。また、第1基材20と同様に第1方向D1において1.5倍に伸長された状態の第2基材30と、支持基板40の第1面41とを、粘着シートからなる接着層37を介して接合した。その後、第1基材20及び第2基材30から引張応力を取り除いて、第1基材20及び第2基材30並びに支持基板40を収縮させた。このようにして、配線基板10を作製した。得られた配線基板10において、配線52には蛇腹形状部55が現れていた。なお、配線52が延びる方向と、第1基材20及び第2基材30の伸縮方向である第1方向D1とは平行である。
(実施例3)
配線基板10として、電子部品51と重なる位置に設けられた第1補強部材61を備えるものを作製した。以下、配線基板10の作製方法について説明する。
≪第1基材の準備≫
支持台の上に、接着層27として機能する粘着シートを載置した。粘着シートとしては、3M社製の粘着シート8146-2を用いた。続いて、粘着シート上に、第1補強部材61として機能する、5mm×5mmサイズのポリイミドフィルム(宇興産社製:ユーピレックス 厚み125μm)を設けた。続いて、粘着シート上に2液付加縮合のPDMSを塗布し、PDMSを硬化させた。これにより、実施例2の場合と同様に、粘着シートの上に第1基材20を形成した。硬化後の第1基材20の厚さは約1mmであった。このようにして、ポリイミドからなる第1補強部材61が埋め込まれ、且つ粘着シートからなる接着層27が設けられている第1基材20を得た。
また、第1補強部材61の一部分をサンプルとして取り出し、第1補強部材61の弾性係数を、ASTM D882に準拠した引張試験により測定した。結果、第1補強部材61の弾性係数は7GPaであった。
≪支持基板の準備≫
実施例2の場合と同様に、支持基板40として厚さ1μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを準備した。続いて、支持基板40の第1面41に、1μmの厚みを有する銅層を蒸着法により形成した。続いて、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて銅層を加工し、配線52を形成した。配線52は、200μmの線幅を有し、500μmの間隔が空けられた電極対となるよう、構成された。続いて、電極対の間に、1.0×0.5mmの寸法を有するLEDチップを、導電性接着剤を用いて搭載した。支持基板40の弾性係数は、実施例2の場合等同様に2.2GPaであった。
続いて、第1方向D1において第1基材20を1.5倍に伸長させた。また、1.5倍に伸長された状態の第1基材20と、配線52が設けられた支持基板40の第2面42とを、粘着シートからなる接着層27を介して接合した。この際、支持基板40に搭載されているLEDチップが、第1基材20に埋め込まれている第1補強部材61の中心に位置するよう、位置合わせを行った。その後、第1基材20から引張応力を取り除いて、第1基材20及び支持基板40を収縮させた。第1基材20及び支持基板40を収縮させた後、配線52には蛇腹形状部55が現れていた。また、配線52のうち第1補強部材61に重なる部分に生じている蛇腹形状部55の振幅は、配線52のうち第1補強部材61に重なっていない部分に生じている蛇腹形状部55の振幅に比べて小さかった。
第1基材20及び支持基板40を収縮させた後にも、LEDチップの導通接続は維持されており、LEDチップは点灯し続けていた。
≪第2基材の形成≫
続いて、配線52が形成されLEDチップが配置されている支持基板40の第1面41に、配線52を覆うように第2基材30を形成した。具体的には、第1基材20と同様のPDMSを含む溶液を支持基板40の第1面41に塗布し、硬化させた。硬化後の第2基材30の厚さは約1mmであった。このようにして、配線基板10を作製した。
10 配線基板
20 第1基材
21 第1面
22 第2面
23 山部
24 谷部
27 接着層
30 第2基材
31 第1面
32 第2面
33 山部
34 谷部
37 接着層
40 支持基板
41 第1面
42 第2面
51 電子部品
52 配線
53 山部
54 谷部
55 蛇腹形状部
60 補強部材
61 第1補強部材
62 第2補強部材

Claims (17)

  1. 配線基板であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する第1基材と、
    前記第1基材の前記第1面と対向する第2面及び前記第2面の反対側に位置する第1面を含み、前記第1基材と同一の厚み及び弾性係数を有する第2基材と、
    前記第1基材の前記第1面と前記第2基材の前記第2面との間に位置する配線と、
    前記第1基材の前記第1面と前記第2基材の前記第2面との間に位置し、前記配線を支持する支持基板と、を備え
    前記配線は、前記第1基材の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有する、配線基板。
  2. 配線基板であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する第1基材と、
    伸縮性を有し、前記第1基材の前記第1面側に位置する第2基材と、
    前記第1基材と前記第2基材との間に位置し、前記配線基板の中立面と重なる配線と、
    前記第1基材の前記第1面と前記第2基材の前記第2面との間に位置し、前記配線を支持する支持基板と、を備え
    前記配線は、前記第1基材の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有する、配線基板。
  3. 前記第1基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記配線の前記蛇腹形状部の振幅よりも小さい、請求項1又は2に記載の配線基板。
  4. 前記第2基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記配線の前記蛇腹形状部の振幅よりも小さい、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配線基板。
  5. 前記第1基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記配線の前記蛇腹形状部の周期よりも大きい、請求項乃至のいずれか一項に記載の配線基板。
  6. 前記第2基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記配線の前記蛇腹形状部の周期よりも大きい、請求項乃至のいずれか一項に記載の配線基板。
  7. 前記第1基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の位置が、前記配線の前記蛇腹形状部の山部及び谷部の位置からずれている、請求項乃至のいずれか一項に記載の配線基板。
  8. 前記第2基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の位置が、前記配線の前記蛇腹形状部の山部及び谷部の位置からずれている、請求項乃至のいずれか一項に記載の配線基板。
  9. 前記支持基板は、前記第1基材及び前記第2基材よりも高い弾性係数を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の配線基板。
  10. 前記支持基板は、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、又はポリエチレンテレフタラートを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の配線基板。
  11. 前記配線に電気的に接続される電子部品を更に備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の配線基板。
  12. 前記第1基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記電子部品に少なくとも部分的に重なり、前記第1基材及び前記第2基材よりも大きい弾性係数を有する補強部材を備える、請求項11に記載の配線基板。
  13. 前記補強部材は、前記第1基材の前記第2面側又は前記第2基材の前記第1面側の少なくともいずれか一方に位置する、請求項12に記載の配線基板。
  14. 前記補強部材は、前記第1基材の前記第2面側又は前記第2基材の前記第1面側の両方に位置する、請求項13に記載の配線基板。
  15. 前記補強部材は、前記第1基材又は前記第2基材の少なくともいずれか一方に埋め込まれている、請求項12に記載の配線基板。
  16. 配線基板の製造方法であって、
    伸縮性を有する第1基材に張力を加えて、前記第1基材を伸長させる第1伸長工程と、
    前記第1伸長工程によって伸長した状態の前記第1基材の第1面側に配線を設ける配線形成工程と、
    前記第1基材と同一の厚み及び弾性係数を有する第2基材に張力を加えて、前記第2基材を伸長させた状態で、伸長された状態の前記第1基材に前記配線の側から前記第2基材を積層する工程と、
    前記第1基材及び前記第2基材から前記張力を取り除く収縮工程と、を備え
    前記配線形成工程は、前記配線が設けられた支持基板を、前記第1基材の第1面に接合する工程を含み、
    前記収縮工程の後、前記配線は、前記第1基材の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有する、配線基板の製造方法。
  17. 配線基板の製造方法であって、
    伸縮性を有する第1基材に張力を加えて、前記第1基材を伸長させる第1伸長工程と、
    前記第1伸長工程によって伸長した状態の前記第1基材の第1面側に配線を設ける配線形成工程と、
    伸縮性を有する第2基材に張力を加えて、前記第2基材を伸長させた状態で、伸長された状態の前記第1基材に前記配線の側から前記第2基材を積層する工程と、
    前記第1基材及び前記第2基材から前記張力を取り除く収縮工程と、を備え、
    前記配線形成工程は、前記配線が設けられた支持基板を、前記第1基材の第1面に接合する工程を含み、
    前記収縮工程の後、前記配線は、前記第1基材の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有し、
    前記配線は、前記配線基板の中立面と重なる、配線基板の製造方法。
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