以下、本開示の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」などの用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基材」は、基板、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
以下、本開示の一実施形態について説明する。
(配線基板)
まず、本実施の形態に係る配線基板10について説明する。図1は、配線基板10を示す平面図である。図2は、図1の配線基板10のII-II線に沿った断面図である。
図1に示す配線基板10は、基材20、補強部材30、電子部品51及び配線52を備える。以下、配線基板10の各構成要素について説明する。
〔基材〕
基材20は、少なくとも1つの方向において伸縮性を有するよう構成された部材である。基材20は、配線52側に位置する第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。図1に示す例において、基材20は、第1面21の法線方向に沿って見た場合に、第1方向D1に延びる一対の辺と、第2方向D2に延びる一対の辺とを含む四角形状を有する。第1方向D1と第2方向D2とは、図1に示すように互いに直交していてもよく、図示はしないが直交していなくてもよい。以下の説明において、第1面21の法線方向に沿って配線基板10又は配線基板10の構成要素を見ることを、単に「平面視」とも称する。本実施の形態において、基材20は、少なくとも第1方向D1において伸縮性を有する。基材20は第1方向D1以外の方向においても伸縮性を有していてもよい。
基材20の厚みは、例えば10μm以上10mm以下であり、より好ましくは20μm以上3mm以下である。基材20の厚みを10μm以上にすることにより、基材20の耐久性を確保することができる。また、基材20の厚みを10mm以下にすることにより、配線基板10の装着快適性を確保することができる。なお、基材20の厚みを小さくしすぎると、基材20の伸縮性が損なわれる場合がある。
なお、基材20の伸縮性とは、基材20が伸び縮みすることができる性質、すなわち、常態である非伸長状態から伸長することができ、この伸長状態から解放したときに復元することができる性質をいう。以下の説明において、伸長状態から解放したときに復元することができる性質のことを、復元性とも称する。非伸長状態とは、引張応力が加えられていない時の基材20の状態である。本実施形態において、伸縮可能な基材は、好ましくは、破壊されることなく非伸長状態から1%以上伸長することができ、より好ましくは20%以上伸長することができ、更に好ましくは75%以上伸長することができる。このような能力を有する基材20を用いることにより、配線基板10が全体に伸縮性を有することができる。さらに、人の腕などの身体の一部に取り付けるという、高い伸縮が必要な製品や用途において、配線基板10を使用することができる。一般に、人の脇の下に取り付ける製品には、垂直方向において72%、水平方向において27%の伸縮性が必要であると言われている。また、人の膝、肘、臀部、足首、脇部に取り付ける製品には、垂直方向において26%以上42%以下の伸縮性が必要であると言われている。また、人のその他の部位に取り付ける製品には、20%未満の伸縮性が必要であると言われている。
また、非伸長状態にある基材20の形状と、非伸長状態から伸長された後に再び非伸長状態に戻ったときの基材20の形状との差が小さいことが好ましい。この差のことを、以下の説明において形状変化とも称する。基材20の形状変化は、例えば面積比で20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。形状変化の小さい基材20を用いることにより、後述する山部や谷部の形成が容易になる。
基材20の伸縮性を表すパラメータの例として、基材20の弾性係数を挙げることができる。基材20の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。このような弾性係数を有する基材20を用いることにより、配線基板10全体に伸縮性を持たせることができる。以下の説明において、基材20の弾性係数のことを、第1の弾性係数とも称する。基材20の第1の弾性係数は、1kPa以上であってもよい。
基材20の第1の弾性係数を算出する方法としては、基材20のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、基材20のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。基材20のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から基材20の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の基材20の一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、基材20の第1の弾性係数を算出する方法として、基材20を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて基材20の第1の弾性係数を算出するという方法を採用することもできる。なお、本願における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
基材20の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、基材20の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m2又はPa・m4である。基材20の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって、基材20のうち配線52と重なっている部分を切断した場合の断面に基づいて算出される。
基材20は、エラストマーを主成分として含んでいてもよい。また、基材20は、織物、編物、不織布などの布を主成分として含んでいてもよい。なお「主成分」とは、対象となる構成要素において51重量%以上を占める成分である。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、具体的には、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、1,2-BR系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。また、基材20が、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンを含んでいてもよい。シリコーンは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れており、基材20の材料として好ましい。
〔電子部品〕
電子部品51は、基材20の第1面21側に設けられている。電子部品51は、電子部品51と同様に第1面21側に位置する配線52と接続部51aを介して接続される。図2に示す例において、接続部51aは、電子部品51における基材20側を向く面と、基材20、特に基材20上の配線52の表面と、の間に位置する。なお、配線52の表面とは、配線52の面のうち基材20から遠い側に位置する面である。なお、図2に示す例に代えて、接続部51aは、電子部品51の側面に位置してもよい。また、接続部51aは、配線52の側面に接続されてもよい。このような電子部品51は、能動部品であってもよく、受動部品であってもよく、機構部品であってもよい。ここで側面は、表面と表面とは反対側の裏面との間に位置する面である。
電子部品51の例としては、トランジスタ、LSI(Large-Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCDなどの発光素子、センサ、ブザー等の発音部品、振動を発する振動部品、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線などの冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチ、コネクタなどを挙げることができる。電子部品51の上述の例のうち、センサが好ましく用いられる。センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、生体センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサ等を挙げることができる。これらのセンサのうち、生体センサが特に好ましい。生体センサは、心拍や脈拍、心電、血圧、体温、血中酸素濃度等の生体情報を測定することができる。
〔配線〕
配線52は、導電性を有し、平面視において細長い形状を有する部材である。図1に示す例において、配線52は基材20の第1面21側に位置して、基材20の第1面21の面内方向の1つである第1方向D1に延びている。配線52は、第1方向D1で電子部品51に対して一方側に3本設けられ、他方側に3本設けられるが、配線52の数は特に限られるものではない。
配線52の材料としては、後述する蛇腹形状部の解消及び生成を利用して基材20の伸長及び収縮に追従することができる材料が用いられる。配線52の材料は、それ自体が伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。
配線52に用いられ得る、それ自体は伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。配線52の材料自体が伸縮性を有さない場合、配線52としては、金属膜を用いることができる。
配線52に用いられる材料自体が伸縮性を有する場合、材料の伸縮性は、例えば、基材20の伸縮性と同様である。配線52に用いられ得る、それ自体が伸縮性を有する材料としては、例えば、導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物が挙げられる。導電性粒子としては、配線に使用できるものであればよく、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子が挙げられる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
好ましくは、配線52は、変形に対する耐性を有する構造を備える。例えば、配線52は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する。この場合、ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、基材20の伸縮に応じて配線52も変形することができる。また、変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線52の導電性を維持することができる。
配線52のベース材を構成する材料としては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。中でも、ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムが、その伸縮性や耐久性などの面から好ましく用いられる。また、配線52の導電性粒子を構成する材料としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子を用いることができる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
配線52の厚みは、基材20の伸縮に耐え得る厚みであればよく、配線52の材料等に応じて適宜選択される。
例えば、配線52の材料が伸縮性を有さない場合、配線52の厚みは、25nm以上100μm以下の範囲内とすることができ、50nm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、100nm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましい。
また、配線52の材料が伸縮性を有する場合、配線52の厚みは、5μm以上60μm以下の範囲内とすることができ、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上40μm以下の範囲内であることがより好ましい。
配線52の幅は、配線52に求められる電気抵抗値に応じて適宜選択される。配線52の幅は、例えば1μm以上であり、好ましくは50μm以上である。また、配線52の幅は、例えば10mm以下であり、好ましくは1mm以下である。
配線52の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法、金属箔の積層等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。基材20上または後述する支持基板40上に金属箔を積層する場合、基材20または支持基板40と金属箔との間に接着層などが介在されていてもよい。また、配線52の材料自体が伸縮性を有する場合、例えば、基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により上記の導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。
〔補強部材〕
補強部材30は、基材20を補強することで、基材20の変形を緩和するために配線基板10に設けられた部材である。例えば、配線52における電子部品51の周囲に位置する部分は、伸縮時に大きい応力が生じ易く、また、電子部品51の下方に巻き込まれ易くなり、破損のリスクが高くなり得る。ここで本実施形態によれば、基材20に補強部材30を設けることにより、基材20における電子部品51の周囲の部分の変形を制御、特に緩和することが可能となる。これにより、配線52に局所的に大きい応力が生じることや、配線52が電子部品51の下方に巻き込まれることを抑制することができ、配線52と電子部品51との断線を抑制することができる。
補強部材30は基材20の内部に設けられており、第1面21の法線方向に沿って基材20を見た際、電子部品51と重なるとともに、電子部品51と接続する側の配線52の端部52eと重なっている。なお、「重なる」とは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に2つの構成要素が重なることを意味している。
補強部材30は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有してもよい。補強部材30の弾性係数は、例えば0.1GPa以上500GPa以下であり、より好ましくは0.1GPa以上100GPa以下である。このような補強部材30を基材20に設けることにより、基材20のうち補強部材30と重なる部分が伸縮することを抑制することができる。これにより、基材20を、伸縮が生じやすい部分と、伸縮が生じにくい部分とに区画することができる。補強部材30の弾性係数が低すぎると、伸縮の制御がしにくい場合がある。また、補強部材30の弾性係数が高すぎると、基材20が伸縮した際に、割れやひびなど構造の破壊が補強部材30に起こる場合がある。補強部材30の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の1.1倍以上1000000倍以下であってもよく、より好ましくは100000倍以下である。以下の説明において、補強部材30の弾性係数のことを、第2の弾性係数とも称する。
補強部材30の第2の弾性係数を算出する方法は、補強部材30の形態に応じて適宜定められる。例えば、補強部材30の第2の弾性係数を算出する方法は、上述の基材20の弾性係数を算出する方法と同様であってもよく、異なっていてもよい。後述する支持基板40の弾性係数も同様である。例えば、補強部材30又は支持基板40の弾性係数を算出する方法として、補強部材30又は支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
また、図3Aは、補強部材30を拡大して示しており、図3Bは、図1に示す配線基板10から電子部品51を取り外した状態の配線基板10の平面図を示している。補強部材30の形状について詳述すると、図3Aに示すように、補強部材30は、第1部分31と、基材20の第1面21の法線方向における厚みが第1部分31よりも大きい第2部分32と、を有する。また、図3Bに示すように、基材20の第1面21の法線方向に沿って基材20を見た際に、配線52の端部52eと第1部分31とが重なり、第2部分32は、端部52eを挟み込むように形成されている。本例では、第2部分32が、第1部分31の外縁の全周に沿って湾曲して延びるように形成され、これにより、端部52eは、全方向から第2部分32に挟み込まれることになる。言い換えると、第1面21と平行な面上に位置する、少なくとも一つの第1面21と平行な方向で、端部52eの両側に第2部分32が位置している。そして、本例では、第1面21と平行な面上の全方向で、端部52eの両側に第2部分32が位置していることになる。
上述のような補強部材30が設けられる場合には、例えば配線基板10が第1方向D1に伸長された際、基材20における第1部分31と重なる部分が第2部分32に引っ掛かることで、又は、基材20における第1部分31と重なる部分が基材20における第2部分32の外側に位置する領域から隔離されることで、基材20における第1部分31と重なる部分の伸長を抑制される。これにより、配線基板10の伸縮によって配線52の端部52eと電子部品51との間に生じ得る応力が効果的に緩和され得る。
図示の例では、補強部材30の第1部分31が平面視で円形であり、第2部分32が第1部分31の全周にわたって湾曲して延びている。しかしながら、補強部材30の形状は特に限られるものではなく、例えば平面視で矩形状等であってもよい。また、第2部分32は、第1部分31側から配線52側へ向けて凸となるが、配線52から離れる側に凸となってもよい。また、第2部分32の配線52側の端部は、配線52側へ向けて凸の半円形状であり、基材20の外側に露出していない。しかしながら、第2部分32の配線52側の端部の形状は特に限られるものではなく、例えば平坦形状であってもよい。また、第2部分32の平坦形状の端部が基材20の外側に露出し、第1面21と同一面上に位置してもよいし、第1面21から突出してもよい。
補強部材30の第2の弾性係数が基材20の第1の弾性係数よりも大きい場合、補強部材30を構成する材料として、金属材料を用いることができる。金属材料の例としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等を挙げることができる。また、金属材料として、半田材料が用いられてもよい。また、補強部材30を構成する材料として、一般的な熱可塑性エラストマーや、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系又はシリコーン系等のオリゴマー、ポリマーなどを用いてもよい。補強部材30を構成する材料がこれらの樹脂である場合、補強部材30は、透明性を有していてもよい。また、補強部材30は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、補強部材30は黒色であってもよい。また、補強部材30の色と基材20の色とが同一であってもよい。補強部材30の厚みは、本実施形態において、第2部分32で、例えば1μm以上100μm以下であるが、特に限られるものではない。
また、補強部材30の第2の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数以下であってもよい。補強部材30の第2の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、1MPa以下であってもよい。補強部材30の第2の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の1倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよい。
一方で、補強部材30の第2の弾性係数が基材20の第1の弾性係数以下の場合、補強部材30を構成する材料として、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレンが挙げられる。この場合、補強部材30の厚みは、本実施の形態において、例えば1μm以上100μm以下であるが、特に限られるものではない。
補強部材30の特性を、弾性係数に替えて曲げ剛性によって表してもよい。補強部材30の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって補強部材30を切断した場合の断面に基づいて算出される。補強部材30の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性の1.1倍以上であってもよく、より好ましくは2倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。
若しくは、補強部材30の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性以下であってもよい。例えば、補強部材30の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性の1倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよい。
なお、補強部材30の形成方法は、特に限られるものではない。本実施形態のように、補強部材30が基材20の内部に設けられる場合には、例えば基材20を構成する層を多層で形成する工程の途中で、補強部材30を設けてもよい。
(断面形状の詳細)
次に、配線基板10の断面形状について詳細に説明する。図4は、図2の配線基板10の断面を拡大して示している。
後述するように、配線52は、張力を加えられて第1伸長量で伸長された状態の基材20に設けられる。この場合、基材20から張力が取り除かれて基材20が収縮するとき、配線52は、図4に示すように、蛇腹状に変形して蛇腹形状部57を有するようになる。
配線52の蛇腹形状部57は、配線52が延びる第1方向D1方向に沿って並ぶ複数の山部53及び谷部54を含む。山部53は、配線52の表面において第1面21の法線方向に隆起した部分であり、谷部54は、図4に示すように、配線52が延びる方向において隣り合う2つの山部53の間に位置する部分である。
配線52の山部53及び谷部54は、配線52が延びる方向に並んでいる。しかしながら、これに限られることはなく、図示はしないが、配線52の山部53及び谷部54が並ぶ方向と、配線52が延びる方向とが一致していなくてもよい。また、図4においては、蛇腹形状部57の複数の山部53及び谷部54が一定の周期で並ぶ例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、蛇腹形状部57の複数の山部53及び谷部54は、不規則に並んでいてもよい。例えば、隣り合う2つの山部53の間の間隔が一定でなくてもよい。
図4において、符号S1は、第1面21側における配線基板10の表面のうち配線52の蛇腹形状部57に平面視において重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅を表す。図4に示す例においては、配線52が配線基板10の表面に位置しているので、振幅S1は、配線52の山部53及び谷部54の振幅である。
振幅S1は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。振幅S1を10μm以上とすることにより、基材20の伸長に追従して配線52が変形し易くなる。また、振幅S1は、例えば500μm以下であってもよい。
山部及び谷部の振幅は、例えば、山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部と谷部との間の、基材20の第1面21の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。隣り合う山部と谷部との間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部と谷部との間の距離を測定してもよい。
図4において、符号F1は、第1面21側における配線基板10の表面のうち配線52の蛇腹形状部57に平面視において重なる部分に現れる山部及び谷部の周期を表す。図4に示す例においては、配線52が配線基板10の表面に位置しているので、周期F1は、配線52の山部53及び谷部54の周期である。周期F1は、例えば10μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。また、周期F1は、例えば100mm以下であり、より好ましくは10mm以下である。山部及び谷部の周期F1は、山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲にわたって、複数の山部の間隔を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。
図4に示すように、基材20の第1面21のうち配線52の蛇腹形状部57に平面視において重なる部分にも、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部23や谷部24が現れてもよい。
図4において、符号S2は、基材20の第1面21において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部23及び谷部24の振幅を表す。基材20の第1面21の山部23及び谷部24の振幅S2は、配線52の蛇腹形状部57の山部53及び谷部54の振幅よりも小さくてもよい。例えば、振幅S2は、振幅S1の0.9倍以下であってもよく、0.7倍以下であってもよく、0.5倍以下であってもよく、0.3倍以下であってもよい。また、振幅S2は、振幅S1の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。なお、「基材20の第1面21の山部23及び谷部24の振幅S2が、配線52の山部53及び谷部54の振幅S1よりも小さい」とは、基材20の第1面21に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
また、図4に示したように、本例では、図中の蛇腹形状部57と電子部品51との間の位置には蛇腹形状部が形成されていない。一方で、後述するように、基材20に張力を加えて伸長させた状態で、電子部品51及び配線52を設ける場合には、張力を取り除いた後の基材20の第1面21や配線52における電子部品51及び補強部材30に近接した部分に、電子部品51から比較的離れた位置にある蛇腹形状部57の山部及び谷部よりも周期が大きく且つ振幅が小さい、図5に示すような山部71及び谷部72を含む蛇腹形状部57aが形成される場合がある。このような山部71及び谷部72は、電子部品51又は補強部材30に近づくに従い、次第に周期が大きくなり且つ振幅が小さくなる傾向がある。なお、図5に示す蛇腹形状部57aは、配線52の表面に形成される蛇腹形状部を示すが、図5においては、基材20の第1面21にも、蛇腹形状部57の山部及び谷部よりも周期が大きく且つ振幅が小さい蛇腹形状部が形成されている。
なお、図4においては、基材20の第2面22には蛇腹形状部が現れない例を示したが、これに限られることはない。図6に示すように、基材20の第2面22にも蛇腹形状部が現れていてもよい。図6において、符号28及び29は、基材20の第2面22に現れる山部及び谷部を表す。図6に示す例において、第2面22の山部28は、第1面21の谷部24に重なる位置に現れ、第2面22の谷部29は、第1面21の山部23に重なる位置に現れている。なお、図示はしないが、基材20の第2面22の山部28及び谷部29の位置は、第1面21の谷部24及び山部23に重なっていなくてもよい。また、基材20の第2面22の山部28及び谷部29の数又は周期は、第1面21の山部23及び谷部24の数又は周期と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、基材20の第2面22の山部28及び谷部29の周期が、第1面21の山部23及び谷部24の周期よりも大きくてもよい。この場合、基材20の第2面22の山部28及び谷部29の周期は、第1面21の山部23及び谷部24の周期の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。なお、「基材20の第2面22の山部28及び谷部29の周期が、第1面21の山部23及び谷部24の周期よりも大きい」とは、基材20の第2面22に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図6において、符号S3は、蛇腹形状部57に重なる部分において基材20の第2面22に現れる山部28及び谷部29の振幅を表す。第2面22の振幅S3は、第1面21の振幅S2と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第2面22の振幅S3が、第1面21の振幅S2よりも小さくてもよい。例えば、第2面22の振幅S3が、第1面21の振幅S2の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、第2面22の振幅S3は、第1面21の振幅S3の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。基材20の厚みが小さい場合、第1面21の振幅S2に対する第2面22の振幅S3の比率が大きくなり易い。なお、「基材20の第2面22の山部28及び谷部29の振幅が、第1面21の山部23及び谷部24の振幅よりも小さい」とは、基材20の第2面22に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図7は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図7に示すように、配線52の蛇腹形状部57において、山部53の幅W11が谷部54の幅W12よりも小さくてもよい。このような山部53は、例えば、基材20の第1面21の山部及び谷部が経時的に変形し、その影響が配線52の蛇腹形状部57に伝わることによって生じ得る。なお、山部53の幅W11及び谷部54の幅W12は、振幅S1の中心における山部53の幅及び谷部54の幅である。山部53の幅W11は、好ましくは、谷部54の幅W12の0.3倍以上であり、0.5倍以上であってもよく、0.7倍以上であってもよい。また、山部53の幅W11は、谷部54の幅W12の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.7倍以下であってもよい。
一方で、図示はしないが、基材20の第1面21の山部23や谷部24の位置は、配線52の山部53や谷部54の位置からずれていてもよい。ずれ量は、例えば0.1×F1以上であり、0.2×F1以上であってもよい。また、基材20の第2面22の山部28や谷部29の位置は、基材20の第1面21の谷部24や山部23の位置からずれていてもよい。ずれ量は、例えば0.1×F2以上であり、0.2×F2以上であってもよい。
(配線基板の製造方法)
次に、図8(a)~(d)を参照して、配線基板10の製造方法について説明する。
まず、図8(a)に示すように、内部に補強部材30が設けられた基材20を準備する。
続いて、図8(b)に示すように、第1方向D1において基材20に張力Tを加えて基材20を伸長させる伸長工程を実施する。基材20全体の伸長率(=(L1-L0)×100/L0)は、例えば10%以上且つ200%以下である。伸長工程は、基材20を加熱した状態で実施してもよく、常温で実施してもよい。基材20を加熱する場合、基材20の温度は例えば50℃以上且つ100℃以下である。
続いて、図8(c)に示すように、張力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21に配線52及び電子部品51を設ける設置工程を実施する。例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを第1面21に印刷して配線52を設ける。
その後、図8(d)に示すように、基材20から張力Tを取り除く収縮工程を実施する。これにより、図8(d)において矢印Cで示すように、第1方向D1において基材20が収縮し、配線52にも変形が生じる。配線52の変形は、上述のように蛇腹形状部57として生じ得る。このようにして、蛇腹形状部が現れている配線基板10を得ることができる。
なお、本例では、基材20が、第1方向D1に引っ張られるが、基材20は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に同時に引っ張られた状態で、配線52等を設けられてもよい。また、基材20は、第1方向D1及び第2方向D2を含む面における放射方向、言い換えると全方向に引っ張られた状態で、配線52等を設けられてもよい。
本実施の形態によれば、配線基板10の配線52が蛇腹形状部57を有している。このため、配線基板10の基材20が伸長する際、配線52は、蛇腹形状部57の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸長に追従することができる。このため、基材20の伸長に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板10の伸長に起因して配線52の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
配線52の蛇腹形状部57によって得られる、配線52の電気抵抗値に関する効果の一例について説明する。ここでは、第1方向D1における張力が基材20に加えられていない第1状態における配線52の電気抵抗値を、第1電気抵抗値と称する。また、第1方向D1において基材20に張力を加えて基材20を第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における配線52の抵抗値を、第2電気抵抗値と称する。本実施の形態によれば、配線52に蛇腹形状部57を形成することにより、第1電気抵抗値に対する、第1電気抵抗値と第2電気抵抗値の差の絶対値の比率を、20%以下にすることができ、より好ましくは10%以下にすることができ、更に好ましくは5%以下にすることができる。
また、本実施の形態によれば、補強部材30が基材20の内部に設けられ、補強部材30は、第1部分31と、基材20の第1面21の法線方向における厚みが第1部分31よりも大きい第2部分32と、を有する。そして、基材20の第1面21の法線方向に沿って基材20を見た際に、配線52の端部52eと第1部分31とが重なり、第2部分32は、配線52の端部52eを挟み込むように形成されている。この場合、例えば配線基板10が第1方向D1に伸長された際、基材20における第1部分31と重なる部分が、第2部分32に引っ掛かることで、又は、基材20における第2部分32の外側に位置する領域から隔離されることで、その伸長を抑制され得る。これにより、第1部分31上に位置する配線52の端部52eと電子部品51との間に配線基板10の伸縮によって生じ得る応力が効果的に緩和され得る。これにより、配線52と電子部品51との断線を効果的に抑制できるようになる。
配線基板10の用途としては、ヘルスケア分野、医療分野、介護分野、エレクトロニクス分野、スポーツ・フィットネス分野、美容分野、モビリティ分野、畜産・ペット分野、アミューズメント分野、ファッション・アパレル分野、セキュリティ分野、ミリタリー分野、流通分野、教育分野、建材・家具・装飾分野、環境エネルギー分野、農林水産分野、ロボット分野などを挙げることができる。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品を、本実施の形態による配線基板10を用いて構成する。配線基板10は伸長することができるので、例えば配線基板10を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板10を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、配線基板10が伸長した場合に配線52の電気抵抗値が低下することを抑制することができるので、配線基板10の良好な電気特性を実現することができる。他にも配線基板10は伸長することができるので、人などの生体に限らず曲面や立体形状に沿わせて設置や組込むことが可能である。それらの製品の一例としては、バイタルセンサ、マスク、補聴器、歯ブラシ、絆創膏、湿布、コンタクトレンズ、義手、義足、義眼、カテーテル、ガーゼ、薬液パック、包帯、ディスポーザブル生体電極、おむつ、リハビリ用機器、家電製品、ディスプレイ、サイネージ、パーソナルコンピューター、携帯電話、マウス、スピーカー、スポーツウェア、リストバンド、はちまき、手袋、水着、サポーター、ボール、グローブ、ラケット、クラブ、バット、釣竿、リレーのバトンや器械体操用具、またそのグリップ、身体トレーニング用機器、浮き輪、テント、水着、ゼッケン、ゴールネット、ゴールテープ、薬液浸透美容マスク、電気刺激ダイエット用品、懐炉、付け爪、タトゥー、自動車、飛行機、列車、船舶、自転車、ベビーカー、ドローン、車椅子、などのシート、インパネ、タイヤ、内装、外装、サドル、ハンドル、道路、レール、橋、トンネル、ガスや水道の管、電線、テトラポッド、ロープ首輪、リード、ハーネス、動物用のタグ、ブレスレット、ベルトなど、ゲーム機器、コントローラーなどのハプティクスデバイス、ランチョンマット、チケット、人形、ぬいぐるみ、応援グッズ、帽子、服、メガネ、靴、インソール、靴下、ストッキング、スリッパ、インナーウェア、マフラー、耳あて、鞄、アクセサリー、指輪、時計、ネクタイ、個人ID認識デバイス、ヘルメット、パッケージ、ICタグ、ペットボトル、文具、書籍、ペン、カーペット、ソファ、寝具、照明、ドアノブ、手すり、花瓶、ベッド、マットレス、座布団、カーテン、ドア、窓、天井、壁、床、ワイヤレス給電アンテナ、電池、ビニールハウス、ネット(網)、ロボットハンド、ロボット外装を挙げることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
図9は、一変形例に係る配線基板10の断面図である。配線基板10は、基材20、補強部材30、電子部品51及び配線52を備え、このうちの基材20が、下地層201と、下地層201よりも配線52側に設けられる応力緩和層202と、を有している。そして、補強部材30が、応力緩和層202の内部に設けられている。
本例では、下地層201の対向する一対の主面のうちの応力緩和層202側の面とは反対側の面が基材20の第2面22を形成し、応力緩和層202の対向する一対の主面のうちの下地層201側の面とは反対側の面が基材20の第1面21を形成する。したがって、電子部品51及び配線52は応力緩和層202上に設けられる。
下地層201は伸縮性を有する部材であり、下地層201の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。下地層201の弾性係数を算出する方法としては、上述実施形態で説明した基材20の弾性係数を算出する方法と同様に、下地層201のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、下地層201のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。下地層201は上述実施形態で説明した単層で形成される基材20と同様の部材から形成され得るため、その詳細な説明は省略する。
応力緩和層202は、下地層201に生じる変形が配線52に及ぼす影響を緩和するために下地層201と配線52との間に設けられている層である。図9に示す例において、応力緩和層202は、下地層201の全域にわたって設けられている。なお、図示はしないが、応力緩和層202は、配線52と平面視において重ならない領域には設けられていなくてもよい。
応力緩和層202は、下地層201の弾性係数よりも小さい弾性係数を有する。応力緩和層202の弾性係数は、例えば2MPa以下であり、0.1MPa以下であってもよく、0.07MPa以下であってもよく、0.05MPa以下であってもよく、0.03MPa以下であってもよい。応力緩和層202が小さい弾性係数を有することにより、変形に対する応力緩和層202の復元性を低くすることができる。例えば、応力緩和層202自体は、図8で説明したような伸長工程から解放したときに復元できる程度の復元性を有していなくてもよい。この場合であっても、下地層201が復元性を有しているので、基材20全体としては、元の寸法に復元することができる。応力緩和層202の復元性が低いことにより、基材20の経時的な変形に起因して配線52が変形することを抑制することができる。以下の説明において、応力緩和層202の弾性係数のことを、第3の弾性係数とも称する場合がある。
応力緩和層202は、エラストマーを主成分として含んでいてもよい。例えば、応力緩和層202は、下地層201に主成分として含まれるエラストマーと同一のエラストマーを主成分として含んでいてもよい。応力緩和層202のエラストマーとしては、下地層201のエラストマーとして例示したものを用いることができる。
応力緩和層202の弾性係数は、下地層201の弾性係数に対して相対的に定められていてもよい。例えば、応力緩和層202の弾性係数は、下地層201の弾性係数の0.7倍以下であってもよく、0.5倍以下であってもよく、0.3倍以下であってもよく、0.1倍以下であってもよい。また、応力緩和層202の弾性係数は、下地層201の弾性係数の0.01倍以上であってもよく、0.03倍以上であってもよく、0.05倍以上であってもよく、0.1倍以上であってもよい。
応力緩和層202の弾性係数を算出する方法は、応力緩和層202の形態に応じて適宜定められる。例えば、応力緩和層202の弾性係数を算出する方法として、上述実施形態で説明した基材20の弾性係数を算出する方法と同様に、応力緩和層202のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、応力緩和層202のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。
応力緩和層202の機械特性を表すパラメータのその他の例として、応力緩和層202の硬さを挙げることができる。硬さの測定方法は、対象物の形態や硬さに応じて適宜定められる。例えば、JIS K 6253-1997又はASTM D2240-2005に準拠したタイプAデュロメータ硬さ試験やタイプDデュロメータ硬さ試験を採用することができる。具体的には、応力緩和層202などの測定対象のサンプルに押針を10Nの荷重で接触させ、3秒後の目盛を読み取る。以下の記載において、デュロメータ硬さ試験によって測定された硬さのことを、「デュロメータA5」のように表す。「A」がデュロメータのタイプを表し、「5」が硬さを表している。
応力緩和層202の硬さは、下地層201の硬さよりも小さい。応力緩和層202の硬さは、例えばデュロメータA50以下であり、デュロメータA30以下であってもよく、デュロメータA10以下であってもよく、デュロメータA5以下であってもよい。応力緩和層202が小さい硬さを有することにより、変形に対する応力緩和層202の復元性を低くすることができる。
応力緩和層202の厚みは、基材20の伸縮に耐え得る厚みであればよく、応力緩和層202の材料等に応じて適宜選択される。応力緩和層202の厚みは、例えば、0.1μm以上とすることができ、1μm以上であってもよく、10μm以上であってもよい。また、応力緩和層202の厚みは、例えば、5mm以下とすることができ、1mm以下であってもよく、500μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。応力緩和層202が薄すぎると、基材20の変形に起因する応力を緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、応力緩和層202が厚すぎると、後述する蛇腹形状部57が配線52に形成されにくくなる。
応力緩和層202の厚みは、下地層201の厚みに対して相対的に定められていてもよい。例えば、応力緩和層202の厚みは、下地層201の厚みの0.5倍以上であってもよく、0.8倍以上であってもよく、1.0倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。また、応力緩和層202の厚みは、下地層201の厚みの3.0倍以下であってもよく、2.5倍以下であってもよく、2.0倍以下であってもよい。
応力緩和層202の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、下地層201を準備した後、応力緩和層202を構成する材料を塗布法などにより下地層201上に設けることにより、応力緩和層202が形成され得る。また、所定の型の中に、下地層201を構成する材料及び応力緩和層202を構成する材料を流し込み、材料を固化させることによって、積層体でなる下地層201を得ることもできる。
なお、上述の応力緩和層202は、配線52の山部53及び谷部54の形状が経時的に変化することを抑制するための層であるので、応力緩和層202は、配線52の山部53及び谷部54の振幅S1に対応する厚みを有することが好ましい。例えば、応力緩和層202の厚みは、配線52の山部53及び谷部54の振幅S1の好ましくは0.5倍以上であり、0.7倍以上であってもよく、1.0倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよい。また、応力緩和層202の厚みは、配線52の山部53の曲率半径の好ましくは0.5倍以上であり、0.7倍以上であってもよく、1.0倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよい。
以下においては、下地層201に生じる変形が配線52に及ぼす影響を応力緩和層202によって緩和するメカニズムについて説明する。
上述するように、下地層201は伸縮性を有するため、復元性を有する。このため、基材20を伸長させた後に,配線52を設けた場合には、例えば図4に示すように基材20の第1面21に現れた山部23や谷部24のような山部及び谷部が、下地層201に現れる場合がある。この場合、下地層201には、その山部や谷部を解消させて元の形状に戻ろうとする復元力が生じている。この場合、山部や谷部の形状が下地層201の復元力によって経時的に変化することがある。
ここで、下地層201と配線52との間に、下地層201よりも低い復元性を有する応力緩和層202が設けられる場合には、下地層201の山部や谷部の形状が経時的に変化した場合であっても、その影響が配線52に及ぶことを応力緩和層202によって抑制することができる。これにより、応力緩和層202上に位置する配線52の蛇腹形状部57に経時的な変形が生じることを抑制することができる。
ここで比較のため、応力緩和層202が設けられていない場合について考える。例えば図4に示すように、単層で構成される基材20の第1面21に配線52が設けられている場合について考える。この場合、基材20の復元力に起因して基材20の第1面21に生じている山部23の幅が減少すると、配線52の蛇腹形状部57の山部53における曲率半径が小さくなる。この結果、配線52の電気抵抗が増加することが考えられる。また、山部53の曲率半径が小さくなり過ぎると、配線52に断線などの不良が生じることも考えられる。
これに対して、本実施の形態によれば、下地層201と配線52との間に応力緩和層202を設けることにより、下地層201の第1面21の経時的な変形の影響が配線52に及ぶことを抑制することができる。これにより、配線52の電気抵抗が経時的に増加することを抑制することができる。また、配線52に断線などの不良が生じることを抑制することができる。
なお、補強部材30の弾性係数は、応力緩和層202の弾性係数よりも大きい弾性係数を有してもよい。補強部材30の弾性係数は、例えば0.1GPa以上500GPa以下であり、より好ましくは0.1GPa以上100GPa以下である。
(第2の変形例)
図10は、一変形例に係る配線基板10の断面図である。図10に示す変形例では、応力緩和層202の内部における補強部材30の位置が、図9に示す変形例と異なる。すなわち、図10に示される補強部材30は、配線52側とは反対の側の面が下地層201と応力緩和層202との界面に位置している。
このような補強部材30は、例えば下地層201上に設けられた後、応力緩和層202を構成する材料によって覆われることで、応力緩和層202に内部に配置され得る。そのため、この変形例では、補強部材30の設置が容易になるというメリットが得られる。
(第3の変形例)
図11は、一変形例に係る配線基板10の断面図である。図11に示す変形例に係る配線基板10は、基材20、補強部材30、支持基板40、電子部品51及び配線52を備えており、電子部品51及び配線52が支持基板40によって支持されている。
支持基板40は配線52と基材20との間に設けられて、基材20に平行に延びている。支持基板40は、基材20よりも低い伸縮性を有するよう構成された部材である。支持基板40は、基材20側に位置する第2面42と、第2面42の反対側に位置する第1面41と、を含む。図11に示す例において、支持基板40は、その第1面41側において配線52を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において基材20に接合されている。例えば、基材20と支持基板40との間に、接着剤を含む接着層が設けられていてもよい。接着層を構成する材料としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等、シロキサン系プライマー、チオール系プライマー等を用いることができる。また液相法だけではなくHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)等の気相法により作製した分子膜を、接着層として用いてもよい。接着層の厚みは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。
支持基板40が、配線52などを支持した状態で伸長した基材20に接合され、その後、基材20の張力を取り除いた際にも、配線52に蛇腹形状部57が形成され得る。この際、支持基板40上にも山部及び谷部が現れる。
支持基板40の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。また、支持基板40の弾性係数は、基材20又は下地層201の弾性係数の100倍以上50000倍以下であってもよく、好ましくは1000倍以上10000倍以下である。このように支持基板40の弾性係数を設定することにより、図4に示したような配線52の蛇腹形状部57における山部53及び谷部54の周期F1が小さくなり過ぎることを抑制することができる。また、山部53及び谷部54において局所的な折れ曲がりが生じることを抑制することができる。
なお、支持基板40の弾性係数が低すぎると、配線52の形成工程中に支持基板40が変形し易く、この結果、支持基板40に対する配線52の位置合わせが難しくなる。また、支持基板40の弾性係数が高すぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、また基材20の割れや折れが発生し易くなる。
また、支持基板40の厚みは、例えば500nm以上10μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。支持基板40の厚みが小さすぎると、支持基板40の製造工程や、支持基板40上に配線52などの部材を形成する工程における、支持基板40のハンドリングが難しくなる。支持基板40の厚みが大きすぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、目標の基材20の伸縮が得られなくなる。
支持基板40を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等を用いることができる。その中でも、耐久性や耐熱性がよいポリエチレンナフタレートかポリイミドが好ましく用いられ得る。
支持基板40の弾性係数は、基材20又は下地層201の弾性係数の100倍以下であってもよい。支持基板40の弾性係数を算出する方法としては、支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
以下、本変形例にかかる支持基板40を備える配線基板10の製造方法の一例について説明する。
まず、支持基板40を準備する。続いて、支持基板40の第1面41に配線52を設ける。例えば、まず、蒸着法、めっき法などによって支持基板40の第1面41に銅層などの金属層を形成する。続いて、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて金属層を加工する。これにより、第1面41に配線52を得ることができる。
また、上述の実施の形態の場合と同様に、基材20を準備する。続いて、基材20に張力を加えて、基材20を伸長させる伸長工程を実施する。続いて、伸長した状態の基材20に配線52を設ける。本変形例においては、基材20に、配線52が設けられた支持基板40の第2面42を接合させる。この際、基材20と支持基板40との間に接着層を設けてもよい。
その後、基材20から張力を取り除く収縮工程を実施する。これにより、基材20が収縮し、基材20に設けられている支持基板40及び配線52にも変形が生じる。支持基板40及び配線52の変形は、上述のように蛇腹形状部として生じ得る。
(第4の変形例)
図12は、一変形例に係る配線基板10の断面図である。図12に示す変形例に係る配線基板10では、基材20の第1面21の法線方向における補強部材30の向きが、図2に示した実施形態と異なる。すなわち、図12に示される補強部材30は、第2部分32が、配線52側とは反対側に向けて凸になっている。
(第5の変形例)
図13は、一変形例に係る配線基板10の断面図である。図13に示す変形例に係る配線基板10は、配線52上に位置する保護層58を備えている。保護層58は、平面視において配線52と同一の形状を有していてもよい。例えば、保護層58は、平面視において配線52と同一の方向に延び、配線52と同一の幅を有していてもよい。また、保護層58は、配線52の表面及び側面を覆うよう、配線52上及び配線52の周囲に位置していてもよい。
保護層58は、好ましくは、配線52よりも小さい弾性係数を有する。配線52上や配線52の周囲に位置する保護層58は、基材20の第1面21の法線方向における山部及び谷部が基材20の第1面21の面内方向に沿って繰り返し現れる蛇腹形状部を有していてもよい。
また、保護層58の弾性係数は、好ましくは、伸縮性を有する基材20の弾性係数よりも大きい。すなわち、保護層58は、配線52と基材20の中間の弾性係数を有することが好ましい。基材20の第1面21側の領域のうち配線52が設けられている領域に、配線52よりも柔らかくて変形しやすく、且つ基材20よりも硬くて変形しにくい保護層58が位置していることにより、応力集中を低減することができる。
また、配線基板10が支持基板40を有する場合には、保護層58の弾性係数は、支持基板40の弾性係数よりも小さくてもよく、支持基板40の弾性係数と同一であってもよく、支持基板40の弾性係数よりも大きくてもよい。中でも、保護層58の弾性係数は、支持基板40の弾性係数よりも小さいことが好ましい。基材20の第1面21側の領域のうち配線52が設けられている領域に、配線52および支持基板40よりも柔らかく変形しやすい保護層58が位置していることにより、応力集中を低減することができる。
具体的には、保護層58の弾性係数は、配線52の弾性係数の1倍未満とすることができ、好ましくは0.9倍以下であり、より好ましくは0.1倍以下であり、さらに好ましくは0.05倍以下である。また、保護層58の弾性係数は、配線52の弾性係数の0.001倍以上とすることができ、好ましくは0.01倍以上である。
また、保護層58の弾性係数は、伸縮性を有する基材20の弾性係数の1倍超とすることができ、好ましくは1.1倍以上であり、より好ましくは2倍以上である。また、保護層58の弾性係数は、伸縮性を有する基材の弾性係数の100倍以下とすることができ、好ましくは10倍以下である。
保護層58の弾性係数が小さすぎても大きすぎても、応力集中を低減することが困難になる場合があるからである。
また、保護層58の弾性係数は、例えば、1GPa以下とすることができ、好ましくは100MPa以下であり、より好ましくは10MPa以下である。また、保護層58の弾性係数は、例えば、10kPa以上とすることができ、好ましくは1MPa以上である。保護層58の弾性係数が小さすぎても大きすぎても、応力集中を低減することが困難になる場合があるからである。
保護層58の弾性係数の測定方法としては、基材20の場合と同様に、保護層58のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、保護層58の弾性係数を求める方法としては、基材20の場合と同様に、ISO14577に準拠してナノインデーション法による測定方法を採用することもできる。保護層58のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から保護層58の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の保護層58の一部をサンプルとして取り出す方法が挙げられる。その他にも、保護層58の弾性係数を求める方法として、保護層58を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて保護層58の弾性係数を求めるという方法を採用することもできる。
保護層58の材料は、上述の弾性係数を有するものであればよく、伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。中でも、保護層58の材料は伸縮性を有することが好ましい。保護層58が伸縮性を有する材料を含む場合には、変形に対する耐性を有することができるからである。
保護層58に用いられる伸縮性を有さない材料としては、例えば、樹脂を挙げることができる。樹脂としては、一般的な樹脂を用いることができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等のいずれも用いることができる。また、保護層58が樹脂を含む場合、保護層58としては、樹脂基材を用いることもできる。
保護層58に用いられる伸縮性を有する材料の伸縮性としては、基材20の伸縮性と同様とすることができる。
保護層58に用いられる伸縮性を有する材料としては、例えば、エラストマーを挙げることができる。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、具体的には、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等が挙げられる。保護層58を構成する材料がこれらの樹脂である場合、保護層58は、透明性を有していてもよい。また、保護層58は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、保護層58は黒色であってもよい。また保護層58の色と基板の色とが同一であってもよい。保護層58にデザイン性を持たせて加飾の役割を持っていてもよい。
また、保護層58は、配線52に接している場合には、絶縁性を有することが好ましい。樹脂やエラストマーであれば、絶縁性を有する保護層58とすることができる。
(第6の変形例)
図14は、一変形例に係る配線基板10の断面図である。図14に示す変形例に係る配線基板10では、補強部材30の平面視形状が矩形状になっている。詳しくは、第1部分31の平面視形状が矩形状である。一方で、第2部分32は、第1部分31の外縁の全周に沿って折れ曲がるように延びており、矩形筒状に形成されている。
(第7の変形例)
図15は、一変形例に係る配線基板10の平面図である。図15に示す変形例に係る配線基板10では、補強部材30の平面視形状が矩形状になっている。詳しくは、第1部分31の平面視形状が矩形状である。一方で、第2部分32は、矩形状の第1部分31の外縁における互いに対向する2辺部のそれぞれに一つ設けられている。すなわち、基材20の第1面21の法線方向に沿って基材20を見た際、第2部分32は、第1部分31を挟み込んで対向するように分離して形成されている。
(その他の変形例)
図16(a)~(d)及び図17(a)~(c)は、補強部材30の各種変形例を示す。図16及び図17に示すように補強部材30は、種々の形態で形成され得る。
また、図18に示す変形例に係る配線基板10では、基材20上に第1方向D1に延びる配線52と、第1方向D1と交差する方向に延びる配線52とが設けられている。
また、図19に示す変形例に係る配線基板10の補強部材30においては、複数の第2部分32が、第1部分31の外縁に沿って間欠的に並ぶように形成されている。図19に示す例においても、配線52の端部は、例えば第1方向D1で対向すする2つの第2部分32に挟み込まれる状態になっている。
また、図20に示す変形例に係る配線基板10では、配線52の端部に対して第1方向D1の一方側に補強部材30の第2部分32が位置するとともに、第2方向D2の一方側に第2部分32が位置している。本例においては、第1方向D1及び第2方向D2に対して傾斜する方向で、一部の配線52の端部が第2部分32に挟み込まれる状態になっている。
また、図21に示す変形例に係る配線基板10では、配線52の端部に対して第1方向D1の一方側のみに補強部材30の第2部分32が位置している。このような形態であっても、第2部分32は、基材20の伸長の際に、基材20における配線52の端部周辺領域の伸長を抑制し得る。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。また、上述の実施形態及び変形例では、基材20及び配線52が蛇腹形状部57を有することで、伸縮可能になっている構成を説明した。しかしながら、上述したような補強部材30は、蛇腹形状を有さない伸縮性を有する基材に伸縮性の銀配線が設けられる伸縮性基板や、蛇腹形状を有さない伸縮性を有する基材に馬蹄形の配線を形成した伸縮性基板においても適用されてもよい。
なお、蛇腹形状を有さない伸縮性を有する基材に伸縮性の銀配線が設けられる伸縮性基板や、蛇腹形状を有さない伸縮性を有する基材に馬蹄形の配線を形成した伸縮性基板は、例えば、何ら伸長させない基材に、伸縮性の銀配線又は馬蹄形の配線を形成した後、電子部品51や配線52を設けることで作製されてもよいが、その製造方法は特に限られるものではない。