配線基板は、伸縮などの変形に対する耐性を有する部分だけでなく、変形に起因して破損し易い部分も含む。このため、予め伸長させた状態の基材に回路を設けると、配線基板に破損などの不具合が生じ易くなってしまう。
また、このような配線基板は、例えば、人体や物体等の被実装体の実装面に接触する配線基板の基材の表面全体が平滑面であり、配線基板全体が被実装体の実装面に貼り付くことになる。このため、当該配線基板を被実装体に実装した際に、当該配線基板のうち配線等の伸縮させたい部分が、被実装体の実装面に貼り付いて、所定の範囲で伸縮できない場合がある。
本開示の実施形態は、このような課題を効果的に解決し得る配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、第1の弾性係数を有する基材と、前記基材の前記第1面側に位置し、配線基板に搭載される電子部品の電極に接続される配線と、を備え、前記配線は、前記基材の前記第1面の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有し、前記基材の前記第1面側、又は前記基材の前記第2面側の少なくとも何れか一方の面において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に少なくとも前記電子部品と重なる部分は、前記配線基板が実装される被実装体に対して密着性を高めるために平滑な平滑面を有するとともに、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、前記平滑面よりも粗い複数の凹凸が設けられた粗面を有する、配線基板である。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部において、前記基材の前記第2面に位置しているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部において、前記配線の前記蛇腹形状部の表面に位置しているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面側において、少なくとも前記電子部品及び前記配線を覆う部材をさらに備え、前記粗面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部において、前記部材の表面に位置しているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記部材は、前記基材と同じ材料で構成されているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記部材は、シリコーンで構成されているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面側、又は前記基材の前記第2面側の少なくとも何れか一方の面において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記電子部品の周囲と重なる部分に、前記平滑面を有するようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面側、又は前記基材の前記第2面側の少なくとも何れか一方の面において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、2つの前記配線の交点を含む領域に、前記平滑面を有するようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面側、又は前記基材の前記第2面側の少なくとも何れか一方の面において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記配線が屈曲している部分を含む領域に、前記平滑面を有する、ようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面側、又は前記基材の前記第2面側の少なくとも何れか一方の面において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、前記配線の前記蛇腹形状部のうち、前記配線基板に搭載される前記電子部品の端部と前記配線との境界近傍における、前記基材の前記第1面の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む第1蛇腹形状部と重なる部分に、前記平滑面を有するようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記境界近傍における前記配線の前記第1蛇腹形状部の山部と谷部の周期は、前記配線の前記蛇腹形状部のうち、前記配線基板に搭載される前記電子部品から前記境界近傍よりも離れた領域における前記配線の第2蛇腹形状部の山部と谷部の周期よりも、小さく若しくは大きくなっているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記境界近傍における前記配線の前記第1蛇腹形状部の山部と谷部の振幅は、前記配線の前記第2蛇腹形状部の山部と谷部の振幅よりも、大きく若しくは小さくなっているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記平滑面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、前記第1蛇腹形状部と重なる部分において、前記基材の前記第2面に位置し、前記粗面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記第2蛇腹形状部と重なる部分において、前記基材の前記第2面に位置しているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記平滑面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記第1蛇腹形状部と重なる部分において、前記第1蛇腹形状部の表面に位置し、前記粗面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記第2蛇腹形状部と重なる部分において、前記第2蛇腹形状部の表面に位置しているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面側において、少なくとも前記電子部品及び前記配線を覆う部材をさらに備え、前記平滑面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記第1蛇腹形状部と重なる部分において、前記部材の表面に位置し、前記粗面は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記第2蛇腹形状部と重なる部分において、前記部材の表面に位置しているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記配線基板に搭載される電子部品に少なくとも部分的に重なり、前記第1の弾性係数よりも大きい第2の弾性係数を有する補強部材を備えるようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線のうち前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記補強部材と重ならない部分は、前記基材の前記第1面の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む前記蛇腹形状部を有するようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記補強部材は、前記基材の前記第1面側、前記基材の前記第2面側、又は、前記基材の中に位置しているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸は、前記基材の前記第2面に設けられ、前記基材とは別の粗面用部材で構成されているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸は、前記基材の前記第2面に設けられ、前記基材と一体成形で構成されているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸を構成する粗面用部材は、シリコーンゴムを含むようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸は、それぞれ、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、円形状、十字状、又は、多角形状の形状を有するようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸は、前記第1面の法線方向に沿った断面が、それぞれ、半円の凹状の形状、半円の凸状の形状、三角の凹状の形状、三角の凸状の形状、四角の凹状の形状、四角の凸状の形状、又は、波形状の形状を有するようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸は、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、規則的に配置されているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸は、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、不規則に配置されているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記平滑面の少なくとも一部は、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記電子部品及び/又は前記配線の前記蛇腹形状部と重なる部分であって、前記配線基板が前記被実装体に実装された場合に押し込み治具により局所的に押し込まれる領域に、位置しているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸は、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に、前記配線以外の領域において、前記基材の前記第1面側から前記第2面側に貫通し、前記基材の前記第1面側と前記第2面側との間を通気するための貫通口を含むようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記粗面の複数の前記凹凸は、レーザー加工により形成されているようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線の前記蛇腹形状部の振幅が1μm以上であるようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第1面の面内方向に沿う引張応力が前記基材に加えられていない第1状態における前記配線の抵抗値を第1抵抗値と称し、前記基材に引張応力を加えて前記基材を前記第1面の面内方向において前記第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における前記配線の抵抗値を第2抵抗値と称する場合、前記第1抵抗値に対する、前記第1抵抗値と前記第2抵抗値の差の絶対値の比率が、20%以下であるようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線と前記基材の前記第1面との間に位置し、前記第1の弾性係数よりも大きい第3の弾性係数を有し、前記配線を支持する支持基板を更に備えるようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材は、シリコーンゴムを含む、ようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記補強部材は、金属層を含むようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線は、複数の導電性粒子を含むようにしてもよい。
本開示の一実施形態は、配線基板の製造方法であって、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、第1の弾性係数を有する基材に引張応力を加えて、前記基材を伸長させる第1工程と、伸長した状態の前記基材の前記第1面側に配線を設ける第2工程と、前記基材から前記引張応力を取り除く第3工程と、を備え、前記配線基板は、前記第1の弾性係数よりも大きい第2の弾性係数を有する補強部材を備え、前記基材から前記引張応力が取り除かれた後、前記配線のうち前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記補強部材と重ならない部分は、前記基材の前記第1面の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有し、前記基材の前記第1面側、又は前記基材の前記第2面側の少なくとも何れか一方の面において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に少なくとも前記電子部品と重なる部分は、前記配線基板が実装される被実装体に対して密着性を高めるために平滑な平滑面を有するとともに、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、前記平滑面よりも粗い複数の凹凸が設けられた粗面を有する、配線基板の製造方法である。
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、前記基材に前記補強部材を設ける基材準備工程と、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、前記第1の弾性係数よりも大きい第3の弾性係数を有する支持基板を準備し、前記支持基板の前記第1面に前記配線を設ける支持基板準備工程と、を更に備え、前記第2工程においては、伸長した状態の前記基材の前記第1面に、前記配線が設けられた前記支持基板を、前記支持基板の前記第2面側から接合させるようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、前記第1の弾性係数よりも大きい第3の弾性係数を有する支持基板を準備し、前記支持基板の前記第1面に前記配線を設け、前記支持基板の前記第2面に前記補強部材を設ける支持基板準備工程を更に備え、前記第2工程においては、伸長した状態の前記基材の前記第1面に、前記配線及び前記補強部材が設けられた前記支持基板を、前記支持基板の前記第2面側から接合させるようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、前記基材の前記補強部材を設ける基材準備工程と、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、前記第1の弾性係数よりも大きい第3の弾性係数を有する支持基板を準備し、前記支持基板の前記第1面に前記配線を設け、前記支持基板の前記第2面に前記補強部材を更に設ける支持基板準備工程を更に備え、前記第2工程においては、伸長した状態の前記基材の前記第1面に、前記配線及び前記補強部材が設けられた前記支持基板を、前記支持基板の前記第2面側から接合させるようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、前記基材に前記補強部材を設ける基材準備工程を更に備え、前記第2工程においては、伸長した状態の前記基材の前記第1面側に、前記配線基板に搭載される電子部品の電極に接続される配線を設けるようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、前記基材の形成時に微細な凹凸のついた型の上にシリコーンゴムを流し込むことにより、前記基材に前記平滑面及び前記粗面を形成するようにしてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法は、レーザー加工により、前記粗面の複数の前記凹凸を形成するようにしてもよい。
本開示の一実施形態は、配線基板であって、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、第1の弾性係数を有する基材と、前記基材の前記第1面側に位置し、配線基板に搭載される電子部品の電極に接続される配線と、を備え、前記配線は、前記基材の前記第1面の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有し、前記基材の前記第1面側、又は前記基材の前記第2面側の少なくとも何れか一方の面において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、複数の凹凸が設けられた粗面を有する、配線基板である。
本開示の一実施形態は、配線基板の製造方法であって、配線基板の製造方法であって、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、第1の弾性係数を有する基材に引張応力を加えて、前記基材を伸長させる第1工程と、伸長した状態の前記基材の前記第1面側に配線を設ける第2工程と、前記基材から前記引張応力を取り除く第3工程と、を備え、前記配線基板は、前記第1の弾性係数よりも大きい第2の弾性係数を有する補強部材を備え、前記基材から前記引張応力が取り除かれた後、前記配線のうち前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記補強部材と重ならない部分は、前記基材の前記第1面の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有し、前記基材の前記第1面側、又は前記基材の前記第2面側の少なくとも何れか一方の面において、前記基材の前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、前記平滑面よりも粗い複数の凹凸が設けられた粗面を有する、配線基板の製造方法である。
本開示の実施形態によれば、基材の伸縮に起因して配線基板に不具合が生じることを抑制しつつ、当該配線基板を被実装体に実装した際に、当該配線基板のうち伸縮させたい部分を所定の範囲で伸縮させることができる。
以下、本開示の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基材」は、基板、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
以下、図1乃至図24を参照して、本開示の一実施の形態について説明する。
(配線基板)
まず、本実施の形態に係る配線基板10について説明する。図1及び図2はそれぞれ、配線基板10を示す断面図及び平面図である。図1に示す断面図は、図2の配線基板10を線A-Aに沿って切断した場合の図である。
図1に示す配線基板10は、基材20、補強部材31、支持基板40、電子部品51、配線52を備える。以下、配線基板10の各構成要素について説明する。
〔基材〕
基材20は、伸縮性を有するよう構成された部材である。基材20は、電子部品51及び配線52側に位置する第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。基材20の厚みは、例えば10μm以上10mm以下であり、より好ましくは20μm以上3mm以下である。基材20の厚みを10μm以上にすることにより、基材20の耐久性を確保することができる。基材20の厚みを小さくすることにより、基材20の伸縮に要する力を低減することができる。また、基材20の厚みを10mm以下にすることにより、配線基板10を用いた製品全体の厚みを小さくすることができる。これにより、例えば、配線基板10を用いた製品が、人の腕などの身体の一部に取り付けるセンサである場合に、装着快適性を確保することができる。なお、基材20の厚みを小さくしすぎると、基材20の伸縮性が損なわれる場合がある。
基材20の伸縮性を表すパラメータの例として、基材20の弾性係数を挙げることができる。基材20の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。このような弾性係数を有する基材20を用いることにより、配線基板10全体に伸縮性を持たせることができる。以下の説明において、基材20の弾性係数のことを、第1の弾性係数とも称する。基材20の第1の弾性係数は、1kPa以上であってもよい。
基材20の第1の弾性係数を算出する方法としては、基材20のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、基材20のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。基材20のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から基材20の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の基材20の一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、基材20の第1の弾性係数を算出する方法として、基材20を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて基材20の第1の弾性係数を算出するという方法を採用することもできる。なお、本願における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
基材20の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、基材20の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m2又はPa・m4である。基材20の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって、基材20のうち配線52と重なっている部分を切断した場合の断面に基づいて算出される。以下の説明において、基材20の曲げ剛性のことを、第1の曲げ剛性とも称する。
基材20を構成する材料の例としては、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゲル、シリコンゲル等を挙げることができる。また、基材20の材料として、例えば、織物、編物、不織布などの布を用いることもできる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、1,2-BR系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。さらに、シリコーンゴムは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れており、基材20の材料として好ましい。
〔補強部材〕
補強部材31は、基材20を補強することで、基材20の変形を制御、緩和するために配線基板10に設けられた機構である。例えば、配線52における電子部品51の周囲に位置する部分は、伸縮時に大きい応力が生じ易く、また、電子部品51の下方に巻き込まれ易くなり、破損のリスクが高くなり得る。ここで本実施形態によれば、基材20に補強部材30を設けることにより、基材20における電子部品51の周囲の部分の変形を制御、特に緩和することが可能となる。これにより、配線52に局所的に大きい応力が生じることや、配線52が電子部品51の下方に巻き込まれることを抑制することができ、配線52と電子部品51との断線を抑制することができる。図1、図4、図5に示す例において、補強部材31は、基材20の中に位置している。なお、例えば、図6、図7、図8に示すように、補強部材31は、基材20の第2面22側に位置していてもよく、また、図9に示すように、補強部材31は、基材20の第1面21側に位置していてもよい。
この補強部材31は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。補強部材31の弾性係数は、例えば0.1GPa以上で、好ましくは1GPa以上であり、より好ましくは10GPa以上である。補強部材31の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。このような補強部材31を基材20に設けることにより、基材20のうち補強部材31と重なる部分が伸縮することを抑制することができる。これにより、基材20を、伸縮が生じやすい部分と、伸縮が生じにくい部分とに区画することができる。補強部材30の弾性係数が低すぎると、伸縮の制御がしにくい場合がある。また、補強部材30の弾性係数が高すぎると、基材20が伸縮した際に、割れやひびなど構造の破壊が補強部材30に起こる場合がある。以下の説明において、補強部材31の弾性係数のことを、第2の弾性係数とも称する。補強部材31の第2の弾性係数は、500GPa以下であってもよい。また、補強部材31の第2の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の1.1倍以上1000000倍以下であってもよく、より好ましくは100000倍以下である。なお、「重なる」とは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に2つの構成要素が重なることを意味している。
補強部材31の第2の弾性係数を算出する方法は、補強部材31の形態に応じて適宜定められる。例えば、補強部材31の第2の弾性係数を算出する方法は、上述の基材20の弾性係数を算出する方法と同様であってもよく、異なっていてもよい。後述する支持基板40の弾性係数も同様である。例えば、補強部材31又は支持基板40の弾性係数を算出する方法として、補強部材31又は支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
また、補強部材31は、基材20の第1の曲げ剛性よりも大きい曲げ剛性を有する。補強部材31の曲げ剛性は、基材20の第1の曲げ剛性の1.1倍以上であってもよく、2倍以上、より好ましくは10倍以上である。以下の説明において、補強部材31の曲げ剛性のことを、第2の曲げ剛性とも称する。
補強部材31を構成する材料の例としては、金属材料を含む金属層や、一般的な熱可塑性エラストマー、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系、シリコーン系等のオリゴマー、ポリマー等を挙げることができる。金属材料の例としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、半田材料等を挙げることができる。補強部材31の厚みは、例えば1μm以上100μm以下であるが、特に限定されるものではない。。補強部材31の厚みは、例えば1μm以上100μm以下であるが、特に限定されるものではない。上述の材料のうち、金属層は、弾性率が大きくエッチング加工などにより微細加工可能であり、より好ましい。
補強部材31を構成する材料として、オリゴマー又はポリマーを用いる場合、補強部材31は、透明性を有していてもよい。また、補強部材31は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、補強部材31は黒色であってもよい。また、補強部材31の色と基材20の色とが同一であってもよい。
図3は、図2の配線基板10を線B-Bに沿って切断した場合を示す断面図である。補強部材31については、電子部品51及び配線52との位置関係に基づいて後に詳細に説明する。なお、図2は、配線基板10を基材20の第1面21側から見た場合を示す平面図であるので、基材20の中に位置する補強部材31は点線で表されている。
〔支持基板〕
支持基板40は、基材20よりも低い伸縮性を有するよう構成された板状の部材である。支持基板40は、基材20側に位置する第2面42と、第2面42の反対側に位置する第1面41と、を含む。図1に示す例において、支持基板40は、その第1面41側において電子部品51及び配線52を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において基材20の第1面に接合されている。例えば、基材20と支持基板40との間に、接着剤を含む接着層60が設けられていてもよい。接着層60を構成する材料としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。接着層60の厚みは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。また、図10に示すように、常温接合又は非接着表面を分子修飾させて、分子接着結合させる方法によって支持基板40の第2面42が基材20の第1面21に接合されていてもよい。この場合、基材20と支持基板40との間に接着層が設けられていなくてもよい。また、基材20の第1面21又は支持基板40の第2面42の一方又は両方に、常温接合、分子接着の接着性を向上させるプライマー層を設けてもよい。常温接合又は分子接着によって支持基板40の第2面42が基材20の第1面21に接合される場合、図10に示すように、第1補強部31は、基材20の第1面21又は第2面22に露出しないよう基材20に埋め込まれていることが好ましい。
後述するように、支持基板40に接合された基材20から引張応力が取り除かれて基材20が収縮するとき、支持基板40には蛇腹形状部が形成される。支持基板40の特性や寸法は、このような蛇腹形状部が形成され易くなるよう設定されている。例えば、支持基板40は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。以下の説明において、支持基板40の弾性係数のことを、第3の弾性係数とも称する。
支持基板40の第3の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以上100000倍以下であってもよく、1000倍以上50000倍以下であってもよい。なお、支持基板40の弾性係数が低すぎると、補強部材30の形成工程中に支持基板40が変形し易く、この結果、電子部品51及び配線52に対する補強部材30の位置合わせが難しくなる。また、支持基板40の弾性係数が高すぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、また基材20の割れや折れが発生し易くなる。支持基板40を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタラート等を用いることができる。支持基板40を構成する材料としては、その中でも、耐久性や耐熱性がよいポリエチレンナフタレートかポリイミドが好ましく用いられ得る。
支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以下であってもよい。支持基板40の第3の弾性係数を算出する方法は、基材20の場合と同様である。また、支持基板40の厚みは、500nm以上10μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。支持基板40の厚みが小さすぎると、支持基板40の製造工程や、支持基板40上に部材を形成する工程における、支持基板40のハンドリングが難しくなる。支持基板40の厚みが大きすぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、目標の基材20の伸縮が得られなくなる。
〔電子部品〕
図1に示す例において、電子部品51は、配線52に接続される電極を少なくとも有する。電子部品51は、能動部品であってもよく、受動部品であってもよく、機構部品であってもよい。
電子部品51の例としては、トランジスタ、LSI(Large-Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCDなどの発光素子、センサ、ブザー等の発音部品、振動を発する振動部品、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線などの冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチ、コネクタなどを挙げることができる。電子部品51の上述の例のうち、センサが好ましく用いられる。センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、生体センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサ等を挙げることができる。これらのセンサのうち、生体センサが特に好ましい。生体センサは、心拍や脈拍、心電、血圧、体温、血中酸素濃度等の生体情報を測定することができる。
〔配線〕
配線52は、電子部品51の電極に接続された、導電性を有する部材である。例えば図2に示すように、配線52の一端及び他端が、2つの電子部品51の電極にそれぞれ接続されている。図2に示すように、複数の配線52が2つの電子部品51の間に設けられていてもよい。
後述するように、支持基板40に接合された基材20から引張応力が取り除かれて基材20が収縮するとき、配線52は蛇腹状に変形する。この点を考慮し、好ましくは、配線52は、変形に対する耐性を有する構造を備える。例えば、配線52は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する。この場合、ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、基材20の伸縮に応じて配線52も変形することができる。また、変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線52の導電性を維持することができる。
配線52のベース材を構成する材料としては、例えば、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。中でも、ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムが、その伸縮性や耐久性などの面から好ましく用いられる。また、配線52の導電性粒子を構成する材料としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子を用いることができる。中でも、銀粒子が、価格と導電性の観点から好ましく用いられる。
なお、配線52に求められることは、蛇腹形状部の解消及び生成を利用して基材20の伸張及び収縮に追従することである。この点を考慮すると、配線52の材料としては、上述のようにそれ自体が変形性や伸縮性を有しているものだけでなく、それ自体は変形性や伸縮性を有していないものも採用可能である。
配線52に用いられ得る、それ自体は伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。配線52の材料自体が伸縮性を有さない場合、配線52としては、金属膜を用いることができる。
配線52の厚みは、基材20の伸縮に耐え得る厚みであればよく、配線52の材料等に応じて適宜選択される。例えば、配線52の材料が伸縮性を有さない場合、配線52の厚みは、25nm以上50μm以下の範囲内とすることができ、50nm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、100nm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましい。
また、配線52の材料が伸縮性を有する場合、配線52の厚みは、5μm以上60μm以下の範囲内とすることができ、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上40μm以下の範囲内であることがより好ましい。配線52の幅は、例えば50μm以上且つ10mm以下である。
また、基材20上または後述する支持基板40上及びこれら基材20または支持基板40に設けられた配線52には、基材20または支持基板40と配線52とを一体的に覆う絶縁膜が設けられてもよい。ただし、絶縁膜は、配線52における電子部品51との接続部分上には設けられない。このような絶縁膜は、熱硬化性の絶縁樹脂等を加熱硬化することで構成され得る。あるいは、絶縁膜は、紫外線によるUV硬化樹脂、または樹脂を含んだ溶液の塗布後に、熱乾燥により溶液中の溶剤を揮発させて得られる溶剤乾燥樹脂にて構成されてもよい。絶縁膜の厚さは、例えば10μm以上500μm以下でもよい。また、絶縁膜の形成は、スクリーン印刷等で行われてもよい。また、接続部51aは、例えば導電性接着剤から構成されてもよいし、半田材料で形成されてもよいし、電子部品51と一体の端子であってもよい。
配線52の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法、メッキ法、特にCuメッキ法等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。あるいは、基材20上または後述する支持基板40上に金属箔を接着積層した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。また、配線52の材料自体が伸縮性を有する場合、例えば、基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により上記の導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。
〔補強部材と、電子部品51及び配線52との位置関係〕
次に、既述の補強部材31について、電子部品51及び配線52との位置関係に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、補強部材31は、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51と少なくとも部分的に重なるように配置されている。好ましくは、補強部材31は、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51の全域にわたって電子部品51に重なっている。このため、基材20のうち電子部品51と重なる部分は、すなわち補強部材31と重なる部分は、基材20のうち補強部材31と重ならない部分に比べて変形しにくい。これにより、基材20に引張応力などの力を加えたときや、基材20から引張応力などの力を取り除いたときなどに、基材20のうち電子部品51と重なる部分に変形が生じることを抑制することができる。このことにより、基材20の変形に起因する応力が電子部品51に加わることを抑制することができ、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品51と配線52との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
なお、既述のように、図1においては、基材20の中に補強部材31が位置する例が示されているが、補強部材31の位置は任意である。すなわち、既述のように、補強部材31は、基材20の第1面21側、基材20の第2面22側、又は、基材20の中に位置するようにしてもよい。
〔配線の構造〕
続いて、配線52の断面構造について、図4を参照して詳細に説明する。図4は、図1に示す配線基板10の配線52及びその周辺の構成要素の一例を拡大して示す断面図である。
図1乃至図3に示すように、配線52の大部分は、補強部材31と重ならないように配置されている。このため、基材20に収縮などの変形が生じたとき、配線52は、基材20の変形に伴って変形し易い。例えば、伸長させた状態の基材20に配線52を設けた後、基材20を弛緩させると、図4に示すように、蛇腹形状部が生じる。この蛇腹形状部のうち、第1蛇腹形状部571は、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に配線基板10に搭載される電子部品51の端部と配線52との境界近傍Zに生じるものである。一方、第2蛇腹形状部572は、電子部品51から境界近傍Zよりも離れた領域における、配線52のうち補強部材31と重なっていない部分に生じる規則的な形状のものである。
上述のように、配線52は、例えば、図4に示すように、基材20の第1面21の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む第1及び第2蛇腹形状部571、572を有する。なお、例えば、図4に示すように、配線52の蛇腹形状部は、第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51と基材20との間に、設けられていない。
また、第1及び第2蛇腹形状部571、572は、基材20の第1面21の法線方向における山部531、532及び谷部551、552を含む。
図4において、符号531、532は、配線52の表面に現れる山部を表し、符号541、542は、配線52の裏面に現れる山部を表す。また、符号551、552は、配線52の表面に現れる谷部を表し、符号561、562は、配線52の裏面に現れる谷部を表す。表面とは、配線52の面のうち基材20から遠い側に位置する面であり、裏面とは、配線52の面のうち基材20に近い側に位置する面である。
また、図4において、符号261、262及び271、272は、基材20の第1面21に現れる山部及び谷部を表す。第1面21に山部261、262及び谷部271、272が現れるように基材20が変形することにより、配線52が蛇腹状に変形して蛇腹形状部を有するようになる。基材20の第1面21の山部261、262が、配線52の第1及び第2蛇腹形状部571、572の山部531、532、541、542に対応し、基材20の第1面21の谷部271、272が、配線52の第1及び第2蛇腹形状部571、572の谷部551、552、561、562に対応している。
第2蛇腹形状部572の山部532、542及び谷部552、562は、基材20の第1面21の面内方向に沿って繰り返し現れる。山部532、542及び谷部552、562が繰り返し現れる周期は、例えば10μm以上且つ100mm以下である。なお、図4では、第2蛇腹形状部572の複数の山部及び谷部が一定の周期で並ぶ例が示されているが、第2蛇腹形状部572の複数の山部及び谷部は、第1面21の面内方向に沿って不規則に並んでいてもよい。
図4において、符号S1は、配線52の表面における第2蛇腹形状部572の振幅を表す。
振幅S1は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。振幅S1を10μm以上とすることにより、基材20の伸張に追従して配線52が変形し易くなる。また、振幅S1は、例えば500μm以下であってもよい。
振幅S1は、例えば、配線52の長さ方向における一定の範囲にわたって、第2蛇腹形状部572の隣り合う山部532と谷部552との間の、第1面21の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。隣り合う山部532と谷部552との間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部532と谷部552との間の距離を測定してもよい。
なお、配線52の表面における第1蛇腹形状部571の振幅の算出方法も同様である。また、後述する振幅S2、S3、S4の算出方法も同様である。
図4において、符号S2は、配線52の裏面における第2蛇腹形状部572の振幅を表す。振幅S2は、振幅S1と同様に、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。また、振幅S2は、例えば500μm以下であってもよい。
図4に示すように、支持基板40、接着層60や基材20の第1面21にも、配線52と同様の蛇腹形状部が形成されていてもよい。図4において、符号S3は、基材20の第1面21における第2蛇腹形状部572の振幅を表す。第1面21における第2蛇腹形状部572は、複数の山部262及び谷部272を含む。振幅S3は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。また、振幅S3は、例えば500μm以下であってもよい。
なお、例えば、境界近傍Zにおける配線52の第1蛇腹形状部571の山部531と谷部551の周期は、配線52の蛇腹形状部571、572のうち、配線基板10に搭載される電子部品51から境界近傍Zよりも離れた領域における配線52の第2蛇腹形状部572の山部532と谷部552の周期よりも、小さく若しくは大きくなっている。なお、図4の例では、一例として、境界近傍Zにおける配線52の第1蛇腹形状部571の周期は、配線基板10に搭載される電子部品51から境界近傍Zよりも離れた領域における配線52の第2蛇腹形状部572の山部532と谷部552の周期よりも、小さい場合を示しているが、境界近傍Zにおける配線52の第1蛇腹形状部571の周期が小さいものと大きいものとが混在して、不規則になっていてもよい。
また、例えば、境界近傍Zにおける配線52の第1蛇腹形状部571の山部531と谷部551の振幅は、配線52の第2蛇腹形状部572の山部532と谷部552の振幅よりも、小さく若しくは大きくなっている。なお、図4の例では、一例として、境界近傍Zにおける配線52の第1蛇腹形状部571の振幅は、配線基板10に搭載される電子部品51から境界近傍Zよりも離れた領域における配線52の第2蛇腹形状部572の山部532と谷部552の振幅よりも、大きい場合を示しているが、境界近傍Zにおける配線52の第1蛇腹形状部571の振幅が小さいものと大きいものとが混在して、不規則になってもよい。
この第1蛇腹形状部571は、第2蛇腹形状部572よりも、不規則な形状を有しているため、伸縮すると、当該第1蛇腹形状部571の配線52が断線する可能性がある。
なお、図5は、図1に示す配線基板10の配線52及びその周辺の構成要素のその他の例を拡大して示す断面図である。図5に示すように、基材20の第1面21には蛇腹形状部が形成されていなくてもよい。
次に、図4や図5に示す蛇腹形状部の第2蛇腹形状部572が配線52に形成されていることの利点について説明する。上述のように、基材20は、10MPa以下の弾性係数を有する。このため、配線基板10に引張応力を加えた場合、基材20は、弾性変形によって伸長することができる。ここで、仮に配線52も同様に弾性変形によって伸長すると、配線52の全長が増加し、配線52の断面積が減少するので、配線52の抵抗値が増加してしまう。また、配線52の弾性変形に起因して配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことも考えられる。
これに対して、本実施の形態においては、配線52が蛇腹形状部の第2蛇腹形状部572を有している。このため、基材20が伸張する際、配線52は、第2蛇腹形状部572の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸張に追従することができる。このため、基材20の伸張に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板10の伸張に起因して配線52の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
なお、上述の実施の形態においては、電子部品51及び配線52が支持基板40の第1面41に位置する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、電子部品51及び配線52は、支持基板40の第2面42に位置していてもよい。この場合、補強部材31は、基材20の第2面22に位置していてもよく、基材20の第1面21に位置していてもよく、又、支持基板の第1面41に位置していてもよい。
また、上述の実施の形態においては、補強部材31が、基材20の第1面21又は第2面22に露出しないよう基材20に埋め込まれている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、例えば、補強部材31は、基材20の第1面21に露出するよう基材20に埋め込まれていてもよい。また、補強部材31は、基材20の第2面22に露出するよう基材20に埋め込まれていてもよい。また、補強部材31は、接着層60に埋め込まれていてもよい。
〔配線基板の粗面及び平滑面の構成〕
配線基板10は、例えば、図1ないし図10に示すように、基材20の第2面22側の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に少なくとも電子部品51と重なる部分は、配線基板10が実装される被実装体に対して密着性を高めるために平滑面Hを有するとともに、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、平滑面Hよりも粗い(すなわち被実装体に対して密着性が低い)複数の凹凸が設けられた粗面Rを有する。これにより、平滑面Hの部分は被実装体に対して密着性が高いため基材20の変形に起因する応力が電子部品51に加わることを抑制することができ、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品51と配線52との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
一方、密着性が低い粗面Rの部分は被実装体に対して密着性が低いため基材20の変形に十分に追随することができる。
なお、図1、図4、図5、図9、図10の例では、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に基材20の第2面22のうち補強部材31と重なる部分が、平滑面Hになっており、図6ないし図8の例では、補強部材31の外部に露出している表面が、平滑面Hになっている。
また、配線基板10は、基材20の第1面21側の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に少なくとも電子部品51と重なる部分は、配線基板10が実装される被実装体に対して密着性を高めるために平滑面Hを有するとともに、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、平滑面Hよりも粗い(すなわち被実装体に対して密着性が低い)複数の凹凸が設けられた粗面Rを有するようにしてもよい。
このように、配線基板10は、基材20の第1面21側、又は基材20の第2面22側の少なくとも何れか一方の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に少なくとも電子部品51と重なる部分は、配線基板10が実装される被実装体に対して密着性を高めるために平滑面Hを有するとともに、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、平滑面Hよりも粗い(すなわち被実装体に対して密着性が低い)複数の凹凸が設けられた粗面Rを有するものである。
これにより、配線基板10を被実装体に実装した際に、当該配線基板10のうち伸縮させたい部分である、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部を、所定の範囲で伸縮させることができる。
なお、上記被実装体は、例えば、人体や動物などの生体であるが、人体や動物などの生体以外の物体、例えば、ロボット、装置、機械や布、衣服、オムツ、ベルト、首輪、カバン、スポンジ等であってもよい。
ここで、粗面Rは、例えば、図4、図5に示すように、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部(例えば、第2蛇腹形状部572と重なる部分)において、基材20の第2面22に位置している。
なお、粗面Rは、既述のように、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部(例えば、第2蛇腹形状部572と重なる部分)において、配線52の蛇腹形状部の表面に位置しているようにしてもよい。
また、配線基板10は、例えば、図1、図2、図4、図5に示すように、基材20の第2面22側の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51の周囲と重なる部分に、平滑面Hを有する。
特に、配線基板10は、例えば、図4、図5に示すように、基材20の第2面22側の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、配線52の蛇腹形状部のうち、配線基板10に搭載される電子部品51の端部と配線52との境界近傍Zにおける、基材20の第1面21の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む第1蛇腹形状部571と重なる部分に、平滑面Hを有する。
なお、既述のように、配線基板10は、基材20の第1面21側の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51の周囲と重なる部分に、平滑面Hを有するようにしてもよい。
この場合、特に、配線基板10は、基材20の第1面21側の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、配線52の蛇腹形状部のうち、配線基板10に搭載される電子部品51の端部と配線52との境界近傍Zにおける、基材20の第1面21の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む第1蛇腹形状部571と重なる部分に、平滑面Hを有するようにしてもよい。
このように、配線基板10は、基材20の第1面21側、又は基材20の第2面22側の少なくとも何れか一方の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51の周囲と重なる部分に、平滑面Hを有するものである。
特に、配線基板10は、基材20の第1面21側、又は基材20の第2面22側の少なくとも何れか一方の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、配線52の蛇腹形状部のうち、配線基板10に搭載される電子部品51の端部と配線52との境界近傍Zにおける、基材20の第1面21の面内方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む第1蛇腹形状部571と重なる部分に、平滑面Hを有するものである。
これにより、配線基板10を被実装体に実装した際に、当該配線基板10のうち伸縮させたい部分である、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部(第2蛇腹形状部572)を、所定の範囲で伸縮させることができる。一方、平滑面Hの部分は被実装体に対して密着性が高いため基材20の変形に起因する応力が電子部品51に加わることを抑制することができ、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品51と配線52との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
このように、図4、図5に示す例では、平滑面Hは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、第1蛇腹形状部571と重なる部分において、基材20の第2面22に位置し、粗面Rは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に第2蛇腹形状部572と重なる部分において、基材20の第2面22に位置している。
この場合、平滑面Hは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に第1蛇腹形状部571と重なる部分において、第1蛇腹形状部571の表面に位置し、粗面Rは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に第2蛇腹形状部572と重なる部分において、第2蛇腹形状部572の表面に位置する。
ここで、図11は、基材の第2面側から見た、配線基板の粗面の構成の一例を示す平面図である。なお、この図11においては、配線基板10の粗面Rは、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図11に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、それぞれ、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、円形状の形状を有するようにしてもよい。
特に、図11に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、規則的に配置されているようにしてもよい。
また、図12は、基材の第2面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す平面図である。なお、この図12においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図12に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、不規則に配置されているようにしてもよい。
また、図13は、基材の第2面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す平面図である。なお、この図13においては、配線基板10の粗面Rは、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図13に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、それぞれ、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、三形状の形状を有するようにしてもよい。
また、図14は、基材の第2面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す平面図である。なお、この図14においては、配線基板10の粗面Rは、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図14に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、それぞれ、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、十字状の形状を有するようにしてもよい。
また、図15は、基材の第2面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す平面図である。なお、この図15においては、配線基板10の粗面Rは、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図15に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、それぞれ、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、正方形状の形状を有するようにしてもよい。
また、図16は、基材の第2面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す平面図である。なお、この図16においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図16に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、それぞれ、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、ひし形状の形状を有するようにしてもよい。
また、図17は、基材の第2面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す平面図である。なお、この図17においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図17に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、それぞれ、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、六角形状の形状を有するようにしてもよい。
上述の図11ないし図17に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pの形状は、それぞれ、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、円形状、十字状、又は、多角形状の形状を有するが、その他の形状を有するようにしてもよい。なお、形状の大きさは形の端から端までで1μm以上10cm以下、好ましくは10μm以上5cm以下で、より好ましくは100μm以上3cm以下である。
ここで、図18は、基材の側面側から見た、配線基板の粗面の構成の一例を示す断面図である。なお、この図18においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図18に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、第1面21の法線方向に沿った断面が、それぞれ、半円の凸状の形状を有するようにしてもよい。
また、図19は、基材の側面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す断面図である。なお、この図19においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図19に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、第1面21の法線方向に沿った断面が、それぞれ、半円の凹状の形状を有するようにしてもよい。
また、図20は、基材の側面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す断面図である。なお、この図20においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図20に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、第1面21の法線方向に沿った断面が、それぞれ、三角の凸状の形状を有するようにしてもよい。
また、図21は、基材の側面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す断面図である。なお、この図21においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図21に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、第1面21の法線方向に沿った断面が、それぞれ、三角の凹状の形状を有するようにしてもよい。
また、図22は、基材の側面側から見た、配線基板の粗面の構成の他の例を示す断面図である。なお、この図22においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図22に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、第1面21の法線方向に沿った断面が、それぞれ、波形状の形状を有するようにしてもよい。
また、図23は、基材の側面側から見た、配線基板の粗面の構成の一例を示す断面図である。なお、この図23においては、配線基板10の粗面Rが、基材20の第2面22に位置している例を示している。
この図22に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、第1面21の法線方向に沿った断面が、それぞれ、四角の凸状の形状を有するようにしてもよい。
上述の図18ないし図23に示すように、粗面Rの複数の凹凸Pは、第1面21の法線方向に沿った断面が、それぞれ、半円の凹状の形状、半円の凸状の形状、三角の凹状の形状、三角の凸状の形状、四角の凹状の形状、四角の凸状の形状、又は、波形状の形状を有するが、その他の形状を有するようにしてもよい。凹凸Pの大きさは突起物の大きさとは、凸部と凹部の端から端までで1μm以上10cm以下、好ましくは10μm以上5cm以下で、より好ましくは100μm以上3cm以下である。
なお、平滑面Hの少なくとも一部は、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に電子部品51及び/又は配線52の蛇腹形状部と重なる部分であって配線基板10が図示しない被実装体に実装された場合に局所的に押し込まれる領域に、位置しているようにしてもよい。
これにより、配線基板10が図示しない被実装体に実装された場合に局所的に押し込まれる際に、当該押し込まれる領域に重なる平滑面Hが被実装体の実装面に貼り付いて伸縮を抑制することで、この当該押し込まれる領域において蛇腹形状部に断線が発生するのを抑制することができる。
なお、粗面Rの複数の凹凸Pは、第1面21の法線方向に沿って見た場合に、配線52以外の領域において、基材20の第1面21側から第2面22側に貫通し、基材20の第1面21側と第2面22側との間を通気するための貫通口を含むようにしてもよい。
また、粗面Rの複数の凹凸Pは、後述のように、例えば、レーザー加工により形成されている。また、抜き型やポンチを用いた抜き加工、プロッター加工、切削加工、注型成型、金型プレス成型、TR工法(簡易型プレス成型)などで形成されていてもよい。
また、粗面Rの複数の凹凸Pは、基材20の第2面22に設けられ、基材20と一体成形で構成されているようにしてもよい。この場合、当該粗面Rの複数の凹凸Pを構成する粗面用部材は、例えば、シリコーンゴムを含む。
また、粗面Rの複数の凹凸Pは、基材20の第2面22に設けられ、基材20とは別の粗面用部材で構成されているようにしてもよい。別の粗面部材は伸縮性を有しているほうが好ましく、例えば、伸縮性を有する不織布なども挙げられる。
(配線基板の製造方法)
以下、図24(a)~(d)を参照して、配線基板10の製造方法について説明する。なお、 後で、レーザー加工、抜き型やポンチを用いた抜き加工、プロッター加工、切削加工、注型成型、金型プレス成型、TR工法(簡易型プレス成型)などで形成されていてもよい。
まず、基材20を準備する基材準備工程を実施する。本実施の形態においては、基材準備工程において、図24(a)に示すように、補強部材31が内部に埋め込まれた基材20を準備する。
ここで、既述のように、基材20は、基材20の第2面22において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に少なくとも電子部品51と重なる部分は、配線基板10が実装される被実装体に対して密着性を高めるために平滑面Hを有するとともに、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、平滑面Hよりも粗い複数の凹凸が設けられた粗面Rを有する。
例えば、基材20の形成時に微細な凹凸のついた型の上にシリコーンゴムを流し込むことにより、補強部材31を基材20の内部に埋め込むようにするとともに、基材20に平滑面H及び粗面Rの複数の凹凸を形成するようにしてもよい。また、基材20の本体部を形成した後、基材20に粗面Rの複数の凹凸を構成する部材を付加するようにしてもよい。
また、図24(a)に示す基材20の本体を成形した後、若しくは、後述の図24(d)に示す基材20から引張応力Tを取り除く第3工程を実施した後に、レーザー加工や抜き型やポンチを用いた抜き加工、プロッター加工、切削加工、注型成型、金型プレス成型、TR工法(簡易型プレス成型)などにより、粗面Rの複数の凹凸を形成するようにしてもよい。あるいは、伸縮性を有する不織布などを貼り付けてもよい。
なお、既述の図6ないし図8に示すように、基材20の第2面22に補強部材31を設けるようにしてもよい。この場合、例えば、まず、基材20の第2面22の全域にわたって金属層を形成し、続いて、エッチングなどによって金属層を部分的に除去する。これによって、金属層を含む補強部材31を形成することができる。
また、支持基板40を準備する支持基板準備工程を実施する。本実施の形態においては、支持基板準備工程において、図24(b)に示すように、支持基板40の第1面41に電子部品51及び配線52を設ける。配線52を設ける方法としては、例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを支持基板40の第1面41に印刷する方法を採用することができる。
続いて、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる第1工程を実施する。基材20の伸張率は、例えば10%以上且つ200%以下である。第1工程は、基材20を加熱した状態で実施してもよく、常温で実施してもよい。基材20を加熱する場合、基材20の温度は例えば50℃以上且つ100℃以下である。
続いて、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21側に、電子部品51及び配線52を設ける第2工程を実施する。本実施の形態の第2工程においては、図24(c)に示すように、基材20の第1面21に、電子部品51及び配線52が設けられた支持基板40を、支持基板40の第2面42側から接合させる。この際、基材20と支持基板40との間に接着層60を設けてもよい。
その後、基材20から引張応力Tを取り除く第3工程を実施する。これにより、図24(d)において矢印Cで示すように、基材20が収縮し、基材20に接合されている支持基板40及び配線52にも変形が生じる。支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい。このため、支持基板40及び配線52の変形を、蛇腹形状部の生成として生じさせることができる。
また、本実施の形態においては、基材20に、電子部品51と重なるよう補強部材31が配置されている。このため、第1工程において基材20のうち電子部品51と重なる部分が伸張することを抑制することができる。従って、第3工程において基材20のうち電子部品51と重なる部分が収縮することを抑制することができる。このことにより、基材20の変形に起因する応力が電子部品51に加わることを抑制することができ、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品51と配線52との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。このように、本実施の形態によれば、基材20に生じる変形を位置に応じて制御することにより、電子部品51の実装のし易さや電子部品51及び配線52の信頼性を高めることができる。
なお、基材20が伸張する際、補強部材31に反りなどの変形が生じる可能性はある。仮に補強部材31に変形が生じたとしても、補強部材31の変形量は、基材20のうち補強部材31と重ならない部分で生じる変形量に比べて小さい。従って、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品51と配線52との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
配線52の蛇腹形状部によって得られる、配線52の抵抗値に関する効果の一例について説明する。ここでは、基材20の第1面21の面内方向に沿う引張応力が基材20に加えられていない第1状態における配線52の抵抗値を、第1抵抗値と称する。また、基材20に引張応力を加えて基材20を第1面21の面内方向において第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における配線52の抵抗値を、第2抵抗値と称する。本実施の形態によれば、配線52に蛇腹形状部を形成することにより、第1抵抗値に対する、第1抵抗値と第2抵抗値の差の絶対値の比率を、20%以下にすることができ、より好ましくは10%以下にすることができ、更に好ましくは5%以下にすることができる。
配線基板10の用途としては、ヘルスケア分野、医療分野、介護分野、エレクトロニクス分野、スポーツ・フィットネス分野、美容分野、モビリティ分野、畜産・ペット分野、アミューズメント分野、ファッション・アパレル分野、セキュリティ分野、ミリタリー分野、流通分野、教育分野、建材・家具・装飾分野、環境エネルギー分野、農林水産分野、ロボット分野などを挙げることができる。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品を、本実施の形態による配線基板10を用いて構成する。配線基板10は伸張することができるので、例えば配線基板10を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板10を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、配線基板10が伸張した場合に配線52の抵抗値が低下することを抑制することができるので、配線基板10の良好な電気特性を実現することができる。他にも配線基板10は伸長することができるので、人などの生体に限らず曲面や立体形状に沿わせて設置や組込むことが可能である。それらの製品の一例としては、バイタルセンサ、マスク、補聴器、歯ブラシ、絆創膏、湿布、コンタクトレンズ、義手、義足、義眼、カテーテル、ガーゼ、薬液パック、包帯、ディスポーザブル生体電極、おむつ、リハビリ用機器、家電製品、ディスプレイ、サイネージ、パーソナルコンピューター、携帯電話、マウス、スピーカー、スポーツウェア、リストバンド、はちまき、手袋、水着、サポーター、ボール、グローブ、ラケット、クラブ、バット、釣竿、リレーのバトンや器械体操用具、またそのグリップ、身体トレーニング用機器、浮き輪、テント、水着、ゼッケン、ゴールネット、ゴールテープ、薬液浸透美容マスク、電気刺激ダイエット用品、懐炉、付け爪、タトゥー、自動車、飛行機、列車、船舶、自転車、ベビーカー、ドローン、車椅子、などの、シート、インパネ、タイヤ、内装、外装サドル、ハンドル、道路、レール、橋、トンネル、ガスや水道の管、電線、テトラポッド、ロープ、首輪、リード、ハーネス、動物用のタグ、ブレスレット、ベルトなど、ゲーム機器、コントローラなどのハプティクスデバイス、ランチョンマット、チケット、人形、ぬいぐるみ、応援グッズ、帽子、服、メガネ、靴、インソール、靴下、ストッキング、スリッパ、インナーウェア、マフラー、耳あて、鞄、アクセサリー、指輪、付け爪、時計、ネクタイ、個人ID認識デバイス、ヘルメット、パッケージ、ICタグ、ペットボトル、文具、書籍、ペン、カーペット、ソファ、寝具、照明、ドアノブ、手すり、花瓶、ベッド、マットレス、座布団、カーテン、ドア、窓、天井、壁、床、ワイヤレス給電アンテナ、電池、ビニールハウス、ネット(網)、ロボットハンド、ロボット外装を挙げることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
上述の実施の形態においては、補強部材31が基材20の中に位置する例を示したが、これに限られることはなく、補強部材31が基材20の第1面21側に設けられていてもよい。例えば、図25に示すように、補強部材31は、基材20の第1面21と電子部品51との間に位置していてもよい。図25に示す例において、補強部材31は、支持基板40の第2面42に位置している。
本変形例においても、上述の実施の形態の場合と同様に、配線52のうち補強部材30と重なっていない部分には蛇腹形状部が形成されている。このため、基材20の変形に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。
図26(a)~(d)は、図25に示す配線基板10の製造方法を説明するための図である。
まず、図26(a)に示すように、基材20を準備する基材準備工程を実施する。ここで、既述のように、基材20は、基材20の第2面22において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に少なくとも電子部品51と重なる部分は、配線基板10が実装される被実装体に対して密着性を高めるために平滑面Hを有するとともに、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、平滑面Hよりも粗い複数の凹凸が設けられた粗面Rを有する。
続いて、図26(b)に示すように、支持基板40を準備する支持基板準備工程を実施する。本変形例においては、支持基板準備工程において、図26(b)に示すように、支持基板40の第1面41に電子部品51及び配線52を設ける。また、支持基板40の第2面42に補強部材31を設ける。支持基板40に補強部材31、電子部品51、配線52を設ける順序は任意である。
続いて、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる第1工程を実施する。続いて、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21側に、電子部品51及び配線52を設ける第2工程を実施する。本変形例においては、第2工程において、図26(c)に示すように、基材20の第1面21に、補強部材31、電子部品51及び配線52が設けられた支持基板40を、支持基板40の第2面42側から接合させる。
その後、基材20から引張応力Tを取り除く第3工程を実施する。これにより、図26(d)において矢印Cで示すように、基材20が収縮し、基材20に接合されている支持基板40及び配線52にも変形が生じる。支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい。このため、支持基板40及び配線52の変形を、蛇腹形状部の生成として生じさせることができる。
また、本変形例においては、支持基板40の第2面42に、電子部品51と重なるよう補強部材31が配置されている。このため、第3工程において基材20が収縮することの影響を電子部品51が受けることを抑制することができる。これにより、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。
(第2の変形例)
上述の実施の形態及び第1の変形例においては、補強部材31が基材20又は支持基板40のいずれか一方に位置する例を示したが、これに限られることはない。図27に示すように、補強部材31は、基材20の中、及び基材20の第1面21と電子部品51との間のいずれにも位置していてもよい。図27に示す例において、配線基板10は、基材20の中に位置する補強部材31と、支持基板40の第2面42に位置する補強部材31とを含む。
本変形例においても、上述の実施の形態の場合と同様に、配線52のうち補強部材30と重なっていない部分には蛇腹形状部が形成されている。このため、基材20の変形に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。
図28(a)~(d)は、図27に示す配線基板10の製造方法を説明するための図である。
まず、図28(a)に示すように、基材20を準備する基材準備工程を実施する。本変形例においては、基材準備工程において、図28(a)に示すように、基材20の中に補強部材31を設ける。続いて、図28(b)に示すように、支持基板40を準備する支持基板準備工程を実施する。本変形例においては、支持基板準備工程において、図28(b)に示すように、支持基板40の第1面41に電子部品51及び配線52を設ける。また、支持基板40の第2面42に補強部材31を設ける。支持基板40に補強部材31、電子部品51、配線52を設ける順序は任意である。
続いて、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる第1工程を実施する。続いて、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21側に、電子部品51及び配線52を設ける第2工程を実施する。本変形例の第2工程においては、図28(c)に示すように、補強部材31が設けられた基材20の第1面21に、補強部材31、電子部品51及び配線52が設けられた支持基板40を、支持基板40の第2面42側から接合させる。
その後、基材20から引張応力Tを取り除く第3工程を実施する。これにより、図28(d)において矢印Cで示すように、基材20が収縮し、基材20に接合されている支持基板40及び配線52にも変形が生じる。支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい。このため、支持基板40及び配線52の変形を、蛇腹形状部の生成として生じさせることができる。
また、本変形例においては、基材20の第2面22及び支持基板40の第2面42の両方に、電子部品51と重なるよう補強部材31が配置されている。このため、第1工程において基材20のうち電子部品51と重なる部分が伸張することをより抑制することができる。従って、第3工程において基材20のうち電子部品51と重なる部分が収縮することを抑制することができる。このことにより、基材20の変形に起因する応力が電子部品51に加わることを抑制することができ、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品51と配線52との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
(第3の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、電子部品51及び配線52が、基材20の第1の弾性係数よりも高い第3の弾性係数を有する支持基板40によって支持される例を示したが、これに限られることはない。図29に示すように、電子部品51及び配線52は、基材20の第1面21に設けられていてもよい。この場合、補強部材31は、基材20の中に位置している。
本変形例においても、上述の実施の形態の場合と同様に、配線52のうち補強部材31と重なっていない部分には蛇腹形状部が形成されている。このため、基材20の変形に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。
図30(a)~(d)は、図29に示す配線基板10の製造方法を説明するための図である。
まず、図30(a)に示すように、基材20を準備する基材準備工程を実施する。本変形例においては、基材準備工程において、図30(a)に示すように、基材20の中に補強部材31を設ける。
続いて、図30(b)に示すように、基材20に引張応力Tを加えて基材20を伸長させる第1工程を実施する。続いて、図30(c)に示すように、引張応力Tによって伸長した状態の基材20の第1面21に、電子部品51及び配線52を設ける第2工程を実施する。
その後、基材20から引張応力Tを取り除く第3工程を実施する。これにより、図30(d)において矢印Cで示すように、基材20が収縮し、基材20に設けられている配線52にも変形が生じる。補強部材31は、配線52全体若しくは配線52の大部分と重ならないように配置されている。このため、配線52の変形は、蛇腹形状部の生成として生じる。
また、本変形例においては、基材20の中に補強部材31が配置されている。このため、第1工程において基材20のうち電子部品51と重なる予定の部分が伸張することを抑制することができる。従って、第3工程において基材20のうち電子部品51と重なる部分が収縮することを抑制することができる。このことにより、基材20の変形に起因する応力が電子部品51に加わることを抑制することができ、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。
(第4の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、電子部品51が、配線基板10に実装される前の段階で予めパッケージ化されたものである例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、電子部品51は、電子部品51の構成要素の一部が配線基板10に実装された後、一部の構成要素を封止することによって構成されるものであってもよい。例えば図31に示すように、電子部品51は、チップ513と、チップ513と配線52とを接続するワイヤ514と、チップ513及びワイヤ514とを覆う樹脂515と、を有していてもよい。ワイヤ514が、配線52に接続される電極として機能する。このような電子部品51を設ける工程においては、まず、チップ513を配線基板10の例えば支持基板40上に載置する。この際、接着剤などを用いてチップ513を配線基板10に固定してもよい。続いて、ワイヤ514をチップ513及び配線52に接続する。ワイヤ514は、金、アルミニウム、銅などを含む。続いて、チップ513及びワイヤ514上に液状の樹脂を滴下して、チップ513及びワイヤ514を覆う樹脂515を形成する。この工程は、ポッティングとも称されるものである。樹脂515としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。図31に示すように電子部品51が樹脂515を含む場合、樹脂515の端部が電子部品51の外縁512となる。
基材20のうち樹脂515と重なる部分は、基材20のうち樹脂515と重ならない部分に比べて変形しにくい。この場合、基材20に伸縮が生じると、配線基板10のうち樹脂515と重なる部分と、配線基板10のうち樹脂515と重ならない部分との間の境界部に応力が集中する。この点を考慮し、図31に示すように、補強部材31は、電子部品51の外縁512よりも外側にまで広がるよう設けられる。これにより、基材20の変形に起因する応力が電子部品51に加わることを抑制することができ、電子部品51が変形したり破損したりしてしまうことを抑制することができる。また、電子部品51と配線52との間の電気接合部が破損してしまうことを抑制することができる。
ここで、既述のように、基材20は、基材20の第2面22において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に少なくとも電子部品51と重なる部分は、配線基板10が実装される被実装体に対して密着性を高めるために平滑面Hを有するとともに、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に前記蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部は、平滑面Hよりも粗い複数の凹凸が設けられた粗面Rを有する。
これにより、基材20の伸縮に起因して配線基板10に不具合が生じることを抑制しつつ、当該配線基板10を被実装体に実装した際に、当該配線基板10のうち伸縮させたい部分を所定の範囲で伸縮させることができる。
なお、図31においては、ポッティング用の樹脂515がチップ513の全体を覆う例を示したが、これに限られることはない。パッケージ化された電子部品51を補強するために、ポッティング用の樹脂50を設けてもよい。この場合、樹脂50は、電子部品51の全体を覆っていてもよい。若しくは、樹脂50は、電子部品51の全体を覆っていなくてもよい。例えば、樹脂50は、電子部品51の周囲を補強するよう、電子部品51の周囲で補強部材31の端部と電子部品51の端部との間に位置していてもよい。
(第5の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、電子部品51が、配線基板10の各構成要素とは別の部材からなる部品である例を示した。下記の変形例においては、電子部品51が、配線基板10の複数の構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素と一体的な部材を含む例について説明する。
例えば、電子部品51は、配線基板10の配線52を構成する導電層と一体的な導電層を含むようにしてもよい。
例えば、図32は、電子部品51の一例を示す平面図である。図32に示す例において、電子部品51を構成する導電層は、配線52を構成する導電層よりも広い幅を有する。導電層の幅が変化する部分が、電子部品51の外縁512である。図32に示す電子部品51は、例えばパッドとして機能することができる。パッドには、検査用のプローブ、ソフトウェア書き換え用の端子などが接続される。
また、図33は、電子部品51のその他の例を示す平面図である。図33に示す例において、電子部品51を構成する導電層は、らせん状に延びる形状を有する。導電層がらせん状に延び始める部分が、電子部品51の外縁512である。図33に示すような、所定のパターンを有する導電層を含む電子部品51は、アンテナや圧力センサとして機能することができる。
(第6の変形例)
上述の実施の形態においては、配線52が直線状に配置されている例を説明したが、当該配線52が屈曲している場合がある。この場合、当該配線52が屈曲している領域では、蛇腹形状部に断線が発生しやすくなる傾向がある。
そこで、本第6の変形例では、当該配線52が屈曲している領域で蛇腹形状部の断線の発生を抑制する構成の一例について説明する。
ここで、図34は、第6の変形例に係る配線基板を示す平面図である。なお、この図34に示す配線基板10は、例えば、既述の図4や図5と同様の断面構造を有する。
この図34に示すように、配線基板10は、基材20の第2面22側の面(例えば、基材20の第2面22)において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に配線52が屈曲している部分を含む領域に、平滑面Hを有するようにしてもよい。
なお、配線基板10は、基材20の第1面21側の面(例えば、支持基板40の第1面41)において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に配線52が屈曲している部分を含む領域に、平滑面Hを有するようにしてもよい。
すなわち、配線基板10は、基材20の第1面21側、又は基材20の第2面22側の少なくとも何れか一方の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に配線52が屈曲している部分52Xを含む領域に、平滑面Hを有するものである。
これにより、配線基板10を被実装体に実装した際に、当該配線基板10の配線52が屈曲している部分52Xを含む領域に重なる平滑面Hが被実装体の実装面に貼り付いて伸縮を抑制することで、この配線52が屈曲している部分52Xを含む領域において蛇腹形状部に断線が発生するのを抑制することができる。
(第7の変形例)
上述の実施の形態においては、配線52が直線状に並列に配置されている例を説明したが、2つの配線52が交差している場合がある。この場合、2つの配線52の交点を含む領域では、蛇腹形状部に断線が発生しやすくなる傾向がある。
そこで、本第7の変形例では、2つの配線52の交点を含む領域で蛇腹形状部の断線の発生を抑制する構成の一例について説明する。
ここで、図35は、第7の変形例に係る配線基板を示す平面図である。なお、この図35に示す配線基板10は、例えば、既述の図4や図5と同様の断面構造を有する。
この図34に示すように、配線基板10は、基材20の第2面22側の面(例えば、基材20の第2面22)において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、2つの配線52の交点52Yを含む領域に、平滑面Hを有するようにしてもよい。
なお、配線基板10は、基材20の第1面21側の面(例えば、支持基板40の第1面41)において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、2つの配線52の交点52Yを含む領域に、平滑面Hを有するようにしてもよい。
すなわち、配線基板10は、基材20の前記第1面21側、又は前記基材20の前記第2面22側の少なくとも何れか一方の面において、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に、2つの配線52の交点52Yを含む領域に、平滑面Hを有するものである。
これにより、配線基板10を被実装体に実装した際に、当該配線基板10の2つの配線52の交点52Yを含む領域に重なる平滑面Hが被実装体の実装面に貼り付いて伸縮を抑制することで、この2つの配線52の交点52Yを含む領域において蛇腹形状部に断線が発生するのを抑制することができる。
(第8の変形例)
上述の実施の形態においては、基材の第1面側、又は基材の第2面側の面に、平滑面及び粗面が位置する例を示したが、特に、配線基板が部材を備え、この部材に に平滑面及び粗面が位置していてもよい。
すなわち、例えば、図36、図37に示すように、配線基板10は、基材20の第1面21側において、少なくとも電子部品51及び配線52を覆う部材Mをさらに備えているようにしてもよい。
そして、粗面Rは、例えば、図37に示すように、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に蛇腹形状部と重なる部分の少なくとも一部において、部材Mの表面(露出面)M1に位置しているようにしてもよい。
特に、平滑面Hは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に第1蛇腹形状部571と重なる部分において、部材Mの表面M1に位置し、粗面Rは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に第2蛇腹形状部572と重なる部分において、部材Mの表面M1に位置しているようにしてもよい。
ここでは、粗面R、平滑面Hは基材20の第1面21に位置しているが、第2面22に位置してもよい。また、粗面・平滑面がある実装面と反対側の面は全面粗面でもよく、部分的に粗面でもよく、全面平滑面でもよい。
この部材Mは、例えば、基材20と同じ材料で構成されている。この場合、部材Mは、例えば、シリコーンで構成されている。
本変形例においても、上述の実施の形態の場合と同様に、配線52のうち補強部材30と重なっていない部分には蛇腹形状部が形成されている。このため、基材20の変形に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。
(配線基板の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、配線基板10が、基材20の第1面21側に搭載された電子部品51を備える例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、配線基板10は、電子部品51を備えていなくてもよい。例えば、電子部品51が搭載されていない状態の基材20に蛇腹形状部が生じていてもよい。また、電子部品51が搭載されていない状態の支持基板40が基材20に貼り合されてもよい。また、配線基板10は、電子部品51が搭載されていない状態で出荷されてもよい。
また、粗面・平滑面がある実装面と反対側の面は全面粗面でもよく、部分的に粗面でもよく、全面平滑面でもよい。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。