JP7015952B1 - 配線基板及び配線基板の製造方法 - Google Patents

配線基板及び配線基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材が局所的に大きく変形しても配線の破損発生を抑制する配線基板及び配線基板の製造方法を提供する。【解決手段】電子部品搭載配線基板は、平面視、基材及び電子部品に重なり基材よりも高剛性を有する少なくとも1つの第1剛性部材30と、配線51を含む導電層とを備える。第1剛性部材は、面取りされている少なくとも2つの第1コーナー32と第1辺31とを含む外縁を備える。基材は、第1剛性部材に重なる第1重なり領域23と第1重なり領域に接し第1剛性部材に重ならない第1周囲領域24とを含む。第1周囲領域は、第1辺の中央部から、平面視で第1剛性部材中心から遠ざかる側へ広がる第1安定領域241を含む。第1安定領域は、第1辺が延びる方向において下記式の寸法W1を有する。W1=-1.1148×R1+0.532×K1R1は、第1コーナー面取り寸法、K1は、第1辺の2つの第1コーナー及び第1辺の寸法。【選択図】図4

Description

本開示の実施形態は、配線基板及びその製造方法に関する。
近年、伸縮性などの変形性を有する電子デバイスの研究がおこなわれている。例えば特許文献1は、基材と、基材に設けられた配線と、を備え、伸縮性を有する配線基板を開示している。特許文献1においては、予め伸長させた状態の基材に回路を設け、回路を形成した後に基材を弛緩させる、という製造方法を採用している。特許文献1に記載の配線基板は、配線基板に搭載される電子部品に重なる補強部材を備えている。
国際公開2019/074115号
基材に張力を加える時、平面視において補強部材に重なる基材の領域の変形が、補強部材によって抑制される。この場合、補強部材の周囲に位置する基材の領域が局所的に大きく変形することがある。基材が局所的に大きく変形すると、配線に折れなどの破損が生じてしまうことが考えられる。
本開示の実施形態は、このような課題を効果的に解決し得る配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、
電子部品が搭載される配線基板であって、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、
平面視において前記基材及び前記電子部品に重なり、前記基材よりも高い剛性を有する少なくとも1つの第1剛性部材と、
前記基材の前記第1面側に位置する配線を含む導電層と、を備え、
前記第1剛性部材は、平面視において、前記第1剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第1コーナーと、2つの前記第1コーナーの間で延びる第1辺と、を含む外縁を備え、
前記基材は、平面視において前記第1剛性部材に重なる第1重なり領域と、前記第1重なり領域に接し、平面視において前記第1剛性部材に重ならない第1周囲領域と、を含み、
前記第1周囲領域は、前記第1辺の中央部から、平面視において前記第1剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第1安定領域を含み、
前記第1安定領域は、前記第1辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W1を有し、
W1=-1.1148×R1+0.532×K1
R1は、前記第1コーナーの面取り寸法であり、K1は、前記第1辺が延びる方向における2つの前記第1コーナー及び前記第1辺の寸法であり、
前記配線は、前記第1安定領域を通って前記第1重なり領域に至るよう延びる、配線基板である。
本開示の一実施形態による配線基板において、R1/K1が0.020以上0.30以下であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1剛性部材の弾性係数は、前記基材の弾性係数の10倍以上であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1剛性部材は、前記基材の前記第2面側に位置していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1剛性部材は、前記基材に埋め込まれていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、平面視において前記第1剛性部材に重なり、前記導電層を部分的に覆う第1絶縁層と、平面視において前記導電層に重なり、前記第1絶縁層を貫通する第1孔と、を備えていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記導電層は、平面視において前記第1孔を囲み、前記配線に接続されているパッドを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、平面視において前記基材に部分的に重なる少なくとも1つの第2剛性部材と、前記第2剛性部材に設けられ、前記配線に電気的に接続される導電体と、前記導電体を介して前記配線に電気的に接続される前記電子部品と、前記基材の前記第1面側に位置し、前記第2剛性部材よりも低い剛性を有し、前記第2剛性部材及び前記電子部品を覆う保護層と、を備えていてもよい。前記第2剛性部材は、平面視において、前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第2コーナーと、2つの前記第2コーナーの間で延びる第2辺と、を含む外縁を備えていてもよい。前記保護層は、平面視において前記第2剛性部材に重なる第2重なり領域と、前記第2重なり領域に接し、平面視において前記第2剛性部材に重ならない第2周囲領域と、を含んでいてもよい。前記第2周囲領域は、前記第2辺の中央部から、平面視において前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第2安定領域を含んでいてもよい。前記第2安定領域は、前記第2辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W2を有していてもよい。
W2=-1.1148×R2+0.532×K2
R2は、前記第2コーナーの面取り寸法であり、K2は、前記第2辺が延びる方向における2つの前記第2コーナー及び前記第2辺の寸法である。前記配線は、前記第2安定領域を通って前記第2重なり領域に至るよう延びていてもよい。
本開示の一実施形態は、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、
前記基材の前記第1面側に位置する配線を含む導電層と、
平面視において前記基材に部分的に重なる少なくとも1つの第2剛性部材と、
前記第2剛性部材に設けられ、前記配線に電気的に接続される導電体と、
平面視において前記第2剛性部材に重なり、前記導電体を介して前記配線に電気的に接続される電子部品と、
前記基材の前記第1面側に位置し、前記第2剛性部材よりも低い剛性を有し、前記第2剛性部材及び前記電子部品を覆う保護層と、を備え、
前記第2剛性部材は、平面視において、前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第2コーナーと、2つの前記第2コーナーの間で延びる第2辺と、を含む外縁を備え、
前記保護層は、平面視において前記第2剛性部材に重なる第2重なり領域と、前記第2重なり領域に接し、平面視において前記第2剛性部材に重ならない第2周囲領域と、を含み、
前記第2周囲領域は、前記第2辺の中央部から、平面視において前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第2安定領域を含み、
前記第2安定領域は、前記第2辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W2を有し、
W2=-1.1148×R2+0.532×K2
R2は、前記第2コーナーの面取り半径であり、K2は、前記第2辺が延びる方向における2つの前記第2コーナー及び前記第2辺の寸法であり、
前記配線は、前記第2安定領域を通って前記第2重なり領域に至るよう延びる、配線基板である。
本開示の一実施形態による配線基板において、R2/K2が0.020以上0.30以下であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第2剛性部材の弾性係数は、前記保護層の弾性係数の10倍以上であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、平面視において前記第2剛性部材に重なり、前記導電層を部分的に覆う第1絶縁層と、平面視において前記導電層に重なり、前記第1絶縁層を貫通する第1孔と、前記第1孔に位置し、前記導電層及び前記導電体に接続される半田と、を備えていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記導電層は、平面視において前記第1孔を囲み、前記配線に接続されているパッドを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材は、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゲル又はシリコンゲルを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、前記配線を支持する支持基板を備えていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記支持基板の弾性係数は、前記基材の弾性係数の10倍以上であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記支持基板は、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、又はポリエチレンテレフタラートを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、前記基材の前記第1面側に位置し、平面視において少なくとも部分的に前記配線に重なる第2絶縁層を備えていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記制御層は、前記基材よりも大きい弾性係数を有していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線は、前記配線の長さ方向に並ぶ複数の山部を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態は、電子部品が搭載される配線基板の製造方法であって、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、平面視において前記基材及び前記電子部品に重なり、前記基材よりも高い剛性を有する少なくとも1つの第1剛性部材と、を備える積層体の前記基材に張力を加えて、前記基材を伸長させる伸長工程と、
前記伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に配線を設ける配線形成工程と、
前記基材から張力を取り除く収縮工程と、を備え、
前記第1剛性部材は、平面視において、前記第1剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第1コーナーと、2つの前記第1コーナーの間で延びる第1辺と、を含む外縁を備え、
前記基材は、平面視において前記第1剛性部材に重なる第1重なり領域と、前記第1重なり領域に接し、平面視において前記第1剛性部材に重ならない第1周囲領域と、を含み、
前記第1周囲領域は、前記第1辺の中央部から、平面視において前記第1剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第1安定領域を含み、
前記第1安定領域は、前記第1辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W1を有し、
W1=-1.1148×R1+0.532×K1
R1は、前記第1コーナーの面取り寸法であり、K1は、前記第1辺が延びる方向における2つの前記第1コーナー及び前記第1辺の寸法であり、
前記配線は、前記第1安定領域を通って前記第1重なり領域に至るよう延びる、配線基板の製造方法である。
本開示の一実施形態は、
第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材に張力を加えて、前記基材を伸長させる伸長工程と、
前記伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に配線を設ける配線形成工程と、
前記基材から張力を取り除く収縮工程と、を備え、
前記基材の前記第1面側には、少なくとも1つの第2剛性部材と、第2剛性部材に設けられ、前記配線に電気的に接続される導電体と、平面視において前記第2剛性部材に重なり、前記導電体を介して前記配線に電気的に接続される電子部品と、前記第2剛性部材よりも低い剛性を有し、前記第2剛性部材及び前記電子部品を覆う保護層と、が設けられており、
前記第2剛性部材は、平面視において、前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第2コーナーと、2つの前記第2コーナーの間で延びる第2辺と、を含む外縁を備え、
前記保護層は、平面視において前記第2剛性部材に重なる第2重なり領域と、前記第2重なり領域に接し、平面視において前記第2剛性部材に重ならない第2周囲領域と、を含み、
前記第2周囲領域は、前記第2辺の中央部から、平面視において前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第2安定領域を含み、
前記第2安定領域は、前記第2辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W2を有し、
W2=-1.1148×R2+0.532×K2
R2は、前記第2コーナーの面取り寸法であり、K2は、前記第2辺が延びる方向における2つの前記第2コーナー及び前記第2辺の寸法であり、
前記配線は、前記第2安定領域を通って前記第2重なり領域に至るよう延びる、配線基板の製造方法である。
本開示の実施形態によれば、配線に折れなどの破損が生じることを抑制できる。
一実施の形態に係る配線基板を示す平面図である。 図1の配線基板のA-A線に沿った断面図である。 第1剛性部材の周囲に位置する配線を拡大して示す平面図。 図3から第1絶縁層を取り除いた状態を示す平面図。 第1剛性部材の第1コーナーを拡大して示す平面図。 配線基板に生じる山部の一例を示す断面図である。 配線基板に生じる山部のその他の例を示す断面図である。 配線基板に生じる山部の一例を示す平面図である。 配線基板に生じる山部のその他の例を示す断面図である。 配線基板に生じる山部のその他の例を示す断面図である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 配線基板に電子部品を搭載する方法を説明するための図である。 配線基板に電子部品を搭載する方法を説明するための図である。 伸長した状態の配線基板を拡大して示す断面図である。 第1の変形例に係る配線基板を示す平面図である。 図14の配線基板のB-B線に沿った断面図である。 第2の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第2の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第3の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 図18の配線基板に生じる山部の一例を示す断面図である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 第4の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第5の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第6の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第7の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第7の変形例に係る配線基板を示す平面図である。 第8の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第8の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第9の変形例に係る第1剛性部材を示す平面図である。 第10の変形例に係る第1剛性部材を示す平面図である。 第11の変形例に係る第1剛性部材を示す平面図である。 実施例における積層体を示す平面図である。 実施例における積層体を示す断面図である。 基材に生じる体積ひずみをシミュレーションによって算出した結果を示す平面図である。 基材に生じる体積ひずみをシミュレーションによって算出した結果を示すグラフである。 基材に生じる体積ひずみをシミュレーションによって算出した結果を示す表である。 図34の体積ひずみを正規化した結果を示す表である。 正規化した体積ひずみと正規化した面取り寸法の関係を示すグラフである。
(第1の実施の形態)
以下、本開示の第1の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例である。本開示の解釈は、これらの実施形態には限定されない。本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」、「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基板」の概念は、基材、シート、フィルムと呼ばれ得るような部材も含む。本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等の解釈は、厳密な意味には限定されず、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含む。
本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付す。同一の符号又は類似の符号が付された部分の繰り返しの説明は省略される場合がある。図面の寸法比率は、説明の都合上、実際の比率とは異なる場合がある。構成の一部が図面から省略される場合がある。
本明細書において、あるパラメータに関して複数の上限値の候補及び複数の下限値の候補が挙げられている場合、そのパラメータの数値範囲は、任意の1つの上限値の候補と任意の1つの下限値の候補とを組み合わせることによって構成されてもよい。例えば、「パラメータBは、例えばA1以上であり、A2以上であってもよく、A3以上であってもよい。パラメータBは、例えばA4以下であり、A5以下であってもよく、A6以下であってもよい。」と記載されている場合を考える。この場合、パラメータBの数値範囲は、A1以上A4以下であってもよく、A1以上A5以下であってもよく、A1以上A6以下であってもよく、A2以上A4以下であってもよく、A2以上A5以下であってもよく、A2以上A6以下であってもよく、A3以上A4以下であってもよく、A3以上A5以下であってもよく、A3以上A6以下であってもよい。
(配線基板)
図1は、本実施の形態に係る配線基板10を示す平面図である。図2は、図1の配線基板10のA-A線に沿った断面図である。配線基板10は、基材20、第1剛性部材30及び導電層50を備える。配線基板10は、第1絶縁層70を備えていてもよい。配線基板10には電子部品55が搭載される。「配線基板」の概念は、電子部品55が搭載される前の配線基板10及び電子部品55が搭載された後の配線基板10の両方を含む。
〔基材〕
基材20は、少なくとも1つの方向において伸縮性を有するよう構成された部材である。基材20は、第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。図1に示す例において、基材20は、基材20の面の法線方向に沿って見た場合に、第1方向D1に延びる一対の辺と、第1方向D1に直交する第2方向D2に延びる一対の辺とを含む四角形状を有する。以下の説明において、基材20の面の法線方向に沿って配線基板10を見ることを、「平面視」と表現することもある。また、基材20の面の法線方向に沿って配線基板10を見た場合に配線基板10の2つの構成要素が重なることを、「重なる」と表現することもある。基材20は、少なくとも第1方向D1において伸縮性を有する。基材20は第1方向D1以外の方向においても伸縮性を有していてもよい。例えば、基材20は、第2方向D2においても伸縮性を有していてもよい。
基材20の厚みT1は、例えば10μmであり、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。基材20の厚みT1は、例えば10mm以下であり、3mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。基材20の厚みT1を10μm以上にすることにより、基材20の耐久性を確保できる。基材20の厚みT1を10mm以下にすることにより、配線基板10の装着時の快適性を確保できる。基材20の厚みT1を小さくしすぎると、基材20の伸縮性が損なわれる場合がある。
基材20の伸縮性とは、基材20が、常態である非伸長状態から伸長でき、その後、伸長状態から解放したときに基材20が復元できる性質をいう。以下の説明において、伸長状態から解放したときに復元できる性質のことを、復元性とも称する。非伸長状態とは、引張応力が加えられていない時の基材20の状態である。破壊されることなく基材20が非伸長状態から伸長可能な程度は、例えば1%以上であり、20%以上であってもよく、75%以上であってもよい。このような特性を有する基材20を用いることにより、配線基板10が全体として伸縮性を有することができる。さらに、人の腕などの身体の一部に取り付けられる、高い伸縮が必要な製品や用途において、配線基板10を使用できる。一般に、人の脇の下に取り付ける製品には、垂直方向において72%、水平方向において27%の伸縮性が必要であると言われている。また、人の膝、肘、臀部、足首、脇部に取り付ける製品には、垂直方向において26%以上42%以下の伸縮性が必要であると言われている。また、人のその他の部位に取り付ける製品には、20%未満の伸縮性が必要であると言われている。
非伸長状態にある基材20の形状と、非伸長状態から伸長された後に再び非伸長状態に戻ったときの基材20の形状との差が小さいことが好ましい。この差のことを、以下の説明において形状変化とも称する。基材20の形状変化は、面積比で例えば20%以下であり、10%以下であってもよく、5%以下であってもよい。形状変化の小さい基材20を用いることにより、後述する山部や谷部の形成が容易になる。
基材20の伸縮性を表すパラメータは、例えば弾性係数である。基材20の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、1MPa以下であってもよい。このような弾性係数を有する基材20を用いることにより、配線基板10が全体として伸縮性を有することができる。基材20の弾性係数は、例えば1kPa以上であり、10kPa以上であってもよい。
基材20の弾性係数を算出する方法としては、基材20のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用できる。また、基材20のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用してもよい。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。基材20のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から基材20の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の基材20の一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、基材20の弾性係数を算出する方法として、基材20を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて基材20の弾性係数を算出するという方法を採用できる。本願における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
基材20の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、基材20の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積である。曲げ剛性の単位はN・m又はPa・mである。基材20の断面二次モーメントは、基材20のうち配線51と重なっている部分を、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって切断した場合の断面に基づいて算出される。
基材20は、エラストマーを主成分として含んでいてもよい。また、基材20は、織物、編物、不織布などの布を主成分として含んでいてもよい。なお「主成分」とは、対象となる構成要素において51重量%以上を占める成分である。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができる。エラストマーは、例えば、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、1,2-BR系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等である。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。基材20は、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンを含んでいてもよい。シリコーンは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れている。
〔第1剛性部材〕
第1剛性部材30は、平面視において基材20に重なるように配置されている部材である。配線基板10は、少なくとも1つの第1剛性部材30を備える。図1及び図2に示すように、配線基板10は、2つ以上の第1剛性部材30を備えていてもよい。図2に示すように、第1剛性部材30は、基材20の第2面22側に位置していてもよい。
第1剛性部材30は、基材20よりも高い剛性を有する。このため、配線基板10に張力などの力を加えたときに、第1剛性部材30に重なる基材20の領域は、第1剛性部材30に重ならない基材20の領域に比べて、伸縮などの変形が生じにくい。以下の説明において、平面視において第1剛性部材30に重なる基材20の領域を、第1重なり領域23とも称し、平面視において第1剛性部材30に重ならない基材20の領域を、第1周囲領域24とも称する。
図1及び図2に示すように、電子部品55は、平面視において第1剛性部材30に重なるよう配置される。すなわち、電子部品55は、平面視において第1重なり領域23に重なるよう配置される。これにより、配線基板10に張力などの力を加えるときに、及び配線基板10から力を取り除くときに、電子部品55に力が加わることを抑制できる。このため、電子部品55に変形、破損などが生じることを抑制できる。また、電子部品55と配線基板10との間の接合部に変形、破損などが生じることを抑制できる。
第1剛性部材30の厚みT2は、例えば10μmであり、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。第1剛性部材30の厚みT2は、例えば1mm以下であり、300μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
第1剛性部材30の剛性を表すパラメータは、例えば弾性係数である。第1剛性部材30の弾性係数は、基材20の弾性係数よりも高くてもよい。第1剛性部材30の弾性係数は、基材20の弾性係数の例えば10倍以上であり、100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。第1剛性部材30の弾性係数は、基材20の弾性係数の例えば10000倍以下であり、50000倍以下であってもよい。第1剛性部材30の弾性係数は、例えば1GPa以上であり、10GPa以上であってもよい。
第1剛性部材30の弾性係数を算出する方法は、第1剛性部材30の形態に応じて適宜定められる。例えば、第1剛性部材30の弾性係数を算出する方法は、基材20の弾性係数を算出する方法と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第1剛性部材30の弾性係数を算出する方法として、第1剛性部材30のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用できる。
第1剛性部材30は、金属材料を含む金属層や、一般的な熱可塑性エラストマー、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系、シリコーン系等のオリゴマー、ポリマー等を含んでいてもよい。金属材料は、例えば銅、アルミニウム、ステンレス鋼等である。第1剛性部材30は、プリント基板で用いられる基材であってもよい。プリント基板で用いられる基材の材料は、ガラスエポキシ、紙フェノールなどである。ガラスエポキシとは、エポキシ樹脂が含侵されたガラス繊維である。紙フェノールとは、フェノール樹脂が含侵された紙である。
〔導電層〕
導電層50は、導電性を有する層である。導電層50は、基材20の第1面21側に位置する。図2に示すように、導電層50は、第1面21上に位置していてもよい。導電層50は、少なくとも配線51を含む。配線51は、電子部品55に電気的に接続される。導電層50は、パッド52を含んでいてもよい。パッド52は、配線51に接続されている。例えば、パッド52は、配線51の端部に接続されている。配線51及びパッド52は、導電層50によって一体的に構成されていてもよい。
パッド52には、電子部品55の端子、パッドなどが半田54などを介して接続される。後述するように、配線基板10と電子部品55との間にプリント基板が設けられる場合、パッド52には、プリント基板の端子、パッドなどが半田などを介して接続される。
図3は、第1剛性部材30の周囲に位置する配線51を拡大して示す平面図である。図3においては、便宜上、電子部品55及び半田54が省略されている。図4は、図3から第1絶縁層70を取り除いた状態を示す平面図である。図3及び図4は、第1面21側から見た場合の配線基板10を示している。
配線51は、導電性を有し、平面視において細長い形状を有する部材である。図1に示す例において、配線51は、第1方向D1又は第2方向D2に延びている。配線51の長さは、配線51の幅の例えば2倍以上であり、5倍以上であってもよく、10倍以上であってもよい。配線51の長さとは、配線51が延びる方向における配線51の寸法である。配線51の幅とは、配線51が延びる方向に直交する方向における配線51の寸法である。
配線51の幅W2は、配線51に求められる電気抵抗値に応じて適宜選択される。配線51の幅W2は、例えば100μm以上であり、200μm以上であってもよく、500μm以上であってもよく、1mm以上であってもよい。配線51の幅W2は、例えば20mm以下であり、10mm以下であってもよく、5mm以下であってもよい。
パッド52の幅は、配線51の幅よりも大きくてもよい。パッド52の幅とは、配線51が延びる方向に直交する方向におけるパッド52の寸法である。
図3及び図4においては、第2面22側に位置する第1剛性部材30の輪郭が点線で示されている。点線の内側に位置する基材20の領域が、上述の第1重なり領域23である。配線51は、第1周囲領域24から第1重なり領域23に至るよう延びている。パッド52は、第1重なり領域23に位置している。
基材20に伸縮などの変形が生じると、配線51などの導電層50にも力が加わる。例えば、配線51は、張力を加えられて第1伸長量で伸長された状態の基材20に設けられてもよい。この場合、基材20から張力が取り除かれて基材20が収縮するとき、配線51は蛇腹状に変形する。これにより、配線51に、長さ方向に並ぶ複数の山部が生じる。
配線51を構成する導電層50は、山部の解消及び生成を利用して基材20の伸長及び収縮に追従できる材料を含んでいてもよい。導電層50の材料は、それ自体が伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。
伸縮性を有さない導電層50の材料の例は、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金等である。
伸縮性を有する導電層50の材料の例は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する導電性組成物等である。ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、基材20の伸縮に応じて配線51も変形できる。また、変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線51の導電性を維持できる。
ベース材としては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができる。ベース材は、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等である。ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムは、伸縮性及び耐久性を有するので、ベース材として好ましい。導電性粒子の材料は、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等である。特に、銀粒子が好ましく用いられる。
配線51を含む導電層50の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法、金属箔の積層等により金属膜を形成する。その後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする。これにより、配線51が形成される。基材20上または後述する支持基板40上に金属箔を積層する場合、基材20または支持基板40と金属箔との間に接着層などが介在されていてもよい。また、配線51の材料自体が伸縮性を有する場合、例えば、基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により上記の導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷してもよい。これらの方法のうち、印刷法が好ましく用いられ得る。印刷法は、高い材料効率を有するので、配線51を安価に製作できる。
導電層50の厚みT3は、基材20の伸縮に耐え得るよう、導電層50の材料等に応じて適宜選択される。
導電層50の材料が伸縮性を有さない場合、導電層50の厚みT3は、例えば25nm以上であり、50nm以上であってもよく、100nm以上であってもよい。導電層50の厚みT3は、例えば100μm以下であり、50μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
導電層50の材料が伸縮性を有する場合、導電層50の厚みT3は、例えば5μm以上であり、10μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。導電層50の厚みT3は、例えば60μm以下であり、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。
上述の材料、厚みT3などの工夫により、基材20の変形に起因して配線51に変形、破損などが生じることを抑制できる。以下に説明するように、配線51の配置が工夫されていてもよい。配線51の配置の工夫により、基材20の変形に起因して配線51に変形、破損などが生じることを抑制できる。
後述する実施例によって立証されるように、第1剛性部材30のコーナーの周辺においては、基材20に大きな歪が生じやすい。大きな歪が生じる基材20の領域に配線51が重なっていると、配線51に変形、破損などが生じやすい。本実施の形態においては、大きな歪が生じにくい基材20の領域に配線51を配置することを提案する。
第1剛性部材30の輪郭を具体的に説明する。図3及び図4に示すように、第1剛性部材30は、平面視において、第1辺31及び第1コーナー32を含む。第1辺31は、2つの第1コーナー32の間で直線状に延びている。第1辺31は、第1方向D1に延びる2つの第11辺311と、第2方向D2に延びる2つの第12辺312と、を含んでいてもよい。第1コーナー32は、第11辺311と第12辺312とを接続している。第1コーナー32は、第1辺31とは異なる方向に延びている。図3及び図4に示す例において、第1剛性部材30は、4つの第1コーナー32を含む。
図5は、図3の第1コーナー32を拡大して示す平面図である。第1コーナー32は、平面視における第1剛性部材30の中心C1から遠ざかる側で面取りされている。「中心C1から遠ざかる側で面取りされている」とは、第1コーナー32によって接続される2つの第1辺31の延長線EL1の交点P1が、第1コーナー32よりも外側に位置していることを意味する。「外側」とは、平面視において中心C1から遠ざかる側である。
第1コーナー32は、面取り寸法R1を有する。図5の面取り寸法R1は、第12辺312との関係で規定される第1コーナー32の面取り寸法である。面取り寸法R1は、第12辺312が延びる方向における、交点P1と境界点322との間の距離である。境界点322は、第12辺312と第1コーナー32の境界に位置する。図示はしないが、第11辺311との関係で規定される第1コーナー32の面取り寸法は、第11辺311が延びる方向における、交点P1と境界点321との間の距離である。境界点321は、第11辺311と第1コーナー32の境界に位置する。
図5に示すように、第1コーナー32は湾曲していてもよい。この場合、第1コーナー32の面取り寸法R1は、第1コーナー32の曲率半径であってもよい。
面取り寸法R1が小さいほど、第1コーナー32の周辺において基材20に大きな歪が局所的に生じやすい。従って、面取り寸法R1は、所定値以上であることが好ましい。
一方、後述する実施例によって立証されるように、面取り寸法R1が大きいほど、図3~図5に示す第1安定領域241の寸法W1が小さくなる。第1安定領域241とは、第1辺31の周辺に位置し、歪が抑制されている基材20の領域である。第1安定領域241は、第1周囲領域24の一部である。図3及び図4に示すように、第1安定領域241は、第1辺31の中央部から外側へ広がっている。例えば、第12辺312に接する第1安定領域241は、第12辺312の中央部から外側へ第1方向D1に広がっている。図5に示す第1安定領域241に関して「外側」という用語が意味する向きが、矢印D11で表されている。
本実施の形態においては、第1安定領域241を通って第1重なり領域23に至るように配線51を配置することを提案する。これにより、第1周囲領域24と第1重なり領域23の境界において配線51に変形、破損などが生じることを抑制できる。第1辺31が延びる方向における第1安定領域241の寸法W1を十分に確保するためには、面取り寸法R1が所定値以下であることが好ましい。これにより、例えば、複数の配線51を第1安定領域241に配置できる。寸法W1は、第1安定領域241が接する第1辺31の中央部の長さと言い換えることもできる。
後述する実施例によって立証されるように、第1安定領域241の寸法W1は、下記の式に基づいて算出されてもよい。
W1=-1.1148×R1+0.532×K1
K1は、第1辺31が延びる方向における、2つの第1コーナー32及び第1辺31の寸法である。第1安定領域241が第12辺312の中央部から外側に広がる場合、寸法K1は、図5に示すように、第2方向D2における、2つの第1コーナー32及び第12辺312の寸法である。
第1コーナー32の面取り寸法R1は、例えば0.05mm以上であり、0.10mm以上であってもよく、0.20mm以上であってもよい。第1コーナー32の面取り寸法R1は、例えば1.5mm以下であり、1.0mm以下であってもよく、0.8mm以下であってもよい。
第1コーナー32の面取り寸法R1は、寸法K1に対する比に基づいて定められてもよい。寸法K1に対する面取り寸法R1の比であるR1/K1は、例えば0.020以上であり、0.025以上であってもよく、0.030以上であってもよい。R1/K1は、例えば0.30以下であり、0.25以下であってもよく、0.20以下であってもよい。
〔第1絶縁層〕
第1絶縁層70について説明する。第1絶縁層70は、絶縁性を有する層である。図2及び図3に示すように、第1絶縁層70は、平面視において第1剛性部材30に重なっている。図3に示すように、第1絶縁層70の輪郭は、第1剛性部材30の輪郭の内側に位置していてもよい。第1絶縁層70は、導電層50を部分的に覆っている。例えば、第1絶縁層70は、配線51及びパッド52を部分的に覆っている。
図3に示すように、第1絶縁層70には、第1絶縁層70を貫通する第1孔71が形成されていてもよい。第1孔71は、導電層50に重なっていてもよい。第1孔71に重なる導電層50は、パッド52を構成していてもよい。この場合、第1孔71は、半田54が設けられる領域を区画できる。図2に示すように、パッド52と電子部品55とが、半田54を介して電気的に接続される。
図4において、第1孔71の輪郭が点線で示されている。図4に示すように、パッド52の輪郭が、第1孔71の輪郭を囲んでいてもよい。第1孔71の輪郭は、半田54の輪郭を画定する。
配線基板10に曲げなどの変形が生じる場合、導電層50の大部分は、第1剛性部材30の変形に追従するように変形する。一方、半田54に接続されている導電層50は、半田54に追従すると考えられる。このため、第1剛性部材30の変形の方が半田54の変形よりも大きい場合、半田54の輪郭に重なる導電層50に大きな応力が生じ、導電層50にクラックなどの破損が生じることが考えられる。
図4に示す例においては、パッド52の輪郭が、第1孔71の輪郭を囲んでいる。このため、半田54の輪郭の一辺に沿って導電層50にクラックなどの破損が生じたとしても、半田54の輪郭のその他の辺において、導電層50と半田54との間の電気的な接続を維持できる。これにより、配線基板10の信頼性を高めることができる。
第1絶縁層70の材料は、例えば、ポリイミド、アクリル、ウレタン、エポキシ等の有機系樹脂、あるいは、SiO、アルミナ等の無機系材料である。
次に、配線51が形成されている配線基板10の領域の断面形状について詳細に説明する。図6は、配線基板10の断面の一例を示す図である。
配線基板10は、第1面21側における配線基板10の表面に現れる上述の山部11を含む。山部11は、配線基板10の表面において第1面21の法線方向に隆起した部分である。山部11を含む構造のことを、蛇腹形状部13とも称する。蛇腹形状部は、長さ方向D1において隣り合う2つの山部11の間に位置する谷部12を含んでいてもよい。
図6に示すように、配線51は、長さ方向D1に並ぶ複数の山部511を含む。配線51は、長さ方向D1において隣り合う2つの山部511の間に位置する谷部512を含んでいてもよい。山部511及び谷部512は、平面視において山部11及び谷部12に重なる配線51の部分に現れる。
後述するように、配線51は、張力を加えられて第1伸長量で伸長された状態の基材20に設けられる。基材20から張力が取り除かれて基材20が収縮するとき、図6に示すような山部511が生じる。
符号S11は、配線基板10に張力が加えられていない状態における山部11及び谷部12の振幅を表す。図6に示す例においては、配線51が配線基板10の表面に位置しているので、振幅S11は、配線51の山部及び谷部の振幅である。振幅S11は、例えば1μm以上であり、10μm以上であってもよい。振幅S11が10μm以上である場合、基材20の伸長に追従して配線51が変形し易い。振幅S11は、例えば500μm以下である。
山部及び谷部の振幅は、例えば、山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部と谷部との間の、基材20の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。隣り合う山部と谷部との間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。上述の幅W2などの、平面視における配線基板10の要素の寸法も、非接触式の測定器又は接触式の測定器によって測定されてもよい。
断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部と谷部との間の距離を測定してもよい。上述の厚みT1、T2、T3などの、断面図における配線基板10の要素の寸法も、断面写真などの画像に基づいて測定される。上述の幅W2などが、断面写真などの画像に基づいて測定されてもよい。
符号F11は、配線基板10に張力が加えられていない状態における山部11及び谷部12の周期を表す。周期F11は、例えば10μm以上であり、100μm以上であってもよい。周期F11は、例えば100mm以下であり、10mm以下であってもよい。山部11及び谷部12の周期F11は、山部11及び谷部12が並ぶ方向における一定の範囲にわたって、複数の山部11の間隔を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。
符号M11及びM21はそれぞれ、配線基板10に張力が加えられていない状態における山部11及び谷部12の、長さ方向D1における寸法を表す。図6に示す例において、山部11の寸法M11及び谷部12の寸法M21は略同一である。配線基板10に張力が加えられていない状態の蛇腹形状部13における山部11の比率を、符号X1で表す。比率X1は、M11/(M11+M21)によって算出される。比率X1は、例えば0.40以上0.60以下である。
図6に示すように、第2面22側における配線基板10の表面にも、長さ方向D1に並ぶ複数の山部16や谷部17を含む蛇腹形状部18が現れてもよい。図6に示す例において、山部16は、谷部512に重なる位置に現れ、谷部17は、山部511に重なる位置に現れている。
符号S21は、配線基板10に張力が加えられていない状態における山部16及び谷部17の振幅を表す。振幅S21は、振幅S11と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、振幅S21が振幅S11よりも小さくてもよい。例えば、振幅S21は、振幅S11の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。振幅S21は、振幅S11の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。なお、「振幅S21が振幅S11よりも小さい」とは、第2面22側における配線基板10の表面に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
符号F21は、配線基板10に張力が加えられていない状態における山部16及び谷部17の周期を表す。周期F21は、山部11及び谷部12の周期F11と同一であってもよい。
図7は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図7に示すように、配線基板10に張力が加えられていない状態において、山部11の幅M11が谷部12の幅M21よりも小さくてもよい。このような山部11は、例えば、基材20の第1面21の山部及び谷部が経時的に変形し、その影響が蛇腹形状部13に伝わることによって生じ得る。なお、山部11の幅M11及び谷部12の幅M21は、振幅S11の中心における山部11の幅及び谷部12の幅である。山部11の幅M11は、好ましくは、谷部12の幅M21の0.3倍以上であり、0.5倍以上であってもよく、0.7倍以上であってもよい。山部11の幅M11は、谷部12の幅M21の1.0倍未満であってもよく、0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.7倍以下であってもよい。
図8は、配線基板10に生じる蛇腹形状部13の山部11の一例を示す平面図である。図8に示す例において、蛇腹形状部13の複数の山部11は、配線51が延びる方向である第1方向D1に沿って並んでいる。図8に示すように、各山部11は、配線51が延びる方向に直交する方向に延びていてもよく、配線51が延びる方向に直交する方向に対して傾斜した方向に延びていてもよい。
図9は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図9に示すように、山部16及び谷部17の周期F21は、山部11及び谷部12の周期F11よりも大きくてもよい。例えば、周期F21は、周期F11の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。なお、「周期F21が周期F11よりも大きい」とは、第2面22側における配線基板10の表面に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図10は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図10に示すように、山部16及び谷部17の位置が、谷部12及び山部11の位置からJだけずれていてもよい。ずれ量Jは、例えば0.1×F11以上であり、0.2×F11以上であってもよい。
(配線基板の製造方法)
次に、図11A~図11Cを参照して、配線基板10の製造方法について説明する。
まず、図11Aに示すように、基材20を準備する基材準備工程を実施する。符号L0は、張力が加えられていない状態の基材20の、第1方向D1における寸法を表している。
続いて、図11Bに示すように、基材20を伸長させる第1伸長工程を実施する。第1伸長工程は、第1方向D1において基材20に第1張力H1を加えて、基材20を寸法L1まで伸長させる。第1伸長工程においては、第1方向D1及び第1方向D1に交差する方向において基材20に張力が加えてられてもよい。例えば、第1伸長工程においては、第1方向D1及び第2方向D2において基材20に張力が加えてられてもよい。
第1方向D1における基材20の伸長率(=(L1-L0)×100/L0)は、例えば10%以上であり、30%以上であってもよい。基材20の伸長率は、例えば200%以下であり、100%以下であってもよい。伸長工程は、基材20を加熱した状態で実施されてもよく、常温で実施されてもよい。基材20を加熱する場合、基材20の温度は例えば50℃以上100℃以下である。
続いて、図11Bに示すように、配線形成工程を実施する。配線形成工程は、第1伸長工程における第1張力H1によって伸長した状態の基材20の第1面21に配線51を設ける。例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを基材20の第1面21に印刷する。
その後、基材20から第1張力Hを取り除く第1収縮工程を実施する。これにより、図11Cにおいて矢印Cで示すように、第1方向D1において基材20が収縮する。基材20が収縮すると、配線51にも変形が生じる。配線51の変形は、上述のように蛇腹形状部として生じる。このようにして、蛇腹形状部が現れている配線基板10を得ることができる。
続いて、図12Aに示すように、第1絶縁層70を形成してもよい。例えば、第1絶縁層70を構成する材料の層を印刷法により第1面21上に形成する。続いて、フォトリソグラフィ法などによって層を加工する。これにより、所定の輪郭を有し、第1孔71が形成された第1絶縁層70を得ることができる。
続いて、配線基板10に電子部品55を搭載してもよい。例えば、図12Bに示すように、第1孔71にペースト状の半田54を設ける。続いて、電子部品55の端子が半田54上に位置するように、第1絶縁層70上に電子部品55を配置する。続いて、半田54を加熱する。これにより、半田54を介してパッド52と電子部品55とを電気的に接続できる。このようにして、図2に示すように、電子部品55が搭載された配線基板10を得ることができる。
本実施の形態によれば、配線基板10の配線51が複数の山部511を有している。配線基板10の基材20が伸長する際、配線51は、山部511の振幅を低減するように変形することによって、基材20の伸長に追従できる。このため、基材20の伸長に伴って配線51の全長が増加すること及び配線51の断面積が減少することを抑制できる。このことにより、配線基板10の伸長に起因して配線51の抵抗値が増加することを抑制できる。また、配線51にクラックなどの破損が生じることを抑制できる。
配線51の抵抗値に関する効果の一例について説明する。第1方向D1における張力が配線基板10に加えられていない第1状態における配線51の電気抵抗値を、第1電気抵抗値と称する。また、第1方向D1において配線基板10に張力が加えられている第2状態における配線51の抵抗値を、第2電気抵抗値と称する。第2状態において、配線基板10は、第1状態に比べて30%伸長している。本実施の形態によれば、配線51に蛇腹形状部を形成することにより、第1電気抵抗値に対する、第1電気抵抗値と第2電気抵抗値の差の絶対値の比率を低減できる。比率は、例えば20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下である。
図13は、第1方向D1において配線基板10に張力を加えて配線基板10を第1状態に比べて25%伸長させた第3状態における配線基板10を拡大して示す断面図である。符号S12及びF12は、第3状態における蛇腹形状部13の振幅及び周期を表している。符号S22及びF22は、第3状態における蛇腹形状部18の振幅及び周期を表している。第3状態における振幅S12は、第1状態における振幅S11の例えば0.8倍以下であり、0.7倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。振幅S12は、振幅S11の例えば0.2倍以上であり、0.3倍以上であってもよく、0.4倍以上であってもよい。
符号M12及びM22はそれぞれ、第3状態における山部11及び谷部12の、長さ方向D1における寸法を表す。第3状態における寸法M12及び寸法M22は、第1状態における山部11の寸法M11及び谷部12の寸法M21に比べて大きい。
配線基板10を伸長させるとき、山部11及び谷部12の寸法は、両者の比率を維持しながら増加してもよい。第3状態における山部11の比率を、符号X2で表す。比率X2は、M12/(M12+M22)によって算出される。比率X2は、第1状態における上述のX1と同等であり、例えば0.40以上0.60以下である。また、比率X1と比率X2の差の絶対値は、例えば0.20以下であり、0.15以下であってもよく、0.10以下であってもよく、0.08以下であってもよく、0.06以下であってもよく、0.04以下であってもよい。
また、本実施の形態によれば、配線51が第1安定領域241に配置されている。このため、第1周囲領域24と第1重なり領域23の境界において配線51に変形、破損などが生じることを抑制できる。また、第1剛性部材30の寸法K1に対する第1コーナー32の面取り寸法R1の比が0.020以上であるので、第1安定領域241の寸法W1を十分に確保できる。このため、2本以上の配線51が、第1安定領域241を通って第1重なり領域23に至ることができる。
配線基板10の用途は、例えば、ヘルスケア分野、医療分野、介護分野、エレクトロニクス分野、スポーツ・フィットネス分野、美容分野、モビリティ分野、畜産・ペット分野、アミューズメント分野、ファッション・アパレル分野、セキュリティ分野、ミリタリー分野、流通分野、教育分野、建材・家具・装飾分野、環境エネルギー分野、農林水産分野、ロボット分野などである。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品を、本実施の形態による配線基板10を用いて構成する。配線基板10は伸長できるので、例えば配線基板10を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板10を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現できる。また、配線基板10が伸長した場合に配線51の電気抵抗値が低下することを抑制できるので、配線基板10の良好な電気特性を実現できる。他にも配線基板10は伸長できるので、人などの生体に限らず曲面や立体形状に沿わせて設置や組込むことが可能である。それらの製品の例は、バイタルセンサ、マスク、補聴器、歯ブラシ、絆創膏、湿布、コンタクトレンズ、義手、義足、義眼、カテーテル、ガーゼ、薬液パック、包帯、ディスポーザブル生体電極、おむつ、リハビリ用機器、家電製品、ディスプレイ、サイネージ、パーソナルコンピューター、携帯電話、マウス、スピーカー、スポーツウェア、リストバンド、はちまき、手袋、水着、サポーター、ボール、グローブ、ラケット、クラブ、バット、釣竿、リレーのバトンや器械体操用具、またそのグリップ、身体トレーニング用機器、浮き輪、テント、水着、ゼッケン、ゴールネット、ゴールテープ、薬液浸透美容マスク、電気刺激ダイエット用品、懐炉、付け爪、タトゥー、自動車、飛行機、列車、船舶、自転車、ベビーカー、ドローン、車椅子、などのシート、インパネ、タイヤ、内装、外装、サドル、ハンドル、道路、レール、橋、トンネル、ガスや水道の管、電線、テトラポッド、ロープ首輪、リード、ハーネス、動物用のタグ、ブレスレット、ベルトなど、ゲーム機器、コントローラーなどのハプティクスデバイス、ランチョンマット、チケット、人形、ぬいぐるみ、応援グッズ、帽子、服、メガネ、靴、インソール、靴下、ストッキング、スリッパ、インナーウェア、マフラー、耳あて、鞄、アクセサリー、指輪、時計、ネクタイ、個人ID認識デバイス、ヘルメット、パッケージ、ICタグ、ペットボトル、文具、書籍、ペン、カーペット、ソファ、寝具、照明、ドアノブ、手すり、花瓶、ベッド、マットレス、座布団、カーテン、ドア、窓、天井、壁、床、電池、ビニールハウス、ネット(網)、ロボットハンド、ロボット外装等である。
上述した第1の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、第1の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、第1の実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
図14は、第1の変形例に係る配線基板10の平面図である。図15は、図14の配線基板10のB-B線に沿った断面図である。図14及び図15に示すように、配線基板10は、平面視において少なくとも部分的に配線51に重なる第2絶縁層75を備えていてもよい。図14に示す例において、第2絶縁層75は、配線51に沿って延びている。
〔制御層〕
第2絶縁層75は、基材20の伸縮を制御するために設けられている層である。第2絶縁層75は、絶縁性を有する。第2絶縁層75は、基材20の第1周囲領域24に位置していてもよい。第2絶縁層75は、第1面21の法線方向に沿って見た場合に、配線51に重なるか、若しくは配線51に近接するよう配置されている。第2絶縁層75は、配線51の全体に重なっていてもよい。
第2絶縁層75は、基材20の弾性係数よりも高い弾性係数を有してもよい。第2絶縁層75の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、1GPa以上であってもよく、10GPa以上であってもよい。第2絶縁層75の弾性係数は、基材20の弾性係数の例えば1.1倍以上であり、2倍以上であってもよく、10倍以上であってもよく、100倍以上であってもよい。
第2絶縁層75の弾性係数は、基材20の弾性係数以下であってもよい。第2絶縁層75の弾性係数は、基材20の弾性係数の例えば1.0倍以下であり、0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよい。
第2絶縁層75の材料は、伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。第2絶縁層75が伸縮性を有する材料を含む場合、第2絶縁層75は、変形に対する耐性を有することができる。
第2絶縁層75に用いられる、伸縮性を有さない材料の例は、樹脂である。樹脂としては、一般的な樹脂を用いることができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等のいずれも用いることができる。第2絶縁層75が樹脂又はエラストマーを含む場合、第2絶縁層75としては、樹脂基材を用いることもできる。
第2絶縁層75に用いられる材料の伸縮性は、基材20の伸縮性と同一又は同等であってもよい。
伸縮性を有する材料の例は、エラストマーである。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができる。エラストマーは、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等である。第2絶縁層75を構成する材料がこれらの樹脂である場合、第2絶縁層75は、透明性を有していてもよい。第2絶縁層75は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、第2絶縁層75は黒色であってもよい。第2絶縁層75の色と基材20の色とは、同一であってもよく、異なっていてもよい。
第2絶縁層75の厚みT4は、伸縮に耐え得る厚みであればよく、第2絶縁層75の材料等に応じて適宜選択される。第2絶縁層75の厚みT4は、例えば0.1μm以上であり、1μm以上であってもよく、10μm以上であってもよい。第2絶縁層75の厚みは、例えば5mm以下であり、1mm以下であってもよく、500μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。第2絶縁層75が薄すぎると、蛇腹形状部の周期を制御する効果が十分に得られない場合がある。また、第2絶縁層75が厚すぎると、第2絶縁層75の弾性係数が上述の関係を満たしていても、第2絶縁層75の曲げ剛性が大きくなり、配線基板10の伸縮性が低下してしまう場合がある。
第2絶縁層75の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上や後述する支持基板40上に配線51を形成した後、第2絶縁層75を構成する材料を印刷法により配線51上に設けてもよい。第2絶縁層75を構成する樹脂フィルムなどの部材を基材20又は支持基板40に接着層などを介して貼り付けてもよい。
第2絶縁層75を基材20や支持基板40に貼り付けるための接着層は、分子接着層であってもよい。なお、「分子接着」とは、分子接着剤となる化合物を2つの被着体の間に付与し、化学結合によりこれらの2つの被着体を接着接合することをいう。
分子接着層に用いられる分子接着剤としては、公知の分子接着剤を用いることができ、配線基板10の用途等に応じて適宜選択される。例えば、シランカップリング剤、チオール系化合物等が挙げられる。分子接着層の厚さは、例えば数nm~100nm程度である。
(第2の変形例)
上述の第1の実施の形態においては、第1剛性部材30が基材20の第2面22側に位置する例を示したが、第1剛性部材30の配置は特には限定されない。
例えば図16に示すように、第1剛性部材30は基材20に埋め込まれていてもよい。この場合、第1剛性部材30は、基材20の第1面21又は第2面22のいずれにも露出していなくてもよい。若しくは、第1剛性部材30は、基材20の第1面21又は第2面22に露出していてもよい。例えば図17に示すように、第1剛性部材30は、第1面21に露出していてもよい。
また、図示はしないが、第1剛性部材30は、基材20の第1面21側に位置していてもよい。
(第3の変形例)
第1の実施の形態においては、配線51が基材20に設けられる例を示したが、これに限られることはない。本変形例においては、配線51が支持基板によって支持される例を示す。
図18は、第1の変形例に係る配線基板10の断面図である。配線基板10は、基材20、第1剛性部材30、支持基板40及び導電層50を備える。配線基板10は、第1絶縁層70を備えていてもよい。
〔支持基板〕
支持基板40は、基材20よりも低い伸縮性を有するよう構成された部材である。支持基板40は、基材20に対向する第2面42と、第2面42の反対側に位置する第1面41と、を含む。図18に示す例において、配線51及びパッド52を含む導電層50は、支持基板40の第1面41側に位置している。支持基板40の第2面42は、基材20に接合されている。
図示はしないが、導電層50は、支持基板40の第2面42側に位置していてもよい。
基材20と支持基板40との間に、接着剤を含む接着層45が設けられていてもよい。接着剤としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等、シロキサン系プライマー、チオール系プライマー等を用いることができる。HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)等の気相法により作製した分子膜を、接着層45として用いてもよい。接着層45の厚みは、例えば5μm以上200μm以下である。
図19は、配線51が延びる方向における配線基板10の断面図の一例である。本変形例においては、支持基板40に接合された基材20から張力が取り除かれて基材20が収縮するとき、配線51の山部511及び谷部512と同様の山部及び谷部が支持基板40にも現れる。支持基板40の特性や寸法は、このような山部や谷部が形成され易くなるよう設定されている。例えば、支持基板40は、基材20の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。
支持基板40の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、1GPa以上であってもよく、10GPa以上であってもよい。支持基板40の弾性係数は、基材20の弾性係数の例えば10倍以上であり、100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。支持基板40の弾性係数は、基材20の弾性係数の例えば50000倍以下であり、10000倍以下であってもよく、5000倍以下であってもよい。このように支持基板40の弾性係数を設定することにより、山部511及び谷部512の周期F11が小さくなり過ぎることを抑制できる。また、山部511及び谷部512において局所的な折れ曲がりが生じることを抑制できる。
支持基板40の弾性係数が低すぎると、配線51の形成工程中に支持基板40が変形し易く、この結果、支持基板40に対する配線51の位置合わせが難しくなる。また、支持基板40の弾性係数が高すぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、また基材20の割れや折れが発生し易くなる。
支持基板40の厚みT5は、例えば500nm以上であり、1μm以上であってもよい。支持基板40の厚みT5は、例えば10μm以下であり、5μm以下であってもよい。支持基板40の厚みT5が小さすぎると、支持基板40の製造工程や、支持基板40上に配線51などの部材を形成する工程における、支持基板40のハンドリングが難しくなる。支持基板40の厚みT5が大きすぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、目標の基材20の伸縮が得られなくなる。
支持基板40は、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の樹脂を含んでいてもよい。ポリエチレンナフタレート又はポリイミドは、耐久性、耐熱性に優れており、好ましく用いられる。
支持基板40の弾性係数を算出する方法としては、支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用できる。
(配線基板の製造方法)
次に、図20A~図20Dを参照して、本変形例に係る配線基板10の製造方法について説明する。
まず、図20Aに示すように、支持基板40を準備する。支持基板40は、キャリア基材80の上に配置されてもよい。続いて、図20Aに示すように、支持基板40の第1面41に導電層50を設ける。例えば、まず、蒸着法、めっき法などによって支持基板40の第1面41に銅層などの導電性を有する層を形成する。続いて、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて層を加工する。これにより、配線51を構成する導電層50を第1面41に形成できる。その後、図20Aに示すように、第1絶縁層70を形成してもよい。図示はしないが、支持基板40を基材20に接合した後に第1絶縁層70を形成してもよい。
続いて、図20Bにおいて矢印で示すように、支持基板40をキャリア基材80から取り外す。例えば、まず、支持基板40に粘着フィルム85を貼り付ける。続いて、粘着フィルム85を持ち上げる。これにより、支持基板40がキャリア基材80から取り外される。
続いて、図20Cに示すように、基材20を伸長させる第1伸長工程を実施する。その後、配線形成工程を実施する。配線形成工程は、伸長した状態の基材20の第1面21に、配線51が設けられた支持基板40の第2面42を接合させる。基材20と支持基板40との間に接着層45を設けてもよい。
続いて、図20Dに示すように、支持基板40から粘着フィルム85を取り外す。その後、基材20から第1張力H1を取り除く第1収縮工程を実施する。これにより、第1方向D1において基材20が収縮する。基材20が収縮すると、支持基板40及び配線51にも変形が生じる。支持基板40及び配線51の変形は、上述のように蛇腹形状部として生じる。このようにして、支持基板40を備える配線基板10を得ることができる。その後、第1の実施の形態の場合と同様に、配線基板10に電子部品55を搭載してもよい。
本変形例においても、配線51を第1安定領域241に配置することにより、第1周囲領域24と第1重なり領域23の境界において配線51に変形、破損などが生じることを抑制できる。
(第4の変形例)
図21は、第4の変形例に係る配線基板10を示す断面図である。図21に示すように、支持基板40を備える配線基板10が、平面視において少なくとも部分的に配線51に重なる第2絶縁層75を備えていてもよい。
(第5の変形例)
図22は、第5の変形例に係る配線基板10を示す断面図である。図22に示すように、配線基板10は、電子部品55を覆う保護層60を備えていてもよい。保護層60は、平面視において電子部品55と重ならない領域にまで広がっていてもよい。例えば、保護層60は、平面視において第1剛性部材30の外側に位置し、配線51に重なっていてもよい。図22の例において、保護層60は、配線基板10の全域に広がっている。
保護層60を備える配線基板10は、図22に示すように、支持基板40を備えていてもよい。図示はしないが、保護層60を備える配線基板10は、支持基板40を備えていなくてもよい。
保護層60は、絶縁性を有していてもよい。保護層60は、基材20と同様に、伸縮性を有していてもよい。保護層60の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、1MPa以下であってもよい。保護層60の弾性係数は、例えば1kPa以上であり、10kPa以上であってもよい。
保護層60の弾性係数を算出する方法としては、保護層60のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用できる。また、保護層60のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用してもよい。
保護層60は、基材20と同様に、エラストマーを主成分として含んでいてもよい。保護層60の材料としては、基材20で例示した材料を用いることができる。保護層60の厚みT6は、例えば10μmであり、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。保護層60の厚みT6は、例えば10mm以下であり、3mm以下であってもよく、1mm以下であってもよい。
保護層60の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20又は支持基板40に電子部品55を設けた後、保護層60を構成する材料を印刷法により形成してもよい。保護層60を構成する樹脂フィルムなどの部材を基材20又は支持基板40に接着層などを介して貼り付けてもよい。
(第6の変形例)
図23は、第6の変形例に係る配線基板10を示す断面図である。図23に示すように、配線基板10は、少なくとも1つの第2剛性部材35を備えていてもよい。配線基板10は、2つ以上の第2剛性部材35を備えていてもよい。第2剛性部材35は、導電層50と電子部品55との間に介在され、基材20よりも高い剛性を有する部材である。図23に示すように、第2剛性部材35には導電体38が設けられていてもよい。
第2剛性部材35及び導電体38は、例えばプリント基板を構成している。この場合、第2剛性部材35は、ガラスエポキシ基板などの基板である。導電体38は、基板に形成されている配線、貫通電極などである。導電体38は、電子部品55の図示しない端子に接続されている。電子部品55は、導電体38を介して配線51に電気的に接続される。例えば、導電体38は、半田54に接続される。この場合、電子部品55は、導電体38、半田54及びパッド52を介して配線51に電気的に接続される。
第2剛性部材35の剛性を表すパラメータは、例えば弾性係数である。第2剛性部材35の弾性係数は、基材20の弾性係数よりも高くてもよい。第2剛性部材35の弾性係数は、基材20の弾性係数の例えば10倍以上であり、100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。第2剛性部材35の弾性係数は、基材20の弾性係数の例えば10000倍以下であり、50000倍以下であってもよい。第2剛性部材35の弾性係数は、例えば1GPa以上であり、10GPa以上であってもよい。第2剛性部材35の弾性係数を算出する方法として、第1剛性部材30のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用できる。
第2剛性部材35は、金属材料を含む金属層や、一般的な熱可塑性エラストマー、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系、シリコーン系等のオリゴマー、ポリマー等を含んでいてもよい。金属材料は、例えば銅、アルミニウム、ステンレス鋼等である。第2剛性部材35は、プリント基板で用いられる基材であってもよい。プリント基板で用いられる基材の材料は、ガラスエポキシ、紙フェノールなどである。ガラスエポキシとは、エポキシ樹脂が含侵されたガラス繊維である。紙フェノールとは、フェノール樹脂が含侵された紙である。
第2剛性部材35を備える配線基板10は、図23に示すように、支持基板40を備えていてもよい。図示はしないが、第2剛性部材35を備える配線基板10は、支持基板40を備えていなくてもよい。
(第7の変形例)
図24は、第7の変形例に係る配線基板10を示す断面図である。図24に示すように、第2剛性部材35を備える配線基板10が、上述の保護層60を備えていてもよい。
第2剛性部材35の弾性係数は、保護層60の弾性係数よりも高くてもよい。第2剛性部材35の弾性係数は、保護層60の弾性係数の例えば10倍以上であり、100倍以上であってもよく、1000倍以上であってもよい。第2剛性部材35の弾性係数は、保護層60の弾性係数の例えば10000倍以下であり、50000倍以下であってもよい。
配線基板10に張力などの力を加えたときに、第2剛性部材35に重なる保護層60の領域は、第2剛性部材35に重ならない保護層60の領域に比べて、伸縮などの変形が生じにくい。以下の説明において、平面視において第2剛性部材35に重なる保護層60の領域を、第2重なり領域63とも称し、平面視において第2剛性部材35に重ならない保護層60の領域を、第2周囲領域64とも称する。
配線基板10に変形が生じると、保護層60にも歪などの変形が生じる。大きな歪が生じる保護層60の領域に配線51が重なっていると、配線51に変形、破損などが生じやすい。本変形例においては、大きな歪が生じにくい保護層60の領域に配線51を配置することを提案する。
第2剛性部材35の輪郭を具体的に説明する。図25は、配線基板10を示す平面図である。第2剛性部材35は、平面視において、第2辺36及び第2コーナー37を含む。第2辺36は、2つの第2コーナー37の間で直線状に延びている。第2辺36は、第1方向D1に延びる2つの第21辺361と、第2方向D2に延びる2つの第22辺362と、を含んでいてもよい。第2コーナー37は、第21辺361と第22辺362とを接続している。第2コーナー37は、第2辺36とは異なる方向に延びている。図25に示す例において、第2剛性部材35は、4つの第2コーナー37を含む。
第1剛性部材30の第1コーナー32と同様に、第2コーナー37も、平面視における第2剛性部材35の中心C2から遠ざかる側で面取りされている。第2コーナー37は、面取り寸法R2を有する。面取り寸法R2は、第1コーナー32の面取り寸法R1と同様に定義される。例えば、第22辺362との関係で規定される第2コーナー37の面取り寸法R2は、第22辺362が延びる方向における、交点と境界点との間の距離である。境界点は、第22辺362と第2コーナー37の境界に位置する。交点は、第2コーナー37によって接続される2つの第2辺36の延長線が交わる点である。
第2コーナー37は湾曲していてもよい。この場合、第2コーナー37の面取り寸法R2は、第2コーナー37の曲率半径であってもよい。
面取り寸法R2が小さいほど、第2コーナー37の周辺において保護層60に大きな歪が生じやすい。従って、面取り寸法R2は、所定値以上であることが好ましい。
一方、面取り寸法R2が大きいほど、第2安定領域641の寸法W2が小さくなる。第2安定領域641とは、第2辺36の周辺に位置し、歪が抑制されている保護層60の領域である。第2安定領域641は、第2周囲領域64の一部である。第2安定領域641は、第2辺36の中央部から外側へ広がっている。例えば、第22辺362に接する第2安定領域641は、第22辺362の中央部から外側へ第1方向D1に広がっている。
本変形例においては、第2安定領域641を通って第2重なり領域63に至るように配線51を配置することを提案する。これにより、第2周囲領域64と第2重なり領域63の境界において配線51に変形、破損などが生じることを抑制できる。第2辺36が延びる方向における第2安定領域641の寸法W2を十分に確保するためには、面取り寸法R2が所定値以下であることが好ましい。これにより、例えば、複数の配線51を第2安定領域641に配置できる。
第2安定領域641の寸法W2は、第1安定領域241の寸法W1と同様に、下記の式に基づいて算出されてもよい。
W2=-1.1148×R2+0.532×K2
K2は、第2辺36が延びる方向における、2つの第2コーナー37及び第2辺36の寸法である。第2安定領域641が第22辺362の中央部から外側に広がる場合、寸法K2は、第2方向D2における、2つの第2コーナー37及び第22辺362の寸法である。
第2コーナー37の面取り寸法R2は、例えば0.05mm以上であり、0.10mm以上であってもよく、0.20mm以上であってもよい。第2コーナー37の面取り寸法R2は、例えば1.5mm以下であり、1.0mm以下であってもよく、0.8mm以下であってもよい。
第2コーナー37の面取り寸法R2は、寸法K2に対する比に基づいて定められてもよい。寸法K2に対する面取り寸法R2の比であるR2/K2は、例えば0.020以上であり、0.025以上であってもよく、0.030以上であってもよい。R2/K2は、例えば0.30以下であり、0.25以下であってもよく、0.20以下であってもよい。
本変形例によれば、配線51が第2安定領域641に配置されている。このため、第2周囲領域64と第2重なり領域63の境界において配線51に変形、破損などが生じることを抑制できる。また、第2剛性部材35の寸法K2に対する第2コーナー37の面取り寸法R2の比が0.020以上であるので、第2安定領域641の寸法W2を十分に確保できる。このため、2本以上の配線51が、第2安定領域641を通って第2重なり領域63に至ることができる。
(第8の変形例)
図26は、第8の変形例に係る配線基板10を示す断面図である。図26に示すように、第2剛性部材35及び保護層60を備える配線基板10は、第1剛性部材30を備えていなくてもよい。この場合、配線基板10は、図26に示すように、支持基板40を備えていてもよく、図27に示すように、配線基板10は、支持基板40を備えていなくてもよい。配線基板10が第1剛性部材30を備えない場合であっても、第2剛性部材35が、配線51に変形、破損などが生じることを抑制できる。
(第9の変形例)
上述の実施の形態及び変形例においては、第1剛性部材30の第1コーナー32が湾曲している例を示したが、これに限られることはない。図28に示すように、第1コーナー32は、境界点321から境界点322まで直線状に延びていてもよい。図示はしないが、第2剛性部材35の第2コーナー37も、図28の第1コーナー32と同様に直線状に延びていてもよい。
(第10の変形例)
上述の実施の形態及び変形例においては、第1剛性部材30の4つの第1辺31の長さが等しい例を示したが、これに限られることはない。図29に示すように、第1剛性部材30の4つの第1辺31は、異なる長さを有していてもよい。例えば、第1方向D1に延びる第11辺311が、第2方向D2に延びる第12辺312よりも長くてもよい。図示はしないが、第2剛性部材35の4つの第2辺36も、図28の4つの第1辺31と同様に異なる長さを有していてもよい。
(第11の変形例)
上述の実施の形態及び変形例においては、第1剛性部材30が、3つの第1辺31及び3つの第1コーナー32を含む例を示したが、これに限られることはない。図30に示すように、第1剛性部材30は、3つの第1辺31及び3つの第1コーナー32を含んでいてもよい。図示はしないが、第1剛性部材30は、5つ以上の第1コーナー32を含んでいてもよい。第1剛性部材30の第1辺31の数と第1コーナー32の数は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
図示はしないが、第2剛性部材35は、図30の第1剛性部材30と同様に3つの第2辺36及び3つの第2コーナー37を含んでいてもよい。図示はしないが、第2剛性部材35は、5つ以上の第2コーナー37を含んでいてもよい。第2剛性部材35の第2辺36の数と第2コーナー37の数は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上述の実施の形態及び変形例は、適宜組み合わされてもよい。
本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例の記載には限定されない。
[実施例1]
基材20及び基材20の一部に重なる第1剛性部材30を備える積層体を第1方向D1及び第2方向D2において伸長させた場合に基材20に生じる体積ひずみを、シミュレーションによって算出した。第1方向D1及び第2方向D2における積層体の伸長率は、150%である。図31及び図32は、積層体を示す平面図及び断面図である。シミュレーションにおいて設定した基材20及び第1剛性部材30のパラメータは下記のとおりである。
・基材20の弾性係数:0.1MPa
・第1剛性部材30の弾性係数:1GPa
・第1剛性部材30の寸法K1:4mm
・第1剛性部材30の第1コーナー32の曲率半径R1:0.5mm
算出された体積ひずみを図33A及び図33Bに示す。図33Aは、積層体の各位置における体積ひずみを画素の濃度で表現する平面図である。図33Bは、図33Aの横軸x上の各点での体積ひずみを示すグラフである。横軸x上の点V1は、第1方向D1における第11辺311の中心に位置する。点V2は、第11辺311の延長線上に位置し、且つ、第1コーナー32から十分に離れている。点V1から点V2までの距離は、第1剛性部材30の寸法K1の1.25倍である。
図33A及び図33Bに示すように、第1コーナー32の周辺においては、基材20に生じる体積ひずみが大きい。点V2においては、第1コーナー32に起因する体積ひずみがほとんど見られなかった。点V3は、点V2における体積ひずみと同一の体積ひずみが算出された、第11辺311上の点である。点V1と点V2の間においては、第1コーナー32に起因する体積ひずみがほとんど見られなかった。従って、点V1から点V3までの第11辺311の部分から外側へ広がる基材20の領域は、上述の第1安定領域241である。
図33Bにおいて点線で示すように、点V1に対して点V3とは反対側に位置する第11辺311上の点においては、点V1を中心とした対称的な体積ひずみのグラフが得られると考えられる。従って、従って、点V1から点V4までの第11辺311の部分から外側へ広がる基材20の領域も、上述の第1安定領域241であると考えられる。点V4は、点V1に対して点V3と対称的な位置にある。従って、第1安定領域241の寸法W1は、点V1から点V3までの距離の2倍である。寸法W1は1.6mmであった。
[実施例2]
第1剛性部材30の第1コーナー32の曲率半径R1を0.1mmに変更して、実施例1の場合と同一のシミュレーションを実施した。第1安定領域241の寸法W1は2.0mmであった。
[実施例3]
第1剛性部材30の第1コーナー32の曲率半径R1を1.0mmに変更して、実施例1の場合と同一のシミュレーションを実施した。第1安定領域241の寸法W1は1.0mmであった。
[実施例4]
第1剛性部材30の寸法K1を2mmに変更して、実施例1の場合と同一のシミュレーションを実施した。第1安定領域241の寸法W1は0.5mmであった。
[実施例5]
第1剛性部材30の寸法K1を10mmに変更して、実施例1の場合と同一のシミュレーションを実施した。第1安定領域241の寸法W1は4.6mmであった。
実施例1~5において算出された寸法W1を図34に示す。
寸法W1に基づいて算出したWs1を図35に示す。Ws1は、第1安定領域241の寸法W1を第1剛性部材30の寸法K1で割った値である。図35のRs1は、第1コーナー32の曲率半径R1を第1剛性部材30の寸法K1で割った値である。例えば実施例1においては、W1=1.6mm、K1=4mm、R1=0.5mmであるので、Ws1=0.4、Rs1=0.125である。
図36は、Rs1とWs1の関係を示すグラフである。図36に示すように、Ws1は、下記のRs1の一次関数として近似される。
Ws1=-1.1148×Rs1+0.532
従って、W1とR1との間には下記の関係式が成立する。
W1=-1.1148×R1+0.532×K1
10 配線基板
20 基材
21 第1面
22 第2面
23 第1重なり領域
24 第1周囲領域
241 第1安定領域
30 第1剛性部材
31 第1辺
32 第1コーナー
35 第2剛性部材
36 第2辺
37 第2コーナー
38 導電体
40 支持基板
41 第1面
42 第2面
50 導電層
51 配線
52 パッド
54 半田
55 電子部品
60 保護層
63 第2重なり領域
64 第2周囲領域
641 第2安定領域
70 第1絶縁層
71 第1孔
75 第2絶縁層

Claims (22)

  1. 電子部品が搭載される配線基板であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、
    平面視において前記基材及び前記電子部品に重なり、前記基材よりも高い剛性を有する少なくとも1つの第1剛性部材と、
    前記基材の前記第1面側に位置する配線を含む導電層と、を備え、
    前記第1剛性部材は、平面視において、前記第1剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第1コーナーと、2つの前記第1コーナーの間で延びる第1辺と、を含む外縁を備え、
    前記基材は、平面視において前記第1剛性部材に重なる第1重なり領域と、前記第1重なり領域に接し、平面視において前記第1剛性部材に重ならない第1周囲領域と、を含み、
    前記第1周囲領域は、前記第1辺の中央部から、平面視において前記第1剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第1安定領域を含み、
    前記第1安定領域は、前記第1辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W1を有し、
    W1=-1.1148×R1+0.532×K1
    R1は、前記第1コーナーの面取り寸法であり、K1は、前記第1辺が延びる方向における2つの前記第1コーナー及び前記第1辺の寸法であり、
    前記配線は、前記第1安定領域を通って前記第1重なり領域に至るよう延びる、配線基板。
  2. R1/K1が0.020以上0.30以下である、請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記第1剛性部材の弾性係数は、前記基材の弾性係数の10倍以上である、請求項1又は2に記載の配線基板。
  4. 前記第1剛性部材は、前記基材の前記第2面側に位置する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配線基板。
  5. 前記第1剛性部材は、前記基材に埋め込まれている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配線基板。
  6. 平面視において前記第1剛性部材に重なり、前記導電層を部分的に覆う第1絶縁層と、
    平面視において前記導電層に重なり、前記第1絶縁層を貫通する第1孔と、を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の配線基板。
  7. 前記導電層は、平面視において前記第1孔を囲み、前記配線に接続されているパッドを含む、請求項6に記載の配線基板。
  8. 平面視において前記基材に部分的に重なる少なくとも1つの第2剛性部材と、
    前記第2剛性部材に設けられ、前記配線に電気的に接続される導電体と、
    前記導電体を介して前記配線に電気的に接続される前記電子部品と、
    前記基材の前記第1面側に位置し、前記第2剛性部材よりも低い剛性を有し、前記第2剛性部材及び前記電子部品を覆う保護層と、を備え、
    前記第2剛性部材は、平面視において、前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第2コーナーと、2つの前記第2コーナーの間で延びる第2辺と、を含む外縁を備え、
    前記保護層は、平面視において前記第2剛性部材に重なる第2重なり領域と、前記第2重なり領域に接し、平面視において前記第2剛性部材に重ならない第2周囲領域と、を含み、
    前記第2周囲領域は、前記第2辺の中央部から、平面視において前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第2安定領域を含み、
    前記第2安定領域は、前記第2辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W2を有し、
    W2=-1.1148×R2+0.532×K2
    R2は、前記第2コーナーの面取り寸法であり、K2は、前記第2辺が延びる方向における2つの前記第2コーナー及び前記第2辺の寸法であり、
    前記配線は、前記第2安定領域を通って前記第2重なり領域に至るよう延びる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の配線基板。
  9. 第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、
    前記基材の前記第1面側に位置する配線を含む導電層と、
    平面視において前記基材に部分的に重なる少なくとも1つの第2剛性部材と、
    前記第2剛性部材に設けられ、前記配線に電気的に接続される導電体と、
    平面視において前記第2剛性部材に重なり、前記導電体を介して前記配線に電気的に接続される電子部品と、
    前記基材の前記第1面側に位置し、前記第2剛性部材よりも低い剛性を有し、前記第2剛性部材及び前記電子部品を覆う保護層と、を備え、
    前記第2剛性部材は、平面視において、前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第2コーナーと、2つの前記第2コーナーの間で延びる第2辺と、を含む外縁を備え、
    前記保護層は、平面視において前記第2剛性部材に重なる第2重なり領域と、前記第2重なり領域に接し、平面視において前記第2剛性部材に重ならない第2周囲領域と、を含み、
    前記第2周囲領域は、前記第2辺の中央部から、平面視において前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第2安定領域を含み、
    前記第2安定領域は、前記第2辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W2を有し、
    W2=-1.1148×R2+0.532×K2
    R2は、前記第2コーナーの面取り半径であり、K2は、前記第2辺が延びる方向における2つの前記第2コーナー及び前記第2辺の寸法であり、
    前記配線は、前記第2安定領域を通って前記第2重なり領域に至るよう延びる、配線基板。
  10. R2/K2が0.020以上0.30以下である、請求項9に記載の配線基板。
  11. 前記第2剛性部材の弾性係数は、前記保護層の弾性係数の10倍以上である、請求項9又は10に記載の配線基板。
  12. 平面視において前記第2剛性部材に重なり、前記導電層を部分的に覆う第1絶縁層と、
    平面視において前記導電層に重なり、前記第1絶縁層を貫通する第1孔と、
    前記第1孔に位置し、前記導電層及び前記導電体に接続される半田と、を備える、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の配線基板。
  13. 前記導電層は、平面視において前記第1孔を囲み、前記配線に接続されているパッドを含む、請求項12に記載の配線基板。
  14. 前記基材は、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゲル又はシリコンゲルを含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の配線基板。
  15. 前記配線を支持する支持基板を備える、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の配線基板。
  16. 前記支持基板の弾性係数は、前記基材の弾性係数の10倍以上である、請求項15に記載の配線基板。
  17. 前記支持基板は、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、又はポリエチレンテレフタラートを含む、請求項15又は16に記載の配線基板。
  18. 前記基材の前記第1面側に位置し、平面視において少なくとも部分的に前記配線に重なる第2絶縁層を備える、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の配線基板。
  19. 前記第2絶縁層は、前記基材よりも大きい弾性係数を有する、請求項18に記載の配線基板。
  20. 前記配線は、前記配線の長さ方向に並ぶ複数の山部を含む、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の配線基板。
  21. 電子部品が搭載される配線基板の製造方法であって、
    第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、平面視において前記基材及び前記電子部品に重なり、前記基材よりも高い剛性を有する少なくとも1つの第1剛性部材と、を備える積層体の前記基材に張力を加えて、前記基材を伸長させる伸長工程と、
    前記伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に配線を設ける配線形成工程と、
    前記基材から張力を取り除く収縮工程と、を備え、
    前記第1剛性部材は、平面視において、前記第1剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第1コーナーと、2つの前記第1コーナーの間で延びる第1辺と、を含む外縁を備え、
    前記基材は、平面視において前記第1剛性部材に重なる第1重なり領域と、前記第1重なり領域に接し、平面視において前記第1剛性部材に重ならない第1周囲領域と、を含み、
    前記第1周囲領域は、前記第1辺の中央部から、平面視において前記第1剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第1安定領域を含み、
    前記第1安定領域は、前記第1辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W1を有し、
    W1=-1.1148×R1+0.532×K1
    R1は、前記第1コーナーの面取り寸法であり、K1は、前記第1辺が延びる方向における2つの前記第1コーナー及び前記第1辺の寸法であり、
    前記配線は、前記第1安定領域を通って前記第1重なり領域に至るよう延びる、配線基板の製造方法。
  22. 第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材に張力を加えて、前記基材を伸長させる伸長工程と、
    前記伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に配線を設ける配線形成工程と、
    前記基材から張力を取り除く収縮工程と、を備え、
    前記基材の前記第1面側には、少なくとも1つの第2剛性部材と、第2剛性部材に設けられ、前記配線に電気的に接続される導電体と、平面視において前記第2剛性部材に重なり、前記導電体を介して前記配線に電気的に接続される電子部品と、前記第2剛性部材よりも低い剛性を有し、前記第2剛性部材及び前記電子部品を覆う保護層と、が設けられており、
    前記第2剛性部材は、平面視において、前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側で面取りされている少なくとも2つの第2コーナーと、2つの前記第2コーナーの間で延びる第2辺と、を含む外縁を備え、
    前記保護層は、平面視において前記第2剛性部材に重なる第2重なり領域と、前記第2重なり領域に接し、平面視において前記第2剛性部材に重ならない第2周囲領域と、を含み、
    前記第2周囲領域は、前記第2辺の中央部から、平面視において前記第2剛性部材の中心から遠ざかる側へ広がる第2安定領域を含み、
    前記第2安定領域は、前記第2辺が延びる方向において、下記の式で表される寸法W2を有し、
    W2=-1.1148×R2+0.532×K2
    R2は、前記第2コーナーの面取り寸法であり、K2は、前記第2辺が延びる方向における2つの前記第2コーナー及び前記第2辺の寸法であり、
    前記配線は、前記第2安定領域を通って前記第2重なり領域に至るよう延びる、配線基板の製造方法。
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