以下、本開示の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基板」は、基材、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
以下、図1乃至図10を参照して、本開示の一実施の形態について説明する。
(配線基板)
まず、本実施の形態に係る配線基板10について説明する。図1は、配線基板10を示す平面図である。図2は、図1の配線基板10のA-A線に沿った断面図である。図3は、図1の配線基板10のB-B線に沿った断面図である。
図1に示す配線基板10は、第1基材20、配線52及びストッパー層31を少なくとも備える。以下、配線基板10の各構成要素について説明する。
〔基材〕
第1基材20は、少なくとも1つの方向において伸縮性を有するよう構成された部材である。第1基材20は、配線52側に位置する第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。図1に示す例において、第1基材20は、第1面21の法線方向に沿って見た場合に、第1方向D1に延びる一対の辺と、第2方向D2に延びる一対の辺とを含む四角形状を有する。第1方向D1と第2方向D2とは、図1に示すように互いに直交していてもよく、図示はしないが直交していなくてもよい。以下の説明において、第1面21の法線方向に沿って配線基板10又は配線基板10の構成要素を見ることを、単に「平面視」とも称する。本実施の形態において、第1基材20は、少なくとも第1方向D1において伸縮性を有する。第1基材20は第1方向D1以外の方向においても伸縮性を有していてもよい。
第1基材20の厚みは、例えば10μm以上10mm以下であり、より好ましくは20μm以上3mm以下である。第1基材20の厚みを10μm以上にすることにより、第1基材20の耐久性を確保することができる。また、第1基材20の厚みを10mm以下にすることにより、配線基板10の装着快適性を確保することができる。なお、第1基材20の厚みを小さくしすぎると、第1基材20の伸縮性が損なわれる場合がある。
なお、第1基材20の伸縮性とは、第1基材20が伸び縮みすることができる性質、すなわち、常態である非伸長状態から伸長することができ、この伸長状態から解放したときに復元することができる性質をいう。非伸長状態とは、引張応力が加えられていない時の第1基材20の状態である。本実施形態において、伸縮可能な基材は、好ましくは、破壊されることなく非伸長状態から1%以上伸長することができ、より好ましくは20%以上伸長することができ、更に好ましくは75%以上伸長することができる。このような能力を有する第1基材20を用いることにより、配線基板10が全体に伸縮性を有することができる。さらに、人の腕などの身体の一部に取り付けるという、高い伸縮が必要な製品や用途において、配線基板10を使用することができる。一般に、人の脇の下に取り付ける製品には、垂直方向において72%、水平方向において27%の伸縮性が必要であると言われている。また、人の膝、肘、臀部、足首、脇部に取り付ける製品には、垂直方向において26%以上42%以下の伸縮性が必要であると言われている。また、人のその他の部位に取り付ける製品には、20%未満の伸縮性が必要であると言われている。
また、非伸長状態にある第1基材20の形状と、非伸長状態から伸長された後に再び非伸長状態に戻ったときの第1基材20の形状との差が小さいことが好ましい。この差のことを、以下の説明において形状変化とも称する。第1基材20の形状変化は、例えば面積比で20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。形状変化の小さい第1基材20を用いることにより、後述する山部や谷部の形成が容易になる。
第1基材20の伸縮性を表すパラメータの例として、第1基材20の弾性係数を挙げることができる。第1基材20の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。このような弾性係数を有する第1基材20を用いることにより、配線基板10全体に伸縮性を持たせることができる。以下の説明において、第1基材20の弾性係数のことを、第1の弾性係数とも称する。第1基材20の第1の弾性係数は、1kPa以上であってもよい。
第1基材20の第1の弾性係数を算出する方法としては、第1基材20のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、第1基材20のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。第1基材20のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から第1基材20の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の第1基材20の一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、第1基材20の第1の弾性係数を算出する方法として、第1基材20を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて第1基材20の第1の弾性係数を算出するという方法を採用することもできる。なお、本願における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
第1基材20の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、第1基材20の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m2又はPa・m4である。第1基材20の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって、第1基材20のうち配線52と重なっている部分を切断した場合の断面に基づいて算出される。
第1基材20を構成する材料の例としては、例えば、エラストマーを挙げることができる。また、第1基材20の材料として、例えば、織物、編物、不織布などの布を用いることもできる。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、具体的には、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、1,2-BR系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。また、第1基材20が、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンを含んでいてもよい。シリコーンは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れており、第1基材20の材料として好ましい。
〔配線〕
配線52は、導電性を有し、平面視において細長い形状を有する部材である。図1に示す例において、配線52は第1方向D1に延びている。
本実施の形態において、配線52は、第1基材20の第1面21側に位置している。図2及び図3に示すように、配線52は、第1基材20の第1面21に接していてもよい。図示はしないが、第1基材20の第1面21と配線52との間にその他の部材が介在されていてもよい。
配線52の材料としては、後述する山部の解消及び生成を利用して第1基材20の伸長及び収縮に追従することができる材料が用いられる。配線52の材料は、それ自体が伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。
配線52に用いられ得る、それ自体は伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。配線52の材料自体が伸縮性を有さない場合、配線52としては、金属膜を用いることができる。
配線52に用いられる材料自体が伸縮性を有する場合、材料の伸縮性は、例えば、第1基材20の伸縮性と同様である。配線52に用いられ得る、それ自体が伸縮性を有する材料としては、例えば、導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物が挙げられる。導電性粒子としては、配線に使用できるものであればよく、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子が挙げられる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
好ましくは、配線52は、変形に対する耐性を有する構造を備える。例えば、配線52は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する。この場合、ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、第1基材20の伸縮に応じて配線52も変形することができる。また、変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線52の導電性を維持することができる。
配線52のベース材を構成する材料としては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。中でも、ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムが、その伸縮性や耐久性などの面から好ましく用いられる。また、配線52の導電性粒子を構成する材料としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子を用いることができる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
配線52の厚みは、第1基材20の伸縮に耐え得る厚みであればよく、配線52の材料等に応じて適宜選択される。
例えば、配線52の材料が伸縮性を有さない場合、配線52の厚みは、25nm以上100μm以下の範囲内とすることができ、50nm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、100nm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましい。
また、配線52の材料が伸縮性を有する場合、配線52の厚みは、5μm以上60μm以下の範囲内とすることができ、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上40μm以下の範囲内であることがより好ましい。
配線52の幅は、例えば50μm以上且つ10mm以下である。
配線52の幅は、配線52に求められる電気抵抗値に応じて適宜選択される。配線52の幅は、例えば1μm以上であり、好ましくは50μm以上である。また、配線52の幅は、例えば10mm以下であり、好ましくは1mm以下である。
配線52の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、第1基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。また、配線52の材料自体が伸縮性を有する場合、例えば、第1基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により上記の導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。
〔ストッパー層〕
ストッパー層31は、第1基材20が過剰に伸長して配線52などの構成要素に破断などの不具合が生じることを防ぐための層である。ストッパー層31は、自身の剛性に基づいて、第1基材20が過剰に伸長してしまうことを防ぐ。本願においては、ストッパー層31のような、第1基材20に一定以上の伸長が生じることを防ぐための構成要素を、ストッパー30とも称する。
ストッパー層31は、第1基材20の第1面21側に位置していてもよい。本実施の形態においては、図1乃至図3に示すように、ストッパー層31は、第1基材20の第1面21側において配線52と重なるように設けられている。この場合、ストッパー層31は、配線52を外部から保護する保護層としても機能することができる。なお、「重なる」とは、第1基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合に2つの構成要素が重なることを意味している。なお、ストッパー層31は、配線52に接していてもよく、若しくは、配線52とストッパー層31との間に絶縁層などのその他の層が介在されていてもよい。
図1及び図3に示すように、ストッパー層31は、ストッパー層31を貫通する複数の貫通孔32を含んでいてもよい。この場合、ストッパー層31のうち貫通孔32が形成されている部分は、貫通孔32が形成されていない部分に比べて変形し易くなる。これにより、配線基板10の変形し易さを位置に応じて異ならせることができる。
図1及び図3において、符号12は、配線基板10のうち配線52と重なる領域(以下、配線領域とも称する)を表す。また、符号13は、配線基板10のうち配線52と重ならない領域(以下、非配線領域とも称する)を表す。図1に示す例において、非配線領域13は、配線52が延びる第1方向D1に直交する第2方向D2において配線領域12を挟むように位置している。図1及び図3に示すように、ストッパー層31の上述の貫通孔32は、非配線領域13に位置し、配線領域12には位置していなくてもよい。この場合、配線領域12の全体がストッパー層31に重なることになる。従って、配線領域12の面積に対する、配線領域12に位置するストッパー層31の面積の比率(以下、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度とも称する)は100%である。また、非配線領域13の面積に対する、非配線領域13に位置するストッパー層31の面積の比率(以下、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度とも称する)は100%未満である。非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度は、好ましくは90%以下であり、より好ましくは80%以下であり、更に好ましくは70%以下である。また、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度は、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、更に好ましくは30%以上である。
配線領域12におけるストッパー層31の分布密度が、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度よりも高い場合、配線基板10を第1方向D1に引っ張ると、配線領域12よりも非配線領域13に変形が生じ易い。すなわち、非配線領域13に位置する貫通孔32は、非配線領域13の変形を促進するよう機能する。これにより、配線基板10に必要とされる変形量を非配線領域13によって確保し易くなる。また、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度を高くすることにより、配線領域12が過剰に伸長されてしまうことを抑制することができる。このことにより、配線52に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。
配線領域12におけるストッパー層31の分布密度と非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度の差は、好ましくは5%以上であり、より好ましくは10%以上であり、更に好ましくは15%以上である。一方、分布密度の差が大きくなり過ぎると、配線領域12と非配線領域13との境界部に応力が集中し、境界部に破断などの不具合が生じることが考えられる。この点を考慮し、ストッパー層31の分布密度の差は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、更に好ましくは30%以下である。
ストッパー層31などのストッパー30は、第1方向D1において、第1基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有してもよい。ストッパー30の弾性係数は、例えば10GPa以上500GPa以下であり、より好ましくは1GPa以上300GPa以下である。ストッパー30の弾性係数が低すぎると、第1基材20の伸長を抑制できない場合がある。また、ストッパー30の弾性係数が高すぎると、第1基材20が伸縮した際に、割れやひびなど構造の破壊がストッパー30に起こる場合がある。ストッパー30の弾性係数は、第1基材20の第1の弾性係数の1.1倍以上5000倍以下であってもよく、より好ましくは10倍以上3000倍以下である。以下の説明において、ストッパー30の弾性係数のことを、第2の弾性係数とも称する。
ストッパー30の第2の弾性係数を算出する方法は、ストッパー30の形態に応じて適宜定められる。例えば、ストッパー30の第2の弾性係数を算出する方法は、上述の第1基材20の弾性係数を算出する方法と同様であってもよく、異なっていてもよい。後述する支持基板40の弾性係数も同様である。例えば、ストッパー30又は支持基板40の弾性係数を算出する方法として、ストッパー30又は支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
ストッパー30の第2の弾性係数が第1基材20の第1の弾性係数よりも大きい場合、ストッパー30を構成する材料として、薄膜状の金属材料を用いることができる。金属材料の例としては、銅、アルミニウム、ステンレス鋼等を挙げることができる。また、ストッパー30を構成する材料として、一般的な熱可塑性エラストマーや、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、エポキシ系、ビニルエーテル系、ポリエン・チオール系又はシリコーン系等のオリゴマー、ポリマーなどを用いてもよい。ストッパー30を構成する材料がこれらの樹脂である場合、ストッパー30は、透明性を有していてもよい。
また、ストッパー30は、植物繊維、動物繊維又は合成繊維などの繊維を含む部材であってもよい。このような部材の例としては、紙、糸、布などを挙げることができる。布の例としては、織物、編物、不織布などを挙げることができる。
ストッパー30は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、ストッパー30は黒色であってもよい。また、ストッパー30の色と第1基材20の色とが同一であってもよい。
ストッパー30の厚みは、例えば1μm以上5mm以下であり、より好ましくは10μm以上500μm以下である。
ストッパー30の特性を、弾性係数に替えて曲げ剛性によって表してもよい。ストッパー30の断面二次モーメントは、配線52が延びる方向に直交する平面によってストッパー30を切断した場合の断面に基づいて算出される。ストッパー30の曲げ剛性は、第1基材20の曲げ剛性の1.1倍以上であってもよく、より好ましくは2倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。
ストッパー30として機能するストッパー層31の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、第1基材20上または後述する支持基板40上に配線52を形成した後、ストッパー層31を構成する材料を印刷法により配線52上や第1基材20上に印刷する方法が挙げられる。また、ストッパー層31を構成する布、紙、金属箔、樹脂フィルムなどの部材を配線52や第1基材20に接着層などを介して貼り付けてもよい。
次に、配線基板10の断面形状について、図4を参照して詳細に説明する。図4は、配線基板10を拡大して示す断面図である。
配線52は、張力を加えられて第1伸長量で伸長された状態の第1基材20に設けられる。この場合、第1基材20から張力が取り除かれて第1基材20が収縮するとき、配線52は、図4に示すように、蛇腹状に変形して蛇腹形状部55を有するようになる。
配線52の蛇腹形状部55は、配線52が延びる第1方向D1方向に沿って並ぶ複数の山部53を含む。山部53は、配線52の表面において第1面21の法線方向に隆起した部分である。図4に示すように、配線52が延びる方向において隣り合う2つの山部53の間には谷部54が存在していてもよい。
図4において、符号S1は、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部53の、第1基材20の第1面21の法線方向における振幅を表す。振幅S1は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。振幅S1を10μm以上とすることにより、第1基材20の伸長に追従して配線52が変形し易くなる。また、振幅S1は、例えば500μm以下であってもよい。
振幅S1は、例えば、配線52が延びる方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部53と谷部54との間の、第1面21の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「配線52の長さ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真などの画像に基づいて距離を測定してもよい。後述する振幅S2及び振幅S3の算出方法も同様である。
図4において、符号F1は、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部53の周期を表す。山部53の周期F1は、配線52が延びる方向における一定の範囲にわたって、配線52が延びる方向における、複数の山部53の間隔を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。周期F1は、例えば10μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。また、周期F1は、例えば100mm以下であり、より好ましくは10mm以下である。なお、図示はしないが、複数の山部53は、第1方向D1に沿って不規則に並んでいてもよい。例えば、第1方向D1において隣り合う2つの山部53の間の間隔が一定でなくてもよい。
蛇腹形状部55が配線52に形成されていることの利点について説明する。上述のように、第1基材20は伸縮性を有するので、第1基材20は弾性変形によって伸長することができる。ここで、仮に配線52も同様に弾性変形によって伸長すると、配線52の全長が増加し、配線52の断面積が減少するので、配線52の抵抗値が増加してしまう。また、配線52の弾性変形に起因して配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことも考えられる。
これに対して、本実施の形態においては、配線52が蛇腹形状部55を有している。このため、第1基材20が伸長する際、配線52は、蛇腹形状部55の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、第1基材20の伸長に追従することができる。このため、第1基材20の伸長に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板10の伸長に起因して配線52の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
一方、本実施の形態の配線基板10においても、配線52の蛇腹形状が解消されるまで第1基材20が伸長された後、第1基材20が更に伸長されると、配線52自体に伸長が生じ、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことが考えられる。ここで本実施の形態によれば、第1基材20にストッパー層31などのストッパー30を設けることにより、第1基材20が過剰に伸長されることを抑制することができる。このため、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。以下、ストッパー層31の構造について詳細に説明する。
ストッパー層31は、第1基材20に配線52を設けた後、張力を加えられて上述の第1伸長量よりも小さい第2伸長量で伸長された状態の第1基材20に接着層36を介して設けられる。この場合、第1基材20から張力が取り除かれて第1基材20が収縮するとき、ストッパー層31も配線52と同様に、図4に示すように、蛇腹状に変形して蛇腹形状部35を有するようになる。
ストッパー層31の蛇腹形状部35は、配線52と同様に、配線52が延びる第1方向D1方向に沿って並ぶ複数の山部33を含む。図4に示すように、隣り合う2つの山部33の間には谷部34が存在していてもよい。
図4において、符号S2は、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部33の、第1基材20の第1面21の法線方向における振幅を表す。ストッパー層31の山部33の振幅S2は、配線52の山部53の振幅S1よりも小さくてもよい。振幅S2は、振幅S1の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、振幅S2は、500μm以下であってもよく、300μm以下であってもよい。ストッパー層31の山部33の振幅S2が、配線52の山部53の振幅S1よりも小さいことにより、第1基材20を伸長させた時に、配線52の蛇腹形状部55よりも先にストッパー層31の蛇腹形状部35が解消され易くなる。これにより、配線52の蛇腹形状部55が解消されるまで第1基材20の伸長が進行することを抑制することができる。ストッパー層31の山部33の振幅S2は、10μm以上であってもよい。なお、図示はしないが、ストッパー層31の山部33の振幅S2は、配線52の山部53の振幅S1よりも大きくてもよい。ストッパー層31が第1基材20に比べて高い硬度を有する場合に、振幅S2が振幅S1よりも大きくなり得る。
図4において、符号F2は、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部33の周期を表す。ストッパー層31の山部33の周期F2は、配線52の山部53の周期F1よりも大きくてもよい。周期F2は、例えば周期F1の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。また、周期F2は、例えば100μm以上であり、より好ましくは500μm以上である。ストッパー層31の山部33の周期F2が、配線52の山部53の周期F1よりも大きいことにより、第1基材20を伸長させた時に、配線52の蛇腹形状部55よりも先にストッパー層31の蛇腹形状部35が解消され易くなる。これにより、配線52の蛇腹形状部55が解消されるまで第1基材20の伸長が進行することを抑制することができる。ストッパー層31の山部33の周期F2は、周期F1の5倍以下であってもよい。
図4に示すように接着層36を介して第1基材20にストッパー層31が設けられる場合、接着層36を構成する材料としては、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。接着層36の厚みは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。
図4に示すように、配線基板10のうち第1基材20の第2面22側の表面にも、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部23や谷部24が現れてもよい。図4に示す例において、第2面22側の山部23は、第1面21側の配線52の谷部54に重なる位置に現れ、第2面22側の谷部25は、第1面21側の配線52の山部53に重なる位置に現れている。
図4において、符号S3は、第1基材20の第2面22側における配線基板10の表面において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部23の、第1基材20の第2面22の法線方向における振幅を表す。第2面22側の山部23の振幅S3は、配線52の山部53の振幅S1と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第2面22側の山部23の振幅S3が、配線52の山部53の振幅S1よりも小さくてもよい。例えば、第2面22側の山部23の振幅S3は、配線52の山部53の振幅S1の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、第2面22側の山部23の振幅S3は、配線52の山部53の振幅S1の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。なお、「第2面22側の山部23の振幅S3が、配線52の山部53の振幅S1よりも小さい」とは、第2面22側における配線基板10の表面に山部が現れない場合を含む概念である。
図4において、符号F3は、第1基材20の第2面22側における配線基板10の表面において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部23の周期を表す。第2面22側の山部23の周期F3は、図4に示すように、配線52の山部53の周期F1と同一であってもよい。
図5は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図5に示すように、第2面22側の山部23の周期F3は、配線52の山部53の周期F1よりも大きくてもよい。例えば、第2面22側の山部23の周期F3は、配線52の山部53の周期F1の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。なお、「第2面22側の山部23の周期F3が、配線52の山部53の周期F1よりも大きい」とは、第2面22側における配線基板10の表面に山部が現れない場合を含む概念である。
図6は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図6に示すように、第2面22側の山部23及び谷部24の位置が、第1面21側の配線52の谷部54及び山部53の位置からJだけずれていてもよい。ずれ量Jは、例えば0.1×F1以上であり、0.2×F1以上であってもよい。
(配線基板の製造方法)
以下、図7(a)~(c)及び図8(a)~(c)を参照して、配線基板10の製造方法について説明する。
まず、図7(a)に示すように、第1面21及び第2面22を含み、伸縮性を有する第1基材20を準備する基材準備工程を実施する。符号L0は、張力が加えられていない状態の第1基材20の、第1方向D1における寸法を表している。
続いて、図7(b)に示すように、第1方向D1において第1基材20に第1張力T1を加えて、第1基材20を寸法L1まで伸長させる第1伸長工程を実施する。第1方向D1における第1基材20の伸長率(=(L1-L0)×100/L0)は、例えば10%以上且つ200%以下である。伸長工程は、第1基材20を加熱した状態で実施してもよく、常温で実施してもよい。第1基材20を加熱する場合、第1基材20の温度は例えば50℃以上且つ100℃以下である。
続いて、図7(b)に示すように、第1伸長工程における第1張力T1によって伸長した状態の第1基材20の第1面21に配線52を設ける配線工程を実施する。例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを第1基材20の第1面21に印刷する。
その後、第1基材20から第1張力T1を取り除く第1収縮工程を実施する。これにより、図7(c)において矢印Cで示すように、第1方向D1において第1基材20が収縮し、第1基材20に設けられている配線52にも変形が生じる。配線52の変形は、上述のように蛇腹形状部55として生じ得る。
続いて、図8(a)に示すように、第1方向D1において第1基材20に第2張力T2を加えて、第1基材20を寸法L2まで伸長させる第2伸長工程を実施する。第2張力T2は、上述の第1伸長工程における第1張力T1よりも小さい。このため、第2伸長工程における第1基材20の伸長率(=(L2-L0)×100/L0)は、第1伸長工程における第1基材20の伸長率よりも小さい。従って、第2伸長工程においては、配線52の蛇腹形状部55が完全には解消されない。第2伸長工程における第1基材20の伸長率は、第1伸長工程における第1基材20の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。
続いて、図8(b)に示すように、第2伸長工程における第2張力T2によって伸長した状態の第1基材20の第1面21側にストッパー層31を設ける工程を実施する。例えば、布、紙、金属箔、樹脂フィルムなどからなるストッパー層31を、配線52を覆うように接着層36を介して第1基材20の第1面21側に貼り付ける。
その後、第1基材20から第2張力T2を取り除く第2収縮工程を実施する。これにより、図8(c)において矢印Cで示すように、第1方向D1において第1基材20が収縮し、第1基材20に設けられているストッパー層31にも変形が生じる。ストッパー層31の変形は、上述のように蛇腹形状部35として生じ得る。このようにして、第1基材20、配線52及びストッパー30を備える配線基板10を得ることができる。
ストッパー層31の上述の貫通孔32は、第1基材20にストッパー層31を設ける工程の前に予めストッパー層31に形成されていてもよい。言い換えると、貫通孔32が形成された状態のストッパー層31を第1基材20に設けてもよい。若しくは、貫通孔32が形成されていない状態のストッパー層31を第1基材20に設けた後、エッチングなどによってストッパー層31に貫通孔32を形成してもよい。
次に、図9を参照して、配線基板10の作用について説明する。図9は、配線基板10を伸長させた場合に張力及び配線52の電気抵抗が変化する様子の一例を示す図である。図9において、横軸は、配線基板10の伸長量Eを表す。左側の縦軸は、配線基板10に加えられている張力Tを表す。右側の縦軸は、配線52で第1方向D1に並ぶ2点の間における電気抵抗Rを表す。
図9において、符号C1が付された線は、配線基板10を第1方向D1において伸長させながら、配線52上の2点間の電気抵抗Rを測定することによって得られた測定点を順に結ぶことによって描かれる。また、符号C2が付された線は、配線基板10を第1方向D1において伸長させながら配線基板10に加えられている張力Tを測定することによって得られた測定点を順に結ぶことによって描かれる。張力Tを測定するための測定器としては、「JIS L 1096 織物及び編物の生地試験方法」に準拠して伸長率及び弾性率を測定することができるものを用いることができ、例えばエー・アンド・デイ社製のテンシロン万能材料試験機を用いることができる。また、電気抵抗Rを測定するための測定器としては、例えばケースレー社製のKEITHLEY 2000デジタルマルチメーターを用いることができる。配線52上の2点の間の第1方向D1における距離は、10mm以上200mm以下であり、例えば30mmである。
図9に示すように、電気抵抗Rは、第1方向D1における第1基材20の伸長量Eが第1伸長量E1のときに、単位伸長量当たりの電気抵抗Eの増加量が変化する第1転換点P1を示す。第1転換点P1は、例えば、配線52の蛇腹形状部55が解消されるときに現れる。
図9の例において、第1転換点P1は、直線M1と直線M2とが交わる点における伸長量を有する点として定義される。直線M1は、伸長量Eがゼロの位置において線C1に接する直線である。直線M1の傾きは、第1方向D1における配線基板10の伸長量Eが第1伸長量E1より小さいときの、単位伸長量当たりの電気抵抗Rの増加量(以下、第1電気抵抗増加率とも称する)を表している。また、直線M2は、線C1の傾きが直線M1の傾きよりも有意に大きくなる位置において線C1を近似する直線である。直線M2の傾きは、第1方向D1における配線基板10の伸長量Eが第1伸長量E1より大きいときの、単位伸長量当たりの電気抵抗Rの増加量(以下、第2電気抵抗増加率とも称する)を表している。
第2電気抵抗増加率は、第1電気抵抗増加率の好ましくは2倍以上であり、3倍以上であってもよく、4倍以上であってもよい。なお、図示はしないが、第1転換点P1は、線C1の傾きが直線M1の2倍になる点として定義されてもよい。
図9に示すように、張力Tは、第1方向D1における第1基材20の伸長量Eが第2伸長量E2のときに、単位伸長量当たりの張力Tの増加量が変化する第2転換点P2を示す。第2転換点P2は、例えば、ストッパー層31の蛇腹形状部35が解消されるときに現れる。
図9の例において、第2転換点P2は、直線N1と直線N2とが交わる点における伸長量を有する点として定義される。直線N1は、伸長量Eがゼロの位置において線C2に接する直線である。直線N1の傾きは、第1方向D1における配線基板10の伸長量Eが第2伸長量E2より小さいときの、単位伸長量当たりの張力Tの増加量(以下、第1張力増加率とも称する)を表している。また、直線N2は、線C2の傾きが直線N1の傾きよりも有意に大きくなる位置において線C2を近似する直線である。直線N2の傾きは、第1方向D1における配線基板10の伸長量Eが第2伸長量E2より大きいときの、単位伸長量当たりの張力Tの増加量(以下、第2張力増加率とも称する)を表している。
第2張力増加率は、好ましくは第1張力増加率の2倍以上であり、3倍以上であってもよく、4倍以上であってもよい。なお、図示はしないが、第2転換点P2は、線C2の傾きが直線N1の2倍になる点として定義されてもよい。
本実施の形態においては、上述のように、ストッパー層31を設ける時の第1基材20の伸長率が、配線52を設ける時の第1基材20の伸長率よりも小さい。このため、第1基材20を備える配線基板10を伸長させると、配線52の蛇腹形状部55よりも先にストッパー層31の蛇腹形状部35が解消される。従って、図9に示すように、第1伸長量E1よりも小さい第2伸長量E2のときに、配線基板10に第2転換点P2が現れるようにすることができる。
図10は、第2伸長量E2まで伸長させた場合の配線基板10の断面図の一例である。図10に示す例において、ストッパー層31の蛇腹形状部35は解消されているが、配線52の蛇腹形状部55は解消されていない。配線基板10を図10に示す状態から更に伸長させるためには、ストッパー層31自体を第1方向D1において変形させる必要がある。このため、第2転換点P2が現れた後は、図9に示すように線C2の傾きが大きく増加するので、配線基板10が伸長し難くなる。これにより、配線基板10が過剰に伸長されてしまうことを抑制することができる。このことにより、配線基板10の配線52などの構成要素に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。
第1伸長量E1は、好ましくは第2伸長量E2の1.1倍以上であり、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。第1伸長量E1が第2伸長量E2の1.1倍以上であることにより、配線基板10の伸長が第1伸長量E1に達するよりも前に配線基板10の伸長を停止させ易くなる。また、第1伸長量E1は、第2伸長量E2の5倍以下であってもよい。言い換えると、第2伸長量E2は、第1伸長量の1/5以上であってもよい。人の腕などの身体の一部に配線基板10を取り付けることなどの際に必要になる伸長量を確保することができる。
このように、本実施の形態によれば、配線52に破断などの不具合が生じてしまうことを抑制しながら、使用時に第1方向D1において配線基板10を伸長させることができる。このため、様々な方向における伸長性が求められる用途において配線基板10を適用することができる。
配線52の山部53によって得られる、配線52の電気抵抗値に関する効果の一例について説明する。ここでは、第1方向D1における張力が第1基材20に加えられていない第1状態における配線52の電気抵抗値を、第1電気抵抗値と称する。また、第1方向D1において第1基材20に張力を加えて第1基材20を第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における配線52の抵抗値を、第2電気抵抗値と称する。本実施の形態によれば、配線52に山部53を形成することにより、第1電気抵抗値に対する、第1電気抵抗値と第2電気抵抗値の差の絶対値の比率を、20%以下にすることができ、より好ましくは10%以下にすることができ、更に好ましくは5%以下にすることができる。なお、第2状態における配線基板10の伸長量は、上述の第1伸長量E1よりも小さい。
配線基板10の用途としては、ヘルスケア分野、医療分野、介護分野、エレクトロニクス分野、スポーツ・フィットネス分野、美容分野、モビリティ分野、畜産・ペット分野、アミューズメント分野、ファッション・アパレル分野、セキュリティ分野、ミリタリー分野、流通分野、教育分野、建材・家具・装飾分野、環境エネルギー分野、農林水産分野、ロボット分野などを挙げることができる。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品を、本実施の形態による配線基板10を用いて構成する。配線基板10は伸長することができるので、例えば配線基板10を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板10を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、配線基板10が伸長した場合に配線52の電気抵抗値が低下することを抑制することができるので、配線基板10の良好な電気特性を実現することができる。他にも配線基板10は伸長することができるので、人などの生体に限らず曲面や立体形状に沿わせて設置や組込むことが可能である。それらの製品の一例としては、バイタルセンサ、マスク、補聴器、歯ブラシ、絆創膏、湿布、コンタクトレンズ、義手、義足、義眼、カテーテル、ガーゼ、薬液パック、包帯、ディスポーザブル生体電極、おむつ、家電製品、スポーツウェア、リストバンド、はちまき、手袋、水着、サポーター、ボール、ラケット、薬液浸透美容マスク、電気刺激ダイエット用品、懐炉、自動車内装、シート、インパネ、ベビーカー、ドローン、車椅子、タイヤ、首輪、リード、ハプティクスデバイス、ランチョンマット、帽子、服、メガネ、靴、インソール、靴下、ストッキング、インナーウェア、マフラー、耳あて、鞄、アクセサリー、指輪、付け爪、時計、個人ID認識デバイス、ヘルメット、パッケージ、ICタグ、ペットボトル、文具、書籍、カーペット、ソファ、寝具、照明、ドアノブ、花瓶、ベッド、マットレス、座布団、ワイヤレス給電アンテナ、電池、ビニールハウス、ロボットハンド、ロボット外装を挙げることができる。
また、本実施の形態によれば、第1基材20よりも高い弾性係数又は曲げ剛性を有するストッパー層31を第1基材20の第1面21側に設けることにより、第1基材20の収縮に起因して配線52に生じる蛇腹形状部55を制御し易くなる。例えば、蛇腹形状部55の山部53の高さが局所的に大きくなることを抑制することができる。このことにより、配線52に大きな応力が加わって配線52が破損してしまうことを抑制することができる。
また、ストッパー層31が、樹脂フィルムや布などの絶縁性を有する材料によって構成されている場合、ストッパー層31は、配線52を外部から絶縁する絶縁層としても機能し得る。
また、本実施の形態によれば、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度を、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度よりも低くすることにより、非配線領域13の変形性を配線領域12に比べて高くすることができる。例えば、配線領域12及び非配線領域13を含む配線基板10が第2伸長量E2まで伸長し、配線領域12がそれ以上伸長し難くなった後に、非配線領域13を更に伸長させることができる。これにより、配線基板10全体として必要とされる変形量を非配線領域13によって確保し易くなる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
上述の実施の形態においては、配線領域12に貫通孔32が位置しない例を示した。すなわち、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度が100%である例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図11に示すように、配線領域12に貫通孔32が位置していてもよい。図11に示す例において、配線領域12に位置する複数の貫通孔32の、第1方向D1における配列周期は、非配線領域13に比べて長い。このため、本変形例においても、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度が、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度よりも高い。
(第2の変形例)
図12においては、非配線領域13に位置する貫通孔32と同一の形状の貫通孔32が配線領域12に位置する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図12に示すように、配線領域12に位置する貫通孔32が、非配線領域13に位置する貫通孔32に比べて小さい寸法を有していてもよい。これにより、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度を、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度よりも高くすることができる。
(第3の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、非配線領域13に位置する複数の貫通孔32が同一の形状及び寸法を有する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、非配線領域13に位置する複数の貫通孔32が、複数の種類の形状又は寸法を有していてもよい。例えば、図13に示すように、非配線領域13に位置する複数の貫通孔32は、第1の寸法を有する第1貫通孔321と、第1貫通孔321よりも配線52から離れた位置にあり、第1の寸法よりも大きい第2の寸法を有する第2貫通孔322と、を含んでいてもよい。これにより、配線領域12に近接する非配線領域13が変形することを抑制し、配線領域12から離れている非配線領域13が変形することを促進することができる。
(第4の変形例)
図14は、本変形例に係る配線基板10を示す断面図である。図14に示すように、配線基板10は、配線52に電気的に接続された電子部品51を備えていてもよい。若しくは、配線基板10は、配線52に電気的に接続される電子部品51が搭載され得るように構成されていてもよい。
電子部品51は、配線52に接続される電極を有していてもよい。この場合、配線基板10は、電子部品51の電極に接するとともに配線52に電気的に接続された接続部を有する。接続部は、例えばパッドである。
また、電子部品51は、配線52に接続される電極を有していなくてもよい。例えば、電子部品51は、配線基板10の複数の構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素と一体的な部材を含んでいてもよい。このような電子部品51の例として、配線基板10の配線52を構成する導電層と一体的な導電層を含むものや、配線52を構成する導電層とは別の層に位置する導電層を含むものを挙げることができる。例えば、電子部品51は、配線52を構成する導電層よりも平面視において広い幅を有する導電層によって構成されたパッドであってもよい。パッドには、検査用のプローブ、ソフトウェア書き換え用の端子などが接続される。また、電子部品51は、導電層が平面視においてらせん状に延びることによって構成された配線パターンであってもよい。このように、導電層がパターニングされて所定の機能が付与された部分も、電子部品51となり得る。
電子部品51は、能動部品であってもよく、受動部品であってもよく、機構部品であってもよい。電子部品51の例としては、トランジスタ、LSI(Large-Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCDなどの発光素子、センサ、ブザー等の発音部品、振動を発する振動部品、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線などの冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチ、コネクタなどを挙げることができる。電子部品51の上述の例のうち、センサが好ましく用いられる。センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、生体センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサ等を挙げることができる。これらのセンサのうち、生体センサが特に好ましい。生体センサは、心拍や脈拍、心電、血圧、体温、血中酸素濃度等の生体情報を測定することができる。
次に、電極を有さない電子部品51の用途について説明する。例えば、上述のパッドは、検査用のプローブ、ソフトウェア書き換え用の端子などが接続される部分として機能し得る。また、らせん状に延びることによって構成された配線パターンは、アンテナなどとして機能し得る。
図15は、図14の配線基板10のC-C線に沿った断面図である。図16は、図14の配線基板10のD-D線に沿った断面図である。図14乃至図16に示すように、ストッパー層31は、電子部品51及びその周囲に重なっていてもよい。
図14乃至図16において、符号11は、配線基板10のうち電子部品51と重なる領域(以下、部品領域とも称する)を表す。図14乃至図16に示すように、ストッパー層31は、部品領域11全体に重なり、且つ、部品領域11に接する配線領域12の一部及び非配線領域13の一部に重なっていてもよい。この場合、部品領域11の面積に対する、部品領域11に位置するストッパー層31の面積の比率(以下、部品領域11におけるストッパー層31の分布密度とも称する)は100%である。また、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度、及び、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度は、いずれも100%未満である。なお、本変形例において、非配線領域13とは、配線基板10のうち電子部品51及び配線52のいずれにも重ならない領域を意味する。
部品領域11におけるストッパー層31の分布密度を配線領域12におけるストッパー層31の分布密度及び非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度よりも高くすることにより、部品領域11に伸長が生じることを抑制することができる。これにより、電子部品51に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。また、部品領域11に隣接する配線領域12にストッパー層31を設けることにより、電子部品51と配線52との境界部において配線52に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。
部品領域11におけるストッパー層31の分布密度と配線領域12におけるストッパー層31の分布密度の差は、好ましくは5%以上であり、より好ましくは10%以上であり、更に好ましくは15%以上である。一方、分布密度の差が大きくなり過ぎると、部品領域11と配線領域12との境界部に応力が集中し、境界部に破断などの不具合が生じることが考えられる。この点を考慮し、ストッパー層31の分布密度の差は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、更に好ましくは30%以下である。
好ましくは、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度は、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度よりも高い。これにより、配線52に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。
(第5の変形例)
上述の第4の変形例においては、部品領域11並びに部品領域11に接する配線領域12及び非配線領域13の一部にのみストッパー層31を設ける例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図17に示すように、電子部品51及び配線52を備える配線基板10に、複数の貫通孔32を有するストッパー層31を設けてもよい。
本変形例においても、上述の第4の変形例の場合と同様に、好ましくは、部品領域11におけるストッパー層31の分布密度は、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度及び非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度よりも高い。また、好ましくは、配線領域12におけるストッパー層31の分布密度は、非配線領域13におけるストッパー層31の分布密度よりも高い。
(第6の変形例)
上述の実施の形態及び各変形例においては、ストッパー30のストッパー層31が第1基材20の第1面21側に位置する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図18に示すように、ストッパー層31は、第1基材20の第2面22側に位置していてもよい。この場合、ストッパー層31は、第1基材20の第2面22に接していてもよく、若しくは、第1基材20の第2面22とストッパー層31との間にその他の部材が介在されていてもよい。
図19は、図18に示す配線基板10を拡大して示す断面図である。本変形例において、ストッパー層31は、第1基材20の第1面21側に配線52を設けた後、張力を加えられて上述の第1伸長量よりも小さい第2伸長量で伸長された状態の第1基材20の第2面22側に設けられる。このため、第1基材20から張力が取り除かれて第1基材20が収縮するとき、ストッパー層31が蛇腹状に変形して蛇腹形状部35が現れ得る。蛇腹形状部35は、上述の実施の形態の場合と同様に、配線52が延びる第1方向D1方向に沿って並ぶ複数の山部33を含む。図19に示すように、隣り合う2つの山部33の間には谷部34が存在していてもよい。ストッパー層31の山部33の振幅S2及び周期F2は、上述の実施の形態の場合と同様であるので、詳細な説明を省略する。
(第7の変形例)
上述の第6の変形例においては、ストッパー30のストッパー層31が配線基板10の表面のうち配線52が位置する側とは反対側の表面を構成する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図20に示すように、配線基板10は、ストッパー層31上に積層された第2基材26を更に備えていてもよい。第2基材26を構成する材料としては、第1基材20の材料として説明したものを用いることができる。第1基材20を構成する材料と第2基材26を構成する材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、ストッパー層31と第2基材26との間には接着層が介在されていてもよい。
(第8の変形例)
上述の実施の形態においては、配線52が第1基材20の第1面21に設けられる例を示したが、これに限られることはない。本変形例においては、配線52が支持基板によって支持される例を示す。
図21は、第6の変形例に係る配線基板10を示す断面図である。配線基板10は、第1基材20、支持基板40、配線52及びストッパー層31を少なくとも備える。
〔支持基板〕
支持基板40は、第1基材20よりも低い伸縮性を有するよう構成された部材である。支持基板40は、第1基材20側に位置する第2面42と、第2面42の反対側に位置する第1面41と、を含む。図21に示す例において、支持基板40は、その第1面41側において配線52を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において第1基材20の第1面に接合されている。例えば、第1基材20と支持基板40との間に、接着剤を含む接着層60が設けられていてもよい。接着層60を構成する材料としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。接着層60の厚みは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。
また、本変形例においては、ストッパー層31は、配線52を覆うよう支持基板40の第1面41側に設けられている。ストッパー層31は、配線52に接していてもよく、若しくは、配線52とストッパー層31との間に絶縁層などのその他の層が介在されていてもよい。上述の第2変形例の場合と同様に、ストッパー層31は、配線52と重ならないように支持基板40の第1面41側に設けられていてもよい。
図22は、図21の配線基板10を拡大して示す断面図である。本変形例においては、支持基板40に接合された第1基材20から張力が取り除かれて第1基材20が収縮するとき、配線52の山部53及び谷部54と同様の山部及び谷部が支持基板40にも現れる。支持基板40の特性や寸法は、このような山部や谷部が形成され易くなるよう設定されている。例えば、支持基板40は、第1基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。以下の説明において、支持基板40の弾性係数のことを、第3の弾性係数とも称する。
なお、図示はしないが、支持基板40は、その第2面42側において配線52を支持していてもよい。この場合、ストッパー層31は、支持基板40の第1面41側に設けられている。
支持基板40の第3の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。また、支持基板40の第3の弾性係数は、第1基材20の第1の弾性係数の100倍以上50000倍以下であってもよく、好ましくは1000倍以上10000倍以下である。このように支持基板40の第3の弾性係数を設定することにより、山部の周期F1が小さくなり過ぎることを抑制することができる。また、山部において局所的な折れ曲がりが生じることを抑制することができる。
なお、支持基板40の弾性係数が低すぎると、配線52の形成工程中に支持基板40が変形し易く、この結果、支持基板40に対する配線52の位置合わせが難しくなる。また、支持基板40の弾性係数が高すぎると、弛緩時の第1基材20の復元が難しくなり、また第1基材20の割れや折れが発生し易くなる。
また、支持基板40の厚みは、例えば500nm以上10μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。支持基板40の厚みが小さすぎると、支持基板40の製造工程や、支持基板40上に配線52などの部材を形成する工程における、支持基板40のハンドリングが難しくなる。支持基板40の厚みが大きすぎると、弛緩時の第1基材20の復元が難しくなり、目標の第1基材20の伸縮が得られなくなる。
支持基板40を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等を用いることができる。その中でも、耐久性や耐熱性がよいポリエチレンナフタレートかポリイミドが好ましく用いられ得る。
支持基板40の第3の弾性係数は、第1基材20の第1の弾性係数の100倍以下であってもよい。支持基板40の第3の弾性係数を算出する方法は、第1基材20又はストッパー層31の場合と同様である。
(配線基板の製造方法)
以下、図23(a)~(c)及び図24(a)~(c)を参照して、本変形例に係る配線基板10の製造方法について説明する。
まず、支持基板40を準備する。続いて、支持基板40の第1面41に配線52を設ける。例えば、まず、蒸着法などによって支持基板40の第1面41に銅層などの金属層を形成する。続いて、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて金属層を加工する。これにより、第1面41に配線52を得ることができる。
続いて、図23(b)に示すように、第1方向D1において第1基材20に第1張力T1を加えて、第1基材20を寸法L1まで伸長させる第1伸長工程を実施する。続いて、第1伸長工程における第1張力T1によって伸長した状態の第1基材20の第1面21に配線52を設ける配線工程を実施する。本変形例の配線工程においては、図23(b)に示すように、第1基材20の第1面21に、配線52が設けられた支持基板40の第2面42を接合させる。この際、第1基材20と支持基板40との間に接着層60を設けてもよい。
その後、第1基材20から第1張力T1を取り除く第1収縮工程を実施する。これにより、図23(c)において矢印Cで示すように、第1方向D1において第1基材20が収縮し、第1基材20に設けられている支持基板40及び配線52にも変形が生じる。支持基板40及び配線52の変形は、上述のように蛇腹形状部として生じ得る。
続いて、図24(a)に示すように、第1方向D1において第1基材20及び支持基板40に第2張力T2を加えて、第1基材20及び支持基板40を寸法L2まで伸長させる第2伸長工程を実施する。第2張力T2は、上述の実施の形態の場合と同様に、第1伸長工程における第1張力T1よりも小さい。このため、第2伸長工程における第1基材20の伸長率は、第1伸長工程における第1基材20の伸長率よりも小さい。
続いて、図24(b)に示すように、第2伸長工程における第2張力T2によって伸長した状態の第1基材20及び支持基板40のいずれかにストッパー層31を設ける工程を実施する。例えば、布、紙、金属箔、樹脂フィルムなどからなるストッパー層31を、配線52を覆うように接着層を介して支持基板40の第1面41側に貼り付ける。
その後、第1基材20及び支持基板40から第2張力T2を取り除く第2収縮工程を実施する。これにより、図24(c)において矢印Cで示すように、第1方向D1において第1基材20及び支持基板40が収縮し、支持基板40に設けられているストッパー層31にも変形が生じる。ストッパー層31の変形は、上述のように蛇腹形状部35として生じ得る。このようにして、第1基材20、支持基板40、配線52及びストッパー30を備える配線基板10を得ることができる。
ストッパー層31の上述の貫通孔32は、第1基材20又は支持基板40にストッパー層31を設ける工程の前に予めストッパー層31に形成されていてもよい。言い換えると、貫通孔32が形成された状態のストッパー層31を第1基材20又は支持基板40に設けてもよい。若しくは、貫通孔32が形成されていない状態のストッパー層31を第1基材20又は支持基板40に設けた後、エッチングなどによってストッパー層31に貫通孔32を形成してもよい。
本変形例においても、上述のように、ストッパー層31を設ける時の第1基材20の伸長率が、配線52を設ける時の第1基材20の伸長率よりも小さい。このため、第1基材20を備える配線基板10を伸長させると、配線52の蛇腹形状部55よりも先にストッパー層31の蛇腹形状部35が解消される。従って、図9に示す上述の実施の形態の場合と同様に、第1伸長量E1よりも小さい第2伸長量E2のときに、配線基板10に第2転換点P2が現れるようにすることができる。これにより、配線基板10が過剰に伸長されてしまうことを抑制することができる。このことにより、配線基板10の配線52などの構成要素に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。
(第9の変形例)
上述の第8の変形例においては、支持基板40が接着層60を介して第1基材20に接合される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、非接着表面を分子修飾させて、分子接着結合させる方法などによって支持基板40が第1基材20に接合されていてもよい。この場合、図25に示すように、第1基材20と支持基板40との間に接着層が設けられていなくてもよい。
(第10の変形例)
上述の第8の変形例及び第9の変形例においては、支持基板40の第1面41側に配線52が設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図26に示すように、配線52は、支持基板40の第2面42側に設けられていてもよい。ストッパー層31は、支持基板40の第1面41側に設けられている。
(第11の変形例)
上述の第8の変形例、第9の変形例及び第10の変形例においては、ストッパー層31が支持基板40の第1面41側に位置する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図27に示すように、ストッパー層31は、第1基材20の第2面22側に位置していてもよい。この場合、ストッパー層31は、第1基材20の第2面22に接していてもよく、若しくは、第1基材20の第2面22とストッパー層31との間にその他の部材が介在されていてもよい。
(第12の変形例)
上述の第11の変形例においては、支持基板40を備える配線基板10において、ストッパー30のストッパー層31が配線基板10の表面のうち配線52が位置する側とは反対側の表面を構成する例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図28に示すように、配線基板10は、ストッパー層31上に積層された第2基材26を更に備えていてもよい。第2基材26を構成する材料としては、第1基材20の材料として説明したものを用いることができる。第1基材20を構成する材料と第2基材26を構成する材料は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、ストッパー層31と第2基材26との間には接着層が介在されていてもよい。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。