JP2020136350A - 配線基板及び配線基板の製造方法 - Google Patents

配線基板及び配線基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020136350A
JP2020136350A JP2019024747A JP2019024747A JP2020136350A JP 2020136350 A JP2020136350 A JP 2020136350A JP 2019024747 A JP2019024747 A JP 2019024747A JP 2019024747 A JP2019024747 A JP 2019024747A JP 2020136350 A JP2020136350 A JP 2020136350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wiring
base material
wiring board
amount
bellows
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019024747A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7486042B2 (ja
Inventor
直子 沖本
Naoko Okimoto
直子 沖本
小川 健一
Kenichi Ogawa
健一 小川
充孝 永江
Mitsutaka Nagae
充孝 永江
麻紀子 坂田
Makiko Sakata
麻紀子 坂田
徹 三好
Toru Miyoshi
徹 三好
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2019024747A priority Critical patent/JP7486042B2/ja
Priority claimed from JP2019024747A external-priority patent/JP7486042B2/ja
Publication of JP2020136350A publication Critical patent/JP2020136350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7486042B2 publication Critical patent/JP7486042B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Structure Of Printed Boards (AREA)
  • Manufacturing Of Printed Wiring (AREA)

Abstract

【課題】配線などの構成要素に破断などの不具合が生じることを抑制する配線基板及び配線基板の製造方法を提供する。【解決手段】配線基板10は、第1面21及び第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材20と、基材の第1面側に位置し、基材の第1面の面内方向の1つである第1方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有する配線52と、基材の第1面側に位置し、第1面の法線方向に沿って見た場合に配線との間に間隔を空けて第1方向に延びる側縁を有し、表面に樹脂又はエラストマーを含む調整機構30を備える。【選択図】図1

Description

本開示の実施形態は、伸縮性を有する基材と、配線とを備える配線基板及びその製造方法に関する。
近年、伸縮性などの変形性を有する電子デバイスの研究がおこなわれている。例えば、伸縮性を有する基材に伸縮性を有する銀配線を形成したものや、伸縮性を有する基材に馬蹄形の配線を形成したものが知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、これらのタイプの電子デバイスは、基材の伸縮に伴って配線の抵抗値が変化し易いという課題を有する。
その他のタイプの電子デバイスとして、例えば特許文献2は、基材と、基材に設けられた配線と、を備え、伸縮性を有する配線基板を開示している。特許文献2においては、予め伸長させた状態の基材に回路を設け、回路を形成した後に基材を弛緩させる、という製造方法を採用している。特許文献2は、基材の伸長状態及び弛緩状態のいずれにおいても基材上の薄膜トランジスタを良好に動作させることを意図している。
特開2013−187308号公報 特開2007−281406号公報
基材が弛緩状態にある場合、基材に設けられている配線は、山部及び谷部が基材の面内方向に沿って繰り返し現れる蛇腹形状部を有する。この場合、基材を伸長させると、配線は、蛇腹形状部を面内方向に広げることによって基材の伸長に追従することができる。このため、蛇腹形状部を有するタイプの電子デバイスによれば、基材の伸縮に伴って配線の抵抗値が変化することを抑制することができる。
一方、蛇腹形状部の山部の高さ及び谷部の深さは、基材の厚みのばらつきや、伸長の際の基材伸びのばらつきや、基材に設けられる配線の分布密度の差などに起因して、位置によってばらつくことがある。また、基材が大きく伸長すると、蛇腹形状部の周期が乱れて山部の高さや谷部の深さが局所的に大きくなることもある。山部の高さ及び谷部の深さが位置によってばらつくと、配線に生じる湾曲や屈曲の程度も局所的に大きくなる。特に、基材の伸長の程度が大きい場合には、配線に折れなどの破損が生じてしまうことが考えられる。
本開示の実施形態は、このような課題を効果的に解決し得る配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態は、第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、前記基材の前記第1面側に位置し、前記基材の前記第1面の面内方向の1つである第1方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有する配線と、前記基材の前記第1面側に位置し、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記配線との間に間隔を空けて前記第1方向に延びる側縁を有し、表面に樹脂又はエラストマーを含む調整機構と、を備える、配線基板である。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記調整機構は、前記第1方向に直交する第2方向において前記配線を挟むように位置していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記調整機構は、前記配線よりも低い弾性係数を有する調整層を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記調整機構は、前記基材よりも高い曲げ剛性又は弾性係数を有する調整層を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線は、ベース材及び導電性粒子を含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記調整機構は、前記基材の前記第1面側において、前記配線よりも高い占有率を有していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記調整機構は、前記第1方向に直交する第2方向において、前記配線の幅以上の寸法を有していてもよく、例えば前記配線の幅の2倍以上の寸法を有していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記調整機構の前記側縁と前記配線との間の前記間隔が、配線の幅以下であってもよく、また、100μm以下であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記調整機構は、前記第1方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅と異なっていてもよく、例えば、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅よりも小さくてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期と異なっていてもよく、例えば、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期よりも大きくてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の位置が、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の位置からずれていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記配線基板を前記第1方向において伸長させながら、前記配線基板に加えられている張力及び前記配線の電気抵抗を測定した場合、前記電気抵抗は、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が第1伸長量のときに、単位伸長量当たりの前記電気抵抗の増加量が変化する第1転換点を示し、前記張力は、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第1伸長量よりも小さい第2伸長量のときに、単位伸長量当たりの前記張力の増加量が変化する第2転換点を示してもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1伸長量は、前記第2伸長量の1.1倍以上であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第2伸長量より小さいときの、単位伸長量当たりの前記張力の増加量を第1張力増加率と称し、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第2伸長量より大きいときの、単位伸長量当たりの前記張力の増加量を第2張力増加率と称する場合、前記第2張力増加率は前記第1張力増加率より大きくてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第2張力増加率は前記第1張力増加率の2倍以上であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第1伸長量より小さいときの、単位伸長量当たりの前記電気抵抗の増加量を第1電気抵抗増加率と称し、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第1伸長量より大きいときの、単位伸長量当たりの前記電気抵抗の増加量を第2電気抵抗増加率と称する場合、前記第2電気抵抗増加率は前記第1電気抵抗増加率より大きくてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記第2電気抵抗増加率は前記第1電気抵抗増加率の2倍以上であってもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記基材は、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゲル又はシリコンゲルを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、支持基板を更に備えていてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記支持基板は、前記基材よりも高い弾性係数を有し、前記配線を支持していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記支持基板は、前記配線と前記基材の前記第1面との間に位置し、前記配線を支持していてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板において、前記支持基板は、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、又はポリエチレンテレフタラートを含んでいてもよい。
本開示の一実施形態による配線基板は、前記配線に電気的に接続される電子部品を更に備えていてもよい。
本開示の一実施形態は、配線基板の製造方法であって、伸縮性を有する基材に、前記基材の前記第1面の面内方向の1つである第1方向において張力を加えて、前記基材を伸長させる第1伸長工程と、前記第1伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に、前記第1方向に延びる配線を設ける配線形成工程と、伸長した状態の前記基材の第1面側に、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記配線との間に間隔を空けて前記第1方向に延びる側縁を有し、表面に樹脂又はエラストマーを含む調整機構を設ける調整機構形成工程と、前記基材から前記張力を取り除く収縮工程と、を備える、配線基板の製造方法である。
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法において、前記配線基板を前記第1方向において伸長させながら、前記配線基板に加えられている張力及び前記配線の電気抵抗を測定した場合、前記電気抵抗は、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が第1伸長量のときに、単位伸長量当たりの前記電気抵抗の増加量が変化する第1転換点を示し、前記張力は、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が第1伸長量よりも小さい第2伸長量のときに、単位伸長量当たりの前記張力の増加量が変化する第2転換点を示してもよい。
本開示の一実施形態による配線基板の製造方法の前記調整機構形成工程において、前記調整機構は、前記基材に前記配線を設けた後、前記第1伸長工程よりも小さな伸長率で伸長した状態の前記基材の第1面側に設けられてもよい。
本開示の実施形態によれば、配線などの構成要素に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。
一実施の形態に係る配線基板を示す平面図である。 図1の配線基板のA−A線に沿った断面図である。 図1の配線基板のB−B線に沿った断面図である。 図2の配線基板を拡大して示す断面図である。 図3の配線基板を拡大して示す断面図である。 配線基板の断面図のその他の例である。 配線基板の断面図のその他の例である。 配線基板の断面図のその他の例である。 配線基板の製造方法を説明するための図である。 第1の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第1の変形例に係る配線基板の製造方法を説明するための図である。 第1の変形例に係る配線基板の製造方法を説明するための図である。 配線基板を伸長させた場合に張力及び配線の電気抵抗が変化する様子の一例を示す図である。 第2伸長量で伸長した状態の配線基板を示す断面図である。 第2の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第2の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 図15の配線基板を拡大して示す断面図である。 第2の変形例に係る配線基板の製造方法を説明するための図である。 第3の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第4の変形例に係る配線基板を示す断面図である。 第5の変形例に係る配線基板を示す平面図である。 第6の変形例に係る配線基板を示す平面図である。 図22の配線基板のC−C線に沿った断面図である。
以下、本開示の実施形態に係る配線基板の構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基板」は、基材、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
以下、図1乃至図9を参照して、本開示の一実施の形態について説明する。
(配線基板)
まず、本実施の形態に係る配線基板10について説明する。図1は、配線基板10を示す平面図である。図2は、図1の配線基板10のA−A線に沿った断面図であり、図3は、図1の配線基板10のB−B線に沿った断面図である。
図1に示す配線基板10は、基材20、配線52及び調整機構30を少なくとも備える。以下、配線基板10の各構成要素について説明する。
〔基材〕
基材20は、少なくとも1つの方向において伸縮性を有するよう構成された部材である。基材20は、配線52側に位置する第1面21と、第1面21の反対側に位置する第2面22と、を含む。図1に示す例において、基材20は、第1面21の法線方向に沿って見た場合に、第1方向D1に延びる一対の辺と、第2方向D2に延びる一対の辺とを含む四角形状を有する。第1方向D1と第2方向D2とは、図1に示すように互いに直交していてもよく、図示はしないが直交していなくてもよい。以下の説明において、第1面21の法線方向に沿って配線基板10又は配線基板10の構成要素を見ることを、単に「平面視」とも称する。本実施の形態において、基材20は、少なくとも第1方向D1において伸縮性を有する。基材20は第1方向D1以外の方向においても伸縮性を有していてもよい。
基材20の厚みは、例えば10μm以上10mm以下であり、より好ましくは20μm以上3mm以下である。基材20の厚みを10μm以上にすることにより、基材20の耐久性を確保することができる。また、基材20の厚みを10mm以下にすることにより、配線基板10の装着快適性を確保することができる。なお、基材20の厚みを小さくしすぎると、基材20の伸縮性が損なわれる場合がある。
なお、基材20の伸縮性とは、基材20が伸び縮みすることができる性質、すなわち、常態である非伸長状態から伸長することができ、この伸長状態から解放したときに復元することができる性質をいう。非伸長状態とは、引張応力が加えられていない時の基材20の状態である。本実施形態において、伸縮可能な基材は、好ましくは、破壊されることなく非伸長状態から1%以上伸長することができ、より好ましくは20%以上伸長することができ、更に好ましくは75%以上伸長することができる。このような能力を有する基材20を用いることにより、配線基板10が全体に伸縮性を有することができる。さらに、人の腕などの身体の一部に取り付けるという、高い伸縮が必要な製品や用途において、配線基板10を使用することができる。一般に、人の脇の下に取り付ける製品には、垂直方向において72%、水平方向において27%の伸縮性が必要であると言われている。また、人の膝、肘、臀部、足首、脇部に取り付ける製品には、垂直方向において26%以上42%以下の伸縮性が必要であると言われている。また、人のその他の部位に取り付ける製品には、20%未満の伸縮性が必要であると言われている。
また、非伸長状態にある基材20の形状と、非伸長状態から伸長された後に再び非伸長状態に戻ったときの基材20の形状との差が小さいことが好ましい。この差のことを、以下の説明において形状変化とも称する。基材20の形状変化は、例えば面積比で20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。形状変化の小さい基材20を用いることにより、後述する山部や谷部の形成が容易になる。
基材20の伸縮性を表すパラメータの例として、基材20の弾性係数を挙げることができる。基材20の弾性係数は、例えば10MPa以下であり、より好ましくは1MPa以下である。このような弾性係数を有する基材20を用いることにより、配線基板10全体に伸縮性を持たせることができる。以下の説明において、基材20の弾性係数のことを、第1の弾性係数とも称する。基材20の第1の弾性係数は、1kPa以上であってもよい。
基材20の第1の弾性係数を算出する方法としては、基材20のサンプルを用いて、JIS K6251に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。また、基材20のサンプルの弾性係数を、ISO14577に準拠してナノインデンテーション法によって測定するという方法を採用することもできる。ナノインデンテーション法において用いる測定器としては、ナノインデンターを用いることができる。基材20のサンプルを準備する方法としては、配線基板10から基材20の一部をサンプルとして取り出す方法や、配線基板10を構成する前の基材20の一部をサンプルとして取り出す方法が考えられる。その他にも、基材20の第1の弾性係数を算出する方法として、基材20を構成する材料を分析し、材料の既存のデータベースに基づいて基材20の第1の弾性係数を算出するという方法を採用することもできる。なお、本願における弾性係数は、25℃の環境下における弾性係数である。
基材20の伸縮性を表すパラメータのその他の例として、基材20の曲げ剛性を挙げることができる。曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m又はPa・mである。基材20の断面二次モーメントは、配線基板10の伸縮方向に直交する平面によって、基材20のうち配線52と重なっている部分を切断した場合の断面に基づいて算出される。
基材20を構成する材料の例としては、例えば、エラストマーを挙げることができる。また、基材20の材料として、例えば、織物、編物、不織布などの布を用いることもできる。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、具体的には、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ニトリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー、1,2−BR系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。機械的強度や耐磨耗性を考慮すると、ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。また、基材20が、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーンを含んでいてもよい。シリコーンは、耐熱性・耐薬品性・難燃性に優れており、基材20の材料として好ましい。
〔配線〕
配線52は、導電性を有し、平面視において細長い形状を有する部材である。図1に示す例において、配線52は、基材20の第1面21の面内方向の1つである第1方向D1に延びている。
本実施の形態において、配線52は、基材20の第1面21側に位置している。図2に示すように、配線52は、基材20の第1面21に接していてもよい。図示はしないが、基材20の第1面21と配線52との間にその他の部材が介在されていてもよい。
配線52の材料としては、後述する蛇腹形状部の解消及び生成を利用して基材20の伸長及び収縮に追従することができる材料が用いられる。配線52の材料は、それ自体が伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。
配線52に用いられ得る、それ自体は伸縮性を有さない材料としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、白金、クロム等の金属や、これらの金属を含む合金が挙げられる。配線52の材料自体が伸縮性を有さない場合、配線52としては、金属膜を用いることができる。
配線52に用いられる材料自体が伸縮性を有する場合、材料の伸縮性は、例えば、基材20の伸縮性と同様である。配線52に用いられ得る、それ自体が伸縮性を有する材料としては、例えば、導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物が挙げられる。導電性粒子としては、配線に使用できるものであればよく、例えば、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子が挙げられる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
好ましくは、配線52は、変形に対する耐性を有する構造を備える。例えば、配線52は、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有する。この場合、ベース材として、樹脂などの変形可能な材料を用いることにより、基材20の伸縮に応じて配線52も変形することができる。また、変形が生じた場合であっても複数の導電性粒子の間の接触が維持されるように導電性粒子の分布や形状を設定することにより、配線52の導電性を維持することができる。
配線52のベース材を構成する材料としては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、例えば、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ポリクロロプレン等を用いることができる。中でも、ウレタン系、シリコーン系構造を含む樹脂やゴムが、その伸縮性や耐久性などの面から好ましく用いられる。また、配線52の導電性粒子を構成する材料としては、例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、白金、カーボン等の粒子を用いることができる。中でも、銀粒子が好ましく用いられる。
配線52の厚みは、基材20の伸縮に耐え得る厚みであればよく、配線52の材料等に応じて適宜選択される。
例えば、配線52の材料が伸縮性を有さない場合、配線52の厚みは、25nm以上100μm以下の範囲内とすることができ、50nm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、100nm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましい。
また、配線52の材料が伸縮性を有する場合、配線52の厚みは、5μm以上60μm以下の範囲内とすることができ、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、20μm以上40μm以下の範囲内であることがより好ましい。
配線52の幅は、例えば50μm以上且つ10mm以下である。
配線52の幅は、配線52に求められる電気抵抗値に応じて適宜選択される。配線52の幅は、例えば1μm以上であり、好ましくは50μm以上である。また、配線52の幅は、例えば10mm以下であり、好ましくは1mm以下である。
配線52の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に蒸着法やスパッタリング法、金属箔の積層等により金属膜を形成した後、フォトリソグラフィ法により金属膜をパターニングする方法が挙げられる。基材20上または後述する支持基板40上に金属箔を積層する場合、基材20または支持基板40と金属箔との間に接着層などが介在されていてもよい。また、配線52の材料自体が伸縮性を有する場合、例えば、基材20上または支持基板40上に一般的な印刷法により上記の導電性粒子およびエラストマーを含有する導電性組成物をパターン状に印刷する方法が挙げられる。これらの方法のうち、材料効率がよく安価に製作できる印刷法が好ましく用いられ得る。
〔調整機構〕
調整機構30は、基材20の伸縮を制御するために基材20の第1面21側に設けられている機構である。調整機構30は、基材20の広域にわたって設けられている。例えば、調整機構30は、基材20の第1面21側において、配線52よりも高い占有率を有する。このため、調整機構30が設けられていない場合に比べて、配線基板10を伸縮させる際に配線基板10の一部に局所的に応力が集中することを抑制することができる。例えば、基材20の弾性係数と配線52の弾性係数の相違が大きく、且つ配線52の占有率が低い場合、配線基板10を伸縮させる際に配線52に応力が集中し易い。これに対して、本実施の形態によれば、基材20に調整機構30を設けることにより、配線52に応力が集中することを抑制することができる。これにより、配線基板10に生じる湾曲や屈曲などの変形が局所的に大きくなることを抑制することができる。このため、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。また、配線基板10を繰り返し伸縮させた際に配線52の電気抵抗値が増加してしまうことを抑制することができる。
なお「調整機構の占有率」とは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合の配線基板10全体の面積に対する、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合の、第1面21側に位置する全ての調整機構30の面積の比率である。同様に、「配線の占有率」とは、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合の配線基板10全体の面積に対する、基材20の第1面21の法線方向に沿って見た場合の、第1面21側に位置する全ての配線52の面積の比率である。
ところで、本件発明者らが鋭意研究を行ったところ、調整機構30が配線52に接していると、配線52の電気特性に劣化が生じ易いことを見出した。例えば、配線52が全体的に調整機構30によって覆われている場合、配線基板10を1万回にわたって繰り返し伸縮させる伸縮試験の前後で、配線52の電気抵抗値が5倍以上に増加することがあった。このような電気抵抗値の増加は、配線52が、ベース材と、ベース材の中に分散された複数の導電性粒子とを有し、調整機構30のうち配線52に接する表面が樹脂又はエラストマーを含む場合に顕著に現れた。
このような課題を考慮し、本実施の形態においては、調整機構30が配線52に全く又はほとんど重ならないように調整機構30を設けることを提案する。例えば、図1に示すように、平面視において配線52との間に間隔Z1を空けて調整機構30を設けることを提案する。この場合、調整機構30は、配線52との間に間隔Z1を空けて第1方向D1に延びる側縁30eを有する。このように調整機構30を設けることにより、配線52と調整機構30との接触に起因して配線52の電気抵抗値が増加してしまうことを防ぐことができる。配線52と調整機構30の側縁30eとの間の間隔Z1は、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。
一方、間隔Z1が大きくなり過ぎると、配線52に応力が集中することを調整機構30によって抑制するという効果が生じにくくなる。配線52と調整機構30の側縁30eとの間の間隔Z1は、配線52の幅以下であることが好ましい。また、間隔Z1は、例えば1mm以下であり、500μm以下であってもよく、100μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、7μm以下であってもよい。
好ましくは、配線基板10のうち配線52が設けられていない部分には、より高い密度で調整機構30が設けられる。配線基板10のうち配線52が設けられていない部分の面積に対する、調整機構30の面積の比率は、例えば50%以上であり、60%以上であってもよく、70%以上であってもよく、80%以上であってもよく、90%以上であってもよく、95%以上であってもよい。
図1に示すように、調整機構30は、配線52が延びる第1方向D1に直交する第2方向D2において配線52を挟むように位置していてもよい。この場合、第2方向D2において配線52の一方の側に位置する調整機構30と配線52との間の間隔と、第2方向D2において配線52の他方の側に位置する調整機構30と配線52との間の間隔は、同一であってもよく、異なっていてもよい。また、図示はしないが、調整機構30は、第2方向D2において配線52の一方の側又は他方の側にのみ位置していてもよい。
図1において、符号W1は、第1方向D1に直交する第2方向D2における配線52の寸法を表し、符号W2は、第2方向D2における調整機構30の寸法を表す。以下の説明において、第1方向D1に直交する第2方向D2における配線52の寸法のことを、配線52の幅とも称する。調整機構30の寸法W2は、配線52の幅W1の2倍以上であってもよく、より好ましくは5倍以上である。
図3に示すように、調整機構30は、第1面21側において第1面21の面内方向に広がる調整層31を少なくとも含む。調整層31は、第1方向D1において、基材20の第1の弾性係数よりも高い弾性係数を有してもよい。また、調整層31の弾性係数は、配線52の弾性係数よりも低くてもよい。調整層31の弾性係数は、例えば10GPa以上500GPa以下であり、より好ましくは1GPa以上300GPa以下である。調整層31の弾性係数が低すぎると、基材20の伸長を抑制できない場合がある。また、調整層31の弾性係数が高すぎると、基材20が伸縮した際に、割れやひびなど構造の破壊が調整層31に起こる場合がある。調整層31の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の1.1倍以上5000倍以下であってもよく、より好ましくは10倍以上3000倍以下である。以下の説明において、調整層31の弾性係数のことを、第2の弾性係数とも称する。
調整層31の材料は、伸縮性を有していてもよく、伸縮性を有していなくてもよい。中でも、調整層の材料は伸縮性を有することが好ましい。調整層31が伸縮性を有する材料を含む場合には、変形に対する耐性を有することができるからである。
調整層31に用いられる伸縮性を有さない材料としては、例えば、樹脂を挙げることができる。樹脂としては、一般的な樹脂を用いることができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等のいずれも用いることができる。また、調整層31が樹脂又はエラストマーを含む場合、調整層としては、樹脂基材を用いることもできる。
調整層31に用いられる伸縮性を有する材料の伸縮性としては、基材20の伸縮性と同様とすることができる。
調整層31に用いられる伸縮性を有する材料としては、例えば、エラストマーを挙げることができる。エラストマーとしては、一般的な熱可塑性エラストマーおよび熱硬化性エラストマーを用いることができ、具体的には、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリスチレンブタジエン、ポリクロロプレン等が挙げられる。調整層31を構成する材料がこれらの樹脂である場合、調整層31は、透明性を有していてもよい。また、調整層は、遮光性、例えば紫外線を遮蔽する特性を有していてもよい。例えば、調整層31は黒色であってもよい。また調整層の色と基板の色とが同一であってもよい。調整層31にデザイン性を持たせて加飾の役割を持っていてもよい。
また、調整層31は、絶縁性を有していてもよい。絶縁性を有する調整層31の材料としては、樹脂やエラストマーを用いることができる。
調整層31の第2の弾性係数を算出する方法は、調整層31の形態に応じて適宜定められる。例えば、調整層31の第2の弾性係数を算出する方法は、上述の基材20の弾性係数を算出する方法と同様であってもよく、異なっていてもよい。後述する支持基板40の弾性係数も同様である。例えば、調整層31又は支持基板40の弾性係数を算出する方法として、調整層31又は支持基板40のサンプルを用いて、ASTM D882に準拠して引張試験を実施するという方法を採用することができる。
調整機構30は、樹脂又はエラストマーを含む表面を有していてもよい。図3に示すように調整機構30が調整層31からなる場合、調整機構30の樹脂又はエラストマーを含む表面は、調整層31が樹脂又はエラストマーを含むことによって実現され得る。
調整層31の厚みは、伸縮に耐え得る厚みであればよく、調整層31の材料等に応じて適宜選択される。調整層31の厚みは、例えば、0.1μm以上とすることができ、1μm以上であってもよく、10μm以上であってもよい。また、調整層31の厚みは、例えば、5mm以下とすることができ、1mm以下であってもよく、500μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。調整層31が薄すぎると、応力集中を低減する効果が十分に得られない場合がある。また、調整層31が厚すぎると、調整層31の弾性係数が上述の関係を満たしていても、調整層31の曲げ剛性が大きくなり、応力集中を低減することが困難になる場合がある。
調整層31の特性を、弾性係数に替えて曲げ剛性によって表してもよい。調整層31の断面二次モーメントは、配線52が延びる方向に直交する平面によって調整層31を切断した場合の断面に基づいて算出される。調整層31の曲げ剛性は、基材20の曲げ剛性の1.1倍以上であってもよく、より好ましくは2倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。なお、曲げ剛性は、対象となる部材の断面二次モーメントと、対象となる部材を構成する材料の弾性係数との積であり、単位はN・m又はPa・mである。
調整層31の形成方法は、材料等に応じて適宜選択される。例えば、基材20上または後述する支持基板40上に配線52を形成した後、調整層31を構成する材料を印刷法により基材20上に印刷する方法が挙げられる。調整層31を構成する金属箔、樹脂フィルムなどの部材を基材20に接着層などを介して貼り付けてもよい。
次に、配線基板10の断面形状について詳細に説明する。まず、配線基板10のうち配線52を含む部分の断面形状について、図4を参照して説明する。図4は、配線52を通るA−A線に沿った断面図である図2の配線基板を拡大して示す図である。
後述するように、配線52は、張力を加えられて第1伸長量で伸長された状態の基材20に設けられる。この場合、基材20から張力が取り除かれて基材20が収縮するとき、配線52は、図4に示すように、蛇腹状に変形して蛇腹形状部55を有するようになる。
配線52の蛇腹形状部55は、配線52が延びる第1方向D1方向に沿って並ぶ複数の山部53を含む。山部53は、配線52の表面において第1面21の法線方向に隆起した部分である。図4に示すように、配線52が延びる方向において隣り合う2つの山部53の間には谷部54が存在していてもよい。
図4に示す例において、配線52の山部53及び谷部54並びに基材20の第1面21の山部23及び谷部24は、基材20の辺が延びる方向である第1方向D1に並んでいる。すなわち、配線52の山部53及び谷部54並びに基材20の第1面21の山部23及び谷部24が並ぶ方向と、基材20の辺が延びる方向とが一致している。しかしながら、これに限られることはなく、図示はしないが、配線52の山部53及び谷部54並びに基材20の第1面21の山部23及び谷部24が並ぶ方向と、基材20の辺が延びる方向とが一致していなくてもよい。また、図4においては、蛇腹形状部55の複数の山部53及び谷部54が一定の周期で並ぶ例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、蛇腹形状部55の複数の山部53及び谷部54は、第1方向D1に沿って不規則に並んでいてもよい。例えば、第1方向D1において隣り合う2つの山部53の間の間隔が一定でなくてもよい。
図4において、符号S1は、第1面21側における配線基板10の表面のうち配線52の蛇腹形状部55に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅を表す。図4に示す例においては、配線52が配線基板10の表面に位置しているので、振幅S1は、配線52の山部53及び谷部54の振幅である。振幅S1は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。振幅S1を10μm以上とすることにより、基材20の伸長に追従して配線52が変形し易くなる。また、振幅S1は、例えば500μm以下であってもよい。
山部及び谷部の振幅は、例えば、山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲にわたって、隣り合う山部と谷部との間の、基材20の法線方向における距離を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。「山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲」は、例えば10mmである。隣り合う山部と谷部との間の距離を測定する測定器としては、レーザー顕微鏡などを用いた非接触式の測定器を用いてもよく、接触式の測定器を用いてもよい。また、断面写真などの画像に基づいて、隣り合う山部と谷部との間の距離を測定してもよい。
図4において、符号F1は、第1面21側における配線基板10の表面のうち配線52の蛇腹形状部55に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期を表す。図4に示す例においては、配線52が配線基板10の表面に位置しているので、周期F1は、配線52の山部53及び谷部54の周期である。周期F1は、例えば10μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。また、周期F1は、例えば100mm以下であり、より好ましくは10mm以下である。山部及び谷部の周期F1は、山部及び谷部が並ぶ方向における一定の範囲にわたって、複数の山部の間隔を測定し、それらの平均を求めることにより算出される。
図4において、符号S2は、配線52の蛇腹形状部55に重なる部分において基材20の第1面21に現れる山部23及び谷部24の振幅を表す。図4に示すように配線52が基材20の第1面21上に位置している場合、基材20の第1面21の山部23及び谷部24の振幅S2は、配線52の蛇腹形状部55の振幅S1に等しい。
図4に示すように、配線基板10のうち基材20の第2面22側の表面にも、配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部25や谷部26が現れてもよい。図3に示す例において、第2面22側の山部25は、配線52の蛇腹形状部55の谷部54に重なる位置に現れ、第2面22側の谷部26は、配線52の蛇腹形状部55の山部53に重なる位置に現れている。
図4において、符号S3は、基材20の第2面22側における配線基板10の表面において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部25及び谷部26の、基材20の第2面22の法線方向における振幅を表す。第2面22側の山部25及び谷部26の振幅S3は、第1面21側の山部53及び谷部54の振幅S1と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、第2面22側の山部25及び谷部26の振幅S3が、第1面21側の山部53及び谷部54の振幅S1よりも小さくてもよい。例えば、振幅S3は、振幅S1の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、振幅S3は、振幅S1の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。なお、「第2面22側の山部25及び谷部26の振幅S3が、第1面21側の山部53及び谷部54の振幅S1よりも小さい」とは、第2面22側における配線基板10の表面に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図4において、符号F3は、基材20の第2面22側における配線基板10の表面において配線52が延びる方向に沿って並ぶ複数の山部25及び谷部26の周期を表す。第2面22側の山部25及び谷部26の周期F3は、図4に示すように、第1面21側の山部53及び谷部54の周期F1と同一であってもよい。
図5は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図5に示すように、第2面22側の山部25及び谷部26の周期F3は、第1面21側の山部53及び谷部54の周期F1よりも大きくてもよい。例えば、周期F3は、周期F1の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。なお、「第2面22側の山部25及び谷部26の周期F3が、第1面21側の山部53及び谷部54の周期F1よりも大きい」とは、第2面22側における配線基板10の表面に山部及び谷部が現れない場合を含む概念である。
図6は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図6に示すように、第2面22側の山部25及び谷部26の位置が、第1面21側の谷部54及び山部53の位置からJだけずれていてもよい。ずれ量Jは、例えば0.1×F1以上であり、0.2×F1以上であってもよい。
次に、配線基板10のうち配線52に隣接する調整機構30を含む部分の断面形状について、図7を参照して説明する。図7は、調整機構30を通るB−B線に沿った断面図である図3の配線基板を拡大して示す図である。
配線52と同様に調整機構30も、張力を加えられて伸長された状態の基材20に設けられる。例えば、第1伸長量で伸長された状態の基材20に配線52を設ける工程において、調整機構30も基材20に設けられる。この場合、基材20から張力が取り除かれて基材20が収縮するとき、調整機構30は、図7に示すように、蛇腹状に変形して蛇腹形状部35を有するようになる。調整機構30の蛇腹形状部35は、第1方向D1方向に沿って並ぶ複数の山部33及び谷部34を含む。
図7において、符号S4は、第1面21側における配線基板10の表面のうち調整機構30の蛇腹形状部35に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅を表す。図7に示す例においては、調整機構30が配線基板10の表面に位置しているので、振幅S4は、調整機構30の山部33及び谷部34の振幅である。振幅S4は、例えば1μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。また、振幅S4は、例えば500μm以下であってもよい。
調整機構30の蛇腹形状部35の領域における振幅S4は、配線52の蛇腹形状部55の領域における振幅S1と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、調整機構30の領域における振幅S4が、配線52の領域における振幅S1よりも大きくてもよく、振幅S1よりも小さくてもよい。
図7において、符号F4は、第1面21側における配線基板10の表面のうち調整機構30の蛇腹形状部35に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期を表す。調整機構30の蛇腹形状部35の領域における周期F4は、配線52の蛇腹形状部55の領域における周期F1と同一であってもよく、異なっていてもよい。
図7において、符号S5は、調整機構30の蛇腹形状部35に重なる部分において基材20の第1面21に現れる山部23及び谷部24の振幅を表す。調整機構30に重なる部分における基材20の第1面21の振幅S5は、配線52に重なる部分における基材20の第1面21の振幅S1と同一であってもよく、振幅S1よりも大きくてもよく、振幅S1よりも小さくてもよい。
図7において、符号S6及びF6は、調整機構30の蛇腹形状部35に重なる部分において基材20の第2面22に現れる山部25及び谷部26の振幅及び周期を表す。調整機構30に重なる部分における基材20の第2面22の振幅S6は、配線52に重なる部分における基材20の第2面22の振幅S3と同一であってもよく、振幅S6よりも大きくてもよく、振幅S6よりも小さくてもよい。また、調整機構30に重なる部分における基材20の第2面22の周期F6は、配線52に重なる部分における基材20の第2面22の周期F3と同一であってもよく、周期F6よりも大きくてもよく、周期F6よりも小さくてもよい。
図8は、配線基板10の断面図のその他の例を示している。図8に示すように、調整機構30は、調整層31に接する接着層32を含んでいてもよい。図8に示す例において、接着層32は、調整層31と基材20の第1面21との間に位置している。すなわち、調整層31が接着層32によって基材20の第1面21に接着されている。この場合、調整機構30の樹脂又はエラストマーを含む表面は、接着層32が樹脂又はエラストマーを含むことによって実現され得る。
接着層32の厚みは、接着層32が伸縮可能であり、且つ調整層31を基材20の第1面側に貼合可能であるよう設定される。接着層32の厚みは、例えば10μm以上、100μm以下の範囲内である。
接着層32は、分子接着層であってもよい。なお、「分子接着」とは、分子接着剤となる化合物を2つの被着体の間に付与し、化学結合によりこれらの2つの被着体を接着接合することをいう。
分子接着層に用いられる分子接着剤としては、公知の分子接着剤を用いることができ、配線基板10の用途等に応じて適宜選択される。例えば、シランカップリング剤、チオール系化合物等が挙げられる。分子接着層の厚さは、例えば数nm〜100nm程度である。
調整層31及び接着層32を含む調整機構30の蛇腹形状部35の領域における振幅S4は、配線52の蛇腹形状部55の領域における振幅S1よりも小さくてもよい。また、調整層31及び接着層32を含む調整機構30の蛇腹形状部35の領域における周期F4は、配線52の蛇腹形状部55の領域における周期F1よりも大きくてもよい。
(配線基板の製造方法)
次に、図9(a)〜(c)を参照して、配線基板10の製造方法について説明する。
まず、図9(a)に示すように、第1面21及び第2面22を含み、伸縮性を有する基材20を準備する基材準備工程を実施する。符号L0は、張力が加えられていない状態の基材20の、第1方向D1における寸法を表している。
続いて、図9(b)に示すように、第1方向D1において基材20に第1張力T1を加えて、基材20を寸法L1まで伸長させる第1伸長工程を実施する。第1方向D1における基材20の伸長率(=(L1−L0)×100/L0)は、例えば10%以上且つ200%以下である。伸長工程は、基材20を加熱した状態で実施してもよく、常温で実施してもよい。基材20を加熱する場合、基材20の温度は例えば50℃以上且つ100℃以下である。
続いて、図9(b)に示すように、第1伸長工程における第1張力T1によって伸長した状態の基材20の第1面21に配線52を設ける配線形成工程を実施する。例えば、ベース材及び導電性粒子を含む導電性ペーストを基材20の第1面21に印刷する。
また、図9(b)において点線で示すように、伸長した状態の基材20の第1面21のうち配線52と重ならない領域に調整機構30を設ける調整機構形成工程を実施する。例えば、配線52の場合と同様に、第1張力T1によって伸長した状態の基材20の第1面21に調整機構30を設ける。配線52を設ける前に調整機構30を設けてもよく、配線52を設けた後に調整機構30を設けてもよい。
その後、基材20から第1張力T1を取り除く第1収縮工程を実施する。これにより、図9(c)において矢印Cで示すように、第1方向D1において基材20が収縮し、基材20に設けられている配線52及び調整機構30にも変形が生じる。配線52及び調整機構30の変形は、上述のように蛇腹形状部55及び蛇腹形状部35として生じ得る。このようにして、蛇腹形状部が現れている配線基板10を得ることができる。
本実施の形態によれば、配線基板10の配線52が蛇腹形状部55を有している。このため、配線基板10の基材20が伸長する際、配線52は、蛇腹形状部55の起伏を低減するように変形することによって、すなわち蛇腹形状を解消することによって、基材20の伸長に追従することができる。このため、基材20の伸長に伴って配線52の全長が増加することや、配線52の断面積が減少することを抑制することができる。このことにより、配線基板10の伸長に起因して配線52の抵抗値が増加することを抑制することができる。また、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。
配線52の蛇腹形状部55によって得られる、配線52の電気抵抗値に関する効果の一例について説明する。ここでは、第1方向D1における張力が基材20に加えられていない第1状態における配線52の電気抵抗値を、第1電気抵抗値と称する。また、第1方向D1において基材20に張力を加えて基材20を第1状態に比べて30%伸長させた第2状態における配線52の抵抗値を、第2電気抵抗値と称する。本実施の形態によれば、配線52に蛇腹形状部55を形成することにより、第1電気抵抗値に対する、第1電気抵抗値と第2電気抵抗値の差の絶対値の比率を、20%以下にすることができ、より好ましくは10%以下にすることができ、更に好ましくは5%以下にすることができる。
また、本実施の形態によれば、配線基板10が調整機構30を有している。このため、基材20の弾性係数と配線52の弾性係数の相違に起因して配線52に応力が集中することを抑制することができる。これにより、配線基板10に生じる湾曲や屈曲などの変形が局所的に大きくなることを抑制することができる。このため、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。また、配線基板10を繰り返し伸縮させた際に配線52の電気抵抗値が増加してしまうことを抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、配線52と重ならないよう調整機構30が配置されている。例えば、調整機構30は、配線52との間に間隔Z1を空けて設けられており、このため調整機構30は、配線52に沿って延びる側縁30eを有している。調整機構30が配線52と重なっていないことにより、調整機構30が配線52に接することに起因して配線52の電気特性の劣化が生じることを抑制することができる。これにより、例えば、配線基板10を繰り返し伸縮させる前後で配線52の電気抵抗値が増加してしまうことを防ぐことができる。また、配線52と調整機構30との間の間隔Z1を10μm以下にすることにより、基材20のうち調整機構30と重なる部分に現れる蛇腹形状部35の周期性が、基材20のうち配線52と重なる部分に現れる蛇腹形状部35の周期性に影響を及ぼすことができる。
配線基板10の用途としては、ヘルスケア分野、医療分野、介護分野、エレクトロニクス分野、スポーツ・フィットネス分野、美容分野、モビリティ分野、畜産・ペット分野、アミューズメント分野、ファッション・アパレル分野、セキュリティ分野、ミリタリー分野、流通分野、教育分野、建材・家具・装飾分野、環境エネルギー分野、農林水産分野、ロボット分野などを挙げることができる。例えば、人の腕などの身体の一部に取り付ける製品を、本実施の形態による配線基板10を用いて構成する。配線基板10は伸長することができるので、例えば配線基板10を伸長させた状態で身体に取り付けることにより、配線基板10を身体の一部により密着させることができる。このため、良好な着用感を実現することができる。また、配線基板10が伸長した場合に配線52の電気抵抗値が低下することを抑制することができるので、配線基板10の良好な電気特性を実現することができる。他にも配線基板10は伸長することができるので、人などの生体に限らず曲面や立体形状に沿わせて設置や組込むことが可能である。それらの製品の一例としては、バイタルセンサ、マスク、補聴器、歯ブラシ、絆創膏、湿布、コンタクトレンズ、義手、義足、義眼、カテーテル、ガーゼ、薬液パック、包帯、ディスポーザブル生体電極、おむつ、家電製品、スポーツウェア、リストバンド、はちまき、手袋、水着、サポーター、ボール、ラケット、グリップ、薬液浸透美容マスク、電気刺激ダイエット用品、懐炉、自動車内装、シート、インパネ、ベビーカー、ドローン、車椅子、タイヤ、首輪、リード、ハプティクスデバイス、ランチョンマット、帽子、服、メガネ、靴、インソール、靴下、ストッキング、インナーウェア、マフラー、耳あて、鞄、アクセサリー、指輪、付け爪、時計、個人ID認識デバイス、ヘルメット、パッケージ、ICタグ、ペットボトル、文具、書籍、カーペット、ソファ、寝具、照明、ドアノブ、花瓶、ベッド、マットレス、座布団、ワイヤレス給電アンテナ、電池、ビニールハウス、ロボットハンド、ロボット外装を挙げることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(第1の変形例)
本変形例においては、調整機構30が、基材20が過剰に伸長して配線52などの構成要素に破断などの不具合が生じることを防ぐストッパーとしても機能する例について説明する。
図10は、調整機構30を通る図1のB−B線に沿った配線基板10の断面図であり、上述の実施の形態における図7に相当する図である。本変形例において、調整機構30の蛇腹形状部35の領域における山部及び谷部の周期F4は、上述の図4などに示す配線52の蛇腹形状部55の領域における山部及び谷部の周期F1よりも大きい。例えば、周期F4は、周期F1の1.1倍以上であってもよく、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。また、調整機構30の蛇腹形状部35の領域における山部及び谷部の振幅S4は、上述の図4などに示す配線52の蛇腹形状部55の領域における山部及び谷部の振幅S1よりも小さい。例えば、振幅S4は、振幅S1の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。また、振幅S4は、振幅S1の0.1倍以上であってもよく、0.2倍以上であってもよい。
(配線基板の製造方法)
次に、図11(a)〜(c)及び図12(a)〜(c)を参照して、配線基板10の製造方法について説明する。
まず、図11(a)に示すように、基材20を準備する基材準備工程を実施する。続いて、図11(b)に示すように、第1方向D1において基材20に第1張力T1を加えて、基材20を寸法L1まで伸長させる第1伸長工程を実施する。続いて、図11(b)に示すように、第1伸長工程における第1張力T1によって伸長した状態の基材20の第1面21に配線52を設ける配線形成工程を実施する。その後、基材20から第1張力T1を取り除く第1収縮工程を実施する。
続いて、図12(a)に示すように、第1方向D1において基材20に第2張力T2を加えて、基材20を寸法L2まで伸長させる第2伸長工程を実施する。第2張力T2は、上述の第1伸長工程における第1張力T1よりも小さい。このため、第2伸長工程における基材20の伸長率(=(L2−L0)×100/L0)は、第1伸長工程における基材20の伸長率よりも小さい。従って、第2伸長工程においては、配線52の蛇腹形状部55が完全には解消されない。第2伸長工程における基材20の伸長率は、第1伸長工程における基材20の0.9倍以下であってもよく、0.8倍以下であってもよく、0.6倍以下であってもよい。
続いて、図12(b)において点線で示すように、第2伸長工程における第2張力T2によって伸長した状態の基材20の第1面21のうち配線52と重ならない領域に調整機構30を設ける調整機構形成工程を実施する。
その後、基材20から第2張力T2を取り除く第2収縮工程を実施する。これにより、図12(c)において矢印Cで示すように、第1方向D1において基材20が収縮し、基材20に設けられている調整機構30にも変形が生じる。調整機構30の変形は、上述のように蛇腹形状部35として生じ得る。このようにして、基材20、配線52及び調整機構30を備える配線基板10を得ることができる。
次に、図13を参照して、配線基板10の作用について説明する。図13は、配線基板10を伸長させた場合に張力及び配線52の電気抵抗が変化する様子の一例を示す図である。図13において、横軸は、配線基板10の伸長量Eを表す。左側の縦軸は、配線基板10に加えられている張力Tを表す。右側の縦軸は、配線52で第1方向D1に並ぶ2点の間における電気抵抗Rを表す。
図13において、符号C1が付された線は、配線基板10を第1方向D1において伸長させながら、配線52上の2点間の電気抵抗Rを測定することによって得られた測定点を順に結ぶことによって描かれる。また、符号C2が付された線は、配線基板10を第1方向D1において伸長させながら配線基板10に加えられている張力Tを測定することによって得られた測定点を順に結ぶことによって描かれる。張力Tを測定するための測定器としては、「JIS L 1096 織物及び編物の生地試験方法」に準拠して伸長率及び弾性率を測定することができるものを用いることができ、例えばエー・アンド・デイ社製のテンシロン万能材料試験機を用いることができる。また、電気抵抗Rを測定するための測定器としては、例えばケースレー社製のKEITHLEY 2000デジタルマルチメーターを用いることができる。配線52上の2点の間の第1方向D1における距離は、10mm以上200mm以下であり、例えば30mmである。
図13に示すように、電気抵抗Rは、第1方向D1における基材20の伸長量Eが第1伸長量E1のときに、単位伸長量当たりの電気抵抗Eの増加量が変化する第1転換点P1を示す。第1転換点P1は、例えば、配線52の蛇腹形状部55が解消されるときに現れる。
図13の例において、第1転換点P1は、直線M1と直線M2とが交わる点における伸長量を有する点として定義される。直線M1は、伸長量Eがゼロの位置において線C1に接する直線である。直線M1の傾きは、第1方向D1における配線基板10の伸長量Eが第1伸長量E1より小さいときの、単位伸長量当たりの電気抵抗Rの増加量(以下、第1電気抵抗増加率とも称する)を表している。また、直線M2は、線C1の傾きが直線M1の傾きよりも有意に大きくなる位置において線C1を近似する直線である。直線M2の傾きは、第1方向D1における配線基板10の伸長量Eが第1伸長量E1より大きいときの、単位伸長量当たりの電気抵抗Rの増加量(以下、第2電気抵抗増加率とも称する)を表している。
第2電気抵抗増加率は、第1電気抵抗増加率の好ましくは2倍以上であり、3倍以上であってもよく、4倍以上であってもよい。なお、図示はしないが、第1転換点P1は、線C1の傾きが直線M1の2倍になる点として定義されてもよい。
図13に示すように、張力Tは、第1方向D1における基材20の伸長量Eが第2伸長量E2のときに、単位伸長量当たりの張力Tの増加量が変化する第2転換点P2を示す。第2転換点P2は、例えば、調整機構30の蛇腹形状部35が解消されるときに現れる。
図13の例において、第2転換点P2は、直線N1と直線N2とが交わる点における伸長量を有する点として定義される。直線N1は、伸長量Eがゼロの位置において線C2に接する直線である。直線N1の傾きは、第1方向D1における配線基板10の伸長量Eが第2伸長量E2より小さいときの、単位伸長量当たりの張力Tの増加量(以下、第1張力増加率とも称する)を表している。また、直線N2は、線C2の傾きが直線N1の傾きよりも有意に大きくなる位置において線C2を近似する直線である。直線N2の傾きは、第1方向D1における配線基板10の伸長量Eが第2伸長量E2より大きいときの、単位伸長量当たりの張力Tの増加量(以下、第2張力増加率とも称する)を表している。
第2張力増加率は、好ましくは第1張力増加率の2倍以上であり、3倍以上であってもよく、4倍以上であってもよい。なお、図示はしないが、第2転換点P2は、線C2の傾きが直線N1の2倍になる点として定義されてもよい。
本実施の形態においては、上述のように、調整機構30を設ける時の基材20の伸長率が、配線52を設ける時の基材20の伸長率よりも小さい。このため、基材20を備える配線基板10を伸長させると、配線52の蛇腹形状部55よりも先に調整機構30の蛇腹形状部35が解消される。従って、図13に示すように、第1伸長量E1よりも小さい第2伸長量E2のときに、配線基板10に第2転換点P2が現れるようにすることができる。
図14は、第2伸長量E2まで伸長させた場合の配線基板10の断面図の一例である。図14に示す例において、調整機構30の蛇腹形状部35は解消されているが、配線52の蛇腹形状部55は解消されていない。配線基板10を図14に示す状態から更に伸長させるためには、調整機構30自体を第1方向D1において変形させる必要がある。このため、第2転換点P2が現れた後は、図13に示すように線C2の傾きが大きく増加するので、配線基板10が伸長し難くなる。これにより、配線基板10が過剰に伸長されてしまうことを抑制することができる。このことにより、配線基板10の配線52などの構成要素に破断などの不具合が生じることを抑制することができる。
第1伸長量E1は、好ましくは第2伸長量E2の1.1倍以上であり、1.2倍以上であってもよく、1.5倍以上であってもよく、2.0倍以上であってもよい。第1伸長量E1が第2伸長量E2の1.1倍以上であることにより、配線基板10の伸長が第1伸長量E1に達するよりも前に配線基板10の伸長を停止させ易くなる。また、第1伸長量E1は、第2伸長量E2の5倍以下であってもよい。言い換えると、第2伸長量E2は、第1伸長量の1/5以上であってもよい。人の腕などの身体の一部に配線基板10を取り付けることなどの際に必要になる伸長量を確保することができる。
このように、本実施の形態によれば、配線52に破断などの不具合が生じてしまうことを抑制しながら、使用時に第1方向D1において配線基板10を伸長させることができる。このため、様々な方向における伸長性が求められる用途において配線基板10を適用することができる。
また、上述の実施の形態の場合と同様に、本変形例においても、調整機構30は、配線52に応力が集中することを抑制するという機能を果たすことができる。これにより、配線基板10に生じる湾曲や屈曲などの変形が局所的に大きくなることを抑制することができる。このため、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。また、配線基板10を繰り返し伸縮させた際に配線52の電気抵抗値が増加してしまうことを抑制することができる。
また、本変形例においても、調整機構30は、配線52との間に間隔Z1を空けて設けられている。このため、調整機構30が配線52に接することに起因して配線52の電気特性の劣化が生じることを抑制することができる。これにより、例えば、配線基板10を繰り返し伸縮させる前後で配線52の電気抵抗値が増加してしまうことを防ぐことができる。
(第2の変形例)
上述の実施の形態においては、配線52が基材20の第1面21に設けられる例を示したが、これに限られることはない。本変形例においては、配線52が支持基板によって支持される例を示す。
図15は、第2の変形例に係る配線基板10のうち配線52を含む部分の断面図であり、上述の実施の形態における図4に相当する図である。また、図16は、第2の変形例に係る配線基板10のうち調整機構30を含む部分の断面図であり、上述の実施の形態における図7に相当する図である。配線基板10は、基材20、支持基板40、配線52及び調整機構30を少なくとも備える。
〔支持基板〕
支持基板40は、基材20よりも低い伸縮性を有するよう構成された部材である。支持基板40は、基材20側に位置する第2面42と、第2面42の反対側に位置する第1面41と、を含む。図15に示す例において、支持基板40は、その第1面41側において配線52を支持している。また、支持基板40は、その第2面42側において基材20の第1面21に接合されている。例えば、基材20と支持基板40との間に、接着剤を含む接着層60が設けられていてもよい。接着層60を構成する材料としては、例えばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。接着層60の厚みは、例えば5μm以上且つ200μm以下である。
本変形例においても、上述の実施の形態の場合と同様に、調整機構30は、配線52に接しないよう配置されている。例えば、図16に示すように、調整機構30は、支持基板40の第1面41のうち配線52と重ならない部分に設けられている。
図17は、図15の配線基板10を拡大して示す断面図である。本変形例においては、支持基板40に接合された基材20から張力が取り除かれて基材20が収縮するとき、配線52の山部53及び谷部54と同様の山部及び谷部が支持基板40にも現れる。支持基板40の特性や寸法は、このような山部や谷部が形成され易くなるよう設定されている。例えば、支持基板40は、基材20の第1の弾性係数よりも大きい弾性係数を有する。以下の説明において、支持基板40の弾性係数のことを、第3の弾性係数とも称する。
なお、図示はしないが、支持基板40は、その第2面42側において配線52を支持していてもよい。この場合、調整機構30も、支持基板40の第2面42のうち配線52と重ならない部分に設けられていてもよい。
支持基板40の第3の弾性係数は、例えば100MPa以上であり、より好ましくは1GPa以上である。また、支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以上50000倍以下であってもよく、好ましくは1000倍以上10000倍以下である。このように支持基板40の第3の弾性係数を設定することにより、山部53及び谷部54の周期F1が小さくなり過ぎることを抑制することができる。また、山部53及び谷部54において局所的な折れ曲がりが生じることを抑制することができる。
なお、支持基板40の弾性係数が低すぎると、配線52の形成工程中に支持基板40が変形し易く、この結果、支持基板40に対する配線52の位置合わせが難しくなる。また、支持基板40の弾性係数が高すぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、また基材20の割れや折れが発生し易くなる。
また、支持基板40の厚みは、例えば500nm以上10μm以下であり、より好ましくは1μm以上5μm以下である。支持基板40の厚みが小さすぎると、支持基板40の製造工程や、支持基板40上に配線52などの部材を形成する工程における、支持基板40のハンドリングが難しくなる。支持基板40の厚みが大きすぎると、弛緩時の基材20の復元が難しくなり、目標の基材20の伸縮が得られなくなる。
支持基板40を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂等を用いることができる。その中でも、耐久性や耐熱性がよいポリエチレンナフタレートかポリイミドが好ましく用いられ得る。
支持基板40の第3の弾性係数は、基材20の第1の弾性係数の100倍以下であってもよい。支持基板40の第3の弾性係数を算出する方法は、基材20又は調整層31の場合と同様である。
(配線基板の製造方法)
次に、図18(a)〜(c)を参照して、本変形例に係る配線基板10の製造方法について説明する。
まず、支持基板40を準備する。続いて、支持基板40の第1面41に配線52を設ける。例えば、まず、蒸着法などによって支持基板40の第1面41に銅層などの金属層を形成する。続いて、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて金属層を加工する。これにより、第1面41に配線52を得ることができる。
続いて、図18(b)に示すように、第1方向D1において基材20に第1張力T1を加えて、基材20を寸法L1まで伸長させる第1伸長工程を実施する。続いて、第1伸長工程における第1張力T1によって伸長した状態の基材20の第1面21に配線52を設ける配線形成工程を実施する。本変形例の配線形成工程においては、図18(b)に示すように、基材20の第1面21に、配線52が設けられた支持基板40の第2面42を接合させる。この際、基材20と支持基板40との間に接着層60を設けてもよい。
その後、基材20から第1張力T1を取り除く第1収縮工程を実施する。これにより、図18(c)において矢印Cで示すように、第1方向D1において基材20が収縮し、基材20に設けられている支持基板40及び配線52にも変形が生じる。支持基板40及び配線52の変形は、上述のように蛇腹形状部として生じ得る。
本変形例において、支持基板40に調整機構30を設ける調整機構形成工程を実施するタイミングは任意である。
例えば、基材20に接合される前の状態の支持基板40に調整機構30を設けてもよい。この場合、配線52を設ける前に支持基板40に調整機構30を設けてもよく、配線52を設けた後に支持基板40に調整機構30を設けてもよい。
また、上述の第1の変形例の場合と同様に、第1伸長工程における基材20の伸長率よりも小さい伸長率で伸長されている状態の基材20に接合されている支持基板40に調整機構30を設けてもよい。
本変形例においても、調整機構30は、配線52に応力が集中することを抑制するという機能を果たすことができる。これにより、配線基板10に生じる湾曲や屈曲などの変形が局所的に大きくなることを抑制することができる。このため、配線52にクラックなどの破損が生じてしまうことを抑制することができる。また、配線基板10を繰り返し伸縮させた際に配線52の電気抵抗値が増加してしまうことを抑制することができる。
また、本変形例においても、調整機構30は、配線52との間に間隔Z1を空けて設けられている。このため、調整機構30が配線52に接することに起因して配線52の電気特性の劣化が生じることを抑制することができる。これにより、例えば、配線基板10を繰り返し伸縮させる前後で配線52の電気抵抗値が増加してしまうことを防ぐことができる。
(第3の変形例)
上述の第2の変形例においては、支持基板40が接着層60を介して基材20に接合される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、非接着表面を分子修飾させて、分子接着結合させる方法などによって支持基板40が基材20に接合されていてもよい。この場合、図19に示すように、基材20と支持基板40との間に接着層が設けられていなくてもよい。
(第4の変形例)
上述の第2の変形例及び第3の変形例においては、支持基板40の第1面41側に配線52及び調整機構30が設けられている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図20に示すように、配線52及び調整機構30は、支持基板40の第2面42側に設けられていてもよい。
(第5の変形例)
上述の実施の形態においては、配線52に重ならないよう調整機構30が配置されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図21に示すように、調整機構30が、配線52に重なる重なり部分37を含んでいてもよい。この場合、配線52全体の面積に対する、配線52のうち調整機構30と重なっていない部分の面積の比率(以下、非重複率)が、配線52全体の面積に対する、配線52のうち調整機構30と重なっている部分の面積の比率(重複率)よりも大きいことが好ましい。非重複率は、重複率の例えば2倍以上であり、3倍以上であってもよく、4倍以上であってもよく、5倍以上であってもよい。これにより、調整機構30が配線52に接することに起因して配線52の電気特性の劣化が生じることを抑制することができる。
図21に示すように、調整機構30の重なり部分37は、配線52が延びる方向に沿って間隔を空けて並んでいてもよい。この場合、伸縮した状態の基材20を弛緩させたとき、配線52に、重なり部分37の配置の周期に対応した蛇腹形状部55が生じ易くなる。すなわち、重なり部分37によって蛇腹形状部55の周期を制御することができる。
(第6の変形例)
図22は、本変形例に係る配線基板10を示す平面図である。図23は、図22の配線基板10のC−C線に沿った断面図である。図22及び図23に示すように、配線基板10は、配線52に電気的に接続された電子部品51を備えていてもよい。図22及び図23に示す例において、電子部品51は、支持基板40の第1面41側に位置している。若しくは、配線基板10は、電子部品51が搭載されてはいないが、配線52に電気的に接続される電子部品51が搭載され得るように構成されていてもよい。
図22に示すように、調整機構30は、電子部品51と重ならないよう配置されていてもよい。図示はしないが、調整機構30の一部が電子部品51に重なっていてもよい。
電子部品51は、配線52に接続される電極を有していてもよい。この場合、配線基板10は、電子部品51の電極に接するとともに配線52に電気的に接続された接続部を有する。接続部は、例えばパッドである。
また、電子部品51は、配線52に接続される電極を有していなくてもよい。例えば、電子部品51は、配線基板10の複数の構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素と一体的な部材を含んでいてもよい。このような電子部品51の例として、配線基板10の配線52を構成する導電層と一体的な導電層を含むものや、配線52を構成する導電層とは別の層に位置する導電層を含むものを挙げることができる。例えば、電子部品51は、配線52を構成する導電層よりも平面視において広い幅を有する導電層によって構成されたパッドであってもよい。パッドには、検査用のプローブ、ソフトウェア書き換え用の端子などが接続される。また、電子部品51は、導電層が平面視においてらせん状に延びることによって構成された配線パターンであってもよい。このように、導電層がパターニングされて所定の機能が付与された部分も、電子部品51となり得る。
電子部品51は、能動部品であってもよく、受動部品であってもよく、機構部品であってもよい。電子部品51の例としては、トランジスタ、LSI(Large-Scale Integration)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、リレー、LED、OLED、LCDなどの発光素子、センサ、ブザー等の発音部品、振動を発する振動部品、冷却発熱をコントロールするペルチェ素子や電熱線などの冷発熱部品、抵抗器、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、スイッチ、コネクタなどを挙げることができる。電子部品51の上述の例のうち、センサが好ましく用いられる。センサとしては、例えば、温度センサ、圧力センサ、光センサ、光電センサ、近接センサ、せん断力センサ、生体センサ、レーザーセンサ、マイクロ波センサ、湿度センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、変位センサ、磁気センサ、ガスセンサ、GPSセンサ、超音波センサ、臭いセンサ、脳波センサ、電流センサ、振動センサ、脈波センサ、心電センサ、光度センサ等を挙げることができる。これらのセンサのうち、生体センサが特に好ましい。生体センサは、心拍や脈拍、心電、血圧、体温、血中酸素濃度等の生体情報を測定することができる。
次に、電極を有さない電子部品51の用途について説明する。例えば、上述のパッドは、検査用のプローブ、ソフトウェア書き換え用の端子などが接続される部分として機能し得る。また、らせん状に延びることによって構成された配線パターンは、アンテナなどとして機能し得る。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
次に、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
(伸縮性基材の準備)
支持台の上に、接着層60として機能する粘着シートを載置した。粘着シートとしては、3M社製の粘着シート8146を用いた。続いて、粘着シート上に2液付加縮合のポリジメチルシロキサン(PDMS)を塗布し、PDMSを硬化させた。これにより、粘着シートの上に基材20を形成した。硬化後の基材20の厚さは900μmであった。続いて、基材20及び接着層60を含む第1積層体の一部分を切り出し、接着層60を除去した基材20をサンプルとして用いて、基材20の弾性係数を、JIS K6251に準拠した引張試験により測定した。結果、基材20の弾性係数は0.05MPaであった。また、基材20の断面積は0.45×10−6であった。
(支持基板、配線および調整層の準備)
支持基板40として厚さ2.5μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを準備した。続いて、支持基板40の第1面41に導電性ペーストを所定のパターンで印刷することにより、配線52を形成した。印刷法としては、スクリーン印刷を用いた。導電性ペーストとしては、銀の導電性粒子を含むものを用いた。配線52は、200μmの幅、40mmの長さを有する。また、支持基板40の一部分をサンプルとして取り出し、支持基板40の弾性係数を、ASTM D882に準拠した引張試験により測定した。結果、支持基板の弾性係数は2.2GPaであった。
続いて、支持基板40の第1面41のうち配線52と重ならない領域に、ウレタン樹脂を印刷することにより、調整層31を形成した。印刷法としては、スクリーン印刷を用いた。調整層31は、30μmの厚みを有する。続いて、調整層31の一部分をサンプルとして取り出し、調整層31の弾性係数を、JIS K6251に準拠した引張試験により測定した。結果、調整層31の弾性係数は35MPaであった。
基材20、支持基板40、配線52及び調整層31それぞれの弾性係数の大小関係は下記の通りである。
基材20<調整層31<配線52<支持基板40
(基材と支持基板の接合)
接着層60が形成されている基材20に張力を加え、基材20及び接着層60を第1方向D1において50%伸長させた状態で、配線52及び調整層31が設けられた支持基板40を接着層60に接合させた。この状態における配線52の抵抗は35Ωであった。
続いて、張力を取り除いて伸長を解放させて、基材20を収縮させた。このようにして、配線基板10を作製した。得られた配線基板10において、支持基板40及び支持基板40に設けられている配線52の表面には、複数の山部を含む蛇腹形状部が現れていた。複数の山部の5周期分にわたって周期を測定したところ、平均周期は540μmであった。蛇腹形状部における曲率半径の最小値は43μmであった。また、配線の抵抗は42Ωであり、収縮前の抵抗との差は小さかった。
続いて、配線基板10に対して、30%伸長させる処置及び伸長状態を解放する処置を繰り返し1万回実施した。その後に測定された配線の抵抗は71Ωであり、1万回の伸縮試験の前に比べて1.7倍になっていた。
[比較例1]
支持基板40の第1面41側において配線52と重ならない領域にもウレタン樹脂を含む調整層31を形成したこと以外は、実施例1の場合と同様にして、配線基板10を作製した。この状態における配線52の抵抗は35Ωであった。
続いて、張力を取り除いて伸長を解放させて、基材20を収縮させた。このようにして、配線基板10を作製した。得られた配線基板10において、支持基板40及び支持基板40に設けられている配線52の表面には、複数の山部を含む蛇腹形状部が現れていた。複数の山部の5周期分にわたって周期を測定したところ、平均周期は620μmであった。蛇腹形状部における曲率半径の最小値は45μmであった。また、配線の抵抗は39Ωであり、収縮前の抵抗との差は小さかった。
続いて、配線基板10に対して、30%伸長させる処置及び伸長状態を解放する処置を繰り返し1万回実施した。その後に測定された配線の抵抗は220Ωであり、1万回の伸縮試験の前に比べて5.7倍になっていた。
[比較例2]
支持基板40の第1面41に調整層31を形成しなかったこと以外は、実施例1の場合と同様にして、配線基板10を作製した。この状態における配線52の抵抗は47Ωであった。
続いて、張力を取り除いて伸長を解放させて、基材20を収縮させた。このようにして、配線基板10を作製した。得られた配線基板10において、支持基板40及び支持基板40に設けられている配線52の表面には、複数の山部を含む蛇腹形状部が現れていた。複数の山部の5周期分にわたって周期を測定したところ、平均周期は420μmであり、周期の標準偏差は67μmであった。また、蛇腹形状部における曲率半径の最小値は2μmであった。蛇腹形状部には、不均一な皺や配線の折れが確認された。また、配線の抵抗は81Ωであり、収縮前に比べて1.7倍になっていた。
10 配線基板
20 基材
21 第1面
22 第2面
23 山部
24 谷部
25 山部
26 谷部
30 調整機構
31 調整層
32 接着層
33 山部
34 谷部
37 重なり部分
40 支持基板
41 第1面
42 第2面
51 電子部品
52 配線
53 山部
54 谷部

Claims (30)

  1. 第1面及び前記第1面の反対側に位置する第2面を含み、伸縮性を有する基材と、
    前記基材の前記第1面側に位置し、前記基材の前記第1面の面内方向の1つである第1方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有する配線と、
    前記基材の前記第1面側に位置し、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記配線との間に間隔を空けて前記第1方向に延びる側縁を有し、表面に樹脂又はエラストマーを含む調整機構と、を備える、配線基板。
  2. 前記調整機構は、前記第1方向に直交する第2方向において前記配線を挟むように位置している、請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記調整機構は、前記配線よりも低い弾性係数を有する調整層を含む、請求項1又は2に記載の配線基板。
  4. 前記調整機構は、前記基材よりも高い曲げ剛性又は弾性係数を有する調整層を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の配線基板。
  5. 前記配線は、ベース材及び導電性粒子を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の配線基板。
  6. 前記調整機構は、前記第1方向に直交する第2方向において、前記配線の幅以上の寸法を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の配線基板。
  7. 前記調整機構は、前記第1方向に直交する第2方向において、前記配線の幅の2倍以上の寸法を有する、請求項6に記載の配線基板。
  8. 前記調整機構の前記側縁と前記配線との間の前記間隔が、配線の幅以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の配線基板。
  9. 前記調整機構の前記側縁と前記配線との間の前記間隔が、100μm以下である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の配線基板。
  10. 前記調整機構は、前記第1方向に沿って並ぶ複数の山部及び谷部を含む蛇腹形状部を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の配線基板。
  11. 前記基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅と異なる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の配線基板。
  12. 前記基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅が、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の振幅よりも小さい、請求項11に記載の配線基板。
  13. 前記基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期と異なる、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の配線基板。
  14. 前記基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期が、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の周期よりも大きい、請求項13に記載の配線基板。
  15. 前記基材の前記第2面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の位置が、前記基材の前記第1面側における前記配線基板の表面のうち前記配線の前記蛇腹形状部に重なる部分に現れる山部及び谷部の位置からずれている、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の配線基板。
  16. 前記配線基板を前記第1方向において伸長させながら、前記配線基板に加えられている張力及び前記配線の電気抵抗を測定した場合、前記電気抵抗は、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が第1伸長量のときに、単位伸長量当たりの前記電気抵抗の増加量が変化する第1転換点を示し、前記張力は、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第1伸長量よりも小さい第2伸長量のときに、単位伸長量当たりの前記張力の増加量が変化する第2転換点を示す、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の配線基板。
  17. 前記第1伸長量は、前記第2伸長量の1.1倍以上である、請求項16に記載の配線基板。
  18. 前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第2伸長量より小さいときの、単位伸長量当たりの前記張力の増加量を第1張力増加率と称し、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第2伸長量より大きいときの、単位伸長量当たりの前記張力の増加量を第2張力増加率と称する場合、前記第2張力増加率は前記第1張力増加率より大きい、請求項16又は17に記載の配線基板。
  19. 前記第2張力増加率は前記第1張力増加率の2倍以上である、請求項18に記載の配線基板。
  20. 前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第1伸長量より小さいときの、単位伸長量当たりの前記電気抵抗の増加量を第1電気抵抗増加率と称し、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が前記第1伸長量より大きいときの、単位伸長量当たりの前記電気抵抗の増加量を第2電気抵抗増加率と称する場合、前記第2電気抵抗増加率は前記第1電気抵抗増加率より大きい、請求項16乃至19のいずれか一項に記載の配線基板。
  21. 前記第2電気抵抗増加率は前記第1電気抵抗増加率の2倍以上である、請求項20に記載の配線基板。
  22. 前記基材は、熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ウレタンゲル又はシリコンゲルを含む、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の配線基板。
  23. 支持基板を更に備える、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の配線基板。
  24. 前記支持基板は、前記基材よりも高い弾性係数を有し、前記配線を支持する、請求項23に記載の配線基板。
  25. 前記支持基板は、前記配線と前記基材の前記第1面との間に位置し、前記配線を支持する、請求項23又は24に記載の配線基板。
  26. 前記支持基板は、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、又はポリエチレンテレフタラートを含む、請求項23乃至25のいずれか一項に記載の配線基板。
  27. 前記配線に電気的に接続される電子部品を更に備える、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の配線基板。
  28. 配線基板の製造方法であって、
    伸縮性を有する基材に、前記基材の第1面の面内方向の1つである第1方向において張力を加えて、前記基材を伸長させる第1伸長工程と、
    前記第1伸長工程によって伸長した状態の前記基材の第1面側に、前記第1方向に延びる配線を設ける配線形成工程と、
    伸長した状態の前記基材の第1面側に、前記第1面の法線方向に沿って見た場合に前記配線との間に間隔を空けて前記第1方向に延びる側縁を有し、表面に樹脂又はエラストマーを含む調整機構を設ける調整機構形成工程と、
    前記基材から前記張力を取り除く収縮工程と、を備える、配線基板の製造方法。
  29. 前記配線基板を前記第1方向において伸長させながら、前記配線基板に加えられている張力及び前記配線の電気抵抗を測定した場合、前記電気抵抗は、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が第1伸長量のときに、単位伸長量当たりの前記電気抵抗の増加量が変化する第1転換点を示し、前記張力は、前記第1方向における前記配線基板の伸長量が第1伸長量よりも小さい第2伸長量のときに、単位伸長量当たりの前記張力の増加量が変化する第2転換点を示す、請求項28に記載の配線基板の製造方法。
  30. 前記調整機構形成工程において、前記調整機構は、前記基材に前記配線を設けた後、前記第1伸長工程よりも小さな伸長率で伸長した状態の前記基材の第1面側に設けられる、請求項29に記載の配線基板の製造方法。
JP2019024747A 2019-02-14 配線基板及び配線基板の製造方法 Active JP7486042B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019024747A JP7486042B2 (ja) 2019-02-14 配線基板及び配線基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019024747A JP7486042B2 (ja) 2019-02-14 配線基板及び配線基板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020136350A true JP2020136350A (ja) 2020-08-31
JP7486042B2 JP7486042B2 (ja) 2024-05-17

Family

ID=

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023032329A1 (ja) * 2021-09-03 2023-03-09 株式会社村田製作所 伸縮性配線基板
JP7464200B2 (ja) 2021-09-03 2024-04-09 株式会社村田製作所 伸縮性配線基板

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008187154A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Nitto Denko Corp フレキシブル配線回路基板の接続構造および電子機器
US20140218872A1 (en) * 2013-02-06 2014-08-07 Electronics And Telecommunications Research Institute Electronic circuit and method of fabricating the same
JP2015073064A (ja) * 2013-09-05 2015-04-16 株式会社フジクラ プリント配線板及び該配線板を接続するコネクタ
JP2016143557A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 株式会社フジクラ 伸縮性配線基板
WO2017047519A1 (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 ポリマテック・ジャパン株式会社 弾性配線部材
JP2018120989A (ja) * 2017-01-26 2018-08-02 オムロン株式会社 樹脂構造体およびその製造方法

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008187154A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Nitto Denko Corp フレキシブル配線回路基板の接続構造および電子機器
US20140218872A1 (en) * 2013-02-06 2014-08-07 Electronics And Telecommunications Research Institute Electronic circuit and method of fabricating the same
JP2015073064A (ja) * 2013-09-05 2015-04-16 株式会社フジクラ プリント配線板及び該配線板を接続するコネクタ
JP2016143557A (ja) * 2015-02-02 2016-08-08 株式会社フジクラ 伸縮性配線基板
WO2017047519A1 (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 ポリマテック・ジャパン株式会社 弾性配線部材
JP2018120989A (ja) * 2017-01-26 2018-08-02 オムロン株式会社 樹脂構造体およびその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023032329A1 (ja) * 2021-09-03 2023-03-09 株式会社村田製作所 伸縮性配線基板
JP7464200B2 (ja) 2021-09-03 2024-04-09 株式会社村田製作所 伸縮性配線基板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7172862B2 (ja) 伸縮性回路基板および物品
JP7100852B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7154508B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7184289B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP2020010052A5 (ja)
JP7331423B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7251165B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7269544B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7249514B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7385823B2 (ja) 配線基板
JP7486042B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP2020136350A (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP2021057507A (ja) 配線基板
JP7236052B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7249512B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP2020155605A (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP2020136512A (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7216912B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7320186B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7216911B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP2020167224A (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7400510B2 (ja) 配線基板およびその製造方法
JP6826786B1 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7312367B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法
JP7316538B2 (ja) 配線基板及び配線基板の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20211224

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221118

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230707

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230828

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240216

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240227

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240405