この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1はエアマッサージ装置の一例としての椅子式マッサージ機11(以下、「マッサージ機」という)のエアバッグ21を中心に示す概略構造の斜視図であり、図2はその側面図である。
このマッサージ機11は、後方へ傾斜可能な背もたれ部12と、背もたれ部12の下端部から前方に張りだす座部13と、座部13の左右両側に立つ肘掛部14と、左右両側の肘掛け部14の上端に設けられたアーム収容部15と、座部13の前方下に設けられた回転可能なオットマン16を有している。そしてこれらの各部には、図3にも示したように、膨張収縮するエアバッグ21が備えられている。
エアバッグ21は、収縮時は偏平な形態であり、適宜膨張することで当接する部分に対して押圧を行い、刺激を加えたり掴んだり押しだしたりする。「当接する部分」は、人体であるほか、マッサージ機の一部や別のエアバッグ21である場合もある。
背もたれ部12は、人体の背中や肩をもむための図示しないメカユニットが内蔵されるとともに、人体の両肩に対応する部位にはエアバッグ21(肩部右エアバッグ21a及び肩部左エアバッグ21b)が備えられている。これらのエアバッグ21(肩部右エアバッグ21a及び肩部左エアバッグ21b)は、下端を保持した状態で3枚のエアバッグ担体を重ねてカバー(図示せず)に収納して備えられる。なお、3枚重ねでもエアバッグ21の給気口(図示せず)は1個で、各エアバッグ担体の内部の気室は互いに連通して一体である。3枚重ねであるので、エアバッグ21の面方向と直交する方向の十分な膨張ストロークが得られ、効果的な押圧ができる。
背もたれ部12は、人体の両腰に対応する部位にもエアバッグ21(腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21d)を備えている。
このような構成の背もたれ部12は、図示しない背もたれ回動アクチュエータにより傾動可能に支持されている。
座部13は、人体の臀部と大腿、つまり腰とひざの間の部分を支持する部分で、座部13の上面における左右の臀部と大腿の一部がのる部位にはエアバッグ21(臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21f)が備えられている。これらのエアバッグ21(臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21f)より前方で大腿の下方部分がのる部位には、横に長い形状の一枚のエアバッグ21(腿裏部エアバッグ21g)が設けられている。
このような座部13の左右両外側、換言すれば左右両側の肘掛け部14側の部分には、人体の大腿から腰の外側部を押圧するエアバッグ21(腰横部右エアバッグ21h及び腰横部左エアバッグ21i)が設けられている。これらのエアバッグ21(腰横部右エアバッグ21h及び腰横部左エアバッグ21i)は、下端を保持した状態で2枚のエアバッグ担体を重ねてカバー(図示せず)に収納して備えられる。なお、2枚重ねでもエアバッグ21の給気口(図示せず)は1個で、各エアバッグ担体の内部の気室は互いに連通して一体である。2枚重ねであるので、エアバッグ21の面方向と直交する方向の十分な膨張ストロークが得られ、効果的な押圧ができる。
アーム収容部15は、上端が開口した縦断面略U字状である。アーム収容部15の内部空間には、人体の腕と手に対して押圧をするためのエアバッグ21(前腕部左・右エアバッグ21j及び手部左・右エアバッグ21k)が、腕や手を挟むように対向して内蔵されている。
オットマン16は、人体の左右の下腿と足をそれぞれ収容する溝形状の下腿収容部16aと足収容部16bを一対ずつ有している。足収容部16bを有する部分は下腿収容部16aを有する部分に対して接離可能で、足収容部16bを有する部分を付勢力に抗して足で押しだすことによって人体にあうようにオットマン16の長さを調節できるように構成されている。このようなオットマン16は、図示しないオットマン回動アクチュエータによって跳ね上げる方向に回動可能に保持されている。
オットマン16の下腿収容部16aの両側面には、左右の下腿の側面を押圧する一対のエアバッグ21(脚部左・右エアバッグ21m)が備えられている。これらエアバッグ21(脚部左・右エアバッグ21m)の間、つまり両側面間の溝底部には、左右の下腿の裏側、つまりふくらはぎを押圧するエアバッグ21(ふくらはぎ部左・右エアバッグ21n)が備えられている。
オットマン16の足収容部16bには、左右の足の表側部を押圧するエアバッグ21(足首部左・右エアバッグ21p)がそれぞれ一対ずつ備えられるとともに、足収容部16pの両側面間の溝底部には、左右の足の裏面を押圧するエアバッグ21(足裏部左・右エアバッグ21q)が備えられている。
これらエアバッグ21を膨張収縮させるため、マッサージ機11は、図3、図4に示したようにエアバッグ21に対する給気を行うエアポンプ31と、エアバッグ21に対する給気の開閉を行う給気弁としての電磁弁32を有し、エアポンプ31と電磁弁32は、メカユニット33、背もたれ回動アクチュエータ34およびオットマン回動アクチュエータ
35とともに、マイクロコンピュータ等で構成される制御部36によって駆動制御されている。
エアポンプ31は、このエアポンプ31の一部を構成するモータ(図示せず)が、たとえば直流24Vのもので構成され、電気的入力値、すなわち電圧や電流を変化させることでモータの回転数が変更でき、エアバッグ21に対する単位時間あたりの給気流量を変えられるように構成されている。エアバッグ21による押圧や掴みの強度、たとえば「強」「中」「弱」、「1」「2」「3」「4」「5」は、エアポンプ31の単位時間あたりの給気流量と、エアバッグ21にエアの供給を開始してから供給を停止するまでの時間、つまり電磁弁32を開いている時間によって定まる。
制御部36には、操作信号を入力するためのリモコン装置37や、施療動作パターン、施療コース動作等の必要情報を記憶するための記憶部38や、電力供給のための電源回路39等が接続されており、制御部36は、リモコン装置37からの入力に従って、あらかじめ記憶されたプログラムに従ってエアポンプ31や電磁弁32などの各部の動作を実行する。
エアポンプ31と電磁弁32とエアバッグ21の接続状態は、図3に示したとおりである。つまり、1個のエアポンプ31と前述の複数のエアバッグ21との間には、単位エアバッグ21ごとに電磁弁32を備えて、単位エアバッグ21ごとに独立して膨張収縮できるように構成されている。具体的には、肩部右エアバッグ21a、肩部左エアバッグ21b、腰部右エアバッグ21c、腰部左エアバッグ21d、臀部右エアバッグ21e、臀部左エアバッグ21f、腿裏部エアバッグ21g、腰横部右エアバッグ21h、腰横部左エアバッグ21i、前腕部左・右エアバッグ21j、手部左・右エアバッグ21k、脚部左・右エアバッグ21m、ふくらはぎ部左・右エアバッグ21n、足首部左・右エアバッグ21p及び足裏部左・右エアバッグ21qが単位エアバッグ21であり、それぞれに電磁弁32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32h,32i,32j,32k,32m,32n,32p,32qが備えられている。図4に示した接続状態は一例であり、その他の接続状態とすることもできる。
制御部36は、信号や必要情報の入出力をする。なかでも制御部36は、エアポンプ31への電気的入力値を変化させ各エアバッグ21に対する単位時間あたりの給気流量を変化させ、この給気流量の変化に対応して電磁弁32の開閉を行う。
以上のように構成されたマッサージ機11の制御部36による制御動作の例を、つぎに説明する。
<例1> 複数の施療コースのなかにゆっくりモードでの施療コースを設ける場合
マッサージ機の記憶部38は、たとえば「疲労回復コース」「リフレッシュコース」「やすらぎコース」「ストレッチコース」など、様々な施療動作を組みあわせてなる施療コースを複数記憶している。このほかに、例えば「メモリーコース」として、使用者の好みのみ施療動作をコースとして記憶することもできるように構成されている。
これらの施療コースにおけるエアポンプによる給気は、これまで、エアポンプへの電気的入力値を十分に高めた状態、いわば通常モードで行われてきた。これを、前述の制御部36は、あらかじめ定められた複数の施療コースに基づいて給気弁32の開閉を可能とするとともに、エアポンプ31への電気的入力値を十分に高めた通常モードでの施療コースに加えて、それよりも電気的入力値を下げて給気時間を長くするゆっくりモードでの施療コースによる施療動作を可能としている。
前述の「電気的入力値を十分に高めた状態」とは、たとえば図5に示したように、電圧や電流を高くしてエアポンプ31の給気能力を100%発揮させたり、それより若干低い、例えば85%発揮させたりした状態である。この状態には多少の幅があるが、おおむね80%以上に給気能力を発揮させる場合をいう。
通常モードでの施療コースによる施療動作は次のように実行される。
図5に示したように、制御部36がエアポンプ31を、電気的入力値を十分に高めた状態で、記憶部38にあらかじめ記憶した施療コース情報に従って間欠駆動し、これに合わせて、例えば脚部左・右エアバッグ21mと、肩部右エアバッグ21a及び肩部左エアバッグ21bと、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dに接続された電磁弁32m,32a,32b,32c,32dの開閉を、記憶部38にあらかじめ記憶した施療コース情報に従って行う。これによって、脚部左・右エアバッグ21mと、肩部右エアバッグ21a及び肩部左エアバッグ21bと、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dは順次、規定のテンポで膨張収縮を行う。エアバッグ21の膨張速さは、エアバッグ21の大きさによっても差異はあるが、基本的に同じで、エアポンプ31の給気能力を十分に発揮した迅速性のある速さである。
ゆっくりモードでの施療コースによる施療動作を実行するため、記憶部38には、電気的入力値を下げて給気時間を長くするためにエアポンプ31の給気能力情報と、これに対応する電気的入力値情報と、所望の膨張状態に至るまでの時間情報と、エアポンプ31の駆動タイミングに対応して、エアバッグ21に接続する電磁弁32の開閉を行うタイミング情報などの必要情報を記憶している。
ゆっくりモードでの施療コースによる施療動作は、通常モードでの場合と同様、つぎのように実行される。
図6に示したように、制御部36がエアポンプ31の給気能力をたとえば50%発揮させた状態で、記憶部38にあらかじめ記憶した施療コース情報に従って間欠駆動し、これに合わせて、例えば脚部左・右エアバッグ21mと、肩部右エアバッグ21a及び肩部左エアバッグ21bと、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dに接続された電磁弁32m,32a,32b,32c,32dの開閉を、記憶部38にあらかじめ記憶した施療コース情報に従って行う。これによって、脚部左・右エアバッグ21mと、肩部右エアバッグ21a及び肩部左エアバッグ21bと、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dは順次、規定のテンポで膨張収縮を行う。エアバッグ21の膨張速さは、通常モードでの場合よりも遅く、ゆっくりである。
これら通常モードとゆっくりモードでの施療コースにおけるエアバッグ21の膨張の速さを比べると、通常モードでは図7に仮想線で示したように短時間で膨張する。これに対して、ゆっくりモードでは図7に実線で示したように通常モードの場合よりも時間をかけてゆっくり膨張する。このため、ゆっくりモードでは人体等の当接する部分に対してやわらかく、じっくりと押圧を行うことができる。ゆっくりモードでの施療コースを通常モードでの場合と同じ時間で行った場合には、人体を押圧したりつかんだりする回数は減るが、ゆっくりした優しいマッサージができる。ゆっくりモードでの施療コースのコース時間長さは、通常モードの場合よりも長くてもよい。
エアポンプ31の給気能力を何%発揮させるかは、施療コースの種類などに応じて適宜設定可能とすることもできる。また複数種類の給気能力を選択できるようにしてもよい。この場合には、前述のような「通常モード」や「ゆっくりモード」ではなく、種類の数に応じて「ゆっくりモード」「通常モード」「迅速モード」や、「速1」「速2」…などと表すとよい。
このように多様性に富んだ施療が可能である。しかも、備えるエアポンプ31は1個でもよいので、コンパクト性の点でも、製造コストの点でも満足のいくものとなる。
そのうえ、エアポンプ31の給気能力を変更してエアバッグ21の膨張態様に変化をつけるので、予め定められた複数種類の給気能力のエアポンプを用いる場合と比較して、管の配索構成なども簡素にできて有利である上に、全体としてバラエティーに富んだ施療が実現できるようになる。
<例2> 一の施療コースのなかにゆっくりモードでの施療動作を設ける場合
マッサージ機11の記憶部38に記憶する複数の施療コース情報のうちの少なくとも一つに、前述のゆっくりモードと同様の施療動作を有する部分を取り込む。つまり、あらかじめ定められた複数の施療コースのうち一の施療コースの施療動作中において、少なくともエアポンプ31への電気的入力値を十分に高めた通常運転と、それよりも電気的入力値を下げて給気時間を長くするゆっくり運転を自動で行う。
これは、たとえば施療コースの開始後にウォームアップを、終了前にクールダウンを行う場合などに好適である。
マッサージ機11の記憶部38は、複数の施療コース情報と、その施療コース情報のうちの一の施療コース情報における通常モードでのエアポンプ31の給気能力に対応する電気的入力値情報と、ゆっくりモードでのエアポンプ31の給気能力に対応する電気的入力値情報と、各モードでエアポンプ31を駆動するタイミング情報及び時間情報と、切換する電磁弁情報と、その開閉タイミング情報が記憶されている。施療コース情報は、ウォームアップやクールダウンを行うのに適した施療動作をそれぞれコースの開始後と終了前に有している。
制御部36は、記憶部38に記憶した施療コース情報に基づいて、エアポンプ31と電磁弁32を駆動し、施療コースの開始後と終了前の一定時間のあいだは前述のようなゆっくりモードで施療を行い、これらの間は前述のような通常モードで施療を行う。
このようにゆっくりモードを一部に取り込んだ施療コースでの施療では、通常の施療の他にゆったりとした施療が一つの施療コースでできるので、より多様性に富んだ施療が可能となる。
通常モードがエアポンプ31の給気能力の例えば80%で行われる場合には、それよりも給気能力が高い、例えば100%で行う「迅速モード」を設定してもよい。
<例3> 一の施療コース動作のなかでゆっくりモードでの施療動作が任意にできるようにした場合
前述のようにエアバッグ21による押圧や掴みの強度は設定できるので、適切に調整することで快適で目的に応じた施療を受けることができる。これと同様に、エアバッグ21の膨張速度が速すぎる又は遅すぎると感じる場合に、施療コース中であっても、好みに応じて調整できるようにする。つまり、あらかじめ定められた複数の施療コースのうち一の施療コースの施療動作中において、少なくともエアポンプ31への電気的入力値を十分に高めた通常運転と、それよりも電気的入力値を下げて給気時間を長くするゆっくり運転を任意に行えるようにする。
このために、リモコン装置37には、「ゆっくりモード」「通常モード」又は「迅速モード」に切り替えるスイッチ(図示せず)を備える。ここでいう「迅速モード」は、通常モードがエアポンプ31の給気能力の例えば80%で行う場合にそれよりも給気能力の高い、例えば100%で行う場合である。このため通常モードをエアポンプ31の給気能力の100%で行う場合には、迅速モードは設定できない。
マッサージ機11の記憶部38は、一の施療コース情報と、その施療コースにおける通常モードでのエアポンプ31の給気能力に対応する電気的入力値情報と、ゆっくりモードでのエアポンプ31の給気能力に対応する電気的入力値情報と、迅速モードでのエアポンプ31の給気能力に対応する電気的入力値情報と、各モードでエアポンプ31を駆動するタイミング情報及び時間情報と、切換する電磁弁情報と、その開閉タイミング情報が記憶されている。
制御部36は、記憶部38に記憶した施療コース情報に基づいて、開始から通常モードでの施療コース動作を実行し、リモコン装置37からの「ゆっくりモード」又は「迅速モード」の入力を待って、この入力に従って記憶部38から、ゆっくりモードでのポンプ給気能力に対応した電気的入力値情報または迅速モードでのポンプ給気能力に対応した電気的入力値情報を読み出して、エアポンプ31に送信する。これと同時に、必要な電磁弁32に対して、記憶部38に記憶した電磁弁32の開閉タイミング情報を読み出して実行中であって情報と比較して演算を行い、これに従って電磁弁32の開延長を行う。これによって、エアポンプ31の給気能力は変更され、ゆっくりモード又は迅速モードの施療ができる。制御部36は、モード変更の入力のタイミングによっては、適切な施療ができるように、必要に応じて電磁弁32の開閉タイミングを変更する。
このようにゆっくりモード又は迅速モードを必要に応じて適宜取り込める施療によって、より一そう多様性に富んだ施療が可能となる。
<例4> 施療コースのなかの一つの施療動作において1個のエアバッグに対して通常モードでの膨張とゆっくりモードでの膨張を行う場合
この発明でいう「1個のエアバッグ」とは、内部の気室が1個のエアバッグ21をいう。つまり、前述の肩部右エアバッグ21aや肩部左エアバッグ21bのように3枚重ねの場合でも、前述の腰横部右エアバッグ21hや腰横部左エアバッグ21iのように2枚重ねの場合でも給気口は1個であり、一体に連結されていて気室は一個であるので、これらも1個のエアバッグ21である。
施療動作の一例として、「腰ひねり」をあげる。
腰ひねりは、片側の腰部と臀部を持ち上げて体をひねる動作であり、ひねりに入る体勢までは通常モードで高速給気を行い、このあとで、ひねりをゆっくりモードでじっくり行う。つまり、1個のエアバッグ21に対して一定の膨張状態になるまでエアポンプ31への電気的入力値を十分に高めて、その後それよりも電気的入力値を下げて給気時間を長くしてゆっくり膨張させる。このような態様の施療は人手による施療に近い。
マッサージ機11の記憶部38には、「腰ひねり」施療動作として、エアポンプ31への電気的入力値を十分に高めた通常モードでの運転と、それよりもエアポンプ31への電気的入力値を下げたゆっくりモードでの運転の電気的入力値情報及びタイミング情報と時間情報が記憶されている。また、各モードでの運転のタイミング情報と時間情報に対応して、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続した電磁弁32c,32d,32e,32fの開閉のタイミング情報が記憶されている。
具体的には、図8に示したように、エアポンプ31の通常モードでの運転をt1時間行い、この後、t2時間のゆっくりモードでの運転がなされるように設定されている。これが1サイクルである。左右の腰ひねりを行えるように、2サイクルで左右両側の腰ひねりができる。
腰部左エアバッグ21dと臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32d,32fの開閉タイミング及び時間は同じで、腰部右エアバッグ21cと臀部右エアバッグ21eに接続する電磁弁32c,32eの開閉タイミング及び時間は同じである。これら電磁弁32d,32f又は電磁弁32c,32eは、エアポンプ31の駆動と同時に開となる。このあと閉となるまでの間の開放時間t3は、エアポンプ31の通常モードでの運転時間t1よりも長く、その時間とゆっくりモードでの運転時間t2を合わせた時間よりも短い時間に設定されている。電磁弁32d,32f又は電磁弁32c,32eは、最初の開放時間t3のあと、閉弁、開弁を適宜繰り返すように設定される。閉弁に合わせてエアバッグ21内のエアを排気するほか、エアを排気せずに保持するように設定してもよい。
前述したエアポンプ31の通常モードでの運転時間t1は、前述したように、ひねりに入る体勢まで、換言すれば腰部左エアバッグ21dと臀部左エアバッグ21f、または腰部右エアバッグ21cと臀部右エアバッグ21eが人体にある程度の圧力で接する所定の大きさ(所定膨張)まで膨張するように設定されている。この所定膨張は、エアバッグ21の大きさ等の条件に応じて異なる。記憶部38及び制御部36によって、所定膨張の状態を適宜設定できるようにしてもよい。
制御部36は、「腰ひねり」施療動作に入ると、記憶部38に記憶された必要情報を適宜読みだして、エアポンプ31に対して通常モードでの運転を行わせる一方、これと同時に電磁弁32d,32f又は電磁弁32c,32eに対して開信号を出力して、腰部左エアバッグ21dと臀部左エアバッグ21f、または腰部右エアバッグ21cと臀部右エアバッグ21eの膨張を開始する。その後、所定時間後に制御部36は記憶部38からゆっくりモードでの電気的入力値情報を読み出してエアポンプ31に出力し、エアポンプ31への電気的入力値を下げてゆっくりモードに移行させる。
腰部左エアバッグ21dと臀部左エアバッグ21f、または腰部右エアバッグ21cと臀部右エアバッグ21eの膨張は、エアポンプ31が通常モードからゆっくりモードに移行してもなされる。つまり、この膨張は図9に示したように、所定膨張に至るまでは通常の速さで、その後はゆっくりとした膨張になる。
制御部36はこのあと、電磁弁32d,32f又は電磁弁32c,32eの開閉を規定の態様で行い、エアバッグ21を段階的に膨張させたり(図9の実線参照)、収縮および膨張を繰り返して行ったり(図9の仮想線参照)する。この膨張はゆっくりモードで行われるため、低速でじっくり、あたかも人の手で押すようになされる。
このような「腰ひねり」施療動作では、施療に至る前の所定膨張まで、エアバッグ21を迅速に膨張させ、その後の施療をゆっくりと行うので、エアバック21が所定の圧力で接するまでの、いわば空白時間をなくすことができる。この点からは、図8に示した通常モードでの運転ではエアポンプ31の給気能力を85%としたが、それよりも速く膨張させるべく図8に仮想線で示したようにエアポンプ31の給気能力を100%として迅速モードでの運転をしてもよい。
空白時間をなくせるという効果に加えて、実際に人体を押圧したり挟んだりする動作はゆっくり、じっくりと、人手で行うようにすることができる。このため、多様な施療を行うようにすることが可能となる。
このような「腰ひねり」施療動作は、施療コースに組み込んだり、単独で利用したりできるように設定される。
前述の空白時間をなくすことができるという観点から、別の例として、肩の施療動作についてつぎに説明する。
肩施療動作は、左右の両肩部を二の腕から肩甲骨まで包むように押圧するものである。肩幅は個人差が大きいので、実際に押圧されて施療感を受けるまでの間、若干の空白時間がある場合がある。この空白時間をなくして効率的な施療を行うべく、肩部右エアバッグ21aと肩部左エアバッグ21bに接続する電磁弁32a,32bを、図8を用いて説明した場合と同様に開閉する。
すなわち、図10に示したように、エアポンプ31の通常モードでの運転はt1時間行い、この後、t2時間のゆっくりモードでの運転がなされるように設定されている。これが1サイクルである。
肩部右エアバッグ21aと肩部左エアバッグ21bに接続する電磁弁32a,32bの開閉タイミング及び時間は同じである。これら肩部右エアバッグ21aと肩部左エアバッグ21bに接続する電磁弁32a,32bは、エアポンプ31の駆動と同時に開となる。このあと閉となるまでの間の開放時間t3は、エアポンプ31の通常モードでの運転時間t1よりも長く、その時間とゆっくりモードでの運転時間t2を合わせた時間よりも短い時間に設定されている。電磁弁32a,32bは、最初の開弁時間t3のあと、閉弁、開弁を適宜繰り返すように設定される。閉弁に合わせてエアバッグ21内のエアを排気するほか、エアを排気せずに保持するように設定してもよい。
前述したエアポンプ31の通常モード運転の時間t1は、肩部右エアバッグ21aと肩部左エアバッグ21bが人体に施療に入る直前の態勢、つまり人体にある程度の圧力で接する所定の大きさ(所定膨張)まで膨張するように設定されている。この所定膨張は、エアバッグ21の大きさ等の条件に応じて異なる。記憶部38及び制御部36によって、所定膨張を適宜設定できるようにしてもよい。
制御部36は、肩施療動作に入ると、記憶部38に記憶された必要情報を適宜読みだして、エアポンプ31に対して通常モードでの運転を行わせる一方、これと同時に電磁弁32a,32bに対して開信号を出力して、肩部右エアバッグ21aと肩部左エアバッグ21bの膨張を開始する。その後、所定時間後に制御部36は記憶部38からゆっくりモードでの電気的入力値情報を読み出してエアポンプ31に出力し、エアポンプ31への電気的入力値を下げてゆっくりモードに移行させる。
肩部右エアバッグ21aと肩部左エアバッグ21bの膨張は、エアポンプ31が通常モードからゆっくりモードに移行してもなされる。つまり、この膨張は図9に示したように、所定膨張に至るまでは通常の速さで、その後はゆっくりとした膨張になる。
制御部36はこのあと、電磁弁32a,32bの開閉を所定の態様で行い、エアバッグ21を段階的に膨張させたり、収縮および膨張を繰り返して行ったりする。この膨張はゆっくりモードで行われるため、低速でじっくり、あたかも人の手で押すようになされる。
所定膨張に至るまでの膨張を、エアポンプ31の給気能力を85%発揮した状態で行わずに、図10に仮想線で示したように100%の給気能力で行って、より速い迅速モードとしてもよいことは、前述と同じである。
<例5> 施療コースのなかの一つの施療動作において1個のエアバッグに対して通常モードでの膨張を開始し、このあと、その1個のエアバッグと関連する他のエアバッグに対してゆっくりモードでの膨張を行う場合
この発明でいう「1個のエアバッグと関連する他のエアバッグ」には、ある1個のエアバッグと同一部位を押圧したり挟んだりするという点で関連するエアバッグや、ある1個のエアバッグと同一目的の施療を行うという点で関連するエアバッグ、ある1個のエアバッグと同一施療を協働して行うという点で関連するエアバック、ある1個のエアバッグを施療目的で人体を固定するための手段、つまりアクチュエータとして利用するという点で関連するエアバッグなどがある。
一例として、臀部を施療する例をあげる。
臀部の施療は、臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fを同時に又は交互に膨張収縮して行うものであり、このときに人体の臀部を腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iで動かないように固定して臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fによる施療の効果化をはかる。つまり、1個のエアバッグ21としての腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iに対して一定の膨張状態になるまでエアポンプ31への電気的入力値を十分に高めるとともに、これに遅れて、または一定の膨張状態になった後、エアポンプ31への電気的入力値を下げて、腰横部右エアバッグ21h及び腰横部左エアバッグ21iと関連する他のエアバッグ21である臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに対する給気時間を長くしてゆっくり膨張させる。
マッサージ機11の記憶部38には、臀部施療動作として、エアポンプ31への電気的入力値を十分に高めた通常モードでの運転と、それよりもエアポンプ31への電気的入力値を下げたゆっくりモードでの運転の電気的入力値情報及びタイミング情報と時間情報が記憶されている。また、各モードでの運転のタイミング情報と時間情報に対応して、腰横部右エアバッグ21h及び腰横部左エアバッグ21iと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続した電磁弁32h,32i,32e,32fの開閉のタイミング情報が記憶されている。
具体的には、図11に示したように、エアポンプ31の通常モードでの運転はt1時間行い、この後、t2時間のゆっくりモードでの運転がなされるように設定されている。これが1サイクルである。
腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iに接続する電磁弁32h,32iの開閉タイミング及び時間は同じで、臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32e,32fの開よりも早く、エアポンプ31の駆動と同時に開となる。このあと閉となるまでの間の開放時間t4は、エアポンプ31の通常モードでの運転時間t1とゆっくりモードでの運転時間t2を合わせた時間よりも長く設定されている。臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32e,32fの開は、エアポンプ31の通常モードでの運転時間t1が終わる運転移行時点T1よりも若干早い時点T2に設定されている。
時点T2は、腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iが人体を固定する程度に膨張する時であり、臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fが人体にある程度の押圧力で接する施療前段の状態になるように設定される。
臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32e,32fは、運転移行時点T1を越える開時間t5のあと、閉弁、開弁を適宜繰り返すように設定される。閉弁に合わせてエアバッグ21内のエアを排気するほか、エアを排気せずに保持するように設定してもよい。
前述したエアポンプ31の通常モード運転の時間t1は、前述したように、腰横部、つまり臀部より上側を固定、換言すれば、腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iがある程度の圧力で人体を押圧する大きさまで膨張するように設定されている。この膨張は、エアバッグ21の大きさ等の条件に応じて異なる。記憶部38及び制御部36によって、所定膨張を適宜設定できるようにしてもよい。
制御部36は、臀部施療動作に入ると、記憶部38に記憶された必要情報を適宜読みだして、エアポンプ31に対して通常モードでの運転を行わせる一方、これと同時に腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iに接続する電磁弁32h,32iに対して開信号を出力して、腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iの膨張を開始する。その後、所定時間後に制御部36は記憶部38からゆっくりモードでの電気的入力値情報を読み出してエアポンプ31に出力し、エアポンプ31への電気的入力値を下げてゆっくりモードに移行させる。
腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iの膨張は、エアポンプ31が通常モードからゆっくりモードに移行してもなされる。つまり、この膨張は、所定膨張に至るまでは通常の速さで、その後はゆっくりとした膨張になる。
この一方、腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iの膨張を開始してしばらくしたのち、エアポンプ31が通常モードからゆっくりモードに移行する時点T1より若干早い時点T2で、制御部36は、臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32e,32fに対して開信号を出力して、臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fの膨張を開始する。臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32e,32fは、同時に開となるように設定しても、時間をずらして開となるように設定してもいずれでもよい。
制御部36はこのあと、臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32e,32fの開閉を規定の態様で行い、エアバッグ21を段階的に膨張させたり(図12の仮想線参照)、収縮および膨張を繰り返して行ったり(図12の実線参照)する。この膨張はゆっくりモードで行われるため、低速でじっくり、あたかも人の手で押すようになされる。
このような臀部施療動作では、臀部の施療に至る段階の前までに腰横部右エアバッグ21hと腰横部左エアバッグ21iを迅速に膨張させ、臀部右エアバッグ21eと臀部左エアバッグ21fによるその後の施療をゆっくりと行うので、対象部分が不用意に動くことを防止して臀部の施療が効率よく行える。図11に示した通常モードでの運転ではエアポンプ31の給気能力を85%としたが、それよりも速く膨張させるべく図11に仮想線で示したようにエアポンプ31の給気能力を100%として迅速モードでの運転をしてもよい。
施療が効率よく行えるうえに、臀部施療動作はゆっくり、じっくりと、人手で行うようにすることができる。このため、多様な施療を行うようにすることが可能となる。
このような臀部施療動作は、施療コースに組み込んだり、単独で利用したりできるように設定される。
つぎに腰ストレッチ施療動作の例を説明する。
腰ストレッチは、腰を伸ばすストレッチであり、図2に仮想線で示したようにマッサージ機11の背もたれ12を後ろへ倒し、下端側を起こすように回転させたオットマン16の脚部左・右エアバッグ21mで脚をつかんだままオットマン16を下方に回転させて、脚を前に伸ばして引き下げる動作で全身を伸ばすとともに、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fを膨張させて腰部を押し上げて腰を伸ばすものである。この施療動作は、エアバッグ21のみではなく、背もたれ回動アクチュエータ34とオットマン回動アクチュエータ35と連動してなされる。
すなわち、1個のエアバッグ21としての脚部左・右エアバッグ21mに対して一定の膨張状態になるまでエアポンプ31への電気的入力値を十分に高めるとともに、これに遅れて、または一定の膨張状態になった後、エアポンプ31への電気的入力値を下げて、脚部左・右エアバッグ21mと関連する他のエアバッグ21である腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに対する給気時間を長くしてゆっくり膨張させる。
マッサージ機11の記憶部38には、腰ストレッチ施療動作として、エアポンプ31への電気的入力値を十分に高めた通常モードでの運転と、それよりもエアポンプ31への電気的入力値を下げたゆっくりモードでの運転の電気的入力値情報及びタイミング情報と時間情報が記憶されている。また、各モードでの運転のタイミング情報と時間情報に対応して、脚部左・右エアバッグ21mに接続した電磁弁32mと臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続した電磁弁32e,32fの開閉のタイミング情報と、背もたれ回動アクチュエータ34とオットマン回動アクチュエータ35の駆動タイミング情報と時間情報が記憶されている。
具体的には、図13に示したように、エアポンプ31の通常モードでの運転をt1時間行い、この後、t2時間のゆっくりモードでの運転がなされるように設定されている。これが1サイクルである。
脚部左・右エアバッグ21mに接続する電磁弁32mの開閉タイミングは、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32c,32d,32e,32fの開早く、エアポンプ31の駆動と同時に開となる。このあと閉となるまでの間の開放時間t4は、エアポンプ31の通常モードでの運転時間t1とゆっくりモードでの運転時間t2を合わせた時間よりも長く設定されている。腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32c,32d,32e,32fの開は、エアポンプ31の通常モードでの運転時間t1が終わる運転移行時点T1よりも若干早い時点T2に設定されている。
時点T2は、脚部左・右エアバッグ21mが人体の脚部を固定する程度に膨張する時であり、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fが人体にある程度の押圧力で接する押し上げ前段の状態になるように設定される。
腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32c,32d,32e,32fは、運転移行時点T1を越える開時間t5のあと、閉弁、開弁を適宜繰り返すように設定される。閉弁に合わせてエアバッグ21内のエアを排気するほか、エアを排気せずに保持するように設定してもよい。
前述したエアポンプ31の通常モード運転の時間t1は、前述したように、脚部左・右エアバッグ21mがある程度の圧力で人体の脚部を挟み付けて固定する大きさまで膨張するように設定されている。この膨張は、エアバッグ21の大きさ等の条件に応じて異なる。記憶部38及び制御部36によって、所定膨張を適宜設定できるようにしてもよい。
背もたれ回動アクチュエータ34は、エアポンプ31の駆動開始と、脚部左・右エアバッグ21mに接続した電磁弁32mを開にする時点T3より前に駆動し、時点T3では背もたれ部12を後方に倒した状態で駆動が停止しているように設定される。同様に、オットマン回動アクチュエータ35も時点T3より前に駆動し、オットマン16を上げて、背もたれ部12と同様に略水平になって駆動が停止している状態に設定される。また、オットマン回動アクチュエータ35は、脚部左・右エアバッグ21mが脚部をつかんだのち、つまり運転移行時点T1以降に、下方に回動するように設定されている。
制御部36は、腰ストレッチ施療動作に入ると、記憶部38に記憶された必要情報を適宜読みだして、背もたれ回動アクチュエータ34とオットマン回動アクチュエータ35を駆動して、背もたれ部12を後方に倒すとともに、オットマン16を上方に回転させ、マッサージ機11をベッドのような形態にする。このあと制御部36は、エアポンプ31に対して通常モードでの運転を行わせる一方、これと同時に脚部左・右エアバッグ21mに接続する電磁弁32mに対して開信号を出力して、2組の脚部左・右エアバッグ21mの膨張を開始する。その後、所定時間後に制御部36は記憶部38からゆっくりモードでの電気的入力値情報を読み出してエアポンプ31に出力し、エアポンプ31への電気的入力値を下げてゆっくりモードに移行させる。
脚部左・右エアバッグ21mの膨張は、エアポンプ31が通常モードからゆっくりモードに移行してもなされる。つまり、この膨張は、所定膨張に至るまでは通常の速さで、その後はゆっくりとした膨張になる。
この一方、脚部左・右エアバッグ21mの膨張を開始してしばらくしたのち、エアポンプ31が通常モードからゆっくりモードに移行する時点T1より前の時点T2で、制御部36は、オットマン回動アクチュエータ35を駆動して下方に回転させる。これと同期してまたはこれに遅れて、制御部36は、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32c,32d,32e,32fに対して開信号を出力して、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fの膨張を開始させる。腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32c,32d,32e,32fはすべて同時に開とされる。
制御部36はこのあと、腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fに接続する電磁弁32c,32d,32e,32fの開閉を規定の態様で行い、エアバッグ21を段階的に膨張させたり(図12の仮想線参照)、収縮および膨張を繰り返して行ったり(図12の実線参照)する。この膨張はゆっくりモードで行われるため、低速でじっくり、あたかも人の手で押すようになされる。
このような腰ストレッチ施療動作では、実際にストレッチがなされる前までに脚部左・右エアバッグ21mを迅速に膨張させ、脚を強固に保持した状態でストレッチを行うとともに、そのうえ更に腰部右エアバッグ21c及び腰部左エアバッグ21dと、臀部右エアバッグ21e及び臀部左エアバッグ21fの膨張による人体の腰部と臀部の押し上げによりその後のストレッチをゆっくりと行うので、効果的に腰ストレッチが行える。図13に示した通常モードでの運転ではエアポンプ31の給気能力を85%としたが、それよりも速く膨張させるべく図13に仮想線で示したようにエアポンプ31の給気能力を100%として迅速モードでの運転をしてもよい。
このような腰ストレッチ施療動作は、施療コースに組み込んだり、単独で利用したりできるように設定される。
この<例5>の説明においては、以上のように「1個のエアバッグと関連する他のエアバッグ」について、ある1個のエアバッグと同一目的の施療を行うという点で関連するエアバッグ、ある1個のエアバッグと同一施療を協働して行うという点で関連するエアバック、ある1個のエアバッグを施療目的で人体を固定するための手段、つまりアクチュエータとして利用するという点で関連するエアバッグの例を示した。
「1個のエアバッグと関連する他のエアバッグ」が、ある1個のエアバッグと同一部位を押圧したり挟んだりするという点で関連するエアバッグの場合としては、たとえば図14、図15に示したように気室が独立している複数枚のエアバッグ21を重ねて備えた場合がある。
図14、図15は肩部に対する施療を行うエアバッグ21についての例である。図15では便宜上、片方の肩部に対応する部分のみを示している。図15中、Xは肩部である。またこの例では、片方について2枚のエアバッグ21を重ねる例を示した。つまり、肩部右は、肩部右下段エアバッグ21rと肩部右上段エアバッグ21sで構成され、肩部左は、肩部左下段エアバッグ21tと肩部左上段エアバッグ21uで構成されている。2枚ではなく、3枚、4枚などとすることもできる。
これらのエアバッグ21は、エアバッグ21ごとに給気口22が形成され気室は独立している。各エアバッグ21は下部を中心に回動可能に支持され、収縮状態では図15(a)に示したように重なっている。
そして各エアバッグ21(肩部右下段エアバッグ21r、肩部右上段エアバッグ21s、肩部左下段エアバッグ21t、肩部左上段エアバッグ21u)は、図14に示したように電磁弁32v,32wを介してエアポンプ31に接続されている。つまり、肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uは電磁弁32vを介して、肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tには電磁弁32wを介して、エアポンプ31に接続されている。
マッサージ機11の記憶部38には、肩施療動作として、エアポンプ31への電気的入力値を十分に高めた通常モードでの運転と、それよりもエアポンプ31への電気的入力値を下げたゆっくりモードでの運転の電気的入力値情報及びタイミング情報と時間情報が記憶されている。また、各モードでの運転のタイミング情報と時間情報に対応して、肩部右上段エアバッグ21s及び肩部左上段エアバッグ21uと、肩部右下段エアバッグ21r及び肩部左下段エアバッグ21tに接続した電磁弁32v,32wの開閉のタイミング情報が記憶されている。
具体的には、エアポンプ31については、図10に示した例と同様に、エアポンプ31の通常モードでの運転を一定時間行い、そのあと一定時間のゆっくりモードでの運転がなされるように設定されている。エアバッグ21については、肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uに接続された電磁弁32vは、肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21rに接続された電磁弁32wよりも先に開となるように設定されている。
肩施療動作は、肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uを、肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tよりも先に通常モード又は迅速モードで膨張させて、所定膨張状態にしてから肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tをゆっくりモードで膨張させて施療する。
すなわち、制御部36は、肩施療動作に入ると、まず、肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uに接続する電磁弁32vを開にして、肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uの膨張を開始する。膨張時間は、図10で示した例と同様に、肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uが人体に施療に入る直前の態勢、つまり人体にある程度の圧力で接する所定の大きさ(所定膨張)まで膨張するための情報が記憶されている。図15(b)に示したような所定膨張は、エアバッグ21の大きさ等の条件に応じて異なる。所定膨張はエアバッグ21(肩部右上段エアバッグ21s、肩部左上段エアバッグ21u)の膨張限界であってもよい。記憶部38及び制御部36によって、所定膨張を適宜設定できるようにしてもよい。
肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uを所定膨張状態にしたのち、制御部36は、エアポンプ31への電気的入力値を下げてゆっくりモードにするとともに、肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tに接続された電磁弁32wの開弁を所定時間行う。これによって、肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tはゆっくりと膨張する。図10に示した例と同様に、制御部36は、記憶部38に記憶されたデータを読みだしつつ、肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tに接続された電磁弁32wの所定の開弁時間経過後、閉弁、開弁を適宜繰り返す。これによって、肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tを段階的に膨張させたり、収縮および膨張を繰り返して行ったりする。これにより、肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uを介して間接的に人体を押圧する。このときの膨張はゆっくりモードで行われるため、低速でじっくり、あたかも人の手で押すようになされる。
しかも、人体の肩に接する部分が、実際に施療を行う時点である程度の硬さで膨張して、刺激の変化を主に肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tの膨張で行うので、新規な施療感を得ることもできる。
従来のような施療感でよい場合には、肩部右下段エアバッグ21rと肩部左下段エアバッグ21tの膨張を先行ってから、肩部右上段エアバッグ21sと肩部左上段エアバッグ21uの膨張を行ってもよい。
以上の各例の施療動作は、一例であって、その他の態様も採用し得る。また、前述の各例にみられるような施療動作を適宜組み合わせて施療を行うようにすることもできる。
前述例のように、このマッサージ機11は、多様な施療が行え、目的や状況に柔軟に対応した施療が良好に行える。しかも、そのために用いるエアポンプ31は少なくとも1個あればよいので、小型化や省エネをはかったり、製造コストの上昇を抑えたりといった利点を有する。
この発明の構成と、前述の構成との対応において、
この発明のエアマッサージ装置は、前述の椅子式マッサージ機11に対応し、
同様に、
給気弁は、電磁弁32に対応するも、
この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。