JP7316910B2 - 建物 - Google Patents
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Description
スタンドの内周(フィールドの外周)に沿って設けられたスタンド内周柱と、スタンドの外周に沿って設けられたスタンド外周柱とは、梁や床版で接合されている。
スタンド外周柱とスタンド内周柱とは、高さ方向に異なる層(階)にまたがって設けられることが多く、スタンド全体の剛性のバランスが悪くなることがある。このような場合には、耐力壁を付加するなどして剛性を均等にする必要があるが、建築計画と整合させることが困難なことがある。
地震時や強風時には、スタンド内周柱およびスタンド外周柱は、それぞれ梁や床版または床版下部に設けられる水平ブレースから伝達される水平力(慣性力)を負担することになるが、剛性の高いスタンド内周柱の方がスタンド外周柱よりも水平力を多く負担することになる。このため、スタンド内周柱に水平力が集中することを防止するために、他の部分に剛性を付与する必要がある。
このように、第1支持柱、第2支持柱および第3支持柱には、水平力が作用しないため、これらの第1支持柱、第2支持柱および第3支持柱に剛性の差があっても、地震時や強風時に一部の柱に水平力が集中することを防止できる。
水平床部は、水平ブレースおよび床スラブの少なくとも一方を有することにより剛床となるため、鉛直ブレースの配置を集約することができ、水平床部の下側に鉛直ブレースの無い広い空間を設けることができる。
このような構成とすることにより、建物に制震機能を付加することができる。
このような構成とすることにより、建物に制震機能を付加することができる。
このような構成とすることにより、建物に制震機能を付加することができる。
図1および図2に示す本実施形態による建物は、各種スポーツや催し物などが行われるスタジアムなどのスタンド1である。スタンド1は、スタジアムのフィールド11の周囲に設けられ階段状に客席が設けられている。
スタンド1は、フィールド11の外側を部分的にまたは全体に囲むように設けられていて、フィールド11から離れるに従って高くなっている。
本実施形態では、スタンド1は、フィールド11の周囲に沿って複数のブロックに分割されていて、隣り合うブロックがエキスパンションジョイントで接続されている。以下では、スタンド1におけるフィールド11の周囲に沿って直線状に延びるブロックについて説明する。
スタンド1は、基礎部2と、斜め床部3と、水平床部4と、柱5と、鉛直ブレース6と、を有している。図1では、鉛直ブレース6を一点鎖線で示している。
基礎部2は、本実施形態では、直接基礎(べた基礎)である。柱5は、基礎部2の上に建てられている。
斜め床部3は、床面が建物短辺方向の一方側から他方側に向かって漸次高くなるように傾斜している。斜め床部3の床面が傾斜する方向を斜め方向とする。斜め床部3は、上下方向から見た平面視形状が長方形状に形成されている。
図1-図3に示すように、斜め床部3は、斜め方向に延びる斜梁31と、建物長辺方向に延びる斜め床部水平梁32と、斜め床部ブレース33(図2、3参照)と、斜梁31、斜め床部水平梁32および斜め床部ブレース33の上に設けられた段床34(図2参照)と、を有している。図1では、斜め床部ブレース33および段床34を省略し、図3では、段床34を省略している。
斜め床部水平梁32は、建物短辺方向に隣り合う斜梁31の間それぞれに設けられ、建物短辺方向に隣り合う斜梁31の間において斜め方向に間隔をあけて複数設けられている。斜め床部水平梁32には、例えばH形鋼などが採用されている。斜梁31と斜め床部水平梁32とは、接合されている。
段床34は、例えば、プレキャストコンクリート製で、階段状の床板となっている。段床34の上部に客席が階段状に設けられる。
図2に示すように、本実施形態のスタンド1には、斜め床部3の上端部に庇71が設けられている。庇71は、複数の斜梁31の上端部それぞれに建てられた庇用柱72に支持されている。庇71は、階段状に設けられた客席のうち、上部側の客席の上部に配置されている。スタンド1には、庇71および庇用柱72は、設けられていなくてもよい。
柱5は、建物短辺方向に4列に配列されている。フィールド側でスタンド1の内周側となる建物短辺方向の一方側の列に沿って設けられる柱を第1柱51(第1支持柱)とし、第1柱51の列の建物短辺方向の他方側の列に沿って設けられる柱を第2柱52(第2支持柱)とし、第2柱52の列の建物短辺方向の他方側の列に沿って設けられる柱を第3柱53(第3支持柱)とし、スタンド1の外周側となる第3柱53の列の建物短辺方向の他方側の列に沿って設けられる柱を第4柱54とする。
第1-第4柱51-54は、それぞれ建物長辺方向に斜梁31のスパンと同じスパンで複数設配列されている。
第1-第4柱51-54には、鉄骨や鋼管などが採用されている。第1-第4柱51-54の断面形状は適宜設定されてよく、本実施形態では、第1-第3柱51-53にH形柱が採用され、第4柱54に丸柱が採用されている。
第2柱52の上端部は、斜梁31の長さ方向の中間部と接合されている。斜梁31における第2柱52が接合されている部分には、斜め床部水平梁32も接合されている。
第3柱53の上端部は、斜梁31の長さ方向の中間部と第2柱52よりも建物短辺方向の他方側において接合されている。斜梁31における第3柱53が接合されている部分には、斜め床部水平梁32も接合されている。
第4柱54の上端部は、斜梁31の長さ方向の中間部と第3柱53よりも建物短辺方向の他方側において接合されている。斜梁31における第4柱54が接合されている部分には、斜め床部水平梁32も接合されている。斜梁31は、建物短辺方向の他方側の端部31aが第4柱54よりも建物短辺方向の他方側に突出している。斜梁31の建物短辺方向の他方側の端部31aには、斜め床部水平梁32が接合されている。
斜梁31は、第1-第4柱51-54とピン接合または剛接合されている。
水平床部4の建物短辺方向の一方側の端部4aは、斜梁31の建物短辺方向の中間部に接合されているとともに、第2柱52の上端部と接合されている。すなわち、水平床部4は、斜め床部3の建物短辺方向の中間部に接合されている。
水平床部4の建物短辺方向の他方側の端部4bは、第4柱54の上下方向の中間部と接合されている。
水平床部4の建物短辺方向の中間部は、第3柱53の上下方向の中間部と接合されている。
第1水平梁41は、第2柱52および第3柱53とピン接合または剛接合されている。第1水平梁41は、斜梁31とピン接合または剛接合されている。
第2水平梁42は、第3柱53および第4柱54とピン接合または剛接合されている。
床スラブ45は、水平床部4における、第2柱52と第3柱53との中間位置46よりも建物短辺方向の他方側の部分に設けられている。床スラブ45は、水平ブレース44の建物短辺方向の他方側に設けられている。床スラブ45は、例えば、鉄筋コンクリート造のスラブなどで、平板状に形成されている。
水平床部4は、水平ブレース44および床スラブ45が設けられていることにより、剛床となっている。
第2柱52と第1水平梁41との間に設けられる鉛直ブレース6を第1鉛直ブレース61とし、第3柱53と第1水平梁41との間に設けられる鉛直ブレース6を第2鉛直ブレース62とする。
本実施形態では、第2鉛直ブレース62は、長さ方向の一方の端部が第3柱53の下端部近傍に接合され、長さ方向の他方の端部が第1水平梁41の建物短辺方向の中間部に接合されている。第2鉛直ブレース62と第1水平梁41との接合部は、第1鉛直ブレース61と第1水平梁41との接合部の建物短辺方向の他方側に隣接している。
上記の本実施形態による建物では、斜め床部3と水平床部4とが接合され、水平床部4が水平ブレース44および床スラブ45を有しているともに、水平床部4の第1水平梁41と、第1水平梁41に接合された第2柱52および第3柱53と、基礎部2(地盤)と、に囲まれた鉛直面8内に設けられる鉛直ブレース6を有している。これにより、斜め床部3に作用する水平力を、斜梁31がブレースとして機能することにより水平床部4に伝達させ、水平床部4に作用する水平力とともに水平床部4から鉛直ブレース6を介して地盤(基礎部2)に伝達させることができる。
このように、第1-第4柱51-54には、水平力が作用しないため、これらの第1-第4柱51-54に剛性の差があっても、地震時や強風時に剛性の高い一部の柱に水平力が集中することを防止できる。
水平床部4は、水平ブレース44および床スラブ45の少なくとも一方を有することにより剛床となるため、鉛直ブレース6の配置を集約することができ、水平床部4の下側に鉛直ブレース6の無い広い空間を設けることができる。
例えば、上記の実施形態では、水平床部4は、水平ブレース44および床スラブ45を有しているが、水平ブレース44および床スラブ45のいずれか一方のみが設けられていてもよい。水平床部4における水平ブレース44および床スラブ45の両方または、一方が設けられる位置は、適宜設定されてよい。
水平ブレース44が設けられる場合は、水平ブレース44の形態が上記の実施形態以外であってもよい。
上記の実施形態では、斜め床部3の段床34は、例えば、プレキャストコンクリート製で、階段状の床板となっているが、RC造のスラブや鋼製のデッキなどで構築されていてもよい。
これに対し、鉛直ブレースは、第1水平梁41と、第1水平梁41に接合された第2柱52および第3柱53と、基礎部2(地盤)と、に囲まれた鉛直面8内に設けられていれば、上記以外の形態でもよい。
図4に示すスタンド1Bのように、第1鉛直ブレース631が第1水平梁41と第2柱52との接合部と、基礎部における第2柱52と第3柱53との間の位置と、に接合され、第2鉛直ブレース632が第1水平梁41と第3柱53との接合部と、基礎部における第2柱52と第3柱53との間の位置と、に接合されていてもよい。
図8に示すスタンド1Fのように、第1水平梁41と第3柱53との接合部と、第2柱52の下端部近傍と、に接合される第1鉛直ブレース671と、第1水平梁41と第2柱52との接合部と、第1鉛直ブレース671の長さ方向の中間部と、に接合される第2鉛直ブレース672と、を有していてもよい。
上記の実施形態では、水平床部4は、平面視形状において、斜め床部3よりも建物短辺方向の寸法が短く形成され、建物短辺方向の他方側の端部4bが斜め床部3の建物短辺方向の他方側の端部3bよりも建物短辺方向の一方側に位置している。これに対し、水平床部4は、建物短辺方向の他方側の端部4bが斜め床部3の建物短辺方向の他方側の端部3bと建物短辺方向の同じ位置(上下方向に重なる位置)に配置されていてもよいし、斜め床部3の建物短辺方向の他方側の端部3bよりも建物短辺方向の他方側の位置に斜め床部3よりも突出するように配置されていてもよい。
上記の実施形態では、本発明の建物が、各種スポーツや催し物などが行われるスタジアムなどのスタンドであるが、スタンド以外の建物であってもよい。
2 基礎部
3 斜め床部
4 水平床部
5 柱
6 鉛直ブレース
8 鉛直面
31 斜梁
41 第1水平梁(水平梁)
44 水平ブレース
45 床スラブ
51 第1柱(第1支持柱)
52 第2柱(第2支持柱)
53 第3柱(第3支持柱)
61 第1鉛直ブレース
62 第2鉛直ブレース
631,641,651,671 第1鉛直ブレース(鉛直ブレース)
632,642,652,672 第2鉛直ブレース(鉛直ブレース)
643 第3鉛直ブレース(鉛直ブレース)
644 第4鉛直ブレース(鉛直ブレース)
661 鉛直ブレース
Claims (4)
- 第1水平方向の一方側から他方側に向かって漸次高くなる斜め方向に沿って設けられた斜め床部と、
前記斜め床部における前記斜め方向の中間部と接合され、前記斜め床部における前記中間部よりも前記第1水平方向の他方側の部分の下側に設けられた水平床部と、
地盤に支持されるとともに前記斜め床部の前記第1水平方向の一方側の端部と接合され、前記第1水平方向に交差する第2水平方向に間隔をあけて複数設けられた第1支持柱と、
前記第1支持柱の前記第1水平方向の他方側の位置において地盤に支持されるとともに前記斜め床部および前記水平床部と接合され、前記第2水平方向に間隔をあけて複数設けられた第2支持柱と、
前記第2支持柱の前記第1水平方向の他方側の位置において地盤に支持されるとともに前記斜め床部および前記水平床部と接合され、前記第2水平方向に間隔をあけて複数設けられた第3支持柱と、を有し
前記斜め床部は、
前記斜め方向に延び、前記第1支持柱、前記第2支持柱および前記第3支持柱と接合される斜梁を有し、
前記水平床部は、
前記第1水平方向に延び、前記第2支持柱および前記第3支持柱と接合される水平梁と、
前記水平梁と接合される水平ブレースおよび床スラブの少なくとも一方と、を有し、
前記水平梁と、それぞれ前記水平梁に接合され前記第1水平方向に隣り合う前記第2支持柱および前記第3支持柱と、地盤と、に囲まれた鉛直面内に設けられる鉛直ブレースを有することを特徴とする建物。 - 前記鉛直ブレースは、制震ブレースであることを特徴とする請求項1に記載の建物。
- 前記水平床部は、前記水平ブレースを有し、
前記水平ブレースは、制震ブレースであることを特徴とする請求項1または2に記載の建物。 - 前記斜梁は、制震ブレースであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の建物。
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