JP6300228B2 - フラットスラブ構造 - Google Patents
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Description
また、上記の床スラブを構築する際に、鉄筋とともにアンボンドPC鋼線を配置してコンクリートを打設し、コンクリート硬化後にアンボンドPC鋼線を緊張させ、床強度を高めるとともに作業の簡素化を図ることも行われている(例えば、特許文献2参照)。
図1に例示した建造物は、複数の柱102が等間隔で配置されており、各柱102の柱頭に床スラブ101を支えるキャピタル103が設けられている。
床スラブ101は、鉄筋を格子状に配置して、さらに適当な本数のアンボンドPC鋼線を上記の格子状の鉄筋間に配線し、これにコンクリートを打設した鉄筋コンクリート造であり、フラットスラブ構造を成すように平板状に形成されている。
キャピタル103の主鉄筋は、床スラブ101の主鉄筋と重ね継ぎされており、これらにコンクリートを打設したとき、キャピタル103が床スラブ101を支持するように設置されている。
床スラブ101を施工するときには、型枠を設置した後、前述のように各鉄筋を配置してコンクリートを打設し、コンクリートが硬化した後、図示されないアンボンドPC鋼線を緊張させて当該床スラブ101の強度を高める。
耐震壁104は、例えば柱102の高さ方向に設置された格子状の鉄筋にコンクリートを打設したものである。
耐震壁104の主鉄筋は、上下方向に設置されている二つの床スラブ101の主鉄筋と重ね継ぎされている。また複数の柱102ならびにキャピタル103の一部分の主鉄筋とも重ね継ぎされており、例えば2本の柱102間を補強するように設けられている。
また、フラットスラブ構造は、比較的水平方向の震動に弱いとされているが、上記のように適当な位置の柱間に鉄筋コンクリート造の耐震壁104を設けることによって耐震性を向上させている。
(実施例)
図2は、この発明の実施例によるフラットスラブ構造を有する建造物の一部分を示した説明図である。図2(a)は、建造物の床部分を正面視したときの各部の配置等を表し、図2(b)は、上記の建造物を側方視したときの各部の配置等を表している。
図示した建造物は複数階層を有するもので、フラットスラブ構造によって各階のフロアを形成している。また、図2(a)中において上下左右に等間隔で各柱11を設置しており、それぞれの柱頭にはキャピタル12が設けられている。
当該建造物の床部分は、同一寸法形状の型枠によって形成された床スラブ10を複数並べることによって大部分が形成されている。また、建造物の床面中央部分等には梁等を設置していない。
上記のアンボンドPC鋼線は、例えば7本のPC鋼より線をポリエチレンシース内に収納し、緊張させたときの摩擦を低減するためシース内の間隙にグリースを充填したものである。
柱11は、断面形状が例えば略四辺形の鉄筋コンクリート造であり、柱頭にキャピタル12またはキャピタル13を備えており、床スラブ10、もしくは各床スラブ10によって形成されたフロアを支持するように適当な間隔を設けて設置されている。
キャピタル12は、例えば格子状の鉄筋によって形成されており、キャピタル12の中央部分において上記の格子状の鉄筋間を柱11の主鉄筋(柱筋)が貫通している。この柱11の主鉄筋は、キャピタル12を貫通して上階部分まで延設されている。
また、適当な位置に配置された柱11のキャピタル12は、後述するブレース14のウェブ部の端部と接合するアンカー等を備えている。なお、このブレース14のアンカー等は、全てのキャピタル12に備えられるものではない。
図3(a)は、鉄骨造のキャピタル13を上方視したもので、図3(b)は柱11の柱頭においてキャピタル13が床スラブ10を支持している状態を側方視したものである。
キャピタル13は、複数の鉄骨を略ロの字状に接続固定した枠体13a、枠体13aの開口内部において例えば十字状に配置固定されている鉄骨13bと鉄骨13c、上記の開口部を適当に塞ぐキーストンプレート30によって構成されている。上記の十字状に固定された鉄骨13b,13cは、下方(図3(a)の奥手方向)から柱11の主鉄筋(図示省略)が貫通している。また、上記のキーストンプレート30は、柱11が貫通したときに生じる開口空間を塞ぐように配置固定されている。
なお、必要に応じて、後述するブレース14のウェブ部の端部を固定するアンカー(固定部)等を当該キャピタル13の鉄骨部分に備える。
また、鉄筋コンクリート造のキャピタル12と鉄骨造のキャピタル13は、建造物各部に生じるストレスや各柱にかかる荷重などに対応させて、即ち各位置において必要な耐力を有するようにそれぞれの柱頭に適したものが設けられる。
なお、上記の軸組みは、隣設した柱間や上下方向に隣設した床スラブによって形成されるものに限定されず、例えば複数階層の床スラブや柱などにわたって形成されたものなど、適宜、様々な大きさの軸組みについて上記のようにブレース14が設置される。
図2(b)に例示したブレース14は、4本のブレース14を建造物の高さ方向において斜めに、もしくは筋交い状に配置固定しており、例えば一端部をキャピタル12に固定し、他端部を筋交いの交点部分となるように床スラブ10の側面部に設置されたアンカー等に固定されている。なお、ブレース14の他端部を、他の柱11に設けられたキャピタル12またはキャピタル13(ブレース14の一端部が固定されたキャピタル12またはキャピタル13に対して斜め上方、あるいは斜め下方に配置されたもの)に固定してもよい。
図4(a)は、図中左端の工区にフライングショア21を設置し、このフライングショア21によって隠れた位置に図示を省略した柱11a、キャピタル12等を構築し、さらにブレース14を固定した後、柱11b〜11dの構築を開始する状態を示している。なお、図中下側の床スラブ10aは、既にコンクリート打設が終了し、型枠等が取り除かれた後であり、その側面には例えば4本のブレース14と接合するアンカー15が固定されている。
また、予め地組により、柱11b〜11dを成す主鉄筋に、下端から柱頭に設けるキャピタル12またはキャピタル13の位置まで帯鉄筋を取り付けて柱筋16を組み上げておき、これら柱筋16を前述の床スラブ10を貫通している主鉄筋に、例えば機械式継手によって接続固定し、下階の各柱11を延設するように建て込む。
上記のように設置した各システム型枠17にコンクリートを打設し、例えば2日程度養成して、コンクリート凝固後に各システム型枠17を、例えばクレーン等を用いて上方へ引き抜く。
柱11bと柱11dの柱頭には、キャピタル12の型枠を設置して格子状の鉄筋を組み上げ、各柱筋16と接合して固定する。このとき、柱11bのキャピタル12の鉄筋には、ブレース14のウェブ部の端部を固定するアンカー(図示省略)を組み込む。また、このアンカーにブレース14のウェブ部の端部を建方用ボルトを用いて固定する。この後、各柱11b,11dの柱頭の型枠にコンクリートを打設し、適宜、コンクリート硬化後に型枠を取り除いてキャピタル12を形成する。
なお、キャピタル13にブレース14を接合する場合には、キャピタル13にブレース14のウェブ部の端部と接合するアンカー等を設けておき、キャピタル13を柱11cへ設置する際に適宜、ブレース14のウェブ部の端部を上記のアンカー等に接続固定する。
次に、図5(b)のように柱11b〜11dの上方に床スラブ10を構築する。詳しくは、前述のようにフライングショア21を移動することによって他の工区(図中柱11aの左側の工区)から床スラブ10の型枠が柱11b〜11dの上方の工区へ移動する。このように移動してきた床スラブ10の型枠に沿って主鉄筋等の配筋を行う。
床スラブ10の各下端筋(図示省略)を柱11b〜11dの各キャピタル12,13の上面等に配筋し、アンボンドPC鋼線31を所定間隔を空けて上記の下端筋の間に配置する。その後、前述の下端筋の上側に上端筋を配筋し、さらに所定の懸垂曲線が得られるようにアンボンドPC鋼線31を配置して各鉄筋に結束する。
上記の床スラブ10の型枠に打設したコンクリートが凝固した後、例えば柱11bのキャピタル12に建方用ボルトによって固定されているブレース14の一端部と、床スラブ10aの側面に設けられているアンカー15に建方用ボルトによって固定されているブレース14の他端部にそれぞれ溶接接合を施し、詳しくはブレース14のウェブ部をそれぞれ溶接して、ブレース14を所定のキャピタル12(またはキャピタル13)とアンカー15の間に配置固定する。
また、キャピタル12またはキャピタル13は、複数のブレース14のウェブ部と接合できるように構成してもよく、図4〜図5に示したように2〜4本のブレース14ウェブ部を放射状に接合・固定する構成とすることも可能である。
この場合、床スラブ10の上方において設置固定されるブレース14ウェブ部の端部と接合する例えば柱11bのキャピタル12に備えられたアンカーを、床スラブ10の床面から上方へ突出するようにしておく。
また、鉄筋コンクリート造の耐震壁を備えていないことから、下階の床スラブ10等にかかる荷重を軽減することができ、耐性を高めることができる。
また、工場等において製造されたブレース14を使用することから、建設現場において行う耐震施工の工数等を抑制することができ、また作業を効率良く進行することによって工期を短縮することができる。
11,11a,11b,11c,11d柱
12キャピタル
13キャピタル
13a枠体
13b,13c鉄骨
14ブレース
15アンカー
16柱筋
17システム型枠
21フライングショア
30キーストンプレート
31アンボンドPC鋼線
101床スラブ
102柱
103キャピタル
104耐震壁
Claims (1)
- 複数の階層からなる建造物を形成する鉄筋コンクリート造の複数の柱と、
前記各階層の前記柱に設置した鉄筋コンクリート造または鉄骨造の各キャピタルと、
前記各キャピタルによって支持固定され、鉄筋間にアンボンドPC鋼線を配線して形成した鉄筋コンクリート造の複数の床スラブと、
前記建造物の異なる階層のキャピタル間に設置した鉄骨ブレースと、
を有し、
前記鉄骨造のキャピタルは、
複数の鉄骨を接続固定した枠体を有し、該枠体の枠内部に前記柱の主鉄筋を貫通させ、該鉄骨造のキャピタル上端を前記床スラブ下端と接合して該床スラブを下方から支持し、
前記複数の柱は、
第1の階層の床スラブを支持する前記鉄骨造のキャピタルを設置した第1の柱と、
第2の階層の床スラブを支持する前記鉄筋コンクリート造のキャピタルを設置した第2の柱と、を有し、
前記鉄骨ブレースは、
前記各柱の軸線および前記床スラブの一辺部によって形成される四辺形の軸組に対角線状に設置され、一端部を前記第1の階層の床スラブを支持する鉄骨造のキャピタルに接続し、他端部を前記第2の階層の床スラブを支持する前記鉄筋コンクリート造のキャピタルに接続する、
ことを特徴とするフラットスラブ構造。
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