JP7310059B2 - 傘中空エンジンバルブの冷却材充填装置、及び冷却材の充填方法 - Google Patents
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Description
以下、図1~6を参照し、発明の一実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は例示であり、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。なお、傘中空エンジンバルブ100の方向については図1(b)の方向(上下左右)を基準とし、冷却材充填装置1の方向については図2の方向(上下左右)を基準として説明する。
図1に示すように、傘中空エンジンバルブ(以下、単にエンジンバルブという)100は、丸棒状に成形された軸部101と、軸部101の下端部に同心状かつ傘状に拡径した傘部102とを備え、傘部102は下部に円板状の底部103を有する。底部103は、中空部105の内側の内底面103a及び外側の外底面103bを有する。
以下に説明する冷却材充填装置1は、エンジンバルブ100の中空部105の深さよりも長い金属ナトリウムNを、中空部105内に適切に充填することができる。
図2に示すように、冷却材充填装置1は、エンジンバルブ100の中空部105内へ向けて不活性ガスを噴出可能な不活性ガス供給手段10と、エンジンバルブ100の重量を計測する重量計測手段20と、エンジンバルブ100内に充填された金属ナトリウムNの量の適否を判断可能な規定量判断手段30と、軸方向が垂直状態のエンジンバルブ100を傾斜状態へ傾かせるバルブ傾斜手段40と、傾斜状態のエンジンバルブ100に振動を付与可能なバルブ振動手段46と、傘部102の底部103の所定範囲を加熱可能なバルブ加熱手段50と、金属ナトリウムNを棒状に成形可能な金属ナトリウム成形手段60と、棒状に成形された金属ナトリウムNを保持して、エンジンバルブ100の中空部105内へ導入可能な金属ナトリウムガイド手段70と、金属ナトリウムガイド手段70によって保持された金属ナトリウムNを中空部105へ押込み可能な金属ナトリウム押込み手段80と、中空部105に金属ナトリウムNが充填されたか否かを判断可能な充填判断手段90とを含んで構成さる。これらの構成手段(判断手段や計測手段の一部を除く)は、直接又は支持体等を介して固定板2の上面にボルト締めや溶接等により固定される。
図2に示すように、不活性ガス供給手段10は、供給管11aを介して不活性ガス源(図示略)に接続された中空管11と中空管11の下端に接続され上下方向を向く細長いノズル12とを有する。不活性ガスは、例えば窒素ガス等であって、不活性ガス源から中空管11及びノズル12を通って、ノズル12の下端から噴出するようになっている。中空管11は、上下方向に伸縮可能なエアシリンダ又はソレノイド等の昇降手段(図示略)に固定され、ノズル12の下端が、逆円錐台状のガイド部材13の内部に設けられたテーパ孔13aに案内されて、傘中空部105b内に位置する下限位置と、エンジンバルブ100の移動(搬送)の妨げとならない上限位置との間を上下動可能となっている。不活性ガス供給手段10は、中空管11が下限位置へ移動して、中空部105内に不活性ガスを噴出することによって中空部105内に不活性ガスを充満させることができるようになっている。
図2に示すように、重量計測手段20は、エンジンバルブ100の重量を計測可能な重量センサ(図示略)を内蔵して、固定板2に立設された基台5の上部に設けられる。重量計測手段20は、ゲッタ材G投入後から金属ナトリウムNの導入前までの工程設備の間の適宜の位置に配置され、金属ナトリウムNの導入前及び導入後のエンジンバルブ100の重量を計測する。重量計測手段20は、金属ナトリウムNの導入前のエンジンバルブ100の重量を、例えば、不活性ガスが供給された後や、前工程のゲッタ材Gの投入直後に計測する。また、重量計測手段20は、金属ナトリウムNの導入後のエンジンバルブ100の重量を、後述する金属ナトリウムNの充填完了後に計測する。
計測された重量情報は、規定量判断手段30の判断処理に用いられる。
図2に示すように、規定量判断手段30は、重量計測手段20に電気的に接続され、重量計測手段20が計測した金属ナトリウムNの導入前後におけるエンジンバルブ100の重量差dを求めることにより、導入された金属ナトリウムNが規定量か否かを判断する。規定量判断手段30は、重量差d=規定量の場合は、正常と判断し、重量差d≠規定量の場合は、導入した金属ナトリウムNに過不足がある、すなわち、エラーと判断する。
図2に示すように、バルブ傾斜手段40は、エンジンバルブ100の軸部101を把持可能な把持アーム41と、把持アーム41を水平方向の回転軸5a周りに所定角度(例えば45度)傾かせることが可能な傾斜機構43とを有する。
把持アーム41の他端には、振動モータであるバルブ振動手段46がボルト等によって固定されている。
また、バルブ振動手段46を振動モータの代わりに、打撃により振動を与える打撃装置(図示略)を採用してもよい。
図2に示すように、バルブ加熱手段50は、高周波を用いた加熱装置であって、熱を出力するための加熱部51と、後述するコイル部53を所定の範囲で変動させる位置変動部55とを含んで構成される。
図2に示すように、金属ナトリウム成形手段60は、冷却材充填装置1の上部に配置され、図5に示すように、金属ナトリウムNを収容し、下部に下方へ暫時縮径するテーパ孔61aを有する上下方向のシリンダ61と、モータ又はソレノイド等の駆動手段(図示略)によってシリンダ61内を上下方向に移動可能なピストン62と、シリンダ61の下端部に設けられる上下方向の小径のノズル63と、モータ又はソレノイド等の駆動手段(図示略)によって水平方向へ移動可能であって、ノズル63から押出された棒状の金属ナトリウムNを適時に切断可能なエアグラインダ等のカッタ64とを備える。金属ナトリウム成形手段60は、シリンダ61内に収容した金属ナトリウムNを、ピストン62により上方から押圧することによって、ノズル63から金属ナトリウムNを棒状に搾り出し、カッタ64によって適切な長さに切断することができるようになっている。
図2に示すように、金属ナトリウムガイド手段(冷却材ガイド手段)70は、金属ナトリウム成形手段60の下方に配置され、図5に示すように、金属ナトリウム成形手段60によって搾り出された棒状の金属ナトリウムNを上方から受け入れ、一時的に保持することができる透明の合成樹脂からなる筒状のホルダ71と、後述する金属ナトリウム押込み手段80によってホルダ71から押出された金属ナトリウムNをエンジンバルブ100の開口部104から中空部105に導入することができる軸端ガイド72と、ホルダ71と軸端ガイド72との間に配置され、ホルダ71に受け入れられた金属ナトリウムNの脱落を一時的に防止するためのストッパ74とを備える。
図2に示すように、金属ナトリウム押込み手段(冷却材押込み手段)80は、金属ナトリウムガイド手段70の斜め上方に設けられ、SUS等の金属からなる棒状の押込み棒81と、押込み棒81を固定するロッドホルダ82と、モータ、ソレノイド、エアシリンダ又は油圧シリンダ等の押圧手段83とを有する。金属ナトリウム押込み手段80は、押込み棒81が先端に固定されたロッドホルダ82を、押圧手段83によって、傾斜状態のエンジンバルブ100の軸方向に沿って、下方に向かって所定の押圧力(例えば、100~300g程度)で押込み可能となっており、可動範囲は、押込み棒81を最も引き込む初期位置から最も押出す押込み位置の間となっている。
図2に示すように、充填判断手段90は、金属ナトリウム押込み手段80に電気的に接続され、押込み棒81が押込み位置に移動したことに基づいて、エンジンバルブ100の中空部105への金属ナトリウムNの充填が完了したと判断する。なお、タイマ(図示略)を設け、金属ナトリウム押込み手段80による金属ナトリウムNの押圧開始(第3押込み)から所定時間経過したことに基づいて、充填判断手段90は金属ナトリウムNの充填が完了したと判断してもよい。
図6に示すように、ゲッタ材Gが投入されたエンジンバルブ100に対して、不活性ガス供給手段10は、中空部105内に不活性ガスを噴出し(ステップS1)、重量計測手段20は金属ナトリウムNの導入前の重量を計測する(ステップS2)。
バルブ傾斜手段40は、重量が計測された軸方向が垂直状態のエンジンバルブ100を、例えば45度傾かせて傾斜状態に変位させる(ステップS3)。
バルブ振動手段46は、傾斜状態のエンジンバルブ100を振動させる(ステップS4)。その結果、傘中空部105b内のゲッタ材Gを完全に片寄せすることができる。
また、加熱部51は、傾斜状態のエンジンバルブ100における底部103の中心部を例えば150℃まで加熱する(ステップS5)。
その後、金属ナトリウムガイド手段70及び金属ナトリウム押込み手段80は、金属ナトリウムNを傾斜状態のエンジンバルブ100の中空部105へ導入し[第1押込み](ステップS6)、さらに、金属ナトリウム押込み手段80は、金属ナトリウムNを、開口部104から突出した突出部N1の上端部から押込み棒81により押込む[第3押込み](ステップS7)。これにより、金属ナトリウムNの下端部がエンジンバルブ100の内底面103aに押付けられ、融解し、金属ナトリウムNは中空部105内に充填される。なお、ステップS6とステップS7の金属ナトリウムNの中空部105への導入から押込みは、作業工程間にインターバルはなく、連続的に行われる。
充填判断手段90により、金属ナトリウムNの充填が完了したと判断されると(ステップS8でYES)、バルブ傾斜手段40は、エンジンバルブ100を水平位置に戻して、重量計測手段20に載置する。重量計測手段20は、金属ナトリウムNが充填されたエンジンバルブ100の重量を計測し(ステップS9)、規定量判断手段30は、エンジンバルブ100の重量が適切(規定量)と判断すると(ステップS10でYES)、特別な処理は行わず、一連の処理は終了する。
上記実施形態では、各工程装置を一つずつ配置して、エンジンバルブ100を一つずつ処理するようにしているが、それに限定されず、処理に時間を要する一部の工程装置を並列に配置して、複数のエンジンバルブ100を一部工程において並列に処理するようにしてもよい。
上記実施形態では、金属ナトリウムNを棒状に成形し、一時保持し、エンジンバルブ100の中空部105に押し込む処理を、金属ナトリウム成形手段60、金属ナトリウムガイド手段70、及び金属ナトリウム押込み手段80の各手段によって行っているが、単一の手段(金属ナトリウム供給装置)で行うようにしてもよい。この場合、予め、金属ナトリウムNを棒状に成形したものを用意して、エンジンバルブ100の中空部105に押し込む処理のみを行うようにしてもよい。
G ゲッタ材 N 金属ナトリウム
1 冷却材充填装置 2 固定板
4 支持柱 4a回転軸
5 基台 5a 回転軸
10 不活性ガス供給手段 11 中空管
11a 供給管 12 ノズル
20 重量計測手段
30 規定量判断手段
40 バルブ傾斜手段 41 把持アーム
41a アーム部 41b 把持部
43 傾斜機構 43a 伸縮手段
43b 回転リンク 46 バルブ振動手段
50 バルブ加熱手段 51 加熱部
52 誘導加熱電源 53 コイル部
53a ベース 53b 加熱集中部
54 温度制御部 55 位置変動部
55a 回転アーム 55b 回転制御部
57 サーマルカメラ
60 金属ナトリウム成形手段 61 シリンダ
61a テーパ孔 62 ピストン
63 ノズル 64 カッタ
70 金属ナトリウムガイド手段 71 ホルダ
71a 挿通孔 72 軸端ガイド
73 貫通孔 73a テーパ孔
73b ガイド孔 73c 嵌合孔
74 ストッパ 74a ストッパ部
74b 伸縮手段 75 ベース板
76 可動板
80 金属ナトリウム押込み手段 81 押込み棒
82 ロッドホルダ 83 押圧手段
90 充填判断手段
100 エンジンバルブ 101 軸部
102 傘部 103 底部
103a 内底面 103b 外底面
104 開口部 105 中空部
105a 軸中空 105b 傘中空部
Claims (4)
- 軸部及び前記軸部の一端に傘状に拡径する傘部の内部に中空の中空部を有する傘中空エンジンバルブにおける前記軸部の他端の開口から前記中空部へゲッタ材を投入可能かつ、冷却材を充填可能な冷却材充填装置であって、
軸方向が垂直状態の前記傘中空エンジンバルブを傾斜状態へ傾かせるバルブ傾斜手段と、
棒状の前記冷却材を一時的に保持可能な筒状のホルダを有する冷却材ガイド手段と、
前記ホルダに一時的に保持された前記冷却材を、前記中空部内に押込むことが可能な棒状の押込み棒を有する冷却材押込み手段と、
前記傘部の底部の中心部を前記冷却材の融点よりも高い温度まで加熱可能であって、前記中空部内に押込まれて前記底部に接触した前記冷却材を融解可能な部分加熱手段と、を備えることを特徴とする傘中空エンジンバルブの冷却材充填装置。 - 前記冷却材ガイド手段は、前記押込み棒によって前記中空部に押込まれた前記中空部の深さよりも長い前記冷却材の下端部が前記中空部内の前記底部に接触した際に、前記冷却材の前記開口から突出した部分を周囲から覆う筒状の軸端ガイドを、前記ホルダの下方に設けることを特徴とする請求項1記載の傘中空エンジンバルブの冷却材充填装置。
- 前記所定角度傾いた前記傘中空エンジンバルブを振動させることが可能なバルブ振動手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の傘中空エンジンバルブの冷却材充填装置。
- 軸部及び前記軸部の一端に傘状に拡径する傘部の内部に中空の中空部を有する傘中空エンジンバルブにおける前記軸部の他端の開口から前記中空部へ冷却材を充填可能な冷却材の充填方法であって、
前記傘中空エンジンバルブを斜めに傾けることにより、前記中空部内に投入されたゲッタ材を前記中空部の端に寄せる片寄せ工程と、
棒状の前記冷却材を前記開口から前記中空部内に押込む冷却材押圧工程と、
前記傘部の底部の中心部を前記冷却材の融点よりも高い温度まで加熱することにより、前記中空部内に押込まれて前記底部に接触した前記冷却材を融解させる融解工程と、を実行することを特徴とする傘中空エンジンバルブの冷却材の充填方法。
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