JP5914639B2 - 冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法,冷媒入り中空ポペットバルブおよびバルブ収容治具 - Google Patents

冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法,冷媒入り中空ポペットバルブおよびバルブ収容治具 Download PDF

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Description

本発明は、中空部に冷媒を不活性ガスとともに封入した冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法,冷媒入り中空ポペットバルブおよび同方法の熱処理に使用するバルブ収容治具に関する。
自動車用のエンジンでは、燃焼室内の温度が高すぎると、ノッキングが発生するおそれがある。
そこで、バルブの中空部に金属ナトリウム等の熱伝導性良好な冷媒を所定量封入することで、傘部から軸部への熱伝導効率を高めてバルブ傘部の冷却効果を向上させて、ノッキングの発生を抑制するとともに、軽量化にも有効である冷媒入り中空ポペットバルブおよび中空部への冷媒封入方法が提案(下記特許文献1)されている。
下記特許文献1には、上方に向けたバルブ軸端側の開口部から冷媒(固体または液体の金属ナトリウム)を中空部に装填した後に、開口部を適宜の手段で密閉することで、冷媒(金属ナトリウム)をバルブの中空部に封入する方法が記載されている。
また、下記特許文献2には、底面側に開口する中空部を画成する傘部外殻を軸端部に一体的に形成したシェル(バルブ本体)を熱間鍛造により形成し、上方に向けた傘部外殻の開口部に金属ナトリウム等の冷媒を挿入後、傘部外殻の開口部周縁にキャップを溶接することで、冷媒(金属ナトリウム)をバルブの中空部に封入する方法も記載されている。
即ち、冷媒入り中空ポペットバルブでは、バルブの中空部に熱伝導性良好な金属ナトリウム等の冷媒(液体、固体を問わない)を封入することで、バルブ傘部の冷却効果が上がり、燃焼室内が極端な高温になることが抑制され、ノッキングの発生が抑制されて、燃費改善に寄与する。また、中空部を設けることで、それだけバルブが軽量化されて、燃費改善に寄与する。
特開平3−18605号公報(従来技術の欄、図1〜4) WO 2012/026011 A1(段落0049〜0053、図3、4,7,8)
しかし、発明者は、従来の冷媒入り中空ポペットバルブを複数本用意し、実際に自動車のエンジンに組み付けて、バルブ傘部の冷却効果について検討したところ、バルブごとにその冷却効果に差が出る(ばらつく)という結果が得られた。
発明者が、この冷却効果がばらつく原因について検討したところ、バルブごとに中空部内における冷媒(金属ナトリウム)の装填位置が異なることが原因であることがわかった。
即ち、冷媒入り中空ポペットバルブを製造するには、特許文献1,2に示すような方法でバルブ中空部に冷媒を封入するが、その後、バルブを製造する各工程において発生した歪(例えば、キャップを溶接して開口部を密閉する際に発生した溶接歪や軸部を摩擦圧接する際に発生した歪等の残留歪)を除去するための焼鈍処理(例えば、500度〜800度で約1時間)や、バルブの表面硬度を上げるための窒化処理(例えば、500度〜600度で約30分)等の熱処理を行うことが一般的である。
しかし、これらの熱処理は、多数量ものバルブを耐熱性(例えば、ステンレス製)の網状の籠に無造作に入れて、熱処理炉内に運び込み、籠ごと熱処理を行い、熱処理が終わると籠ごと炉から取り出すという、バッチ処理が一般的であり、炉内のバルブは、軸端部(傘部)を種々の方向に向けた様々な姿勢で500℃以上の高温に晒されることになる。
このため、熱処理の最中に溶融した冷媒(例えば、金属ナトリウムの融点は約98度)が自重でバルブ中空部内下方に移動し、その移動した位置で固化するため、中空部内における冷媒の装填位置が製品ごとに一定しない(ばらつく)のである。
そして、バルブの中空部に金属ナトリウム等の冷媒を封入した場合に、バルブ傘部の冷却効果が高められるメカニズムについては、次のように説明できる。
図10(a)は、中空部内のバルブ傘部2a側に金属ナトリウム(固体)4が装填されている中空ポペットバルブ2をエンジンに組み付けた場合を示し、符号1は、シリンダヘッド、符号1aは、燃焼室8に開口する吸気(排気)通路、符号1bは、吸気(排気)通路1aの燃焼室8への開口部周縁に設けられたバルブシートである。
中空部内のバルブ傘部2a側に装填されている金属ナトリウム(固体)4は、エンジンの駆動により高温となった燃焼室の熱(例えば、約1000度)が傘部2aを介して徐々に伝達されることで、図10(b)に示すように、全て溶けて液体4aとなる。
そして、エンジンの駆動に連係してバルブ2が上下動作する際に、図10(c)に示すように、金属ナトリウム(液体)4aが中空部に沿って大きく上下動作することで、傘部2aから軸部への熱伝達作用が促進されて、燃焼室8の高温化が抑制され、ノッキングの発生を抑制する上で有効である。即ち、中空部に金属ナトリウムを封入したバルブ傘部2aの冷却効果が発揮される。
一方、図11(a)は、中空部内の軸端部2b側に金属ナトリウム(固体)4が装填されている中空ポペットバルブ2Aをエンジンに組み付けた場合を示す。
中空部内の軸端部2b側に装填されている金属ナトリウム(固体)4は、エンジンの駆動により高温となった燃焼室8の熱が傘部2aを介して徐々に伝達されることで、図11(b)に示すように、熱源に近い下方部分だけが溶けて傘部2a側に移動する。即ち、バルブ2Aの軸部側では、バルブガイド6を介してシリンダヘッド1に常に放熱されるため、燃焼室8に臨むバルブ傘部2a側ほど高温にはならず、金属ナトリウム(固体)4は固体のまま保持される。このため、中空部内は、図11(b)に示すように、気体層5を介して上方の金属ナトリウム(固体)4と下方の金属ナトリウム(液体)4aに分離された形態となる。
そして、エンジンの駆動に連係してバルブ2Aが上下動作する際に、図11(c)に示すように、金属ナトリウム(液体)4aが中空部に沿って上下動作するが、金属ナトリウム(液体)4aの量が少ない(慣性力が小さい)ため上下方向の移動量は小さく、傘部2aから軸部への熱の伝達が促進されないばかりか、金属ナトリウム(固体)4と金属ナトリウム(液体)4aとの間に常に存在する気体層5によって、傘部2aから軸部側への熱の伝達が抑制されて、燃焼室8の高温化を抑制できず、ノッキングが発生するおそれがある。即ち、中空部に金属ナトリウムを封入したバルブ傘部2aの冷却効果が発揮されない、換言すれば、冷媒入り中空ポペットバルブとしてのメリットを十分に生かすことができない。
勿論、従来の方法で製造された多数量のバルブの中には、図10に示すように、バルブ傘部2a側に冷媒(金属ナトリウム)4が装填された形態であって、冷媒入り中空ポペットバルブとしてのメリットを十分に生すことができるもの(傘部の冷却効果を発揮できるもの)も存在するが、その割合は、製造されたバルブ総数の1/4にも満たない。
このように、従来の冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法では、様々な姿勢で混在する冷媒封入バルブ本体に対して熱処理を行う限り、中空部内における冷媒の装填位置が製品ごとにばらつき、製造する冷媒入り中空ポペットバルブの品質(傘部の冷却効果)が均一にならない、という問題があった。
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、その目的は、傘部の冷却効果を確実に発揮できる冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法,傘部の冷却効果を確実に発揮できる冷媒入り中空ポペットバルブおよび同方法の熱処理に使用するバルブ収容治具を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に係る冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法においては、
軸端部に所定形状の傘部を一体的に形成したポペットバルブ本体内に、外部に開口し傘部から軸部にまたがる中空部を形成する中空部形成工程と、前記開口部から中空部に冷媒および不活性ガスを装填する冷媒装填工程と、前記開口部を別部材で密閉する開口部密閉工程と、中空部に不活性ガスとともに冷媒を封入した前記バルブ本体を熱処理炉内で熱処理する熱処理工程とを備えた冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法であって、
前記熱処理工程では、多数本のバルブ本体を治具に収容して熱処理炉に搬入して該治具ごと熱処理するが、
バルブ傘部を上向きにして前記治具にバルブ本体を収容し、該治具をバルブ本体と一体に上下逆様に反転して熱処理炉に搬入し、
バルブ傘部を下に向けた形態でバルブ本体を熱処理するように構成した。
また、請求項1に記載の製造方法によって製造された冷媒入り中空ポペットバルブは、バルブ本体の中空部内のバルブ傘部側に冷媒が装填されるように構成した。
(作用)熱処理炉内において、中空部に不活性ガスとともに冷媒を封入したバルブ本体は傘部を下に向けた形態で熱処理(例えば、500〜600度の窒化処理や、500〜800度の焼鈍処理)されるので、熱処理の最中に溶融(例えば、金属ナトリウムの融点は約98度)した冷媒は、自重で中空部内下方の傘部側に移動し、冷える(融点以下となる)とその移動した位置で固化する。このため、熱処理の施されたバルブ本体では、中空部内における冷媒の装填位置が必ず中空部内の傘部側となる。
そして、中空部内のバルブ傘部側に冷媒として例えば金属ナトリウムが装填されている中空ポペットバルブでは、金属ナトリウム(固体)は、エンジンの駆動により高温となった燃焼室の熱(例えば、約1000度)が傘部を介して徐々に伝達されることで、全て溶けて液体となる。そして、エンジンの駆動に連係してバルブが上下動作する際に、金属ナトリウム(液体)のほぼ全体が中空部に沿って大きく上下動作することで、傘部→軸部→バルブガイド→シリンダヘッドへの熱伝達作用が促進されて、燃焼室の高温化が抑制され、ノッキングの発生を抑制する上で有効である。即ち、バルブ傘部の冷却効果が確実に発揮される。
中空部に封入する冷媒としては、熱伝導性に優れ、バルブの素材よりも比重が小さく、エンジンの燃焼室の熱が伝達されることで溶融し液体となる融点をもつ、金属ナトリウム、金属カリウム等が考えられる。
また、中空部に封入する冷媒の装填量(体積)としては、中空部の容積の30〜70%が望ましい。即ち、冷媒の装填量が30%未満では、バルブ傘部の冷却効果が低下し、逆に70%を超えると、冷却効果は幾分上がるものの、70%未満と比べて格段に上がるものではない。
また、金属ナトリウム等の冷媒が酸化すると、冷媒の熱伝導性が低下し、バルブ傘部の冷却効果が上がらないので、中空部内には、空気ではなく、アルゴン,窒素等の不活性ガスを冷媒とともに封入することが望ましい。即ち、中空部内に冷媒とともに不活性ガスが封入されることで、酸化による冷媒の熱伝導性の低下が抑制される。
なお、熱処理炉内において、中空部に不活性ガスとともに冷媒を封入したバルブ本体を傘部が下を向いた形態に保持するには、例えば、請求項3、4に記載の箱型の耐熱性バルブ収容治具を使用する。詳しくは、多数量のバルブ本体をそれぞれの傘部が上を向いた形態に治具に収容し、該治具を上下逆様に反転して治具内のバルブ本体も上下逆様(傘部が下を向いた形態)にしてから熱処理炉内に搬入し、治具ごと熱処理を行う。
即ち、請求項においては、請求項1に記載の熱処理工程に使用される箱型の耐熱性バルブ収容治具であって、
該治具は、軸部挿通用の孔が多数設けられ、該孔の周縁部がバルブ本体の傘部(首部)を担持して該バルブ本体を懸吊支持する水平支持枠と、前記バルブ本体の傘部を被うように前記水平支持枠上に開閉自在に配設された蓋とを備え、
バルブ本体を収容した治具を上下逆様に反転すると、バルブ本体が治具と一体に上下逆様に反転するように構成した。
(作用)それぞれの傘部が上を向くように多数量のバルブ本体を治具に収容して蓋を閉じた後、治具を上下逆様に反転すれば、治具に収容されている全てのバルブ本体も上下逆様に反転して、それぞれの傘部が下を向く形態となる。
詳しくは、蓋を開けて、治具(の水平支持枠)上方を開放しておき、バルブ本体を軸端部側から水平支持枠の軸部挿通用の孔に挿通すると、バルブ本体の傘部(首部)が水平支持枠(軸部挿通用の孔周縁部)に担持されて、バルブ本体が水平支持枠(軸部挿通用の孔周縁部)に懸吊支持される。そして、バルブ本体の傘部を被うように蓋を閉めた後、治具を上下逆様に反転すると、反転動作に伴ってバルブ本体は自重で水平支持枠(の軸部挿通用の孔)から逸脱する方向に移動しようとする。しかし、傘部が蓋に当たってバルブ本体の移動が抑制されるので、全てのバルブ本体は蓋と水平支持枠に支持された形態のまま治具と一体に上下逆様に反転し、下を向いたバルブ本体の傘部底面が蓋に担持されるとともに、上を向いたバルブ本体の軸部が水平支持枠(軸部挿通用の孔)に略垂直に支持された形態となる。
したがって、多数量のバルブ本体を収容した治具を上下逆様に反転してから、熱処炉内に搬入すれば、熱処理炉内における全てのバルブ本体は、治具によって傘部が下を向く形態に保持される。そして、治具ごとバルブ本体を熱処理することで、一度に多数量のバルブ本体を傘部が下を向いた形態で熱処理することができる。
また、請求項においては、請求項に記載のバルブ収容治具において、
前記水平支持枠を、前記バルブ本体の軸径に略対応する大きさの碁盤目状格子孔が設けられた少なくとも上下二段の第1の格子状水平支持枠で構成し、
前記蓋を、上下逆様に反転したバルブ本体の傘部底面を担持する第2の格子状水平支持枠で構成した。
(作用)最上段の第1の格子状水平支持枠(の格子孔)に懸吊されたバルブ本体は、その軸部が下段の第1の格子状水平支持枠(の格子孔)によって支持され、また、上下逆様に反転した形態のバルブ本体は、傘部底面が蓋に担持されるとともに、軸部が軸方向に離間する少なくとも二箇所の格子状水平支持枠(の格子孔)によって支持されるため、バルブ本体はほぼ垂直に近い状態に保持されて、隣接するバルブ本体の軸部どうしの干渉が回避される。
また、上下逆様にされたバルブ本体の傘部底面を担持する蓋が格子状に構成されているので、傘部底面も熱処理炉内の雰囲気に直接晒される。
以上の説明から明らかなように、本発明に係る冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法によれば、製造された全てのバルブにおいて中空部内の冷媒装填位置が傘部側の一定位置となるので、バルブ傘部における一定の冷却効果を長期間にわたり発揮できる冷媒入り中空ポペットバルブを歩留まりよく製造することができる。
また、請求項1に係る製造方法で製造された冷媒入り中空ポペットバルブによれば、バルブ傘部の冷却効果が確実にしかも長期間にわたって発揮されるので、ノッキングの発生を長期間にわたって抑制する上で有効となる。
請求項に係るバルブ収容治具によれば、多数量のバルブ本体を傘部が下を向く形態にして熱処理炉内に簡単に搬入でき、治具ごと熱処理を行い、熱処理終了後は、多数量のバルブ本体を治具ごと炉外に簡単に搬出できるので、一度に多数量のバルブ本体の熱処理が可能となって、傘部の冷却効果が確実に発揮される冷媒入り中空ポペットバルブの生産効率が上がる。
請求項に係るバルブ収容治具よれば、隣接するバルブ本体の軸部どうしが接触しにくい分、バルブ本体をより接近させて治具に収容することで、それだけ多数量のバルブ本体の熱処理が可能となって、傘部の冷却効果が確実に発揮される冷媒入り中空ポペットバルブの生産効率がいっそう上がる。
また、傘部底面を含む傘部の表面全体が熱処理炉内の雰囲気に晒されて、バルブ本体全体を均一に熱処理できるので、製造されたバルブ全製品について一定の品質を確保できる。
本発明の第1の実施例方法によって製造された冷媒入り中空ポペットバルブの縦断面図である。 冷媒入り中空ポペットバルブを製造する工程を説明する図で、(a)は中空部形成工程、(b)は冷媒装填工程、(c)は開口部密閉工程、(d)は第1の熱処理工程、(e)は第2の熱処理工程を示す図である。 熱処理工程に用いるバルブ収容治具を示す図で、(a)は上面側から見た治具の分解斜視図、(b)は底面側から見た治具の斜視図、(c)はバルブ本体を収容した治具の要部拡大縦断面図である。 バルブを治具に収容して熱処理炉に搬入する様子を説明する説明図で、(a)はバルブを収容した治具の斜視図、(b)は蓋を閉じた状態の治具の斜視図、(c)は逆様にした状態の治具の斜視図、熱処理炉に搬入した状態の治具の斜視図である。 熱処理の最中のバルブ本体の縦断面図である。 金属ナトリウム(液体)がエンジンの駆動に伴って中空部内を上下動する様子を説明する図である。 本発明の第2の実施例方法によって製造された内燃機関用の冷媒入り中空ポペットバルブの縦断面図である。 冷媒入り中空ポペットバルブを製造する工程を説明する図で、(a)は中空部形成工程、(b)は冷媒装填工程、(c)は開口部密閉工程(軸接工程)、(d)は第1の熱処理工程、(e)は第2の熱処理工程を示す図である。 熱処理の最中のバルブ本体の縦断面図である。 従来の製造方法により製造された冷媒入り中空ポペットバルブの冷媒(中空部の傘部側に装填されている冷媒)がエンジンの駆動に伴って中空部内を上下動する様子を説明する図である。 従来の製造方法により製造された冷媒入り中空ポペットバルブの冷媒(中空部の軸端部側に装填されている冷媒)がエンジンの駆動に伴って中空部内を上下動する様子を説明する図である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
本発明の第1の実施例方法によって製造された冷媒入り中空ポペットバルブの縦断面図である図1において、符号10は、真っ直ぐに延びる軸部12の一端側に、径が徐々に大きくなるR形状の首部13を介して、テーパ形状のフェース部16が形成された傘部14が一体的に形成された耐熱合金(SUH1、SUH3、SUH11、SUH35、NCF751等)製の冷媒入り中空ポペットバルブである。符号17は、軸端部外周に設けられたコッタ溝である。
また、バルブ10の内部には、傘部14から軸部12にまたがる中空部Sが設けられ、該中空部Sには、冷媒である金属ナトリウム20が不活性ガス(例えば、アルゴンガス)22とともに封入されている。特に、中空部Sの傘部14側に金属ナトリウム20が装填されて、中空部Sの軸部12側には不活性ガス22が装填された構造になっている。
詳しくは、バルブ本体11の傘部14の底面14a側には、軸部12内の円柱状中空部S1に連通する径の大きい円錐台状中空部S2が設けられ、傘部14の中空部S2における開口部に、バルブ本体11と同素材で構成した円盤状キャップ18が溶接されて、中空部Sに金属ナトリウム20および不活性ガス22が封入されている。
特に、中空部Sに金属ナトリウム20および不活性ガス22を封入したバルブ本体11は、後述するバルブ製造工程の中の熱処理工程(図2(d),(e)参照)において、その傘部14が下向き(軸部12が上向き)となる形態で熱処理されることで、中空部Sに封入されている金属ナトリウム20が中空部S内の傘部14側に確実に装填された構造となるので、バルブ10は、バルブ傘部14における冷却効果を確実に発揮できる。
また、中空部S内に金属ナトリウム20とともに封入されている不活性ガスは、バルブ10の総重量を軽減するべく作用するとともに、金属ナトリウム20の酸化を抑制して、冷媒である金属ナトリウム20の熱伝導性が低下することを抑制するので、バルブ傘部14の冷却効果が確実にしかも長期間にわたって発揮される。
なお、冷媒である金属ナトリウム20の中空部Sの容積に対する装填量は、30〜70%の体積比が望ましい。金属ナトリウム20の装填量が30%未満では、バルブ傘部14の冷却効果が低下し、逆に70%を超えると、冷却効果が幾分上がるものの、70%未満と比べて格段に上がるものではない。
次に、図2に基づいて、冷媒入り中空ポペットバルブ10を製造する工程を説明する。
先ず、(a)に示す中空部形成工程(例えば、熱間鍛造とドリル加工)により、軸部12の一端側に一体的に形成した傘部14の底面14a側に中空部S1を画成する窪み部15が形成されたバルブ本体W1であって、窪み部15(中空部S1)に連通する中空部S2が軸部12に形成されたバルブ本体W1を形成する。
次いで、(b)に示す冷媒装填工程により、不活性ガス雰囲気下で、傘部14が上を向くようにバルブ本体W1を保持し、窪み部15(中空部S1の開口部)から所定量の金属ナトリウム(固体)20を中空部S内に挿入する。中空部S内に金属ナトリウム(固体)20を挿入することで、中空部S内には、金属ナトリウム(固体)20および不活性ガスが装填された状態となる。
なお、挿入する金属ナトリウム(固体)20は、ナトリウムの棒材(粘土状)を所定長さに切断したもので、金属ナトリウム(固体)20のほとんどが中空部S2に押し込まれ、その一部が中空部S1に突出する形態となる。
次いで、(c)に示す開口部密閉工程により、不活性ガス雰囲気下で、キャップ18を窪み部15(中空部S1)の開口部に溶接(例えば、抵抗溶接、電子ビーム溶接、レーザ溶接など)して、中空部S内に金属ナトリウム(固体)20および不活性ガス22を封入する。即ち、中空部S内に金属ナトリウム(固体)20および不活性ガス22を封入したバルブ本体W2が出来上がる。この開口部密閉工程を経た段階では、金属ナトリウム(固体)20は、中空部S内の軸部12側に装填された形態となっている。
その後、(d)に示す第1の熱処理工程により、バルブ本体W2に焼鈍処理(例えば、500度〜800度で約1時間)を施すことで、(c)に示す開口部密閉工程で発生し主に傘部14に残留している溶接歪(残留歪)を除去する。
さらに、(e)に示す第2の熱処理工程により、バルブ本体W2に窒化処理(例えば、500度〜600度で約30分)を施すことで、バルブ本体W2の表面硬度を高める。
特に、第1,第2の熱処理工程のいずれの工程においても、多数量のバルブ本体W2を、図3に示す耐熱性の箱型バルブ収容治具30にその傘部14を上向きにして収容し、治具30を上下逆様に反転することで、治具30内のバルブ本体W2を傘部14が下向き(軸部12が上向き)となる形態にしてから熱処理炉40(図4(d)参照)に搬入し、治具30ごと熱処理を行い、熱処理終了後は、治具30ごと炉40外に搬出するので、バルブ本体W2が第1の熱処理工程を経ることで、あるいは第2の熱処理工程を経ることで、中空部S内の金属ナトリウム(固体)20は、図1に示すように、中空部S内の傘部14側に確実に装填された形態となる。
次に、図3〜5を参照して、熱処理工程に用いる治具30について詳しく説明する。
治具30は、例えば、耐熱性に優れた素材であるステンレスで構成され、矩形状の上下三段の格子状水平支持枠31,32,33の四隅が縦支柱34でそれぞれ連結一体化された矩形状枠体構造で、格子状水平支持枠31,32,33には、バルブ本体W2の軸径に略対応する大きさの碁盤目状格子孔31a,32a,33aが設けられている。
また、三段の支持枠31,32,33のうち、少なくとも上段支持枠31と中段支持枠32の碁盤目状格子孔31a,32aが上下方向に対応するように設けられて、バルブ本体W2をがたつかないように略垂直に懸吊支持できるように構成されている。即ち、後で詳しく説明するが、治具30の上方から、バルブ本体W2を軸部12側から支持枠31の格子孔31aに挿入すれば、軸部12は格子孔31aに対応する下方の支持枠32の格子孔32aに挿通されて、図3(c)に示すように、バルブ本体W2の傘部14(首部13)が格子孔31a周縁部に担持されるとともに、軸部12が格子孔32aに支持された形態となる。
また、治具30の上面側には、碁盤目状格子孔35aが設けられた蓋である格子状水平支持枠35が、ステンレス製ワイヤー37による結束手段によって着脱自在に取着されている。
また、格子状水平支持枠31の四隅には、スペーサ部材36が一体化されて、格子状水平支持枠31と格子状水平支持枠35との間隔が所定の距離に設定されている。即ち、蓋である格子状水平支持枠35を閉じた(取着した)ときに、支持枠31(の格子孔31a)に懸吊支持されたバルブ本体W2の傘部14と、蓋である格子状水平支持枠35が所定距離tだけ離間(図3(c)参照)して、傘部14を傷つけないように構成されている。
符号38は、治具30(の最下段の水平支持枠33)に設けた一対の取手で、治具30を上下反転させたり、搬送したりする際に、作業者が取手38を掴むことで作業がし易くなる。
また、治具30を上下逆様に反転させた状態では、図5に拡大して示すように、治具30内のバルブ本体W2は、その傘部14(の底面14a)が蓋(水平支持枠35)に担持されるとともに、その軸部12の長手方向2箇所が格子孔31a,32aに支持されて、ほぼ垂直に保持される。
さらに、図3(c)に示すように、治具30に収容されたバルブ本体W2の傘部14と蓋(水平支持枠35)との隙間tは僅かで、治具30を反転させる際のバルブ本体W2は、揺動することなく、傘部14と蓋(水平支持枠35)との隙間t相当だけ軸方向に移動するに過ぎない。
即ち、治具30に収容されたバルブ本体W2は、治具30に収容する際は勿論、治具30を反転させる際、さらには反転した治具30を搬送する際のいずれの場合も、大きく揺動したり移動しないように水平支持枠31,32に支持されており、バルブ本体W2同士を接近させて治具30に収容したとしても、バルブ本体W2同士が干渉しないので、それだけ沢山の本数のバルブ本体W2を治具30に収容することで、一度に多数量のバルブ本体W2の熱処理が可能となる。
次に、耐熱性箱型治具30を使って、バルブ本体W2に図2(d)に示す第1の熱処理を施す手順を、図4を参照して説明する。
先ず、治具30の蓋(水平支持枠35)を開け(取り外し)て、治具30(の水平支持枠31)上方を開放し、図4(a)に示すように、治具30(の水平支持枠31)の上方からバルブ本体W2をその軸部12から水平支持枠31,32の格子孔31a,32aに挿通することで、バルブ本体W2を水平支持枠31に懸吊支持させる。
そして、図4(b)に示すように、蓋(水平支持枠35)をスペーサ部材36に載せ、ステンレスワイヤ37によって水平支持枠31に取着一体化する(蓋を閉じる)。
次に、取手38をもって治具30を上下逆様に反転すると、治具30と一体に上下逆様に反転したバルブ本体W2は、図4(c),図5に示すように、下を向いたその傘部14(の底面14a)が蓋(水平支持枠35)に担持されるとともに、上方に延出するその軸部12が水平支持枠31,32(の孔31a,32a)によって略垂直に支持された形態となる。
即ち、治具30の反転動作に伴って、バルブ本体W2(の軸部12)は自重で格子孔31a,32aから逸脱する方向に移動しようとする。しかし、傘部14が蓋(水平支持枠35)に当たってバルブ本体W2の格子孔31a,32aに沿った軸方向の移動が阻止されるので、バルブ本体W2は水平支持枠31,32(の格子孔31a,32a)に支持された形態のまま治具30と一体に上下逆様に反転し、傘部14を下にした形態に保持される。
そして、取手38をもって、上下反転させた治具30を熱処理炉40内に搬入(図4(d)参照)し、熱処理を施す。
そして、治具30は、図5に示すように、熱処理炉40内の載置台42に載置された状態で、熱処理が施されるが、治具30内のバルブ本体W2は、傘部14(の底面14a)が蓋(水平支持枠35)に担持され、軸部12が上下方向に対応する一対の格子孔31a,32aに支持されて、ほぼ垂直に保持された形態で、しかも互いにほぼ等間隔に配置されているので、全てのバルブ本体W2に対し均一な熱処理を施すことができる。
また、バルブ本体W2の傘部14(の底面14a)を担持する蓋(水平支持枠35)が格子状に構成されているので、傘部14の底面14aも熱処理炉40内の高温雰囲気に直接晒されることとなって、バルブ本体W2全体を均一に熱処理できる。
図5は、図2(d)に示す第1の熱処理工程の際に、軸部12の中空部S1に主に装填されている金属ナトリウム(固体)20が、徐々に溶融して中空部S内を傘部14側(の中空部S2)に移動する様子を説明する図である。
治具30に収容されて熱処理炉40に搬入されたバルブ本体W2は、図2(d)に示すように、中空部S内の金属ナトリウム(固体)20が主に中空部S1に装填された形態となっている。
そして、熱処理(焼鈍処理)が開始されて炉40内の温度が融点(約98度)を超えると、中空部S1内に装填されている金属ナトリウム(固体)20が徐々に溶融し、図5矢印に示すように、液体となった金属ナトリウム20aが自重で中空部Sの内周面に沿って下方の傘部14側(の中空部S2)に移動し、金属ナトリウム(固体)20の全てが液体20aとなって中空部S2(中空部S内の傘部14側)に溜まった形態となる。
その後、熱処理が終了し炉40内の温度が融点(約98度)以下となると、金属ナトリウム(液体)20aは、その移動した位置である中空部S2(中空部S内の傘部14側)で固化する。このため、第1の熱処理の施された全てのバルブ本体W2では、中空部S内における金属ナトリウム(固体)20の位置が中空部S内の傘部側14となる。即ち、第1の熱処理が終了した全てのバルブ本体W2は、中空部S内の傘部14側に金属ナトリウム(固体)20が装填された構造(図1参照)となる。
なお、図2(d)に示す第1の熱処理工程が終了すると、熱処理炉40から治具30を搬出し、バルブ本体W2を治具30から取り出して、コッタ溝17の形成等の所定の加工をバルブ本体W2に施す。
そして、再び、図4に示す手順で、バルブ本体W2を治具30に収容し、該治具30を上下逆様に反転してバルブ本体W2を上下逆様にして、図2(e)に示す第2の熱処理(窒化処理)のための熱処理炉に搬入して、熱処理(窒化処理)を施す。
第2の熱処理(窒化処理)のための熱処理炉内において、治具30に収容されているバルブ本体10は、その傘部14を下に向けた形態に保持されているが、金属ナトリウム(固体)20は、中空部S内下方の傘部14側に装填されている。このため、熱処理の際に金属ナトリウム(固体)20は再び溶融するものの、中空部S内を移動できず、中空部S内下方の傘部14側に留まる。熱処理が終了し炉内の温度が融点以下になると、中空部S内の傘部14側で固化する。即ち、第2の熱処理が施された全てのバルブ本体W2では、第1の熱処理が施された全てのバルブ本体W2と同様、中空部S内の傘部14側に金属ナトリウム(固体)20が装填された構造(図1参照)となる。
図6は、図1に示す中空ポペットバルブ10がエンジンの駆動に伴って上下動する際に、金属ナトリウム(液体)20aが中空部S内を上下動する様子を説明する図である。
図6(a)は、中空ポペットバルブ10をエンジンに組み付けた状態を示すが、中空部内のバルブ傘部14側に装填されている金属ナトリウム(固体)20は、エンジンの駆動により高温となった燃焼室8の熱(例えば、約1000度)が傘部14を介して徐々に伝達されることで、図6(b)に示すように、全て溶けて液体20aとなる。
そして、エンジンの駆動に連係してバルブ10が上下動作する際に、図6(c)に示すように、金属ナトリウム(液体)20aのほとんどが中空部に沿って大きく上下動作することで、傘部14→軸部12(→バルブガイド6→シリンダヘッド1)への熱伝達作用が促進されて、燃焼室8の高温化が抑制され、ノッキングの発生を抑制する上で有効である。即ち、中空部Sに金属ナトリウム(固体)20を封入したバルブ10の傘部14の冷却効果が確実に発揮される。
図7は、本発明の第2の実施例方法によって製造された内燃機関用の冷媒入り中空ポペットバルブを示す。
この第2の実施例方法で製造された中空ポペットバルブ10Aは、前記した第1の実施例方法で製造された中空ポペットバルブ10(図1)と外観が同一であるので、同一の部分については同一の符号を付すことで、その重複した説明を省略する。
また、バルブ10Aの内部には、傘部14から軸部12にまたがる、軸部12に沿って延びる円柱状の中空部S’が設けられ、中空部S’には、冷媒である金属ナトリウム20が不活性ガス22とともに封入されている。特に、中空部S’の傘部14側に金属ナトリウム(固体)20が装填されて、中空部S’の軸部12側には不活性ガス22が装填された構造になっている。
特に、後述するバルブ製造工程の中の熱処理(焼鈍処理,窒化処理)工程(図8(d),(e)参照)において、中空部S’に金属ナトリウム20および不活性ガス22を封入したバルブ本体W2’を、その傘部14が下向き(軸部12が上向き)となる形態で熱処理することで、熱処理後のバルブ本体W2’は、図7に示すように、中空部S’内の金属ナトリウム20が傘部14側に確実に装填された構造となるので、バルブ10Aは、バルブ傘部14における冷却効果を確実に発揮できる。
なお、この中空ポペットバルブ10Aは、前記した図1に示す中空ポペットバルブ10と、以下の点で相違している。
第1には、バルブ10では、傘部14内に円錐台形状の中空部S2が設けられているのに対し、バルブ10Aでは、軸部12内の円柱状の中空部S’がそのまま傘部14内にも延在している。
第2には、バルブ10では、バルブ本体W1(W2)の軸部12がバルブ10の軸部12として構成されているが、バルブ10Aでは、バルブ本体W1’の軸部12aに軸端部W1”が摩擦圧接により接合一体化されて、バルブ本体W2(バルブ10A)の軸部12を構成している。即ち、バルブ10Aの製造工程(図8参照)がバルブ10の製造工程(図2参照)と一部相違している。
次に、図8に基づいて、冷媒入り中空ポペットバルブ10Aを製造する工程を説明する。
先ず、(a)に示す中空部形成工程(例えば、熱間鍛造とドリル加工)により、軸部12aの一端側に傘部14を一体的に形成したバルブ本体であって、軸部12aに中空部S’が形成されたバルブ本体W1’を形成する。
そして、(b)に示す冷媒装填工程により、不活性ガス雰囲気下で、軸部12aが上向きとなるようにバルブ本体W1’を保持し、所定量の金属ナトリウム(固体)20を中空部S’内に挿入することで、中空部S’内に金属ナトリウム(固体)20および不活性ガスが装填された状態となる。
そして、バルブ本体W1’よりも機械的強度に優れた素材で構成された丸棒材を所定の長さに切断することで得られた軸端部W1”を、(c)に示す軸接工程(開口部密閉工程)により、不活性ガス雰囲気下で、バルブ本体W1’の軸部12aに接合して、中空部S’内に金属ナトリウム(固体)20および不活性ガス22を封入する。即ち、中空部S’内に金属ナトリウム(固体)20および不活性ガス22を封入したバルブ本体W2’が出来上がる。この(c)に示す軸接工程(開口部密閉工程)を経た段階で、金属ナトリウム(固体)20は、中空部S’内の傘部14側に装填された形態となっている。
その後、(d)に示す第1の熱処理工程により、バルブ本体W2’に焼鈍処理(例えば、500度〜800度で約1時間)を施すことで、(c)に示す軸接工程(開口部密閉工程)で発生し主に軸部12に残留している歪を除去する。
そして、第1の熱処理を施したバルブ本体W2’には、コッタ溝17の形成等の所定の加工を施した後、(e)に示す第2の熱処理工程により、バルブ本体W2’に窒化処理(例えば、500度〜600度で約30分)を施すことで、バルブ本体W2’の表面硬度を高める。
この(d),(e)に示す第1,第2の熱処理工程では、前記した第1の実施例方法において使用したバルブ収容治具30と同じ治具を使用する。即ち、多数量のバルブ本体W2’を、図3に示す耐熱性の箱型バルブ収容治具30にその傘部14を上向きにして収容し、治具30を上下逆様に反転することで、治具30内のバルブ本体W2’を傘部14が下向き(軸部12が上向き)となる形態にしてから熱処理炉40(図4(d)参照)に搬入し、治具30ごと熱処理を行い、熱処理終了後は、治具30ごと炉40外に搬出する。バルブ本体W2’は、第1の熱処理工程を経ることで、あるいは第2の熱処理工程を経ることで、中空部S’内の金属ナトリウム(固体)20は、図7に示すように、中空部S’内の傘部14側に確実に装填された形態となる。
図9は、図8(d)に示す第1の熱処理工程の際に、中空部S’内の傘部14側に装填されている金属ナトリウム(固体)20が溶融する様子を説明する図である。
治具30に収容されて熱処理炉40に搬入されたバルブ本体W2’は、図9に示すように、傘部14を下に向けた形態に保持されているが、中空部S’内の金属ナトリウム(固体)20は、中空部S’内下方の傘部14側に装填された形態(図8(c)参照)となっている。
このため、熱処理の際に融点以上となった金属ナトリウム(固体)20は溶融して液体20aとなるが、中空部S’内を移動できず、中空部S’内下方の傘部14側に留まる。そして熱処理が終了し炉40内の温度が融点以下になると、中空部S’内の傘部14側で固化する。即ち、第1の熱処理が施された全てのバルブ本体W2’は、中空部S’内の傘部14側に金属ナトリウム(固体)20が装填された構造(図7参照)となる。
第2の熱処理においても、中空部S’内の金属ナトリウム(固体)20が液体20aとなるものの、中空部S’内下方の傘部14側に留まることは、第1の熱処理工程の場合と同様である。即ち、第2の熱処理が施された全てのバルブ本体W2’についても、中空部S’内の傘部14側に金属ナトリウム(固体)20が装填された構造(図7参照)となる。
この中空ポペットバルブ10Aがエンジンの駆動に伴って上下動する際に、中空部S’の傘部14側に装填されている金属ナトリウム(固体)20は、燃焼室(図6の符号8参照)の熱が伝達されることで全て液体となるとともに、金属ナトリウム(液体)が中空部S’に沿って大きく上下動作することで、傘部14から軸部12(→バルブガイド→シリンダヘッド)への熱伝達作用が促進されて、燃焼室8の高温化が抑制されて、ノッキングの発生の抑制に有効である。即ち、中空ポペットバルブ10Aの傘部14の冷却効果については、図10(a),(b),(c)に基づいた中空ポペットバルブ2の傘部2aの冷却効果についての説明と実質的に同一であるので、その重複した説明は省略する。
なお、前記したバルブ収容治具30では、蓋である格子状水平支持枠35がステンレス製ワイヤーによる結束手段によって格子状水平支持枠31に着脱自在に取着されているが、蓋である格子状水平支持枠35の治具30に対する着脱手段としては、ねじ締結その他の着脱容易な公知の固定手段であってもよい。
さらに、蓋である格子状水平支持枠35の側縁部を例えば蝶番(ヒンジ)を介して格子状水平支持枠31の対応する側縁部に連結して、蓋(格子状水平支持枠35)を蝶番(ヒンジ)回りに揺動させることで、支持枠31の上方を開閉できるように構成してもよい。
また、前記した治具30では、格子状水平支持枠31に被せるように設ける蓋が格子状水平支持枠35で構成されているが、この蓋は必ずしも格子状に構成する必要はないが、格子状に構成することは、傘部14の底面14aも熱処理炉40内の高温雰囲気に直接晒すことができるという点と、治具30の総重量を軽減できるという点で、望ましい。
また、前記した第1,第2の実施例方法における冷媒装填工程(図2(c),図8(c)参照)では、冷媒である金属ナトリウム(固体)20を中空部S(S’)内に挿入しているが、先行特許文献1に示すように、金属ナトリウム(固体)を融点以上の温度に加熱して液体にすることで、中空部S(S’)内に注入するようにしてもよい。
また、前記した実施例方法では、多数量のバルブ本体W2(W2’)を収容したバルブ収容治具30を上下逆様に反転して熱処理炉40内に搬入し、治具30ごと熱処理を行った後に、炉40外に搬出するというバッチ式の熱処理工程について説明したが、例えば、熱処理炉内を横切るように敷設した搬送コンベアに、多数量のバルブ本体を収容したバルブ収容治具30を上下逆様に反転して載置し、搬送コンベアに載置された治具30(傘部を下に向けたバルブ本体)が熱処理炉内を所定時間(例えば1時間)かけて通過するようにして熱処理を行う移送式の熱処理工程であってもよい。
さらに、熱処理工程は、バルブ収容治具30を用いることなく、多数量のバルブ本体をそれぞれの傘部が下を向くように搬送コンベアに直接載置して、移送式で熱処理する工程であってもよい。
W2,W2’ バルブ本体
S(S1,S2),S’ 中空部
10、10A 冷媒入り中空ポペットバルブ
12 軸部
14 傘部
20 冷媒である金属ナトリウム(固体)
20 冷媒である金属ナトリウム(液体)
30 治具
31,32,33 格子状水平支持枠
31a,32a,33a,35a 碁盤目状格子孔
35 蓋である格子状水平支持枠
36 スペーサ部材
40 熱処理炉

Claims (3)

  1. 軸端部に所定形状の傘部を一体的に形成したポペットバルブ本体内に、外部に開口し傘部から軸部にまたがる中空部を形成する中空部形成工程と、前記開口部から中空部に冷媒および不活性ガスを装填する冷媒装填工程と、前記開口部を別部材で密閉する開口部密閉工程と、中空部に不活性ガスとともに冷媒を封入した前記バルブ本体を熱処理炉内で熱処理する熱処理工程とを備えた冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法であって、
    前記熱処理工程では、多数本のバルブ本体を治具に収容して熱処理炉に搬入して該治具ごと熱処理するが、
    バルブ傘部を上向きにして前記治具にバルブ本体を収容し、該治具をバルブ本体と一体に上下逆様に反転して熱処理炉に搬入し、
    バルブ傘部を下に向けた形態でバルブ本体を熱処理することを特徴とする冷媒入り中空ポペットバルブの製造方法。
  2. 請求項1に記載の熱処理工程に使用される箱型の耐熱性バルブ収容治具であって、
    該治具は、軸部挿通用の孔が多数設けられ、該孔の周縁部がバルブ本体の首部を担持して該バルブ本体を懸吊支持する水平支持枠と、前記バルブ本体の傘部を被うように前記水平支持枠上に開閉自在に配設された蓋とを備え、
    バルブ本体を収容した治具を上下逆様に反転すると、バルブ本体が治具と一体に上下逆様に反転することを特徴とするバルブ収容治具。
  3. 前記水平支持枠は、前記バルブ本体の軸径に略対応する大きさの碁盤目状格子孔が設けられた少なくとも上下二段の第1の格子状水平支持枠で構成され、
    前記蓋は、上下逆様に反転したバルブ本体の傘部底面を担持する第2の格子状水平支持枠で構成されたことを特徴とする請求項2に記載のバルブ収容治具。
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