JP7305674B2 - ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤ - Google Patents
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Description
本発明は、ゴム組成物、加硫ゴム及びタイヤに関する。
氷雪路面上でタイヤを走行させると、路面とタイヤとの間にできる水膜によりタイヤがスリップし、ブレーキ性能が低下することから、スタッドレスタイヤにおいては、氷雪路面上でもグリップが効き、車両を制動し易くなるといった氷上性能の向上が求められている。
例えば、特許文献1には、氷上摩擦係数が向上し、低温での柔軟性並びにウェットグリップ性および氷上グリップ性に優れたゴム組成物を提供することを目的として、ゴム組成物を、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、およびイソブチレン・イソプレン共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のジエン系ポリマーをゴム成分とし、ゴムマトリクス中に発泡性気泡を含有し、前記ゴム成分100重量部に対して、(a)ポリスチレン換算重量平均分子量が0.2×104~8×104であり、(b)結合スチレン量が30重量%以下であり、(c)結合スチレン量をS、ビニル結合量をVとしたときに、S+(V/2)<25の関係を満たす、低分子量スチレン・ブタジエン共重合体を2~50重量部含有するゴム組成物とすることが開示されている。
また、特許文献2には、タイヤの氷上性能を大幅に向上させることが可能なゴム組成物を提供することを目的として、ゴム組成物を、互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する少なくとも三種のジエン系重合体と、シリカと、を含み、前記ジエン系重合体の少なくとも三種は、各配合量が前記ジエン系重合体の総量の10質量%以上であり、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の10質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)の配合量は、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上であり、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の10質量%以上であるジェン系重合体の中で、ガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(C)よりはガラス転移温度(Tg)が低い、前記ジエン系重合体(A)以外のジエン系重合体(B)は、ケイ素原子を含む化合物により変性されており、前記ジエン系重合体(B)は、共役ジエン化合物とスチレンとの共重合体であって、式(i)(St+Vi/2≦33;式中、Stはジエン系重合体(B)の結合スチレン含量(質量%)であり、Viはジエン系重合体(B)の共役ジエン化合物部分のビニル結合量(質量%)である)の関係を満たし、前記シリ力の配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上である内容とすることが開示されている。
タイヤの氷上性能を向上するには、トレッドゴムを柔らかくしてグリップ力を向上することができるが、一方で、柔らかさゆえに耐摩耗性は低下してしまうため、氷上性能と耐摩耗性は二律背反であった。特許文献1のように、低ビニル量の低分子量共役ジエン系重合体を配合することにより、氷上性能向上を実現する手法が開示されているが、氷上性能と耐摩耗性のバランスを向上することはできなかった。また、特許文献2に示される手法では、低温(例えば-20℃)におけるタイヤのヒステリシスロス(tanδ)が不足し、氷上性能に改善の余地があった。
本発明は、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れるタイヤ、並びに該タイヤが得られる加硫ゴム及びゴム組成物を提供することを課題とする。
<1> 天然ゴム、ポリブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000以上40,000未満、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10質量%未満、かつ共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40質量%以上、65質量%以下である未変性の共役ジエン系重合体と、を含有し、前記ゴム成分中の前記天然ゴムの質量nが35質量%以上44質量%以下であり、前記ポリブタジエンゴムの質量b、及び前記スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sが、s≦bの関係にあり、前記共役ジエン系重合体の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対し1~40質量部であるゴム組成物。
<2> 前記共役ジエン系重合体がポリブタジエンである<1>に記載のゴム組成物。
<3> 前記共役ジエン系重合体は、前記ポリスチレン換算重量平均分子量が6,000以上30,000以下である<1>又は<2>に記載のゴム組成物。
<4> 前記共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量が50%以上である<1>~<3>のいずれか1つに記載のゴム組成物。
<5> 前記質量sに対する前記ゴム成分のスチレン結合量st(%)の割合(st/s)が1.0以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載のゴム組成物。
<3> 前記共役ジエン系重合体は、前記ポリスチレン換算重量平均分子量が6,000以上30,000以下である<1>又は<2>に記載のゴム組成物。
<4> 前記共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量が50%以上である<1>~<3>のいずれか1つに記載のゴム組成物。
<5> 前記質量sに対する前記ゴム成分のスチレン結合量st(%)の割合(st/s)が1.0以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載のゴム組成物。
<6> 更に、空隙導入剤を有する<1>~<5>のいずれか1つに記載のゴム組成物。
<7> 前記空隙導入剤が、発泡剤、親水性短繊維、硫酸金属塩、熱膨張性マイクロカプセル及び多孔質セルロース粒子からなる群より選択される少なくとも一種である<6>に記載のゴム組成物。
<7> 前記空隙導入剤が、発泡剤、親水性短繊維、硫酸金属塩、熱膨張性マイクロカプセル及び多孔質セルロース粒子からなる群より選択される少なくとも一種である<6>に記載のゴム組成物。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載のゴム組成物を用いた加硫ゴム。
<9> 複数の空隙を有する<8>に記載の加硫ゴム。
<9> 複数の空隙を有する<8>に記載の加硫ゴム。
<10> <8>又は<9>に記載の加硫ゴムをトレッドに用いたタイヤ。
本発明によれば、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れるタイヤ、並びに該タイヤが得られる加硫ゴム及びゴム組成物を提供することができる。
以下に、本発明をその実施形態に基づき詳細に例示説明する。
なお、以下の説明において、数値範囲を示す「A~B」の記載は、端点であるA及びBを含む数値範囲を表し、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は「A以下B以上」(B<Aの場合)を表す。
また、質量部及び質量%は、それぞれ、重量部及び重量%と同義である。
なお、以下の説明において、数値範囲を示す「A~B」の記載は、端点であるA及びBを含む数値範囲を表し、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は「A以下B以上」(B<Aの場合)を表す。
また、質量部及び質量%は、それぞれ、重量部及び重量%と同義である。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000以上40,000未満、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10%未満、かつ共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40%以上、65%以下である未変性の共役ジエン系重合体とを含有する。
以下、「ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000以上40,000未満、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10質量%未満、かつ共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40質量%以上、65質量%以下である未変性の共役ジエン系重合体」を、「低分子量共役ジエン系重合体」と称することがある。
更に本発明において、ゴム成分中の天然ゴムの質量nは、35質量%以上44質量%以下であり、ポリブタジエンゴムの質量b、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sが、s≦bの関係にある。また、低分子量共役ジエン系ゴムのゴム組成物中の含有量が、ゴム成分100質量部に対し1~40質量部である。
ゴム組成物が上記構成であることで、本発明のゴム組成物から得られるタイヤは、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる。
かかる理由は定かではないが、次の理由によるものと推察される。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを含むゴム成分と、シリカを含む充填剤と、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000以上40,000未満、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10%未満、かつ共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40%以上、65%以下である未変性の共役ジエン系重合体とを含有する。
以下、「ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000以上40,000未満、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10質量%未満、かつ共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40質量%以上、65質量%以下である未変性の共役ジエン系重合体」を、「低分子量共役ジエン系重合体」と称することがある。
更に本発明において、ゴム成分中の天然ゴムの質量nは、35質量%以上44質量%以下であり、ポリブタジエンゴムの質量b、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sが、s≦bの関係にある。また、低分子量共役ジエン系ゴムのゴム組成物中の含有量が、ゴム成分100質量部に対し1~40質量部である。
ゴム組成物が上記構成であることで、本発明のゴム組成物から得られるタイヤは、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる。
かかる理由は定かではないが、次の理由によるものと推察される。
スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)とポリブタジエンゴム(BR)はブタジエン由来の構造により相溶し易く、SBR及びBRと、天然ゴム(NR)とは分離し易い傾向にある。従って、本発明のゴム成分は、NRを含む相(NR相という)と、SBR及びBRを含む相(SB相という)とに相分離し易いと考えられる。
SB相は、SBRよりも低弾性のBRと、BRよりも高弾性のSBRとを含み、SBRがBRよりも多くならない構成(s≦b)であるため、タイヤの低温(-20℃)での弾性率を低下し、タイヤが変形し易くなるので低温でのヒステリシスロスを高めることができ、ブレーキも効き易いと考えられる。
ゴム成分中、NRの含有量が35~44質量%であり、ゴム組成物はシリカを含む充填剤を含有することから、タイヤの弾性率の過度の低下を抑制し、耐摩耗性に優れると考えられる。
低分子量共役ジエン系重合体を、ゴム成分100質量部に対し1~40質量部で含むことで、ゴムマトリックスを柔らかくし、低温でのヒステリシスロスを高めることができるので、グリップが効き易く、氷上性能に優れると考えられる。
以上より、本発明のゴム組成物から得られるタイヤは、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れると考えられる。
以下、本発明について詳細に説明する。
SB相は、SBRよりも低弾性のBRと、BRよりも高弾性のSBRとを含み、SBRがBRよりも多くならない構成(s≦b)であるため、タイヤの低温(-20℃)での弾性率を低下し、タイヤが変形し易くなるので低温でのヒステリシスロスを高めることができ、ブレーキも効き易いと考えられる。
ゴム成分中、NRの含有量が35~44質量%であり、ゴム組成物はシリカを含む充填剤を含有することから、タイヤの弾性率の過度の低下を抑制し、耐摩耗性に優れると考えられる。
低分子量共役ジエン系重合体を、ゴム成分100質量部に対し1~40質量部で含むことで、ゴムマトリックスを柔らかくし、低温でのヒステリシスロスを高めることができるので、グリップが効き易く、氷上性能に優れると考えられる。
以上より、本発明のゴム組成物から得られるタイヤは、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れると考えられる。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔ゴム成分〕
本発明のゴム組成物は、天然ゴム(NR)と、ポリブタジエンゴム(BR)と、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)とを含むゴム成分を含有する。
既述のように、SBRとBRはブタジエン由来の構造により相溶し易く、SBR及びBRと、NRとは分離し易いことから、ゴム成分は、NRを含む相(NR相)と、SBR及びBRを含む相(SB相)とに相分離し易い。SBRは剛直なスチレン由来の構造を有するため、SBRを含むSB相はNR相よりも硬く、ゴム成分はNR相とSB相とで、柔-硬の相構造をなしていると考えられる。本発明のゴム組成物に含まれるゴム成分がかかる相構造を有することにより、本発明のゴム組成物から得られるタイヤは、低温時の弾性率が低く、ヒステリシスロスが高くなると考えられる。
本発明のゴム組成物は、天然ゴム(NR)と、ポリブタジエンゴム(BR)と、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)とを含むゴム成分を含有する。
既述のように、SBRとBRはブタジエン由来の構造により相溶し易く、SBR及びBRと、NRとは分離し易いことから、ゴム成分は、NRを含む相(NR相)と、SBR及びBRを含む相(SB相)とに相分離し易い。SBRは剛直なスチレン由来の構造を有するため、SBRを含むSB相はNR相よりも硬く、ゴム成分はNR相とSB相とで、柔-硬の相構造をなしていると考えられる。本発明のゴム組成物に含まれるゴム成分がかかる相構造を有することにより、本発明のゴム組成物から得られるタイヤは、低温時の弾性率が低く、ヒステリシスロスが高くなると考えられる。
SBR及びBRを含む相(SB相)に充填剤が選択的に分配されることで、NR相の柔らかさを維持して氷上性能を維持しつつ、タイヤの耐摩耗性を向上することができると考えられる。
ゴム成分は、未変性でもよいし、変性されていてもよいが、SB相に充填剤(特に、シリカ)をより多く分配する観点から、SB相を構成するゴム成分であるポリブタジエンゴム及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムのいずれか一方又は両方が、充填剤に親和性のある変性官能基によって変性されていることが好ましい。
ゴム成分は、未変性でもよいし、変性されていてもよいが、SB相に充填剤(特に、シリカ)をより多く分配する観点から、SB相を構成するゴム成分であるポリブタジエンゴム及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムのいずれか一方又は両方が、充填剤に親和性のある変性官能基によって変性されていることが好ましい。
[変性官能基]
変性官能基としては、充填剤(特に、シリカ)に対して親和性のある官能基であれば特に制限はないが、窒素原子、ケイ素原子、酸素原子、及びスズ原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
例えば、窒素原子を含む変性官能基、ケイ素原子を含む変性官能基、酸素原子を含む変性官能基、スズ原子を含む変性官能基等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、窒素原子を含む変性官能基、ケイ素原子を含む変性官能基および酸素原子を含む変性官能基が、シリカ、カーボンブラック等の充填剤と強く相互作用する点で好ましい。
変性官能基としては、充填剤(特に、シリカ)に対して親和性のある官能基であれば特に制限はないが、窒素原子、ケイ素原子、酸素原子、及びスズ原子からなる群から選択される少なくとも1種の原子を含むことが好ましい。
例えば、窒素原子を含む変性官能基、ケイ素原子を含む変性官能基、酸素原子を含む変性官能基、スズ原子を含む変性官能基等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、窒素原子を含む変性官能基、ケイ素原子を含む変性官能基および酸素原子を含む変性官能基が、シリカ、カーボンブラック等の充填剤と強く相互作用する点で好ましい。
ゴム成分への変性官能基の導入方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、官能基含有重合開始剤を用いる方法、官能基含有モノマーをその他化合物と共重合させる方法、ゴム成分の重合末端に変性剤を反応させる方法等が挙げられる。これらは、1種単独の方法で行ってもよいし、2種以上を合わせて行ってもよい。
-窒素原子を含む変性官能基-
窒素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(I)で表される置換アミノ基、下記一般式(II)で表される環状アミノ基等が挙げられる。
窒素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(I)で表される置換アミノ基、下記一般式(II)で表される環状アミノ基等が挙げられる。
式中、R1は、1~12個の炭素原子を有する、アルキル基、シクロアルキル基、又はアラルキル基である。ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、又はイソブチル基が好ましく、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましく、アラルキル基としては、3-フェニル-1-プロピル基が好ましい。各々のR1は、同種のものであっても異種のものであってもよい。
式中、R2基は、3~16個のメチレン基を有する、アルキレン基、置換アルキレン基、オキシ-アルキレン基又はN-アルキルアミノ-アルキレン基である。ここで、置換アルキレン基は、一置換から八置換されたアルキレン基を含み、置換基の例としては、1~12個の炭素原子を有する、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基、又はアラルキル基が挙げられる。ここで、アルキレン基としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、及びドデカメチレン基が好ましく、置換アルキレン基としては、ヘキサデカメチレン基が好ましく、オキシアルキレン基としては、オキシジエチレン基が好ましく、N-アルキルアミノ-アルキレン基としては、N-アルキルアザジエチレン基が好ましい。
一般式(II)で表される環状アミノ基の例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2-(2-エチルヘキシル)ピロリジン、3-(2-プロピル)ピロリジン、3,5-ビス(2-エチルヘキシル)ピペリジン、4-フェニルピペリジン、7-デシル-1-アザシクロトリデカン、3,3-ジメチル-1-アザシクロテトラデカン、4-ドデシル-1-アザシクロオクタン、4-(2-フェニルブチル)-1-アザシクロオクタン、3-エチル-5-シクロヘキシル-1-アザシクロヘプタン、4-ヘキシル-1-アザシクロヘプタン、9-イソアミル-1-アザシクロヘプタデカン、2-メチル-1-アザシクロヘプタデセ-9-エン、3-イソブチル-1-アザシクロドデカン、2-メチル-7-t-ブチル-1-アザシクロドデカン、5-ノニル-1-アザシクロドデカン、8-(4’-メチルフェニル)-5-ペンチル-3-アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1-ブチル-6-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8-エチル-3-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1-プロピル-3-アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3-(t-ブチル)-7-アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5-トリメチル-3-アザビシクロ[4.4.0]デカン等から、窒素原子に結合した水素原子を1つ取り除いた基が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-ケイ素原子を含む変性官能基-
ケイ素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(III)で表されるカップリング剤を用いて形成される、ケイ素-炭素結合を有する変性官能基等が挙げられる。
SB相を構成するゴム成分と、ケイ素とを、ケイ素-炭素結合を介して化学的に結合させることにより、SB相と充填剤との親和性を高め、SB相により多くの充填剤を分配することができる点で好ましい。
一般的に、ケイ素は、単にゴム組成物中に混合された場合、ゴム成分との親和性の低さに起因して、ゴム組成物の補強性等は低いが、SB相を構成するゴム成分とケイ素とを、ケイ素-炭素結合を介して化学的に結合させることにより、SB相を構成するゴム成分と充填剤との親和性を高め、タイヤのヒステリシスロスをより高めることができる。
ケイ素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(III)で表されるカップリング剤を用いて形成される、ケイ素-炭素結合を有する変性官能基等が挙げられる。
SB相を構成するゴム成分と、ケイ素とを、ケイ素-炭素結合を介して化学的に結合させることにより、SB相と充填剤との親和性を高め、SB相により多くの充填剤を分配することができる点で好ましい。
一般的に、ケイ素は、単にゴム組成物中に混合された場合、ゴム成分との親和性の低さに起因して、ゴム組成物の補強性等は低いが、SB相を構成するゴム成分とケイ素とを、ケイ素-炭素結合を介して化学的に結合させることにより、SB相を構成するゴム成分と充填剤との親和性を高め、タイヤのヒステリシスロスをより高めることができる。
式中、Zはケイ素であり、R3はそれぞれ独立して、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、及び7~20個の炭素原子を有するアラルキル基からなる群から選択され、R4はそれぞれ独立して塩素又は臭素であり、aは0~3であり、bは1~4であり、且つa+b=4である。ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシルが好ましく、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましく、アリール基としては、フェニル基が好ましく、アラルキル基としては、ネオフィル基が好ましい。各々のR3は、同種ものであっても異種のものであってもよい。各々のR4は、同種ものであっても異種のものであってもよい。
変性ゴムのシリカとの相互作用を高めることを目的とした場合には、以下の一般式(III-1)で示される化合物及び一般式(III-2)で示される化合物の少なくとも一種を有する変性剤が挙げられる。
一般式(III-1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基を示し、aは0~2の整数であり、OR2が複数ある場合、複数のOR2は互いに同一でも異なっていても良く、また分子中には活性プロトンは含まれない。
ここで、一般式(III-1)で表される化合物(アルコキシシラン化合物)の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、テトラ-tert-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等を挙げることができるが、これらの中で、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及びジメチルジエトキシシランが好適である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても用いてもよい。
一般式(III-2)中、A1はエポキシ、グリシジルオキシ、イソシアネート、イミン、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、環状三級アミン、非環状三級アミン、ピリジン、シラザン及ジスルフィドからなる群より選択される少なくとも一種の官能基を有する一価の基であり、R3は単結合又は二価の炭化水素基であり、R4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、bは0~2の整数であり、OR5が複数ある場合、複数のOR5は互いに同一であっても異なっていても良く、また分子中には活性プロトンは含まれない。
一般式(III-2)で表される化合物の具体例としては、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物、例えば、2-グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、(2-グリシジルオキシエチル)メチルジメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン等を挙げることができる。これらの中で、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを好適に用いることができる。
ケイ素を用いたカップリング剤の例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロカルビルオキシシラン化合物、SiCl4(四塩化ケイ素)、(Ra)SiCl3、(Ra)2SiCl2、(Ra)3SiCl等が挙げられる。なお、Raは、各々独立に1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~20個の炭素原子を有するシクロアルキル基、6~20個の炭素原子を有するアリール基、又は7~20個の炭素原子を有するアラルキル基を表す。
これらの中でも、ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、シリカに対して高い親和性を有する観点から好ましい。
これらの中でも、ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、シリカに対して高い親和性を有する観点から好ましい。
(ヒドロカルビルオキシシラン化合物)
ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物を挙げることができる。
ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物を挙げることができる。
式中、n1+n2+n3+n4=4(但し、n2は1~4の整数であり、n1、n3及びn4は0~3の整数である)であり、A1は、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基(イソシアナート基又はチオイソシアナート基を示す。以下、同様)、(チオ)エポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ニトリル基、ピリジン基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、アミド基、(チオ)カルボン酸エステル基、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又はメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、A1は、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であっても良く、R21は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R23は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R22は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一もしくは異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成しており、R24は、炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又は加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。なお、本明細書において、「炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基」は、「炭素数1~20の一価の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3~20の一価の脂環式炭化水素基」を意味する。二価の炭化水素基の場合も同様である。
さらに、一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
式中、p1+p2+p3=2(但し、p2は1~2の整数であり、p1及びp3は0~1の整数である)であり、A2は、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。)、或いは、硫黄であり、R25は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R27は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、R26は、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一もしくは異なり、或いは、一緒になって環を形成しており、R28は、炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基である。
さらに、一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(VI)又は(VII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
式中、q1+q2=3(但し、q1は0~2の整数であり、q2は1~3の整数である)であり、R31は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R35は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なってもよい。
式中、r1+r2=3(但し、r1は1~3の整数であり、r2は0~2の整数である)であり、R36は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R38は炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(VIII)又は(IX)で表される2つ以上の窒素原子を有する化合物であることが好ましい。
式中、TMSはトリメチルシリル基であり、R40はトリメチルシリル基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R41は炭素数1~20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、R42は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基である。
式中、TMSはトリメチルシリル基であり、R43及びR44はそれぞれ独立して炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R45は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であり、複数のR45は、同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(X)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることも好ましい。
式中、r1+r2=3(但し、r1は0~2の整数であり、r2は1~3の整数である。)であり、TMSはトリメチルシリル基であり、R46は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47及びR48はそれぞれ独立して炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR47又はR48は、同一でも異なっていてもよい。
さらに、一般式(IV)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(XI)で表される化合物であることが好ましい。
式中、Yはハロゲン原子であり、R49は炭素数1~20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の二価の芳香族炭化水素基であり、R50及びR51はそれぞれ独立して加水分解性基又は炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基であるか、或いは、R50及びR51は結合して二価の有機基を形成しており、R52及びR53はそれぞれ独立してハロゲン原子、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1~20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6~18の一価の芳香族炭化水素基である。R50及びR51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert-ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
以上の一般式(IV)~(XI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、変性ゴム成分がアニオン重合により製造される場合に用いられることが好ましい。
また、一般式(IV)~(XI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
また、一般式(IV)~(XI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
アニオン重合によってジエン系重合体を変性する場合に好適な変性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3,4-ビス(トリメチルシリルオキシ)-1-ビニルベンゼン、3,4-ビス(トリメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、3,4-ビス(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)ベンズアルデヒド、2-シアノピリジン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1―メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アニオン重合における重合開始剤として用いられるリチウムアミド化合物のアミド部分であることが好ましい。
リチウムアミド化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ-2-エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピぺリジドのアミド部分となる変性剤はピぺリジンである。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
リチウムアミド化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピぺリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジへキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ-2-エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム-N-メチルピベラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。例えば、リチウムヘキサメチレンイミドのアミド部分となる変性剤はヘキサメチレンイミンであり、リチウムピロリジドのアミド部分となる変性剤はピロリジンであり、リチウムピぺリジドのアミド部分となる変性剤はピぺリジンである。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-酸素原子を含む変性官能基-
酸素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブドキシ基、t-ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基等のアルキレンオキシド基;トリメチルシリロキシ基、トリエチルシリロキシ基、t-ブチルジメチルシリロキシ基等のトリアルキルシリロキシ基等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸素原子を含む変性官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブドキシ基、t-ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシフェニル基、エトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;エポキシ基、テトラヒドロフラニル基等のアルキレンオキシド基;トリメチルシリロキシ基、トリエチルシリロキシ基、t-ブチルジメチルシリロキシ基等のトリアルキルシリロキシ基等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
SB相により多くの充填剤を含ませる観点から、ポリブタジエンゴム及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムのいずれか一方又は両方は、それぞれシラン変性されていることが好ましい。具体的には、ポリブタジエンゴム及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムが、それぞれ、既述の一般式(IV)~(XI)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物で変性されたゴム成分であることが好ましい。
ゴム成分は、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴム以外のゴム(他のゴムと称する)を含有していてもよい。
他の合成ゴムとしては、合成イソプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム等が例示される。これらの合成ジエン系ゴムは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
他の合成ゴムとしては、合成イソプレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体ゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム等が例示される。これらの合成ジエン系ゴムは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム成分中の天然ゴムの質量nは35質量%以上44質量%以下であり、ポリブタジエンゴムの質量b、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sが、s≦bの関係にある。
なお、質量n、質量b、質量sの単位は「質量%」である。
ゴム成分中の天然ゴムの質量nが35質量%未満であると、ゴムの強度が低下し耐摩耗性が低下するため、氷上性能と耐摩耗性を両立することができない。
ゴム成分中の天然ゴムの質量nが44質量%を超えると、得られるタイヤが低温において硬くなり、タイヤが変形しにくくなり氷上性能が低下するため、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに欠ける。
なお、質量n、質量b、質量sの単位は「質量%」である。
ゴム成分中の天然ゴムの質量nが35質量%未満であると、ゴムの強度が低下し耐摩耗性が低下するため、氷上性能と耐摩耗性を両立することができない。
ゴム成分中の天然ゴムの質量nが44質量%を超えると、得られるタイヤが低温において硬くなり、タイヤが変形しにくくなり氷上性能が低下するため、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに欠ける。
上記観点から、ゴム成分中の天然ゴムの質量nは35~44質量%であり、ポリブタジエンゴムの質量bが33~60質量%であり、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sが3~32質量%であることが好ましい。なお、n、b及びsの合計が100質量%を超えることはない[(n+b+s)≦100]。
より好ましくは、ポリブタジエンゴムの質量bが35~50質量%であり、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sが5~25質量%である。
より好ましくは、ポリブタジエンゴムの質量bが35~50質量%であり、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sが5~25質量%である。
スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sに対するポリブタジエンゴムの質量bの割合(b/s)は1.0~2.0であることが好ましい。スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの量sがポリブタジエンゴムの量bと同等か、より少ないことで、SB相の弾性率が高くなりすぎることを抑制し、低温環境下におけるタイヤの弾性率を下げ易い。
ゴム成分の含有量a(質量部)に対するゴム成分のビニル結合量vi(%)の割合〔vi/a〕は8以上であることが好ましい。
ゴム成分の含有量aの単位は「質量部」である。〔vi/a〕は、下記式により算出される。
[(ab×vib)+(asb×visb)]/a
式中、
abは、ポリブタジエンゴムの含有量(質量部)、
vibは、ポリブタジエンゴムのビニル結合量(%)、
asbは、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの含有量(質量部)、
visbは、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムのビニル結合量(%)である。
含有量ab、asbの単位は「質量部」である。
vi/aが8以上であることで、タイヤの低温での弾性率がより低下し、タイヤが変形し易くなるので低温でのヒステリシスロスを高めることができ、ブレーキも効き易い。
更に、本発明の効果をより達成し易くする観点から、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sに対するポリブタジエンゴムの質量bの割合(b/s)が1.0~2.0であり、かつ、ゴム成分の含有量aに対するゴム成分のビニル結合量vi(%)の割合〔vi/a〕が8以上であることが好ましい。
ゴム成分のビニル結合量vi(%)は、赤外法(モレロ法)で求めることができる。
ゴム成分の含有量aの単位は「質量部」である。〔vi/a〕は、下記式により算出される。
[(ab×vib)+(asb×visb)]/a
式中、
abは、ポリブタジエンゴムの含有量(質量部)、
vibは、ポリブタジエンゴムのビニル結合量(%)、
asbは、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの含有量(質量部)、
visbは、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムのビニル結合量(%)である。
含有量ab、asbの単位は「質量部」である。
vi/aが8以上であることで、タイヤの低温での弾性率がより低下し、タイヤが変形し易くなるので低温でのヒステリシスロスを高めることができ、ブレーキも効き易い。
更に、本発明の効果をより達成し易くする観点から、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sに対するポリブタジエンゴムの質量bの割合(b/s)が1.0~2.0であり、かつ、ゴム成分の含有量aに対するゴム成分のビニル結合量vi(%)の割合〔vi/a〕が8以上であることが好ましい。
ゴム成分のビニル結合量vi(%)は、赤外法(モレロ法)で求めることができる。
スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sに対するゴム成分のスチレン結合量st(%)の割合(st/s)は1.0以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.6以下であることが更に好ましい。
st/sが1.0以下であることで、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの剛直性が和らぐことから、低温環境下におけるタイヤの弾性率をより低くすることができ、氷上ブレーキ性能を向上し易い。
ゴム成分のスチレン結合量st(質量%)は、1H-NMR、赤外法(モレロ法)等で求めることができる。
st/sが1.0以下であることで、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの剛直性が和らぐことから、低温環境下におけるタイヤの弾性率をより低くすることができ、氷上ブレーキ性能を向上し易い。
ゴム成分のスチレン結合量st(質量%)は、1H-NMR、赤外法(モレロ法)等で求めることができる。
〔充填剤〕
本発明のゴム組成物は、少なくともシリカを含む充填剤を含有する。
充填剤がシリカを含まないと、タイヤの低燃費性が不十分となる。
ゴム組成物中の充填剤含有量は、タイヤの耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量部に対し、50質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることがより好ましく、65質量部以上であることが更に好まし。また、ゴム組成物中の充填剤含有量は、タイヤの柔軟性と氷上性能の観点から、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、85質量部以下であることが更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、少なくともシリカを含む充填剤を含有する。
充填剤がシリカを含まないと、タイヤの低燃費性が不十分となる。
ゴム組成物中の充填剤含有量は、タイヤの耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量部に対し、50質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることがより好ましく、65質量部以上であることが更に好まし。また、ゴム組成物中の充填剤含有量は、タイヤの柔軟性と氷上性能の観点から、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、85質量部以下であることが更に好ましい。
充填剤は、シリカを含めば特に制限されず、例えば、ゴム組成物を補強する補強性充填剤が用いられる。補強性充填剤は、例えば、シリカの他に、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム等の白色充填剤;カーボンブラック等が挙げられる。
充填剤として、シリカのみを単独で用いてもよいし、シリカ及びカーボンブラックの両方を用いてもよい。
充填剤として、シリカのみを単独で用いてもよいし、シリカ及びカーボンブラックの両方を用いてもよい。
更に、全シリカ含有量の50質量%以上が、ポリブタジエンゴム及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを含む相(SB相)に含まれることが好ましい。
SB相に含まれるシリカの量が、全シリカの50質量%以上であると、NR相を柔軟にすることができ、タイヤの低温時の弾性率を下げることができる。
SB相に含まれるシリカの量は、50質量%を超えることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
SB相に含まれるシリカを含む充填剤の量(充填剤分配率)は、次の方法により測定することができる。
なお、ゴム組成物中の充填剤分配率は、加硫ゴム中の充填剤分配率に近似し、ゴム組成物を加硫した加硫ゴムを測定試料として、充填剤分配率を測定することができる。
SB相に含まれるシリカの量が、全シリカの50質量%以上であると、NR相を柔軟にすることができ、タイヤの低温時の弾性率を下げることができる。
SB相に含まれるシリカの量は、50質量%を超えることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
SB相に含まれるシリカを含む充填剤の量(充填剤分配率)は、次の方法により測定することができる。
なお、ゴム組成物中の充填剤分配率は、加硫ゴム中の充填剤分配率に近似し、ゴム組成物を加硫した加硫ゴムを測定試料として、充填剤分配率を測定することができる。
例えば、試料の上面に対し角度38°をなす方向に試料を切削した後、切削により形成された該試料の平滑面を、該平滑面に対し垂直な方向から、走査型電子顕微鏡(SEM)〔例えば、Carl Zeiss社製、商品名「Ultra55」〕により、集束イオンビームを用いて、加速電圧1.8~2.2Vで撮影する。得られたSEM画像を画像処理し、解析することで、充填剤分配率を測定することができる。解析手法はいくつかあるが、例えば本発明では下記のような解析法を適用することができる。
本発明のNR相とSB相のように、ゴム成分が2相に分かれた系を測定する場合には、得られたSEM画像をヒストグラムにより2種のゴム成分と充填剤部分に3値化像に変換して得られた3値化像に基づき、画像解析することが手段の一つとして考えられる。その場合、2種の各ゴム成分の相に含まれる充填剤周囲長を求め、測定面積内の充填剤総量から一方のゴム成分の相に存在する充填剤の割合を算出する。充填剤が2種のゴム成分の境界面にある場合は、各ゴム成分と充填剤の3つが接している2点を結び、充填剤の周囲長を分割する。なお、20ピクセル以下の粒子は、ノイズと見做しカウントしない。また、充填剤の存在率測定法や画像解析方法は上記内容に限定されない。
本発明のNR相とSB相のように、ゴム成分が2相に分かれた系を測定する場合には、得られたSEM画像をヒストグラムにより2種のゴム成分と充填剤部分に3値化像に変換して得られた3値化像に基づき、画像解析することが手段の一つとして考えられる。その場合、2種の各ゴム成分の相に含まれる充填剤周囲長を求め、測定面積内の充填剤総量から一方のゴム成分の相に存在する充填剤の割合を算出する。充填剤が2種のゴム成分の境界面にある場合は、各ゴム成分と充填剤の3つが接している2点を結び、充填剤の周囲長を分割する。なお、20ピクセル以下の粒子は、ノイズと見做しカウントしない。また、充填剤の存在率測定法や画像解析方法は上記内容に限定されない。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましい。
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましい。
(シリカ)
シリカの種類は特に限定されず、一般グレードのシリカ、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。
シリカは、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積が、120m2/g以上であることが好ましく、140m2/g以上であることがより好ましく、150m2g以上であることが更に好ましく、180m2/g以上であることがより一層好ましい。また、シリカのCTAB比表面積は、好ましくは600m2/g以下、より好ましくは300m2/g以下、特に好ましくは270m2/g以下である。シリカのCTAB比表面積が140m2/g以上であることで、タイヤの耐摩耗性に優れる。また、シリカのCTAB比表面積が600m2/g以下の場合、転がり抵抗が小さくなる。
シリカとしては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
シリカの種類は特に限定されず、一般グレードのシリカ、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。
シリカは、CTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)比表面積が、120m2/g以上であることが好ましく、140m2/g以上であることがより好ましく、150m2g以上であることが更に好ましく、180m2/g以上であることがより一層好ましい。また、シリカのCTAB比表面積は、好ましくは600m2/g以下、より好ましくは300m2/g以下、特に好ましくは270m2/g以下である。シリカのCTAB比表面積が140m2/g以上であることで、タイヤの耐摩耗性に優れる。また、シリカのCTAB比表面積が600m2/g以下の場合、転がり抵抗が小さくなる。
シリカとしては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物は、シリカとして、CTAB比表面積(m2/g)〔式(Y)中では、単に「CTAB」と表示〕とインクボトル状細孔指数(IB)とが、下記式(Y):
IB≦-0.36×CTAB+86.8 (Y)
の関係を満たすシリカを使用してもよい。
IB≦-0.36×CTAB+86.8 (Y)
の関係を満たすシリカを使用してもよい。
ここで、CTAB比表面積(m2/g)とは、ASTM D3765-92に準拠して測定された値を意味する。ただし、ASTM D3765-92はカーボンブラックのCTABを測定する方法であるため、本発明では、標準品であるIRB#3(83.0m2/g)の代わりに、別途セチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、CE-TRABと略記する)標準液を調製し、これによってシリカOT(ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)溶液の標定を行い、上記シリカ表面に対するCE-TRAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nm2として、CE-TRABの吸着量から算出される比表面積(m2/g)をCTABの値とする。これは、カーボンブラックとシリカとでは表面が異なるので、同一表面積でもCE-TRABの吸着量に違いがあると考えられるためである。
また、インクボトル状細孔指数(IB)とは、直径1.2×105nm~6nmの範囲にある開口部を外表面に具えた細孔を有するシリカに対し、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において、圧力を1PSIから32000PSIまで上昇させた際における水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(M1)(nm)、及び圧力を32000PSIから1PSIまで下降させた際における水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(M2)(nm)により、下記式(Z):
IB=M2-M1 ・・・(Z)
で求められる値を意味する。水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定は、従来より細孔の形態を評価するのに多く採用される電子顕微鏡を用いた測定よりも簡便であり、かつ定量性に優れるので、有用な方法である。
IB=M2-M1 ・・・(Z)
で求められる値を意味する。水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定は、従来より細孔の形態を評価するのに多く採用される電子顕微鏡を用いた測定よりも簡便であり、かつ定量性に優れるので、有用な方法である。
一般に、シリカの粒子は、その外表面に開口部を具えた凹状を呈した細孔を多数有している。図1に、シリカの粒子における内心方向断面でのこれら細孔の形状を模した概略図を示す。粒子における内心方向断面でかかる凹状を呈した細孔は、様々な形状を呈しており、粒子の外表面における開口部の直径Maと粒子内部における細孔径(内径)Raとが略同一の形状、すなわち粒子の内心方向断面において略円筒状を呈する細孔Aもあれば、粒子内部における細孔径(内径)Rbよりも粒子の外表面における開口部の直径Mbの方が狭小である形状、すなわち粒子の内心方向断面においてインクボトル状を呈する細孔Bもある。しかしながら、粒子の内心方向断面においてインクボトル状を呈する細孔Bであると、粒子の外表面から内部へとゴム分子鎖が侵入しにくいため、シリカをゴム成分に配合した際にゴム分子鎖がシリカを充分に吸着することができない。したがって、かかるインクボトル状を呈する細孔B数を低減し、粒子の内心方向断面において略円筒状を呈する細孔A数を増大させれば、ゴム分子鎖の侵入を効率的に促進することができ、tanδを増大させることなく、充分な補強性を発揮して、タイヤの耐摩耗性の向上に寄与することが可能となる。
上記観点から、本発明では、ゴム成分に配合するシリカに関し、粒子の内心方向断面においてインクボトル状を呈する細孔B数を低減すべく、上記インクボトル状細孔指数(IB)を規定する。上述のように、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において圧力を上昇させた際、略円筒状を呈する細孔Aは外表面の開口部が開放的であるために細孔内部に水銀が圧入されやすいが、インクボトル状を呈する細孔Bは外表面の開口部が閉鎖的であるために細孔内部に水銀が圧入されにくい。一方、圧力を下降させた際には、同様の理由により、略円筒状を呈する細孔Aは細孔内部から細孔外部へ水銀が排出されやすいが、インクボトル状を呈する細孔Bは細孔内部から細孔外部へ水銀がほとんど排出されない。
したがって、図2に示すように、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定では、水銀の圧入排出曲線C-Dにヒステリシスが生じる。すなわち、比較的低圧力下では略円筒状を呈する細孔A内に徐々に水銀が圧入されるが、ある圧力に達した時点で、それまで水銀が侵入しにくかったインクボトル状を呈する細孔Bを含む、略円筒状を呈する細孔以外の細孔内にも一気に水銀が圧入され、急激に圧入量が増大して、縦軸を微分水銀圧入量(-dV/d(log d))、横軸をシリカの細孔における開口部の直径d(nm)とした場合に水銀の圧入曲線Cを描くこととなる。一方、圧力を充分に上昇させた後に圧力を下降させていくと、比較的高圧力下では水銀が排出されにくい状態が継続するものの、ある圧力に達した時点で、細孔内に圧入されていた水銀が細孔外に一気に排出され、急激に排出量が増大して、縦軸を微分水銀排出量(-dV/d(log d))、横軸をシリカの細孔における開口部の直径M(nm)とした場合に水銀の排出曲線Dを描くこととなる。一旦細孔内に圧入された水銀は、圧力の下降時には細孔外に排出されにくい傾向にあるため、圧力の下降時では上昇時における圧入量の増大を示す直径(M1)の位置よりも大きい値を示す直径(M2)の位置で排出量の増大が見られ、これらの直径の差(M2-M1)が図2のIBに相当する。特にインクボトル状を呈する細孔Bにおいては、圧入された水銀が排出されにくい傾向が顕著であり、圧力上昇時には細孔B内に水銀が圧入されるものの、圧力下降時には細孔B外に水銀がほとんど排出されない。
こうした測定方法を採用し、細孔の性質に起因して描かれる水銀圧入排出曲線C-Dを活用して、上記式(Z)に従い、水銀圧入法に基づく水銀ポロシメータを用いた測定において圧力を1PSIから32000PSIまで上昇させた際に水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(M1)(nm)と、圧力を32000PSIから1PSIまで下降させた際における水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(M2)(nm)との差IBを求めれば、かかる値が見かけ上はこれらの直径の差(長さ:nm)を示すものの、実質的にはシリカに存在するインクボトル状を呈する細孔Bの存在割合を示す細孔指数を意味することとなる。すなわち、充分に狭小な開口部を有するインクボトル状を呈する細孔Bの占める存在割合が小さいほど、水銀圧入量と水銀排出量とがほぼ同量に近づき、水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(M1)と水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(M2)との差が短縮してIB値が小さくなる。一方、インクボトル状を呈する細孔Bの占める存在割合が大きいほど、水銀圧入量よりも水銀排出量が減少し、水銀圧入量の最大値を示す開口部の直径(M1)と水銀排出量の最大値を示す開口部の直径(M2)との差が拡大してIB値が大きくなる。
こうしたIBは、上記CTABの値によっても変動し得る性質を有しており、CTABが増大するにつれ、IB値が低下する傾向にある。したがって、本発明で用いるシリカは、上記式(Y)〔IB≦-0.36×CTAB+86.8〕を満たすのが好ましい。IB及びCTABが式(Y)を満たすシリカであると、狭小な開口部を有するインクボトル状を呈する細孔B数が有効に低減され、略円筒状を呈する細孔Aが占める存在割合が増大するため、ゴム分子鎖を充分に侵入させて吸着させることができ、充分な補強性を発揮して、タイヤの耐摩耗性の向上に寄与の向上を図ることが可能となる。
式(Y)を満たすシリカは、CTAB比表面積が、好ましくは180m2/g以上であることが好ましい。CTAB比表面積が180m2/g以上であれば、ゴム組成物の貯蔵弾性率が更に向上し、該ゴム組成物を適用したタイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。また、CTAB比表面積が300m2/g以下であれば、シリカをゴム成分中で良好に分散させることができ、ゴム組成物の加工性が向上する。
本発明のゴム組成物は、更に、シランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、ゴム工業で通常使用されているシランカップリング剤を用いることができる。
充填剤として、例えば、カーボンブラックを含む場合、全カーボンブラック中のSB相へのカーボンブラック分配率(以下、「CB分配率」と称する)は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
また、充填剤として、例えば、シリカを含む場合、全シリカ中のSB相へのシリカ分配率(以下、「Si分配率」と称する)は、52質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましい。
CB分配率及びSi分配率は、実施例に示す方法により測定することができる。
更に、カーボンブラックの質量cbに対するシリカの質量siの割合(si/cb)は、0.1~1.2であることが好ましい。
また、充填剤として、例えば、シリカを含む場合、全シリカ中のSB相へのシリカ分配率(以下、「Si分配率」と称する)は、52質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましい。
CB分配率及びSi分配率は、実施例に示す方法により測定することができる。
更に、カーボンブラックの質量cbに対するシリカの質量siの割合(si/cb)は、0.1~1.2であることが好ましい。
〔低分子量共役ジエン系重合体〕
本発明のゴム組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000以上40,000未満、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10質量%未満、かつ共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40質量%以上、65質量%以下である未変性の共役ジエン系重合体を、ゴム成分100質量部に対し1~40質量部で含む。
本発明のゴム組成物が低分子量共役ジエン系重合体を含むことで、加硫ゴム及びタイヤを柔軟にし、かつ低温でのヒステリシスロスを向上することができ、氷雪路面上でのグリップ力が向上し、氷上性能に優れる。
なお、「ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量」を単に「ポリスチレン換算重量平均分子量」又は「重量平均分子量」と称することがある。
重量平均分子量が40,000未満である低分子量共役ジエン系重合体は、通常、液状であり、軟化剤として作用する重合体であって、加硫しても、弾性力を有しない。
一方、「共役ジエン系重合体」として共通するゴム成分の天然ゴム、ポリブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、固体であり、加硫によって弾性力を有する化合物である。また、ゴム成分は、重量平均分子量が少なくとも200,000以上あり、通常、300,000程度である。
本発明のゴム組成物は、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000以上40,000未満、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10質量%未満、かつ共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40質量%以上、65質量%以下である未変性の共役ジエン系重合体を、ゴム成分100質量部に対し1~40質量部で含む。
本発明のゴム組成物が低分子量共役ジエン系重合体を含むことで、加硫ゴム及びタイヤを柔軟にし、かつ低温でのヒステリシスロスを向上することができ、氷雪路面上でのグリップ力が向上し、氷上性能に優れる。
なお、「ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量」を単に「ポリスチレン換算重量平均分子量」又は「重量平均分子量」と称することがある。
重量平均分子量が40,000未満である低分子量共役ジエン系重合体は、通常、液状であり、軟化剤として作用する重合体であって、加硫しても、弾性力を有しない。
一方、「共役ジエン系重合体」として共通するゴム成分の天然ゴム、ポリブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムは、固体であり、加硫によって弾性力を有する化合物である。また、ゴム成分は、重量平均分子量が少なくとも200,000以上あり、通常、300,000程度である。
低分子量共役ジエン系重合体の重量平均分子量が5,000未満であると、加硫ゴム及びタイヤの柔軟性が進み過ぎ、耐摩耗性に優れない。低分子量共役ジエン系重合体の重量平均分子量が40,000を超えると、加硫ゴム及びタイヤの柔軟性に欠ける。
低分子量共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、タイヤの氷上性能と耐摩耗性とをバランスよく向上する観点から、6,000以上であることが好ましく、7,000以上であることがより好ましく、8,000以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、低分子量共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、30,000以下であることが好ましく、24,000以下であることがより好ましく、19,000であることが更に好ましく、14,500以下であることが更に好ましい。
低分子量共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、タイヤの氷上性能と耐摩耗性とをバランスよく向上する観点から、6,000以上であることが好ましく、7,000以上であることがより好ましく、8,000以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、低分子量共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、30,000以下であることが好ましく、24,000以下であることがより好ましく、19,000であることが更に好ましく、14,500以下であることが更に好ましい。
低分子量共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10質量%未満である。低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10質量%以上であると、加硫ゴム及びタイヤは、柔軟性に欠け、氷上性能に優れない。
低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のスチレン結合量は、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
スチレン結合量(質量%)は、1H-NMR、赤外法(モレロ法)等で求めることができる。
低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のスチレン結合量は、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが更に好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
スチレン結合量(質量%)は、1H-NMR、赤外法(モレロ法)等で求めることができる。
低分子量共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40質量%以上、65質量%以下である。低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40質量%未満であると、加硫ゴム及びタイヤは、低温でのヒステリシスロスに優れず、氷上性能に優れない。一方、低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量が65質量%を超えると、加硫ゴム及びタイヤは、低温での柔軟性に優れず、氷上性能に優れない。
低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量は、43質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。また、低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量は、63質量%以下であることが好ましく、61質量%以下であることがより好ましく、59質量%以下であることが更に好ましい。
ビニル結合量(質量%)は、赤外法(モレロ法)で求めることができる。
低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量は、43質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。また、低分子量共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量は、63質量%以下であることが好ましく、61質量%以下であることがより好ましく、59質量%以下であることが更に好ましい。
ビニル結合量(質量%)は、赤外法(モレロ法)で求めることができる。
低分子量共役ジエン系重合体は未変性である。
低分子量共役ジエン系重合体が変性されていると、低温での柔軟性とヒステリシスロスのバランスが優れず、氷上性能に優れない。
低分子量共役ジエン系重合体は、スチレン結合量が10質量%未満の限度において、スチレン単量体由来の結合部位を含んでいてもよく、スチレン-ブタジエン共重合体であってもよいが、スチレン結合量が0質量%であるポリブタジエン、ポリイソプレン等であることが好ましく、ポリブタジエンがより好ましい。
低分子量共役ジエン系重合体が変性されていると、低温での柔軟性とヒステリシスロスのバランスが優れず、氷上性能に優れない。
低分子量共役ジエン系重合体は、スチレン結合量が10質量%未満の限度において、スチレン単量体由来の結合部位を含んでいてもよく、スチレン-ブタジエン共重合体であってもよいが、スチレン結合量が0質量%であるポリブタジエン、ポリイソプレン等であることが好ましく、ポリブタジエンがより好ましい。
ゴム組成物中の低分子量共役ジエン系重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対し1~40質量部である。
含有量がゴム成分100質量部に対し1質量部未満であると、加硫ゴム及びタイヤを柔軟にすることができず氷上性能が低下し、40質量部を超えると加硫ゴム及びタイヤの剛性が低下して耐摩耗性が低下する。
ゴム組成物中の低分子量共役ジエン系重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、5~30質量部であることが好ましく、7~25質量部であることがより好ましい。
含有量がゴム成分100質量部に対し1質量部未満であると、加硫ゴム及びタイヤを柔軟にすることができず氷上性能が低下し、40質量部を超えると加硫ゴム及びタイヤの剛性が低下して耐摩耗性が低下する。
ゴム組成物中の低分子量共役ジエン系重合体の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、5~30質量部であることが好ましく、7~25質量部であることがより好ましい。
〔樹脂〕
本発明のゴム組成物は、樹脂を含有することが好ましい。
本発明のゴム組成物が樹脂を含有することで、得られる加硫ゴム及びタイヤの低温での弾性率をより低下することができ、氷上で硬くなりがちなタイヤを路面の凹凸に適応させ易くなるため、氷上でのブレーキ性能をより高めることができる。
樹脂としては、C5系樹脂;C5/C9系樹脂;C9系樹脂;フェノール樹脂;テルペン系樹脂;テルペン-芳香族化合物系樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物は、樹脂を含有することが好ましい。
本発明のゴム組成物が樹脂を含有することで、得られる加硫ゴム及びタイヤの低温での弾性率をより低下することができ、氷上で硬くなりがちなタイヤを路面の凹凸に適応させ易くなるため、氷上でのブレーキ性能をより高めることができる。
樹脂としては、C5系樹脂;C5/C9系樹脂;C9系樹脂;フェノール樹脂;テルペン系樹脂;テルペン-芳香族化合物系樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
C5系樹脂としては、脂肪族炭化水素樹脂及び脂環式炭化水素樹脂が挙げられる。
脂肪族炭化水素樹脂としては、C5系の石油留分を重合して製造された石油樹脂が挙げられる。高純度の1,3-ペンタジエンを主原料に製造された石油樹脂としては、日本ゼオン(株)製の商品名「クイントン100」シリーズ(A100、B170、K100、M100、R100、N295、U190、S100、D100、U185、P195N等)が挙げられる。また、他のC5系の石油留分を重合して製造された石油樹脂としてはエクソンモビール社製の商品名「エスコレッツ」シリーズ(1102、1202(U)、1304、1310、1315、1395等)、三井化学(株)製の商品名「ハイレッツ」シリーズ(G-100X、-T-100X、-C-110X、-R-100X等)が挙げられる。
脂環式炭化水素樹脂としては、C5留分から抽出されたシクロペンタジエンを主原料に製造されたシクロペンタジエン系石油樹脂やC5留分中のジシクロペンタジエンを主原料として製造されたジシクロペンタジエン系石油樹脂が挙げられる。例えば、高純度のシクロペンタジエンを主原料に製造されたシクロペンタジエン系石油樹脂としては、日本ゼオン(株)製の商品名「クイントン1000」シリーズ(1325、1345等)が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン系石油樹脂としては、丸善石油化学(株)の商品名「マルカレッツM」シリーズ(M-890A、M-845A、M-990A等)が挙げられる。
脂肪族炭化水素樹脂としては、C5系の石油留分を重合して製造された石油樹脂が挙げられる。高純度の1,3-ペンタジエンを主原料に製造された石油樹脂としては、日本ゼオン(株)製の商品名「クイントン100」シリーズ(A100、B170、K100、M100、R100、N295、U190、S100、D100、U185、P195N等)が挙げられる。また、他のC5系の石油留分を重合して製造された石油樹脂としてはエクソンモビール社製の商品名「エスコレッツ」シリーズ(1102、1202(U)、1304、1310、1315、1395等)、三井化学(株)製の商品名「ハイレッツ」シリーズ(G-100X、-T-100X、-C-110X、-R-100X等)が挙げられる。
脂環式炭化水素樹脂としては、C5留分から抽出されたシクロペンタジエンを主原料に製造されたシクロペンタジエン系石油樹脂やC5留分中のジシクロペンタジエンを主原料として製造されたジシクロペンタジエン系石油樹脂が挙げられる。例えば、高純度のシクロペンタジエンを主原料に製造されたシクロペンタジエン系石油樹脂としては、日本ゼオン(株)製の商品名「クイントン1000」シリーズ(1325、1345等)が挙げられる。また、ジシクロペンタジエン系石油樹脂としては、丸善石油化学(株)の商品名「マルカレッツM」シリーズ(M-890A、M-845A、M-990A等)が挙げられる。
C5/C9系樹脂としては、C5/C9系合成石油樹脂が挙げられ、具体的には、例えば、石油由来のC5~C11留分を、AlCl3、BF3などのフリーデルクラフツ触媒を用いて重合して得られる固体重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体等が挙げられる。C5/C9系樹脂は、C9以上の成分の少ない樹脂が、ジエン系重合体との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C9以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC9以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを言うものとする。C5/C9系樹脂は、市販品を利用することができ、例えば、商品名「クイントン(登録商標)G100B」(日本ゼオン株式会社製)、商品名「ECR213」(エクソンモービルケミカル社製)等が挙げられる。
C9系樹脂としては、C9系合成石油樹脂が挙げられ、C9留分をAlCl3、BF3などのフリーデルクラフツ型触媒を用い、重合して得られた固体重合体であり、インデン、メチルインデン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどを主成分とする共重合体等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン-ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール-ホルムアルデヒド樹脂などが好ましく、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
フェノール樹脂としては、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン-ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール-ホルムアルデヒド樹脂などが好ましく、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
テルペン系樹脂は、天然由来のテレピン油又はオレンジ油を主原料に製造された樹脂をいい、ヤスハラケミカル(株)製の商品名「YSレジン」シリーズ(PX-1250、TR-105等)、ハーキュリーズ社製の商品名「ピコライト」シリーズ(A115、S115等)が挙げられる。
テルペン-芳香族化合物系樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂が挙げられ、具体的には、ヤスハラケミカル(株)製の商品名「YSポリスター」シリーズ(U-130、U-115等のUシリーズ、T-115、T-130、T-145等のT-シリーズ、)、荒川化学工業(株)製の商品名「タマノル901」等が挙げられる。
テルペン-芳香族化合物系樹脂としては、例えば、テルペンフェノール樹脂が挙げられ、具体的には、ヤスハラケミカル(株)製の商品名「YSポリスター」シリーズ(U-130、U-115等のUシリーズ、T-115、T-130、T-145等のT-シリーズ、)、荒川化学工業(株)製の商品名「タマノル901」等が挙げられる。
NR相をより柔軟化し、低温でのタイヤの弾性率をより下げる観点から、樹脂はNR相に含まれることが好ましい。また、NR相に樹脂を分配易くする観点から、樹脂は、イソプレン骨格を主骨格として有する樹脂を用いることが好ましい。具体的には、C5系樹脂及びテルペン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。以上の中でも、C5系樹脂が好ましい。
樹脂のゴム組成物中の含有量は、特に限定されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して5~60質量部が好ましく、8~50質量部がより好ましく、10~40質量部が更に好ましい。
また、低温における低弾性率と、低温における高ヒステリシスロスを両立する観点、及び、ゴム組成物をトレッドに適用した際に、タイヤの氷上性能と耐摩耗性を更に向上する観点から、シリカの質量si(質量部)に対する樹脂の質量rs(質量部)の割合(rs/si)は、0.1~1.2であることが好ましい。
また、低温における低弾性率と、低温における高ヒステリシスロスを両立する観点、及び、ゴム組成物をトレッドに適用した際に、タイヤの氷上性能と耐摩耗性を更に向上する観点から、シリカの質量si(質量部)に対する樹脂の質量rs(質量部)の割合(rs/si)は、0.1~1.2であることが好ましい。
〔空隙導入剤〕
本発明のゴム組成物は、空隙導入剤を含有することが好ましい。
ゴム組成物が空隙導入剤を含有することで、加硫ゴムが表面又は内部、あるいは表面及び内部に空隙を有するため、当該加硫ゴムを用いたタイヤは、柔軟性を有し、氷路面に密着し易くなると共に、タイヤ表面の空隙に、路面上の水が吸い込まれ、氷雪路面から水が排除され易いため、氷上ブレーキ制動性能を向上することができる。
空隙導入剤は、例えば、発泡剤、硫酸金属塩、熱膨張性マイクロカプセル、多孔質セルロース粒子等が挙げられ、これらの中の1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。氷上性能の観点から、発泡剤を用いることが好ましい。
空隙導入剤のゴム組成物中の含有量は、特に限定されるものではないが、氷上性能(氷上ブレーキ制動性能)の観点から、ゴム成分100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物は、空隙導入剤を含有することが好ましい。
ゴム組成物が空隙導入剤を含有することで、加硫ゴムが表面又は内部、あるいは表面及び内部に空隙を有するため、当該加硫ゴムを用いたタイヤは、柔軟性を有し、氷路面に密着し易くなると共に、タイヤ表面の空隙に、路面上の水が吸い込まれ、氷雪路面から水が排除され易いため、氷上ブレーキ制動性能を向上することができる。
空隙導入剤は、例えば、発泡剤、硫酸金属塩、熱膨張性マイクロカプセル、多孔質セルロース粒子等が挙げられ、これらの中の1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。氷上性能の観点から、発泡剤を用いることが好ましい。
空隙導入剤のゴム組成物中の含有量は、特に限定されるものではないが、氷上性能(氷上ブレーキ制動性能)の観点から、ゴム成分100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、1~10質量部がより好ましい。
(発泡剤)
ゴム組成物が発泡剤を含有することにより、ゴム組成物の加硫中に、発泡剤によって加硫ゴムに気泡が生じ、加硫ゴムを発泡ゴムとすることができる。発泡ゴムは柔軟性を有するため、加硫ゴムを用いたタイヤ表面は、氷路面に密着し易くなる。また、気泡により加硫ゴム表面及びタイヤ表面に気泡由来の穴(発泡孔)が生じ、水を排水する水路として機能する。
ゴム組成物が発泡剤を含有することにより、ゴム組成物の加硫中に、発泡剤によって加硫ゴムに気泡が生じ、加硫ゴムを発泡ゴムとすることができる。発泡ゴムは柔軟性を有するため、加硫ゴムを用いたタイヤ表面は、氷路面に密着し易くなる。また、気泡により加硫ゴム表面及びタイヤ表面に気泡由来の穴(発泡孔)が生じ、水を排水する水路として機能する。
発泡剤としては、具体的には、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、二酸化炭素を発生する重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’-ジメチル-N,N’-ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。なかでも、製造加工性の観点から、アゾジカルボンアミド(ADCA)、及びジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)が好ましい。これら発泡剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、発泡剤のゴム組成物中の含有量は、特に限定されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して1~10質量部が好ましく、2~8質量部がより好ましい。
また、発泡剤のゴム組成物中の含有量は、特に限定されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して1~10質量部が好ましく、2~8質量部がより好ましい。
ゴム組成物は、更に、発泡助剤として尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛、亜鉛華等を用いてもよい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。発泡助剤を併用することにより、発泡反応を促進して反応の完結度を高め、経時的に不要な劣化を抑制することができる。
発泡剤を含有するゴム組成物を加硫した後に得られる加硫ゴムにおいて、その発泡率は、通常1~50%、好ましくは5~40%である。発泡剤を配合した場合、発泡率が50%以下であることで、ゴム表面の空隙も大きくなり過ぎず、充分な接地面積を確保でき、排水溝として有効に機能する気泡の形成を確保しつつ、気泡の量を適度に保持できるので、耐久性を損なうおそれもない。ここで、加硫ゴムの発泡率とは、平均発泡率Vsを意味し、具体的には次式(1)により算出される値を意味する。
Vs=(ρ0/ρ1-1)×100(%) (1)
式(1)中、ρ1は加硫ゴム(発泡ゴム)の密度(g/cm3)を示し、ρ0は加硫ゴム(発泡ゴム)における固相部の密度(g/cm3)を示す。なお、加硫ゴムの密度及び加硫ゴムの固相部の密度は、エタノール中の加硫ゴムの質量と空気中の加硫ゴムの質量を測定し、これから算出される。また、発泡率は、発泡剤や発泡助剤の種類、量等により適宜変化させることができる。
Vs=(ρ0/ρ1-1)×100(%) (1)
式(1)中、ρ1は加硫ゴム(発泡ゴム)の密度(g/cm3)を示し、ρ0は加硫ゴム(発泡ゴム)における固相部の密度(g/cm3)を示す。なお、加硫ゴムの密度及び加硫ゴムの固相部の密度は、エタノール中の加硫ゴムの質量と空気中の加硫ゴムの質量を測定し、これから算出される。また、発泡率は、発泡剤や発泡助剤の種類、量等により適宜変化させることができる。
(硫酸金属塩)
ゴム組成物が硫酸金属塩を含有すると、ゴム組成物を加硫して得られるタイヤ表面から硫酸金属塩が突出し、研磨性であるという不利益なしでクロー(claw)機能を果す。その後、引続いて、ゴムマトリックスから硫酸金属塩が漸次退出することで空洞が生じ、氷表面の水膜を排出するための貯蔵容積および通路として機能する。これらの条件下においては、タイヤ表面(例えば、トレッドの表面)と氷との接触はもはや潤滑ではなく、従って、摩擦係数が改良される
ゴム組成物が硫酸金属塩を含有すると、ゴム組成物を加硫して得られるタイヤ表面から硫酸金属塩が突出し、研磨性であるという不利益なしでクロー(claw)機能を果す。その後、引続いて、ゴムマトリックスから硫酸金属塩が漸次退出することで空洞が生じ、氷表面の水膜を排出するための貯蔵容積および通路として機能する。これらの条件下においては、タイヤ表面(例えば、トレッドの表面)と氷との接触はもはや潤滑ではなく、従って、摩擦係数が改良される
硫酸金属塩としては、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム等が挙げられる。
硫酸金属塩は、マイクロメートルサイズの粒子であることが好ましい。具体的には、平均粒度および中央値粒度(双方とも質量で示す)が、1μm~1mmであることが好ましく、中央値粒度が、2μm~800μmであるがより好ましい。
硫酸金属塩は、マイクロメートルサイズの粒子であることが好ましい。具体的には、平均粒度および中央値粒度(双方とも質量で示す)が、1μm~1mmであることが好ましく、中央値粒度が、2μm~800μmであるがより好ましい。
平均粒度および中央値粒度が、1μm以上であることで、目標とする技術的効果(即ち、適切な微細粗さの形成)が得られ易い。また、平均粒度および中央値粒度が、1mm以下であることで、特にゴム組成物をトレッドとして使用する場合、審美性の低下を抑制し(トレッド表面上に明白過ぎる粒子が出現することを抑制することができる)、融氷上のグリップ性能を損ないにくい。
これらの全ての理由により、硫酸金属塩の中央値粒度は、2μm~500μmであることが好ましく、5~200μmであることがより好ましい。この特に好ましい粒度範囲は、一方での所望の表面粗さと他方でのゴム組成物と氷との良好な接触と間の最適な妥協点に相応しているようである。
さらにまた、上記の理由と同じ理由により、ゴム組成物中の硫酸金属塩の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは5~40質量部、より好ましくは10~35質量部である。
さらにまた、上記の理由と同じ理由により、ゴム組成物中の硫酸金属塩の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは5~40質量部、より好ましくは10~35質量部である。
粒度の分析および微小粒子の中央値粒度(または実質的に球形であると想定しての微小粒子の平均直径)の算出のための、例えば、レーザー回析による種々の既知の方法が応用可能である(例えば、規格ISO‐8130‐13または規格JIS K5600‐9‐3を参照されたい)。
また、機械的篩分けによる粒度分析も、簡単に勝つ好ましく使用し得る;その操作は、規定量のサンプル(例えば、200g)を、振動テーブル上で、種々の篩直径により(例えば、1.26に等しい累進比に従い、1000、800、630、500、400、…100、80および63μmのメッシュにより)、30分間篩分けすることからなる;各篩において集めた超過サイズを精密天秤で秤量する;物質の総質量に対する各メッシュ直径における超過サイズの%を、その秤量から推定する;最後に、中央値粒度(または中央値直径)または平均粒度(または平均直径)を粒度分布のヒストグラムから既知の方法で算出する。
(熱膨張性マイクロカプセル)
熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂で形成された殻材中に、熱膨張性物質を内包した構成からなる。熱膨張性マイクロカプセルの殻材はニトリル系重合体により形成することができる。
またマイクロカプセルの殻材中に内包する熱膨張性物質は、熱によって気化または膨張する特性をもち、例えば、イソアルカン、ノルマルアルカン等の炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種類が例示される。イソアルカンとしては、イソブタン、イソペンタン、2-メチルペンタン、2-メチルヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン等を挙げることができ、ノルマルアルカンとしては、n-ブタン、n-プロパン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等を挙げることができる。これらの炭化水素は、それぞれ単独で使用しても複数を組み合わせて使用してもよい。熱膨張性物質の好ましい形態としては、常温で液体の炭化水素に、常温で気体の炭化水素を溶解させたものがよい。このような炭化水素の混合物を使用することにより、未加硫タイヤの加硫成形温度域(150℃~190℃)において、低温領域から高温領域にかけて十分な膨張力を得ることができる。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えばスウェーデン国エクスパンセル社製の商品名「EXPANCEL 091DU-80」または「EXPANCEL 092DU-120」等、或いは松本油脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェアー F-85D」または「マツモトマイクロスフェアー F-100D」等を使用することができる。
熱膨張性マイクロカプセルのゴム組成物中の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
熱膨張性マイクロカプセルは、熱可塑性樹脂で形成された殻材中に、熱膨張性物質を内包した構成からなる。熱膨張性マイクロカプセルの殻材はニトリル系重合体により形成することができる。
またマイクロカプセルの殻材中に内包する熱膨張性物質は、熱によって気化または膨張する特性をもち、例えば、イソアルカン、ノルマルアルカン等の炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1種類が例示される。イソアルカンとしては、イソブタン、イソペンタン、2-メチルペンタン、2-メチルヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン等を挙げることができ、ノルマルアルカンとしては、n-ブタン、n-プロパン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等を挙げることができる。これらの炭化水素は、それぞれ単独で使用しても複数を組み合わせて使用してもよい。熱膨張性物質の好ましい形態としては、常温で液体の炭化水素に、常温で気体の炭化水素を溶解させたものがよい。このような炭化水素の混合物を使用することにより、未加硫タイヤの加硫成形温度域(150℃~190℃)において、低温領域から高温領域にかけて十分な膨張力を得ることができる。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、例えばスウェーデン国エクスパンセル社製の商品名「EXPANCEL 091DU-80」または「EXPANCEL 092DU-120」等、或いは松本油脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェアー F-85D」または「マツモトマイクロスフェアー F-100D」等を使用することができる。
熱膨張性マイクロカプセルのゴム組成物中の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
(多孔質セルロース粒子)
ゴム組成物が多孔性セルロース粒子を含有すると、ゴム組成物を加硫して得られるタイヤ表面に多孔性セルロース粒子が露出している場合、氷雪路面上の水が多孔性セルロース粒子に吸収され、タイヤと路面との間の水を除去することができる。また、多糖類であるセルロースの存在により、タイヤと氷雪路面上の水との相互作用が生じるため、変性ポリオキシアルキレングリコールによるタイヤと水との相互作用をより高めることもできる。
ゴム組成物が多孔性セルロース粒子を含有すると、ゴム組成物を加硫して得られるタイヤ表面に多孔性セルロース粒子が露出している場合、氷雪路面上の水が多孔性セルロース粒子に吸収され、タイヤと路面との間の水を除去することができる。また、多糖類であるセルロースの存在により、タイヤと氷雪路面上の水との相互作用が生じるため、変性ポリオキシアルキレングリコールによるタイヤと水との相互作用をより高めることもできる。
多孔質セルロース粒子は、空隙率75~95%という多孔質構造を持つセルロース粒子であり、ゴム組成物に配合することにより、氷上性能を著しく向上させることができる。多孔質セルロース粒子の空隙率が75%以上であることにより、氷上性能の向上効果に優れ、また、空隙率が95%以下であることにより、粒子の強度を高めることができる。該空隙率は、より好ましくは80~90%である。
多孔質セルロース粒子の空隙率は、一定質量の試料(即ち、多孔質セルロース粒子)の体積をメスシリンダーで測定し、嵩比重を求めて、下記式から求めることができる。
空隙率[%]={1-(試料の嵩比重[g/ml])/(試料の真比重[g/ml])}×100
ここで、セルロースの真比重は1.5である。
空隙率[%]={1-(試料の嵩比重[g/ml])/(試料の真比重[g/ml])}×100
ここで、セルロースの真比重は1.5である。
多孔質セルロース粒子の粒径は、特に限定しないが、耐摩耗性の観点から、平均粒径が1000μm以下のものが好ましく用いられる。平均粒径の下限は、特に限定されないが、5μm以上であることが好ましい。平均粒径は、より好ましくは100~800μmであり、更に好ましくは200~800μmである。
多孔質セルロース粒子としては、長径/短径の比が1~2である球状粒子が好ましく用いられる。このような球状構造の粒子を用いることにより、ゴム組成物中への分散性を向上して、氷上性能の向上や耐摩耗性の維持に寄与することができる。長径/短径の比は、より好ましくは1.0~1.5である。
多孔質セルロース粒子の平均粒径と、長径/短径の比は、次のようにして求められる。すなわち、多孔質セルロース粒子を顕微鏡で観察して画像を得て、この画像を用いて、粒子の長径と短径(長径と短径が同じ場合には、ある軸方向の長さとこれに直交する軸方向の長さ)を100個の粒子について測定し、その平均値を算出することで平均粒径が得られ、また、長径を短径で割った値の平均値により長径/短径の比が得られる。
このような多孔質セルロース粒子としては、レンゴー株式会社から「ビスコパール」として市販されており、また、特開2001-323095号公報や特開2004-115284号公報に記載されており、それらを好適に用いることができる。
多孔質セルロース粒子のゴム組成物中の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.3~20質量部であることが好ましい。含有量が0.3質量部以上であることにより、氷上性能の向上効果を高めることができ、また、20質量部以下であることにより、ゴム硬度が高くなりすぎるのを抑えることができ、耐摩耗性の低下を抑制することができる。多孔質セルロース粒子の含有量は、より好ましくは1~15重量部であり、更に好ましくは3~15質量部である。
〔親水性短繊維〕
ゴム組成物は、親水性短繊維を含有していてもよい。
ゴム組成物が親水性短繊維を含有すると、ゴム組成物の加硫後、タイヤ(特にトレッド)中に長尺状の気泡が存在し、タイヤの摩耗によって長尺状の気泡がタイヤ表面に露出して空洞が形成され、効率的な排水を行う排水路として機能し易い。ここで、空洞は、穴状、窪み状及び溝状のいずれの形状であってもよい。
更に、短繊維が親水性であることで、タイヤ表面にできる短繊維由来の空洞が吸水し易くなる。
ゴム組成物は、親水性短繊維を含有していてもよい。
ゴム組成物が親水性短繊維を含有すると、ゴム組成物の加硫後、タイヤ(特にトレッド)中に長尺状の気泡が存在し、タイヤの摩耗によって長尺状の気泡がタイヤ表面に露出して空洞が形成され、効率的な排水を行う排水路として機能し易い。ここで、空洞は、穴状、窪み状及び溝状のいずれの形状であってもよい。
更に、短繊維が親水性であることで、タイヤ表面にできる短繊維由来の空洞が吸水し易くなる。
ここで、親水性短繊維とは、水に対する接触角が5~80度である短繊維をいう。
親水性短繊維の水に対する接触角は、親水性短繊維を平滑な板状に成形した試験片を用意し、協和界面化学(株)1の自動接触角計DM-301を用い、25℃、相対湿度55%条件下で、試験片の表面に水を滴下して、その直後に真横から観察したときに、試験片表面が成す直線と水滴表面の接線とが成す角度を測定することにより求めることができる。
親水性短繊維の水に対する接触角は、親水性短繊維を平滑な板状に成形した試験片を用意し、協和界面化学(株)1の自動接触角計DM-301を用い、25℃、相対湿度55%条件下で、試験片の表面に水を滴下して、その直後に真横から観察したときに、試験片表面が成す直線と水滴表面の接線とが成す角度を測定することにより求めることができる。
親水性短繊維としては、分子内に親水性基を有する樹脂(親水性樹脂と称することがある)を用いることができ、具体的には、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選択される少なくとも1つを含む樹脂であることが好ましい。例えば、-OH、-COOH、-OCOR(Rはアルキル基)、-NH2、-NCO、及び-SHからなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基を含む樹脂が挙げられる。これらの置換基のなかでも、-OH、-COOH、-OCOR、-NH2、及び-NCOが好ましい。
親水性樹脂は水に対する接触角が小さく、水に対して親和性があることが好ましいが、親水性樹脂は水に不溶であることが好ましい。
親水性樹脂が水に不溶であることで、加硫ゴム表面及びタイヤ表面に水が付着したときに、水に親水性樹脂が溶け込んでしまうことを防ぐことができ、短繊維由来の空洞の吸水力を保持することができる。
親水性樹脂が水に不溶であることで、加硫ゴム表面及びタイヤ表面に水が付着したときに、水に親水性樹脂が溶け込んでしまうことを防ぐことができ、短繊維由来の空洞の吸水力を保持することができる。
以上のような、水に対する接触角が小さく、一方で、水に不溶である親水性樹脂としては、より具体的には、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂或いはそのエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、カルボキシビニル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン樹脂、ビニルピロリドン-酢酸ビニル共重合体、メルカプトエタノール等が挙げられる。
なかでも、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチレン-ビニルアルコール共重合体がより好ましい。
なかでも、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリアミド樹脂、脂肪族ポリアミド系樹脂、芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、及びアクリル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、エチレン-ビニルアルコール共重合体がより好ましい。
短繊維の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、短繊維を含むゴム組成物を加硫して得られる加硫ゴム中に、ミクロな排水溝として機能し得る長尺状気泡を効率良く形成する観点から、短繊維100個の平均値として、長軸方向の長さが0.1~10mmであることが好ましく、0.5~5mmであることがより好ましい。また、同様の観点から短繊維の平均径(D)としては、短繊維100個の平均値として、10~200μmであることが好ましく、20~100μmであることがより好ましい
短繊維のゴム組成物中の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
短繊維のゴム組成物中の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
親水性短繊維の表面は、界面活性剤、鉱物油、ヒマシ油等で被覆されていてもよい。
界面活性剤としては、特に制限はなく、脂肪酸多価アルコールエステル、非イオン系エステル型界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤、スルホン酸型界面活性剤等があげられる。
界面活性剤としては、特に制限はなく、脂肪酸多価アルコールエステル、非イオン系エステル型界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤、スルホン酸型界面活性剤等があげられる。
〔加硫剤〕
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含有することが好ましい。
加硫剤は、特に制限はなく、通常、硫黄を用い、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物においては、当該加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。この含有量が0.1質量部以上であることで加硫を充分に進行させることができ、10質量部以下をとすることで、加硫ゴムの老化を抑制することができる。
ゴム組成物中の加硫剤の含有量はゴム成分100質量部に対して、0.5~8質量部であることがより好ましく、1~6質量部であることが更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、加硫剤を含有することが好ましい。
加硫剤は、特に制限はなく、通常、硫黄を用い、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物においては、当該加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましい。この含有量が0.1質量部以上であることで加硫を充分に進行させることができ、10質量部以下をとすることで、加硫ゴムの老化を抑制することができる。
ゴム組成物中の加硫剤の含有量はゴム成分100質量部に対して、0.5~8質量部であることがより好ましく、1~6質量部であることが更に好ましい。
〔他の成分〕
本発明のゴム組成物は、既述のゴム成分、充填剤、低分子量共役ジエン系重合体、樹脂、空隙導入剤、及び加硫剤に加え、他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、特に限定されず、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、低分子量共役ジエン系重合体以外の軟化剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、発泡助剤、加硫促進剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含有していてもよい。
本発明のゴム組成物は、既述のゴム成分、充填剤、低分子量共役ジエン系重合体、樹脂、空隙導入剤、及び加硫剤に加え、他の成分を含有していてもよい。
他の成分としては、特に限定されず、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、低分子量共役ジエン系重合体以外の軟化剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、発泡助剤、加硫促進剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含有していてもよい。
<ゴム組成物の調製>
本発明のゴム組成物は、上述した各成分を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を使用して混練りすることによって製造することができる。
ここで、ゴム成分、充填剤等の配合量は、ゴム成分中の含有量として既述した量と同じである。
各成分の混練は、全一段階で行ってもよく、二段階以上に分けて行ってもよい。二段階で成分を混練する方法としては、例えば、第一段階において、ゴム成分、充填剤、低分子量共役ジエン系重合体、樹脂、シランカップリング剤、並びに、加硫剤及び発泡剤以外の他の配合成分を混練し、第二段階において、加硫剤、親水性短繊維及び発泡剤を混練する方法が挙げられる。
混練の第一段階の最高温度は、130~170℃とすることが好ましく、第二段階の最高温度は、90~120℃とすることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、上述した各成分を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を使用して混練りすることによって製造することができる。
ここで、ゴム成分、充填剤等の配合量は、ゴム成分中の含有量として既述した量と同じである。
各成分の混練は、全一段階で行ってもよく、二段階以上に分けて行ってもよい。二段階で成分を混練する方法としては、例えば、第一段階において、ゴム成分、充填剤、低分子量共役ジエン系重合体、樹脂、シランカップリング剤、並びに、加硫剤及び発泡剤以外の他の配合成分を混練し、第二段階において、加硫剤、親水性短繊維及び発泡剤を混練する方法が挙げられる。
混練の第一段階の最高温度は、130~170℃とすることが好ましく、第二段階の最高温度は、90~120℃とすることが好ましい。
<加硫ゴム、タイヤ>
本発明の加硫ゴム及びタイヤは、本発明のゴム組成物を用いてなる。
本発明の加硫ゴムは、本発明のゴム組成物を加硫してなる。
タイヤは、適用するタイヤの種類や部材に応じ、本発明のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよいし、予備加硫工程等を経て、一旦、ゴム組成物から半加硫ゴムを得た後、これを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。
本発明の加硫ゴムは、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる観点から、タイヤの各種部材の中でもトレッド部材、特に、スタッドレスタイヤ用のトレッド部材に適用するのが好ましい。このように、本発明のタイヤは、本発明の加硫ゴムをトレッドに備えることが好ましい。
なお、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
本発明の加硫ゴム及びタイヤは、本発明のゴム組成物を用いてなる。
本発明の加硫ゴムは、本発明のゴム組成物を加硫してなる。
タイヤは、適用するタイヤの種類や部材に応じ、本発明のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよいし、予備加硫工程等を経て、一旦、ゴム組成物から半加硫ゴムを得た後、これを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。
本発明の加硫ゴムは、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる観点から、タイヤの各種部材の中でもトレッド部材、特に、スタッドレスタイヤ用のトレッド部材に適用するのが好ましい。このように、本発明のタイヤは、本発明の加硫ゴムをトレッドに備えることが好ましい。
なお、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
本発明の加硫ゴム及びタイヤは、複数の空隙を有することが好ましい。
既述のように、ゴム組成物が空隙導入剤を含有することで、空隙導入剤が発泡剤である場合は、ゴム組成物の加硫の過程で発泡し、加硫ゴムに空隙をもたらし、また、空隙導入剤が親水性短繊維である場合は、加硫ゴムから親水性短繊維が抜け落ちたり、親水性短繊維が溶融することで、加硫ゴム表面又は内部に複数の空隙をもたらすことができる。
既述のように、ゴム組成物が空隙導入剤を含有することで、空隙導入剤が発泡剤である場合は、ゴム組成物の加硫の過程で発泡し、加硫ゴムに空隙をもたらし、また、空隙導入剤が親水性短繊維である場合は、加硫ゴムから親水性短繊維が抜け落ちたり、親水性短繊維が溶融することで、加硫ゴム表面又は内部に複数の空隙をもたらすことができる。
加硫ゴム及びタイヤの発泡率は、通常1~50%であり、好ましくは5~40%である。発泡率が当該範囲であることで、タイヤ表面の発泡孔が大きくなり過ぎず、充分な接地面積を確保でき、排水溝として有効に機能する発泡孔の形成を確保しつつ、気泡の量を適度に保持できるので、耐久性を損なうおそれもない。ここで、タイヤの発泡率は、既述の式(1)により算出される。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<ゴム組成物の調製>
〔実施例1、4、5、7~9、比較例1~3、5、6〕
表1~4に示す配合処方にて、バンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物の配合成分を混練し、サンプルとなるゴム組成物を調製した。配合成分の混練は、表1に示すように、第1混合工程と、最終混合工程とに分けて行った。最終段階において、加硫剤である硫黄、加硫促進剤及び空隙導入剤(親水性短繊維及び発泡剤)を配合した。
〔実施例1、4、5、7~9、比較例1~3、5、6〕
表1~4に示す配合処方にて、バンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物の配合成分を混練し、サンプルとなるゴム組成物を調製した。配合成分の混練は、表1に示すように、第1混合工程と、最終混合工程とに分けて行った。最終段階において、加硫剤である硫黄、加硫促進剤及び空隙導入剤(親水性短繊維及び発泡剤)を配合した。
〔実施例2、3、6、比較例4、7、8〕
表1~4に示す配合処方にて、バンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物の配合成分を混練し、サンプルとなるゴム組成物を調製する。配合成分の混練は、表1に示すように、第1混合工程と、最終混合工程とに分けて行う。最終段階において、加硫剤である硫黄、加硫促進剤及び空隙導入剤(親水性短繊維及び発泡剤)を配合する。
表1~4に示す配合処方にて、バンバリーミキサーを用いて、ゴム組成物の配合成分を混練し、サンプルとなるゴム組成物を調製する。配合成分の混練は、表1に示すように、第1混合工程と、最終混合工程とに分けて行う。最終段階において、加硫剤である硫黄、加硫促進剤及び空隙導入剤(親水性短繊維及び発泡剤)を配合する。
表1~4中の成分の詳細は次のとおりである。
(1)ゴム成分
天然ゴム:TSR20
変性BR1:下記方法により製造した変性ポリブタジエンゴム
変性BR2:下記方法により製造した変性ポリブタジエンゴム
変性SBR:下記方法により製造した変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム
(1)ゴム成分
天然ゴム:TSR20
変性BR1:下記方法により製造した変性ポリブタジエンゴム
変性BR2:下記方法により製造した変性ポリブタジエンゴム
変性SBR:下記方法により製造した変性スチレン-ブタジエン共重合体ゴム
(2)充填剤
カーボンブラック:旭カーボン(株)製、商品名「カーボンN134」、N2SA=146m2/g
シリカ:下記方法により製造した含水ケイ酸
(3)シランカップリング剤:Evonic社製、商品名「Si69」
カーボンブラック:旭カーボン(株)製、商品名「カーボンN134」、N2SA=146m2/g
シリカ:下記方法により製造した含水ケイ酸
(3)シランカップリング剤:Evonic社製、商品名「Si69」
(4)重合体
重合体1:クレイバレー社製、商品名「Ricon 142」
重合体2:クラレ社製、商品名「LBR-352」
重合体3:クレイバレー社製、商品名「Ricon 134」
重合体4:クレイバレー社製、商品名「Ricon 154」
なお、重合体1~4は、いずれも、未変性である。
重合体1~4の共役ジエン化合物部分のスチレン結合量(表中「スチレン結合量」と記載)、共役ジエン化合物部分のビニル結合量(表中「ビニル結合量」と記載)を、赤外法(モレロ法)で求め、表2に示した。また、重合体1~4のゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(表中「重量平均分子量」と記載)を、表2に示した。なお、重量平均分子量において、例えば「10」と示されている重合体1の重量平均分子量は、10×103、すなわち、10,000であることを意味する。
重合体1:クレイバレー社製、商品名「Ricon 142」
重合体2:クラレ社製、商品名「LBR-352」
重合体3:クレイバレー社製、商品名「Ricon 134」
重合体4:クレイバレー社製、商品名「Ricon 154」
なお、重合体1~4は、いずれも、未変性である。
重合体1~4の共役ジエン化合物部分のスチレン結合量(表中「スチレン結合量」と記載)、共役ジエン化合物部分のビニル結合量(表中「ビニル結合量」と記載)を、赤外法(モレロ法)で求め、表2に示した。また、重合体1~4のゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(表中「重量平均分子量」と記載)を、表2に示した。なお、重量平均分子量において、例えば「10」と示されている重合体1の重量平均分子量は、10×103、すなわち、10,000であることを意味する。
(5)樹脂:東燃化学(株)製、商品名「Escorez 1102」
(6)ステアリン酸:新日本理化(株)製、商品名「ステアリン酸50S」
(7)亜鉛華:ハクスイテック(株)製、商品名「3号亜鉛華」
(8)老化防止剤:N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン
(9)加硫剤:鶴見化学(株)製、商品名「粉末硫黄」
(6)ステアリン酸:新日本理化(株)製、商品名「ステアリン酸50S」
(7)亜鉛華:ハクスイテック(株)製、商品名「3号亜鉛華」
(8)老化防止剤:N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン
(9)加硫剤:鶴見化学(株)製、商品名「粉末硫黄」
(10)加硫促進剤
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーDM」、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーCZ」、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーDM」、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーCZ」、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
(11)空隙導入剤:発泡剤、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)
(12)親水性短繊維
親水性短繊維1:下記方法により製造した親水性短繊維
親水性短繊維2:親水性短繊維1に鉱物油を塗布した親水性短繊維
(12)親水性短繊維
親水性短繊維1:下記方法により製造した親水性短繊維
親水性短繊維2:親水性短繊維1に鉱物油を塗布した親水性短繊維
〔変性BR1の製造方法〕
(1)触媒の調製
乾燥し、窒素置換された、ゴム詮付容積100ミリリットルのガラスびんに、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56モル/リットル)0.59ミリリットル、メチルアルミノキサンMAO(東ソーアクゾ株式会社製、商品名「PMAO」)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23モル/リットル)10.32ミリリットル、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学株式会社製)のヘキサン溶液(0.90モル/リットル)7.77ミリリットルを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミニウム(関東化学株式会社製)のヘキサン溶液(0.95モル/リットル)1.45ミリリットルを加え室温で、時折攪拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011モル/リットルであった。
(1)触媒の調製
乾燥し、窒素置換された、ゴム詮付容積100ミリリットルのガラスびんに、以下の順番に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(15.2質量%)7.11g、ネオジムネオデカノエートのシクロヘキサン溶液(0.56モル/リットル)0.59ミリリットル、メチルアルミノキサンMAO(東ソーアクゾ株式会社製、商品名「PMAO」)のトルエン溶液(アルミニウム濃度として3.23モル/リットル)10.32ミリリットル、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学株式会社製)のヘキサン溶液(0.90モル/リットル)7.77ミリリットルを投入し、室温で2分間熟成した後、塩素化ジエチルアルミニウム(関東化学株式会社製)のヘキサン溶液(0.95モル/リットル)1.45ミリリットルを加え室温で、時折攪拌しながら15分間熟成した。こうして得られた触媒溶液中のネオジムの濃度は、0.011モル/リットルであった。
(2)中間重合体の製造
約900ミリリットル容積のゴム栓付きガラスびんを乾燥し、窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのシクロヘキサン溶液および乾燥シクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、前記(1)で調製した触媒溶液2.28ミリリットル(ネオジム換算0.025mmol)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行い、中間重合体を製造した。得られた重合体のミクロ構造は、シス-1,4結合量95.5%、であった。
約900ミリリットル容積のゴム栓付きガラスびんを乾燥し、窒素置換し、乾燥精製されたブタジエンのシクロヘキサン溶液および乾燥シクロヘキサンを各々投入し、ブタジエン12.5質量%のシクロヘキサン溶液が400g投入された状態とした。次に、前記(1)で調製した触媒溶液2.28ミリリットル(ネオジム換算0.025mmol)を投入し、50℃温水浴中で1.0時間重合を行い、中間重合体を製造した。得られた重合体のミクロ構造は、シス-1,4結合量95.5%、であった。
(3)変性処理
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラ濃度が1.0モル/リットルのヘキサン溶液を、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランがネオジムに対して23.5モル当量になるように、前記(2)で得た重合体溶液に投入し、50℃にて60分間処理した。
次いで、ソルビタントリオレイン酸エステル(関東化学株式会社製)を1.2ミリリットル加えて、さらに60℃で1時間変性反応を行った後、重合系に老化防止剤2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS-5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行ない、ドラム乾燥することにより、変性ポリブタジエン(変性BR1)を得た。変性BR1には、マクロゲルは認められず、100℃ムーニー粘度(ML1+4:100℃)は59であった。変性処理後のミクロ構造も上記中間重合体のミクロ構造と同様であった。
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラ濃度が1.0モル/リットルのヘキサン溶液を、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランがネオジムに対して23.5モル当量になるように、前記(2)で得た重合体溶液に投入し、50℃にて60分間処理した。
次いで、ソルビタントリオレイン酸エステル(関東化学株式会社製)を1.2ミリリットル加えて、さらに60℃で1時間変性反応を行った後、重合系に老化防止剤2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)のイソプロパノール5質量%溶液2ミリリットルを加えて反応の停止を行い、さらに微量のNS-5を含むイソプロパノール中で再沈殿を行ない、ドラム乾燥することにより、変性ポリブタジエン(変性BR1)を得た。変性BR1には、マクロゲルは認められず、100℃ムーニー粘度(ML1+4:100℃)は59であった。変性処理後のミクロ構造も上記中間重合体のミクロ構造と同様であった。
〔変性BR2の製造方法〕
(1)未変性ポリブタジエンの製造
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン1.4kg、1,3-ブタジエン250g、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン(0.285mmol)シクロヘキサン溶液として注入し、これに2.85mmolのn-ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行なった。1,3-ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液の一部を、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り重合を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、変性前のポリブタジエンを得た。得られた変性前のポリブタジエンについてミクロ構造(ビニル結合量)を測定した結果、ビニル結合量は30質量%であった。
(1)未変性ポリブタジエンの製造
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素下、シクロヘキサン1.4kg、1,3-ブタジエン250g、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン(0.285mmol)シクロヘキサン溶液として注入し、これに2.85mmolのn-ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、攪拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行なった。1,3-ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液の一部を、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り重合を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、変性前のポリブタジエンを得た。得られた変性前のポリブタジエンについてミクロ構造(ビニル結合量)を測定した結果、ビニル結合量は30質量%であった。
(2)第1級アミン変性ポリブタジエン(変性BR2)の製造
上記(1)で得られた重合体溶液を、重合触媒を失活させることなく、温度50℃に保ち、第1級アミノ基が保護されたN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg(3.364mmol)を加えて、変性反応を15分間行った。
この後、縮合促進剤であるテトラキス(2-エチル-1,3-ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。
最後に反応後の重合体溶液に、金属ハロゲン化合物として四塩化ケイ素242mgを添加し、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された第1級アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、第1級アミン変性ポリブタジエン(変性BR2)を得た。得られた変性ポリブタジエンについてミクロ構造(ビニル結合量)を測定した結果、ビニル結合量は30質量%であった。
上記(1)で得られた重合体溶液を、重合触媒を失活させることなく、温度50℃に保ち、第1級アミノ基が保護されたN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン1129mg(3.364mmol)を加えて、変性反応を15分間行った。
この後、縮合促進剤であるテトラキス(2-エチル-1,3-ヘキサンジオラト)チタン8.11gを加え、更に15分間攪拌した。
最後に反応後の重合体溶液に、金属ハロゲン化合物として四塩化ケイ素242mgを添加し、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを添加した。次いで、スチームストリッピングにより脱溶媒及び保護された第1級アミノ基の脱保護を行い、110℃に調温された熱ロールによりゴムを乾燥し、第1級アミン変性ポリブタジエン(変性BR2)を得た。得られた変性ポリブタジエンについてミクロ構造(ビニル結合量)を測定した結果、ビニル結合量は30質量%であった。
中間重合体、未変性ポリブタジエン及び変性ポリブタジエンのミクロ構造(ビニル結合量)は赤外法(モレロ法)により測定した。
〔変性SBRの製造方法〕
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3-ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3-ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn-ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得た。得られた変性SBRのミクロ構造(ビニル結合量)をモレロ法で測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%であった。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3-ブタジエンのシクロヘキサン溶液およびスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3-ブタジエン67.5gおよびスチレン7.5gになるように加え、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn-ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、変性剤としてN,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシランを0.72mmol添加し、50℃で30分間変性反応を行った。その後、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して変性SBRを得た。得られた変性SBRのミクロ構造(ビニル結合量)をモレロ法で測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%であった。
変性SBRのスチレン結合量を1H-NMRスペクトルの積分比より求めたところ、10質量%であった。従って、ゴム成分中の変性SBRの含有量が20質量%である場合、スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sに対するゴム成分のスチレン結合量st(%)の割合(st/s)は、10/20=0.5と計算される。
〔含水ケイ酸の製造方法〕
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.70リットルを入れ、75℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2160g/リットル、SiO2/Na2Oモル比3.3)1.70リットルを入れ、75℃に加熱した。生成した溶液中のNa2O濃度は0.015mol/リットルであった。
この溶液の温度を75℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量520ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量23ミリリットル/分で同時に滴下した。流量を調整しつつ、反応溶液中のNa2O濃度を0.005~0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行った。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、46分目に粘度が上昇してゲル状溶液となった。さらに、添加を続けて100分で反応を停止した。生じた溶液中のシリカ濃度は60g/リットルであった。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得た。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得た。次いで湿潤ケーキを、乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、湿式法含水ケイ酸を得た。
〔親水性短繊維1の製造方法〕
特開2012-219245号公報に開示の製造例3に従い、親水性短繊維1を製造した。具体的には、二軸押出機を2台用い、ホッパーにポリエチレン[日本ポリエチレン社製、ノバテックHJ360(MFR5.5、融点132℃)]40質量部と、エチレン-ビニルアルコール共重合体[クラレ社製、エバールF104B(MFR4.4、融点183℃)]40質量部とを投入し、ダイ出口から各々同時に押し出した。その後、常法に従って得られた繊維を長さ2mmにカットして、ポリエチレンからなる被覆層が形成された親水性短繊維1を作製した。
特開2012-219245号公報に開示の製造例3に従い、親水性短繊維1を製造した。具体的には、二軸押出機を2台用い、ホッパーにポリエチレン[日本ポリエチレン社製、ノバテックHJ360(MFR5.5、融点132℃)]40質量部と、エチレン-ビニルアルコール共重合体[クラレ社製、エバールF104B(MFR4.4、融点183℃)]40質量部とを投入し、ダイ出口から各々同時に押し出した。その後、常法に従って得られた繊維を長さ2mmにカットして、ポリエチレンからなる被覆層が形成された親水性短繊維1を作製した。
<加硫ゴム特性の評価>
〔実施例1、4、5、7~9、比較例1~3、5、6〕
下記手法により、加硫ゴム特性、すなわち、貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を測定した。また、既述の式(1)により加硫ゴムの発泡率を求めた。評価結果を表3及び4に示した。
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムを用い、-20℃の貯蔵弾性率(G’)及び-20℃の損失係数(tanδ)を、ティーエイインスツルメンツ社製粘弾性測定装置「ARES」を用いて、温度-20℃、歪み1%、周波数15Hzの条件で測定した。
貯蔵弾性率が小さい程、弾性率が小さいことを示し、良好な性能を示す。また、損失係数が大きい程、ヒステリシスロスが高いことを示し、良好な性能と言える。
〔実施例1、4、5、7~9、比較例1~3、5、6〕
下記手法により、加硫ゴム特性、すなわち、貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を測定した。また、既述の式(1)により加硫ゴムの発泡率を求めた。評価結果を表3及び4に示した。
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムを用い、-20℃の貯蔵弾性率(G’)及び-20℃の損失係数(tanδ)を、ティーエイインスツルメンツ社製粘弾性測定装置「ARES」を用いて、温度-20℃、歪み1%、周波数15Hzの条件で測定した。
貯蔵弾性率が小さい程、弾性率が小さいことを示し、良好な性能を示す。また、損失係数が大きい程、ヒステリシスロスが高いことを示し、良好な性能と言える。
〔実施例2、3、6、比較例4、7、8〕
下記手法により、加硫ゴム特性、すなわち、貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を測定する。また、既述の式(1)により加硫ゴムの発泡率を求める。評価結果を表3及び4に示す。
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムを用い、-20℃の貯蔵弾性率(G’)及び-20℃の損失係数(tanδ)を、ティーエイインスツルメンツ社製粘弾性測定装置「ARES」を用いて、温度-20℃、歪み1%、周波数15Hzの条件で測定する。
貯蔵弾性率が小さい程、弾性率が小さいことを示し、良好な性能を示す。また、損失係数が大きい程、ヒステリシスロスが高いことを示し、良好な性能と言える。
下記手法により、加硫ゴム特性、すなわち、貯蔵弾性率(G’)及び損失正接(tanδ)を測定する。また、既述の式(1)により加硫ゴムの発泡率を求める。評価結果を表3及び4に示す。
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムを用い、-20℃の貯蔵弾性率(G’)及び-20℃の損失係数(tanδ)を、ティーエイインスツルメンツ社製粘弾性測定装置「ARES」を用いて、温度-20℃、歪み1%、周波数15Hzの条件で測定する。
貯蔵弾性率が小さい程、弾性率が小さいことを示し、良好な性能を示す。また、損失係数が大きい程、ヒステリシスロスが高いことを示し、良好な性能と言える。
<タイヤの評価>
〔実施例1、4、9、比較例1〕
1.氷上性能評価
得られたゴム組成物をトレッドに用いて、常法によって試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を作製した。
各実施例及び各比較例の試験用タイヤを排気量1600ccクラスの国産乗用車(アンチロックブレーキシステム:ABS搭載)に4本を装着し、氷温-1℃でのブレーキ制動距離を測定した。比較例1の試験用タイヤの制動距離を100とし、下記式により指数表示した。
氷上性能指数=(比較例1の試験用タイヤの制動距離/比較例1以外の試験用タイヤの制動距離)×100
氷上性能指数が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
〔実施例1、4、9、比較例1〕
1.氷上性能評価
得られたゴム組成物をトレッドに用いて、常法によって試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を作製した。
各実施例及び各比較例の試験用タイヤを排気量1600ccクラスの国産乗用車(アンチロックブレーキシステム:ABS搭載)に4本を装着し、氷温-1℃でのブレーキ制動距離を測定した。比較例1の試験用タイヤの制動距離を100とし、下記式により指数表示した。
氷上性能指数=(比較例1の試験用タイヤの制動距離/比較例1以外の試験用タイヤの制動距離)×100
氷上性能指数が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
2.耐摩耗性評価
各実施例及び各比較例の試験用タイヤを用いた実車にて舗装路面を5000km走行後、残溝を測定した。トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、比較例1の試験用タイヤを100として指数表示した。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。
各実施例及び各比較例の試験用タイヤを用いた実車にて舗装路面を5000km走行後、残溝を測定した。トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、比較例1の試験用タイヤを100として指数表示した。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。
3.氷上性能と耐摩耗性とのバランス評価
氷上性能指数と耐摩耗性指数を用い、下記式にて、氷上性能と耐摩耗性とのバランス指数を算出した。
バランス指数=(氷上性能指数+耐摩耗性指数)/2
バランス指数が102以上である場合、タイヤは氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる。
氷上性能指数と耐摩耗性指数を用い、下記式にて、氷上性能と耐摩耗性とのバランス指数を算出した。
バランス指数=(氷上性能指数+耐摩耗性指数)/2
バランス指数が102以上である場合、タイヤは氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる。
4.加硫ゴムの空隙
氷上性能評価で作製した試作タイヤから切り出した加硫ゴムの外観及び試作タイヤの断面を観察した。実施例及び比較例の加硫ゴム及び試作タイヤには、複数の空隙があった。
氷上性能評価で作製した試作タイヤから切り出した加硫ゴムの外観及び試作タイヤの断面を観察した。実施例及び比較例の加硫ゴム及び試作タイヤには、複数の空隙があった。
〔実施例2、3、5~8、比較例2~8〕
1.氷上性能評価
得られたゴム組成物をトレッドに用いて、常法によって試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を作製する。
各実施例及び各比較例の試験用タイヤを排気量1600ccクラスの国産乗用車(アンチロックブレーキシステム:ABS搭載)に4本を装着し、氷温-1℃でのブレーキ制動距離を測定する。比較例1の試験用タイヤの制動距離を100とし、下記式により指数表示する。
氷上性能指数=(比較例1の試験用タイヤの制動距離/比較例1以外の試験用タイヤの制動距離)×100
氷上性能指数が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
1.氷上性能評価
得られたゴム組成物をトレッドに用いて、常法によって試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を作製する。
各実施例及び各比較例の試験用タイヤを排気量1600ccクラスの国産乗用車(アンチロックブレーキシステム:ABS搭載)に4本を装着し、氷温-1℃でのブレーキ制動距離を測定する。比較例1の試験用タイヤの制動距離を100とし、下記式により指数表示する。
氷上性能指数=(比較例1の試験用タイヤの制動距離/比較例1以外の試験用タイヤの制動距離)×100
氷上性能指数が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
2.耐摩耗性評価
各実施例及び各比較例の試験用タイヤを用いた実車にて舗装路面を5000km走行後、残溝を測定する。トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、比較例1の試験用タイヤを100として指数表示する。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。
各実施例及び各比較例の試験用タイヤを用いた実車にて舗装路面を5000km走行後、残溝を測定する。トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、比較例1の試験用タイヤを100として指数表示する。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。
3.氷上性能と耐摩耗性とのバランス評価
氷上性能指数と耐摩耗性指数を用い、下記式にて、氷上性能と耐摩耗性とのバランス指数を算出する。
バランス指数=(氷上性能指数+耐摩耗性指数)/2
バランス指数が102以上である場合、タイヤは氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる。
氷上性能指数と耐摩耗性指数を用い、下記式にて、氷上性能と耐摩耗性とのバランス指数を算出する。
バランス指数=(氷上性能指数+耐摩耗性指数)/2
バランス指数が102以上である場合、タイヤは氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる。
4.加硫ゴムの空隙
氷上性能評価で作製した試作タイヤから切り出した加硫ゴムの外観及び試作タイヤの断面を観察する。実施例及び比較例の加硫ゴム及び試作タイヤには、複数の空隙がある。
氷上性能評価で作製した試作タイヤから切り出した加硫ゴムの外観及び試作タイヤの断面を観察する。実施例及び比較例の加硫ゴム及び試作タイヤには、複数の空隙がある。
表3及び4からわかるように、実施例の試作タイヤは、いずれも、氷上性能と耐摩耗性とのバランス指数が102以上であり、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れる。
一方、比較例の試作タイヤは、氷上性能と耐摩耗性とのバランス指数が102を下回り、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れない。
一方、比較例の試作タイヤは、氷上性能と耐摩耗性とのバランス指数が102を下回り、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れない。
本発明によれば、氷上性能と耐摩耗性とのバランスに優れるタイヤを提供することができる。該タイヤは、耐摩耗性に優れながら、氷雪路面での走行でもグリップ力が効き、車両の制動性に優れるため、スタッドレスタイヤに好適である。
Claims (10)
- 天然ゴム、ポリブタジエンゴム、及びスチレン-ブタジエン共重合体ゴムを含むゴム成分と、
シリカを含む充填剤と、
ゲル浸透クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が5,000以上40,000未満、共役ジエン化合物部分のスチレン結合量が10質量%未満、かつ共役ジエン化合物部分のビニル結合量が40質量%以上、65質量%以下である未変性の共役ジエン系重合体と、
を含有し、
前記ゴム成分中の前記天然ゴムの質量nが35質量%以上44質量%以下であり、
前記ポリブタジエンゴムの質量b、及び前記スチレン-ブタジエン共重合体ゴムの質量sが、s≦bの関係にあり、
前記共役ジエン系重合体の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対し1~40質量部であるゴム組成物。 - 前記共役ジエン系重合体がポリブタジエンである請求項1に記載のゴム組成物。
- 前記共役ジエン系重合体は、前記ポリスチレン換算重量平均分子量が6,000以上30,000以下である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- 前記共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物部分のビニル結合量が50質量%以上である請求項1~3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記質量sに対する前記ゴム成分のスチレン結合量st(%)の割合(st/s)が1.0以下である請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 空隙導入剤を含有する請求項1~5のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記空隙導入剤が発泡剤、硫酸金属塩、熱膨張性マイクロカプセル及び多孔質セルロース粒子からなる群より選択される少なくとも一種である請求項6に記載のゴム組成物。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いた加硫ゴム。
- 複数の空隙を有する請求項8に記載の加硫ゴム。
- 請求項8又は9に記載の加硫ゴムをトレッドに備えるタイヤ。
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