WO2018198759A1 - スタッドタイヤおよびタイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

スタッドピンの保持能力を高くして、氷雪上性能を従来レベル以上に向上するようにしたスタッドタイヤを提供する。トレッド部の踏面にスタッドピンを植設したスタッドタイヤであって、前記トレッド部がキャップトレッドおよびアンダートレッドからなり、前記キャップトレッドおよびアンダートレッドの20℃におけるゴム硬度をHcおよびHu、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScおよびSuとするとき、以下の関係式;Hc≦60…(1)、Hu-Hc≧8…(2)、Sc≧5.5…(3)、Su/Sc≧2.0…(4)を満たすことを特徴とするスタッドタイヤ。

Description

スタッドタイヤおよびタイヤ用ゴム組成物
 本発明は、トレッド部にスタッドピンを植設したスタッドタイヤ及びそのタイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは、スタッドピンの保持能力を向上させたスタッドタイヤ及びそのトレッド用ゴム組成物に関する。
 北欧やロシア等の厳冬地域では、冬季タイヤとしてスタッドタイヤが主に使用されている。スタッドタイヤでは、トレッド部にスタッドピンを植設するための複数の植え込み穴を設け、これら植え込み穴に対してスタッドピンを植設するようにしている。このようにトレッド部に埋め込まれたスタッドピンによって、スタッドタイヤの性能が発揮されるが、スタッドピンが脱落すると氷雪上性能の低下が顕著になるので、そのピン抜けに対する対策が重要な課題になっている。ピン抜け対策として、ダブルフランジタイプのスタッドピンが使用されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
 近年、市場の安全意識の高まりに伴い、スタッドタイヤにおいても氷雪上性能に加え、ウェット性能やドライ性能(非氷雪路面の走行性能)に対する要求がより高度のものになってきている。このため、スタッドピンが脱落するのを抑制すること、すなわちスタッドピンの保持能力を改良しながら、氷雪上性能やウェット性能、ドライ性能も従来レベル以上に向上することが求められている。
日本国特開2010-70052号公報
 本発明の目的は、スタッドピンの保持能力を高くして、氷雪上性能を従来レベル以上に向上するようにしたスタッドタイヤ及びそのタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
 上記目的を達成する本発明のスタッドタイヤは、トレッド部の踏面にスタッドピンを植設したスタッドタイヤであって、前記トレッド部がキャップトレッドおよびアンダートレッドからなり、前記キャップトレッドおよびアンダートレッドの20℃におけるゴム硬度をHcおよびHu、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScおよびSuとするとき、以下の関係式(1)~(4);
  Hc≦60     ・・・(1)
  Hu-Hc≧8   ・・・(2)
  Sc≧5.5    ・・・(3)
  Su/Sc≧2.0 ・・・(4)
(式中、HcおよびHuはキャップトレッドおよびアンダートレッドの20℃のゴム硬度、ScおよびSuはキャップトレッドおよびアンダートレッドの23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
を満たすことを特徴とする。
 上記目的を達成する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部に窒素吸着比表面積が50~120m2/gであるカーボンブラックを5~35質量部、CTAB比表面積が80~190m2/gであるシリカを40~100質量部配合し、前記カーボンブラックおよびシリカを含むフィラーの合計100質量%中、前記シリカが70質量%以上であり、前記ゴム成分の平均ガラス転移温度が-50℃以下であり、-20℃におけるゴム硬度をHcM20とし、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとするとき、以下の関係式(5)を満たすことを特徴とする。
  9.0<HcM20/Sc<10.5 ・・・(5)
(式中、HcM20はタイヤ用ゴム組成物の-20℃におけるゴム硬度、Scはタイヤ用ゴム組成物のの23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
 本発明のスタッドタイヤは、トレッド部をキャップトレッドおよびアンダートレッドにより形成し、キャップトレッドのゴム硬度Hcを60以下、300%伸長時の引張応力Scを5.5MPa以上、アンダートレッドのゴム硬度Huおよび300%伸長時の引張応力Suとの関係が、Hu-Hc≧8およびSu/Sc≧2.0を満たすようにしたので、スタッドピンの保持能力を高くして、氷雪上性能およびドライ性能を従来レベル以上に向上することができる。
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムからなる、平均ガラス転移温度が-50℃以下であるゴム成分に、特定のカーボンブラックおよびシリカを配合し、シリカの比率を70質量%以上にし、そのゴム組成物の-20℃におけるゴム硬度をHcM20とし、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとするとき、これらの比HcM20/Scが9.0を超え10.5未満にしたので、スタッドピンの保持能力をより高くして、スタッドタイヤの氷雪上性能およびウェット性能を従来レベル以上に優れたものにすることができる。
 このタイヤ用ゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に、軟化点が60~150℃の芳香族変性テルペン樹脂を2~20質量部配合することができる。芳香族変性テルペン樹脂を配合することによりウェット性能をより優れたものにすることができる。
 更に前記ゴム成分100質量部に、液状ポリマーを5~30質量部配合することができる。液状ポリマーを配合することにより低温状態のゴム硬度をよりしなやかにし、氷雪上性能をより優れたものにすることができる。
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッド部、とりわけスタッドタイヤのトレッド部を好適に形成することができる。このスタッドタイヤは、スタッドピンの保持能力をより高くし、かつ氷雪上性能およびウェット性能をより一層優れたものにすることができる。
図1は本発明のスタッドタイヤの実施形態の一例において、トレッド部に植設したスタッドピンを拡大し模式的に示す断面図である。
 本発明のスタッドタイヤは、アンダートレッドの外周にキャップトレッドを積層してなるトレッド部に、スタッドピン用の植え込み穴を有し、この植え込み穴にスタッドピンが植設される。スタッドピンの植設は、植え込み穴を拡張した状態でその内にスタッドピンを挿入した後、植え込み穴の拡張を解除することで行われる。
 図1は、スタッドピン4をトレッド部1の植え込み穴に植設した状態を模式的に示す断面図である。トレッド部1はアンダートレッド3の外周側(タイヤ径方向外側)にキャップトレッド2が積層されている。なお図示の例はスタッドピンとして、ダブルフランジタイプのスタッドピンを記載しているが、本発明のスタッドタイヤは、シングルフランジタイプのスタッドピンを使用することもできる。
 図1に例示するように、スタッドピン4は、円柱状の胴部、踏面側フランジ部、底側フランジ部およびチップ部により構成されている。踏面側フランジ部は胴部よりも径が大きくなるように、胴部の踏面側(タイヤ径方向外側)に形成されている。チップ部は踏面側フランジ部からピン軸方向に突き出すように、他の構成部材よりも硬質な材料で成形されている。底側フランジ部は、胴部よりも径が大きくなるように、胴部の底側(タイヤ径方向内側)に形成されている。
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッド部、とりわけスタッドタイヤのトレッド部を構成するのに好適である。トレッド部1として、キャップトレッド2、アンダートレッド3のいずれにも使用することができるが、キャップトレッド2を好適に構成することができる。
 本発明のスタッドタイヤは、トレッド部1がキャップトレッド2およびアンダートレッド3からなり、互いに特定された関係を有する。すなわち、キャップトレッドの20℃におけるゴム硬度をHc、および23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとし、アンダートレッドの20℃におけるゴム硬度をHu、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をSuとするとき、以下の関係式(1)~(4)を満たすことを特徴とする。
  Hc≦60     ・・・(1)
  Hu-Hc≧8   ・・・(2)
  Sc≧6.0    ・・・(3)
  Su/Sc≧2.0 ・・・(4)
(式中、HcおよびHuはキャップトレッドおよびアンダートレッドの20℃のゴム硬度、ScおよびSuはキャップトレッドおよびアンダートレッドの23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
 キャップトレッドの20℃におけるゴム硬度Hcは、60以下であり、好ましくは50以上58以下である。キャップトレッドのゴム硬度Hcが60を超えると、氷雪上性能が低下する。本明細書において、キャップトレッドのゴム硬度Hcおよびアンダートレッドのゴム硬度Huは、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定するゴムの硬さをいう。
 またキャップトレッドの23℃の300%伸長時の引張応力Scは、5.5MPa以上であり、好ましくは5.8MPa以上7.5MPa以下である。キャップトレッドの引張応力Scが5.5MPa未満であると、スタッドピンの保持能力が低下すると共に、ドライ性能が悪化する。本明細書において、キャップトレッドの23℃の300%伸長時の引張応力Scおよびアンダートレッドの23℃の300%伸長時の引張応力Suは、JIS K6251に準拠し、23℃、500mm/分で引張り試験を行ったとき、300%変形時の引張応力をいう。
 本発明のスタッドタイヤにおいて、キャップトレッドの20℃におけるゴム硬度Hcおよびアンダートレッドの20℃におけるゴム硬度Huは、以下の関係式(2)を満たす。
  Hu-Hc≧8   ・・・(2)
(式中、HcおよびHuはキャップトレッドおよびアンダートレッドの20℃のゴム硬度を表す。)
 キャップトレッドのゴム硬度Hcおよびアンダートレッドのゴム硬度Huの差(Hu-Hc)が8未満であると、氷雪上性能および/またはドライ性能が低下する。ゴム硬度の差(Hu-Hc)は、好ましくは10以上16以下であるとよい。
 またキャップトレッドの23℃における300%伸長時の引張応力Scおよびアンダートレッドの23℃における300%伸長時の引張応力Suは、以下の関係式(4)を満たす。
  Su/Sc≧2.0 ・・・(4)
(式中、ScおよびSuはキャップトレッドおよびアンダートレッドの23℃における300%伸長時の引張応力を表す。)
 キャップトレッドの23℃における300%伸長時の引張応力Scに対するアンダートレッドの23℃における300%伸長時の引張応力Suの比Su/Scが2.0未満であると、氷雪上性能が低下する。キャップトレッドおよびアンダートレッドの23℃における300%伸長時の引張応力の比Su/Scは、好ましくは2.2以上3.0以下であるとよい。
 本発明にスタッドタイヤにおいて、キャップトレッドの厚さTcおよびアンダートレッドの厚さTuは、特に制限されるものではないが、キャップトレッドの厚さTcは、好ましくは2.0~10.0mm、より好ましくは3.0~9.0mmであるとよい。キャップトレッドの厚さTcをこのような範囲内にすることにより、転がり抵抗を維持しながら氷雪上性能を確保することができる。またアンダートレッドの厚さTuは、好ましくは2.5~10.0mm、より好ましくは3.0~9.0mmであるとよい。アンダートレッドの厚さTuをこのような範囲内にすることにより、転がり抵抗を維持しながら耐ピン抜け性能を確保することができる。
 また、キャップトレッドの厚さTcおよびアンダートレッドの厚さTuの合計に対するキャップトレッドの厚さTc/(Tc+Tu)は、好ましくは0.35以上0.85以下、より好ましくは0.40以上0.80以下、さらに好ましくは0.45以上0.75以下であるとよい。厚さの比Tc/(Tc+Tu)をこのような範囲内にすることにより、転がり抵抗を維持しながら氷雪上性能及び耐ピン抜け性能を両立することができる。
 キャップトレッドを構成するタイヤ用ゴム組成物(以下、「キャップトレッド用ゴム組成物」という。)は、ゴム成分として、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムから選ばれる少なくとも一つを含み、かつこれらを主成分とする。ここで主成分にするとは、ゴム成分100質量%に対し、天然ゴムおよび/またはスチレンブタジエンゴムおよび/またはブタジエンゴムを合計で50質量%以上含むことを意味する。これらのゴムを主成分にすることにより、スタッドピンの保持能力を高くし、かつ氷雪上性能およびウェット性能を高くすることができる。
 ゴム成分100質量%中、天然ゴムは、好ましくは35~85質量%、より好ましくは45~75質量%であるとよい。天然ゴムの含有量をこのような範囲内にすることにより、ゴム組成物の引張り破断強度を向上することができる。
 ゴム成分100質量%中、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムの合計は、好ましくは15~65質量%、より好ましくは25~55質量%であるとよい。またスチレンブタジエンゴムの含有量WSBRおよびブタジエンゴムの含有量WBRの比WSBR/WBRは、好ましくは2/8~6/4、より好ましくは3/7~5/5であるとよい。スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムの含有量の比WSBR/WBRが、2/8より小さいと、スタッドピンの保持能力およびウェット性能が低下する。また含有量の比WSBR/WBRが、6/4を超えると、氷雪上性能が低下する。
 キャップトレッド用ゴム組成物は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム以外の他のゴム成分を含有することができる。他のゴム成分としては、例えばイソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン-α-オレフィンゴム、クロロプレンゴム等を例示することができる。他のゴム成分の含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは0~50質量%、より好ましくは0~30質量%であるとよい。
 キャップトレッド用ゴム組成物は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムからなるゴム成分のガラス転移温度(Tg)を-50℃以下、好ましくは-100℃~-50℃、より好ましくは-90℃~-60℃にする。ゴム成分のガラス転移温度(Tg)を-50℃以下にすることにより、スタッドタイヤのトレッド部における低温状態での柔軟性を確保し、氷雪上性能およびウェット性能を高くすることができる。
 本明細書において、ゴム成分のガラス転移温度(Tg)は、構成するゴム成分のガラス転移温度に各ゴム成分の質量分率を乗じた合計(ガラス転移温度の質量平均値)である。なお、すべてのゴム成分の質量分率の合計を1とする。また各ゴム成分のガラス転移温度(Tg)は、油展成分(オイル)を含まない状態におけるゴム成分のガラス転移温度とする。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。
 トレッド部を構成するゴム組成物は、上述したゴム成分100質量部に対し、窒素吸着比表面積が50~120m2/gであるカーボンブラックを5~50質量部、好ましくは5~35質量部配合し、CTAB比表面積が好ましくは80~190m2/gであるシリカを5~100質量部、好ましくは40~100質量部配合することができる。また、カーボンブラックおよびシリカを含むフィラーの合計100質量%中、シリカが70質量%以上を占めるものとする。
 カーボンブラックの窒素吸着比表面積は50~120m2/g、好ましくは70~110m2/gである。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が50m2/g未満であると、耐ピン抜け性が悪化する。またドライ制動性が悪化する虞がある。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積が120m2/gを超えると、ゴム組成物の発熱性が悪化する虞がある。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2に基づいて測定するものとする。
 カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対し、5~50質量部、好ましくは5~35質量部、さらに好ましくは5~30質量部である。カーボンブラックの配合量が5質量部未満であると、ゴム組成物が所望の黒系色を得ることができない。またカーボンブラックの配合量が50質量部を超えると、ゴム組成物の発熱性が悪化する。
 シリカのCTAB比表面積は80~190m2/g、好ましくは100~180m2/gである。シリカのCTAB比表面積が80m2/g未満であると、ウェット性能、ドライ制動性が悪化する虞がある。またシリカのCTAB比表面積が190m2/gを超えると、ゴム組成物の発熱性が悪化する虞がある。本明細書において、シリカのCTAB比表面積は、JIS K6217-3に基づいて測定するものとする。
 シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対し5~100質量部、好ましくは40~100質量部、さらに好ましくは45~95質量部である。シリカの配合量が40質量部未満であると、ゴム組成物のゴム硬度が低下し、5質量部未満であると、発熱性が悪化する虞がある。またシリカの配合量が100質量部を超えると、ゴム組成物の押出加工性が悪化する。
 また、カーボンブラックおよびシリカを含むフィラーの合計100質量%中、シリカの含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは70~95質量%、さらに好ましくは72~93質量%、特に好ましくは74~90質量%であるとよい。フィラー合計100質量%中のシリカの含有量が70質量%未満であると、ウェット性能が低下する虞がある。
 キャップトレッド用ゴム組成物には、シランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤を配合することにより、ゴム成分に対するシリカの分散性を向上しゴムとの補強性を高めることができる。
 シランカップリング剤の配合量は、シリカの配合量に対し好ましくは3~15質量%を配合すると良く、より好ましくは5~10質量%を配合すると良い。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の3質量%未満であるとシリカの分散を十分に改良することができない。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の15質量部を超えると所望の硬度、強度や、耐摩耗性を得ることができない。
 シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。
 キャップトレッド用ゴム組成物には、本発明の課題を達成するのを損なわない範囲で、カーボンブラック、シリカ以外の他の充填剤を配合することができる。他の充填剤としては、例えばクレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示される。
 本発明において、タイヤ用ゴム組成物の-20℃におけるゴム硬度をHcM20とし、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとするとき、以下の関係式(5)を満たすものとする。
  9.0<HcM20/Sc<10.5  ・・・(5)
(式中、HcM20はタイヤ用ゴム組成物の-20℃におけるゴム硬度、Scはタイヤ用ゴム組成物のの23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
 23℃における300%伸長時の引張応力Scに対する-20℃におけるゴム硬度HcM20の比HcM20/Scが9以下であると、氷雪上性能が低下する。また比HcM20/Scが10.5以上であると、耐ピン抜け性が悪化する。比HcM20/Scは好ましくは9.3~10.3、より好ましくは9.5~10.0であるとよい。
 タイヤ用ゴム組成物の-20℃におけるゴム硬度HcM20は、上述した関係式(5)を満たす限り、特に制限されるものではないが、好ましくは48~65、より好ましくは51~62であるとよい。ゴム硬度HcM20が、このような範囲内であることにより、氷雪上性能とドライ性能を高いレベルで兼備することができる。本明細書において、ゴム硬度HuM20は、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより-20℃で測定するゴムの硬さをいう。
 タイヤ用ゴム組成物の23℃における300%伸長時の引張応力Scは、上述した関係式(5)を満たす限り、特に制限されるものではないが、好ましくは5.0~8.0MPa、より好ましくは5.5~7.5MPaであるとよい。引張応力Scが、このような範囲内であることにより、耐ピン抜け性を確保しながら氷雪上性能を優れたものにすることができる。本明細書において、23℃における300%伸長時の引張応力Scは、JIS K6251に準拠し、23℃、500mm/分で引張り試験を行ったとき、300%変形時の引張応力をいう。
 キャップトレッド用ゴム組成物は、軟化点が60~150℃の芳香族変性テルペン樹脂を配合することにより、ウェット性能をより向上することができ、好ましい。これは芳香族変性テルペン樹脂が、シリカ、カーボンブラック等のフィラーの分散性を良好にすると共に、フィラーとゴム成分との相溶性を改良するためと考えられる。
 芳香族変性テルペン樹脂としては、その軟化点が好ましくは60~150℃、好ましくは80~130℃である芳香族変性テルペン樹脂がよい。芳香族変性テルペン樹脂の軟化点が60℃未満であると、ウェット性能を改良する効果が十分に得られない虞がある。また軟化点が150℃を超えると、発熱性を悪化させ、転がり抵抗が大きくなる。本明細書において、芳香族変性テルペン樹脂の軟化点は、JIS K6220-1(環球法)に基づき測定するものとする。
 芳香族変性テルペン樹脂として、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネンなどのテルペンとスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのうち少なくとも一つの芳香族化合物とを重合させて得られる芳香族変性テルペン樹脂が好ましく挙げられる。
 芳香族変性テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは2~20質量部、より好ましくは5~15質量部配合するとよい。芳香族変性テルペン樹脂が2質量部未満であると、ウェット性能を改良する効果が十分に得られない虞がある。また芳香族変性テルペン樹脂が20質量部を超えると、氷雪上性能が悪化する虞がある。
 本発明のタイヤ用ゴム組成物は、液状ポリマーを含むことが好ましく、低温状態のゴム硬度をよりしなやかにし、氷雪上性能をより優れたものにすることができる。液状ポリマーとして、例えば、液状ポリブテン、液状ポリイソブテン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状ポリα-オレフィン、液状イソブチレン、液状エチレンα-オレフィン共重合体、液状エチレンプロピレン共重合体、液状エチレンブチレン共重合体等が挙げられる。また液状ポリマーは、上述した液状ポリマーの各種変性物(マレイン酸変性、末端イソシアネート変性、エポキシ変性等)であってもよい。
 液状ポリマーは、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは3~30質量部、より好ましくは5~25質量部配合するとよい。液状ポリマーが3質量部未満であると、氷雪上性能を改良する効果が十分に得られない虞がある。また液状ポリマーが30質量部を超えると、引張り破断強度が悪化する虞がある。
 本発明において、アンダートレッドを構成するタイヤ用ゴム組成物(以下、「アンダートレッド用ゴム組成物」という。)は、スタッドタイヤのアンダートレッドに用いられるものであれば特に制限されるものではないが、好ましくは天然ゴム及び/又はイソプレンゴムを15~85質量%と、ブタジエンゴム及び/又はスチレンブタジエンゴムを15~85質量%とからなるゴム成分100質量部に対し、カーボンブラックを50~100質量部配合するとよい。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積N2SAが好ましくは25~120m2/gであるとよい。
 キャップトレッド用ゴム組成物およびアンダートレッド用ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、熱硬化性樹脂などのトレッド用ゴム組成物に一般的に使用される各種配合剤を配合することができる。このような配合剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量にすることができる。トレッド用ゴム組成物は、公知のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混練、混合することによって製造することができる。調製されたゴム組成物を通常の方法により、スタッドタイヤのトレッド部に使用して加硫成形することができる。
 以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
 表1に示す配合からなる6種類のタイヤトレッド用ゴム組成物(組成物A~F)を、硫黄、加硫促進剤を除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで5分間混練し放出・冷却し、これに硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混合することにより調製した。
 得られた6種類のゴム組成物を所定の金型中で、170℃で10分間プレス加硫してトレッド用ゴム組成物からなる試験片を作製した。得られた試験片の20℃のゴム硬度、および23℃の300%伸長時の引張応力を下記に示す方法により測定した。
   ゴム硬度
 試験片のゴム硬度を、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した。得られた結果は、表1の「ゴム硬度 Hc又はHu」の欄に示した。
   300%伸長時の引張応力
 得られた試験片から、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片を切り出した。JIS K6251に準拠し23℃、500mm/分の引張試験を行い、300%変形時の引張応力を測定した。得られた結果は、表1の「300%応力 Sc又はSu」の欄に示した。
 また得られた6種類のキャップ用ゴム組成物およびアンダー用ゴム組成物を表2に示すように組み合わせキャップトレッドおよびアンダートレッドに使用したスタッドタイヤを加硫成形し、得られたタイヤのトレッド部の植え込み穴にスタッドピンを植設した。得られたスタッドタイヤを2000ccクラスのFF車両に装着し、以下の方法により耐ピン抜け性、ドライ制動性および氷雪上制動性を評価した。
   耐ピン抜け性
 スタッドタイヤを装着した車両を、アスファルト路面およびコンクリート路面を含む乾燥路面を20,000km走行させた。走行後に空気入りタイヤのトレッドから抜け落ちたスタッドピンの数を数えた。得られた結果は、抜け落ちたスタッドピンの数の逆数を算出し、標準例1の値を100とする指数として表2の「耐ピン抜け性」の欄に示した。この指数が大きいほど、抜け落ちたスタッドピンの数が少なく、耐ピン抜け性が優れることを意味する。
   ウェット制動性
 スタッドタイヤを装着した車両を、乾燥した路面を走行させ初速30km/時から制動をかけ完全停止するまでの制動距離を測定した。得られた結果は、制動距離の逆数を算出し、標準例1の値を100とする指数として表2の「ドライ制動性」の欄に示した。この指数が大きいほど、ドライ走行時の制動距離が短くウェット性能が優れることを意味する。
   氷雪上制動性
 スタッドタイヤを装着した車両を、氷盤路を走行させ初速30km/時から制動をかけ完全停止するまでの制動距離を測定した。得られた結果は、制動距離の逆数を算出し、標準例1の値を100とする指数として表2の「氷雪上制動性」の欄に示した。この指数が大きいほど、氷雪路走行時の制動距離が短く氷雪上性能が優れることを意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 なお、表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、BON BUNDIT製STR20、ガラス転移温度が-65℃
・BR:ブタジエンゴム、日本合成ゴム社製Nipol BR1220、ガラス転移温度が-110℃
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1502、ガラス転移温度が-54℃
・CB-1:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN339、窒素吸着比表面積が93m2/g
・CB-2:カーボンブラック、キャボットジャパン社製キャボットジャパン550、窒素吸着比表面積が43m2/g
・シリカ-1:シリカ、Solvay社製ZEOSIL 1165MP、CTAB比表面積が156m2/g
・カップリング剤:シランカップリング剤、Evonik社製Si69
・液状ポリマー:液状ポリブタジエン、CRAY VAREY社製Ricon130
・プロセルオイル:昭和シェル石油社製エクストラクト4号S
・ステアリン酸:日進理化社製ステアリン酸50S
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・硫黄:細井化学工業社製油処理イオウ
・加硫促進剤1:大内新興化学社製ノクセラーCZ-G
・加硫促進剤2:住友化学社製ソクシールD-G
・加硫促進剤3:大内新興化学社製ノクセラーNS-P
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表2から明らかなように実施例1スタッドタイヤは、スタッドピンの保持能力が高く、たドライ性能および氷雪上性能に優れることが確認された。
 比較例1のゴム組成物は、ゴム硬度の差Hu-Hcが8未満なので、ドライ制動性が劣る。
 比較例2~4のゴム組成物は、23℃における300%伸長時の引張応力Scが5.5MPa未満なので、耐ピン抜け性およびドライ制動性が劣る。
 比較例5~7のゴム組成物は、キャップトレッドのゴム硬度Hcが60を超え、ゴム硬度の差Hu-Hcが8未満、300%伸張時の引張応力の比Su/Scが2.0未満であるので、氷雪上性能が劣る。
 表5に示す配合剤を共通配合とし、表3,4に示す配合からなる16種類のゴム組成物(実施例2~9、標準例2、比較例8~14)を、硫黄、加硫促進剤除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで5分間混練し放出・冷却し、これに硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混合することによりゴム組成物を調製した。なお表5に記載した配合剤の配合量は、表3,4に記載したゴム成分100質量部に対する質量部で示した。
 得られた16種類のゴム組成物を所定の金型中で、170℃で10分間プレス加硫してタイヤ用ゴム組成物からなる試験片を作製した。得られた試験片の-20℃のゴム硬度(HcM20)、23℃の300%伸長時の引張応力(Sc(MPa))、および発熱性(60℃のtanδ)を下記に示す方法により測定した。
   -20℃のゴム硬度
 試験片のゴム硬度を、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度-20℃で測定した。得られた結果は、表3,4の「ゴム硬度 HcM20」の欄に示した。
   23℃の300%伸長時の引張応力
 得られた試験片から、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片を切り出した。JIS K6251に準拠し23℃、500mm/分の引張試験を行い、300%変形時の引張応力(Sc(MPa))を測定した。得られた結果は、表3,4の「300%応力 Su」の欄に示した。
   発熱性(60℃のtanδ)
 得られた試験片の動的粘弾性を、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzで測定し、温度60℃におけるtanδを算出した。得られた結果は、標準例2の値を100とする指数で表わし表3,4の「発熱性」の欄に示した。この指数が小さいほど発熱性が小さくタイヤにしたときの燃費性能が優れることを意味する。
 また得られた16種類のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに使用したスタッドタイヤを加硫成形し、トレッド部の植え込み穴にスタッドピンを植設した。得られたスタッドタイヤを2000ccクラスのFF車両に装着し、以下の方法により耐ピン抜け性、ウェット制動性および氷雪上制動性を評価した。
   耐ピン抜け性
 スタッドタイヤを装着した車両を、アスファルト路面およびコンクリート路面を含む乾燥路面を20,000km走行させた。走行後に空気入りタイヤのトレッドから抜け落ちたスタッドピンの数を数えた。得られた結果は、抜け落ちたスタッドピンの数の逆数を算出し、標準例2の値を100とする指数として表3,4の「耐ピン抜け性」の欄に示した。この指数が大きいほど、抜け落ちたスタッドピンの数が少なく、耐ピン抜け性が優れることを意味する。
   ウェット制動性
 スタッドタイヤを装着した車両を、水を張った路面を走行させ初速30km/時から制動をかけ完全停止するまでの制動距離を測定した。得られた結果は、制動距離の逆数を算出し、標準例2の値を100とする指数として表3,4の「ウェット制動性」の欄に示した。この指数が大きいほど、ウェット走行時の制動距離が短くウェット性能が優れることを意味する。
   氷雪上制動性
 スタッドタイヤを装着した車両を、氷盤路を走行させ初速30km/時から制動をかけ完全停止するまでの制動距離を測定した。得られた結果は、制動距離の逆数を算出し、標準例2の値を100とする指数として表3,4の「氷雪上制動性」の欄に示した。この指数が大きいほど、氷雪路走行時の制動距離が短く氷雪上性能が優れることを意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 なお、表3,4において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、BON BUNDIT製STR20、ガラス転移温度が-65℃
・BR:ブタジエンゴム、日本合成ゴム社製Nipol BR1220、ガラス転移温度が-110℃
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1502、ガラス転移温度が-54℃
・CB-1:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN339、窒素吸着比表面積が93m2/g
・CB-2:カーボンブラック、東海カーボン社製シースト9、窒素吸着比表面積が142m2/g
・CB-3:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN550、窒素吸着比表面積が43m2/g
・シリカ-1:シリカ、Solvay社製ZEOSIL 1165MP、CTAB比表面積が156m2/g
・シリカ-2:シリカ、Solvay社製ZEOSIL Premium 200MP、CTAB比表面積が197m2/g
・カップリング剤:シランカップリング剤、Evonik社製Si69
・芳香族変性テルペン樹脂:ヤスハラケミカル社製YSレジンTO-125、軟化温度が125℃
・液状ポリマー:液状ポリブタジエン、CRAY VAREY社製Ricon130
・プロセルオイル:昭和シェル石油社製エクストラクト4号S
・加硫促進剤1:大内新興化学社製ノクセラーCZ-G
・加硫促進剤2:住友化学社製ソクシールD-G
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表5において使用した原材料の種類を下記に示す。
・ステアリン酸:日進理化社製ステアリン酸50S
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・硫黄:細井化学工業社製油処理イオウ
 表3,4から明らかなように実施例2~9のスタッドタイヤは、スタッドピンの保持能力が高く、たウェット性能および氷雪上性能に優れることが確認された。
 表3から明らかなように比較例8のゴム組成物は、スチレンブタジエンゴムを含有しないので、耐ピン抜け性およびウェット性能が劣る。
 比較例9のゴム組成物は、ブタジエンゴムを含有しないので、氷雪上性能が劣る。
 表4から明らかなように比較例10のゴム組成物は、シリカ-2のCTAB比表面積が190m2/gを超えるので、耐ピン抜け性が劣る。
 比較例11のゴム組成物は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積が120m2/gを超えるので、発熱性が大きく、耐ピン抜け性が劣る。
 比較例12のゴム組成物は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積が50m2/g未満なので、耐ピン抜け性が劣る。
 比較例13のゴム組成物は、加硫促進剤の増量に伴い、23℃の300%伸長時の引張応力が過大になり、比HcM20/Scが9.0以下なので、氷雪上性能が劣る。
 比較例14のゴム組成物は、加硫促進剤の減量に伴い、23℃の300%伸長時の引張応力が過小になり、比HcM20/Scが10.5以上なので、耐ピン抜け性が劣る。
1  トレッド部
2  キャップトレッド
3  アンダートレッド
4  スタッドピン

Claims (6)

  1.  トレッド部の踏面にスタッドピンを植設したスタッドタイヤであって、前記トレッド部がキャップトレッドおよびアンダートレッドからなり、前記キャップトレッドおよびアンダートレッドの20℃におけるゴム硬度をHcおよびHu、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScおよびSuとするとき、以下の関係式(1)~(4);
      Hc≦60     ・・・(1)
      Hu-Hc≧8   ・・・(2)
      Sc≧5.5    ・・・(3)
      Su/Sc≧2.0 ・・・(4)
    (式中、HcおよびHuはキャップトレッドおよびアンダートレッドの20℃のゴム硬度、ScおよびSuはキャップトレッドおよびアンダートレッドの23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
    を満たすことを特徴とするスタッドタイヤ。
  2.  天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部に窒素吸着比表面積が50~120m2/gであるカーボンブラックを5~35質量部、CTAB比表面積が80~190m2/gであるシリカを40~100質量部配合し、前記カーボンブラックおよびシリカを含むフィラーの合計100質量%中、前記シリカが70質量%以上であり、前記ゴム成分の平均ガラス転移温度が-50℃以下であり、-20℃におけるゴム硬度をHcM20とし、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとするとき、以下の関係式(5);
      9.0<HcM20/Sc<10.5  ・・・(5)
    (式中、HcM20はタイヤ用ゴム組成物の-20℃におけるゴム硬度、Scはタイヤ用ゴム組成物のの23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
    を満たすことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  3.  前記ゴム成分100質量部に、軟化点が60~150℃の芳香族変性テルペン樹脂を2~20質量部配合してなることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4.  更に前記ゴム成分100質量部に、液状ポリマーを5~30質量部配合してなることを特徴とする請求項2または3に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5.  請求項2~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を含むトレッド部を有することを特徴とするスタッドタイヤ。
  6.  請求項2~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を含むトレッド部を有することを特徴とする請求項1に記載のスタッドタイヤ。
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