JP6508253B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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本発明は、タイヤ用ゴム組成物に関し、更に詳しくは、トレッド部にスタッドピンを植設したスタッドタイヤのトレッド用ゴム組成物に関する。
北欧やロシア等の厳冬地域では、冬季タイヤとしてスタッドタイヤが主に使用されている。スタッドタイヤでは、トレッド部にスタッドピンを植設するための複数の植え込み穴を設け、これら植え込み穴に対してスタッドピンを植設するようにしている。このようにトレッド部に埋め込まれたスタッドピンによって、スタッドタイヤの性能が発揮されるが、スタッドピンが脱落すると氷雪上性能の低下が顕著になるので、そのピン抜けに対する対策が重要な課題になっている。ピン抜け対策として、ダブルフランジタイプのスタッドピンが使用されることが多い(例えば、特許文献1参照)。
近年、市場の安全意識の高まりに伴い、スタッドタイヤにおいても氷雪上性能やウェット性能に対する要求がより高度のものになってきている。このため、スタッドピンが脱落するのを抑制すること、すなわちスタッドピンの保持能力を従来レベル以上に向上することが求められている。
特開2010−70052号公報
本発明の目的は、スタッドピンの保持能力を高くして、氷雪上性能およびウェット性能を従来レベル以上に向上するようにしたタイヤ用ゴム組成物を提供することにある。
上記目的を達成する本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部に窒素吸着比表面積が50〜120m2/gであるカーボンブラックを5〜35質量部、CTAB比表面積が80〜190m2/gであるシリカを40〜100質量部配合し、前記カーボンブラックおよびシリカを含むフィラーの合計100質量%中、前記シリカが70質量%以上であり、前記ゴム成分の平均ガラス転移温度が−71℃以下であり、−20℃におけるゴム硬度をHcM20とし、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとするとき、以下の関係式(1)を満たすことを特徴とする。
9.0<HcM20/Sc<10.5 ・・・(1)
(式中、HcM20はタイヤ用ゴム組成物の−20℃におけるゴム硬度、Scはタイヤ用ゴム組成物23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムからなる、平均ガラス転移温度が−71℃以下であるゴム成分に、特定のカーボンブラックおよびシリカを配合し、シリカの比率を70質量%以上にし、そのゴム組成物の−20℃におけるゴム硬度をHcM20とし、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとするとき、これらの比HcM20/Scが9.0を超え10.5未満にしたので、スタッドピンの保持能力をより高くして、スタッドタイヤの氷雪上性能およびウェット性能を従来レベル以上に優れたものにすることができる。
このタイヤ用ゴム組成物は、前記ゴム成分100質量部に、軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂を2〜20質量部配合することができる。芳香族変性テルペン樹脂を配合することによりウェット性能をより優れたものにすることができる。
更に前記ゴム成分100質量部に、液状ポリマーを5〜30質量部配合することができる。液状ポリマーを配合することにより低温状態のゴム硬度をよりしなやかにし、氷雪上性能をより優れたものにすることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッド部、とりわけスタッドタイヤのトレッド部を好適に形成することができる。このスタッドタイヤは、スタッドピンの保持能力をより高くし、かつ氷雪上性能およびウェット性能をより一層優れたものにすることができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物を適用するスタッドタイヤの実施形態の一例において、トレッド部に植設したスタッドピンを拡大し模式的に示す断面図である。
スタッドタイヤは、そのトレッド部にスタッドピン用の植え込み穴を有し、この植え込み穴にスタッドピンが植設される。スタッドピンの植設は、植え込み穴を拡張した状態でその内にスタッドピンを挿入した後、植え込み穴の拡張を解除することで行われる。トレッド部の構成は、特に制限されるものではないが、アンダートレッドの外周にキャップトレッドが積層された構成を好ましく挙げることができる。
図1は、スタッドピン4をトレッド部1の植え込み穴に植設した状態を模式的に示す断面図である。トレッド部1はアンダートレッド3の外周側(タイヤ径方向外側)にキャップトレッド2が積層されている。なお図示の例はスタッドピンとして、ダブルフランジタイプのスタッドピンを記載しているが、本発明のスタッドタイヤは、シングルフランジタイプのスタッドピンを使用することもできる。
図1に例示するように、トレッド部1に植設されたにスタッドピン4は、円柱状の胴部、踏面側フランジ部、底側フランジ部およびチップ部により構成されている。踏面側フランジ部は胴部よりも径が大きくなるように、胴部の踏面側(タイヤ径方向外側)に形成されている。チップ部は踏面側フランジ部からピン軸方向に突き出すように、他の構成部材よりも硬質な材料で成形されている。底側フランジ部は、胴部よりも径が大きくなるように、胴部の底側(タイヤ径方向内側)に形成されている。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、空気入りタイヤのトレッド部、とりわけスタッドタイヤのトレッド部を構成するのに好適である。トレッド部1として、キャップトレッド2、アンダートレッド3のいずれにも使用することができるが、キャップトレッド2を好適に構成することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分として天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含む。これら3種類のゴム成分を含むことにより、スタッドピンの保持能力を高くし、かつ氷雪上性能およびウェット性能を維持、向上することができる。
ゴム成分100質量%中、天然ゴムは、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは45〜75質量%であるとよい。天然ゴムの含有量をこのような範囲内にすることにより、ゴム組成物の引張り破断強度を向上することができる。
ゴム成分100質量%中、スチレンブタジエンゴム、およびブタジエンゴムの合計は、好ましくは15〜65質量%、より好ましくは25〜55質量%であるとよい。またスチレンブタジエンゴムの含有量WSBRおよびブタジエンゴムの含有量WBRの比WSBR/WBRは、好ましくは2/8〜6/4、より好ましくは3/7〜5/5であるとよい。スチレンブタジエンゴムおよびブタジエンゴムの含有量の比WSBR/WBRが、2/8より小さいと、スタッドピンの保持能力およびウェット性能が低下する。また含有量の比WSBR/WBRが、6/4を超えると、氷雪上性能が低下する。
本発明では、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムからなるゴム成分の平均ガラス転移温度(Tg)を−71℃以下、好ましくは−100℃〜−71℃、より好ましくは−90℃〜−71℃にする。ゴム成分のガラス転移温度(Tg)を−71℃以下にすることにより、スタッドタイヤのトレッド部における低温状態での柔軟性を確保し、氷雪上性能およびウェット性能を高くすることができる。
本明細書において、ゴム成分のガラス転移温度(Tg)は、構成するゴム成分のガラス転移温度に各ゴム成分の質量分率を乗じた合計(ガラス転移温度の質量平均値)である。なお、すべてのゴム成分の質量分率の合計を1とする。また各ゴム成分のガラス転移温度(Tg)は、油展成分(オイル)を含まない状態におけるゴム成分のガラス転移温度とする。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、転移域の中点の温度とする。
トレッド部を構成するゴム組成物は、上述したゴム成分100質量部に対し、窒素吸着比表面積が50〜120m2/gであるカーボンブラックを5〜35質量部、CTAB比表面積が80〜190m2/gであるシリカを40〜100質量部配合し、カーボンブラックおよびシリカを含むフィラーの合計100質量%中、シリカが70質量%以上を占めるものとする。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積は50〜120m2/g、好ましくは70〜110m2/gである。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が50m2/g未満であると、耐ピン抜け性が悪化する。またカーボンブラックの窒素吸着比表面積が120m2/gを超えると、ゴム組成物の発熱性が悪化する。本明細書において、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217−2に基づいて測定するものとする。
カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対し5〜35質量部、好ましくは5〜30質量部である。カーボンブラックの配合量が5質量部未満であると、ゴム組成物が所望の黒系色を得ることができない。またカーボンブラックの配合量が35質量部を超えると、ゴム組成物の発熱性が悪化する。
シリカのCTAB比表面積は80〜190m2/g、好ましくは100〜180m2/gである。シリカのCTAB比表面積が80m2/g未満であると、ウェット性能が悪化する。またシリカのCTAB比表面積が190m2/gを超えると、ゴム組成物の発熱性が悪化する。本明細書において、シリカのCTAB比表面積は、JIS K6217−3に基づいて測定するものとする。
シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対し40〜100質量部、好ましくは45〜95質量部である。シリカの配合量が40質量部未満であると、ゴム組成物のゴム硬度が低下する。またシリカの配合量が100質量部を超えると、ゴム組成物の押出加工性が悪化する。
本発明において、カーボンブラックおよびシリカを含むフィラーの合計100質量%中、シリカの含有量が70質量%以上、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは72〜93質量%、さらに好ましくは74〜90質量%である。フィラー合計100質量%中のシリカの含有量が70質量%未満であると、ゴム組成物の発熱性が悪化する虞がある。
タイヤ用ゴム組成物には、シランカップリング剤を配合することができる。シランカップリング剤を配合することにより、ゴム成分に対するシリカの分散性を向上しゴムとの補強性を高めることができる。
シランカップリング剤の配合量は、シリカの配合量に対し好ましくは3〜15質量%を配合すると良く、より好ましくは5〜10質量%を配合すると良い。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の3質量%未満であるとシリカの分散を十分に改良することができない。シランカップリング剤の配合量がシリカ配合量の15質量%を超えると所望の硬度、強度や、耐摩耗性を得ることができない。
シランカップリング剤の種類は、シリカ配合のゴム組成物に使用可能なものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジサルファイド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラサルファイド、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン等の硫黄含有シランカップリング剤を例示することができる。
タイヤ用ゴム組成物には、本発明の課題を達成するのを損なわない範囲で、カーボンブラック、シリカ以外の他のフィラーを配合することができる。他のフィラーとしては、例えばクレー、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等が例示される。
本発明において、タイヤ用ゴム組成物の−20℃におけるゴム硬度をHcM20とし、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとするとき、以下の関係式(1)を満たすものとする。
9.0<HcM20/Sc<10.5 ・・・(1)
(式中、HcM20はタイヤ用ゴム組成物の−20℃におけるゴム硬度、Scはタイヤ用ゴム組成物23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
23℃における300%伸長時の引張応力Scに対する−20℃におけるゴム硬度HcM20の比HcM20/Scが9以下であると、氷雪上性能が低下する。また比HcM20/Scが10.5以上であると、耐ピン抜け性が悪化する。比HcM20/Scは好ましくは9.3〜10.3、より好ましくは9.5〜10.0であるとよい。
タイヤ用ゴム組成物の−20℃におけるゴム硬度HcM20は、上述した関係式(1)を満たす限り、特に制限されるものではないが、好ましくは48〜65、より好ましくは51〜62であるとよい。ゴム硬度HcM20が、このような範囲内であることにより、氷雪上性能とドライ性能を高いレベルで兼備することができる。本明細書において、ゴム硬度HuM20は、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより−20℃で測定するゴムの硬さをいう。
タイヤ用ゴム組成物の23℃における300%伸長時の引張応力Scは、上述した関係式(1)を満たす限り、特に制限されるものではないが、好ましくは5.0〜8.0MPa、より好ましくは5.5〜7.5MPaであるとよい。引張応力Scが、このような範囲内であることにより、耐ピン抜け性を確保しながら氷雪上性能を優れたものにすることができる。本明細書において、23℃における300%伸長時の引張応力Scは、JIS K6251に準拠し、23℃、500mm/分で引張り試験を行ったとき、300%変形時の引張応力をいう。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂を配合することにより、ウェット性能をより向上することができ、好ましい。これは芳香族変性テルペン樹脂が、シリカ、カーボンブラック等のフィラーの分散性を良好にすると共に、フィラーとゴム成分との相溶性を改良するためと考えられる。
芳香族変性テルペン樹脂としては、その軟化点が好ましくは60〜150℃、好ましくは80〜130℃である芳香族変性テルペン樹脂がよい。芳香族変性テルペン樹脂の軟化点が60℃未満であると、ウェット性能を改良する効果が十分に得られない虞がある。また軟化点が150℃を超えると、混合中に溶け残ることが懸念される。本明細書において、芳香族変性テルペン樹脂の軟化点は、JIS K6220−1(環球法)に基づき測定するものとする。
芳香族変性テルペン樹脂として、α−ピネン、β−ピネン、ジペンテン、リモネンなどのテルペンとスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンのうち少なくとも一つの芳香族化合物とを重合させて得られる芳香族変性テルペン樹脂が好ましく挙げられる。
芳香族変性テルペン樹脂は、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは2〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部配合するとよい。芳香族変性テルペン樹脂が2質量部未満であると、ウェット性能を改良する効果が十分に得られない虞がある。また芳香族変性テルペン樹脂が20質量部を超えると、氷雪上性能が悪化する虞がある。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、液状ポリマーを含むことが好ましく、低温状態のゴム硬度をよりしなやかにし、氷雪上性能をより優れたものにすることができる。液状ポリマーとして、例えば、液状ポリブテン、液状ポリイソブテン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、液状ポリα−オレフィン、液状イソブチレン、液状エチレンα−オレフィン共重合体、液状エチレンプロピレン共重合体、液状エチレンブチレン共重合体等が挙げられる。また液状ポリマーは、上述した液状ポリマー各種変性物(マレイン酸変性、末端イソシアネート変性、エポキシ変性等)であってもよい。
液状ポリマーは、ゴム成分100質量部に対し、好ましくは3〜30質量部、より好ましくは5〜25質量部配合するとよい。液状ポリマーが3質量部未満であると、氷雪上性能を改良する効果が十分に得られない虞がある。また液状ポリマーが30質量部を超えると、引張り破断強度が悪化する虞がある。
タイヤ用ゴム組成物には、加硫又は架橋剤、加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、熱硬化性樹脂などのタイヤ用ゴム組成物に一般的に使用される各種配合剤を配合することができる。このような配合剤は一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの配合剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量にすることができる。タイヤ用ゴム組成物は、通常のゴム用混練機械、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等を使用して、上記各成分を混練、混合することによって製造することができる。調製されたゴム組成物を通常の方法により、スタッドタイヤのトレッド部に使用して加硫成形することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、スタッドタイヤのトレッド部を好適に形成することができる。このタイヤ用ゴム組成物からなるスタッドタイヤは、スタッドピンの保持能力をより高くすると共に、氷雪上性能およびウェット性能を従来レベル以上に優れたものにすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
表3に示す配合剤を共通配合とし、表1,2に示す配合からなる16種類のゴム組成物(実施例1〜8、標準例、比較例1〜7)を、硫黄、加硫促進剤除く成分を1.8Lの密閉型ミキサーで5分間混練し放出・冷却し、これに硫黄、加硫促進剤を加えてオープンロールで混合することによりゴム組成物を調製した。なお表3に記載した配合剤の配合量は、表1,2に記載したゴム成分100質量部に対する質量部で示した。
得られた16種類のゴム組成物を所定の金型中で、170℃で10分間プレス加硫してタイヤ用ゴム組成物からなる試験片を作製した。得られた試験片の−20℃のゴム硬度(HcM20)、23℃の300%伸長時の引張応力(Sc(MPa))、および発熱性(60℃のtanδ)を下記に示す方法により測定した。
−20℃のゴム硬度
試験片のゴム硬度を、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度−20℃で測定した。得られた結果は、表1,2の「ゴム硬度 HcM20」の欄に示した。
23℃の300%伸長時の引張応力
得られた試験片から、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片を切り出した。JIS K6251に準拠し23℃、500mm/分の引張試験を行い、300%変形時の引張応力(Sc(MPa))を測定した。得られた結果は、表1,2の「300%応力 Su」の欄に示した。
発熱性(60℃のtanδ)
得られた試験片の動的粘弾性を、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzで測定し、温度60℃におけるtanδを算出した。得られた結果は、標準例の値を100とする指数で表わし表1,2の「発熱性」の欄に示した。この指数が小さいほど発熱性が小さくタイヤにしたときの燃費性能が優れることを意味する。
また得られた16種類のタイヤ用ゴム組成物をキャップトレッドに使用したスタッドタイヤを加硫成形し、トレッド部の植え込み穴にスタッドピンを植設した。得られたスタッドタイヤを2000ccクラスのFF車両に装着し、以下の方法により耐ピン抜け性、ウェット制動性および氷雪上制動性を評価した。
耐ピン抜け性
スタッドタイヤを装着した車両を、アスファルト路面およびコンクリート路面を含む乾燥路面を20,000km走行させた。走行後に空気入りタイヤのトレッドから抜け落ちたスタッドピンの数を数えた。得られた結果は、抜け落ちたスタッドピンの数の逆数を算出し、標準例の値を100とする指数として表1,2の「耐ピン抜け性」の欄に示した。この指数が大きいほど、抜け落ちたスタッドピンの数が少なく、耐ピン抜け性が優れることを意味する。
ウェット制動性
スタッドタイヤを装着した車両を、水を張った路面を走行させ初速30km/時から制動をかけ完全停止するまでの制動距離を測定した。得られた結果は、制動距離の逆数を算出し、標準例の値を100とする指数として表1,2の「ウェット制動性」の欄に示した。この指数が大きいほど、ウェット走行時の制動距離が短くウェット性能が優れることを意味する。
氷雪上制動性
スタッドタイヤを装着した車両を、氷盤路を走行させ初速30km/時から制動をかけ完全停止するまでの制動距離を測定した。得られた結果は、制動距離の逆数を算出し、標準例の値を100とする指数として表1,2の「氷雪上制動性」の欄に示した。この指数が大きいほど、氷雪路走行時の制動距離が短く氷雪上性能が優れることを意味する。
Figure 0006508253
Figure 0006508253
なお、表1,2において使用した原材料の種類を下記に示す。
・NR:天然ゴム、BON BUNDIT製STR20、ガラス転移温度が−65℃
・BR:ブタジエンゴム、日本合成ゴム社製Nipol BR1220、ガラス転移温度が−110℃
・SBR:スチレンブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol 1502、ガラス転移温度が−54℃
・CB−1:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN339、窒素吸着比表面積が93m2/g
・CB−2:カーボンブラック、東海カーボン社製シースト9、窒素吸着比表面積が142m2/g
・CB−3:カーボンブラック、キャボットジャパン社製ショウブラックN550、窒素吸着比表面積が43m2/g
・シリカ−1:シリカ、Solvay社製ZEOSIL 1165MP、CTAB比表面積が156m2/g
・シリカ−2:シリカ、Solvay社製ZEOSIL Premium 200MP、CTAB比表面積が197m2/g
・カップリング剤:シランカップリング剤、Evonik社製Si69
・芳香族変性テルペン樹脂:ヤスハラケミカル社製YSレジンTO−125、軟化温度が125℃
・液状ポリマー:液状ポリブタジエン、CRAY VAREY社製Ricon130
・プロセルオイル:昭和シェル石油社製エクストラクト4号S
・加硫促進剤1:大内新興化学社製ノクセラーCZ−G
・加硫促進剤2:住友化学社製ソクシールD−G
Figure 0006508253
表3において使用した原材料の種類を下記に示す。
・ステアリン酸:日進理化社製ステアリン酸50S
・酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
・硫黄:細井化学工業社製油処理イオウ
表1,2から明らかなように実施例1〜8のスタッドタイヤは、スタッドピンの保持能力が高く、たウェット性能および氷雪上性能に優れることが確認された。
表1から明らかなように比較例1のゴム組成物は、スチレンブタジエンゴムを含有しないので、耐ピン抜け性およびウェット性能が劣る。
比較例2のゴム組成物は、ブタジエンゴムを含有しないので、氷雪上性能が劣る。
表2から明らかなように比較例3のゴム組成物は、シリカ−2のCTAB比表面積が190m2/gを超えるので、耐ピン抜け性が劣る。
比較例4のゴム組成物は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積が120m2/gを超えるので、発熱性が大きく、耐ピン抜け性が劣る。
比較例5のゴム組成物は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積が50m2/g未満なので、耐ピン抜け性が劣る。
比較例6のゴム組成物は、加硫促進剤の増量に伴い、23℃の300%伸長時の引張応力が過大になり、比HcM20/Scが9.0以下なので、氷雪上性能が劣る。
比較例7のゴム組成物は、加硫促進剤の減量に伴い、23℃の300%伸長時の引張応力が過小になり、比HcM20/Scが10.5以上なので、耐ピン抜け性が劣る。
1 トレッド部
2 キャップトレッド
3 アンダートレッド
4 スタッドピン

Claims (5)

  1. 天然ゴム、ブタジエンゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分100質量部に窒素吸着比表面積が50〜120m2/gであるカーボンブラックを5〜35質量部、CTAB比表面積が80〜190m2/gであるシリカを40〜100質量部配合し、前記カーボンブラックおよびシリカを含むフィラーの合計100質量%中、前記シリカが70質量%以上であり、前記ゴム成分の平均ガラス転移温度が−71℃以下であり、−20℃におけるゴム硬度をHcM20とし、23℃における300%伸長時の引張応力(MPa)をScとするとき、以下の関係式(1);
    9.0<HcM20/Sc<10.5 ・・・(1)
    (式中、HcM20はタイヤ用ゴム組成物の−20℃におけるゴム硬度、Scはタイヤ用ゴム組成物23℃の300%伸長時の引張応力(MPa)を表す。)
    を満たすことを特徴とするタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分100質量%中、前記スチレンブタジエンゴムの含有量をW SBR 、前記ブタジエンゴムの含有量をW BR とするとき、W SBR およびW BR の合計が15〜65質量%、これらの比W SBR /W BR が2/8〜6/4であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分100質量部に、軟化点が60〜150℃の芳香族変性テルペン樹脂を2〜20質量部配合してなることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 更に前記ゴム成分100質量部に、液状ポリマーを5〜30質量部配合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物を含むトレッド部を有することを特徴とするスタッドタイヤ。
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