JP7300107B2 - 車両のフロア構造 - Google Patents

Description

本開示は、車両のフロア構造に関する。

特許文献１には、リヤフロアパネルにシートバック支持ブラケット及びベルトアンカ取付部を取り付けたリヤフロア構造が記載されている。シートバック支持ブラケットは、リヤフロアパネルの荷室フロア上に面接する固定プレートを有しており、固定プレートの車幅方向外側端にはヒンジプレートが立設されている。ヒンジプレートには、シートバックを取り付け支持する支持穴が設けられ、固定プレートの前部には、ベルトアンカ取付部に連結固定される連結プレートが設けられている。

特開２００１－３２８５６９号公報

特許文献１の構造では、フロアパネルの上面に重ねられて固定されるシートバック支持ブラケットに、シート（シートバック）を固定するためのシート固定部とシートベルトアンカを固定するためのアンカ固定部とを設けているので、シート固定部とアンカ固定部とを別部材に設ける場合に比べて部品点数を削減することができる。

しかし、シート固定部やアンカ固定部へ入力した荷重は、フロアパネルのうちシートバック支持ブラケットの周辺部位に集中して作用するため、フロアパネルが大きく変形する可能性がある。

そこで本開示は、部品点数の増大を抑えつつ、シート固定部やアンカ固定部への荷重入力によるフロアパネルの変形を抑制することを目的とする。

上記目的を達成すべく、本発明の第１の態様は、シート側に設けられるシート側取付部とシートベルトアンカ側に設けられるアンカ側取付部とを車室内にそれぞれ取付けるための車両のフロア構造であって、フロアパネルとフロアアンダフレームとレインフォースとを備える。フロアパネルは、シート側取付部が車室側から重なるシート被取付部と、アンカ側取付部が車室側から重なるアンカ被取付部とを有し、車室の床を形成する。フロアアンダフレームは、フロアパネルの裏面にフロアパネルの骨格として固定される。

レインフォースは、シート被取付部に反車室側から重なるシート固定部とアンカ被取付部に反車室側から重なるアンカ固定部とを有し、フロアパネルの裏面に固定される。シート側取付部とアンカ側取付部とは、シート固定部とアンカ固定部とに対してそれぞれ固定される。レインフォースは、フロアアンダフレームに結合される。

上記構成では、１つのレインフォースにシート固定部とアンカ固定部とを設けているので、シート固定部とアンカ固定部とを別部材に設ける場合に比べて部品点数を削減することができる。

また、レインフォースをフロアパネルに固定するとともにフロアアンダフレームに結合しているので、車両衝突時等において、シートやシートベルトからレインフォースのシート固定部やアンカ固定部へ入力した荷重は、フロアパネルとフロアアンダフレームとに分散して作用する。このため、フロアパネルのうちレインフォースの周辺部位への荷重の集中を緩和することができ、シート固定部やアンカ固定部への荷重入力によるフロアパネルの変形を抑制することができる。

本発明の第２の態様は、第１の態様のフロア構造であって、シート被取付部とアンカ被取付部とは、シート前後方向の位置が略等しくなるようにシート幅方向に離間して配置される。フロアアンダフレームは、シート被取付部及びアンカ被取付部のシート幅方向一側でシート前後方向に延びる。レインフォースは、シート固定部及びアンカ固定部からシート幅方向一側へ延びてフロアアンダフレームに結合される。

上記構成では、シート固定部とアンカ固定部とをシート前後方向の位置が略等しくなるように配置することができるので、レインフォースのシート前後方向の幅を短く設定することができ、レインフォースの小型化が可能となる。

本開示によれば、部品点数の増大を抑えつつ、シート固定部やアンカ固定部への荷重入力によるフロアパネルの変形を抑制することができる。

本発明の一実施形態に係るフロア構造を上方から視た斜視図である。 図１のフロア構造を下方から視た斜視図である。 図１のフロア構造の要部をフロアパネルを透過して上方から視た斜視図である。 図３のIV－IV矢視断面図である。 図４のＶ－Ｖ矢視断面図である。 図４のVI－VI矢視断面図である。

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における前後方向（シート前後方向）は、シート１の着座者が向く方向を前方とした場合の前後方向を意味し、左右方向（シート幅方向）は、シート１の着座者の左右方向を意味する。また、本実施形態のシート１は、シート前後方向が車両前後方向と略一致し、シート幅方向が車幅方向と略一致するように車体側に支持される。また、図中の矢印ＦＲは前方を、矢印Ｒは右側を、矢印ＵＰは上方をそれぞれ表す。

図１に示すように、車室２の床を形成するフロアパネル３は、略水平面状のフロア上面部４と、フロア上面部４の左右の端縁から下方へ曲折して延びる左右（図１では右側を図示）のフロア側面部５とを一体的に有し、フロア上面部４の上面（車室２側の表面）には、シートフレーム６を介してシート１が支持される。シートフレーム６の下部には、前後方向に延びてフロア上面部４に車室２側から重なる板状のシートフレームブラケット７が設けられる。シート１は、シートフレームブラケット７を前後に離間する複数箇所でフロア上面部４に固定することによりフロアパネル３に固定される。本実施形態のシートフレームブラケット７は、前側のシートブラケット前部７Ｆと後側のシートブラケット後部（シート側取付部）７Ｒの前後２箇所で、ボルト４０，４１によってシート上面部４に締結固定され、フロア上面部４のうちシートブラケット後部７Ｒが重なる領域は、シート被取付部１０を構成する。なお、シートフレーム６は、シート１をフロアパネル３に対して前後方向にスライド可能に支持してもよい。

フロア側面部５の外面（車室２側の表面）には、アンカブラケット８が車室２側から重ねられて取付けられる。アンカブラケット８は、下側のアンカブラケット一端部（アンカ側取付部）８Ａと上側のアンカブラケット他端部８Ｂとを一体的に有する。アンカブラケット一端部８Ａは、ボルト４２によってフロア側面部５に締結固定され、アンカブラケット他端部８Ｂには、シートベルト（図示省略）のバックル９が取付けられる。フロア側面部５のうちアンカブラケット一端部８Ａが重なる領域は、アンカ被取付部１１を構成する。なお、フロア側面部５の外面には、アンカブラケット８の前後に配置され、ボルト４２を中心としたアンカブラケット８の回転を阻止する回り止め用のストッパ１２が溶着される。

フロア上面部４のシート被取付部１０とフロア側面部５のアンカ被取付部１１とは、前後方向の位置が略等しくなるように左右に離間して配置される。

図２～図４に示すように、フロア上面部４の下面（反車室側の裏面）には、ハット状断面のフロアアンダフレーム１３が、フロアパネル３の骨格として溶接等によって固定される。フロアアンダフレーム１３は、シート被取付部１０及びアンカ被取付部１１の左側で前後方向に延び、フロア上面部４との間で閉断面を形成する。

図２～図６に示すように、フロアパネル３の反車室側の裏面（フロア上面部４の下面及びフロア側面部５の内面）には、フロアパネル３のシート被取付部１０及びアンカ被取付部１１を補強するためのレインフォース１４が固定される。レインフォース１４は、フロア上面部４の裏面に配置されるレインフォース上部１５と、アンカ被取付部１１の裏面に沿って配置されるレインフォース下部１６とから構成され、レインフォース上部１５の右端部にレインフォース下部１６の上端部を溶接等によって接合することにより両者が一体化される。なお、レインフォース上部１５とレインフォース下部１６とを一体形成してもよい。

レインフォース上部１５は、フロア上面部４の裏面に反車室側から重なる矩形状の上ベース板部１７と、上ベース板部１７の左端縁から左斜め下方へ傾斜して延びる左傾斜板部１８と、左傾斜板部１８の左端縁から曲折して左側へ延びる左接合板部１９と、上ベース板部１７の右端縁から下方へ延びる右接合板部２０と、上ベース板部１７の前端縁及び後端縁から下方へ延びて相対向する上前板部２１及び上後板部２２と、上前板部２１及び上後板部２２の各下端縁から前方及び下方へ曲折する前後の下端縁板部２３と、上前板部２１の右端縁と上後板部２２の右端縁とから曲折して前後に延びる前後の上フランジ部３２と、上ベース板部１７の上面に固定されてフロア上面部４のシート被取付部１０と上ベース板部１７との間に挟まれるシート固定板部（シート固定部）２４とを有する。左傾斜板部１８の前後の端縁と上前板部２１及び上後板部２２の各左端縁とは、曲折又は接合によって連続し、右接合板部２０の前後の端縁と上前板部２１及び上後板部２２の各右端縁とは、曲折又は接合によって連続する。

レインフォース下部１６は、フロア側面部５の裏面から左側へ離間してフロア側面部５に対向する矩形状の下ベース板部２５と、下ベース板部２５の前端縁及び後端縁から右側へ（フロア側面部５に向かって）曲折して延びる下前板部２６及び下後板部２７と、下前板部２６及び下後板部２７の右端縁から前方及び後方へ曲折して延びてフロア側面部５の裏面に重なる前後の下フランジ部２８と、下ベース板部２５の上部とフロア側面部５との間に配置される内補強部２９とを有する。

下ベース板部２５と下前板部２６と下後板部２７と前後の下フランジ部２８とは、ハット状断面を形成し、下ベース板部２５と下前板部２６と下後板部２７の上端部は、レインフォース上部１５の上前板部２１の右端部と上後板部２２の右端部との間に挿入される。下ベース板部２５の上端部は、レインフォース上部１５の右接合板部２０に右側から重なり、右接合板部２０に溶接等によって接合される。下前板部２６及び下後板部２７は、上前板部２１及び上後板部２２に溶接等によって接合される。前後の下フランジ部２８の上端部は、レインフォース上部１５の前後の上フランジ部３２とフロア側面部５との間に挟まれ、これら下フランジ部２８と上フランジ部３２とフロア側面部５とが接合され固定される。これらを含む複数箇所での接合によって、レインフォース上部１５とレインフォース下部１６とが一体化する。

内補強部２９は、フロア側面部５のアンカ被取付部１１の裏面に重なるアンカ固定板部（アンカ固定部）３０と、アンカ固定板部３０の前後の端縁から左側へ曲折して延びる前後の側板部３１とを一体的に有するＵ状断面であり、下前板部２６及び下後板部２７との間に配置される。前後の側板部３１は、下前板部２６及び下後板部２７に溶接等により固定される。

レインフォース上部１５は、上ベース板部１７の周縁部がフロア上面部４の裏面に溶接等によって接合されることにより、フロアパネル３に固定される。レインフォース上部１５の左傾斜板部１８と左接合板部１９とは、フロアアンダフレーム１３の右側板部の外面と下板部の外面（下面）とにそれぞれ重なり、左接合板部１９は、溶接等によってフロアアンダフレーム１３に固定される。レインフォース下部１６は、前後の下フランジ部２８がフロア側面部４の裏面に溶接等によって接合されることにより、フロアパネル３に固定される。

シートブラケット後部７Ｒと、フロア上面部４のシート被取付部１０と、レインフォース上部１５のシート固定板部２４及び上ベース板部１７とには、これらを上下に貫通するボルト挿通孔４５が形成され、ボルト挿通孔４５にボルト４１を挿通し、ナット４３を螺合して締付けることにより、シートブラケット７が締結固定される（図５参照）。

アンカブラケット一端部８Ａと、フロア側面部５のアンカ被取付部１１と、レインフォース下部１６のアンカ固定板部３０及び下ベース板部２５とには、これらを上下に貫通するボルト挿通孔４６が形成され、ボルト挿通孔４６にボルト４２を挿通し、ナット４４を螺合して締付けることにより、アンカブラケット８が締結固定される（図６参照）。

このように、レインフォース１４は、シート被取付部１０に反車室側から重なるシート固定板部２４と、アンカ被取付部１１に反車室側から重なるアンカ固定板部３０とを有し、シート固定板部２４のボルト挿通孔４５とアンカ固定板部３０のボルト挿通孔４６とは、前後方向の位置が略等しくなるように配置される。シートブラケット後部７Ｒとアンカブラケット一端部８Ａとは、シート固定板部２４とアンカ固定板部３０とに対してそれぞれ固定され、レインフォース１４は、アンカ固定板部３０よりも左側のシート固定板部２４からさらに左側へ延びてフロアアンダフレーム１３に結合される。

本実施形態によれば、１つのレインフォース１４にシート固定板部２４とアンカ固定板部３０とを設けているので、シート固定板部２４とアンカ固定板部３０とを別部材に設ける場合に比べて部品点数を削減することができる。

また、レインフォース１４をフロアパネル３に固定するとともにフロアアンダフレーム１３に結合しているので、車両衝突時等において、シートやシートベルトからレインフォース１４のシート固定板部２４やアンカ固定板部３０へ入力した荷重は、フロアパネル３とフロアアンダフレーム１３とに分散して作用する。このため、フロアパネル３のうちレインフォース１４の周辺部位への荷重の集中を緩和することができ、シート固定板部２４やアンカ固定板部３０への荷重入力によるフロアパネル３の変形を抑制することができる。

また、シート固定板部２４とアンカ固定板部３０とを前後方向の位置が略等しくなるように配置しているので、レインフォース１４の前後方向の幅を短く設定することができ、レインフォース１４の小型化が可能となる。

以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。

例えば、本実施形態では、フロア上面部４にシート被取付部１０を、フロア側面部４にアンカ被取付部１１を設ける例を説明したが、シート被取付部１０とアンカ被取付部１１とを同一の面部（例えばフロア上面部４）に設けてもよい。

本発明のフロア構造は、様々な車両に適用可能である。

１：シート
２：車室
３：フロアパネル
４：フロア上面部
５：フロア下面部
６：シートフレーム
７：シートフレームブラケット
７Ｆ：シートブラケット前部
７Ｒ：シートブラケット後部（シート側取付部）
８：アンカブラケット
８Ａ：アンカブラケット一端部（アンカ側取付部）
８Ｂ：アンカブラケット他端部
１０：シート被取付部
１１：アンカ被取付部
１２：ストッパ
１３：フロアアンダフレーム
１４：レインフォース
１５：レインフォース上部
１６：レインフォース下部
１７：上ベース板部
１８：左傾斜板部
１９：左接合板部
２０：右接合板部
２１：上前板部
２２：上後板部
２３：下端縁板部
２４：シート固定板部（シート固定部）
２５：下ベース板部
２６：下前板部
２７：下後板部
２８：下フランジ部
２９：内補強部
３０：アンカ固定板部（アンカ固定部）
３１：側板部
３２：上フランジ部
４０，４１，４２：ボルト
４３，４４：ナット
４５，４６：ボルト挿通孔

Claims (1)

1. シート側に設けられるシート側取付部とシートベルトアンカ側に設けられるアンカ側取付部とを車室内にそれぞれ取付けるための車両のフロア構造であって、
   前記シート側取付部が車室側から重なるシート被取付部と、前記アンカ側取付部が車室側から重なるアンカ被取付部とを有し、前記車室の床を形成するフロアパネルと、
   前記フロアパネルの裏面に前記フロアパネルの骨格として固定されるフロアアンダフレームと、
   前記シート被取付部に反車室側から重なるシート固定部と前記アンカ被取付部に反車室側から重なるアンカ固定部とを有し、前記フロアパネルの前記裏面に固定されるレインフォースと、を備え、
   前記シート被取付部と前記アンカ被取付部とは、シート前後方向の位置が略等しくなるようにシート幅方向に離間して配置され、
   前記シート側取付部と前記アンカ側取付部とは、前記シート固定部と前記アンカ固定部とに対してそれぞれ固定され、
   前記フロアアンダフレームは、前記シート被取付部及び前記アンカ被取付部のシート幅方向一側でシート前後方向に延び、
   前記レインフォースは、前記シート固定部及び前記アンカ固定部からシート幅方向一側へ延びて前記フロアアンダフレームに結合される
   ことを特徴とする車両のフロア構造。

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