以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[実施形態1]
図1~図23Bを参照して、本発明の実施形態1に係るカメラモジュールについて説明する。以下、カメラモジュール1の概要について説明した後、カメラモジュール1が備えるプリズムモジュール2、レンズモジュール3、および撮像素子モジュール4の具体的構造について説明する。なお、本発明に係るカメラ用アクチュエータ、カメラモジュール、およびカメラ搭載装置は、後述する全ての構成を備えてもよいし、一部の構成を備えなくてもよい。
[カメラモジュール]
カメラモジュール1は、たとえばスマートフォンM(図27A、図27B参照)、携帯電話機、デジタルカメラ、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、車載カメラなどの薄型のカメラ搭載装置に搭載される。
以下、本実施形態のカメラモジュール1を構成する各部については、カメラモジュール1に組み込まれた状態を基準として説明する。また、本実施形態のカメラモジュール1の構造を説明するにあたり、直交座標系(X,Y,Z)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。
カメラモジュール1は、カメラ搭載装置で実際に撮影が行われる場合に、たとえばX方向が左右方向、Y方向が上下方向、Z方向が前後方向となるように搭載される。被写体からの光は、図2に一点鎖線α(第一光軸ともいう。)で示されるように、Z方向+側(プラス側)からプリズムモジュール2のプリズム23に入射する。プリズム23に入射した光は、図2および図9Cに一点鎖線β(第二光軸ともいう。)で示されるように、プリズム23の光路屈曲面231(図8参照)で屈曲して、プリズム23よりも後段(つまり、X方向+側)に配置されたレンズモジュール3のレンズ部33へと導光される。そして、レンズ部33(図9C参照)により結像された被写体像が、レンズモジュール3の後段に配置された撮像素子モジュール4(図1参照)により撮像される。
上述のカメラモジュール1は、プリズムモジュール2に組み込まれた第一振れ補正装置24(図2参照)、および、レンズモジュール3に組み込まれた第二振れ補正装置35(図11参照)により、振れ補正(OIS:Optical Image Stabilization)を行う。また、上述のカメラモジュール1は、レンズモジュール3に組み込まれたAF装置34(図11参照)によりレンズ部33をX方向に変位させて、オートフォーカスを行う。
以下、図1~図23Bを参照して、本実施形態のカメラモジュール1が備える、プリズムモジュール2、レンズモジュール3、および撮像素子モジュール4について説明する。
[プリズムモジュール]
図1~図8を参照してプリズムモジュール2について説明する。プリズムモジュール2は、第一カバー21、第一ベース22、プリズム23、および第一振れ補正装置24を備える。
[第一カバー]
第一カバー21は、図1に示すように、たとえば合成樹脂製または非磁性金属製であり、Z方向両側およびX方向+側が開口した箱状部材である。被写体側からの光は、第一カバー21のZ方向+側の開口部を通過して第一カバー21の内部空間に侵入可能である。以上のような第一カバー21は、後述する第一ベース22にZ方向+側から組み合わされている。
[第一ベース]
図5および図6を参照して第一ベース22について説明する。第一ベース22は、Z方向+側およびX方向+側がそれぞれ開口した箱状部材である。第一ベース22は、Z方向-側の底壁部229に、ベース側開口部220を有する。
本実施形態の場合、ベース側開口部220に、前側OISアクチュエータ244の第一コイル244cおよび第一ホール素子244eが配置されている。
第一ベース22は、第一振れ補正装置24のホルダ241を、Y方向に平行な第一軸を中心とした揺動を可能に支持している。このために、第一ベース22は、後述する揺動ガイド部材245を保持するための第一受部225cおよび第二受部225dを有する。
第一受部225cは、第一ベース22におけるY方向+側の第一側壁部224aに設けられている。一方、第二受部225dは、第一ベース22におけるY方向-側の第一側壁部224bに設けられている。
このような第一受部225cと第二受部225dとは、互いにY方向に対称な形状を有する。具体的には、第一受部225cおよび第二受部225dはそれぞれ、第一側壁部224aおよび第一側壁部224bのZ方向+側の端面(上面)にのみ開口する円柱状の凹部である。
第一側壁部224aは、上面のY方向内端縁と第一受部225cとの間に第一堰部224c1を有する。一方、第一側壁部224bは、上面のY方向内端縁と第二受部225dとの間に第一堰部224c2を有する。このような第一堰部224c1および第一堰部224c2はそれぞれ、第一受部225cおよび第二受部225dに、揺動ガイド部材245を固定する接着剤の、Y方向中央側への流出防止に寄与する。
第一側壁部224aは、上面における第一受部225cのY方向外側半部の一部を囲む部分に第二堰部224d1を有する。一方、第一側壁部224bは、上面における第二受部225dのY方向外側半部の一部を囲む部分に第二堰部224d2を有する。このような第二堰部224d1および第二堰部224d2はそれぞれ、第一受部225cおよび第二受部225dに、揺動ガイド部材245を固定する接着剤の、Y方向外側への流出防止に寄与する。
第一側壁部224aは、上面における第二堰部224d1よりもY方向外側部分に、バネ配置空間224e1、224e2を有する。本実施形態の場合、バネ配置空間224e1とバネ配置空間224e2とは、X方向に離隔している。
一方、第一側壁部224bは、上面における第二堰部224d2よりもY方向外側部分に、バネ配置空間224f1、224f2を有する。バネ配置空間224f1とバネ配置空間224f2とは、X方向に離隔する。バネ配置空間224e1、224e2およびバネ配置空間224f1、224f2にはそれぞれ、後述する揺動支持バネ243(図7参照)の連続部243iの一部(具体的には基端側連続部243j1)が配置されている。
第一側壁部224aは、上面における第二堰部224d1よりもY方向外側部分に、X方向+側から順に3個の凸部224g1、224g2、224g3を有する。凸部224g1と凸部224g3とは、X方向において離隔し、かつ、Y方向において同位置に配置されている。凸部224g2は、Y方向において、凸部224g1および凸部224g3よりも外側(図6中の下側)に配置されている。
バネ配置空間224e1は、凸部224g1と凸部224g2との間に存在している。一方、バネ配置空間224e2は、凸部224g2と凸部224g3との間に存在している。
第一側壁部224bは、上面における第二堰部224d2よりもY方向外側部分に、X方向+側から順に3個の凸部224h1、224h2、224h3を有する。凸部224h1と凸部224h3とは、X方向に離隔し、かつ、Y方向において同位置に配置されている。凸部224h2は、凸部224h1および凸部224h3よりもY方向外側(図6中の上側)に配置されている。
バネ配置空間224f1は、凸部224h1と凸部224h2との間に設けられている。一方、バネ配置空間224f2は、凸部224h2と凸部224h3との間に設けられている。
第一側壁部224a、224bはそれぞれ、上面におけるX方向両端部に、第一位置決め凸部226および第二位置決め凸部227を有する。第一位置決め凸部226および第二位置決め凸部227はそれぞれ、後述する一対の揺動支持バネ243(図7参照)と係合して、一対の揺動支持バネ243を位置決めしている。
[第一振れ補正装置]
図4、図5、および図8を参照して第一振れ補正装置24について説明する。第一振れ補正装置24は、駆動部であって、Y方向に平行な第一軸を中心にプリズム23を揺動させて、当該第一軸を中心とした回転方向の振れ補正を行う。このような第一振れ補正装置24は、第一ベース22と第一カバー21とで覆われる第一収容空間223(図8参照)に配置されている。
第一振れ補正装置24は、一対の揺動ガイド部材245、一対の揺動支持バネ243、ホルダ241、および前側OISアクチュエータ244を備える。
第一振れ補正装置24において、ホルダ241は、第一ベース22に揺動可能に支持されている。この状態でホルダ241は、前側OISアクチュエータ244の駆動力に基づいて第一軸を中心に揺動する。制御部5(図17A参照)の制御下で前側OISアクチュエータ244が駆動すると、ホルダ241およびプリズム23が、Y方向に平行な第一軸を中心に揺動する。これにより、当該第一軸を中心とした回転方向の振れが補正される。以下、第一振れ補正装置24が備える各部材の具体的構造について説明する。
[揺動ガイド部材]
図5および図6を参照して一対の揺動ガイド部材245について説明する。一対の揺動ガイド部材245はそれぞれ、たとえば、セラミック製、金属製、合成樹脂製の球体である。一対の揺動ガイド部材245のうちの一方(つまり、Y方向+側)の揺動ガイド部材245は、第一ベース22の第一受部225cに配置されている。一方、他方(つまり、Y方向-側)の揺動ガイド部材245は、第一ベース22の第二受部225dに配置されている。
一対の揺動ガイド部材245はそれぞれ、第一受部225cおよび第二受部225dに接着剤により固定されている。この状態において、一対の揺動ガイド部材245のZ方向+側の半部は、揺動ガイド面として機能する。揺動ガイド面は、第一受部225cおよび第二受部225dよりもZ方向+側に突出している。
なお、揺動ガイド部材245は、球体に限らず、たとえば、半球体、円柱、または半円柱であってもよい。また、揺動ガイド部材245は、第一ベース22と一体でもよい。すなわち、揺動ガイド部材は、第一ベース22の一部により構成されてもよい。
[揺動支持バネ]
図7を参照して、一対の揺動支持バネ243について説明する。一対の揺動支持バネ243は、後述するホルダ241を、第一ベース22に対して揺動可能に支持している。一対の揺動支持バネ243はそれぞれ、金属製の板バネであって、一対の揺動ガイド部材245のZ方向+側に配置されている。
以下、一対の揺動支持バネ243のうち一方(つまり、Y方向+側)の揺動支持バネ243について説明する。他方(つまり、Y方向-側)の揺動支持バネ243は、一方の揺動支持バネ243とY方向に対称である。
一方の揺動支持バネ243は、一対の第一係止部243a、243b、第二係止部243c、捩じれ許容部243g、およびバネ側ガイド面243hを有する。
一対の第一係止部243a、243bのうち一方(つまり、X方向+側)の第一係止部243aは、一方の揺動支持バネ243におけるX方向+側の端部に配置されている。このような一方の第一係止部243aは、第一貫通孔243dを有する。
一方、他方(つまり、X方向-側)の第一係止部243bは、一方の揺動支持バネ243におけるX方向-側の端部に配置されている。このような他方の第一係止部243bは、第一貫通孔243eを有する。一対の第一係止部243a、243b同士は、X方向に延在した連続部243iにより接続されている。
連続部243iは、後述する捩じれ許容部243gよりもX方向+側に配置された連続部要素243j、および、捩じれ許容部243gよりもX方向-側に配置された連続部要素243kを有する。連続部要素243jは、捩じれ許容部243gと第一係止部243aとを接続している。一方、連続部要素243kは、捩じれ許容部243gと第一係止部243bとを接続している。
以下、連続部要素243jについて説明する。連続部要素243jは、基端側連続部243j1および蛇行連続部243j2を有する。基端側連続部243j1と蛇行連続部243j2とは、接続されている。
基端側連続部243j1は、連続部要素243jにおいて、捩じれ許容部243gに近い側の端部に設けられている。基端側連続部243j1の一端(捩じれ許容部243gに近い側の端部)は、捩じれ許容部243gに接続されている。
蛇行連続部243j2は、略S字状である。蛇行連続部243j2の一端(捩じれ許容部243gに近い側の端部)は、基端側連続部243j1に接続されている。蛇行連続部243j2の他端(捩じれ許容部243gから遠い側の端部)は、第一係止部243aに接続されている。連続部要素243kは、連続部要素243jとX方向に対称である。このため、連続部要素243kについては、連続部要素243jの構成部材と同一符号を付して、説明を省略する。
一対の第一係止部243a、243bのZ方向-側の面は、第一ベース22の第一側壁部224aにおけるZ方向+側の端面に接着固定されている。この状態で、第一貫通孔243d、243eには、それぞれ第一ベース22の第一位置決め凸部226および第二位置決め凸部227が挿通されている(図5参照)。
なお、他方(Y方向-側)の揺動支持バネ243の場合、一対の第一係止部243a、243bのZ方向-側の面は、第一ベース22の第一側壁部224bにおけるZ方向+側の端面に接着固定されている。
第二係止部243cは、第一係止部243a、243b同士のX方向における間部分に、X方向の隙間を介して設けられている。第二係止部243cは、一対の第二貫通孔243fを有する。
第二係止部243cのZ方向+側の面は、後述するホルダ241の張出し部241q、241rの裏面に形成されたバネ座面(不図示)に接着固定されている。この状態で、一対の第二貫通孔243fにはそれぞれ、ホルダ241の張出し部241q、241rの裏面に形成された一対のホルダ側位置決め凸部(不図示)が挿通されている。なお、他方(Y方向-側)の揺動支持バネ243の場合、第二係止部243cのZ方向+側の面は、ホルダ241の張出し部241q、241rの裏面に形成されたバネ座面(不図示)に接着固定されている。
捩じれ許容部243gは、Y方向に延在した板状部材であって、連続部243iのX方向中間部(具体的には、各基端側連続部243j1の一端)と、第二係止部243cとを接続している。このような捩じれ許容部243gは、捩じれることにより、第二係止部243cの、第一係止部243a、243bに対する捩じれを許容する。
また、捩じれ許容部243gは、弾性変形することにより、各第一係止部243a、243bと第二係止部243cとのZ方向の相対変位を許容する。
バネ側ガイド面243hは、第二係止部243cの裏面(つまり、Z方向-側の面)により構成されている。このようなバネ側ガイド面243hは、上述した揺動ガイド部材245の揺動ガイド面と当接している。
一対の揺動支持バネ243は、自由状態(非組付状態ともいう。)において、全体的に平坦な板状部材である。一方、組付状態において、一対の揺動支持バネ243は、捩じれ許容部243gの弾性変形に基づいて、第二係止部243cが第一係止部243a、243bよりもZ方向+側に配置される。
具体的には、組付状態において、捩じれ許容部243gが、第二係止部243cに向かうほどZ方向+側に向かうように弾性変形する。このような弾性変形に基づいて、一対の揺動支持バネ243のバネ側ガイド面243hは、揺動ガイド部材245をZ方向-側に付勢する。
以上のような一対の揺動支持バネ243の組付状態において、バネ配置空間224e1、224e2およびバネ配置空間224f1、224f2にはそれぞれ、一対の揺動支持バネ243の基端側連続部243j1が配置されている。さらに、バネ配置空間224e1、224e2およびバネ配置空間224f1、224f2には、基端側連続部243j1を覆うようにゲル状の制振部材27が配置されている(図5、図6、および図7参照)。
制振部材27は、一対の揺動支持バネ243の共振の抑制に効果的である。共振を抑制する観点から、制振部材27は、一対の揺動支持バネ243において使用時に最も大きく変形する部分の近くに設けるのが好ましい。使用時に最も大きく変形する部分は捩じれ許容部243gである。このため、制振部材27は、一対の揺動支持バネ243における捩じれ許容部243gに近い部分を覆うのが好ましい。
[ホルダ]
図4および図8を参照して、ホルダ241について説明する。ホルダ241は、たとえば、合成樹脂製であって、第一ベース22に対してプリズム23を揺動可能な状態で保持している。
ホルダ241は、載置面241a、一対の対向壁部241f、241g、および一対の張出し部241q、241rを備える。
載置面241aは、プリズム23の光路屈曲面231に裏側(Z方向-側)から対面する。載置面241aは、たとえば、光路屈曲面231と平行な面を有する。なお、載置面241aは、本実施形態の構造に限定されず、たとえば、プリズム23の位置決めを可能な形状を有するボスなどでもよい。
一対の対向壁部241f、241gはそれぞれ、XZ平面に平行な板状部材であって、Y方向に離隔した状態で配置されている。このような一対の対向壁部241f、241gは、載置面241aをY方向から挟んで配置されている。
一対の張出し部241q、241rはそれぞれ、一対の対向壁部241f、241gに設けられている。このような一対の張出し部241q、241rはそれぞれ、ホルダ241を、第一ベース22に対して揺動可能に支持している。
具体的には、一方(つまり、Y方向+側)の張出し部241qは、対向壁部241fのY方向+側面に、当該側面からY方向+側に張り出している。
一方、他方(つまり、Y方向-側)の張出し部241rは、対向壁部241gのY方向-側面に、当該側面からY方向-側に張り出している。また、一対の張出し部241q、241rはそれぞれ、裏面(つまり、Z方向-側の面)に、平坦面状のバネ座面(不図示)を有する。バネ座面は、X方向に離隔した2箇所に、Z方向-側に突出した一対のホルダ側位置決め凸部(不図示)を有する。
バネ座面にはそれぞれ、一対の揺動支持バネ243の第二係止部243cのZ方向+側の面が接着固定されている。この状態で、一対のホルダ側位置決め凸部はそれぞれ、揺動支持バネ243の一対の第二貫通孔243fに挿通されている。この構造により、ホルダ241は、第一ベース22に対して揺動可能に支持されている。
なお、ホルダ241の張出し部241q、241rのY方向における外端部は、第一ベース22のY方向における両端面よりも、Y方向における中央側に位置している。このような構成は、ホルダ241の小型・軽量化に寄与する。
[前側OISアクチュエータ]
図5および図8を参照して、光路屈曲部材駆動用アクチュエータである前側OISアクチュエータ244について説明する。前側OISアクチュエータ244は、第一軸を中心にホルダ241を揺動させる。第一軸とは、Y方向に平行な軸である。具体的には、第一軸とは、一対の揺動ガイド部材245の揺動ガイド面と、一対の揺動支持バネ243のバネ側ガイド面243hとの当接部を通るY軸に平行な軸である。
前側OISアクチュエータ244は、プリズム23の光路屈曲面231およびホルダ241とZ方向(つまり、第一光軸の方向)に重なるようにプリズム23およびホルダ241の裏側(つまり、Z方向-側)に配置されている。前側OISアクチュエータ244は、第一マグネット244a、第一コイル244c、および第一ホール素子244eを備える。
第一マグネット244aは、可動側部材であるホルダ241の裏側面(つまり、Z方向-側の面)に固定されている。第一マグネット244aは、X方向に隣り合う2個のマグネット素子からなる。これら各マグネット素子はそれぞれ、Z方向に着磁され、片側に一つの磁極を有する。各マグネット素子の磁極の向きは、互いに反対である。
第一コイル244cおよび第一ホール素子244eは、第一ベース22の裏側面に固定された、フレキシブルプリント回路基板(以下、FPC)25の表面(つまり、Z方向+側の面)に固定されている。
第一コイル244cおよび第一ホール素子244eは、第一ベース22のベース側開口部220に配置されている。なお、第一コイル244cは、長円形状のいわゆる空心コイルである。第一ホール素子244eは、第一コイル244cの径方向の内側に配置されている。
以上のような構成を有する前側OISアクチュエータ244は、制御部5(図17A参照)の制御下で、第一軸を中心にホルダ241を揺動させる。
次に、図1および図9A~図23Bを参照してレンズモジュール3について説明する。
[レンズモジュール]
レンズモジュール3は、第二カバー31、第二ベース32、レンズ部33、AF装置34、および第二振れ補正装置35を備える。
[第二カバー]
図1、図9Aおよび図9Bを参照して第二カバー31について説明する。第二カバー31は、たとえば合成樹脂製または非磁性金属製であり、X方向両側およびZ方向-側(つまり、裏側)が開口した箱状部材である。
具体的には、第二カバー31は、天板部31a、前板部31b、後板部31c、第一側板部31d、および第二側板部31eを有する。
天板部31aは、矩形状の板部材である。このような天板部31aは、第二カバー31におけるZ方向+側に配置される。天板部31aは、X方向における一端部(プリズムモジュール2(図1参照)側の端部であって、X方向-側の端部)に切欠部31fを有する。
切欠部31fは、天板部31aのX方向-側の端部から、X方向+側に向かって切り欠かれている。このような切欠部31fは、平面視で、Y方向に長い矩形状である。このような切欠部31fには、後述する接続部材343dが配置されている。
前板部31bは、矩形状の板状部材であって、天板部31aのX方向-側の端部から、Z方向-側に延在している。前板部31bは、中央部を含む部分に、前側開口部31gを有する。前側開口部31gは、レンズ部33のX方向-側の端面が、X方向-側に露出可能な大きさを有する。プリズムモジュール2からの光は、前側開口部31gを通過してレンズ部33に入光する。
また、前側開口部31gは、天板部31aの切欠部31fと連続している。したがって、前側開口部31gのZ方向+側の縁部は、天板部31aと前板部31bとにより形成される角部31hに存在しない。このような構成は、前側開口部31gの加工を容易にすることができる。
後板部31cは、矩形状の板状部材であって、天板部31aのX方向+側の端部から、Z方向-側に延在している。後板部31cは、中央部を含む部分に、後側開口部31iを有する。後側開口部31iは、レンズ部33のX方向+側の端面が、X方向+側に露出可能な大きさを有する。レンズ部33からの光は、後側開口部31iを通過して撮像素子モジュール4に入光する。
第一側板部31dは、矩形状の板状部材であって、天板部31aのY方向+側の端部から、Z方向-側に延在している。また、第二側板部31eは、矩形状の板状部材であって、天板部31aのY方向-側の端部から、Z方向-側に延在している。以上のような第二カバー31は、後述する第二ベース32にZ方向+側から組み合わされている。
[第二ベース]
図9C、図10、および図18~図22を参照して第二ベース32について説明する。第二ベース32は、上述の第二カバー31と組み合わされることにより、レンズ部33、AF装置34、および第二振れ補正装置35を配置可能な第二収容空間32c(図1参照)を形成する。
第二ベース32は、下側ベース要素32aと上側ベース要素32bとが組み合わされて構成されている。
第二ベース32は、底面部32dおよび一対の第二側壁部32g、32hを有する。底面部32dは、合成樹脂製の基部と、当該基部にインサート成形された金属製の補強プレート32kとを有する。このような補強プレート32kは、底面部32dの高剛性化および薄肉化に寄与する。
第二ベース32の補強プレート32kは、後述するレンズガイド341よりもZ方向-側に、レンズガイド341に対して重なるように配置されている。具体的にはレンズガイド341がオートフォーカスの動作の際に移動可能な範囲(つまり、X方向に移動可能な範囲)および振れ補正の動作の際に移動可能な範囲(つまり、Y方向に移動可能な範囲)の何れの位置に存在する場合でも、補強プレート32kのZ方向+側に、レンズガイド341が存在する。このため、補強プレート32kの表面(つまり、Z方向+側の面)は、常にレンズガイド341により覆われて露出しない。これにより、補強プレート32kによる反射光が、レンズ部33、ひいては後述する撮像素子モジュール4の撮像素子に入光しないようにしている。
第二ベース32は、底面部32dにおける補強プレート32kのY方向両側部分に、それぞれ底面貫通孔32e、32f(図18、図19参照)を有する。図21および図22に示されるように、底面貫通孔32e、32fにはそれぞれ、後述するAFアクチュエータ345の第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bが配置されている。
第二側壁部32g、32hはそれぞれ、底面部32dのY方向両端部からZ方向+側に延在している。本実施形態の場合、第二側壁部32gは、図20に示されるように、下側ベース要素32aの第二下壁要素32a1と、上側ベース要素32bの第二上壁要素32b1とが組み合わされて構成されている。また、第二側壁部32hは、下側ベース要素32aの第二下壁要素32a2と、上側ベース要素32bの第二上壁要素32b2とが組み合わされて構成されている。
図21および図22に示されるように、第二側壁部32g、32hはそれぞれ、コイル載置部32i、32jを有する。このようなコイル載置部32i、32jにはそれぞれ、後述する第二振れ補正装置35の第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bが載置されている。本実施形態の場合、コイル載置部32i、32jは、上側ベース要素32bの第二上壁要素32b1、32b2の上面に設けられている。
コイル載置部32iは、Z方向において、レンズガイド341の第一張出部34a1と第二張出部34a3との間に配置されている。また、コイル載置部32jは、Z方向において、レンズガイド341の第一張出部34a2と第二張出部34a4との間に配置されている。
また、図21に示されるように、コイル載置部32iと底面部32dとの間には、後述するAFアクチュエータ345の第一AFマグネット346aが配置されている。また、図22に示されるように、コイル載置部32jと底面部32dとの間には、AFアクチュエータ345の第二AFマグネット347aが配置されている。第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aは、後述するレンズガイド341に保持されている。
本実施形態の場合、底面貫通孔32e、32fとコイル載置部32i、32jとがZ方向に所定の間隔をあけて重なっている。したがって、底面貫通孔32e、32fに配置されている第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bと、コイル載置部32i、32jに載置されている第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bとが、Z方向に所定の間隔をあけて重なっている。
また、第二側壁部32gは、Y方向+側の側面におけるX方向両端部に、後述するスプリング342a1、342a3を配置するためのスプリング配置部32m1、32m3(図9C参照)を有する。一方、第二側壁部32hは、Y方向-側の側面におけるX方向両端部に、後述するスプリング342a2、342a4を配置するためのスプリング配置部32m2、32m4(図10参照)を有する。
また、第二ベース32は、X方向+側端部に、基準部32nを有する。基準部32nは、第二ベース32のX方向+側の端部に設けられた板状部材である。このような基準部32nのX方向+側の側面は、後述する撮像素子モジュール4のX方向の基準面となる。一方、基準部32nは、X方向-側の側面に、後述するレンズガイド341のX方向の基準面となる第一基準面32n1(図23B参照)を有する。このような第一基準面32n1は、後述のキャリブレーションの際の基準でもある。基準部32nは、中央部に、レンズ部33を通過した光を撮像素子モジュール4に導光する貫通孔を有する。このような基準部32nは、撮像素子モジュール4を位置決めするための部材である。
[レンズ部]
レンズ部33は、後述するレンズガイド341に保持された状態で、第二収容空間32c(図1参照)に配置されている。このようなレンズ部33は、図9C~図12に示されるように筒状のレンズバレル33A、および、レンズバレル33Aに保持された1以上のレンズ33Bを有する。一例として、レンズ部33は、レンズバレル33AのX方向-側の端部とレンズバレル33AのX方向+側の端部との間に固定された、たとえば光学3倍以上の望遠レンズ群を有する。なお、レンズ部33の構造は、上述の構造に限定されない。
[AF装置]
図9C~図17Aを参照して、AF装置34について説明する。AF装置34は、駆動部であって、オートフォーカスを目的として、レンズ部33をX方向に変位させる。具体的には、AF装置34は、レンズガイド341、第一支持機構342、第二支持機構343、FPC344、およびAFアクチュエータ345を有する。
[レンズガイド]
図11~図13を参照して、レンズガイド341について説明する。図11は、一部の部材を省略した状態のレンズモジュール3を、Y方向+側から見た図である。図12は、一部の部材を省略した状態のレンズモジュール3を、Y方向-側から見た図である。図13は、第二ベース32を省略した状態のレンズモジュール3を、X方向-側から見た図である。
レンズガイド341は、筒状のレンズ保持部341a、一対の第一張出部34a1、34a2、および一対の第二張出部34a3、34a4を有する。このようなレンズガイド341は、X方向(つまり、第二光軸の方向)およびY方向の変位を可能な状態で、第二収容空間32cに配置されている。
レンズ保持部341aは、レンズバレル33Aを保持可能な収容空間を有する。
一対の第一張出部34a1、34a2はそれぞれ、筒状のレンズ保持部341aの外周面の2箇所から、Y軸方向において互いに反対方向に延在した状態で設けられている。
一対の第二張出部34a3、34a4はそれぞれ、筒状のレンズ保持部341aの外周面のうち、一対の第一張出部34a1、34a2よりもZ方向+側の2箇所から、Y軸方向において互いに反対方向に延在した状態で設けられている。
一方(Y方向+側)の第一張出部34a1と一方(Y方向+側)の第二張出部34a3とは、Z方向において空間34b1を介して重なっている。他方(Y方向-側)の第一張出部34a2と他方(Y方向-側)の第二張出部34a4とは、Z方向において空間34b2を介して重なっている。
レンズガイド341は、後述するAFアクチュエータ345の第一AFマグネット346aを保持する第一マグネット保持部34a5(図11参照)、および、第二AFマグネット347aを保持する第一マグネット保持部34a6(図12参照)を有する。具体的には、第一マグネット保持部34a5、34a6はそれぞれ、一対の第一張出部34a1、34a2に設けられている。
第一マグネット保持部34a5、34a6はそれぞれ、Z方向-側が開口した凹部である。このような第一マグネット保持部34a5、34a6はそれぞれ、第二ベース32の一対のコイル載置部32i、32j(図21および図22参照)のZ方向-側に配置されている。また、このような一対の第一マグネット保持部34a5、34a6と第二ベース32の底面貫通孔32e、32fとは、Z方向に平行な同一直線上に設けられている。一対の第一マグネット保持部34a5、34a6は、底面貫通孔32e、32fよりもZ方向+側に設けられている。
レンズガイド341は、後述する後側OISアクチュエータ351の第一OISマグネット352aを保持する第二マグネット保持部34a7(図11参照)を有する。また、レンズガイド341は、後側OISアクチュエータ351の第二OISマグネット353aを保持する第二マグネット保持部34a8(図12参照)を有する。具体的には、第二マグネット保持部34a7、34a8はそれぞれ、一対の第二張出部34a3、34a4に設けられている。
一対の第二マグネット保持部34a7、34a8はそれぞれ、Z方向-側が開口した凹部である。このような一対の第二マグネット保持部34a7、34a8と、第二ベース32のコイル載置部32i、32jとは、Z方向に平行な同一直線上に設けられている。一対の第二マグネット保持部34a7、34a8は、コイル載置部32i、32jよりもZ方向+側に設けられている。
レンズガイド341は、第一マグネット保持部34a5の近傍に、AFアクチュエータ345の第一X位置検出マグネット346dを保持する第三マグネット保持部34b3(図11参照)を有する。また、レンズガイド341は、第一マグネット保持部34a6の近傍に、AFアクチュエータ345の第二X位置検出マグネット347dを保持する第三マグネット保持部34b4(図12参照)を有する。
具体的には、第三マグネット保持部34b3、34b4はそれぞれ、一対の第一張出部34a1、34a2のうち、第一マグネット保持部34a5、34a6よりもX方向-側に設けられている。なお、第三マグネット保持部34b3、34b4の位置は、第一マグネット保持部34a5、34a6の近傍であれば、上述の位置に限定されない。
レンズガイド341は、第一マグネット保持部34a5、34a6の近傍に、後側OISアクチュエータ351のY位置検出マグネット352c、353cを保持する一対の第四マグネット保持部34b5、34b6(図11および図12参照)を有する。具体的には、一対の第四マグネット保持部34b5、34b6はそれぞれ、一対の第一張出部34a1、34a2のうち、第一マグネット保持部34a5、34a6よりもX方向+側に設けられている。なお、一対の第四マグネット保持部34b5、34b6の位置は、第一マグネット保持部34a5、34a6の近傍であれば、上述の位置に限定されない。
レンズガイド341は、後述する第二支持機構343の複数の玉343eを保持する複数(本実施形態の場合、6個)の玉保持部343a(図10参照)を有する。具体的には、これら各玉保持部343aは、一対の第二張出部34a3、34a4のZ方向+側の面に、3個ずつ設けられている。
レンズガイド341は、X方向+側に最も変位した状態で、レンズガイド341のX方向+側の端面(以下、「レンズガイド側基準面」という。)が、基準部32nの第一基準面32n1に当接する。
レンズガイド341のレンズガイド側基準面と、第一基準面32n1とはそれぞれ、YZ平面に平行な平坦面である。したがって、レンズガイド341のレンズガイド側基準面と第一基準面32n1とが当接(面接触)した状態において、レンズガイド341は、X方向(つまり、第二光軸の方向)に対してY方向およびZ方向に傾斜しない状態(以下、「レンズガイド341の基準状態」という。)となる。
[第一支持機構]
図9C~図12、および図14を参照して、第一支持機構342について説明する。第一支持機構342は、レンズガイド341を第二ベース32に、第二ベース32に対する変位を可能な状態で弾性的に支持している。このような第一支持機構342は、弾性支持機構とも称される。
第一支持機構342は、それぞれが弾性支持部材である複数個(本実施形態の場合4個)のスプリング342a1~342a4を有する。スプリング342a1~342a4は、レンズガイド341を第二ベース32に弾性的に支持している。この状態で、レンズ部33は、第二ベース32に対してX方向およびY方向に変位できる。また、レンズガイド341は、第二ベース32に対するZ方向への変位を、第一支持機構342により所定範囲に規制されている。所定範囲とは、スプリング342a1~342a4の弾性変形に基づいてレンズガイド341が変位可能な範囲である。
スプリング342a1は、レンズガイド341のX方向+側かつY方向+側の端部を第二ベース32に支持している(図9C参照)。スプリング342a2は、レンズガイド341のX方向+側かつY方向-側の端部を第二ベース32に支持している(図10参照)。スプリング342a3は、レンズガイド341のX方向-側かつY方向+側の端部を第二ベース32に支持している(図9C参照)。さらに、スプリング342a4は、レンズガイド341のX方向-側かつY方向-側の端部を第二ベース32に支持している(図10参照)。
スプリング342a1~342a4はそれぞれ、図14に示すように、第一固定部342b、第二固定部342c、および接続部342dを有する。なお、図14は、組付状態における配置のままのスプリング342a1~342a4を示す。
第一固定部342bは、可動側部材であるレンズガイド341に固定されている。第二固定部342cは、固定側部材である第二ベース32に固定されている。
接続部342dは、第一固定部342bと第二固定部342cとを接続している。接続部342dは、たとえば、少なくとも一部が湾曲した(具体的には、蛇行状に曲げ成形された)線状部材からなる。
具体的には、接続部342dはそれぞれ、Z方向+側から順に、第一曲げ部342eと第二曲げ部342fとを有する。このようなスプリング342a1~342a4はそれぞれ、第二ベース32のスプリング配置部32m1~32m4(図9Cおよび図10参照)に配置されている。
第一曲げ部342eは、蛇行状に折り曲げられた部分であり、接続部342dにおける一端部(Z方向+側の端部)に設けられている。このような第一曲げ部342eは、第二ベース32に対してレンズ部33がZ方向に変位する際、接続部342dの長さ方向(Z方向)に弾性変形する。
なお、第一曲げ部342eの位置は、本実施形態の位置に限定されない。第一曲げ部342eは、接続部342dの一方側の半部(つまり、第一固定部342b側の半部)に設けられると好ましい。また、第一曲げ部342eは、本実施形態のように、接続部342dの一端部に設けられると、より好ましい。図示は省略するが、組付状態において、第一曲げ部342eはそれぞれ、ゲル状の制振部材に覆われてもよい。
第二曲げ部342fは、接続部342dにおける他端部(Z方向-側の端部)に設けられ、蛇行状に折り曲げられた線状部材である。第二曲げ部342fは、第二ベース32に対してレンズ部33がZ方向に変位する際、接続部342dの長さ方向(Z方向)に弾性変形する。第二ベース32に対してレンズ部33がZ方向に変位する際の第二曲げ部342fの変位量は、第一曲げ部342eの変位量よりも小さい。
また、第二ベース32に対してレンズ部33がX方向に変位する際、接続部342dは、第二固定部342c側の端部近傍を支点に揺動するように変位する。したがって、接続部342dにおいて当該支点から遠い(換言すれば、第一固定部342bに近い)部分ほど、第二ベース32に対してレンズ部33がX方向に変位する際の変位量が大きい。
なお、第二曲げ部342fの位置は、本実施形態の位置に限定されない。第二曲げ部342fは、接続部342dの他方側の半部(つまり、第二固定部342c側の半部)に設けられると好ましい。また、第二曲げ部342fは、本実施形態のように、接続部342dの他端部に設けられると、より好ましい。また、本実施形態において、第二曲げ部342fは、省略されてもよい。すなわち、接続部342dは、一箇所にのみ曲げ部を有する構成でもよい。なお、図示は省略するが、第二曲げ部342fはそれぞれ、ゲル状の制振部材に覆われてもよい。
本実施形態の場合、接続部342dは、X方向において方向性を有する。スプリング342a1とスプリング342a2とは、X方向において同方向となるように配置されている。換言すれば、スプリング342a1とスプリング342a2とは、たとえば、Y方向+側から見た場合に、少なくとも接続部342dが重なるように配置されている。
スプリング342a3とスプリング342a4とは、X方向において同方向となるように配置される。換言すれば、スプリング342a3とスプリング342a4とは、たとえば、Y方向+側から見た場合に、少なくとも接続部342dが重なるように配置されている。
スプリング342a1とスプリング342a3とは、X方向において、接続部342dが同方向を向くように配置されている。スプリング342a2とスプリング342a4とは、X方向において、接続部342dが同方向を向くように配置されている。ただし、変形例として、スプリング342a1とスプリング342a3とは、Y方向から見た場合に接続部342dがZ軸を対称軸として線対称の関係であってもよい。また、スプリング342a2とスプリング342a4についても、Y方向から見た場合に接続部342dがZ軸を対称軸として線対称の関係であってよい。このような変形例の場合にも、スプリング342a1とスプリング342a2、および、スプリング342a3とスプリング342a4は、X方向において同方向となるように配置されていると好ましい。
また、本実施形態の場合、図14に示すように、たとえば、Z方向+側から見てレンズガイド341の対角位置に配置されたスプリング342a1の中心とスプリング342a4の中心とを結んだ直線を直線L1とし、スプリング342a2の中心とスプリング342a3の中心とを結んだ直線を直線L2とした場合に、直線L1と直線L2との交点(分散配置の中心位置ともいう。)が、後述する基準位置における可動側部材の重心Gと一致またはほぼ一致している。
なお、可動側部材とは、レンズガイド341、および、レンズガイド341に固定されレンズガイド341とともに変位可能な各部材をいう。具体的には、本実施形態の場合、可動側部材は、レンズガイド341、レンズ部33、AFアクチュエータ345の第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347a、ならびに後側OISアクチュエータ351の第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aなどを含んで構成されている。
各スプリング342a1~342a4の中心とは、たとえば、各スプリング342a1~342a4のZ方向の中央位置かつX方向中央位置である。また、レンズガイド341の基準位置とは、オートフォーカス機能によりレンズガイド341がX方向に変位していない状態、かつ、後述する第二振れ補正装置35によりY方向に変位していない状態をいう。このような構成により、上記可動側部材の重心Gを通りかつZ方向に平行な直線L3まわりのレンズガイド341の共振が低減される。
なお、上述のような各スプリング342a1~342a4は、以下のようにして配置されている。上記重心Gを通り第二光軸の方向(つまり、X方向)に平行な直線を直線L4(図14参照)とした場合に、X方向+側の一対のスプリング342a1、342a2は、上記直線L4に関して対称、かつ、重心GからX方向+側(図14の右側)に所定距離だけ離れた2箇所位置に配置される。一方、X方向-側の一対のスプリング342a3、342a4は、上記直線L4に関して対称、かつ、重心GからX方向-側(図14の左側)に上記所定距離だけ離れた2箇所位置に配置される。これにより、上記直線L1と上記直線L2との交点が、上記重心Gに一致する。
[第二支持機構]
図9A~図13を参照して、第二支持機構343について説明する。第二支持機構343は、レンズガイド341を第二ベース32に、第二ベース32に対するXY平面内での変位を可能な状態で支持している。ただし、第二支持機構343は、レンズガイド341を、第二ベース32に対するZ方向への変位を規制した状態で支持している。具体的には、第二支持機構343は、レンズガイド341を、第二ベース32に対するZ方向+側への変位を不能な状態で支持している。
第二支持機構343は、複数の玉保持部343a、一対の軌道部材343b1、343b2、接続部材343d、および複数の玉343eを有する。
複数の玉保持部343aは、レンズガイド341の第二張出部34a3、34a4のZ方向+側の面に設けられている。本実施形態の場合、複数の玉保持部343aは、第二張出部34a3、34a4のZ方向+側の面のそれぞれに3個ずつ設けられている。
一対の軌道部材343b1、343b2はそれぞれ、たとえば、XY平面に平行な板状部材である。このような一対の軌道部材343b1、343b2はそれぞれ、鉄系合金などの磁性金属製である。
Y方向+側に配置された軌道部材343b1と、第一OISマグネット352aとは、Z方向に平行な同一直線上に配置されている。また、軌道部材343b1は、第一OISマグネット352aよりもZ方向+側に配置されている。
また、Y方向-側に配置された軌道部材343b2と、第二OISマグネット353aとは、Z方向に平行な同一直線上に配置されている。また、軌道部材343b2は、第二OISマグネット353aよりもZ方向+側に配置されている。
このような配置により、第一OISマグネット352aは、自身の磁力に基づいて、軌道部材343b1に近づく方向(つまり、Z方向+側)に引きつけられている。
また、第二OISマグネット353aは、自身の磁力に基づいて、軌道部材343b2に近づく方向(つまり、Z方向+側)に引きつけられている。
このような第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aと、軌道部材343b1および軌道部材343b2との間に作用する力は、たとえば、スプリング342a1~342a4が省略された場合(つまり、後述の実施形態2の場合)に、上述の可動側部材を固定側部材(第二ベース32)から浮かせることが可能である。
具体的には、一対の軌道部材343b1、343b2はそれぞれ、レンズガイド341の第二張出部34a3、34a4よりもZ方向+側に、第二張出部34a3、34a4のZ方向+側の面と対向した状態で設けられている。
一対の軌道部材343b1、343b2はそれぞれ、Z方向-側の面に、平坦面状の軌道面343c(図11および図12参照)を有する。軌道面343cはそれぞれ、第二張出部34a3、34a4のZ方向+側の面とZ方向に対向している。
一対の軌道部材343b1、343b2のX方向-側の端部同士は、接続部材343dにより接続されている。接続部材343dは、第二カバー31における天板部31aの切欠部31fに配置されている(図9Aおよび図9C参照)。この状態で、接続部材343dは、切欠部31fの全体を塞いでいる。これにより、接続部材343dは、光が、切欠部31fからレンズ部33に入光することを防止している。また、接続部材343dは、第二カバー31に固定されている。第二カバー31は第二ベース32に固定されているため、接続部材343dおよび一対の軌道部材343b1、343b2は、第二カバー31を介して第二ベース32に固定されている。
複数の玉343eはそれぞれ、複数の玉保持部343aに保持されている。このように保持された状態で、複数の玉343eは、複数の玉保持部343aの内面と、一対の軌道部材343b1、343b2の軌道面343cとの間に、回転自在な状態で配置されている。複数の玉343eはそれぞれ、複数の玉保持部343aの内面、および、一対の軌道部材343b1の軌道面343cに当接している。
[FPC]
図15~図17A、図21、および、図22を参照して、FPC344について説明する。FPC344は、フレキシブルプリント回路基板であって、第二ベース32(図9Cおよび図10参照)に固定されている。
FPC344は、FPC基部344aと、第一ターミナル部34d1、第二ターミナル部34d2、第三ターミナル部34d3、第一コイル固定部34d4、第二コイル固定部34d5、第一コントローラ固定部34d6、第二コントローラ固定部34d7、ホール素子固定部34d8、およびAF駆動制御回路344b(図17A参照)を有する。
FPC基部344aは、XY平面に平行な板状部材であって、第二ベース32(図9Cおよび図10参照)に固定されている。
第一ターミナル部34d1および第二ターミナル部34d2はそれぞれ、FPC基部344aのX方向+側の端部においてY方向に離れた2箇所から、Z方向+側に延在している。第一ターミナル部34d1は、第一OISコイル352bに電気的に接続されている。一方、第二ターミナル部34d2は、第二OISコイル353bに電気的に接続されている。
第三ターミナル部34d3は、撮像素子モジュール4が実装されているセンサ基板6(図17A)に接続される。図17Aに示されるように、第三ターミナル部34d3は、電源端子T1、接地端子T2、データ信号端子T3、第一クロック端子T4、および第二クロック端子T5を有する。FPC344がセンサ基板6に接続された状態で、このような第三ターミナル部34d3の各端子はそれぞれ、センサ基板6の基板側回路6aにおいて対応する各端子接続される。
第一コイル固定部34d4および第二コイル固定部34d5はそれぞれ、FPC基部344aのZ方向+側の面において、レンズガイド341の第一マグネット保持部34a5、34a6とZ方向に対向する位置に設けられている。具体的には、第一コイル固定部34d4と第二コイル固定部34d5とは、FPC基部344aのZ方向+側の面において、第二光軸を中心にY方向における一方側(Y方向+側)と、Y方向における他方側(Y方向-側)とに離れて設けられている。
このような第一コイル固定部34d4および第二コイル固定部34d5にはそれぞれ、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bが固定されている。第一コイル固定部34d4および第二コイル固定部34d5はそれぞれ、第二ベース32の底面貫通孔32e、32f(図18、図19参照)に配置されている。
第一コントローラ固定部34d6および第二コントローラ固定部34d7はそれぞれ、FPC基部344aのZ方向+側の面において、第一コイル固定部34d4および第二コイル固定部34d5の近傍に設けられている。具体的には、第一コントローラ固定部34d6および第二コントローラ固定部34d7はそれぞれ、FPC基部344aのZ方向+側の面において、第一コイル固定部34d4および第二コイル固定部34d5よりもX方向-側の近傍に設けられている。
このような第一コントローラ固定部34d6および第二コントローラ固定部34d7にはそれぞれ、第一AFコントローラ346cおよび第二AFコントローラ347cが固定されている。
ホール素子固定部34d8は、FPC基部344aのZ方向+側の面において、レンズガイド341の第四マグネット保持部34b6(図12参照)とZ方向に対向する位置に設けられている。ホール素子固定部34d8には、後述する後側OISアクチュエータ351のOISホール素子353dが固定されている。
AF駆動制御回路344bは、図17Aに示されるように、第一電源ラインL1、第二電源ラインL2、第一接地ラインL3、第二接地ラインL4、第一データ信号ラインL5、第二データ信号ラインL6、第一クロックラインL7、第二クロックラインL8、第一コイル給電ラインL9、L10、および第二コイル給電ラインL11、L12を有する。
第一電源ラインL1は、センサ基板6に実装された制御部5から第一AFコントローラ346cに供給される電流の伝送線路である。第一電源ラインL1の一端は、第三ターミナル部34d3の電源端子T1に接続されている。第一電源ラインL1の他端は、第一AFコントローラ346cの入力側電源端子(不図示)に接続されている。
第二電源ラインL2は、センサ基板6に実装された制御部5から第二AFコントローラ347cに供給される電流の伝送線路である。第二電源ラインL2の一端は、第三ターミナル部34d3の電源端子T1に接続されている。第二電源ラインL2の他端は、第二AFコントローラ347cの電源入力端子(不図示)に接続されている。以上のように、第一電源ラインL1と第二電源ラインL2とは、途中で分岐している。
第一接地ラインL3は、グラウンド用の伝送線路である。第一接地ラインL3の一端は、第三ターミナル部34d3の接地端子T2に接続されている。第一接地ラインL3の他端は、第一AFコントローラ346cの接地端子(不図示)に接続されている。
第二接地ラインL4は、グラウンド用の伝送線路である。第二接地ラインL4の一端は、第三ターミナル部34d3の接地端子T2に接続されている。第二接地ラインL4の他端は、第二AFコントローラ347cの接地端子(不図示)に接続されている。第一接地ラインL3と第二接地ラインL4とは、途中で分岐している。
第一データ信号ラインL5は、制御部5と第一AFコントローラ346cとの間における制御信号の伝送線路である。第一データ信号ラインL5の一端は、第三ターミナル部34d3のデータ信号端子T3に接続されている。第一データ信号ラインL5の他端は、第一AFコントローラ346cの入力側データ信号端子(不図示)に接続されている。
第二データ信号ラインL6は、制御部5と第二AFコントローラ347cとの間における制御信号の伝送線路である。第二データ信号ラインL6の一端は、第三ターミナル部34d3のデータ信号端子T3に接続されている。第二データ信号ラインL6の他端は、第二AFコントローラ347cの入力側データ信号端子(不図示)に接続されている。第一データ信号ラインL5と第二データ信号ラインL6とは、途中で分岐している。
第一AFコントローラ346cと第二AFコントローラ347cとは、制御部5から受け取った制御信号に基づいて、所定の時間間隔で交互に動作してよい。換言すれば、制御部5は、第一AFコントローラ346cと第二AFコントローラ347cとが、所定の時間間隔で交互に動作するように、第一AFコントローラ346cと第二AFコントローラ347cとに制御信号を送ってよい。
制御部5は、例示的に、第一AFコントローラ346cと第二AFコントローラ347cとに、同時に制御信号を送ってよい。制御部5は、制御信号を所定の時間間隔で送ってよい。このような制御信号は、第一AFコントローラ346cと第二AFコントローラ347cとのうちの何れか一方のコントローラ(以下、「対象コントローラ」と称する。)の動作を指示する情報を含んでよい。
第一AFコントローラ346cと第二AFコントローラ347cとは、制御部5から受け取った制御信号に含まれる上記動作を指示する情報を解析し、自身が対象コントローラに該当する場合に、制御信号に基づいて動作してよい。
また、制御部5は、例示的に、第一AFコントローラ346cと第二AFコントローラ347cとに所定の時間間隔で交互に制御信号を送ってよい。第一AFコントローラ346cと第二AFコントローラ347cとのうち、制御部5から制御信号を受け取ったコントローラは、受け取った制御信号に基づいて動作してよい。
第一クロックラインL7は、制御部5と第一AFコントローラ346cとの間におけるクロック信号の伝送線路である。第一クロックラインL7の一端は、第三ターミナル部34d3の第一クロック端子T4に接続されている。第一クロックラインL7の他端は、第一AFコントローラ346cのクロック端子(不図示)に接続されている。
第二クロックラインL8は、制御部5と第二AFコントローラ347cとの間におけるクロック信号の伝送線路である。第二クロックラインL8の一端は、第三ターミナル部34d3の第二クロック端子T5に接続されている。第二クロックラインL8の他端は、第二AFコントローラ347cのクロック端子(不図示)に接続されている。
第一コイル給電ラインL9、L10は、第一AFコントローラ346cと第一AFコイル346bとを接続する伝送線路である。
第一コイル給電ラインL9の一端は、第一AFコントローラ346cの出力側電源端子における第一端子(不図示)に接続されている。第一コイル給電ラインL9の他端は、第一AFコイル346bの一端に接続されている。
第一コイル給電ラインL10の一端は、第一AFコントローラ346cの出力側電源端子における第二端子(不図示)に接続されている。第一コイル給電ラインL10の他端は、第一AFコイル346bの他端に接続されている。
第二コイル給電ラインL11、L12は、第二AFコントローラ347cと第二AFコイル347bとを接続する伝送線路である。
第二コイル給電ラインL11の一端は、第二AFコントローラ347cの出力側電源端子における第一端子(不図示)に接続されている。第二コイル給電ラインL11の他端は、第二AFコイル347bの一端に接続されている。
第二コイル給電ラインL12の一端は、第二AFコントローラ347cの出力側電源端子における第二端子(不図示)に接続されている。第二コイル給電ラインL12の他端は、第二AFコイル347bの他端に接続されている。
以上のようなAF駆動制御回路344bは、第三ターミナル部34d3を介して、センサ基板6に接続される。これにより、第一AFコントローラ346cおよび第二AFコントローラ347cは、センサ基板6に実装された制御部5に接続される。
[AFアクチュエータ]
図11、図12、図16、および、図17Aを参照して、AFアクチュエータ345について説明する。AFアクチュエータ345は、オートフォーカスの際、レンズガイド341をX方向(第二光軸の方向)に変位させる駆動機構である。
AFアクチュエータ345は、Y方向+側に配置された第一AFアクチュエータ346と、Y方向-側に配置された第二AFアクチュエータ347とを有する。
第一AFアクチュエータ346は、駆動機構部であって、第一AFマグネット346a、第一AFコイル346b、第一X位置検出マグネット346d、および第一AFコントローラ346cを有する。
第二AFアクチュエータ347は、駆動機構部であって、第二AFマグネット347a、第二AFコイル347b、第二X位置検出マグネット347d、および第二AFコントローラ347cを有する。
このような第一AFアクチュエータ346および第二AFアクチュエータ347は、第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aが、可動側部材であるレンズガイド341に固定されるとともに、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bが、固定側部材である第二ベース32に固定されたムービングマグネット型のアクチュエータである。
なお、第一AFアクチュエータ346および第二AFアクチュエータ347は、ムービングコイル型のアクチュエータであってもよい。以下、AFアクチュエータ345を構成する各部の配置について説明する。
第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aはそれぞれ、レンズガイド341の第一マグネット保持部34a5、34a6に保持されている。この状態で第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aはそれぞれ、第二ベース32の一対のコイル載置部32i、32j(図9Cおよび図10参照)のZ方向+側に配置されている。本実施形態の場合、第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aはそれぞれ、Y方向に隣り合うように並べられた2個のマグネット要素(符号省略)からなる。これら各マグネット要素は、Z方向に着磁され、磁極の向きが反対になるように配置されている。
また、第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aはそれぞれ、X方向に長く、かつ、たとえば、Y方向から見た(図11および図12に示す状態)の形状が略矩形状の直方体である。
第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bはそれぞれ、オートフォーカス時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bはそれぞれ、長軸がY方向に一致した状態で、FPC344の第一コイル固定部34d4および第二コイル固定部34d5に基板(不図示)を介して固定されている。
図17Aに示されるように、第一AFコイル346bは、第一コイル給電ラインL9、L10を介して、第一AFコントローラ346cと接続されている。第一AFコイル346bの電流値は、第一AFコントローラ346cにより制御される。
第一X位置検出マグネット346dおよび第二X位置検出マグネット347dは、Z方向に着磁され、たとえば、Y方向から見た(図11および図12に示す状態)の形状が略矩形状の直方体である。このような第一X位置検出マグネット346dおよび第二X位置検出マグネット347dはそれぞれ、レンズガイド341の一対の第三マグネット保持部34b3、34b4に保持されている。
第一AFコントローラ346cは、FPC344の第一コントローラ固定部34d6に固定されている。このような第一AFコントローラ346cは、図17Aに示されるように、第一検出部346eと、第一駆動制御部346fとを有する。
第一検出部346eは、第一AFマグネット346aと第一X位置検出マグネット346dとの間の磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出する。第一検出部346eは、検出値を、第一駆動制御部346fに送る。
第一駆動制御部346fは、第一検出部346eから受け取った検出値に基づいて、第一AFマグネット346aのX方向における位置(第一位置ともいう。)を求める。そして、第一駆動制御部346fは、第一検出部346eから受け取った検出値に基づいて、第一AFコイル346bの電流値を制御する。なお、第一AFコントローラ346cは、第二AFコイル347bの電流値に関する制御は行わない。
以上のように第一AFアクチュエータ346においては、第一検出部346eの検出値に基づいて、クローズドループ制御が行われる。なお、第一駆動制御部346fは省略されてもよい。この場合には、第一駆動制御部346fが行う処理は、たとえば、センサ基板6に実装された制御部5により行われてもよい。
また、第二AFコントローラ347cは、FPC344の第二コントローラ固定部34d7に固定されている。このような第二AFコントローラ347cは、図17Aに示されるように、第二検出部347eと、第二駆動制御部347fとを有する。
第二検出部347eは、第二AFマグネット347aと第二X位置検出マグネット347dとの間の磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出する。第二検出部347eは、検出値を、第二駆動制御部347fに送る。
第二駆動制御部347fは、第二検出部347eから受け取った検出値(位置に関する情報)に基づいて、第二AFマグネット347aのX方向における位置(第二位置ともいう。)を求める。また、第二駆動制御部347fは、第二検出部347eから受け取った検出値に基づいて、第二AFコイル347bの電流値を制御する。なお、第二AFコントローラ347cは、第一AFコイル346bの電流値に関する制御は行わない。
以上のように第二AFアクチュエータ347においては、第二AFコントローラ347cの検出値に基づいて、クローズドループ制御が行われる。なお、第二駆動制御部347fは省略されてもよい。この場合には、第二駆動制御部347fが行う処理は、たとえば、センサ基板6に実装された制御部5により行われてもよい。
上述のような構成を有する第一AFアクチュエータ346および第二AFアクチュエータ347の場合、第一AFコントローラ346cおよび第二AFコントローラ347cの制御下で、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bに電流が流れると、第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aをX方向に変位させるローレンツ力(推力)が生じる。
このような推力は、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bに流れる電流の向きを制御することにより切り換わる。これにより、レンズガイド341の変位方向を切り換えられる。
本実施形態の構成は、第一AFアクチュエータ346の第一AFコイル346bの電流値と、第二AFアクチュエータ347の第二AFコイル347bの電流値とを独立して制御することにより、第一AFアクチュエータ346が発生する推力と、第二AFアクチュエータ347が発生する推力とを異ならせることができる。
具体的には、第一AFアクチュエータ346が発生する推力と、第二AFアクチュエータ347が発生する推力とが同じ場合には、AFアクチュエータ345が発生する推力は、X方向の第一推力のみからなる。一方、第一AFアクチュエータ346が発生する推力と、第二AFアクチュエータ347が発生する推力とが異なる場合には、AFアクチュエータ345が発生する推力は、X方向の第一推力と、可動側部材の重心Gまわりのモーメントである第二推力とを有する。
このような第二推力は、オートフォーカスの際、レンズガイド341をX方向から逸脱させようとする外力に抗する抵抗力となる。これにより、AFアクチュエータ345は、オートフォーカスの際、レンズガイド341のX方向からの逸脱量を少なくまたはゼロにできる。なお、上述の外力については、後述する。
また、本実施形態の場合、AFアクチュエータ345は、後述する第二振れ補正装置35が振れ補正を行う際に、可動側部材(レンズガイド341)をY方向から逸脱させるように作用する外力に抗する抵抗力を生成する第二駆動機構部でもある。
つまり、AFアクチュエータ345は、後述する第二振れ補正装置35が振れ補正を行う際に、第一AFコントローラ346cおよび第二AFコントローラ347cにより、第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aのX方向における位置を検出する。
そして、第一AFコントローラ346cおよび第二AFコントローラ347cはそれぞれ、検出値に基づいて、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bの電流値を制御する。これにより、AFアクチュエータ345は、第二振れ補正装置35が振れ補正を行う際、レンズガイド341をY方向から逸脱させようとする外力に対する抵抗力を生成する。この結果、AFアクチュエータ345は、振れ補正の際、レンズガイド341のY方向からの逸脱量を少なくまたはゼロにできる。
[AFアクチュエータの変形例]
図17Bは、AFアクチュエータ345の変形例1に係るAFアクチュエータ345Aを含むAF駆動制御回路の回路図である。AFアクチュエータ345Aは、Y方向+側に配置された第一AFアクチュエータ346Aと、Y方向-側に配置された第二AFアクチュエータ347Aとを有する。
第一AFアクチュエータ346Aは、駆動機構部であって、第一AFマグネット346a、第一AFコイル346b、第一X位置検出マグネット346d(図11参照)、第一検出部346e2、および、第一AFコントローラ346c2を有する。
第二AFアクチュエータ347Aは、駆動機構部であって、第二AFマグネット347a、第二AFコイル347b、第二X位置検出マグネット347d(図12参照)、第二検出部347e2、および、第二AFコントローラ347c2を有する。
第一AFアクチュエータ346Aにおいて、第一AFマグネット346a、第一AFコイル346b、および、第一X位置検出マグネット346d(図11参照)は、既述の第一AFアクチュエータ346の場合と同様である。また、第二AFアクチュエータ347Aにおいて、第二AFマグネット347a、第二AFコイル347b、および、第二X位置検出マグネット347d(図12参照)は、既述の第二AFアクチュエータ347の場合と同様である。
第一検出部346e2は、第一AFコントローラ346c2と別に設けられている。具体的には、第一検出部346e2は、FPC344Bに固定されている。第一検出部346e2の機能は、既述の第一検出部346eの機能と同様である。また、FPC344Bは、既述のFPC344とほぼ同様の構成を有する。
一方、第一AFコントローラ346c2は、センサ基板6Bに設けられている。第一AFコントローラ346c2は、第一駆動制御部346fを有する。第一駆動制御部346fは、既述の第一AFアクチュエータ346と同様である。第一駆動制御部346fと第一検出部346e2とは、信号ラインL13を介して接続されている。第一検出部346e2は、第一AFマグネット346aと第一X位置検出マグネット346dとの間の磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出する。第一検出部346e2は、検出値を、第一駆動制御部346fに送る。
第二検出部347e2は、第二AFコントローラ347c2と別に設けられている。具体的には、第二検出部347e2は、FPC344Bに固定されている。第二検出部347e2の機能は、既述の第二検出部347eの機能と同様である。
一方、第二AFコントローラ347c2は、センサ基板6Bに設けられている。第二AFコントローラ347c2は、第二駆動制御部347fを有する。第二駆動制御部347fは、既述の第二AFアクチュエータ346と同様である。第二駆動制御部347fと第二検出部347e2とは、信号ラインL14を介して接続されている。第二検出部347e2は、第二AFマグネット347aと第二X位置検出マグネット347dとの間の磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出する。第二検出部347e2は、検出値を、第二駆動制御部347fに送る。その他のAFアクチュエータ345Aの構成および作用・効果は、既述のAFアクチュエータ345と同様である。
[第二振れ補正装置]
図11、図12、および図16を参照して、第二振れ補正装置35について説明する。第二振れ補正装置35は、駆動部であって、レンズ部33をY方向に変位させることにより、Y方向の振れ補正を行う。このような第二振れ補正装置35は、上述の第二収容空間32c(図1参照)に配置されている。
第二振れ補正装置35は、上述したレンズガイド341、上述した複数個のスプリング342a1~342a4、上述したFPC344、および後側OISアクチュエータ351を有する。
レンズガイド341、スプリング342a1~342a4、およびFPC344は、AF装置34と共通である。
後側OISアクチュエータ351は、駆動機構であって、Y方向+側に配置された第一OISアクチュエータ352と、Y方向-側に配置された第二OISアクチュエータ353とを有する。
図11に示されるように、第一OISアクチュエータ352は、駆動機構部であって、第一AFアクチュエータ346に対して、Z方向に所定の間隔をあけて重なった状態で配置されている。このような第一OISアクチュエータ352は、第一OISマグネット352a、第一OISコイル352b、およびY位置検出マグネット352cを有する。
図12に示されるように、第二OISアクチュエータ353は、駆動機構部であって、第二AFアクチュエータ347に対して、Z方向に所定の間隔をあけて重なった状態で配置されている。このような第二OISアクチュエータ353は、第二OISマグネット353a、第二OISコイル353b、Y位置検出マグネット353c、およびOISホール素子353dを有する。
第一OISアクチュエータ352および第二OISアクチュエータ353と、第一AFアクチュエータ346および第二AFアクチュエータ347とを上述のように配置することにより、後側OISアクチュエータ351の駆動力の中心が、AFアクチュエータ345の駆動力の中心に一致または近くなる。この構成により、オートフォーカスおよび振れ補正の際、レンズガイド341がチルト変位(つまり、Y方向またはZ方向に平行な軸を中心とした揺動変位)しにくくなる。
上述のような後側OISアクチュエータ351は、第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aが可動側部材であるレンズガイド341に固定されるとともに第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bが固定側部材である第二ベース32に固定されたムービングマグネット型のアクチュエータである。ただし、後側OISアクチュエータ351はムービングコイル型のアクチュエータであってもよい。
第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aはそれぞれ、レンズガイド341の第二マグネット保持部34a7および第二マグネット保持部34a8に保持されている。
本実施形態の場合、第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aはそれぞれ、Y方向に隣り合うように並べられた2個のマグネット要素(符号省略)からなる。これら各マグネット要素は、Z方向に着磁され、磁極の向きが反対になるように配置されている。
第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bはそれぞれ、振れ補正時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bはそれぞれ、長軸がX方向に一致した状態で、第二ベース32のコイル載置部32i、32jに固定されている。この状態で、第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bはそれぞれ、第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aとZ方向に所定の間隔をあけて重なっている。
上述のように第一OISアクチュエータ352(第一OISマグネット352aおよび第一OISコイル352b)の少なくとも一部は、Z方向において、レンズガイド341の第一張出部34a1と第二張出部34a3との間に配置されている。一方、第二OISアクチュエータ353(第二OISマグネット353aおよび第二OISコイル353b)の少なくとも一部は、Z方向において、レンズガイド341の第一張出部34a2と第二張出部34a4との間に配置されている。このような構成は、レンズモジュール3、延いてはカメラモジュール1の低背化に効果的である。
Y位置検出マグネット352cは、レンズガイド341の第四マグネット保持部34b5に保持されている。また、Y位置検出マグネット353cは、レンズガイド341の第四マグネット保持部34b6に保持されている。
OISホール素子353dは、図12に示されるように、FPC344のホール素子固定部34d8(図15参照)に固定されている。OISホール素子353dは、Y位置検出マグネット353cの磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出し、検出値を、センサ基板6に実装された制御部5(図17A参照)に送る。制御部5は、OISホール素子353dから受け取った検出値に基づいて、Y位置検出マグネット353c(つまり、レンズガイド341)のY方向における位置を求める。
以上のような構成を有する後側OISアクチュエータ351の場合、制御部5の制御下で、FPC344を介して第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bに電流が流れると、第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aをY方向に変位させるローレンツ力が生じる。第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aはそれぞれレンズガイド341に固定されているため、上記ローレンツ力に基づいてレンズガイド341が、Y方向に変位する。なお、第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bに流れる電流の向きを制御することにより、レンズガイド341の変位方向が切り換わる。
なお、本実施形態の場合、後側OISアクチュエータ351と、AFアクチュエータ345とのクロストークを防止するために、第一OISマグネット352aと第一AFマグネット346aとのZ方向における間、および、第二OISマグネット353aと第二AFマグネット347aとのZ方向における間に、磁性金属製のシールド板7a、7b(図15、図16参照)が配置されている。
[撮像素子モジュール]
撮像素子モジュール4は、レンズ部33よりもX方向+側に配置されている。撮像素子モジュール4は、たとえばCCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサーなどの撮像素子を含んで構成される。撮像素子モジュール4の撮像素子は、レンズ部33により結像された被写体像を撮像し、被写体像に対応する電気信号を出力する。撮像素子モジュール4にはセンサ基板6が電気的に接続され、センサ基板6を介して撮像素子モジュール4への給電及び撮像素子モジュール4で撮像された被写体像の電気信号の出力が行われる。このような撮像素子モジュール4は、従来から知られている構造のものを採用できる。
[第二振れ補正装置およびAF装置の動作]
以下、図17Aおよび図23Bを参照して、本実施形態の第二振れ補正装置35およびAF装置34の動作について説明する。なお、第一振れ補正装置24の動作については、説明を省略する。
第二振れ補正装置35において振れ補正を行う場合には、第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bへの給電が行われる。具体的には、第二振れ補正装置35では、カメラモジュール1のY方向の振れが相殺されるように、振れ検出部(図示略、例えばジャイロセンサー)からの検出信号に基づいて、第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bの電流値が制御される。このような制御は、たとえば、制御部5により行われる。このとき、OISホール素子353dの検出値を制御部5にフィードバックすることで、レンズガイド341の変位を正確に制御することができる。
第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bに給電すると、第一OISコイル352bに流れる電流と第一OISマグネット352aの磁界、および、第二OISコイル353bに流れる電流と第二OISマグネット353aの磁界との相互作用により、第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bにローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。
本実施形態の場合、ローレンツ力の方向は、Y方向における一方または他方の何れかの方向(特定方向ともいう。)である。第一OISコイル352bおよび第二OISコイル353bは、第二ベース32に固定されているので、第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aに反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、第一OISマグネット352aおよび第二OISマグネット353aを保持するレンズガイド341がXY平面内でY方向に変位し、振れ補正が行われる。
上述のような振れ補正は、レンズガイド341を、たとえば、図23Aの矢印AY1のようにY方向に平行に変位させると好ましい。ところが、振れ補正の際、レンズガイド341の変位をY方向から逸脱させるような外力(たとえば、図23Aの矢印Afの方向のモーメント)が、レンズガイド341に作用する場合がある。このような外力が作用すると、レンズガイド341に作用する推力が、第二振れ補正装置35が生成するY方向に平行な推力(第一推力)のみだと、レンズガイド341は、図23Aの矢印AY2のように、Y方向から逸脱した方向に変位してしまう。なお、上述の外力は、たとえば、上述の第一支持機構342を構成するスプリング342a1~342a4における分散配置の中心位置(図14の直線L1と直線L2との交点)と、上述の可動側部材の重心Gとのずれに起因して生じる可能性がある。あるいは、上述の外力は、たとえば、第一支持機構342を構成するスプリング342a1~342a4の個体差に起因して生じる可能性がある。このような外力は、上述のモーメントだけでなく、たとえば、X方向を向いた力の場合もある。あるいは、外力は、モーメントおよびX方向を向いた力を含む場合もある。
これに対して、本実施形態の場合、振れ補正の際、制御部5の制御下で、AFアクチュエータ345を駆動して、上記外力に抗する抵抗力(第二推力。)を生成する。具体的には、振れ補正の際、AFアクチュエータ345は、第一AFコントローラ346c(つまり、第一検出部346e)により第一AFマグネット346aの位置を検出するとともに、第二AFコントローラ347c(つまり、第二検出部347e)により第二AFマグネット347aの位置を検出する。
そして、第一AFコントローラ346c(つまり、第一駆動制御部346f)は、制御部5から受け取った制御信号(たとえば、振れ補正のための変位方向および変位量)、および、第一検出部346eの検出値に基づいて、第一AFコイル346bの電流値(以下、第一電流値という。)を制御する。これとともに、第二AFコントローラ347c(つまり、第二駆動制御部347f)は、第二検出部347eの検出値に基づいて、第二AFコイル347bの電流値(以下、第二電流値という。)を制御する。これにより、AFアクチュエータ345は、第一AFアクチュエータ346の推力と第二AFアクチュエータ347の推力とに基づいて上述の抵抗力(たとえば、モーメント)を生成する。
なお、第一電流値および第二電流値は、たとえば、事前に行われたキャリブレーションにより、第一駆動制御部346fおよび第二駆動制御部347fに記憶された予備データから選択される。この予備データは、たとえば、第二振れ補正装置35によりレンズガイド341をY方向に変位させた場合の、変位方向(たとえば、図23Aの矢印AY1の方向)、変位量D1(図23A参照)、レンズガイド341のY方向からの逸脱方向(たとえば、図23Aの矢印AYの方向)、およびレンズガイド341のY方向からの逸脱量D2(図23A参照)からなる振れ補正用パラメータと、この補正用パラメータに対応付けて記憶された上記逸脱量D2(傾きを含む。)をゼロにする第一電流値および第二電流値とを含む。上述のキャリブレーションは、レンズガイド341のY方向における全ストロークの範囲で、上記振れ補正用パラメータに対応する第一電流値および第二電流値を求める。
上述の外力に対してAFアクチュエータ345が生成する抵抗力は、たとえば、図23Aの矢印Arの方向の回転モーメントである。そして、AFアクチュエータ345は、生成した抵抗力を、レンズガイド341に作用させる。この結果、第二振れ補正装置35が生成するY方向(特定方向ともいう。)に平行な推力と、AFアクチュエータ345により生成された抵抗力との合力が作用したレンズガイド341は、上記外力が作用している状態において、図23Aの矢印AY1のようにY方向に平行に変位できる。
また、AF装置34においてオートフォーカスを行う場合には、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bへの給電が行われる。本実施形態の場合、第一AFコイル346bにおける電流値は、第一AFコントローラ346cによって制御される。また、第二AFコイル347bにおける電流値は、第二AFコントローラ347cによって制御される。
具体的には、第一AFコントローラ346cは、制御部5から第一データ信号ラインL5を介して受け取った制御信号と、第一AFコントローラ346cの第一検出部346eの検出値に基づいて、第一AFコイル346bの電流値(第一電流値)を制御する。
また、第二AFコントローラ347cは、制御部5から第二データ信号ラインL6を介して受け取った制御信号と、第二AFコントローラ347cの第二検出部347eの検出値に基づいて、第二AFコイル347bの電流値(第二電流値)を制御する。
第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bに給電すると、第一AFコイル346bに流れる電流と第一AFマグネット346aの磁界、および、第二AFコイル347bに流れる電流と第二AFマグネット347aの磁界との相互作用により、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bにローレンツ力が生じる。
第一AFコイル346bから発生するローレンツ力と、第二AFコイル347bから発生するローレンツ力の向きおよび大きさが等しい場合、これら各ローレンツ力の合力の方向は、X方向における一方または他方の何れかである。第一AFマグネット346aおよび第二AFマグネット347aは、第二ベース32に固定されているので、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bに反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、第一AFコイル346bおよび第二AFコイル347bを保持するレンズガイド341がX方向(第二光軸の方向)に移動し、オートフォーカスが行われる。
上述のようなオートフォーカスは、レンズガイド341を、たとえば、図23Aの矢印Ax1のようにX方向に平行に変位させると好ましい。ところが、オートフォーカスの際、レンズガイド341の変位をX方向から逸脱させるような外力(たとえば、図23Aの矢印Afの方向のモーメント)が、レンズガイド341に作用する場合がある。このような外力が作用すると、レンズガイド341に作用する推力が、X方向に平行な推力(第一推力)のみだと、レンズガイド341は、図23Aの矢印AX2のように、X方向から逸脱した方向に変位してしまう。このような外力は、上述のモーメントだけでなく、たとえば、Y方向を向いた力の場合もある。あるいは、外力は、モーメントおよびY方向を向いた力を含む場合もある。
これに対して、本実施形態の場合、オートフォーカスの際、第一AFアクチュエータ346が生じる推力と、第二AFアクチュエータ347が生じる推力とを異ならせることにより、X方向に平行な推力(第一推力)と、上記外力に抗する抵抗力(第二推力)とを含むような推力を生成する。具体的には、オートフォーカスの際、AFアクチュエータ345は、第一AFコントローラ346c(つまり、第一検出部346e)により第一AFマグネット346aの位置を検出するとともに、第二AFコントローラ347c(つまり、第二検出部347e)により第二AFマグネット347aの位置を検出する。
そして、AFアクチュエータ345は、第一AFコントローラ346c(つまり、第一駆動制御部346f)により第一AFコイル346bの電流値を制御するとともに、第二AFコントローラ347c(つまり、第二駆動制御部347f)により第二AFコイル347bの電流値を制御する。これにより、第一AFアクチュエータ346が生じる推力と、第二AFアクチュエータ347が生じる推力とを異ならせる。このような推力の違いに基づいて、AFアクチュエータ345は、X方向に平行な推力(第一推力)と、上述の抵抗力(第二推力)とを含む推力を生成する。具体的には、X方向に平行な推力は、第一AFアクチュエータ346が生じる推力と、第二AFアクチュエータ347が生じる推力との合力である。また、上述の抵抗力(第二推力)は、第一AFアクチュエータ346が生じる推力と、第二AFアクチュエータ347が生じる推力との差異に基づいて生じるモーメント(図23Aの矢印Ar参照)である。
なお、上記第一電流値および上記第二電流値は、たとえば、事前に行われたキャリブレーションにより、第一駆動制御部346fおよび第二駆動制御部347fに記憶された予備データから選択される。この予備データは、たとえば、AFアクチュエータ345によりレンズガイド341をX方向に変位させた場合の、変位方向(たとえば、図23Aの矢印Ax1の方向)、変位量D3(図23A参照)、レンズガイド341のX方向からの逸脱方向(たとえば、図23Aの矢印AXの方向)、およびレンズガイド341のX方向からの逸脱量D4(図23A参照)からなるAF用パラメータと、このAF用パラメータに対応付けて記憶された上記逸脱量D4(傾きを含む。)をゼロにする第一電流値および第二電流値とを含む。上述のキャリブレーションは、レンズガイド341のX方向における全ストロークの範囲で、上記AF用パラメータに対応する第一電流値および第二電流値を求める。
上述の外力に対してAFアクチュエータ345が生成する抵抗力は、たとえば、図23Aの矢印Arの方向の回転モーメントである。そして、AFアクチュエータ345は、生成した推力(第一推力と第二推力との合力)を、レンズガイド341に作用させる。この結果、このような推力が作用したレンズガイド341は、上記外力が作用している状態において、図23Aの矢印Ax1のようにX方向に平行に変位できる。
なお、図23Bに二点鎖線で示されるように、レンズガイド341には、停止状態において、Y方向およびZ方向(具体的には、基準部32nの第一基準面32n1)に対して、傾斜させるような力が作用する場合がある。このような力は、組み付けの誤差、または、第一支持機構342を構成するスプリング342a1~342a4の個体差などに起因して生じる。このような傾きが存在すると、オートフォーカスの際、レンズガイド341がこの傾きを維持したまま変位してしまう。
そこで本実施形態の場合、図23Bに実線で示されるように、レンズガイド341のX方向+側の端面を基準部32nの第一基準面32n1に当接させた状態(つまり、レンズガイド341の基準状態)を基準として、上述のキャリブレーションを行う。これにより、上述のオートフォーカスの際、レンズガイド341は、基準部32nの第一基準面32n1に対して傾斜していない状態(つまり、図23Bの実線で示されるレンズガイド341の状態)を維持しつつ、X方向に変位できる。また、以上のような構成によれば、カメラモジュール1の組立工程において、プリズムモジュール2とレンズモジュール3との間のアクティブアライメントの作業を省略または簡略化できる可能性がある。
[本実施形態の作用・効果について]
以上のように、本実施形態に係るカメラモジュール1によれば、触れ補正の際、特定方向であるY方向に向けてレンズガイド341を精度よく変位させることができる。また、本実施形態に係るカメラモジュール1によれば、オートフォーカスの際、特定方向であるX方向に向けてレンズガイド341を精度よく変位させることができる。
[実施形態2]
図24および図25を参照して、本発明に係る実施形態2について説明する。本実施形態のカメラモジュールは、第二振れ補正装置の後側OISアクチュエータ351Bの構造が上述の実施形態1と異なる。以下、本実施形態のカメラモジュールについて、実施形態1と異なる構造を中心に説明する。
後側OISアクチュエータ351Bは、駆動機構であって、Y方向+側に配置された第一OISアクチュエータ352Bと、Y方向-側に配置された第二OISアクチュエータ353Bとを有する。
第一OISアクチュエータ352Bは、第一OISマグネット352a、および、一対の第一OISコイル352b1、352b2を有する。第一OISマグネット352aは、上述の実施形態1と同様である。
一対の第一OISコイル352b1、352b2はそれぞれ、振れ補正時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。一対の第一OISコイル352b1、352b2はそれぞれ、長軸がX方向に一致した状態で、第二ベース32のコイル載置部32iに、X方向に離れた状態で固定されている。
第二OISアクチュエータ353Bは、第二OISマグネット353a、一対の第二OISコイル353b1、353b2、第一OISコントローラ353e、および第二OISコントローラ353fを有する。第二OISマグネット353aは、上述の実施形態1と同様である。
一対の第二OISコイル353b1、353b2はそれぞれ、振れ補正時に給電される長円形状のいわゆる空心コイルである。一対の第二OISコイル353b1、353b2はそれぞれ、長軸がX方向に一致した状態で、第二ベース32のコイル載置部32jに、X方向に離れた状態で固定されている。
図示は省略するが、第二OISコイル353b1は、第一OISコイル352b1と電気的に接続されている。第二OISコイル353b2は、第一OISコイル352b2と電気的に接続されている。
図25に示されるように、第一OISコイル352b1および第二OISコイル353b1は、第一コイル給電ラインL9a、L10aを介して、第一OISコントローラ353eと接続されている。第一OISコイル352b1および第二OISコイル353b1の電流値は、第一OISコントローラ353eにより制御される。
また、図25に示されるように、第一OISコイル352b2および第二OISコイル353b2は、第二コイル給電ラインL11a、L12aを介して、第二OISコントローラ353fと接続されている。第一OISコイル352b2および第二OISコイル353b2の電流値は、第二OISコントローラ353fにより制御される。
第一OISコントローラ353eは、FPC344Bに固定されている。このような第一OISコントローラ353eは、第一検出部353gと、第一駆動制御部353hとを有する。
第一検出部353gは、第一検出部353gが固定された位置における第二OISマグネット353aの磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出する。第一検出部353gは、検出値を、第一駆動制御部353hに送る。
第一駆動制御部353hは、第一検出部353gから受け取った検出値に基づいて、第一OISコイル352b1および第二OISコイル353b1の電流値を制御する。なお、第一駆動制御部353hは、第一OISコイル352b2および第二OISコイル353b2の電流値に関する制御は行わない。
第二OISコントローラ353fは、FPC344Bに固定されている。このような第二OISコントローラ353fは、第二検出部353iと、第二駆動制御部353jとを有する。
第二検出部353iは、第二検出部353iが固定された位置における第二OISマグネット353aの磁束(位置に関する情報ともいう。)を検出する。第二検出部353iは、検出値を、第二駆動制御部353jに送る。
第二駆動制御部353jは、第二検出部353iから受け取った検出値に基づいて、第一OISコイル352b2および第二OISコイル353b2の電流値を制御する。なお、第二駆動制御部353jは、第一OISコイル352b1および第二OISコイル353b1の電流値に関する制御は行わない。
以上のような後側OISアクチュエータ351Bは、図25に示されるようなOIS駆動制御回路344cにより制御部5と接続されている。OIS駆動制御回路344cは、FPC344Bに設けられている。
OIS駆動制御回路344cは、図25に示されるように、第一電源ラインL1a、第二電源ラインL2a、第一接地ラインL3a、第二接地ラインL4a、第一データ信号ラインL5a、第二データ信号ラインL6a、第一クロックラインL7a、第二クロックラインL8a、第一コイル給電ラインL9a、L10aおよび第二コイル給電ラインL11a、L12aを有する。このようなOIS駆動制御回路344cは、上述の実施形態1におけるAF駆動制御回路344bとほぼ同様である。このため、OIS駆動制御回路344cに関する詳しい説明は省略する。OIS駆動制御回路344cについては、上述の実施形態1におけるAF駆動制御回路344bに関する説明を、適宜読み替えることができる。
上述のような本実施形態の構成は、第一OISコイル352b1および第二OISコイル353b1の電流値と、第一OISコイル352b2および第二OISコイル353b2の電流値とを独立して制御することにより、第一OISコイル352b1、第二OISコイル353b1、第一OISマグネット352a、および第二OISマグネット353aにより構成されるアクチュエータ(以下、第一アクチュエータという。)が発生する推力と、第一OISコイル352b2、第二OISコイル353b2、第一OISマグネット352a、および第二OISマグネット353aにより構成されるアクチュエータ(以下、第二アクチュエータという。)とが発生する推力とを異ならせることができる。
具体的には、第一アクチュエータが発生する推力と、第二アクチュエータが発生する推力とが同じ場合には、後側OISアクチュエータ351Bが発生する推力は、Y方向の第一推力のみからなる。一方、第一アクチュエータが発生する推力と、第二アクチュエータが発生する推力とが異なる場合には、後側OISアクチュエータ351Bが発生する推力は、第一アクチュエータが生じる推力と第二アクチュエータが生じる推力の合力であるY方向の第一推力と、この合力に基づいて生じる可動側部材の重心Gまわりのモーメントである第二推力とを有する。
このような第二推力は、振れ補正の際、レンズガイド341をY方向から逸脱させようとする外力に抗する抵抗力となる。これにより、後側OISアクチュエータ351Bは、振れ補正の際、レンズガイド341のX方向からの逸脱量を少なくまたはゼロにできる。その他の、構成および作用・効果は上述の実施形態1と同様である。
なお、振れ補正の際の本実施形態に係るカメラモジュールの動作は、上述の実施形態1に係るカメラモジュールの動作を適宜読み替えればよい。また、本実施形態の構成は、上述の実施形態1の構成と、技術的に矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施できる。
[付記]
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上述の各実施形態は、カメラモジュールが、固定側部材に対して可動側部材を弾性的に支持する第一支持機構と、固定側部材に対して可動側部材をXY平面内での変位可能かつZ方向への変位不能に支持する第二支持機構とを備えている。
ただし、本発明を実施する場合に、固定側部材に対して可動側部材を変位可能に支持する支持機構の構成は、上述の第一支持機構および第二支持機構に限定されない。
たとえば、本発明を実施する場合に、上述の第一支持機構および第二支持機構のうちの少なくとも一方の支持機構を省略してもよい。たとえば、図26に示されるレンズモジュール3Bは、上述の実施形態1および実施形態2のレンズモジュール3から、第一支持機構342(図9C、図10、および図14参照)を省略した構成を有する。
すなわち、図26に示されるレンズモジュール3Bは、固定側部材に対して可動側部材を変位可能に支持する支持機構として、上述の実施形態1および実施形態2における第二支持機構343(図9Cおよび図10参照)のみを有している。第二支持機構343の構造は、前述の実施形態1と同様である。また、図26に示されるレンズモジュール3Bは、第一支持機構342を有していないため、第一支持機構342に対応する構成(たとえば、第二ベース32のスプリング配置部32m1~32m4など、図9Cおよび図10参照)も有していない。
なお、図示は省略するが、レンズモジュールは、固定側部材に対して可動側部材を変位可能に支持する支持機構として、上述の実施形態1および実施形態2における第一支持機構342のみを有していてもよい。また、固定側部材に対して可動側部材を弾性的に支持する第一支持機構は、スプリング配置部32m1~32m4の代わりに、複数のサスペンションワイヤ(不図示)により構成されてもよい。
また、たとえば、上述の各実施形態では、カメラモジュール1を備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部を有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、たとえば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(たとえば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器は、たとえば自動車を含む。
図28A、図28Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図28Aは自動車Vの正面図であり、図28Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図28に示すように、車載用カメラモジュールVCは、たとえば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用などとして使用される。
また、本発明におけるAF用ボイスコルモーター及びOIS用ボイスコイルモーターの構成は、上述の各実施形態で示したものに限定されない。
また、固定側部材に対して可動側部材を支持する支持機構として、上述の各実施形態で示した第一支持機構342のスプリング342a1~342a4に代えて、たとえば、エラストマなどからなる弾性支持部材を適用することもできる。
本発明は、OIS機能を有さず、AF機能のみを有するレンズ駆動装置にも適用できる。また、本発明は、AF機能を有さず、OIS機能のみを有するレンズ駆動装置にも適用できる。
今回開示された上述の各実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2018年4月27日出願の特願2018-87355の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。