以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュール100を搭載するスマートフォンMを示す図である。図3AはスマートフォンMの正面図であり、図3BはスマートフォンMの背面図である。
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュール100を搭載する。カメラモジュール100は、オートフォーカス機能及び手振れ補正機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる手振れ(振動)を補正して像ぶれのない画像を撮影することができる。カメラモジュール100の手振れ補正機能には、モジュールチルト方式が採用される。モジュールチルト方式は、画面四隅に歪みが生じないという利点を有する。
図4は、カメラモジュール100の外観斜視図である。図5は、カメラモジュール100の分解斜視図である。図6は、カメラモジュール100のY方向に沿う断面図である。図7は、カメラモジュール100のX方向に沿う断面図である。なお、図6及び図7は、特にボイスコイルモーター部分の磁気回路部を示す。
ここでは、図4〜7に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。カメラモジュール100は、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向(光軸方向を含む)が前後方向となるように搭載される。
図4〜図7に示すように、カメラモジュール100は、固定体11、可動体12、弾性支持部13、撮像モジュール(被駆動部)14、振れ検出部(ジャイロセンサー)15、中継基板30、位置ずれ検出部(傾き検出部)40及びドライバIC60等を備える。固定体11、可動体12、弾性支持部13及び振れ検出部(ジャイロセンサー)15によって、OIS用アクチュエーターAが構成される。OIS用アクチュエーターAにおいては、コイル部112及びマグネット部122を有するOIS用ボイスコイルモーターの駆動力を用いて手振れ補正が行われる。
固定体11は、スマートフォンMに実装したときに移動不能に固定される。固定体11は、弾性支持部13を介して可動体12を可動可能に支持する。固定体11は、ベース部材111、コイル部112、OIS用プリント配線基板113、スカート部材(カバー部材)114、本体カバー部材(以下、「カバー部材」という)115、及びリジッドフレキシブル基板(Rigid flexible printed wiring board、リジッドFPC)117を有する。
リジッドFPC117は、上述したように、ガラスエポキシなどの硬い材質からなるリジッド部と、組み込みや繰り返し屈曲のための曲げる部位にはフレキシブル基板(FPC:Flexible printed circuits)用の曲がる材料(ポリイミド)を使用している。ここでは、FPC上にガラスエポキシ基板を貼設して構成され、FPCと同様の屈曲性を有すると共に、FPCよりも剛性の強い基板となっている。
リジッドFPC117上には、ベース部材111が配置されている。リジッドFPC117には、ベース部材111から離れた位置に、ドライバIC60と、後述する振れ検出部15が中継基板30を介して実装されている。また、リジッドFPC117には、ベース部材111の配置領域内で露出する位置ずれ検出部40が実装されている。
ドライバIC(駆動部)60は、制御部の制御によりコイル部112に給電して可動体12を可動、つまり、可動体12に取り付けられる撮像モジュール14を駆動する。
ベース部材111は、金属材料からなる略矩形状の部材であり、リジッドFPC117上に配置されている。ベース部材111を金属製とすることにより、樹脂製の場合に比較して強度が高くなるので、ベース部材111を薄くすることができ、ひいてはカメラモジュール100の低背化を図ることができる。
ベース部材111は、中央に、弾性支持部13を固定するための角錐台状の突出部111aを有する。ベース部材111は、突出部111aの周囲に、コイル部112へ給電するためのパッド状の給電部111bを有する。ベース部材111は、突出部111aの周囲において給電部111bを避けて切り欠いた部位111Cに位置ずれ検出部40が配置されている。
位置ずれ検出部40は、弾性支持部13を介して固定体11に取り付けられる可動体12の位置、つまり、撮像モジュール14の位置を、非接触で検出するものであり、その検出信号は、リジッドFPC117の回路に接続されている。位置ずれ検出部40を用いて可動体12つまり撮像モジュール14をセンシングし、ジャイロセンサーによるセンシングを行うことなく、可動体12つまり撮像モジュール14の振れを補正する。
位置ずれ検出部40は、例えば、ホール素子等により構成される。ここでは、位置ずれ検出部40は、磁気式位置検出部としての2つのホール素子(第1のホール素子、第2のホール素子)40a、40bにより構成されている。位置ずれ検出部40としてのホール素子40a、40bは、後述するマグネット部122を構成する4つの永久磁石122A〜122Dのうちの2片(永久磁石122C、122D)とそれぞれ離間して対向配置されている。各ホール素子40a、40bは、永久磁石122C、122DにおけるN極からS極への方向を横切るように配置される。具体的には、ホール素子40a、40bは、ベース部材111において、コイル部112のY軸、X軸方向に沿って、チルトコイル112C、112Dに並んで実装されている。ここでは、ホール素子40a、40bは、チルトコイル112C、112Dよりも中心(光軸)側に配置されている。チルトコイル112C、112D内には、永久磁石122C、122Dがそれぞれ配置されるので、ホール素子40a、40bは、それぞれ永久磁石122C、122Dと対向して位置する構成となっている。
詳細には、一方のホール素子40aは、そのホール素子40aが光軸に対して第1の方向(前後方向)Xの前側に配置され、それと対向する永久磁石122Cの磁力を検出することにより、第1の方向(前後方向)Xの移動(揺動)に伴う第1の位置を検出する。
他方のホール素子40bは、そのホール素子40bが光軸Oに対して第2の方向(左右方向)Yの右側に配置されており、それと対向する永久磁石122Dの磁力を検出することにより、第2の方向(左右方向)Yの移動(揺動)に伴う第2の位置を検出する。
これにより、ホール素子40aは、永久磁石122CのX軸方向の移動量を検出でき、ホール素子40bは、永久磁石122DのY軸方向の移動量を検出できる。言い換えれば、ホール素子40a、40bは、撮像モジュールのX軸方向、Y軸方向の移動量、すなわち、光軸に対する直交する平面上での移動を検出する。これにより、制御部は、振れ検出部(ジャイロセンサー)15により検出される固定体11(カメラモジュール100自体)の振れと、ホール素子40a、40bによる検出位置とに基づいて撮像モジュール14の振れを補正するドライバIC60を介して、可動体12(撮像モジュール14)を可動して、撮像モジュールのX軸方向、Y軸方向の移動量に相当する位置まで移動させて振れを補正することができる。
また、ホール素子40a、40b(位置ずれ検出部40)は、撮像モジュールのX軸方向、Y軸方向の移動量を検出できるので、撮像モジュール14の自重によるオフセット(自重だれ)、或いは、可動体12を固定体11に取り付けられた際の撮像モジュール14のFPCの反力によるオフセットを検出する。これにより、カメラモジュール100は、位置ずれ検出部40を用いて、撮像モジュール14のオフセット位置を検出して補正することにより、撮像モジュール14を傾くこと無く正確に位置させることができる。
また、ベース部材111は、周縁部を構成する4辺の中央部分に、カバー部材115及びスカート部材114を固定する際の位置決めを行う突出辺部1111を有する。この突出辺部1111は、スカート部材114及びカバー部材115が取り付けられた際に、それぞれの切り欠き部1141、1151に係合する。具体的には、スカート部材114は、切り欠き部1141を、突出辺部1111に係合することにより、ベース部材111の外周縁に外嵌して位置決め固定される。カバー部材115は、切り欠き部1151をベース部材111の突出辺部1111に係合させるとともに、スカート部材114の外周面に外嵌させる。これにより、カバー部材115もベース部材111の突出辺部1111により位置決めされる。
コイル部112は、4つのチルトコイル112A〜112Dで構成され、突出部111aを囲繞するようにベース部材111に配置される。コイル部112(チルトコイル112A〜112D)は、コイルの巻回軸を、ベース部材111とヨーク(保持部材)120との対向方向(ここでは、Z方向)に向けて配設されている。コイル部112(チルトコイル112A〜112D)には、給電部111bを介して給電が行われる。
チルトコイル112A、112CはX方向に対向し、可動体12を、Y軸を中心に回転揺動(θY)させる場合に使用される。チルトコイル112B、112DはY方向に対向し、可動体12を、X軸を中心に回転揺動(θX)させる場合に使用される。
OIS用プリント配線基板113は、コイル部112に給電するための電源ライン(図示略)を有する。OIS用プリント配線基板113は、ベース部材111の底面に固定され、電源ラインは、ベース部材111の給電部111bに電気的に接続される。
スカート部材114は、4つの壁体114bを矩形枠状に連結した部材であり、撮像モジュール14の受容口114aを有する。スカート部材114は、ベース部材111の突出辺部1111に対応する位置、つまり、スカート部材114の各壁体114bの下端部の中央部分に、切り欠き部1141を有する。スカート部材114の各壁体114bの上部には、各上部から内側に僅かに張り出して形成された矩形枠状の規制部114dを有し、規制部114dは、枠状内、つまり、スカート部材114の受容口114a内に配置される可動体12が過剰に傾斜するのを防止する。
スカート部材114は、ベース部材111に弾性支持部13を介して可動体12が取り付けられた後、ベース部材111の外周縁に外嵌することにより固定される。ベース部材111とスカート部材114との間に可動体12が挟装されることになる。
カバー部材115は、上面の蓋部分に開口(開口部)115aを有する有蓋矩形筒状の部材である。カバー部材115は、開口部115aを介して撮像モジュール14のレンズ部141を外部に臨ませる。カバー部材115は、筒状の周壁部分の下端部に、ベース部材111の突出辺部1111に対応する位置に形成された切り欠き部1151を有する。
カバー部材115は、OIS用アクチュエーターAに撮像モジュール14が搭載された後、スカート部材114に外嵌して、切り欠き部1151をベース部材111の突出辺部1111に係合させることによりベース部材111に固定される。カバー部材115の一側面には、撮像モジュール用プリント配線基板143を外部に引き出すための引出口115bが形成されている。引出口115bは、カバー部材115の一側面の一部を加工して外方に張り出すフード部115cを形成することによって、フード部115cの下方に形成されている。
可動体12は、固定体11に対してX軸及びY軸を中心に揺動回転する。可動体12は、ヨーク(保持部材)120、マグネット部122、及び位置決めプレート126を有する。OIS用アクチュエーターAに撮像モジュール14を実装する際、ヨーク120は、撮像モジュール14を直接保持する。撮像モジュール14は、例えば両面テープ或いは樹脂製の接着剤等によって、ヨーク120の上面に接着される。この構成により、特許文献1に記載のモジュールガイドのような位置決め部材を用いることなく、治具を使用することにより、ヨーク120に撮像モジュール14を高精度で位置決めして固定することができる。
ヨーク120は、磁性材料により形成された矩形枠状の部材であり、矩形枠状のヨーク本体(保持部本体)121と、ヨーク本体121の枠状内側に設けられ、且つ、載置される撮像モジュール14を固定する平枠状の保持枠部1211とを有する。
ヨーク本体121は、下面にマグネット部122が固定される4つの平板を矩形状に連結した平枠状の上板部121aを有する。ヨーク本体121は、上板部121aの外周縁部(具体的には、上板部121aを構成する各平板の外縁部)に沿って、下方に向けて突出し垂れ下がるように形成された外側垂下部121bを有する。また、ヨーク本体121は、上板部121aの内周縁部(具体的には、上板部121aを構成する各平板の内縁部)に沿って、下方に向けて突出し垂れ下がるように形成された内側垂下部121cを有する。すなわち、ヨーク本体121の1辺の断面形状は、ベース部材111側に開口する凹状であり、つまり、下方に開口する「U」字状となっている。この凹状内の底面である上板部121aが、保持枠部1211よりもベース部材111から離間する位置に位置する。また、ヨーク本体121の内側垂下部121cの下端部に保持枠部1211の外周縁部が接合されている。保持枠部1211の上面(ヨーク120の上面の一部)に、撮像モジュール14の底面が両面テープ或いは樹脂製の接着剤により固定される。
このように、ヨーク120では、マグネット部122が固定されるヨーク本体121の上板部121aは、内側垂下部121cを介して、撮像モジュール14が固定される保持枠部1211より外周側で、且つ、保持枠部1211よりも高い位置に位置している。つまり、上板部121aは、保持枠部1211の周囲で、保持枠部1211よりもベース部材111からZ方向に離れた位置に配置されている。
この構成により、保持枠部1211と上板部121aとの間には、保持枠部1211を上板部121aよりもベース部材111に近接させる段差が形成され、ヨーク120全体では、中央に凹状部が形成され、この凹部内に撮像モジュール14が固定される。このヨーク120によって、マグネット部122及びコイル部112を有する磁気回路の撮像モジュール14に対する磁気干渉を防止している。
マグネット部122は、チルトコイル112A〜112Dに対応する、直方体状の4つの永久磁石122A〜122Dで構成される。永久磁石の代わりに電磁石を用いてもよい。永久磁石122A〜122Dの大きさは、チルトコイル112A〜112Dの内側に収まる程度とされる。
永久磁石122A〜122Dは、ヨーク120のそれぞれの平板の下面に、着磁方向がZ方向となるように配置され、例えば接着により固定される。ここでは、永久磁石122A〜122Dを所定の位置に配置されるように形成された位置決めプレート126を介して固定されている。位置決めプレート126は、磁性材料或いは非磁性材料で形成され上板部121aの下面の形状に対応した形状をなし、永久磁石122A〜122Dの配置箇所に対応した4つのスリットが形成されている。この位置決めプレート126を上板部121aの下面に両面テープ或いは接着剤等により固定し、位置決めプレート126の各スリットに永久磁石122A〜122Dを上板部121aの下面に接触させつつ填め込む。これにより、ヨーク120に対して永久磁石122A〜122Dは高精度で位置決めされて固定される(図6〜図8参照)。
また、永久磁石122A〜122Dは、ヨーク120の内側垂下部121cと外側垂下部121bの間に位置する。ここでは、永久磁石122A〜122Dは、内側垂下部121cと外側垂下部121bのそれぞれに対してギャップを設けた位置で、それぞれに対向する。
マグネット部122とヨーク120(詳細にはヨーク本体121)との間にコイル部112が位置する(図5、6参照)。マグネット部122は、コイル部112の巻線の巻回軸上に位置する。マグネット部122及びコイル部112は、ヨーク120及びベース部材111において、コイル部112の中央部を撮像モジュール14の接着方向に沿って開口させ、このコイル部112の中央部にマグネット部122が突出するように配置されている。
具体的には、外側垂下部121bと永久磁石122A〜122Dとの間、及び内側垂下部121cと永久磁石122A〜122Dの間にチルトコイル112A〜112Dが位置する。このように、コイル部112の周囲はヨーク120によって覆われるので、コイル部112の通電電流による磁界に起因して、撮像モジュール14のAF用アクチュエーターが悪影響を受けるのを回避できる。
また、マグネット部122及びコイル部112、つまりこれらを有する磁気回路部が、撮像モジュール14の下端部と保持枠部1211の外周側(具体的には、XY方向側)に位置する。つまり、マグネット部122及びコイル部112を有する磁気回路部は、撮像モジュール14の下端部と保持枠部1211の真下には配置されていない。すなわち、マグネット部122(永久磁石122A〜122D)及びコイル部112(チルトコイル112A〜112D)は、撮像モジュール14の下端部とヨーク120の保持枠部1211とのXY方向の外周側で、ベース部材111上に配置されている。
弾性支持部13は、2軸ジンバル機構を有する矩形状の部材(いわゆるジンバルばね)で構成される。図8は、弾性支持部の説明に供する図であり、弾性支持部が取り付けられたヨークの底面図である。
弾性支持部13は、図8に示すように、中央部13aと、中央部13aに内側ジンバル13bを介在して連接されX軸及びY軸を中心に回転揺動する外側ジンバル13cを有する。なお、図8では、弾性支持部13であるジンバルを、他の構成部材と差別化するためにハッチングで示している。図8に示すように、中央部13aは矩形枠状を有し、内側ジンバル13bは入り組んだ湾曲形状を有する。外側ジンバル13cは、ここでは2本の細長板状を有し、中央部13aで互いに対向する一対の辺部の外側に、それぞれの辺部と平行に配置されている。外側ジンバル13cの中央部で内側ジンバル13bの一端と接合されている。なお、内側ジンバルの他端は中央部13aに接合されている。
弾性支持部13の中央部13aが、ベース部材111の突出部111aに外嵌して接着または溶接される。これにより、弾性支持部13では、図7に示すように、中央部111aより外周側の部分は、ベース部材111の上面から所定間隔して位置した状態となる。なお、この所定間隔は、弾性支持部13が可動するX方向、Y方向の中心軸回りに回動する際の可動範囲となる。また、図8に示すように、弾性支持部13の外側ジンバル13bは、ヨーク120の保持枠部1211の下面の平行な一対の辺部に接着または溶接される。これにより、可動体12は、ベース部材111の略中央に浮遊した状態で配置され、X軸及びY軸を中心として揺動回転可能となる。弾性支持部13は、ベース部材111に接着により固定されるので、特許文献1に記載のストッパーのような係止部材は必要ない。また、撮像モジュール14が上面に接着された保持枠部1211の下面に、弾性支持部13が、外側ジンバル13cを介して取り付けられている。弾性支持部13と撮像モジュール14とのZ方向に離れた長さは、ほぼ保持枠部1211の厚み分となる。これにより、カメラモジュール100自体のZ方向の長さの短縮化、つまり、カメラモジュール100の低背化を図ることができる。
撮像モジュール14は、レンズ部141、撮像素子(図示略)、AF用アクチュエーター142、及び撮像モジュール用プリント配線基板143を有する。
撮像素子(図示略)は、例えばCCD(charge coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)は、撮像モジュール用プリント配線基板143に実装される。撮像素子(図示略)は、レンズ部141により結像された被写体像を撮像する。
AF用アクチュエーター142は、例えばAF用ボイスコイルモーターを有し、AF用ボイスコイルモーターの駆動力を利用して、レンズ部141を光軸方向に移動させる。AF用アクチュエーター142には、公知の技術を適用できる。
撮像モジュール用プリント配線基板143は、ここでは、可撓性を有するフレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits)により構成される。撮像モジュール用プリント配線基板143は、AF用アクチュエーター142のコイル部(図示略)に給電するための電源ライン(図示略)及び撮像素子から出力される映像信号用の信号ライン(図示略)を有する。撮像モジュール用プリント配線基板143は、OIS用アクチュエーターAに撮像モジュール14を搭載したときに、図7に示すように、スカート部材114の内側からスカート部材114を乗り超えて、カバー部材115の引出口115bを介して外部に引き出される。詳細には、撮像モジュール用プリント配線基板143は、撮像モジュール14の下面から上方に延出し、スカート部材114から所定間隔を空けた上方で、スカート部の外側に向かって延びるように折曲され、カバー部材115の引出口115bから外部に延出している。引き出された撮像モジュール用プリント配線基板143は、固定体11のリジッドFPC117に接続される。このように、撮像モジュール用プリント配線基板143は、可動体12に設けられた構成であるが、可撓性を有するため、可動体12の可動を妨げることはない。なお、撮像モジュール用プリント配線基板143を途中で枝分かれさせて、電源ラインと、映像信号用の信号ラインとに別々のコネクタを装着するようにしてもよい。
OIS用アクチュエーターAにおいては、マグネット部122(永久磁石122A〜122D)及びコイル部112(チルトコイル112A〜112D)を有する磁気回路部は、撮像モジュール14の下端部及びヨーク120の保持枠部1211に対して、XY方向の外周側で、ベース部材111上に配置される。
磁気回路部は、撮像モジュール14の下端部及びヨーク120の保持枠部1211にXY方向で、磁気回路部の一部が重なる位置に配置される。つまり、マグネット部122及びコイル部112の一方(ここでは、マグネット部122)がX方向及びY方向で重なる位置に配置されている。ここでは、マグネット部122を構成する永久磁石122A〜122Dは、コイル部112を構成するチルトコイル112A〜112Dの上方で、且つ、チルトコイル112A〜112D内側に一部を挿入して位置された状態で配置する。これにより、永久磁石122A〜122Dは、それぞれ対応するチルトコイル112A〜112Dの上方で、各チルトコイル112A〜112Dの巻回軸方向(Z方向)に沿って配置されている。
このように配置されるマグネット部122及びコイル部112を有するOIS用ボイスコイルモーターにおいて、コイル部112に電流が流れていない初期状態では、撮像モジュール14(可動体12)は、光軸がZ方向と一致する中立位置に保持される。ここで、可動体12を固定体11に取り付けた際に、撮像モジュール14(可動体12)が自重だれ等により中立位置からオフセットしている場合、位置ずれ検出部40で検出したオフセット位置を用いて、ドライバIC60を介して可動体12の位置を補正して、光軸をZ方向と一致する中立位置に位置させる。
コイル部112に電流が流れると、マグネット部122の磁界とコイル部112に流れる電流との相互作用により、コイル部112にZ方向のローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。コイル部112は固定されているので、可動体12であるマグネット部122に反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となる。
具体的には、X軸方向に対向するチルトコイル112A、112Cに互いに逆向きの電流を流すと、永久磁石122A、122CにはZ方向において互いに逆向きの力が働く。したがって、撮像モジュール14を含む可動体12は、弾性支持部13の中央部13aを支点として、Y軸を中心に揺動回転する。同様に、Y軸方向に対向するチルトコイル112B、112Dに互いに逆向きの電流を流すと、撮像モジュール14を含む可動体12は、弾性支持部13の中央部13aを支点として、X軸を中心に揺動回転する。OIS用ボイスコイルモーターの駆動力(マグネット部122に働く力)と、弾性支持部13の復元力が釣り合うまで、可動体12は揺動回転する。
このとき、可動体12の揺動回転によって、撮像モジュール14の振れが相殺されるように、位置ずれ検出部40の検出結果に基づいてコイル部112の通電電流が制御される。これにより、手振れによる光軸のズレが補正され、光軸方向が一定に保持される。
また、スカート部材114の規制部114dによって可動体12の揺動回転が規制されるので、落下衝撃等によって可動体12が過剰に揺動回転するのを防止することができる。
振れ検出部15は、リジッドFPC117上に中継基板30を介して実装されており、カメラモジュール100の振れ(動き)を検出する。振れ検出部15は、例えばカメラモジュール100、すなわち、カメラモジュール100が搭載された電子機器(ここではスマートフォン)の角速度を検出するジャイロセンサーで構成される。振れ検出部15は、少なくとも光軸Oに対して直交する2軸(X軸、Y軸)方向の振れを検出する。
振れ検出部15の検出信号は、中継基板30及びリジッドFPC117を介して制御部に出力される。制御部は、この検出信号と、位置ずれ検出部40(ホール素子40a、40b)の検出信号とに基づいてドライバIC60を介してコイル部112の通電電流を制御する。なお、制御部(図示略)は、撮像モジュール用プリント配線基板143に実装するようにしてもよいし、リジッドFPC117に実装するようにしてもよい。また、プリント配線基板を介してスマートフォンMに実装されている制御部を利用するようにしてもよい。
図9は、中継基板30の説明に供する図であり、図9Aは、中継基板30の平面図、図9Bは同中継基板の部分断面図、図9Cは、中継基板の底面図である。
中継基板30は、リジッドFPC117上に実装されるとともに、その表面30aには振れ検出部15であるジャイロセンサーが実装される。
中継基板30は、リジッドFPC117よりも剛性が高くリジッドFPC117の変形に追従しない材料で形成される。中継基板30は、断熱性、絶縁性を有することが望まし。中継基板30は、例えばセラミック基板であり、絶縁性、断熱性表裏面とも平滑なフラット面として形成されることが好ましい。中継基板30は、振れ検出部15であるジャイロセンサーと、リジッドFPC117における回路バターンとを電気的に接続する。
中継基板30は、表面31にジャイロセンサーの出力端子または固定端子に対応したパッド32が形成され、下面側には、表面31のパッド32に配線される外部端子部33が形成されている。中継基板30は、セラミック基板であることから、絶縁性、断接性を有するとともに、厚みを有して構成することができる。また、セラミック基板であれば、基板本体にメッキ電極処理により電極を形成できる。ここでは、中継基板30は、複数層からなる平面視矩形状に形成されており、表面31を構成する表面層30a、2つの中間層30b、30c及び裏面層30dを有する。
各層30a〜30dには厚み方向にそれぞれ対応して接続されるパッド、配線が形成されている。特に、中間層30c、裏面層30dの外周には、半円状の切欠部が形成されている。この切欠部にメッキ電極処理(例えば、金メッキ)が施されることで外部端子部33を構成している。すなわち、外部端子部33はそれぞれ、各層30a〜30dの配線、パッドを介して、対応する表面31のパッド32に接続されている。
この外部端子部33は側方に開口する円弧状であるので、この円弧内に端子を配置、つまり、中継基板30の側方で端子を接続することができる。これにより、外部端子部33を、リジッドFPC117において対応する回路パターン上に配置して、外部端子部33の側方から、半田で容易に接続できる。
本実施の形態では、振れ検出部(ジャイロセンサー)15を、撮像モジュール14の側面に設けることなく、カメラモジュール100のリジッドFPC117上に実装し、手振れ角度、つまり、カメラモジュール100自体の角度を検出して制御部に出力する。制御部では、その角度相当のホール素子40a、40bからの出力(ホール出力値)を得るように、ドライバIC60介してコイル部112の通電電流を制御し、可動体12を可動(チルト)させて、手振れを補正する。
図10は、可動体12の角度(可動体12に固定される撮像モジュールの角度と同義)と、ホール出力値の関係の説明に供する図である。図10では、補正値を加えてX軸方向で検出した値を「〇」のグラフで示し、補正値を加えてY軸方向で検出した値を「□」のフラグで示す。
図10に示すように、オフセットすることはあるもののホール素子40a、40bの出力とxtilt量(xの可動量)とはリニアに出力される関係を有する。
また、AF用アクチュエーター142の側面にジャイロセンサーが取り付けられている場合、AF用アクチュエーター142の駆動時の発熱によっては、ジャイロセンサーに熱が伝達されて温度ドリフトが発生する可能性があるがこれを回避できる。
なお、中継基板30への振れ検出部15の実装、または、リジッドFPC117への中継基板30の実装は、互いを電気的に接続するも半田ペーストを用いて行っても良い。
また、従来のカメラモジュール2(図1、図2参照)では、振れ検出部25が可動体22(モジュールガイド224)に取り付けられる一方、振れ検出部25の検出信号は固定体21となるOIS用プリント配線基板213を介して出力される。OIS用プリント配線基板213によって可動体22の揺動回転が阻害され、チルト動作の感度が低下するため、OIS用アクチュエーターの駆動力が必然的に大きくなる。
これに対して、本実施の形態に係るカメラモジュール100においては、振れ検出部15は、可動体12(具体的には、撮像モジュール14)には取り付けられておらず、固定体11側のリジッドFPC117に実装されている。そして、カメラモジュール100における撮像モジュール14の傾き検出を振れ検出部15で行わず、振れ検出部15で検出したカメラモジュール100自体の傾きを検出することで、手振れ角度を検出し、この角度相当の検出信号(ホール出力値)を、位置ずれ検出部40で検出されるように、ドライバIC60を介してコイル部122の通電電流を制御して、可動部12を可動する。
これにより、撮像モジュール14に振れ検出部(ジャイロセンサー)15を取り付けることなく、手振れ補正を行うことができる。
また、振れ検出部(ジャイロセンサー)15を実装するためのFPCも必要なくなり工数削減を図ることができる。スカート部材114内で可動する撮像モジュール14の可動領域を設定する際に、振れ検出部15が搭載されない分、撮像モジュール14の可動領域を大きくすることができ、手振れ補正の範囲を大きくできる。
また、撮像モジュール14に、振れ検出部(ジャイロセンサー)15を実装しないので、振れ検出部(ジャイロセンサー)15を実装するためのFPCも必要なくなり工数削減を図ることができる。
また、固定体11のOIS用プリント配線基板113をコイル部112への給電のためだけに用いることができ、別途電源ラインを用意することで、省略することもできる。これにより、低コスト化、省スペース化を図ることができる。
また、ヨーク120は、撮像モジュール14の保持枠部1211をコイル部112及びマグネット部122の何れか一方の上板部121aよりもベース部材111に近接させる段差を有する。よって、ヨーク120における撮像モジュール14の載置部位をコイル部112又はマグネット部122の配設部位よりも低くすることができるので、さらなる低背化をより確実に実現することができる。同時に、磁気回路部の高さ、つまり、コイル部112とマグネット部122との長さが制限されないので、磁気効率の減少、これに伴う消費電力の増加を招くことがない。すなわち、磁気回路部の構成に必要な高さスペースを、撮像モジュール14の側面に振れ検出部15が取り付けられていないので、そのスペースの分、撮像モジュール14の外周空間を利用して確保でき、磁気回路部自体の構成を、高さ方向に大きくできる。例えば、コイル部112(チルトコイル112A〜112D)の巻き数を増やして高さ(Z方向の長さ)を高くしたり、マグネット部122(永久磁石122A〜122D)のZ方向の長さを長くしたりできる。これにより、より磁力を大きくすることができ、磁気効率の増加や低消費電力化を図ることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、実施の形態では、固定体11がコイル部112を有し、可動体12がマグネット部122を有する、いわゆるムービングマグネット方式のアクチュエーターについて説明したが、本発明は、固定体がマグネット部を有し、可動体がコイル部を有する、いわゆるムービングコイル方式のアクチュエーターにも適用できる。この場合、ヨークも固定体に配置されることとなる。
また、実施の形態では、X軸を中心に可動体12を揺動回転させるボイスコイルモーターとして、チルトコイル112A、永久磁石122A及びチルトコイル112C、永久磁石122Cの2組を配置し、Y軸を中心に可動体12を揺動回転させるボイスコイルモーターとして、チルトコイル112B、永久磁石122B及びチルトコイル112D、永久磁石122Dの2組を配置しているが、それぞれ少なくとも1組が配置されていればよい。
位置ずれ検出部40は、固定体11上で、可動体12の底面に対向して配置されている。これにより、位置ずれ検出部40は、占有スペースを極力小さくして、手振れ補正を可能にする。
また、アクチュエーターAを構成する各部品は、耐熱性の高い材料で構成されるのが好ましい(特にマグネット部122)。これにより、リフロー方式による半田付けに対応できる。また、ノイズ対策として、カメラモジュール100の外側に導電性のシールドケースを設けるようにしてもよい。
実施の形態では、カメラモジュール100を備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置として適用できる。例えば、本発明は、カメラ搭載装置として、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ等にも適用できる。また、本発明は、カメラ搭載装置として、自動車又はカメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)等にも適用できる。図11は、車載用のカメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載する自動車Cを示す図である。図11Aは自動車Cの正面図であり、図11Bは自動車Cの後方斜視図である。自動車Cは、例えば車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュール100を搭載する。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。