以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1-1.画像形成装置の全体構成]
図1に、第1の実施の形態による画像形成装置1の全体構成を示す。尚、図1は、画像形成装置1の全体構成を示す側面図となっている。この図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式のプリンタであり、略箱型の装置筐体2を有している。ここで、装置筐体2の図中右側を前面、図中左側を後面として、装置筐体2の前面から後面への方向を後方向、後面から前面への方向を前方向、装置筐体2の下側から上側への方向を上方向、装置筐体2の上側から下側への方向を下方向、装置筐体2の図中手前側から奥側への方向を右方向、装置筐体2の図中奥側から手前側への方向を左方向とする。
装置筐体2の内部には、その上部に、画像形成装置1で扱う複数色の現像剤(例えばブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のトナー)の各々に対応する4個の画像形成ユニット3(3K、3Y、3M、3C)が、記録媒体としての用紙Pの搬送路Rに沿って前後方向に並べて設けられている。
各画像形成ユニット3(3K、3Y、3M、3C)は、感光体ドラム4(4K、4Y、4M、4C)と、トナーカートリッジ5(5K、5Y、5M、5C)と、LEDヘッド6(6K、6Y、6M、6C)とを有している。各画像形成ユニット3は、LEDヘッド6により感光体ドラム4の表面に光を照射して露光することで、感光体ドラム4の表面に静電潜像を形成した後、この静電潜像にトナーカートリッジ5から供給されるトナーを付着させることで、感光体ドラム4の表面にトナー像を形成する装置である。
さらに装置筐体2の内部には、画像形成ユニット3(3K、3Y、3M、3C)の下方に、転写ユニット7が設けられている。転写ユニット7は、搬送路Rに沿って前後方向に走行自在に配設された環状の搬送ベルト8と、搬送ベルト8を間に挟んで感光体ドラム4(4K、4Y、4M、4C)の下方に対向配置された転写ローラ9(9K、9Y、9M、9C)とを有している。
転写ローラ9(9K、9Y、9M、9C)は、用紙Pが、感光体ドラム4(4K、4Y、4M、4C)と搬送ベルト8との間を通過する際に、用紙Pをトナーとは逆極性に帯電させることで、感光体ドラム4(4K、4Y、4M、4C)上に形成された各色のトナー像を用紙Pに転写する部材である。
さらに装置筐体2の内部には、転写ユニット7の下方(つまり装置筐体2の下部)に、用紙Pを収容するトレイ10が設けられている。さらにこのトレイ10の近傍には、トレイ10に収容された用紙Pを1枚ずつ搬送路Rへと繰り出すホッピングローラ11が設けられている。さらに装置筐体2の内部には、トレイ10と転写ユニット7との間の搬送路R上に、用紙Pを搬送する搬送ローラ対などが設けられている。
さらに装置筐体2の内部には、転写ユニット7の用紙搬送方向下流側(つまり後方)に、定着器12が設けられている。定着器12は、上側のヒートローラ13と下側の加圧ローラ14とを備え、ヒートローラ13と加圧ローラ14との間に形成されるニップ部を用紙Pが通過する際に、用紙Pを加熱及び加圧することで、用紙Pにトナー像を定着させる装置である。
さらに装置筐体2の上端部には、用紙Pが排出されるスタッカ15が設けられている。さらに装置筐体2の内部には、定着器12とスタッカ15との間の搬送路R上に、用紙Pをスタッカ15へと排出する排出ローラ対などが設けられている。画像形成装置1の全体構成は、以上のようになっている。尚、図1では省略しているが、装置筐体2の内部には、CPUなどで構成される制御基板などが設けられている。また装置筐体2の外部には、ユーザによる操作を受け付ける操作部などが設けられている。
ここで、画像形成装置1の動作について簡単に説明する。画像形成装置1は、トレイ10に収容されている用紙Pを、ホッピングローラ11により1枚ずつ搬送路Rへと繰り出す。搬送路Rへと繰り出された用紙Pは、転写ユニット7へと搬送され、転写ユニット7の搬送ベルト8により画像形成ユニット3K、3Y、3M、3Cへと順に搬送される。ここで、各画像形成ユニット3K、3Y、3M、3Cは、感光体ドラム4K、4Y、4M、4Cの表面上に各色のトナー像を形成する。このようにして感光体ドラム4K、4Y、4M、4Cの表面上に形成されたトナー像は、転写ローラ9K、9Y、9M、9Cにより、用紙P上に転写され、これにより用紙P上にカラーのトナー像が形成される。
カラーのトナー像が形成された用紙Pは、転写ユニット7から定着器12へと搬送される。定着器12は、カラーのトナー像を用紙Pに定着させる。これにより、用紙P上にカラー画像が印刷されたことになる。その後、この用紙Pは、スタッカ15へと搬送され、スタッカ15上に排出される。画像形成装置1の動作は、以上のようになっている。
[1-2.LEDヘッドと制御基板との接続]
次に、図2乃至図4を用いて、4個のLEDヘッド6(6K、6Y、6M、6C)と、制御基板20との接続について説明する。図2にブロック図を示すように、4個のLEDヘッド6(6K、6Y、6M、6C)は、4本のFFC21(21K、21Y、21M、21C)により、装置筐体2内部に設けられた制御基板20と接続されている。
つづけて、図3及び図4を用いて、FFC21K、21Y、21M、21Cの配線について、さらに詳しく説明する。まず図3を用いて、LEDヘッド6K、6Y、6M、6C側でのFFC21K、21Y、21M、21Cの配線について説明する。図3(A)は、4個のLEDヘッド6K、6Y、6M、6C、及び4本のFFC21K、21Y、21M、21Cを上から見た上面図であり、図中左側が装置筐体2の前側、図中上側が装置筐体2の左側となっている。また図3(B)は、4本のFFC21K、21Y、21M、21Cを横から見た側面図であり、図中左側が装置筐体2の前側、図中上側が装置筐体2の上側となっている。
図3(A)に示すように、LEDヘッド6K、6Y、6M、6Cは、それぞれ左右方向に長い角棒状であり、長手方向に並べられた図示しない複数のLED素子を有している。これらLEDヘッド6K、6Y、6M、6Cは、前後方向に所定の間隔を空けて平行に配置されている。
LEDヘッド6Kは、長手方向の一端側(例えば右端側)の上面に、LEDヘッド6Kの長手方向に長い長方形のコネクタ22Kが設けられている。コネクタ22Kは、長手方向の一端側(例えば右端側)に1番ピンが位置するピン配列となっている。尚、図3(A)では、1番ピンの位置を●で示している。LEDヘッド6Y、6M、6Cも同様に、コネクタ22Y、22M、22Cが設けられている。尚、コネクタ22Y、22M、22Cのピン配列は、コネクタ22Kと同一になっている。
FFC21K、21Y、21M、21Cは、信号線となる複数の導体を平行に並べてこれらを絶縁層で被覆した帯状のケーブルであり、長手方向の一端と他端とに、複数の導体(ピン)が露出する端末部(図中省略)が設けられている。これらFFC21K、21Y、21M、21Cは、一端側の端末部が、LEDヘッド6K、6Y、6M、6Cのコネクタ22K、22Y、22M、22Cに挿入されている。尚、これらFFC21K、21Y、21M、21Cの長手方向及び幅方向を、以下、ケーブル長手方向及びケーブル幅方向と呼ぶ。
ここで、FFC21Kは、LEDヘッド6Kのコネクタ22Kに対して、後方から表面Fsを上側とする向きで挿入されている。よって、FFC21Kは、コネクタ22Kの右端側(つまり1番ピン側)に、ケーブル幅方向の一端側に位置する1番ピンがくるピン配列で、コネクタ22Kと接続されている。FFC21Y、21M、21Cも同様に、コネクタ22Y、22M、22Cに対して後方から挿入されていて、コネクタ22Y、22M、22Cの右端側に、ケーブル幅方向の一端側に位置する1番ピンがくるピン配列で、コネクタ22Y、22M、22Cと接続されている。
さらにLEDヘッド6Kのコネクタ22Kから表面Fsが上側となる向きで後方へと延びているFFC21Kは、LEDヘッド6Kと後方のLEDヘッド6Yとの間で、これらの間から外れるように右方向へ折り曲げられている。この折り曲げ箇所では、図5(A)、(B)に示すように、FFC21Kのケーブル長手方向に対して45度傾いている点線V1でFFC21Kを1回谷折りすることにより、FFC21Kを90度折り曲げるようになっている。よって図3(A)に示すように、この折り曲げ箇所より先の部分ではFFC21Kの表裏が反転することになり、FFC21Kの裏面Rsが上側となる。その先でさらにFFC21Kは、図5に示す折り曲げ方法(つまり表裏反転する折り曲げ方法)で後方へ折り曲げられ、表面Fsが上側となる向きで後方へと延びている。
またLEDヘッド6Yのコネクタ22Yから表面Fsが上側となる向きで後方へと延びているFFC21Yは、LEDヘッド6Yと後方のLEDヘッド6Mとの間で、これらの間から外れるように右方向へ折り曲げられている。この折り曲げ箇所は、図5に示す折り曲げ方法(つまり表裏反転する折り曲げ方法)で折り曲げられている。よってこの折り曲げ箇所より先の部分ではFFC21Yの裏面Rsが上側となる。その先でさらにFFC21Yは、表裏が反転しないように後方へ折り曲げられ、裏面Rsが上側となる向きで、FFC21Kの上に平行に重なるようにして後方へと延びている。この折り曲げ箇所(図中Bpで示す箇所)での折り曲げ方法を、図6(A)~(C)に示す。折り曲げ箇所Bpでは、FFC21Yを点線V1で1回谷折りすることによりFFC21Yを90度折り曲げ、さらにFFC21Yのケーブル長手方向と直交する点線V2でFFC21Yを1回谷折りすることによりFFC21Yを180度折り曲げるようになっている。この折り曲げ方法により、FFC21Yを表裏反転せずに折り曲げることができる。これにより、図3(A)、(B)に示すように、FFC21Kの上にFFC21Yが重なる部分(つまり折り曲げ箇所Bpより先の部分)では、表面Fs同士を合わせて重なり合っている。
さらにLEDヘッド6Mのコネクタ22Mから表面Fsが上側となる向きで後方へと延びているFFC21Mは、LEDヘッド6Mと後方のLEDヘッド6Cとの間で、これらの間から外れるように、図5に示す折り曲げ方法(つまり表裏反転する折り曲げ方法)で右方向へ折り曲げられている。その先でさらにFFC21Kは、図5に示す折り曲げ方法で後方へ折り曲げられ、表面Fsが上側となる向きで、FFC21Yの上に重なるようにして後方へと延びている。よって、FFC21Yの上にFFC21Mが重なる部分では、裏面Rs同士を合わせて重なり合っている。
さらにLEDヘッド6Cのコネクタ22Cから表面Fsが上側となる向きで後方へと延びているFFC21Cは、LEDヘッド6Cの後方で、図5に示す折り曲げ方法(つまり表裏反転する折り曲げ方法)で右方向へ折り曲げられている。その先でさらにFFC21Kは、図6に示す折り曲げ方法(つまり表裏反転しない折り曲げ方法)で後方へ折り曲げられ、裏面Rsが上側となる向きで、FFC21Mの上に平行に重なるようにして後方へと延びている。よって、FFC21Mの上にFFC21Cが重なる部分では、表面Fs同士を合わせて重なり合っている。
このように、FFC21K、21Y、21M、21Cは、LEDヘッド6K、6Y、6M、6C近傍で部分的に重なるように配線されている。またFFC21K、21Y、21M、21Cが重なる部分では、FFC21Kの表面FsとFFC21Yの表面Fs、FFC21Yの裏面RsとFFC21Mの裏面Rs、FFC21Mの表面FsとFFC21Cの表面Fsとが合わさるように重なっている。尚、図3(A)に示すように、FFC21K、21Y、21M、21Cが重なる部分では、FFC21K、21Mと、FFC21Y、21Cとで、表裏反転していることにより、1番ピンの位置が左右逆となっている。FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fs同士または裏面Rs同士を合わせるように重ねた理由については後述する。
つづけて図4を用いて、制御基板20側でのFFC21K、21Y、21M、21Cの配線について説明する。尚、図4(A)は、4本のFFC21K、21Y、21M、21C、及び制御基板20を上から見た上面図であり、図中左側が装置筐体2の前側、図中上側が装置筐体2の左側となっている。また図4(B)は、4本のFFC21K、21Y、21M、21C、及び制御基板20を横から見た側面図であり、図中左側が装置筐体2の前側、図中上側が装置筐体2の上側となっている。
図4(A)、(B)に示すように、FFC21K、21Y、21M、21Cは、表面Fs同士または裏面Rs同士を合わせるように重なったまま、制御基板20の左側を通るようにして制御基板20の後方へと延び、そこからFFC21K、21Mは図6に示す折り曲げ方法で、FFC21Y、21Cは図6に示す折り曲げ方法で右方向へと折り曲げられ、そこからさらにそれぞれ下方へと折り曲げられ、そこからさらにそれぞれ図5に示す折り曲げ方法で前方へと折り曲げられて制御基板20の後面へと延びている。
ここで、FFC21KとFFC21Mを、制御基板20の後方で右方向へと折り曲げる際に図6に示す折り曲げ方法(つまり表裏反転しない折り曲げ方法)で折り曲げるようにした理由は、制御基板20の手前で、FFC21K、21Y、21M、21Cの表裏の向きを揃えて、1番ピンの位置を例えば上端側に揃える為である。
制御基板20は、後面に、左右方向に間隔を空けて4個のコネクタ23K、23Y、23M、23Cが設けられている。コネクタ23K、23Y、23M、23Cは、上下方向に長い長方形であり、それぞれ長手方向の一端側(例えば上端側)に1番ピンが位置するピン配列となっている。尚、これらコネクタ23K、23Y、23M、23Cのピン配列は、LEDヘッド6側のコネクタ22K、22Y、22M、22Cのピン配列と同一である。そしてこれらコネクタ23K、23Y、23M、23Cに、FFC21K、21Y、21M、21Cの他端側の端末部が挿入されている。4個のLEDヘッド6K、6Y、6M、6Cと、制御基板20との接続は、以上のようになっている。
ここで、FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fsまたは裏面Rs同士を合わせるように重ねた理由について説明する。まず図7(A)に示す表を用いて、FFC21K、21Y、21M、21Cのピン配列について説明する。図7(A)に示すように、FFC21K、21Y、21M、21Cのピン配列は同一であり、1番ピンから24番ピンまでの24ピンで構成されている。
このうち、1番ピン、4番ピン、14番ピン~24番ピンは、電源及びGND(グランド)に割り当てられた信号線(以下、電源及びGND線と呼ぶ)L1であり、7番ピン~10番ピンは、LEDヘッド6の発光を制御する為のデータ信号D0~D3に割り当てられた信号線(以下、データ信号線と呼ぶ)L2であり、2番ピン、3番ピン、5番ピン、6番ピン、11番ピン~13番ピンは、その他の信号に割り当てられた信号線(以下、その他信号線と呼ぶ)L3である。尚、2番ピンと3番ピンは、差動クロック信号に割り当てられた信号線である。制御基板20から各LEDヘッド6へのデータ転送は、差動クロック信号に同期してデータ信号D0~D3をHighからLowまたはLowからHighへと変化させることで行われ、各LEDヘッド6側では、差動クロック信号の立ち上がり及び立下りの両ゼロクロスでデータ信号D0~D3をラッチするようになっている。
画像形成ユニット3(3K、3Y、3M、3C)での画像の形成に用いるこれら24本の信号線のうち、その他信号線L3は、データ信号線L2と比較して、信号の周波数が低く、クロストークの影響を無視できる信号線であり、これに対して、データ信号線L2は、その他信号線L3と比較して、信号(つまりデータ信号D0~D3)の周波数が高く、クロストークの影響を無視できない信号線である。また電源及びGND線L1は、データ信号線L2及びその他信号線L3と比較して電位的に安定していてクロストークが発生しない信号線である。
ここで、図8(A)、(B)に示すように、仮に、FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fs同士または裏面Rs同士ではなく、表面Fsと裏面Rsとを合わせるように平行に重ねたとする。この場合、FFC21K、21Y、21M、21Cの重なり部分の断面図は図7(B)に示すようになる。尚、図7(B)は、FFC21K、21Y、21M、21Cの重なり部分の断面を簡略化したものであり、図中上下方向がFFC21の幅方向(つまりケーブル幅方向)、図中左右方向がFFC21の重なり方向であり、白地の部分がその他信号線L3、薄いハッチング部分がデータ信号線L2、濃いハッチング部分が電源及びGND線L1を示している。
この図7(B)に示すように、FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fsと裏面Rsとを合わせるように平行に重ねた場合、ケーブル重なり方向に隣接するFFC21間で、FFC21の幅方向におけるデータ信号線L2の位置が揃うことになる。これにより、例えば、FFC21Kの4本のデータ信号線L2と、FFC21Yの4本のデータ信号線L2とが、それぞれ平行に重なり合うことになり、FFC21K側のデータ信号線L2とFFC21Y側のデータ信号線L2との間で静電接合によるクロストークが生じてしまう。FFC21Y、FFC21M間、FFC21M、FFC21C間でも同様に、データ信号線L2間でクロストークが生じてしまう。この結果、データ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3が、クロストークの影響を受けることになる。
尚、クロストークについては、信号線間の静電容量による静電誘導によって生じるだけでなく、電流を多く流すようなモータ信号線による電磁誘導によって生じることもあるが、FFC21K、21M、21C、21Yにより転送されるデータ信号D0~D3は、微小信号である為、主に、静電誘導によって生じるクロストークの影響を受けることになる。
ちなみに、信号線間の静電容量は、信号線間の誘電率、信号線間隔、信号線面積で決まる。例えばFFC21Kの絶縁層厚は、0.1mm未満であり、FFC21K内で幅方向に隣接するデータ信号線L2間よりも、FFC21K、FFC21Y間で重なり方向に隣接するデータ信号線L2間の方が、静電容量が大きくなる。この為、FFC21K、21Y、21M、21Cを重ねたときに、データ信号線L2が重なり方向に隣接すると、データ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3が、静電誘導によって生じるクロストークの影響を受けることになる。
ここで、図9に、FFC21K、21Y、21M、21Cで4本ずつ計16本のデータ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3のパターンのうち、クロストークの影響を最も受け易いパターンを示す。尚、図9(A)、(B)では、ハッチングされた部分のデータ信号D0~D3がHigh、ハッチングされていない部分のデータ信号D0~D3がLowとなっていて、図9(A)の状態と、図9(B)の状態とを交互に繰り返すパターンを示している。
この図9(A)、(B)に示すように、クロストークの影響を最も受けやすいのは、FFC21Yのデータ信号D2のみが、他のデータ信号D0~D3とはHigh/Low逆に変化するパターンである。
このパターンを、データ信号D0~D3及び差動クロック信号の制御波形で示すと図10のようになる。尚、図10では、説明を簡単にする為、FFC21Cのデータ信号D0~D3と、FFC21K、21Y、21Mのデータ信号D0については省略している。この図10に示すように、データ信号D0~D3(D0は省略)は、差動クロック信号(CLK)のゼロクロス間(つまり立ち上がりと立ち下がりの間)で、HighからLowまたはLowからHighへと変化するようになっている。
この図10に示すように、クロストークの影響を最も受け易いパターンを制御波形で示すと、FFC21Yのデータ信号D2のみが、他のデータ信号D0~D3とは逆位相になっていることがわかる。
ここで、図9及び図10に示すパターンで実際にデータ信号D0~D3を転送した際に測定したデータ信号D0~D3の信号波形と、差動クロック信号の信号波形とを、図11に示す。尚、図11では、説明を簡単にする為、FFC21Yのデータ信号D2の信号波形(21Y_D2)と、FFC21Yのデータ信号D3の信号波形(21Y_D3)と、差動クロック信号の信号波形(CLK)とを示している。
この図11に示すように、FFC21Yのデータ信号D2は、本来、隣接するFFC21Yのデータ信号D3の立ち下りで立ち上がらなければならないが、クロストークの影響で立ち上がりが遅れ、この結果、差動クロック信号の立ち上がりでラッチするポイントPt1でのレベルが、LEDヘッド6Y側でHighと認識される値より低くなり(図中Lb1までしか上がらず)、LEDヘッド6Y側でLowと誤認識されてしまう場合がある。
また、FFC21Yのデータ信号D2は、本来、隣接するFFC21Yのデータ信号D3の立ち上がりで立ち下がらなければならないが、クロストークの影響で立ち下がりが遅れ、この結果、差動クロック信号の立ち下がりでラッチするポイントPt2でのレベルが、LEDヘッド6Y側でLowと認識される値より高くなり(図中Lb2までしか下がらず)、LEDヘッド6Y側でHighと誤認識されてしまう場合がある。
このように、FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fsと裏面Rsとを合わせるように平行に重ねた場合、データ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3が、クロストークの影響を受けて変化してしまい、正確なデータ信号D0~D3を、LEDヘッド6側でラッチできなくなる。
そこで、本実施の形態の画像形成装置1では、図3(A)、(B)に示したように、FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fs同士及び裏面Rs同士を合わせるようにして重ねるようになっている。このように重ねた場合、FFC21K、21Y、21M、21Cの重なり部分の断面は図7(C)に示すようになる。尚、図7(C)も、図7(B)と同様、図中上下方向がFFC21の幅方向(ケーブル幅方向)、図中左右方向がFFC21の重なり方向であり、白地の部分がその他信号線L3、薄いハッチング部分がデータ信号線L2、濃いハッチング部分が電源及びGND線L1を示している。
この図7(C)に示すように、FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fs同士または裏面Rs同士を合わせるように重ねた場合、FFC21K、21Mと、FFC21Y、21Cとで、表裏反転していることから、FFC21K、21Mから見て、FFC21Y、21Cのピン配列が逆順となる。これにより、例えば、FFC21Kの1番ピン、2番ピン、3番ピン、…の信号線に対して、FFC21Yの24番ピン、23番ピン、22番ピン、…の信号線が重なり方向(図中左右方向)に隣接する。
さらにFFC21K、21Y、21M、21Cでは、それぞれデータ信号線L2が、ケーブル幅方向の中心Pcよりもケーブル幅方向の一端側に配置されていることから、FFC21K、21Y間、FFC21Y、21C間、FFC21C、21M間で、データ信号線L2同士が重なり方向(図中左右方向)に隣接しないよう幅方向(図中上下方向)に離れている。これにより、画像形成装置1では、データ信号線L2間のクロストークを抑制して、データ信号D0~D3がクロストークの影響を受けにくくすることができる。
さらに、FFC21K、21Y、21M、21Cでは、それぞれ電源及びGND線L1が、ケーブル幅方向の中心Pcよりもケーブル幅方向の他端側(つまりデータ信号線L2とは反対側)に配置されていて、FFC21K、21Y間、FFC21Y、21M間、FFC21M、21C間で、電源及びGND線L1が、データ信号線L2に対して重なり方向に隣接するようになっている。これにより、画像形成装置1では、電位的に安定している電源及びGND線L1によるシールド効果により、データ信号線L2から放出されるノイズを抑制することもできる。
ここで、FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fs同士または裏面Rs同士を合わせるように重ねた状態で、図9及び図10に示すパターンと同一パターンで実際にデータを転送した際に測定したデータ信号D0~D3の信号波形と、差動クロック信号の信号波形とを、図12に示す。尚、図12では、図11と対応させる為、FFC21Yのデータ信号D2の信号波形(21Y_D2)と、FFC21Yのデータ信号D3の信号波形(21Y_D3)と、差動クロック信号の信号波形(CLK)とを示している。
この図12に示すように、FFC21Yのデータ信号D2は、クロストークの影響を受けにくくなっていることから、隣接するFFC21Yのデータ信号D3の立ち下りで、遅れることなく立ち上がることができ、この結果、差動クロック信号の立ち上がりでラッチするポイントPt10でのレベルが、LEDヘッド6Y側でHighと認識される値まで上がり(図中Lb10まで上がり)、LEDヘッド6Y側で正常にHighと認識される。
また、FFC21Yのデータ信号D2は、隣接するFFC21Yのデータ信号D3の立ち上がりで、送れることなく立ち下がることができ、この結果、差動クロック信号の立ち下がりでラッチするポイントPt11でのレベルが、LEDヘッド6Y側でLowと認識される値まで下がり(図中Lb11まで下がり)、LEDヘッド6Y側で正常にLowと認識される。
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、FFC21K、21Y、21M、21Cを、表面Fs同士または裏面Rs同士を合わせるように重ねることで、データ信号D0~D3がクロストークの影響を受けにくくなり、正確なデータ信号D0~D3を、LEDヘッド6側でラッチできるようになる。
[1-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態の画像形成装置1は、LEDヘッド6K、6Y、6M、6Cと制御基板20とを接続する4本のFFC21K、21Y、21M、21Cを備えている。FFC21K、21Y、21M、21Cは、それぞれ表面Fs側から見てケーブル幅方向の一端側に1番ピンが位置する配列で、LEDヘッド6K、6Y、6M、6Cのコネクタ22K、22Y、22M、22Cと接続されるとともに、制御基板20のコネクタ23K、23Y、23M、23Cに接続される。そのうえで、画像形成装置1では、FFC21K、21Y、21M、21Cの一部分を、表面Fs同士または裏面Rs同士のように同一面同士を合わせて並列に重ねるようにした。
これにより、画像形成装置1では、例えばFFC21KとFFC21Yの一部分を表面Fs同士を合わせて並列に重ねたときに、FFC21Kから見てFFC21Yのピン配列が逆順となる。こうすることで、画像形成装置1では、FFC21Kのデータ信号線L2と、FFC21Yのデータ信号線L2とを、重なり方向に隣接しないようFFC21K、21Yの幅方向に離すことができ、FFC21K、21Y間にラミネートシールドやスペーサを挿入することなく、データ信号線L2間のクロストークを抑制できる。かくして、第1の実施の形態の画像形成装置1では、部材コストを抑えつつクロストークの影響を抑えることができる。さらに第1の実施の形態の画像形成装置1では、データ信号線L2間のクロストークの影響を抑えることで、LEDヘッド6K、6Y、6M、6Cが正確な静電潜像を形成することができ、印刷画像の劣化を防ぐことができる。
また別の言い方をすると、画像形成装置1では、FFC21K、21Y、21M、21Cのそれぞれで、ケーブル幅方向の中央よりもケーブル幅方向の第1端部(一端部)に近い側に、データを送信する為のデータ信号線L2を多く配置し、またケーブル幅方向の中央よりもケーブル幅方向の第2端部(他端部)に近い側に、電源及びGND線L1を多く配置するようにした。さらに画像形成装置1では、複数のFFC21K、21Y、21M、21Cの一部分を、第1端部及び第2端部を有する第1面としての表面Fs同士、または第1面とは反対側の第2面としての裏面Rs同士を向き合わせて並べて重ねるようにした。
これにより、画像形成装置1では、例えばFFC21KとFFC21Yの一部分を表面Fs同士を合わせて並べて重ねたときに、FFC21Kのデータ信号線L2と、FFC21Yの電源及びGND線L1とが重なり方向に隣接する為、FFC21K、21Y間でデータ信号線L2が重なり方向に隣接する状況を回避することができ、データ信号線L2間のクロストークを抑制できる。
またこのように、FFC21K、21Y間、FFC21Y、21M間、FFC21M、21C間で、電源及びGND線L1が、データ信号線L2に対して重なり方向に隣接するようにした(つまり電源線又はGND線がデータ信号線L2に対して重なり方向に隣接するようにした)ことにより、画像形成装置1では、データ信号線L2と電源及びGND線L1との電磁的な結合が強くなり、データ信号線L2間のクロストークをより一層抑制できるとともに、電源及びGND線L1によるシールド効果により、データ信号線L2から放出されるノイズを抑制することができる。
さらに画像形成装置1では、FFC21K、21Mと、FFC21Y、21Cとで折り曲げ方法を変えることで、FFC21K、21Y、21M、21Cの一部分を、同一面同士を合わせて重ねるようにした。こうすることで、画像形成装置1では、既存のLEDヘッド6K、6Y、6M、6C、制御基板20、FFC21K、21Y、21M、21Cを用いながらも、クロストークの影響を抑えることができる。
[2.第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態によるFFC21K、21Y、21M、21Cの寸法を規定した実施の形態である。よって、ここでは、FFC21K、21Y、21M、21Cの寸法についてのみ説明する。
[2-1.FFCの寸法]
図13(A)、(B)に、FFC21K、21Y、21M、21Cの寸法を示す。尚、図13(A)は、図3(A)に対応する上面図であり、図13(B)は、図4(A)に対応する上面図である。
尚、ここでは、図13(A)に示すように、LEDヘッド6Kの幅方向の中心とLEDヘッド6Yの幅方向の中心との間隔Le1を70mmとする。同様に、LEDヘッド6YとLEDヘッド6Mとの間隔Le1、LEDヘッド6MとLEDヘッド6Cとの間隔Le1も、70mmとする。またFFC21K、21Y、21M、21Cの幅Wiは、25mmとする。さらにFFC21Kの長手方向の長さを700mmとする。この長さ700mmは、LEDヘッド6Kと制御基板20との配線距離と、FFC21Kでの折り曲げに必要な長さによって決まる。
ここで、図8(A)、(B)に示したように、FFC21K、21Y、21M、21Cの折り曲げ方法が、図5に示す折り曲げ方法で統一されている場合、FFC21Yは、LEDヘッド6Yと制御基板20との配線距離が、LEDヘッド6Kと制御基板20との配線距離よりLe1だけ短いことから、700mm-Le1=630mmとなる。同様にして、FFC21Mは630mm-Le1=560mm、FFC21Cは560mm-Le1=490mmとなる。この場合、長さが異なる4種類のFFC21を1本ずつ用意する必要がある。
これに対して、第2の実施の形態では、FFC21Y、21Cの折り曲げ方法が、図5に示す折り曲げ方法と図6に示す折り曲げ方法の2パターンあり、図5に示す折り曲げ方法は折り曲げ回数が1回となっているのに対して、図6に示す折り曲げ方法は折り曲げ回数が2回となっている。この為、FFC21Yは、LEDヘッド6Y側と制御基板20側の2箇所で、2回ずつ折り曲げている分、折り曲げ回数が1回の折り曲げ方法のみで折り曲げられている場合のFFC21Yの長さ630mmより長くなっていなければならない。同様に、FFC21Cについても、折り曲げ回数が1回の折り曲げ方法のみで折り曲げられている場合のFFC21Cの長さ490mmより長くなっていなければならない。
ここで、図13(A)、(B)にくわえて、図14(A)、(B)に示すように、FFC21Y、21Cを、点線V2で180度折り曲げる際(つまり2回折り曲げる際)に必要となる、点線V2を挟んで一方と他方に設けられる部分の長さLe2を5mmとする。尚、この長さLe2は、FFC21Y、21Cの厚さ以上にすることが望ましい。
すると、FFC21Yを、LEDヘッド6Y側と制御基板20側の2箇所で、2回ずつ折り曲げる場合、図14(B)に示すように、1箇所あたりLe2×2+Wi=35mm長くしなければならず、結果として、FFC21Yの長さは、630mm+35mm×2箇所=700mmとなる。同様にして、FFC21Cの長さは、490mm+35mm×2箇所=560mmとなる。
これにより、FFC21Yの長さはFFC21Kの長さと等しくなり、FFC21Cの長さはFFC21Mの長さと等しくなり、長さが異なる2種類のFFC21を2本ずつ用意するだけでよくなる。
[2-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態の画像形成装置1では、FFC21Y、21Cについては、LEDヘッド6側と制御基板20側の2箇所で2回ずつ折り曲げている分、同じ2箇所で1回ずつ折り曲げる場合よりも所定長((Le2×2+Wi)×2)だけ長くしなければならず、このときの所定長を、FFC21K、FFC21Mの長さに合わせて選定する(70mmとする)ことで、FFC21Y、21Cの長さを、FFC21K、21Mの長さと等しくすることができ、この結果、長さが異なる2種類のFFC21を2本ずつ用意するだけでよくなる。尚、所定長((Le2×2+Wi)×2)の中で、Wiは固定値の為、Le2を調整することになる。
また別の言い方をすると、FFC21Yで接続されるLEDヘッド6Y、制御基板20間の配線距離は、FFC21Kで接続されるLEDヘッド6K、制御基板20間の配線距離よりも所定長(70mm)だけ短いが、FFC21Yは2箇所で2回ずつ折り曲げている分、折り曲げに必要な長さがFFC21Kより長くなる。ここで、FFC21Yで折り曲げに必要な長さを、FFC21Kで折り曲げに必要な長さよりも所定長(70mm)だけ長くすれば、FFC21KとFFC21Yの長さを等しくできる。同様にして、FFC21Cと、FFC21Mの長さも等しくできる。
かくして、第2の実施の形態の画像形成装置1では、4本のFFC21K、21Y、21M、21Cにかかる部材コストを抑えることができるとともに、第1の実施の形態と同様、クロストークの影響を抑えることができる。
[3.第3の実施の形態]
次に第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態は、LEDヘッド6K、6Y、6M、6Cと制御基板20との接続の仕方が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。ゆえに、ここでは、LEDヘッド6K、6Y、6M、6Cと制御基板20との接続についてのみ説明する。尚、第1の実施の形態と区別する為、第3の実施の形態のLEDヘッド6K、6Y、6M、6C、及び制御基板20を、以下、LEDヘッド6Kx、6Yx、6Mx、6Cx、及び制御基板20xとする。
[3-1.LEDヘッドと制御基板との接続]
図15を用いて、LEDヘッド6Yx、6Mx、6Cxと制御基板20xとの接続について説明する。図15は、LEDヘッド6Yx、6Mx、6Cxと、制御基板20xと、これらを接続する3本のFFC21Y、21M、21Cとを、上から見た上面図であり、図中左側が装置筐体2の右側、図中上側が装置筐体2の前側となっている。尚、図15は、説明を簡単にする為、LEDヘッド6KxとFFC21Kについては省略しているが、実際には、LEDヘッド6Yxの前方にLEDヘッド6Kxが配置され、LEDヘッド6Kxと制御基板20xとを、FFC21Kで接続するようになっている。またこの図15では、LEDヘッド6Yx、6Mx、6Cxと制御基板20xとの位置関係が、第1の実施の形態と異なっているが、これは一例であり、第1の実施の形態と同様の位置関係にしても構わない。
この図15に示すように、LEDヘッド6Yx、6Mx、6Cxは、第1の実施の形態のLEDヘッド6Y、6M、6Cと同様、それぞれ左右方向に長い角棒状であり、前後方向に所定の間隔を空けて平行に配置されている。ここで、LEDヘッド6Yx、6Mx、6Cxが、第1の実施の形態のLEDヘッド6Y、6M、6Cと異なるのは、長手方向の中央に、コネクタ22Y、22M、22Cが設けられている点である。
またこれらLEDヘッド6Yx、6Mx、6Cxのうち、LEDヘッド6Yx、6Cx間に位置するLEDヘッド6Mxは、LEDヘッド6Yx、6Cxに対して左右逆向き(180度回転させた向き)となるように取り付けられている。別の言い方をすると、LEDヘッド6Mxは、LEDヘッド6Yx、6Cxに対して長手方向の一端から他端への方向が逆向きとなるように取り付けられている。
この為、LEDヘッド6Mxのコネクタ22Mも、LEDヘッド6Yx、6Cxのコネクタ22Y、22Cに対して、左右逆向きとなる。具体的には、コネクタ22Y、22Cは、右端側に1番ピンが位置するのに対して、コネクタ22Mは、左端側に1番ピンが位置する。つまり、コネクタ22Y、22Cと、コネクタ22Mとで、ピン配列が逆順になっている。
FFC21Y、21M、21Cは、第1の実施の形態と同一のFFCであり、一端側の端末部が、LEDヘッド6Yx、6Mx、6Cxのコネクタ22Y、22M、22Cに挿入されている。
ここで、FFC21Yは、LEDヘッド6Yxのコネクタ22Yに対して、後方から表面Fsを上側とする向きで挿入されている。よって、FFC21Yは、コネクタ22Yの右端側(つまり1番ピン側)に、ケーブル幅方向の一端側に位置する1番ピンがくるピン配列で、コネクタ22Yと接続されている。FFC21Cも同様に、コネクタ22Cに対して後方から表面Fsを上側とする向きで挿入されていて、コネクタ22Cの右端側に、ケーブル幅方向の一端側に位置する1番ピンがくるピン配列で、コネクタ22Cと接続されている。
これに対して、FFC21Mは、LEDヘッド6Mxが、LEDヘッド6Yx、6Cxに対して左右逆向きに取り付けられていることから、LEDヘッド6Mxのコネクタ22Mに対して、後方から裏面Rsを上側とする向きで挿入されている。よって、FFC21Mは、コネクタ22Mの左端側(つまり1番ピン側)に、ケーブル幅方向の一端側に位置する1番ピンがくるピン配列で、コネクタ22Mと接続されている。
さらにLEDヘッド6Yxのコネクタ22Yから表面Fsが上側となる向きで後方へと延びているFFC21Yは、LEDヘッド6Yxと後方のLEDヘッド6Mxとの間で、これらの間から外れるように右方向へ折り曲げられている。このときの折り曲げ方法は、図5(A)、(B)に示す折り曲げ方法である。尚、第2の実施の形態では、この折り曲げ方法に統一されている。よってこの折り曲げ箇所より先の部分ではFFC21Yの表裏が反転することになり、FFC21Yの裏面Rsが上側となる。その先でさらにFFC21Yは、後方へ折り曲げられ、表面Fsが上側となる向きで後方へと延びている。
FFC21Yは、LEDヘッド6Cxのさらに後方に位置する制御基板20xの近傍で、左方向へ折り曲げられて左方向へと延び、制御基板20xの前方で、制御基板20x側へ(後方へ)と折り曲げられ、そこからさらに左方向に折り曲げられ、裏面Rsが上側となる向きで、他端側の端末部(図示せず)が、制御基板20xの上面に設けられたコネクタ23Yに挿入されている。
制御基板20xには、上面に、左右方向に間隔を空けて3個のコネクタ23Y、23M、23Cが、前後方向に長くなる向きで設けられている。このうち、コネクタ23Mは、LEDヘッド6Mxのコネクタ22MがLEDヘッド6Yx、6Cxのコネクタ22Y、22Cに対して左右逆向きとなっていることに合わせて、コネクタ23Y、23Cに対して、前後逆向きとなっている。つまり、コネクタ23Y、23Cと、コネクタ23Mとで、ピン配列が逆順になっている。
さらにLEDヘッド6Mxのコネクタ22Mから裏面Rsが上側となる向きで後方へと延びているFFC21Mは、LEDヘッド6Mxと後方のLEDヘッド6Cxとの間で、これらの間から外れるように右方向へ折り曲げられ、その先でさらに後方へ折り曲げられ、裏面Rsが上側となる向きで後方へと延びている。ここで、FFC21Mは、FFC21Yの上に重なっている。この重なり部分(図中楕円形の枠Arで示す部分)で、FFC21Yは表面Fsが上側、FFC21Mは裏面Rsが上側となっていることから、FFC21YとFFC21Mは、表面Fs同士を合わせるようにして重なり合っている。
FFC21Mは、制御基板20xの近傍で、左方向へ折り曲げられて左方向へと延び、制御基板20xの前方で、制御基板20x側へ(後方へ)と折り曲げられ、そこからさらに左方向に折り曲げられ、表面Fsが上側となる向きで、他端側の端末部(図示せず)が、制御基板20x上のコネクタ23Mに挿入されている。このように、FFC21Mは、FFC21Yとは表裏反転した状態で、コネクタ23Mに挿入されている。
さらにLEDヘッド6Cxのコネクタ22Cから表面Fsが上側となる向きで後方へと延びているFFC21Cは、LEDヘッド6Cxの後方で右方向へ折り曲げられ、その先でさらに後方へ折り曲げられ、表面Fsが上側となる向きで後方へと延びている。ここで、FFC21Cは、FFC21Mの上に重なっている。この重なり部分(図中楕円形の枠Arで示す部分)で、FFC21Mは裏面Rsが上側、FFC21Cは表面Fsが上側となっていることから、FFC21MとFFC21Cは、裏面Rs同士を合わせるようにして重なり合っている。
FFC21Cは、制御基板20xの近傍で、左方向へ折り曲げられて左方向へと延び、制御基板20xの前方で、制御基板20x側へ(後方へ)と折り曲げられ、そこからさらに左方向に折り曲げられ、裏面Rsが上側となる向きで、他端側の端末部(図示せず)が、制御基板20x上のコネクタ23Cに挿入されている。
尚、図15で省略しているLEDヘッド6Kxは、LEDヘッド6Yxの前方に、LEDヘッド6Mxと同じ向き(つまりコネクタ22Kの左端側に1番ピンが位置する向き)で取り付けられ、LEDヘッド6Kxと制御基板20xとを繋ぐFFC21Kは、表裏の向きがFFC21Mと同じ向きになるように配線され、FFC21Yの下側に重なるようになっている。また図15で省略しているコネクタ23Kは、コネクタ23Yの右側に、コネクタ23Mと同じ向きで設けられている。
[3-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第3の実施の形態の画像形成装置1では、第1の実施の形態のようにFFC21K、21Mと、FFC21Y、21Cとで折り曲げ方法を変えることでこれらの重なり部分でピン配列を逆順にするのではなく、LEDヘッド6Kx、6Mxのコネクタ22K、22Cに対して、LEDヘッド6Yx、6Cxのコネクタ22Y、22Cのピン配列を逆順にし、FFC21Y、21Cを、FFC21K、21Mに対して表裏反転した状態でコネクタ22Y、22Cに挿入することで、FFC21K、21Y、21M、21Cとで折り曲げ方法を変えることなくこれらの重なり部分でピン配列を逆順にするようにした。
こうすることで、第3の実施の形態の画像形成装置1では、FFC21K、21Y、21M、21Cの折り曲げ方法を統一できるので、FFC21K、21Y、21M、21Cを折り曲げる際の作業効率を向上させることができる。つまり、第3の実施の形態の画像形成装置1では、第1の実施の形態と同様、部材コストを抑えつつ、クロストークの影響を抑えることができ、且つ組み立て時の作業効率を向上させて製造コストを抑えることができる。
また第3の実施の形態の画像形成装置1では、LEDヘッド6Kx、6Yx、6Mx、6Cxのそれぞれの長手方向の中央にコネクタ22K、22Y、22M、22Cを設け、LEDヘッド6Kx、6Mxに対して、LEDヘッド6Yx、6Cxの向きを左右逆向きにすることで、LEDヘッド6Kx、6Mxのコネクタ22K、22Cと、LEDヘッド6Yx、6Cxのコネクタ22Y、22Cとでピン配列を逆順にするようにした。この為、第3の実施の形態の画像形成装置1では、LEDヘッド6Kx、6Yx、6Mx、6Cxを共通化でき、これらの部材コストを抑えることができる。
[4.第4の実施の形態]
次に第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態は、FFC21YとFFC21Mとの間に後述する鈍り抑制部材を挿入する点が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。ゆえに、ここでは、鈍り抑制部材についてのみ説明する。
[4-1.鈍り抑制部材]
図16に、FFC21K、21Y、21M、21Cの重なり部分を横から見た側面図を示す。また図17に、この重なり部分の断面図を示す。尚、図17は、図中左側にピン配列、図中右側に重なり部分の断面図を示している。図16に示すように、第4の実施の形態の画像形成装置1では、FFC21YとFFC21Mとの間に、鈍り抑制部材100を挿入するようになっている。さらに言うと、この鈍り抑制部材100は、図17に示すように、FFC21Y及びFFC21Mよりも幅方向(図中上下方向)の長さが短く、少なくともFFC21Yのデータ信号線L2とFFC21Mの電源及びGND線L1との間、及びFFC21Yの電源及びGND線L1とFFC21Mのデータ信号線L2との間に挟み込まれている。尚、この鈍り抑制部材100は、例えば、FFC21Yの裏面Rs、もしくはFFC21Mの裏面Rsに張り付けられている。
ここで、この鈍り抑制部材100を設けた理由について説明する。第1の実施の形態のように鈍り抑制部材100を設けない場合、FFC21Yのデータ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3と、FFC21Mのデータ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3が鈍ってしまう。これは、図7(C)に示すように、FFC21K、21Cのデータ信号線L2は重なり方向の片側にのみ電源及びGND線L1が隣接しているのに対して、FFC21Y、21Mのデータ信号線L2は重なり方向の両側に電源及びGND線L1が隣接している為である。つまり、データ信号線L2を電源及びGND線L1で挟み込んでしまうと、データ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3が鈍ってしまう。
そこで、本実施の形態では、この鈍りを抑制する為に、FFC21Yのデータ信号線L2とFFC21Mの電源及びGND線L1との間、及びFFC21Yの電源及びGND線L1とFFC21Mのデータ信号線L2との間に、鈍り抑制部材100を挿入するようになっている。
この鈍り抑制部材100を挿入することで、FFC21Yのデータ信号線L2と、FFC21Mのデータ信号線L2は、重なり方向の片側にのみ電源及びGND線L1が隣接することになり、データ信号D0~D3の鈍りが抑制される。
尚、この鈍り抑制部材100としては、例えば、ウレタンフォームなど、内部に気泡を保留させた多孔質部材のように、できるだけ誘電率が低い(例えば3未満)部材が好ましい。
[4-2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第4の実施の形態の画像形成装置1では、FFC21Yのデータ信号線L2とFFC21Mの電源及びGND線L1との間、及びFFC21Yの電源及びGND線L1とFFC21Mのデータ信号線L2との間に、鈍り抑制部材100を挿入するようにした。つまり、重なり方向の両側に電源及びGND線L1が隣接しているデータ信号線L2と、データ信号線L2の両側に隣接している電源及びGND線L1のうちの一方(つまり片側の電源及びGND線L1)との間に、鈍り抑制部材100を挿入するようにした。こうすることで、第4の実施の形態の画像形成装置1では、FFC21Y、21M、21C、21Kの重なり部分で、FFC21Y、21M、21C、21Kのデータ信号線L2が、重なり方向の片側にのみ電源及びGND線L1が隣接するようになり、データ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3の鈍りを抑制することができる。
別の言い方をすると、第4の実施の形態の画像形成装置1では、第1の実施の形態と同様、データ信号線L2間でのクロストークを抑制でき、くわえて、データ信号線L2により転送されるデータ信号D0~D3の鈍りも抑制できる。これにより、第4の実施の形態の画像形成装置1は、LEDヘッド6K、6Y、6M、6Cがより一層正確な静電潜像を形成することができ、印刷画像の劣化をより一層防ぐことができる。
また第4の実施の形態の画像形成装置1では、FFC21YとFFC21Mとの間に、FFC21Y、21Mより幅が短い鈍り抑制部材100を挿入するだけなので、FFC21K、21Y間、FFC21Y、21M間、FFC21M、21C間のそれぞれに、これらと同一幅のラミネートシールドやスペーサを挿入する場合と比べて、部材コストを抑えることができる。尚、この第4の実施の形態を、第3の実施の形態に適用してもよい。つまり第3の実施の形態において、FFC21YとFFC21Mとの間に、鈍り抑制部材100を挿入するようにしてもよい。
[5.他の実施の形態]
[5-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1乃至第4の実施の形態では、FFC21(21K、21Y、21M、21C)のピン配列を図7(A)に示すピン配列としたが、これに限らず、ケーブル幅方向の中心Pcよりも一端部に近い側(つまり一端側)にデータ信号線L2が多く配置されるようになっていれば、図7(A)のピン配列とは異なるピン配列であってもよい。つまり、2本のFFC21を、ピン配列を逆順にして重ねたときに、2本のFFC21それぞれのデータ信号線L2が重ならないピン配列であればよい。
また、2本のFFC21を、ピン配列を逆順にして重ねたときに、2本のFFC21それぞれのデータ信号線L2が電源及びGND線L1と重なるようにすることを考慮すると、ケーブル幅方向の中心Pcよりも一端部に近い側にデータ信号線L2が多く配置されるとともに、ケーブル幅方向の中心Pcよりも他端部に近い側(つまり他端側)に電源及びGND線L1が多く配置されるピン配列(つまりケーブル幅方向の中心Pcよりも他端側に電源線またはGND線が多く配置されるピン配列)であることが望ましい。尚、上述した第1乃至第4の実施の形態では、FFC21のピン配列を、ケーブル幅方向の一端側に1番ピンが位置するピン配列としたが、これに限らず、例えば1番ピンがケーブル幅方向の中央寄りに位置するようになっていてもよい。また上述した第1乃至第4の実施の形態では、FFC21に、電源及びGND線L1として、電源線及びGND線を設けたが、GND線については接地(アース)線としてもよい。
さらに上述した第1乃至第4の実施の形態では、FFC21の重なり部分でデータ信号線L2と電源及びGND線L1とが重なるようにしたが、これに限らず、FFC21のピン配列を図7(A)のピン配列とは変えることで、データ信号線L2と電源線のみが重なるようにしたり、データ信号線L2とGND線のみが重なるようにしたり、データ信号線L2とその他信号線L3とが重なるようにしてもよい。
[5-2.他の実施の形態2]
また上述した第1の実施の形態では、図6に示す折り曲げ方法により、FFC21Y、21Cを表裏反転しないように折り曲げたが、この折り曲げ方法は一例であり、図6に示す折り曲げ方法とは異なる折り曲げ方法で、FFC21Y、21Cを表裏反転しないように折り曲げるようにしてもよい。
[5-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第1の実施の形態では、FFC21K、21Y、21M、21Cを、LEDヘッド6側の1箇所と、制御基板20側の1箇所の計2箇所で、図6に示す折り曲げ方法で折り曲げるようにした。これに限らず、例えば、制御基板20のコネクタ23C、23Yを、コネクタ23K、23Mと上下逆にして、LEDヘッド6側の1箇所でのみ、図6に示す折り曲げ方法で折り曲げるようにしてもよい。
[5-4.他の実施の形態4]
さらに上述した第4の実施の形態では、図17に示したように、FFC21YとFFC21Mとの間に鈍り抑制部材100を挿入するようにしたが、これに限らず、図18に示すように、FFC21YとFFC21Mとの間にくわえて、FFC21KとFFC21Yとの間と、FFC21MとFFC21Cとの間にも、それぞれ鈍り抑制部材100を挿入するようにしてもよい。この場合も、データ信号線L2と電源及びGND線L1との間に挟まれる位置に鈍り抑制部材100を挿入すればよい。このようにすれば、データ信号線L2の鈍りがさらに抑制されると考えられる。
[5-5.他の実施の形態5]
さらに上述した第1乃至第4の実施の形態では、電子部品としての4個のLEDヘッド6と、電子部品としての制御基板20とを、4本のFFC21で接続する画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、電子部品同士を複数のフラットケーブルで接続する画像形成装置であれば、画像形成装置1とは異なる構成の画像形成装置に適用してもよい。例えば、5色以上もしくは3色未満のカラーに対応する画像形成装置や、中間転写ベルトを備える構成の画像形成装置などに適用してもよく、またプリンタに限らず、コピー機、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置に適用してもよい。
[5-6.他の実施の形態6]
さらに上述した各実施の形態では、画像形成装置1に、露光装置の具体例としてLEDを光源とするLEDヘッド6を設けたが、これに限らず、LEDとは異なる光源を有する露光装置を設けるようにしてもよい。さらに上述した各実施の形態では、フラットケーブルの具体例としてFFC21を用いたが、これに限らず、複数の信号線がケーブル幅方向に並べて配置されるフラットケーブルであれば、FFC21とは異なるフラットケーブルを用いてもよい。
[5-7.他の実施の形態7]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。