JP7234652B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
画像形成装置の定着装置では、紙詰まりの処理、定着装置内部品のメンテナンス、定着装置の交換のために定着装置を画像形成装置本体から着脱する必要がある。定着装置内には、加熱部材、温度検知部材、定着装置の有無を検知するセット検知部材などを設けているので、装置本体から加熱部材への電力供給や、温度検知信号の伝達のための電気的接続が必要であり、定着装置の装置本体への着脱時にそれらを容易に接離するドロワコネクタが知られている。ドロワコネクタは、定着装置の加熱部材や温度検知部材などの電気系統に電力を供給するための、画像形成装置本体との電気的接点である。
着脱可能な定着装置の温度検知手段の信号線を画像形成装置本体と接続するドロワコネクタを含む定着装置では、ドロワコネクタの端子部は定着装置の着脱による摺動により端子表層の金メッキが剥がれて、下層のニッケルメッキが露出し、定着装置近傍のために高温高湿な環境に晒されることでニッケル酸化物が生成され、接点部の接触不良が発生し、温度検知信号が正しく伝えられず、種々の障害が発生することがあった。このニッケル酸化物による接触不良が発生するときの接点部の挙動は非常に不安定で、接触抵抗が瞬間的に変化したり、中間的な抵抗値を有したりするが、大抵の場合は、抵抗上昇に持続性が無く、僅かな振動や定着装置の着脱により正常状態に戻る。
特許文献1の図6では、雄コネクタと雌コネクタを有するドロワコネクタであって、雄コネクタは上下2箇所の接点部で雌コネクタと接触することが開示されている。このドロワコネクタでは、1系統のラインに対して2箇所の接点部を設けているが、課題を解決するために特殊なドロワコネクタを製作する必要があり、下記の別な課題が生じている。
・特殊仕様のコネクタを製作する必要があるため、汎用性が無く装置仕様に合致したコネクタが採用できない。例えば必要な信号線数、電源線数が不足して使用が限られる場合、逆に必要以上の信号線、電源線がある場合は大きさ等の制約が発生する。
そこで本発明は、着脱可能な定着装置の温度検知手段のリード線を画像形成装置本体と接続するコネクタの接点に接触不良が発生した場合でも、温度検知信号を正しく伝達し、それに伴う障害の発生を防止することを課題とする。
この課題は、定着装置の温度を検知する1又は複数の温度検知手段と、本体側コネクタとの端子同士の接触により、前記温度検知手段からの温度検知信号を画像形成装置本体に伝える定着装置側コネクタと、を有し、前記温度検知手段のリード線が信号線及びGND線を有し、当該信号線は複数の信号線に分岐しており、当該GND線は複数のGND線に分岐しており、当該信号線及び当該GND線は前記定着装置側コネクタに接続されており、前記温度検知手段と前記定着装置側コネクタの間に中継基板が配置され、前記温度検知手段の前記リード線が前記中継基板上のパターン配線により複数に分岐され、前記中継基板は定着装置を構成する樹脂製の保持部材により定着装置に保持されており、前記中継基板はカバー部材により覆われており、前記定着装置側コネクタと前記カバー部材はボルトにより共に定着装置に締結されていることを特徴とする定着装置により解決される。
着脱可能な定着装置の温度検知手段のリード線を画像形成装置本体と接続するコネクタの接点に接触不良が発生した場合でも、温度検知信号を正しく伝達し、それに伴う障害の発生を防止することができる。
本発明の実施形態に係るプリンタの概略構成図である。 実施形態に係る定着装置の温度検知回路の一例を示す図である。 ドロワコネクタの接点を模式的に表した従来の温度検知回路を示す図である。 ドロワコネクタの接点を模式的に表した本発明の実施形態に係る温度検知回路を示す図である。 中継基板56での信号線の分岐を示す図である。 ドロワコネクタの接点を模式的に表した本発明の別の実施形態に係る温度検知回路を示す図である。 定着部材51の温度変化に伴う電圧変化を示す図である。 装置本体に対する定着装置5及びドロワコネクタ55の配置を模式的に表す図である。 定着装置5の着脱方向を模式的に表す図である。 ドロワコネクタ55に隣接したデッドスペースを示す図である。 ドロワコネクタ55に隣接したデッドスペースを示す図である。 デッドスペースと中継基板56の位置を示す図である。 画像形成装置本体と定着装置の別な配置を示す模式図である。 画像形成装置本体と定着装置の別な配置を示す模式図である。 実施形態に係る定着装置5の概略背面斜視図である。 中継基板56の概略構成図である。 中継基板56の概略構成図である。 中継基板56を覆うカバー部材58の実施形態を示す図である。 中継基板56を覆うカバー部材58の別な実施形態を示す図である。 装置内気流と中継基板56の配置を示す図である。 装置内気流と中継基板56の配置を示す図である。
以下では、本発明の実施形態に係る画像形成装置であるカラーレーザプリンタ(以下、単に「プリンタ」とも言う)について説明する。図1は、本実施形態のプリンタの概略構成図である。このプリンタは、イエロー・シアン・マゼンタ・ブラックの4つの画像形成手段を横に並べて配置してタンデム画像形成部を構成する。タンデム画像形成部においては、個々のトナー像形成手段である画像形成手段101Y、101C、101M、101Kが、図中左から順に配置されている。ここで、各符号の添字Y、C、M、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す。また、タンデム画像形成部においては、個々の画像形成手段101Y,C,M,Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体21Y,C,M,Kのまわりに、帯電装置、現像装置10Y,C,M,K、感光体クリーニング装置等を備えている。プリンタの上部には、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の各色トナーが充填されたトナーボトル2Y,C,M,Kが配置されている。そして、このトナーボトル2Y,C,M,Kから画像形成装置内に備えられた搬送経路によって、所定の補給量だけ各色現像装置10Y,C,M,Kに各色トナーが補給される。
また、タンデム画像形成部の下部に潜像形成手段としての光書込ユニット9が設けられている。この光書込ユニット9は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体21の表面にレーザ光を走査しながら照射するように構成されている。
また、タンデム画像形成部の直ぐ上には、中間転写体として無端ベルト状の中間転写ベルト1を設けている。この中間転写ベルト1は、支持ローラ1a、1bに掛け回され、この支持ローラのうち駆動ローラ1aの回転軸には駆動源としての駆動モータが連結されている。この駆動モータを駆動させると、中間転写ベルト1が図中反時計回りに回転移動するとともに、従動可能な支持ローラ1bが回転する。中間転写ベルト1の内側には、感光体21Y,C,M,K上に形成されたトナー像を中間転写ベルト1上に転写するための一次転写装置11Y,C,M,Kを設けている。
また、上記1次転写装置11Y,C,M,Kより中間転写ベルト1の駆動方向下流に2次転写装置としての2次転写ローラ4を設けている。この2次転写ローラ4と中間転写ベルト1を挟んで反対側には、支持ローラ1bが配置されており、押部材としての機能を果たしている。また、給紙カセット8、給紙コロ7、レジストローラ6等を備えている。さらに、2次転写ローラ4によりトナー像を転写された記録媒体Sの進行方向に関して2次転写ローラ4の下流部には、記録媒体S上の画像を定着する定着装置5、排紙ローラ3を備えている。
つぎに、上記プリンタの動作を説明する。個々の画像形成手段でその感光体21Y,C,M,Kを回転し、感光体21Y,C,M,Kの回転とともに、まず帯電装置17Y,C,M,Kで感光体21Y,C,M,Kの表面を一様に帯電する。次いで画像データを光書込ユニット9からのレーザによる書込み光を照射して感光体21Y,C,M,B上に静電潜像を形成する。その後、現像装置10Y,C,M,Kによりトナーが付着され静電潜像を可視像化することで各感光体21Y,C,M,K上にそれぞれ、イエロー・シアン・マゼンタ・ブラックの単色画像を形成する。また、画像形成装置内に備えられた駆動モータで駆動ローラ1aを回転駆動して他の従動ローラ1b、2次転写ローラ4を従動回転し、中間転写ベルト1を回転搬送して、その可視像を一次転写装置11Y,C,M,Kで中間転写ベルト1上に順次転写する。これによって中間転写ベルト1上に合成カラー画像を形成する。画像転写後の感光体21Y,C,M,Kの表面は、感光体クリーニング装置で残留トナーを除去して清掃して再度の画像形成に備える。
また、上記画像形成のタイミングにあわせて、給紙カセット8からは記録媒体S先端が給紙コロ7により繰り出され、レジストローラ6まで搬送され、一旦停止する。そして、上記画像形成動作とタイミングを取りながら、2次転写ローラ4と中間転写ベルト1の間に搬送される。ここで、中間転写ベルト1と2次転写ローラ4とは記録媒体Sを挟んでいわゆる2次転写ニップを形成し、2次転写ローラ4にて中間転写ベルト1上のトナー像を記録媒体S上に2次転写する。
画像転写後の記録媒体Sは定着装置5へと送り込まれ、表面を所定の温度に維持された定着部材51と定着部材51に対向し定着部材51に圧接される加圧部材52により形成されるニップ部に記録媒体Sを挟持搬送することで、記録媒体S上のトナー像を加熱加圧し、記録媒体Sに定着させる。またニップ部から排出された記録媒体Sは分離部材により分離された後、排紙ローラ3から機外に排出される。一方、画像転写後の中間転写ベルト1は、中間転写体クリーニング装置12で、画像転写後に中間転写ベルト1上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部による再度の画像形成に備える。
図2は、実施形態に係る定着装置の温度検知回路の一例を示す図である。
定着装置5に設けられた温度検知手段54は、定着装置の温度を検知する温度検知手段であって、温度により抵抗値が変化するサーミスタ素子54aを有し、その抵抗値の変化により定着部材51の温度を検知する。温度検知手段54としてはここではサーミスタを用いているが、サーミスタに限定されない。温度検知手段54には、制御基板60の制御部61からの電流がドロワコネクタ55を介して流れる。また、制御部61が、サーミスタ素子54aの抵抗変化によって変化する電圧を検知し、加熱部材53の通電を制御することで定着部材51の温度を制御する。
ドロワコネクタ55は一対の雄コネクタと雌コネクタで構成され、それぞれのコネクタに設けられた端子部がコネクタ挿入時に接触することで通電される。多数回の挿抜を想定しているドロワコネクタの信号線用の端子は、一般的に、銅から成る基材の表面にニッケルメッキが施し、さらにその表面に金メッキが施されている。
この温度検知回路内のドロワコネクタ55の接点部の端子表層の金メッキが剥がれ、下層のニッケルメッキが露出し、これが定着装置近傍による高温高湿な環境に晒されることで、ニッケル酸化物、酸化被膜が生成されることがある。また、接点部にゴミや異物が侵入し、ゴミや異物が原因で接触不良が生じることもある。
このような接点部の接触不良が発生し、温度検知信号が正しく伝えられないと、本来の検知温度よりも高い温度又は低い温度を検知することになる。誤って高い温度と検知した場合は、定着装置が本来の目標温度よりも低い温度に制御され、記録媒体上のトナー画像の定着不良が発生し、画像品質が低下してしまう。また誤って低い温度と検知した場合は、定着装置が本来の目標温度よりも高い温度に制御されるので、定着装置の劣化を早めてしまう等の問題が生じる。このような故障状態となった場合、ユーザーやサービスマンが定着装置5を一旦取り外し、清掃作業を行わなければならず、また清掃作業で解決しない場合、定着装置5を交換しなければならなかった。
図3は、ドロワコネクタの接点を模式的に表した従来の温度検知回路を示す図である。
ドロワコネクタ55は、定着装置側コネクタ55Uと本体側コネクタ55Hを有し、温度検知手段54と、装置本体の制御基板60の間に配置されている。定着装置側コネクタ55Uは、定着装置5に設置され、本体側コネクタ55Hは画像形成装置本体に設置されている。一般に、温度検知手段としてのサーミスタはリード線を2本有し、リード線は信号線とGND線(アース線)とに分かれている。温度検知手段54のリード線は定着装置側コネクタ55Uに接続されている。リード線の先端に端子があり、本体側コネクタ55Hと定着装置側コネクタ55Uの端子同士が接触している箇所が接点である。温度検知電流は、制御基板60の信号側からドロワコネクタ55の接点65aを介して温度検知手段54の信号側に流れ、サーミスタ素子54a(図3には図示していない)を流れ、温度検知手段54のGND側から再びドロワコネクタ55の別の接点65cを介して制御基板60へ流れる。
ここで、ドロワコネクタ55のいずれかの接点(例えば、接点65a)の抵抗が上昇すると、温度検知回路に別の抵抗が加算されるため温度検知が正しくできなくなり、上述のような障害が生じる。
図4は、ドロワコネクタの接点を模式的に表した本発明の実施形態に係る温度検知回路を示す図である。
この温度検知回路は、中継基板56を用いた複線化の一例である。具体的には、温度検知手段54とドロワコネクタ55の間に中継基板56が配置されている。温度検知手段54からのリード線である信号線及びGND線は、信号側及びGND側でそれぞれ中継基板56へ接続され、それぞれ2本の信号線及びGND線に分岐され(すなわち、複線化され)、ドロワコネクタ55を通過して制御基板60へと接続されている。温度検知手段54のリード線は中継基板56上のパターン配線により複数に分岐されている。中継基板56を用いることで、従来から用いられている汎用的なドロワコネクタ55を用いることができるので、ドロワコネクタ55を安価に調達できる。制御基板60では制御基板60内のパターン配線により制御部61へは1信号として伝えられる。これに代えて、装置本体側にも中継基板や中継コネクタを用いて2本のリード線を1本のリード線に戻しても良い。また、1又は複数の温度検知手段54が定着装置5に設けられてもよい。
以上のように、本実施形態に係る定着装置5は、定着装置の温度を検知する1又は複数の温度検知手段54と、本体側コネクタ55Hとの端子同士の接触により、温度検知手段54からの温度検知信号を画像形成装置本体に伝える定着装置側コネクタ55Uと、を有し、温度検知手段54のリード線が複数に並列に分岐され、定着装置側コネクタ55Uに接続されている。これにより、着脱可能な定着装置5の温度検知手段54のリード線を画像形成装置本体と接続するコネクタの接点に接触不良が発生した場合でも、温度検知信号を正しく伝達し、それに伴う障害の発生を防止することができる。
次に、図5を用いて中継基板56でのリード線の分岐について説明する。図5は、図4に示す中継基板56の概略拡大図である。
温度検知手段54からの1つのリード線は、中継コネクタ56Uを介してそのまま1つのリード線として中継基板56に接続される。そして、各温度検知手段54のリード線である信号線及びGND線はそれぞれ、中継基板56内でのパターン配線により1つの線から2つの線に分岐される。これらの線は複線化され、並列配置されている。中継コネクタ56Dを介して2倍に複線化された信号線及びGND線はドロワコネクタ55に接続される。中継基板56は、中継コネクタ56U及び中継コネクタ56Dを有している。なお、複線化される線数は2倍に限らず、3倍以上であってもよい。
再び図4を参照して、ドロワコネクタ55の1つの接点の抵抗が上昇した場合について説明する。
図3の場合と同様に、図4に示す1つの接点65aの抵抗が上昇した場合、信号線が複数化され並列配置されているため、電流は抵抗の低い方に流れる。すなわち、電流は、図中の矢印に示すように、並列配置されたもう一方の接点65bを介して制御基板60まで流れる。この時の電流は、オームの法則で既知の通り、抵抗上昇していないときと同じ値で流れるので温度検知信号は正しく伝達される。この結果、抵抗上昇した接点65aは温度検知回路上で不要となり、定着装置は正しく動作し、障害は発生しない。
図6は、ドロワコネクタの接点を模式的に表した本発明の別の実施形態に係る温度検知回路を示す図である。
本実施形態では、温度検知手段54とドロワコネクタ55の間に中継基板56が配置され、温度検知手段54には信号線とGND線がそれぞれ単独に設けられている。それぞれの温度検知手段54からの信号線は中継基板56へ接続され、そこで2本の信号線に分岐され(すなわち、複線化され)、ドロワコネクタ55を通過して制御基板60へと接続されている。一方で、温度検知手段54からの複数のGND線は中継基板56上のパターン配線により互いに接続されている。信号線は検知した温度の信号を伝達するが、GND線は基準として共通である。この温度検知回路では、複数のGND線は共通に使用可能なので、ドロワコネクタ55通過時に互いに並列接続することが可能であり、並列接続することで1個の接点で異常が生じた場合でも、信号線の場合と同様に、電流は正常な接点の方に流れるので、温度を正しく検知できる。例えば本実施形態では、接点65cで抵抗上昇が生じた場合、電流は他の接点65eを介して制御基板60まで流れる。これにより、接点の異常に伴う障害発生が防止でき、信頼性を高めることができる。中継基板56を用いることでGND線の接点を自由に選ぶことができる。GND線の接点は、温度検知手段の数とドロワコネクタの信号数の制約により増減可能である。信号は、温度検知回路の複数のGND線を共通使用してドロワコネクタ55に伝達されるので、ドロワコネクタ上の使用信号線数を増やすことなく前述の効果を得ることができる。また線数を増やしていないので装置の大型化を防止し、費用増大を抑制することができる。中継基板56を用いることで、従来から用いられている汎用的なドロワコネクタ55を用いることができるので、ドロワコネクタ55を安価に調達できる。
図7は、定着部材51の温度変化に伴う電圧変化を示す図である。
制御部61により、電圧値を温度検知信号として捉え、加熱部材53の通電を制御し、定着部材51を一定温度になるように制御しているので、図示のように、通常は、定着部材51の温度と同期している電圧値は一定の値に制御される。しかし、接点部の抵抗上昇が生じた場合、結果として図7に示すような一時的な電圧暴れが発生する。温度検知信号が一時的に変動した結果、狙いの温度が正しい値からずれるので一定の振幅で推移していた全体波形にも乱れが生じる。このニッケル酸化物による接触不良が発生するときの接点部の挙動は非常に不安定で、接触抵抗が瞬間的に変化したり、中間的な抵抗値を持ったりするが、大抵の場合は、抵抗上昇に持続性が無く、僅かな振動や定着装置の着脱により正常状態に戻ってしまう。図6の例でも2~3回の抵抗上昇の後に電圧波形は正常状態に戻っているので、温度検知波形も直ぐに一定な温度に対応する波形に戻っている。
このように、ニッケル酸化物による接触不良が生じる場合に抵抗が継続的に暴れることは少ないので、接点を並列配置することで、残りの正常な接点を使用できる可能性が高く、これにより温度検知信号を正しく伝えることができる。画像形成装置において接点の抵抗上昇による障害が起こる確率を大幅に減らすことができる。
逆に、接点の抵抗上昇が継続的に起こる場合は、複数の接点が同時に抵抗上昇することとなり、そのような場合は複数接点の効果が得られなくなる。
次に、中継基板56の設置について説明する。
図8は、画像形成装置本体と定着装置の配置を示す模式図である。
図8aは、装置本体に対する定着装置5及びドロワコネクタ55の配置を模式的に表しており、定着装置5がドロワコネクタ55を介して装置本体に装着されている。図8bは、定着装置5の着脱方向を模式的に表しており、定着装置5はその長手方向に対して直交する方向に着脱可能である。図8bでは、定着装置5が装置本体から取り外されており、定着装置側コネクタ55Uを備えた定着装置5と、本体側コネクタ55Hを備えた装置本体とが分離している。このとき、定着装置側コネクタ55Uと本体側コネクタ55Hから成るドロワコネクタ55は、定着装置5の着脱方向に挿抜可能に配置されている。これにより、定着装置5の着脱と同期してドロワコネクタ55が挿抜され、電気的接続が形成・解除される。
電気部品であるドロワコネクタ55は、定着装置5の熱の影響をできるだけ受けないように配置することが望ましく、またその大きさから定着装置5の内部に配置するのは難しい。このため、図8bに示されているようにドロワコネクタ55の定着装置側コネクタ55Uは定着装置5の外側に突出して配置される。この場合、図8c、図8dの破線部で示されるように、突出部分であるドロワコネクタ55の本体側コネクタ55Hに隣接する幅方向に、定着装置5の着脱に寄与せず、ドロワコネクタ55と同程度の幅の他の部品の配置に適さないデッドスペース67,68が生じてしまう。デッドスペース67,68は、定着装置5の熱を装置本体に伝えないための緩衝空間や装置内気流の流路として用いられる場合もあるが、装置小型化の妨げとなる。そこで図8eに示すように、このデッドスペース67に対応して中継基板56を定着装置5に配置することで、このようなデッドスペース67を有効に使用して装置を大きくせずに、中継基板56を配置できる。これに代えて、デッドスペース68に対応して中継基板56を定着装置5に配置してもよい。
また、中継基板56はドロワコネクタ55とハーネス接続されるので、ドロワコネクタ55の近くに配置されることが好ましい。
図9は、画像形成装置本体と定着装置の別な配置を示す模式図である。図9aでは、定着装置5が装置本体から取り外されており、図9bでは、定着装置5がドロワコネクタ55を介して装置本体に装着されている。
本実施形態では、定着装置5はその長手方向に着脱可能であり、このために定着装置側コネクタ55Uは定着装置5の長手方向の端部に配置されている。定着装置側コネクタ55Uと本体側コネクタ55Hから成るドロワコネクタ55は、定着装置5の着脱方向に挿抜可能に配置されている。図9bに示すように、定着装置5の装着時にドロワコネクタ55の横にデッドスペース69が生じるので、このデッドスペース69に対応して中継基板56を定着装置5に配置する。
図10は、実施形態に係る定着装置5の概略背面斜視図である。
定着装置側コネクタ55Uが定着装置5の上方且つ後方に固定されている。定着装置側コネクタ55Uは、長方形の開口55Vを有し、内部には金メッキが施された端子を有する。本体側コネクタ55Hも、長方形の開口55Vに対応する形状を有し、内部には金メッキが施された端子を有する。これらの定着装置側コネクタ55U側の端子は本体側コネクタ55H側の端子と接触することで、電気的接続が形成される。温度検知手段54が定着装置5に設置されている。温度検知手段54は、定着装置5の長手方向端部に設置された端部サーミスタと、中央部に設置された中央サーミスタから成る。定着装置側コネクタ55Uの横には、保持部材57が定着装置5に固定されており、保持部材57には中継基板56が配置されている。
図示のように、中継基板56は定着装置5に保持されている。
中継基板56を定着装置5内に設けることで、従来から用いている汎用的なドロワコネクタ55を用いることができるので、ドロワコネクタ55を安価に調達でき、ドロワコネクタ55内に複雑な形状を用いることによる大型化や高コスト化が回避される。さらに、中継基板56をドロワコネクタ55と関連性なく配置できるため、装置本体に影響を与えることなく定着装置5内での配置の自由度が高められる。
また図示のように、中継基板56は定着装置5を構成する樹脂製の保持部材57により保持されている。樹脂製の保持部材57を用いることで以下の利点が得られる。
・金属製部材に比べて樹脂製部材の方が断熱性が良く、熱伝導性が低い。その結果、定着部材51からの熱が中継基板56に伝わりにくく、中継基板56を熱から保護し、安定的な動作を保証することができる。
・樹脂製部材は絶縁性のため、電気的な短絡や、短絡による誤動作の懸念が無い。そのため部品の取付等の配置の自由度が高い。
・樹脂製部材は形状の自由度が高く、取付形状の形成が容易である。絶縁性と相まって、中継基板56をネジなどの固定部材を用いずに樹脂製部材(保持部材57)に設置可能となり、組み立て性が向上される。また、図11に示すように、ネジ取付形状が不要となるので、中継基板56のネジ穴70を含む部分を削除することができ、これにより中継基板56を小型化できる。
ここで図11は、中継基板56の概略構成図である。
図11に示す中継基板56では、図6に示す中継基板56と同様に、信号線は2本の信号線に分岐され(すなわち、複線化され)ている。一方で、GND線は互いに接続されている。
図12は、中継基板56の概略構成図である。
図示のように、切り欠き71が中継基板56の下部に設けられている。一方、図10に示すように、定着装置5を構成する樹脂製の保持部材57は、切り欠き71に嵌る突起72を有している。このように定着装置5の突起72と中継基板56の切り欠き71を嵌めることで、中継基板56が定着装置5に保持される方向が一意に決まることになる。このような構成とすることで、リード線(ハーネス)の配回し、コネクタの取付等、安定した組み立て性を得ることができ、付随した組み立て不良を減らすことができる。
また、図10に示すように、中継基板56が挿入されるコネクタ81、82は、中継基板56が誤挿入できないように構成されていると好ましい。これにより、コネクタの取付等、安定した組み立て性を得ることができ、付随した組み立て不良を減らすことができる。具体的には、それぞれのコネクタの種類を別種としたり、コネクタ81、82のピン数を例えば6ピンと4ピンなどとして違うものにしたりすればよい。
図13は、中継基板56を覆うカバー部材58の実施形態を示す図である。
図示のように、本実施形態の定着装置5では、中継基板56はカバー部材58により覆われている。カバー部材58は中継基板56の全体を覆っている。これにより、オペレータやサービスマンが、定着装置5の着脱時に装置外に出された定着装置5の中継基板56などに意図せずに接触することを防止し、また部品の機械的破損、静電気等による電気的破損、コネクタ抜け等の不具合を防止することができる。
また、ドロワコネクタ55の定着装置側コネクタ55Uとカバー部材58が締結手段74により共に定着装置5に締結されている。これにより、組み立て性の簡素化と部品削減が実現される。締結手段74は例えばボルトである。
図14は、中継基板56を覆うカバー部材58の別な実施形態を示す図である。
図示のように、このカバー部材58は複数の開口部66を有する。これにより、下記の効果が奏される。
・オペレータやサービスマンが、中継基板56が正しく組み立てられ、配置されていることを容易に視認でき、組み立てミスの低減と故障時の早期解決が可能となる。
・カバー部材58に形成された開口部66によって中継基板56の通気性が良くなるため、定着部材51の近傍に配置されて高温になりやすい中継基板56の温度上昇を抑えることができる。
また、カバー部材58及び保持部材57がリード線(ハーネス)を案内する案内形状を有すると好ましい。これにより、案内形状にリード線を配回すことができ、付随した組み立て不良を減らすことができる。
図15は、装置内気流と中継基板56の配置を示す図である。
図15aは、ファン59が装置内へ気流を吸い込む様子を示す実施形態の図である。
中継基板56は画像形成装置内の気流路上に配置される。具体的には、ファン59が中継基板56の後方に配置され、矢印で示すように、中継基板56は、ファン59により装置外から吸い込まれた気流であって装置外温度と同等の気流を受けるように配置されている。本実施形態では、定着装置5の熱による中継基板56の温度上昇が装置外気流によって抑制され、中継基板56の安定的な動作を保証できる。
図15bは、ファン59が装置外へ気流を排出する様子を示す別な実施形態の図である。
このとき装置内には、ファン59が定着装置5の後方に配置され、流路Aで示される、定着装置5近傍の熱を装置外に排出する気流が形成される。この流路Aは定着装置5の熱を上流から下流(ファン59付近)へ運ぶ流路であり、この流路A上に中継基板56を配置すると定着装置5の熱が中継基板56に集まってしまい、中継基板56の温度上昇を抑制するために好ましくない。一方、流路Bで示される、装置内の定着装置5以外の箇所から流れる気流は温度が低いので、この流路B上に中継基板56を配置することで、中継基板56が定着装置5近傍に配置されていてもその熱の影響を受けにくくなる。このようにして、中継基板56は、画像形成装置内の気流路上に配置される。
以上のように、本発明によれば、ドロワコネクタ接点が並列配置で設けられるので、接触抵抗異常による接点不良が1つの接点で起きた場合でも、正常に導通している並列配置された他の接点によって温度検知信号を正しく装置本体に伝達することが可能となる。上述したように、この種の抵抗上昇には持続性が無いため、並列配置された複数の接点で同時に抵抗上昇が発生する可能性は極めて低い。その結果、装置の温度検知異常に伴う障害の発生を防止できる。
例えば、このような複数の接点を有するために従来技術のような特殊なコネクタを用いることが考えられるが、これは汎用的なものではないため、その大きさ、形状、調達性、費用などの種々の制約事項を伴う。本発明の実施形態によれば、例えば、定着装置内に中継基板を設け、中継基板内で温度検知信号を並列化することで、汎用的なドロワコネクタを用いたまま信号線を並列配置できる。定着装置内に中継基板を配置し、中継基板内で信号を増減させることで、装置本体に影響与えることなく、装置全体の小型化が達成できる。
5 定着装置
54 温度検知手段
55H 本体側コネクタ
55U 定着装置側コネクタ
特開2010-072073号公報

Claims (10)

  1. 定着装置の温度を検知する1又は複数の温度検知手段と、
    本体側コネクタとの端子同士の接触により、前記温度検知手段からの温度検知信号を画像形成装置本体に伝える定着装置側コネクタと、を有し、
    前記温度検知手段のリード線が信号線及びGND線を有し、当該信号線は複数の信号線に分岐しており、当該GND線は複数のGND線に分岐しており、当該信号線及び当該GND線は前記定着装置側コネクタに接続されており、
    前記温度検知手段と前記定着装置側コネクタの間に中継基板が配置され、
    前記温度検知手段の前記リード線が前記中継基板上のパターン配線により複数に分岐され、
    前記中継基板は定着装置を構成する樹脂製の保持部材により定着装置に保持されており、
    前記中継基板はカバー部材により覆われており、
    前記定着装置側コネクタと前記カバー部材はボルトにより共に定着装置に締結されていることを特徴とする定着装置。
  2. 前記リード線のうち、前記温度検知手段からの前記複数のGND線が互いに接続されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記温度検知手段と前記定着装置側コネクタの間に中継基板が配置され、
    前記温度検知手段からの前記複数のGND線は前記中継基板上のパターン配線により互いに接続されていることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記中継基板は固定部材を用いずに前記保持部材に設置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の定着装置。
  5. 切り欠きが前記中継基板に設けられ、前記保持部材は、前記切り欠きに嵌る突起を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の定着装置。
  6. 前記中継基板が挿入されるコネクタは、前記中継基板が誤挿入できないように構成されていることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の定着装置。
  7. 前記カバー部材は開口部を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の定着装置。
  8. 前記カバー部材及び前記保持部材が前記リード線を案内する案内形状を有することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の定着装置。
  9. 前記中継基板は、画像形成装置内の気流路上に配置されることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の定着装置。
  10. 請求項1~のいずれか一項に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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