以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態において、図1に示すラベル貼付装置Aを基準として、上下方向を定義する。また、図1のラベル貼付装置Aにおいて、搬送部1は、左から右に対象物であるシリンジCyを搬送する。そのため、ラベル貼付装置Aを図1に示す方向に見たとき、左から右に進む方向を搬送方向Tp1とし、左側を搬送上流側、右側を搬送下流側と定義する。さらに、第1中心軸Cx1、第2中心軸Cx2は、図2において、左右方向に延びるものと定義する。また、図2に示す状態において、右側を手前側、左側を奥側と定義する。
<ラベル貼付装置A>
図1は、本発明に係るラベル貼付装置Aの概略図である。図2は、図1に示すラベル貼付装置Aの搬送上流側から見た概略図である。図3は、ラベル貼付装置Aの機能ブロック図である。図4は、シリンジCyの蓋部CpにおけるラベルLbの貼り付け位置を示す図である。ラベル貼付装置Aは、例えば、ガラスで形成されたシリンジ(注射器)Cyの蓋部Cpを対象物として、蓋部CpにラベルLbを貼り付ける。ラベル貼付装置Aは、注射器の製造装置の一部に含まれる。例えば、前工程において、薬液が充填されるとともに蓋部Cp、ピストン(不図示)を取り付けたシリンジCyの蓋部CpにラベルLbを貼り付ける。
ここで、対象物であるシリンジCyについて、説明する。図4に示すように、シリンジCyは、バレルBr、フランジ部Fgおよび蓋部Cpを有する。バレルBrは、一端が閉じられた円筒状である。バレルBrの閉じられた端部には、軸方向に突出した筒状の凸部Br1が設けられている。本実施形態において、凸部Br1は、バレルBrの内部の空間と外部とを連通する。蓋部Cpは、凸部Br1に固定される。蓋部Cpは、凸部Br1の先端を塞ぐ。バレルBrの凸部Br1が設けられる側と反対側の端部は、開口している。この開口より薬液が充填されて、不図示のピストンが挿入される。フランジ部Fgは、バレルBrの外周面の開口側の端部から径方向に拡がる。
ラベルLbの貼り付け位置の一例について説明する。図4に示すように、ラベルLbは、蓋部Cpの内側の基準位置Stから長さa1離れた位置に、蓋部Cpを周方向に包むように貼り付けられる。なお、蓋部Cpの基準位置Stは、蓋部Cpの外周面とシリンジCy本体側の面との稜線としているが、これに限定されない。蓋部Cpに特定の基準位置を設けてもよい。ラベルLbには、表側に情報(例えば、開封方向等)が印字されており、裏側は粘着面Lb0(後述の図5、図8等参照)となっている。ラベルLbは、粘着面を蓋部Cpに接触させて蓋部Cpに貼り付ける。
図1~図3に示すように、ラベル貼付装置Aは、搬送部1と、ラベル保持部2と、ラベル供給部3と、カム部41と、カムローラー43と、相対位置変更部5と、第1位置検知部61と、第2位置検知部62と、ラベル回収部7と、挟持ローラー8と、制御部9と、を有する。なお、ラベル貼付装置Aでは、一部の部材がフレームFmに固定されている。制御部9は、ラベル貼付装置Aを包括的に制御する。制御部9の詳細については、後述する。
<搬送部1>
図5は、搬送部1に設けられる搬送ユニット11の側面図である。図1に示すように、搬送部1は、複数の搬送ユニット11が連結されている。なお、搬送部1において複数の搬送ユニット11は、無端状に連結されている。搬送ユニット11は、シリンジCyを保持する。搬送ユニット11は、少なくとも、ラベル保持部2と対向して、ラベルLbがシリンジCy添付される領域においてシリンジCyを水平に保持する。なお、本実施形態では説明しないが、ラベル貼付装置Aの前工程および後工程にシリンジCyを搬送するときに、シリンジCyを鉛直方向に保持して搬送する。
図5に示すように、搬送ユニット11は、台座部12と、支持ローラー13と、押え部14と、を有する。台座部12は、正面視において、上部が向かって中心に向かって狭くなる。そして、台座部12の上端部には、支持ローラー13が配置される。支持ローラー13は、搬送ユニット11の搬送方向Tp1と直交し水平方向に延びる中心軸周りに回転可能に台座部12に支持される。搬送ユニット11において、支持ローラー13は、4個備えられており、シリンジCyの外周面を4か所で支持する。なお、支持ローラー13は、4個に限定されず、シリンジCyを安定してかつ回転可能に支持できる個数を広く採用できる。
押え部14は、台座部12に対して搬送方向Tp1と直交し水平方向に接近離間可能に配置される。押え部14が台座部12に接近することで、台座部12と押え部14とが、シリンジCyのフランジ部Fgを挟む。これにより、シリンジCyの軸方向の移動が制限される。なお、押え部14は、ばね等の弾性部材(不図示)にて付勢されることでフランジ部Fgを押えてもよいし、押え部14にローラーを取り付けて、ローラーを押すことで軸方向に移動させてフランジ部Fgを押えるようにしてもよい。
台座部12と押え部14とによるフランジ部Fgを挟持する力は、シリンジCyが支持ローラー13に支持されて回転可能な程度の力である。これにより、ラベル貼付装置Aにおいて、シリンジCyを回転させつつ、蓋部CpへのラベルLbの貼り付けが可能となる。
<ラベル保持部2>
ラベル保持部2について図面を参照して説明する。図6は、ラベル保持部2の正面図である。図7は、ラベル保持部2の斜視図である。図6、図7に示すように、ラベル保持部2は、第1中心軸Cx1周りに回転可能な構成を有する。図2、図6、図7に示すように、ラベル保持部2は、シャフト21と、ハブ部22と、枠体23と、接触体24と、ガイドレール25と、スライドガイド26と、駆動装置27とを有する。
図6、図7に示すように、ラベル保持部2は、同じ大きさおよび形状の6個のラベル保持ユニット20を有する。6個のラベル保持ユニット20は、第1中心軸Cx1を中心として等中心角度間隔で周方向に並んで配置される。本実施形態において、各ラベル保持ユニット20は、枠体23と、接触体24と、スライドガイド26とを有する。
なお、本実施形態において、ラベル保持部2は、6個のラベル保持ユニット20を備える構成となっているが、これに限定されない。例えば、6個以外の個数であってもよい。保持するラベルLbの長さ、ラベル保持部2の外径によって調整される。また、ラベル保持部2は単一のユニットで構成されてもよい。この場合、接触体24の外面は、複数の後述のラベル吸着面241を周方向に配置した構成とすることができるが、これに限定されない。
各ラベル保持ユニット20は、それぞれ1枚ずつラベルLbを吸着した状態で保持する。そして、各ラベル保持ユニット20は、第1中心軸Cx1を中心に回転する(図1、図6等において、時計回り方向:以下、回転方向Rn1とする)。
ラベル貼付装置Aは、搬送部1によって搬送されるシリンジCyの蓋部CpにラベルLbを貼り付ける。ラベル保持部2は、搬送部1の上方に配置されている。搬送部1の搬送ユニット11がラベル保持部2の下方に移動したとき、ラベル保持ユニット20のラベル吸着面241に吸着されたラベルLbが蓋部Cpに貼り付けられる。ラベルLbの貼り付けの詳細については、後述する。
図2に示すように、シャフト21は、第1中心軸Cx1に沿って延びる。シャフト21は、円筒状のスリーブ211と、円柱状のインナーシャフト212とを有する。シャフト21において、インナーシャフト212は、スリーブ211の内部に回転可能に収容される。そして、スリーブ211およびインナーシャフト212は、中心が第1中心軸Cx1と重なる。スリーブ211は、ラベル貼付装置AのフレームFmに固定される。インナーシャフト212の内部には、第1中心軸Cx1に沿って延びるシャフト吸気ダクト213が複数個(ここでは、12個)形成されている。シャフト吸気ダクト213は、通気孔である。
そして、スリーブ211の外周面には、空気を吸引する吸引ノズルが取り付けられる。詳細には、スリーブ211は、12個の吸引口214を有し、各吸引口214には、異なる吸引ノズルが取り付けられている。12個の吸引口214は、12個のシャフト吸気ダクト213と、それぞれ、接続される。
スリーブ211とインナーシャフト212との接続部分には、いわゆる、ロータリジョイントを備える。そのため、インナーシャフト212が回転しても、各吸引口214と対応するシャフト吸気ダクト213との連結は維持される。シャフト21において、12個のシャフト吸気ダクト213は、それぞれ独立して空気を吸引することが可能である。
インナーシャフト212には、例えば、モーター等の駆動装置27が接続されている。モーター27は、電動モーターであってもよし、空圧モーターであってもよい。また、モーター以外の駆動装置を採用してもよい。モーター27の出力軸がインナーシャフト212と接続している。そして、モーター27の駆動によって、インナーシャフト212は第1中心軸Cx1周りに回転される。以下、説明する各種モーターについても、特に限定しない限り、モーター27と同様の構成とする。
図3に示すように、モーター27は、制御部9に接続されている。制御部9は、モーター27の速度を制御して、ラベル保持ユニット20のラベル吸着面241の回転方向Rn1の速度を、搬送部1の搬送ユニット11の搬送方向Tpの速度に同期させる。これにより、ラベルLbを正確にかつ確実に蓋部Cpに貼り付けることが可能である。
図2、図7に示すように、ハブ部22は、第1中心軸Cx1方向に延びる。そして、図2に示すように、ハブ部22は、インナーシャフト212の手前側の端部に固定される。つまり、ハブ部22は、インナーシャフト212とともに回転する。ハブ部22は、径方向外側に延びる複数個(ここでは12個)のハブ吸気ダクト221を有する。ハブ吸気ダクト221は、通気孔である。12個のハブ吸気ダクト221は、12個のシャフト吸気ダクト213とそれぞれ連結する。ハブ吸気ダクト221は2本一組で1つのラベル保持ユニット20と対応して配置される。そして、ハブ吸気ダクト221は、ハブ部22の前面に開口したハブ吸込口222を有する。詳細は後述するが、ハブ吸込口222には、接続口232と連通するためのパイプ28が接続される。
ガイドレール25は、ラベル保持ユニット20の第1中心軸Cx1方向の移動をガイドする。ガイドレール25は、ラベル保持ユニット20と同数、ここでは、6個備えられる。6個のガイドレール25は、ハブ部22の径方向の外周面において、第1中心軸Cx1を中心とする周方向に等間隔に配置される。ガイドレール25には、スライドガイド26が摺動可能に取り付けられる。ガイドレール25は、スライドガイド26の第1中心軸Cx1方向の摺動をガイドする。
図6、図7に示すように、枠体23は、第1中心軸Cx1に沿って延びる形状であり、第1中心軸Cx1の手前側の端部は、径方向に拡がる。枠体23は、スライドガイド26に固定され、枠体23は、スライドガイド26と一緒に第1中心軸Cx1方向に摺動する。また、ハブ部22が回転するときに、枠体23および接触体24は、ガイドレール25およびスライドガイド26を介して回転方向の力が伝達されて、第1中心軸Cx1周りに回転される。
図6に示すように、第1中心軸Cx1方向に見たとき、枠体23は扇形を径方向内側の三角形状を切除した形状であり、径方向内側が、第1中心軸Cx1の軸方向および周方向の接線方向に拡がる平面部を有する。枠体23の平面部に、スライドガイド26が固定される。なお、スライドガイド26の固定は、ねじ、溶接等を挙げることができるが、これに限定されない。スライドガイド26を枠体23に強固に固定できる固定方法を広く採用できる。
枠体23の径方向外面は、第1中心軸Cx1を中心とする円柱面に沿う曲面状である。枠体23には、接続ダクト231(後述する、図10、図11参照)と、接続口232と、枠体連結ダクト233と、を有する。接続ダクト231は、第1中心軸Cx1に沿って延びる。接続ダクト231は、接続口232を介して外部と連通する。接続口232は、枠体23の第1中心軸Cx1方向の端面に設けられる。また、枠体連結ダクト233は、接続ダクト231から径方向外側に延び、径方向の外周面に開口している(後述する図10、図11参照)。枠体連結ダクト233は、各ラベル保持ユニット20に、6個ずつ備えられる。
接触体24は、周方向に延びるアーチ状の部材である。接触体24は、ラベル保持ユニット20の各枠体23の径方向外面に固定される。接触体24は、ゴム、シリコーン等の柔軟性を有する部材で形成される。接触体24は蓋部Cpと接触して、ラベルLbを貼付する。接触体24が、柔軟性を有するため、蓋部Cpに接触したときの蓋部に作用する力を低減できる。
接触体24は、ラベル吸着面241と、複数の貫通孔242とを有する。ラベル吸着面241は、接触体24の径方向外縁に配置され、枠体23の外周面と同心の円柱面上に形成された曲面である。貫通孔242は、接触体24を径方向に貫通する。接触体24は、ここでは、6個の貫通孔242を備えており、各貫通孔242は、枠体連結ダクト233と連通する。そして、貫通孔242は、ラベル吸着面241に開口した吸着口243を有する(図6、図7、図8等参照)。
そして、ハブ吸込口222と、接続口232とがパイプ28を介して連通されている。(図1、図2、図8等参照)これにより、吸引口214と、吸着口243とは、シャフト吸気ダクト213、ハブ吸気ダクト221、ハブ吸込口222、パイプ28、接続ダクト231、接続口232、枠体連結ダクト233、貫通孔242を介して連通されている。そのため、吸気ノズルから空気を吸い込むことで、吸着口243から空気を吸引し、ラベル吸着面241に配置されたラベルLbを真空吸引可能となっている。
本実施形態では、複数のラベル保持ユニット20に配置された吸着口243毎に独立して吸着が可能な構成となっている。このような構成として、例えば、1台の吸引する装置(例えば、真空ポンプ)で、各吸引口214に接続される吸気ノズルにつながる配管に弁を設けて、吸着を切り替える構成を挙げることができる。なお、空気の吸引は、制御部9によって制御される。
なお、本実施形態ではラベル保持部2として、円環上に配置された接触部有する構成であるが、これに限定されない。例えば、無端状に接続されたベルト状の接触部を有する構成であってもよい。また、これら以外にも、ラベルを対象物に継続して貼り付けることができる構成を広く採用できる。また、対象物の形状、大きさ等に応じてラベル保持部を変更できるようにしてもよい。
<挟持ローラー8>
図1に示すように、挟持ローラー8はラベル保持部2の下方に配置される。挟持ローラー8は、第1中心軸Cx1と平行な第2中心軸Cx2周りに回転可能に配置される。そして、挟持ローラー8は、挟持シャフト81と、挟持ハブ82と、挟持モーター83とを有する。
挟持モーター83は、フレームFmに固定される。挟持モーター83は、第2中心軸Cx2周りに回転可能な駆動軸を有する。挟持シャフト81は、挟持モーター83の駆動軸の手前側の端部に同芯で固定される。挟持モーター83の駆動軸が回転することで、挟持シャフト81は第2中心軸Cx2周りに回転する。なお、挟持モーター83の駆動軸と挟持シャフト81とは、直接接続されてもよいし、減速機を介して接続されてもよい。減速機を用いる場合、挟持モーター83の駆動軸と挟持シャフト81とは、同芯でなくてもよい。
挟持ハブ82は、挟持シャフト81の手前側端部に取り付けられる。挟持ハブ82は、第2中心軸Cx2と直交する方向に拡がる円板状である。挟持ハブ82の径方向外縁には、円環状の弾性挟持部821が固定される。本実施形態では、弾性挟持部821は、接触体24と同じ材料で形成されるが、異なる材料であってもよい。対象物を傷つけにくく、摩擦力が高い材料を広く採用できる。
蓋部CpにラベルLbを貼り付けるときに、蓋部Cpをラベル保持部2と挟持ローラー8とで上下方向に挟む。そして、挟持ローラー8は、ラベル保持部2と同じ方向に回転しており、ラベル保持部2と挟持ローラー8とで蓋部Cpを回転させる。そして、蓋部Cpを回転させつつラベルLbを蓋部Cpに貼り付けることで、蓋部Cpの適切な位置に正確にラベルLbを貼り付けることが可能である。なお、ラベル保持部2の接触体24の摩擦によってシリンジCyを回転させることが可能な構成の場合、挟持ローラー8は省略してもよい。
また、ラベル貼付装置Aでは、ラベル保持部2を上下に移動させることができる上下調整部を備えている。ラベル保持部2の上下位置を調整することで、ラベル保持部2と挟持ローラー8とで、蓋部Cpを確実に挟持することができるとともに、安定して回転させることが可能である。なお、挟持ローラー8を上下に移動可能な構成としてもよい。
<ラベル供給部3>
図8は、ラベル供給部3からラベル保持部2にラベルLbを供給する部分を拡大した図である。ラベル供給部3は、ラベル保持部2のラベル吸着面241にラベルLbを供給する。本実施形態のラベル貼付装置Aにおいて、ラベルLbは、連続した帯状の剥離シートRsに所定の間隔で貼り付けた状態で供給される。図1に示すように、ラベル供給部3は、送り出し部31と、ラベル受け渡し部32と、巻取り部33とを有する。なお、ラベルLbが貼り付けられた剥離シートRsを、ラベルLbを供給するための供給シートGsとして説明する。
ラベル供給部3では、ラベル貼付装置Aの外部から供給される供給シートGsを送り出し部31で受け取る。送り出し部31は、供給シートGsを送る複数のローラーを備える。ローラーは、供給シートGsと接触して回転することで、供給シートGsをラベル受け渡し部32に送る。送り出し部31は、送り出しテンショナー311を有する。送り出しテンショナー311は、複数個(ここでは、3個)の固定ローラー312と、供給シートGsが折り返すように巻き付けられた複数個(ここでは、2個)の可動ローラー313とを有する。そして、可動ローラー313は不図示の駆動部によって上下方向(固定ローラー312と接近離間する方向)に移動可能である。
送り出し部31において、供給シートGsは、固定ローラー312と可動ローラー313のそれぞれで折り返すように巻き付けられている。そして、可動ローラー313を固定ローラー312に対して接近又は離間させることで、供給シートGsの剥離シートRsの張力を一定に保つ。これにより、供給シートGsを安定してラベル受け渡し部32に送り出すことが可能である。また、送り出し部31は、一時的に供給シートGsをためておくことができる。つまり、外部機器からの供給シートGsの供給速度と、ラベル受け渡し部32が引き込む速度との差を吸収するバッファとしての役割も果たす。
そして、一定の張力を維持した状態で、供給シートGsは、ラベル受け渡し部32に送られる。ラベル受け渡し部32は、剥離シートRsからラベルLbをはがすとともに、供給シートGsからラベル保持部2のラベル吸着面241に、粘着面Lb0が外側に面した状態でラベルLbを受け渡す。
剥離シートRsは、樹脂、表面に樹脂がコートされた紙等、表面が円滑なシートである。のため、供給シートGsでは、ラベルLbを外側に配置した状態で、剥離シートRsを屈曲させることでラベルLbは、剥離シートRsから剥離される。ラベル受け渡し部32では、供給シートGsのこのような特徴を利用している。ラベル受け渡し部32は、ラベル吸着面241の近傍に受け渡しローラー321を備える。受け渡しローラー321は、ラベル供給部3の他のローラーよりも小径である。
ラベル受け渡し部32において、供給シートGsは、受け渡しローラー321に巻き付けられて折り返す。剥離シートRsは受け渡しローラー321に沿って移動することで、剥離シートRsの角度の変化が急であるため、ラベルLbは、剥離シートRsからはがれる。なお、受け渡しローラー321の外径は、供給シートGsが巻き付いて送られるときに、ラベルLbがはがれる大きさである。具体的には、剥離シートRsの表面の性状(円滑さ、柔軟さ等)、ラベルLbの粘着面の粘着力等に基づいて決定される。また、受け渡しローラー321以外のローラーは、ラベルLbが剥離しにくい(剥離しない)外径である。
そして、剥離したラベルLbは、粘着面Lb0を外側にした状態で、ラベル保持部2のラベル吸着面241に接触する。このとき、ラベル保持部2では、吸着口243から空気を吸引するように動作しており、剥離されたラベルLbは、吸引されて、粘着面と反対側の面(印字面)がラベル吸着面241に接触するように吸引される(図8参照)。
ラベル受け渡し部32でラベルLbをラベル保持部2に受け渡した後、残りの剥離シートRsは、巻取り部33にて巻き取られる。巻取り部33は、送り出し部31と同様に複数のローラーを備えている。
巻取り部33において、複数のローラーは、剥離シートRsと接触して回転することで、剥離シートRsを巻き取る。巻取り部33は、送り出し部31と同様、巻取りテンショナー331を有する。巻取りテンショナー331は、複数個(ここでは、5個)の固定ローラー332と、剥離シートRsが折り返すように巻き付けられた複数個(ここでは、4個)の可動ローラー333とを有する。そして、可動ローラー333は不図示の駆動部によって上下方向(固定ローラー332と接近離間する方向)に移動可能である。
巻取り部33において、剥離シートRsは、固定ローラー332と可動ローラー333のそれぞれで折り返すように巻き付けられている。そして、可動ローラー333を固定ローラー332に対して接近又は離間させることで、剥離シートRsの張力を一定に保つ。これにより、ラベル受け渡し部32でラベルLbを受け渡した後の剥離シートRsを確実に巻き取ることができる。さらに剥離シートRsのたるみや張り過ぎを抑制し、ラベル受け渡し部32において、ラベルLbがラベル吸着面241の決められた領域に正確に吸着される。
ラベル供給部3の各部の動作は、制御部9によって制御されている。制御部9によって制御されることで、各ラベル保持ユニット20のラベル吸着面241の決められた位置にラベルLbを供給することができる。また、送り出し部31および巻取り部33の駆動部も制御部9によって制御されてもよいし、別途、剥離シートRsの張力に応じて自動的に調整されるようにしてもよい。
<カム部41、カム溝42、カムローラー43>
図9は、カム部41の斜視図である。図10は、可動カム部412が基準位置P1にあるときのカム部41およびラベル保持部2の概略断面斜視図である。図11は、可動カム部412が第1中心軸Cx1に沿って移動したときのカム部41およびラベル保持部2の概略断面斜視図である。なお、図10および図11において、カム部41の内部の詳細な図示は省略している。
図7等に示すように、カム部41は、ラベル保持部2の径方向外側を囲み、第1中心軸Cx1を中心とする環状である。カム部41は、固定カム部411と、可動カム部412とを有する。固定カム部411は、第1中心軸Cx1を中心とする円環の周方向の一部(下端部)を取り除いた形状(アーチ状)である。固定カム部411は周方向に開いた形状であり、固定カム部411の周方向に開いた部分は、上下方向下端部に配置される。また、固定カム部411は、第1中心軸Cx1方向において、決められた位置に固定され、ラベル保持ユニット20と径方向に対向する。固定カム部411の周方向に開いた部分には、可動カム部412を配置することが可能である(図9参照)。
可動カム部412は、第1中心軸Cx1方向において、固定カム部411と周方向に重なる基準位置P1から第1中心軸Cx1方向に移動可能である(図10、図11参照)。可動カム部412が基準位置P1にあるとき、可動カム部412は固定カム部411の周方向に開いた部分に収容される。
上述したとおり、ラベル保持部2は、第1中心軸Cx1周りに回転する。可動カム部412の第1中心軸Cx1を中心とする中心角度(以下、単に中心角度とする)は、ラベル保持ユニット20の中心角度(60度)と同じである。また、固定カム部411の中心角度は300度である。
なお、可動カム部412の中心角度は、60度に限定されない。ラベルLbを蓋部Cpの正確な位置に貼り付けするためにラベル保持ユニット20の位置を調整できる角度を広く採用することができる。また、固定カム部411の中心角度は、可動カム部412の中心角度に合わせて変更される。また、ラベル保持ユニット20の個数によっても変動する場合がある。
カム部41は、径方向内側(内側面)に径方向外側に向かって凹み、周方向に延びる凹溝状のカム溝42を備える。ラベル保持部2の各ラベル保持ユニット20は、カムローラー43が固定カム溝421および可動カム溝422にガイドされた状態で回転方向Rn1に移動する。
カム溝42は、固定カム部411に形成された固定カム溝421と、可動カム部412に形成された可動カム溝422とを有する。なお、本実施形態において、カム部41は、カム部41の内側面に形成されているが、外周面に形成されていてもよい。さらに、可動カム部412が第1中心軸Cx1方向に移動したとき、カムローラー43を第1中心軸Cx1方向の両方に往復移動させることができる溝であれば、位置、形状は限定されない。
カムローラー43は、ラベル保持ユニット20のそれぞれに、第1中心軸Cx1と直交する軸周りに回転可能に配置される。カムローラー43は第1中心軸Cx1と直交する軸周りに回転しつつカム溝42の内部を周方向に移動可能である。なお、ラベル貼付装置Aにおいて、カム溝42の内部を周方向に移動する部材を回転可能なローラーとしているが、これに限定されない。例えば、カム溝42との摩擦が少ない場合、カムローラーに替えて、ピン等の凸部であってもよい。カムローラー43として、カム溝42の内部を円滑に移動可能な構成を広く採用できる。
可動カム部412が基準位置P1にあるとき、固定カム溝421と可動カム溝422とは周方向に重なる。可動カム部412が基準位置P1にあるとき、カムローラー43は、固定カム溝421と可動カム溝422の間をまたいで移動可能である。なお、固定カム部411と可動カム部412とは、可動カム部412が第1中心軸Cx1に沿って移動可能なように周方向に隙間を開けて配置される。そして、その隙間は、カムローラー43の移動を円滑に可能な程度に近接していることが好ましい。
カムローラー43が可動カム溝422にあるとき、可動カム部412が第1中心軸Cx1に沿って移動することで、カムローラー43は、可動カム溝422に沿って周方向に移動しつつ第1中心軸Cx1に沿う方向に移動する。これにより、カムローラー43が配置されたラベル保持ユニット20は、第1中心軸Cx1に沿って移動する(図11参照)。
<相対位置変更部5>
相対位置変更部5は、可動カム部412を第1中心軸Cx1方向に移動させる。相対位置変更部5は、位置決めモーター51と、位置決めシャフト52と、移動部材53と、連結部材54と、位置決めレール55と、位置決めガイド56と、を有する。
位置決めモーター51は、フレームFmに固定される。位置決めモーター51の出力軸は、第1中心軸Cx1と平行な軸周りに回転可能に配置される。位置決めシャフト52は、位置決めモーター51の出力軸の先端に同芯で固定されて、出力軸と一体的に回転する。
移動部材53は、位置決めシャフト52の外周面を囲んで配置される。移動部材53は、位置決めシャフト52の軸周りの回転によって、第1中心軸Cx1に沿う方向に直線的に移動する。なお、位置決めシャフト52および移動部材53は、ここでは、ボールねじ機構を用いた構成である。
しかしながら、これに限定されず、通常のボルトナット構造であってもよいが、移動部材53の移動時の摩擦が小さく、素早く動作可能なボールねじ機構が好ましい。また、これら以外の構成が採用されてもよい。
位置決めモーター51は、制御部9に制御される。制御部9は、位置決めモーター51の回転数(回転角度)に基づいて、移動部材53の第1中心軸Cx1方向の移動距離(位置)を取得し、位置決めモーター51の回転を制御する。
連結部材54は、移動部材53と可動カム部412とを連結する部材である。連結部材54には、貫通孔が設けられている。移動部材53は貫通孔を貫通するとともに、貫通孔に固定される。そして、連結部材54は、可動カム部412の第1中心軸Cx1方向の奥側の側面に固定される。
位置決めレール55および位置決めガイド56とは、ガイドレール25とスライドガイド26と同様の構成を有する。つまり、位置決めレール55は、フレームFmに配置されるとともに、第1中心軸Cx1に沿う方向に延びる。また、位置決めガイド56は、位置決めレール55に第1中心軸Cx1に沿う方向に摺動可能に配置される。そして、位置決めガイド56は、連結部材54に固定される。移動部材53および連結部材54は、位置決めレール55および位置決めガイド56によって、第1中心軸Cx1に沿って移動可能である。
相対位置変更部5は、可動カム部412を第1中心軸Cx1に沿って移動させることで、第1中心軸Cx1方向における、ラベル吸着面241と搬送ユニット11(に支持されたシリンジCyの蓋部Cp)との相対位置を変更させる。なお、相対位置変更部5はこの構成に限定されず、ラベル保持部2全体を第1中心軸Cx1方向に移動させる構成であってもよい。この場合、カム部41はラベル保持部2の全体を移動させる構成とし、ラベル保持部2を一体的に形成してもよい。
また、相対位置変更部5は、ラベル保持部2を第1中心軸Cx1に沿って移動させる構成であるが、これに限定されず、搬送部1(例えば、搬送ユニット11)を移動させる構成であってもよい。また、ラベル保持部2および搬送部1の両方を第1中心軸Cx1に沿って移動させるようにしてもよい。
本実施形態の相対位置変更部5では、ボールねじ機構を採用している。そのため、位置決めシャフト52の回転数(回転角度)で移動部材53の第1中心軸Cx1方向の移動距離(位置)を取得している。しかしながら、これに限定されず、別途センサーを設けて、制御部9は、センサーからの移動部材53の位置に基づいて、移動部材53の位置を調整するようにしてもよい。
<第1位置検知部61、第2位置検知部62および制御部9>
図3に示すように、第1位置検知部61および第2位置検知部62は、制御部9に接続される。第1位置検知部61は、ラベルLbのラベル吸着面241における位置情報であるラベル位置情報を制御部9に送信する。第2位置検知部62は、シリンジCyの搬送ユニット11における位置情報である対象物位置情報を制御部9に送信する。
図1、図3等に示すように、第1位置検知部61は、撮像素子611と、照明部612とを有する。撮像素子611は、例えば、CCD、CMOS等のイメージセンサを用いている。撮像素子611は、ラベル保持部2のラベル吸着面241を撮像する。詳しく説明すると、撮像素子611は、ラベル供給部3のラベル受け渡し部32からラベルLbが供給されたラベル吸着面241を撮像する。
第1位置検知部61の撮像素子611は、ラベル保持ユニット20に対して定位置に配置されている。そして、撮像素子611は、画角および焦点を固定してラベル吸着面241および吸着されているラベルLbを撮像している。そのため、第1位置検知部61は、常に一定の画角でラベル吸着面241を撮像する。
そして、撮像素子611は、撮像データをラベル位置情報として制御部9に送信する。なお、本実施形態では、制御部9が撮像データの画像処理を行った後、ラベルLbのラベル吸着面241における位置を取得する構成である。しかしながら、これに限定されず、第1位置検知部61に画像処理を行う構成であってもよい。
照明部612は、ラベルLbを吸着しているラベル吸着面241の撮像に必要な光を照射する。照明部612は、例えば、LEDを用いたものを挙げることができるが、これに限定されない。シリンジCyの内部に、特定波長の光に反応して変質するような薬品が充填されている場合、薬品が反応しないまたは反応しにくい波長の光を照射可能な構成としてもよい。また、周囲が撮像素子611による撮影を行うことができる十分な明るさである場合、照明部612を省略してもよい。
第2位置検知部62は、撮像素子621と、照明部622とを有する。第2位置検知部62の撮像素子621は、所定の位置にある搬送ユニット11に対して定位置に配置されている。そして、撮像素子621は、画角および焦点を固定して所定の位置に達した搬送ユニット11を撮像している。そのため、第2位置検知部62は、常に一定の画角の搬送ユニット11の撮像データを取得できる。撮像素子621は、照明部622は、搬送ユニット11およびシリンジCyの撮像に必要な光を照射する。第2位置検知部62は、第1位置検知部61と実質上同じ構成である。そのため、詳細な説明は省略する。
なお、対象物の形状精度が高い場合、第1位置検知部61のみを備える構成であってもよい。
制御部9は、ラベル貼付装置Aの各部を制御する制御回路である。図3に示すように、制御部9には、第1位置検知部61および第2位置検知部62以外の部分も接続されて、各部は、制御部9によって制御される。
制御部9は、CPU、MPU等の演算回路を有する。演算回路は、例えば、モーター27、位置決めモーター51等の回転数を決定し、各モーターに出力する動作信号を生成する。また、演算回路は、第1位置検知部61および第2位置検知部62からの撮像データの画像処理も行う。なお、画像処理は、別途、画像処理を行う演算回路を用いてもよいし、ソフトウェアで行ってもよい。
また、制御部9は、記憶部を有する。記憶部は、読み書き可能なRAM、読み出し専用のROM、ハードディスク等、データの読み出し、書き込み等が可能な記録媒体を有する。なお、制御部9において、演算回路として汎用型のチップを用い、記憶部に記憶されたプログラムを読み出して、そのプログラムを実行することで各種処理を行うようにしてもよい。
<ラベル回収部7>
ラベル回収部7は、ラベル吸着面241に接触する回収ローラー71を備えている。ラベル回収部7は、必要に応じて回収ローラー71をラベル保持ユニット20のラベル吸着面241と接触させて、ラベルLbを回収する。ラベルLbは、ラベル吸着面241に粘着面が外側に配置された状態で吸着される。そのため、吸着口243からの吸引を停止させた状態で、回収ローラー71をラベルLbに接触させることで、ラベルLbを回収ローラー71で回収することが可能である。
ラベル貼付装置Aにおいて、ラベル回収部7を用いることで、ラベル吸着面241の決められた位置にラベルLbが供給されなかった場合に、ラベルLbを容易に回収することが可能である。これにより、ラベルLbの貼り付けミスによる不良品の発生数を減らすことが可能である。
<ラベル貼付装置Aの動作>
ラベル貼付装置Aは、以上示した構成を有している。ラベル貼付装置Aを用いて蓋部CpへのラベルLbの貼り付けについて説明する。搬送ユニット11の上部に支持された状態でシリンジCyは搬送方向Tp1に搬送される。そして、搬送ユニット11がラベル保持部2に対して所定の位置(ラベル貼付開始位置Sp1とする:図1参照)まで移動したとき、蓋部Cpは、下端に配置されたラベル保持ユニット20のラベル吸着面241と接触する。このとき、蓋部Cpは、挟持ローラー8とも接触する。
搬送部1およびラベル保持部2は、制御部9に制御されており、同期して動作する。制御部9は、搬送ユニット11がラベル貼付開始位置Sp1に到達したとき、ラベル吸着面241に吸着されているラベルLbのラベル保持ユニット20の回転方向Rn1における先端部が、蓋部Cpと接触するように、搬送部1およびラベル保持部2を動作させる。ラベル吸着面241においてラベルLbは、粘着面が外側に向いている。そのため、蓋部Cpと接触したとき、ラベルLbの粘着面が、蓋部Cpの表面に張り付く。
蓋部Cp等の対象物にラベルLbを貼り付ける場合、ラベルLbに一定の張力を付与した状態で貼り付けることが好ましい。そのため、ラベル貼付け装置Aでは、ラベルLbの回転方向Rn1の先端が蓋部Cpに貼り付けられた後、制御部9は、ラベル保持ユニット20および挟持ローラー8を等速で回転させる。これにより、シリンジCyおよび蓋部Cpは、搬送ユニット11に支持された状態でラベル保持ユニット20の接触体24および挟持ローラー8の弾性挟持部821に挟持されて、回転される。なお、制御部9は、ラベルLbの性質、ラベル吸着面241への吸着状態に基づいて、ラベル保持ユニット20および挟持ローラー8の回転速度を調整して制御してもよい。
ラベル吸着面241に吸着されているラベルLbのラベル保持ユニット20の回転方向Rn1の後方側の部分が、蓋部Cpの表面の異なる部分と順次接触する。以上のようにして、ラベル貼付装置Aは、順次搬送されてくる蓋部Cpの外周面にラベルLbを貼り付けることができる。
このとき、搬送ユニット11の搬送方向Tp1とシリンジCyの回転速度を同じまたは略同じとすることで、蓋部Cpに貼り付けられたラベルLbにしわが寄ったり、ラベルLbが裂けたりする不具合を抑制できる。
ラベル供給部3からラベルLbの供給を受けるとき、ラベル保持ユニット20のカムローラー43は、固定カム溝421内に配置される。つまり、ラベル吸着面241の第1中心軸Cx1方向の位置は、ラベル保持ユニット20にかかわらず同じ位置となる。そのため、ラベル供給部3からラベル吸着面241の同じ位置にラベルLbを供給することで、ラベルLbを蓋部Cpの表面の決められた位置に貼り付けることができる。
ラベル供給部3からラベルLbを供給するとき、吸着口243から空気を吸い込むときの吸引力によって、剥離シートRsからはがされたラベルLbをラベル吸着面241に吸着する。このとき、供給シートGsのずれ、気流の乱れ等によって、ラベルLbのラベル吸着面241における位置がずれる場合がある。
そのため、ラベル貼付装置Aでは、ラベルLbを蓋部Cpに貼り付けるとき、ラベル保持ユニット20を第1中心軸Cx1方向に移動させることで、ラベル吸着面241におけるラベルLbのずれを修正する。
次にラベルLbの位置に基づいてラベルLbと蓋部Cpの相対位置を修正する方法について図面を参照して説明する。図12は、第1位置検知部61により撮像されたラベル吸着面241におけるラベルLbの撮像データPh1を示す図である。図13は、ラベルLbのずれに基づく調整方法の手順を示すフローチャートである。
図12に示す、ラベル吸着面241を撮像した撮像データPh1において、ラベルLbの位置の基準となる線を第1標準線Sd1として示している。第1標準線Sd1は、仮想線であり、実際のラベル吸着面241には形成されていない。しかしながら、実際に、ラベル吸着面241に撮像される線として形成してもよい。
第1標準線Sd1は、ラベルLbを蓋部Cpに貼り付けるときに、ラベルLbの手前側の辺Lb1の基準となる線である。ラベルLbの手前側の辺Lb1が、第1標準線Sd1と重なっているとき、ラベルLbが、蓋部Cpの決められた位置に正確に貼り付けられる。つまり、ラベルLbを貼り付けるとき、ラベルLbの前側の辺Lb1を第1標準線Sd1と重なるように、ラベル保持ユニット20を移動(オフセット)させることで、ラベルLbを蓋部Cpの決められた位置に正確に貼り付けることができる。
ラベル貼付装置Aでは、このことを利用して、ラベルLbの位置を調整している。制御部9は、撮像データPh1から、ラベル吸着面241のラベルLbの手前側の辺Lb1に対する第1標準線Sd1のずれ量を第1オフセット量Of1として取得する。ここでは、第1標準線Sd1が辺Lb1に対して、手前側にずれている場合をプラスオフセット(正の値)、奥側にずれている場合をマイナスオフセット(負の値)とする。例えば、図12に示す第1オフセット量Of1は、マイナスオフセットである。なお、ラベルLbのラベル吸着面241における位置の取得方法は、ラベルLbの手前側の辺以外の部分(例えば、頂点部等)で行ってもよい。
ラベルLbのずれに基づくラベル保持ユニット20の動作について説明する。図13に示すように、制御部9は、第1位置検知部61からラベルLbを吸着している状態のラベル吸着面241の撮像データPh1を取得する(ステップS101)。制御部9は、撮像データPh1に対して画像処理を実行し、第1オフセット量Of1を取得する(ステップS102)。制御部9は、画像処理を実行して、第1オフセット量Of1を算出する。
制御部9は、第1オフセット量Of1の絶対値が閾値Sh1よりも大きいか否か確認する(ステップS103)。第1オフセット量Of1の絶対値が、閾値Sh1よりも大きい場合(ステップS103でYesの場合)、制御部9は、ラベルLbの位置が、ラベル保持ユニット20の第1中心軸Cx1に沿う方向の移動では修正が不可能であると判断してラベル回収部7でラベルLbを回収する(ステップS104)。
また、第1オフセット量Of1の絶対値が、閾値Sh1以下の場合(ステップS103でNoの場合)、制御部9は、ラベル保持ユニット20が第1オフセット量Of1移動するように、相対位置変更部5を制御する(ステップS105)。以上のようにラベル保持ユニット20を調整することで、ラベルLbを蓋部Cpの決められた位置に正確に貼り付けることが可能である。
なお、第1オフセット量Of1がプラスオフセットの場合、制御部9は、ラベル貼付けユニット20が第1中心軸Cx1方向手前側に移動するように相対位置変更部5を制御する。逆に、第1オフセット量Of1がマイナスオフセットの場合、制御部9は、ラベル貼付けユニット20が第1中心軸Cx1方向奥側に移動するように相対位置変更部5を制御する。
また、ラベルLbの手前の辺Lb1が第1標準線Sd1に対して傾く場合もある。ラベルLbが第1標準線Sd1に対して傾いている場合、第1オフセット量にかかわらずラベルを回収してもよいし、一定の角度範囲内であれば許容するようにしてもよい。
また、シリンジCyは、ガラス製であることが多い。ガラス製のシリンジCyは、製造上、形状がばらつく場合もある。シリンジCyの形状がばらつく場合について説明する。図14は、第2位置検知部62により撮像された搬送ユニット11におけるシリンジCyおよび蓋部Cpの撮像データPh2を示す図である。図15は、ラベルLbのずれおよびシリンジCyの形状のばらつきに基づく調整方法の手順を示すフローチャートである。
図14に示す、搬送ユニット11を撮像した撮像データPh2において、蓋部CpのラベルLbを貼り付けるときの基準となる線を第2標準線Sd2として示している。第2標準線Sd2は、仮想線であり、実際の搬送ユニット11には形成されていない。しかしながら、実際に、搬送ユニット11に撮像される線として形成してもよい。第2標準線Sd2は、設計上、蓋部Cpの基準位置Stが配置される位置を示す線である。
制御部9は、撮像データPh2に画像処理を実行し、蓋部Cpの基準位置Stの第2標準線Sd2に対するずれ量を第2オフセット量Of2として取得する。制御部9は、ラベル保持ユニット20の正確な位置にラベルLbが吸着されているとすると、第2オフセット量Of2と同じ量、移動させることで、蓋部Cpの決められた位置に正確にラベルLbを貼り付けることが可能である。
なお、第2オフセット量Of2は、第2標準線Sd2に対して基準位置Stが手前側にずれている場合をプラスオフセット(正の値)、奥側にずれている場合をマイナスオフセット(負の値)とする。
図15に示すように、制御部9は、第1位置検知部61から撮像データPh1を取得する(ステップS101)。制御部9は、撮像データPh1に対して画像処理を実行し、第1オフセット量Of1を取得する(ステップS102)。ここまでの動作は、図13に示すフローチャートと同じであるため、詳細な説明は省略する。
次に、制御部9は、第2位置検知部62からシリンジCyおよび蓋部Cpが支持された状態の搬送ユニット11の撮像データPh2を取得する(ステップS203)。制御部9は、撮像データPh2に対して画像処理を実行し、蓋部Cpの基準位置Stのオフセット量である第2オフセット量Of2を取得する(ステップS204)。
制御部9は、第1オフセット量Of1と第2オフセット量Of2とから調整量Chを算出する(ステップS205)。なお、調整量Chは、第1オフセット量Of1と第2オフセット量Of2とをたし合わせて(Ch=Of1+Of2)求められる。
そして、制御部9は、調整量Chの絶対値が閾値Sh2よりも大きいか否か確認する(ステップS206)。なお、閾値Sh2は、閾値Sh1と同じであってもよい。調整量Chの絶対値が、閾値Sh2よりも大きい場合(ステップS206でYesの場合)、制御部9は、ラベルLbの位置が、ラベル保持ユニット20の第1中心軸Cx1に沿う方向の移動では修正が不可能であると判断してラベル回収部7でラベルLbを回収する(ステップS207)。
また、調整量Chの絶対値が、閾値Sh2以下の場合(ステップS206でNoの場合)、制御部9は、ラベル保持ユニット20が調整量Ch移動するように、相対位置変更部5を制御する(ステップS208)。以上のようにラベル保持ユニット20を調整することで、ラベルLbを蓋部Cpの決められた位置に正確に貼り付けることが可能である。
なお、調整量Chが正の値の場合、制御部9は、ラベル貼付けユニット20が第1中心軸Cx1方向手前側に移動するように相対位置変更部5を制御する。逆に、調整量Chが負の値の場合、制御部9は、ラベル貼付けユニット20が第1中心軸Cx1方向奥側に移動するように相対位置変更部5を制御する。
このようにすることで、ラベルLbのラベル吸着面241におけるずれおよびシリンジCyの蓋部Cpの搬送ユニット11に対する位置のずれを修正できる。これにより、蓋部Cpの決められた位置に正確にラベルLbを貼り付けることができる。
ラベル回収部7でラベル吸着面241に吸着されたラベルLbを回収した場合、ラベル保持ユニット20が貼り付け位置に移動するラベル保持ユニット20には、ラベルLbが吸着されていない。そのため、制御部9は、搬送部1の搬送速度を落とし、ラベルLbが吸着されたラベル保持ユニット20を次のシリンジCyの蓋部Cpに接触するように、次のラベル保持ユニット20の回転速度を上げるように制御する。これにより、ラベルLbが貼り付けられていないシリンジCyが次工程に送られるのを抑制することができる。
また、一定の期間(例えば、時間であってもよいし、貼り付けたラベルLbの枚数でもよい)において、回収されるラベルLbの枚数が所定枚数を超える場合がある。このとき、制御部9は、ラベルLbの供給時のずれやシリンジCyの個体差ではなく、ラベル貼付装置Aのどこかに不具合が発生している可能性があるとして、ラベル貼付装置Aの動作を停止してもよい。さらに、ラベル貼付装置Aを管理している管理者に対して通知を行ったり、発生した事象(対象となった期間、その期間に回収したラベルの回収理由等)を記録したりしてもよい。
なお、制御部9は、ラベルLbを蓋部Cpに貼り付け終えた後、ラベルLbを貼り付けたラベル保持ユニット20のカムローラー43が、可動カム溝42内を移動している間に、可動カム部412を基準位置P1に戻すように、相対位置変更部5を制御する。このように制御することで、ラベルLbを貼り付けた後のラベル保持ユニット20のカムローラー43を固定カム部411の固定カム溝421内に移動させることができる。また、次のラベル保持ユニット20のカムローラー43を可動カム部412の可動カム溝422内に移動させることができる。これにより、ラベル保持部2の回転を止めなくてもよく、タクトタイムを短くすることが可能である。
また、本実施形態のラベル貼付装置Aでは、複数のラベル保持ユニット20のうち、最下部に位置するラベル保持ユニット20だけを第1中心軸Cx1に沿って移動させる。そのため、他のラベル保持ユニット20に対しては、ラベル供給部3からラベルLbの供給、ラベル吸着面241の撮像といった、別の処理を同時に行うことが可能である。
なお、第1オフセット量Of1および第2オフセット量Of2は、実際の長さで算出してもよいし、画像上の長さ(例えば、ピクセル値)を利用してもよい。
<変形例等>
本発明にかかるラベル貼付装置の他の例について説明する。上述の実施形態では、蓋部Cpにラベルを貼り付けている。しかしながら、これ以外にも、バレルBrにラベルを貼り付ける場合もある。この場合、ラベルの種類を変えるとともに、ラベルを貼り付ける基準位置を蓋部Cpの基準位置からバレルBrの基準位置に切り替える。例えば、バレルBrのフランジ部Fgの上面又は下面あるいは両方を基準位置として、基準に対してラベルを貼り付ける位置を決定する。このように、ラベル貼付装置AでシリンジCyのバレルBrにラベルを貼付することも可能である。
なお、シリンジCyに薬液を充填して、出荷する装置全体において、蓋部Cpにラベルを貼り付けるラベル貼付装置と、バレルBrにラベルを貼り付けるラベル貼付装置を個別に配置するとスペース効率が悪くなる。そこで、1つのラベル貼付装置において、1つのシリンジCyが搬送部1を2周する構成とし、1周目に蓋部Cpにラベルを貼り付け、2周目でバレルBrにラベルを貼り付けるようにしてもよい。
このような構成とする場合、前工程の装置から搬送部1にシリンジCyを送るときに、1周目のシリンジCyと2週目のシリンジCyとが、交互に搬送ユニットに配置されるようにしてもよい。そして、シリンジCyにおいて、蓋部Cpのラベルを貼り付ける部分と、バレルBrのラベルを貼り付ける部分とは、軸方向(第1中心軸Cx1方向)にずれている。そのため、両方にラベルを貼り付けるラベル貼付装置Aでは、2系統のラベル供給部を備え、周方向に隣り合うラベル保持ユニットに交互にラベルを供給する。そして、ラベルを貼り付けるごとに、相対位置変更部5でラベル保持ユニット20を第1中心軸Cx1に沿って移動させることで、蓋部CpおよびバレルBrの決められた位置に正確に貼り付けることが可能である。
なお、本実施形態において、対象物をシリンジCyとしているが、これに限定されない。搬送部1で搬送しつつ、ラベル保持部2で表面にラベルを貼り付けることができる対象物を広く採用することができる。平板、多角柱等で、ラベル保持部2と接触しつつ回転不可能な対象物である場合もある。この場合、ラベル保持部2をラベル吸着面241の回転方向の移動方向を搬送方向と同じ方向とすることで、ラベルを対象物に貼り付けることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの内容に限定されるものではない。また本発明の実施形態は、発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。