次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る乗物用シートは、自動車の運転席などに使用される車両用シートSとして構成され、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを主に備えている。
シートクッションS1およびシートバックS2には、図2に示すようなフレームとしてのシートフレームFが内蔵されている。シートフレームFは、シートクッションS1のフレームを構成するシートクッションフレームF1と、シートバックS2のフレームを構成するシートバックフレームF2とから主に構成されている。シートクッションS1は、シートクッションフレームF1に、ウレタンフォームなどからなるクッション材と、合成皮革や布地などからなる表皮材を被せることで構成され、シートバックS2は、シートバックフレームF2に、ウレタンフォームなどのクッション材からなるシートバックパッドBP(図12(a)参照)と表皮材を被せることで構成されている。
シートバックフレームF2は、上部フレーム10と、シートバックS2の左右のフレームを構成する左右のサイドフレーム20と、下部フレーム30とを主に有して構成され、上部フレーム10、左右のサイドフレーム20および下部フレーム30が溶接などによって一体に結合された枠状に形成されている。
上部フレーム10は、略U字形状に屈曲するパイプ材で構成されており、左右方向に延びる横パイプ部11に、ヘッドレストS3を取り付けるためのサポートブラケット12が溶接によって固定されている。また、上部フレーム10の上下方向に延びる左右の縦パイプ部13は、それぞれ、その下部に結合される左右のサイドフレーム本体部21と溶接などにより一体となって左右のサイドフレーム20を構成している。
左右のサイドフレーム本体部21は、左右方向に対向して配置されている。各サイドフレーム本体部21は、それぞれ、金属板をプレス加工するなどして、短手方向である前後方向の両端部が左右方向内側に屈曲した前後一対の屈曲部21A(第1屈曲部および第2屈曲部)を有する、断面視略U字形状に形成されている。また、各サイドフレーム本体部21は、それぞれ、その上部において縦パイプ部13を抱持した状態で縦パイプ部13と結合されており、その下部に上部よりも前に向けて張り出した張出部22を有する形状に形成されている。
図3に示すように、左右のサイドフレーム20の間には、可動部材としての受圧部材40と、左右一対の駆動機構50が配置されている。また、車両用シートSは、その内部または外部に、駆動機構50(駆動源52)を制御するための制御装置80(図5参照)を備えている。
受圧部材40は、表皮材とシートバックパッドBPを介して車両用シートSに着座した乗員からの荷重を受ける部材であり、樹脂などから弾性変形可能に形成され、乗員の背中に対面する受圧部41と、受圧部41の左右両端の上部から左右方向外側の斜め前方に延出する左右の支持部42とを一体に有して構成されている。この受圧部材40は、受圧部41の下部で構成され、乗員の腰部を支持する第1部分40Aと、受圧部41の上部と左右の支持部42とで構成され、第1部分40Aよりも上方で乗員を支持する第2部分40Bと、受圧部41の上下方向における中央部で構成され、第1部分40Aと第2部分40Bを連結する第3部分40Cとを有している。
第3部分40Cは、受圧部材40の左右方向中央部に設けられている。そして、第3部分40Cの左右方向の幅は、第1部分40Aおよび第2部分40Bの左右方向の幅よりも小さくなっている。つまり、受圧部材40は、上下方向における中央部が第3部分40Cでくびれた形状になっている。
第1部分40Aの左右方向の幅は、第3部分40Cの幅よりも大きくなっている。このように、第1部分40Aの左右方向の幅を大きくすることで、第1部分40Aで乗員の腰部を安定して支持することが可能になっている。
そして、受圧部材40は、受圧部41に、後方に突出した第1ビードB1が形成され、各支持部42に、後方に突出した第2ビードB2が形成されている。このように受圧部材40にビードB1,B2を設けることで、受圧部材40の剛性を高くすることが可能となっている。
第1ビードB1は、前から見て凹んだ凹形状に形成されている。第1ビードB1は、第3部分40C上を上下方向に延びる複数の上下ビード部B11と、左右方向に延びて複数の上下ビード部B11を連結する連結ビード部B12とで構成されている。各上下ビード部B11は、第2部分40Bから第3部分40Cを通って第1部分40Aまで延びている。また、左右方向の最も外側に配置されている上下ビード部B11は、第2部分40Bに延出し、上端部が第2部分40Bの上部に配置されている。
第2ビードB2は、前から見て凹んだ凹形状に形成されている。第2ビードB2は、上下に間隔をあけて複数形成され、支持部42の左右方向外側の端部から第1ビードB1に向けて延び、左右方向の最も外側に配置されている上下ビード部B11に繋がるように形成されている。これにより、受圧部41と支持部42との境界部分(折れ線部分)の剛性を高めることが可能となっている。
さらに、第2ビードB2は、水平面に対して斜めに形成されている。詳しくは、第2ビードB2は、第1ビードB1から左右方向外側に向けて上方へ傾斜するように形成されている。
また、受圧部41と支持部42との境界部分には、後述する上部連結ワイヤW1に対応する位置に、後面が凹んだ逃げ部44が形成されている(図5も参照)。この逃げ部44は、本実施形態では、上下方向の中央部に設けられた第2ビードB2と重なる位置に設けられている。
受圧部材40は、弾性部材である上部連結ワイヤW1および下部連結ワイヤW2を介し、左右のサイドフレーム20に対して前後に可動するように連結されている。
上部連結ワイヤW1は、受圧部材40の後側を一方の支持部42から他方の支持部42にわたって延びている。つまり、上部連結ワイヤW1は、第2部分40Bの左端部から右端部にわたって、第2部分40Bを後方から保持するように設けられている。また、上部連結ワイヤW1は、左右方向の中央部が、下方に向けて凸となるように屈曲している。具体的に、上部連結ワイヤW1は、受圧部41の上部に対応して設けられ、下方に向けて凸となるU字形状を有する屈曲部W11と、屈曲部W11の左右端から左右方向外側に向けて延びる側部W12とを有している。そして、屈曲部W11の下端部は、上部連結ワイヤW1の受圧部材40との接触部(逃げ部44)よりも下方、具体的には、支持部42の下端と略同じ高さに位置している。上部連結ワイヤW1は、その両端部がそれぞれサイドフレーム20に固定された駆動機構50に連結されており、受圧部材40の後面の上部に形成された図示しない係合爪を係合することで、受圧部材40の上部を左右のサイドフレーム20に連結している。
下部連結ワイヤW2は、その両端部がそれぞれサイドフレーム20に設けられたワイヤ取付部23(図4参照)に連結されており、受圧部材40の後面の下部に形成された図示しない係合爪を係合することで、受圧部材40の下部を左右のサイドフレーム20に連結している。
図4(a),(b)に示すように、ワイヤ取付部23は、金属板を曲げ加工するなどして形成されており、溶接やネジなどにより固定片23Aがサイドフレーム本体部21の左右方向内側の面に固定されている。ワイヤ取付部23は、固定片23Aと、固定片23Aの上端部から左右方向内側に延びる連結片23Bと、連結片23Bの左右方向内側の端部から上方に延びる係合片23Cとを有している。係合片23Cには、前後方向に長い略長円状の長穴23Dが形成されており、この長穴23Dに下部連結ワイヤW2の端部が係合されることで、下部連結ワイヤW2がサイドフレーム20に連結されている。また、長穴23Dには、下部連結ワイヤW2の前側に樹脂製のスペーサ23Eが係合されており、これによって下部連結ワイヤW2が長穴23D内を前後に動くことが規制されている。
シートバックパッドBPは、図12(a)に示すように、受圧部41に対面するパッド中央部BP1と、パッド中央部BP1の左右両側に設けられてパッド中央部BP1よりも前に張り出した左右のパッド側部BP2とを有している。
パッド側部BP2は、パッド中央部BP1から受圧部材40の支持部42に沿って左右方向外側へ延びた後、サイドフレーム20の左右方向外側を通って後方へ向けて延び、さらに、サイドフレーム20の後側を左右方向内側へ延びている。このパッド側部BP2は、受圧部材40の支持部42とサイドフレーム20の間に、空間が形成されており、この空間の中に配置される駆動機構50が、シートバックパッドBPに接触しないようになっている。
パッド中央部BP1とパッド側部BP2の間には、第1吊り込み溝BP3が設けられている。第1吊り込み溝BP3は、前から見て凹んだ溝であり、上下方向に延びている。そして、第1吊り込み溝BP3は、底部に、シートバックS2の表皮材を吊り込むための図示しない表皮取付部材が上下に並んで設けられている。この第1吊り込み溝BP3は、前後方向から見て、受圧部材40の左右の端部に重なる位置に設けられている。つまり、受圧部材40は、左右方向において、第1吊り込み溝BP3の内側から外側まで設けられ、第1吊り込み溝BP3の左右方向外側に、支持部42が設けられている。
また、図14に示すように、パッド中央部BP1は、上下方向における略中央部に、一対の第2吊り込み溝BP4が設けられている。第2吊り込み溝BP4は、前から見て凹んだ溝であり、左右方向に延びている。そして、第2吊り込み溝BP4は、底部に、シートバックS2の表皮材を吊り込むための図示しない表皮取付部材が左右方向に並んで設けられている。この一対の第2吊り込み溝BP4は、受圧部材40の支持部42よりも上の位置と下の位置にそれぞれ設けられている。つまり、支持部42と上部連結ワイヤW1は、一対の第2吊り込み溝BP4の間の部分と同じ高さ位置に設けられている。なお、本実施形態では、支持部42の全体が一対の第2吊り込み溝BP4の間の部分と同じ高さ位置に設けられているが、支持部42の一部のみが一対の第2吊り込み溝BP4の間の部分と同じ高さ位置に設けられていてもよい。
図3に示すように、駆動機構50は、受圧部材40を動作させるための機構であり、左右のサイドフレームのそれぞれに設けられ、受圧部材40の左右両側に配置されている。詳細については後述するが、駆動機構50は、受圧部材40の左端部または右端部を図12(a)に示す初期位置から前方の図13に示す前進位置に移動させて受圧部材40の向きを右または左に向け、または、前進位置から初期位置に移動させる(戻す)ように構成されている。さらに、駆動機構50(連結機構51)は、受圧部材40に乗員から所定以上の荷重が入力されたときに作動して受圧部材40を図16(a)に示す初期位置よりも後方の図16(c)に示す後退位置に移動させるように構成されている。
図5に示すように、駆動機構50は、上部連結ワイヤW1を介して受圧部材40に連結される連結機構51と、連結機構51を作動させるための駆動源52とを主に有して構成されている。なお、左右の駆動機構50は、略左右対称に構成されているため、以下の説明では、主に左側の駆動機構50の構成を図示しながら詳細に説明する。
図6および図7に示すように、駆動源52は、モータ52Aと、ギヤボックス52Bと、出力軸52Cとを主に有し、ブラケット60を介してサイドフレーム20に対して固定されている。また、駆動源52は、受圧部材40と接触しない位置に配置されている。
モータ52Aは、その上部に配置されるギヤボックス52Bよりも左右方向および前後方向の幅が小さい。つまり、駆動源52は、下部(モータ52A)が上部(ギヤボックス52B)よりも細くなっている。
ギヤボックス52Bは、モータ52Aで発生した回転駆動力を減速させるための図示しないギヤを収容する部材であり、略筒状のボックス本体310と、ボックス本体310の上端部(出力軸52Cの軸方向の端部)を塞ぐための蓋部材320とを主に有している。ボックス本体310および蓋部材320の側面には、出力軸52Cの径方向外側に突出した3つの締結部330が設けられている。締結部330は、ボックス本体310と蓋部材320とを締結するための締結部材としてのネジ91が配置される部分であり、ギヤボックス52Bの側面の周方向において等間隔に配置されている。
出力軸52Cは、ギヤボックス52Bで減速された回転駆動力を出力するための軸であり、蓋部材320を貫通するように配置されている。
ここで、駆動源52(駆動機構50)をサイドフレーム20に固定するためのブラケット60の構成について説明する。
ブラケット60は、第1ブラケット61および第2ブラケット62から構成されている。第1ブラケット61および第2ブラケット62は、それぞれ、金属板を曲げ加工するなどして断面視略L字形状に形成されており、係合部61A,62Aと固定部61B,62Bとを主に有している。
第1ブラケット61の係合部61Aは、駆動源52の軸方向一端部であるギヤボックス52Bの上端部(蓋部材320)に係合する部分であり、係合用の穴を有する略円板状に形成されている。固定部61Bは、サイドフレーム20に固定される部分であり、係合部61Aの左右方向外側(サイドフレーム20側)の端部から駆動源52の軸方向他端部側である下側とは反対側の上側に向けてサイドフレーム20に沿って延びるように形成されている。固定部61Bには、第1ブラケット61をサイドフレーム20に固定するためのボルト92が通される丸穴61Hが設けられている。
第2ブラケット62の係合部62Aは、駆動源52のモータ52Aに係合する部分であり、略矩形の枠状に形成されている。固定部62Bは、サイドフレーム20に固定される部分であり、係合部62Aの左右方向外側の端部から下側に向けてサイドフレーム20に沿って延びるように形成されている。図8(a)に示すように、固定部62Bは、サイドフレーム20を左右方向内側から見て、駆動源52よりも前方(軸方向に直交する方向)の外側まで延びる延出部62Cを有している。延出部62Cには、第2ブラケット62をサイドフレーム20に固定するためのボルト93が通される丸穴62H(図7参照)が設けられている。
図7に示すように、第1ブラケット61は、係合部61Aがギヤボックス52Bの上端部に係合し、3つのボルト94(1つのみ図示)によりギヤボックス52Bに締結されることで駆動源52に取り付けられ、第2ブラケット62は、係合部62Aがモータ52Aに係合し、3つのネジ95(1つのみ図示)によりギヤボックス52Bに締結されることで駆動源52に取り付けられている。そして、図8(a)に示すように、固定部61Bがボルト92によりサイドフレーム20に固定され、固定部62Bが延出部62Cでボルト93によりサイドフレーム20に固定されることで、駆動源52がサイドフレーム20に固定されている。
本実施形態では、図8(a)に示すサイドフレーム20を駆動源52が固定された側から見たとき、固定部61Bと延出部62Cが、駆動源52と重ならないため(駆動源52よりも外側まで延びているため)、ボルト92,93によりブラケット60をサイドフレーム20に容易に取り付けることができる。これにより、駆動源52をサイドフレーム20に容易に固定することができる。また、2つの第1ブラケット61と第2ブラケット62により駆動源52をサイドフレーム20に安定して固定することができる。
延出部62Cは、その一部である前端部がサイドフレーム20の張出部22に配置されている。これにより、サイドフレーム20に、駆動源52よりも前方に突出する延出部62Cを配置するための部分を特別に設ける必要がないため、サイドフレーム20の構成の簡略化を図ることができ、駆動源52の周辺をコンパクトな構成とすることができる。
図8(b)に示すように、ブラケット60を介してサイドフレーム20に固定された駆動源52は、3つの締結部330が、出力軸52Cの軸方向から見て、いずれも、サイドフレーム20の一対の屈曲部21Aの端部同士を結ぶ一点鎖線で示す直線LN上を避けた位置に配置されている。より詳細に、締結部330は、軸方向から見て、直線LNの両側に少なくとも1つずつ、具体的には、直線LNの左右方向外側に1つが、直線LNの左右方向内側に2つが配置されている。
第1ブラケット61(係合部61A)は、左右方向内側の端61Eが、軸方向から見て、駆動源52の左右方向内側の端52Eから左右方向内側に突出しない寸法に形成されている。これにより、第1ブラケット61が乗員側に飛び出さないため、駆動源52の周辺をコンパクトな構成とすることができる。
図7に示すように、連結機構51は、サイドフレーム20に対して略前後方向に回動可能に設けられ、受圧部材40を動作させるための2つのリンク、具体的には、第2のリンク部材の一例としての駆動リンク部材100と、リンク部材の一例としての当接リンク部材200とを主に有している。
駆動リンク部材100は、金属などから長尺の板状に形成された部材であり、一端部に設けられた軸穴110と、他端部に設けられたピン穴120と、ストッパ部130とを主に有している。駆動リンク部材100は、軸穴110が駆動源52の出力軸52Cにセレーション嵌合などにより連結され、出力軸52Cから抜けないようにEリング53によって留められている。これにより、駆動リンク部材100は、駆動源52が駆動したときに略前後に回動するように設けられている。
ストッパ部130は、サイドフレーム20に固定された部材、具体的には、後述する固定ストッパ部材70に当接して駆動リンク部材100自身の回動を規制する部分である。より詳細に、ストッパ部130は、駆動リンク部材100の前に回動する側(一方向)への回動を規制する第1ストッパ部131と、駆動リンク部材100の後に回動する側(一方向とは逆方向)への回動を規制する第2ストッパ部132とを有している。
図9に示すように、第1ストッパ部131および第2ストッパ部132は、それぞれ、駆動リンク部材100の回動軸方向(出力軸52Cの軸方向)から見て、駆動リンク部材100の外周部分、言い換えれば、輪郭部分に設けられている。さらに言えば、第1ストッパ部131および第2ストッパ部132は、駆動リンク部材100の回動軸である出力軸52Cを囲む側面102に設けられている。具体的に、第1ストッパ部131は、駆動リンク部材100が図9に示す姿勢のとき(受圧部材40が初期位置にあるとき)、長尺状の本体部101の前側から略前方に向けて突出し、固定ストッパ部材70に当接する面が略平面状となるように設けられている。また、第2ストッパ部132は、本体部101の後側から略左方に向けて突出し、固定ストッパ部材70に当接する面が略平面状となるように設けられている。
ここで、固定ストッパ部材70の構成について説明する。
固定ストッパ部材70は、ストッパ部130が当接することで駆動リンク部材100の回動を規制する部材であり、サイドフレーム20に対して固定されている。より詳細に、固定ストッパ部材70は、出力軸52Cとサイドフレーム20との間に配置され、出力軸52Cの軸方向から見て、駆動リンク部材100が配置された側である左右方向内側に開口したU字形状を有している。固定ストッパ部材70は、U字の端部71とは反対側の基部72が第1ブラケット61に溶接などにより固定されることで第1ブラケット61を介してサイドフレーム20に固定されている。
固定ストッパ部材70は、端部71にそれぞれ、駆動リンク部材100のストッパ部が当接可能な回動規制部73を有している。各回動規制部73は、端部71に係合可能な略矩形の筒状を有し、樹脂から形成されている。駆動リンク部材100は、第1ストッパ部131が前側の回動規制部73に当接することで、前に回動する側への回動を規制され(図11(c)参照)、第2ストッパ部132が後側の回動規制部73に当接することで、後に回動する側への回動を規制される。回動規制部73が樹脂から形成されていることで、ストッパ部130と固定ストッパ部材70との当接音を抑制できるので、駆動リンク部材100の動作音を抑制することができる。
また、各回動規制部73は、出力軸52Cの軸方向から見たとき、駆動源52の略円形の輪郭内に配置されている。これにより、回動規制部73に当接可能なストッパ部130を側面102に有する駆動リンク部材100の大型化を抑制できるので、駆動リンク部材100をコンパクトな構成とすることができる。
出力軸52Cは、軸方向から見て、U字形状の固定ストッパ部材70の開口74と対向して配置されている。これにより、駆動リンク部材100と固定ストッパ部材70を左右方向に近づけて配置できるので、駆動リンク部材100の周辺をコンパクトな構成とすることができる。
また、ストッパ部130は、出力軸52Cの軸方向から見て、駆動リンク部材100の回動中心C1を中心とし、回動中心C1から当接リンク部材200の回動中心C2までの長さを半径とする一点鎖線で示す円Cの内側に配置されている。これにより、駆動リンク部材100の大型化を抑制できるので、駆動リンク部材100をコンパクトな構成とすることができる。
本実施形態において、左右の駆動リンク部材100は、共通の部品で構成されている。具体的に、図9に示した左側の駆動機構50を構成する駆動リンク部材100は、裏表を逆にすることで、右側の駆動機構50でも使用することができるように構成されている。このような構成が可能となったのは、ストッパ部130が、板状の駆動リンク部材100の側面102に設けられ、軸方向の一方側のみに突出して設けられる構成とはなっていないからである。部品が共通化されることで、部品点数や部品管理の手間を削減できるので、コストダウンを図ることができる。また、左右の部品の取り違えなどを防止でき、組み立てを容易とすることができる。
図7に示すように、当接リンク部材200は、長尺状に形成された部材であり、一端部に設けられたストッパ210およびピン穴220と、他端部に設けられた当接部230と、ピン穴220と当接部230の間に設けられた貫通穴240とを主に有している。当接リンク部材200は、ピン54がピン穴220と駆動リンク部材100のピン穴120に係合されることで、駆動リンク部材100に対して略前後に回動可能に設けられている。また、当接リンク部材200は、貫通穴240に上部連結ワイヤW1の端部が挿通されることで、上部連結ワイヤW1を介して受圧部材40に連結されている。
当接部230は、駆動源52により受圧部材40を動作させるときに受圧部材40に当接する部分である。当接部230は、図9に示すように、当接リンク部材200の回動軸方向から見て凸曲面形状を有し、さらに、図10に示すように、回動軸方向に直交する方向から見ても凸曲面形状を有している。より具体的に言えば、当接部230は、略球面形状を有している。
受圧部材40は、図9に実線で示す初期位置で乗員から荷重が入力されていないとき(車両用シートSに乗員が着座していないとき)、当接部230との間に隙間を有した状態で配置されており、車両用シートSに乗員が着座して初期位置で乗員から荷重が入力されたときに二点鎖線で示すように支持部42が変形するなどして当接部230に当接する。これにより、受圧部材40が当接部230に当たるまでは受圧部材40の変形や移動が可能となるので、シートバックS2のクッション性を向上させることができる。受圧部材40は、支持部42の後側の面に当接部230が当接可能な被当接面43を有しており、被当接面43は、当接リンク部材200の回動軸方向から見て、凹曲面形状を有している。
また、支持部42は、逃げ部44が設けられることにより、上部連結ワイヤW1と同じ高さの位置に、受圧部41から左斜め前方に延びる第1支持部45と、第1支持部45の左右方向外側の端部からさらに左斜め前方に延びる第2支持部46とを有している。被当接面43は、第2支持部46に設けられている。そして、上部連結ワイヤW1は、受圧部41と第1支持部45の間に対応する部分で屈曲し、受圧部41と第1支持部45に連続して接触している。
当接リンク部材200の当接部230は、図12(a),(b)に示すように、シートバックパッドBPの吊り込み溝BP3よりも左右方向外側の位置で、受圧部材40の被当接面43に当接するように設けられている。シートバックパッドBPは、吊り込み溝BP3が設けられている部分が薄くなっており、この薄くなっている部分で変形しやすい。そのため、当接部230が受圧部材40の支持部42を前方へ押し出したときに、シートバックパッドBPのパッド側部BP2を軽い力で前方へ押し出すことが可能となっている。
図9に戻り、ストッパ210は、駆動リンク部材100の側面102に当接して当接リンク部材200の後に回動する側への回動量を規制する部分である(図11(c)および図15(c)参照)。ストッパ210は、当接リンク部材200の一端部から突出し、この突出した部分の先端から駆動リンク部材100が配置された下側に屈曲するように形成されている。
図10に示すように、当接リンク部材200は、長尺の板状の形成されたリンク本体201と、リンク本体201の全体を覆う被覆部材202とを有して構成されている。リンク本体201と被覆部材202は、互いに異なる材料から形成されている。具体的に、当接リンク部材200は、インサート成形などにより、リンク本体201が金属から形成され、被覆部材202が樹脂から形成されている。貫通穴240は、リンク本体201と被覆部材202を貫通するように設けられている。当接部230は、被覆部材202に設けられ、被覆部材202の一部として構成されている。これにより、当接部230は、樹脂から形成されている。
図9に示すように、当接リンク部材200は、回動中心C2から当接部230までの長さが、回動中心C2から駆動リンク部材100の回動中心C1までの長さよりも長く形成されている。
図6および図7に示すように、駆動リンク部材100と当接リンク部材200との機構的な間には、付勢部材としてのトーションバネ55が配置されている。トーションバネ55は、当接リンク部材200を前(一方向)に回動する側に付勢する部材であり、当接リンク部材200の上、すなわち、当接リンク部材200に対して駆動源52とは反対側に配置されたコイル部55Aと、コイル部55Aの上端から径方向外側に延びその先端が下方に延びる略L字形状の第1アーム部55Bと、コイル部55Aの下端から径方向外側に延びその先端が下方に延びるL字形状の第2アーム部55Cとを有している。
トーションバネ55は、コイル部55Aがピン54に係合され、図9に示すように、その一端である第1アーム部55Bが駆動リンク部材100の第1ストッパ部131に掛止され、他端である第2アーム部55Cが当接リンク部材200のストッパ210に掛止されている。これにより、トーションバネ55は、当接リンク部材200を図9の矢印で示す方向に回動させるための付勢力を発生する。
トーションバネ55および連結ワイヤとしての上部連結ワイヤW1は、当接リンク部材200の後方への回動を規制する部材、言い換えれば、後方への回動の抵抗となる部材(回動抵抗部材)として機能している。具体的に、トーションバネ55は、当接リンク部材200を前に回動する側に付勢することで、当接リンク部材200の後方への回動を規制している。
また、上部連結ワイヤW1は、左右両端部が斜め前方に向けて屈曲しており、下方に向けて延びる端部が当接リンク部材200の貫通穴240に連結されることで、受圧部材40と当接リンク部材200を連結している。そして、当接リンク部材200と受圧部材40との連結部C3が、受圧部材40が図9に示す初期位置にある状態で当接リンク部材200の前端部、より詳しくは、当接リンク部材200の回動中心C2よりも前に配置されていることで、上部連結ワイヤW1は、当接リンク部材200を前に回動する側に付勢し、これによって、当接リンク部材200の後方への回動を規制している。
トーションバネ55のコイル部55Aは、受圧部材40の逃げ部44に対向する位置に設けられている(図5参照)。これにより、受圧部材40が撓んだときに異音が発生するのを抑制するとともに、スペースの有効利用が可能となっている。
また、トーションバネ55のコイル部55Aは、上下方向に沿って見て、駆動源52の一部、具体的には、締結部330と重なるように設けられている。これにより、駆動機構50の水平方向の小型化が可能となっている。そして、コイル部55Aは、上部連結ワイヤW1から離間して配置されている。これにより、上部連結ワイヤW1が後方へ移動したときに、コイル部55Aに上部連結ワイヤW1が食い込むのを抑えることが可能となっている。
連結部C3は、受圧部材40が図9に示す初期位置にある状態で、当接リンク部材200の回動軸方向から見て、一点鎖線で示す円Cの内側に配置されている。また、連結部C3は、受圧部材40が初期位置にある状態で、当接リンク部材200の回動中心C2よりも左右方向外側に配置されている。
以上説明した駆動機構50は、左右が互いに独立して動作するように設けられている。具体的には、駆動源52は、制御装置80によって制御されることで左右が互いに独立して駆動し、連結機構51の駆動リンク部材100および当接リンク部材200は、左右が互いに独立して回動可能に設けられている。つまり、駆動機構50は、例えば、左の駆動リンク部材100と当接リンク部材200が回動したときに、右の駆動リンク部材100と当接リンク部材200も連動して回動するというような構成にはなっていない。
図5に示すように、制御装置80は、駆動源52(モータ52A)の駆動を制御することで、シートバックS2内の受圧部材40の向きを旋回方向に向けるように構成されている(図13参照)。制御装置80による制御方法としては、様々な方法を採用できるが、例えば、車輪速センサと操舵角センサからの信号に基づいて横加速度や旋回方向を算出し、算出した横加速度が所定の閾値を超えたときに、旋回方向外側の駆動機構50のモータ52Aを駆動させ、これによって受圧部材40の向きを旋回方向に向けるような方法が挙げられる。
本実施形態において、制御装置80は、モータ52Aの駆動中にモータ52Aに流れる電流を監視し、モータ52Aに流れる電流が予め設定された所定値を超えた場合にモータ52Aへの通電を停止してモータ52Aの駆動を停止させるように構成されている。駆動リンク部材100が回動してストッパ部130が固定ストッパ部材70に当接すると、モータ52Aが停止してモータ52Aに流れる電流が大きくなる。制御装置80は、この状態を検知することで、モータ52Aへの通電を停止させる。これにより、簡易な構成でストッパ部130を好適に機能させて駆動リンク部材100の回動量を精度良く規定することができる。
次に、車両旋回時の駆動機構50と受圧部材40の動作について説明する。
車両が右に旋回するとき、制御装置80は、左側の駆動機構50の駆動源52を駆動させる。そうすると、図11(a)に示す状態から、図11(b),(c)に示すように、駆動リンク部材100が前方に回動し、当接リンク部材200が駆動リンク部材100に対して回動しながら前方へ移動する。これにより、上部連結ワイヤW1の左端部(連結部C3)が前方へ移動し、受圧部材40の左側の支持部42(左端部)を初期位置から前方の前進位置に移動させる。
そして、駆動リンク部材100の第1ストッパ部131が固定ストッパ部材70の前側の回動規制部73に当接することで、駆動リンク部材100の回動が規制され、当接リンク部材200のストッパ210が駆動リンク部材100の側面102に当接することで、当接リンク部材200の回動が規制される。このとき、駆動源52に流れる電流が所定値を超えるため、制御装置80は、駆動源52の駆動を停止させる。
これにより、図12(a),(b)および図13に示すように、受圧部材40は、左端部が初期位置から前進位置に移動することで、全体として旋回方向である右側を向くこととなる。その結果、旋回時に乗員に加わる遠心力をシートバックS2で好適に支持することができる。
具体的に、図3に示すように、受圧部材40の支持部42が初期位置から前進位置に移動するとき、受圧部41の下部、つまり、第1部分40Aは、サイドフレーム20に固定された(少なくとも駆動機構50の作動によっては動かない)下部連結ワイヤW2に支持されているため前後方向に移動しない。そのため、受圧部材40は、第1部分40Aと支持部42を有する第2部分40Bとの間にある第3部分40Cでねじれる。なお、本実施形態では、第3部分40Cが第1部分40Aおよび第2部分40Bよりも左右方向の幅が小さくなっているので、受圧部材40は、第3部分40Cでねじれやすくなっている。これにより、支持部42が初期位置と前進位置との間でスムーズに移動することができる。
なお、第3部分40Cには、第1ビードB1が設けられているので、ねじれたときに受圧部材40が塑性変形するのを抑えることができる。そして、第1ビードB1は、上下方向に延びているので、受圧部材40の第3部分40Cでのねじれを阻害しない。
また、第1部分40Aと第2部分40Bが第3部分40Cで連結されているので、第1部分40Aと第2部分40Bが連結されていない構成に比べて、支持部42が移動するときに乗員が受ける違和感を抑えることができる。
本実施形態では、連結機構51が2つの駆動リンク部材100と当接リンク部材200とから構成されているため、1つのリンク部材、例えば、図11に示す駆動リンク部材100に上部連結ワイヤW1を直接連結して受圧部材40を前後に移動させる場合と比較して、上部連結ワイヤW1の左端部の前後のストローク量を大きくすることができる。これにより、受圧部材40の移動量(傾き量)を確保できるので、旋回時に受圧部材40により乗員に加わる遠心力をより良好に支持することができる。
また、本実施形態では、受圧部材40が初期位置にある状態で連結部C3が回動中心C2よりも左右方向外側に配置され、かつ、当接リンク部材200が上部連結ワイヤW1などによって前に回動する側に付勢されているため、当接リンク部材200が後方へ回動しにくくなっている。これにより、受圧部材40を初期位置から前進位置に移動させるときに、当接リンク部材200の先端がふらつくようなことがないので、受圧部材40を安定して移動させることができる。
また、本実施形態では、図11(c)に示すように、前進位置において、当接リンク部材200は、当接部230の左右方向外側の端部231が、受圧部材40の支持部42の左右端49よりも、左右方向外側に位置するような姿勢になる。これにより、当接リンク部材200が、受圧部材40の支持部42の端部を支持するので、当接リンク部材200により受圧部材40を安定して支持することができる。
そして、前進位置において、当接リンク部材200と上部連結ワイヤW1の連結部C3は、当接部230と受圧部材40の接点Pと当接リンク部材200の回動中心C2を結んだ第1仮想線L1よりも左右方向外側に位置する。これにより、当接リンク部材200により受圧部材40をできる限り外側から支えることができるので、当接リンク部材200により受圧部材40を安定して支持することができる。
また、前進位置において、当接リンク部材200の回動中心C2が、当接部230と受圧部材40の接点Pと駆動源52の軸心C4(駆動リンク部材100の回動中心)を結んだ第2仮想線L2よりも左右方向内側に位置する。これにより、前進位置において、乗員から受圧部材40の左側の支持部42に荷重がかかったときに、当接リンク部材200が図11における時計回りの方向に過回転してしまうのを抑えることができる。
そして、本実施形態では、図13に示すように、前進位置において、当接リンク部材200と受圧部材40の接点Pが、サイドフレーム20の前端よりも前方に位置する程度まで、当接リンク部材200が回動する。これにより、当接リンク部材200の前方への押し出し量を十分に確保することができる。
図12,13に示すように、駆動機構50は、シートバックパッドBPの受圧部材40とサイドフレーム20の間に形成された空間内に設けられ、当接リンク部材200が回動しても、当接リンク部材200がシートバックパッドBPに接触しないようになっているので、当接リンク部材200がシートバックパッドBPに接触して異音が発生するのを抑えることができる。
また、図14に示すように、シートバックパッドBPは、一対の第2吊り込み溝BP4が設けられている部分で薄くなっており、この一対の第2吊り込み溝BP4の間の部分が撓みやすくなっている。受圧部材40の支持部42や上部連結ワイヤW1は、一対の第2吊り込み溝BP4の間の部分と同じ高さ位置に設けられているので、支持部42や上部連結ワイヤW1が移動したときに、その動きに合わせてシートバックパッドBPが変形しやすい。
車両が旋回状態から直進状態に戻るとき、制御装置80は、左側の駆動機構50の駆動源52を旋回時とは逆方向に駆動させる。そうすると、図11(c)に示す状態から、図11(b),(a)に示すように、駆動リンク部材100が後方に回動する。そして、乗員から受圧部材40にかかる荷重により当接リンク部材200が駆動リンク部材100に対して回動しながら後方へ移動する。これにより、上部連結ワイヤW1の左端部が後方へ移動し、受圧部材40の左側の支持部42を前進位置から初期位置に移動させる。
そして、駆動リンク部材100の第2ストッパ部132が固定ストッパ部材70の後側の回動規制部73に当接することで、駆動リンク部材100の回動が規制される。このとき、駆動源52に流れる電流が所定値を超えるため、制御装置80は、駆動源52の駆動を停止させる。これにより、受圧部材40が図12(c)に示した右を向いた状態から、図12(a)に示す前を向いた状態に戻ることとなる。
一方、車両が左に旋回するとき、制御装置80は、右側の駆動機構50の駆動源52を駆動させる。その後の受圧部材40や右側の駆動機構50の動作は右旋回の場合と同様なので、詳細な説明は省略する。
本実施形態において、受圧部材40は、車両用シートSに乗員が着座して当接リンク部材200の当接部230と当接した後は当接部230に対し、被当接面43が当接リンク部材200の回動範囲の全範囲において当接するように配置されている。これにより、当接リンク部材200の回動が受圧部材40によっていわばガイドされることになるので、当接リンク部材200をスムーズに動作させることができる。
また、本実施形態では、当接部230と受圧部材40が樹脂から形成されているので、当接リンク部材200と受圧部材40との摺接音や摩耗を抑制することができる。さらに、被当接面43が凹曲面形状を有することで、当接部230と被当接面43との接触圧が下がるので、当接リンク部材200や受圧部材40の摩耗をより抑制することができる。
次に、後突時の駆動機構50と受圧部材40の動作について説明する。ここで、後突時とは、自車両の後部に他車両が追突したり、後退する自車両の後部が他車両や構造物に衝突したりしたときのことである。
図15(a)に示すように、受圧部材40が初期位置にあって後突が発生していない通常時(受圧部材40に乗員から所定未満の荷重が入力されているとき)には、上部連結ワイヤW1などによって当接リンク部材200の後方への回動が規制されているため、受圧部材40は、初期位置から大きく後方へ移動することはない。
一方、後突が発生して受圧部材40に乗員から所定以上の大きな荷重が入力されたときには、この大きな荷重によって受圧部材40が後方に移動し、上部連結ワイヤW1の端部が当接リンク部材200(連結部C3)を後方に牽引する。そうすると、図15(b)に示すように、当接リンク部材200が上部連結ワイヤW1や受圧部材40を左右方向内側に弾性変形させながら後方に回動し、これによって、受圧部材40がさらに後方に移動して初期位置から図15(c)に示す後退位置に移動する。そして、受圧部材40が後退位置に移動したときに当接リンク部材200のストッパ210が駆動リンク部材100の側面102に当接することで、当接リンク部材200の回動が規制され、受圧部材40の後退移動も規制されることとなる。
図16(a)~(c)に示すように、受圧部材40が初期位置から後退位置に移動すると、乗員の上体がシートバックS2内に沈み込むこととなる。これにより、乗員の頭部を速やかにヘッドレストS3に近づけてヘッドレストS3で受け止めることができるので、後突時に乗員の頸部に加わる衝撃を緩和することができる。
本実施形態では、当接リンク部材200がストッパ210を備えることで、当接リンク部材200が後方へ回動しすぎることを抑制することができる。これにより、例えば、シートバックS2への乗員の沈み込み量を調整したり、後退位置に移動した受圧部材40を初期位置に容易に戻したりすることが可能となっている。
図15(c)に示すように、連結部C3は、受圧部材40が後退位置にある状態で当接リンク部材200の回動中心C2よりも後に配置される。このとき、上部連結ワイヤW1は、当接リンク部材200を矢印で示す方向に付勢する部材、具体的には、後に回動する側に付勢する部材(第2の付勢部材)として機能する。これにより、後突によって後退位置に移動した受圧部材40を後退位置に留まらせることができるので、後退位置に移動したときの反動で受圧部材40が前方に移動することを抑制することができる。
また、本実施形態では、受圧部材40が初期位置から後退位置に移動する間、および、初期位置から前進位置に移動する間に、受圧部材40が駆動源52に接触しない。これにより、受圧部材40が移動するときに異音が発生するのを抑えることができる。
以上説明した車両用シートSによれば、駆動機構50により、旋回時に受圧部材40の向きを変えて乗員を好適に支持する機能と、後突時に受圧部材40を後退位置に移動させて乗員に加わる衝撃を緩和する機能の両方を実現することができる。これにより、シートバックS2内に、受圧部材の向きを変える機構と受圧部材を後退移動可能とする機構の両方を設ける必要がなくなるため、シートバックS2内のスペースを確保して他の機構を配置したり、車両用シートSのコンパクト化を図ったりすることが可能となり、車両用シートSの設計の自由度を向上させることができる。
また、当接リンク部材200の後方への回動の抵抗となる回動抵抗部材としての上部連結ワイヤW1やトーションバネ55を備えることで、通常時に受圧部材40が後退位置に移動することを抑制することができる。
また、受圧部材40が初期位置にある状態で連結部C3が円Cの内側に配置されているので、受圧部材40が後退位置に移動するときの上部連結ワイヤW1の変形量を減少したり、上部連結ワイヤW1の大型化を抑制したりすることができる。
また、当接リンク部材200の先端に回動軸方向から見て凸曲面形状を有する当接部230が設けられているので、当接リンク部材200の回動方向において当接部230と受圧部材との摺動抵抗を小さくでき、旋回時や後突時に当接リンク部材200や受圧部材40をスムーズに動作させることができる。また、当接部230が回動軸方向に直交する方向から見ても凸曲面形状を有するので、当接リンク部材200の回動軸方向においても摺動抵抗を小さくでき、例えば、受圧部材40が上下に動くときなどに受圧部材40などをスムーズに動作させることができる。さらに言えば、当接部230は略球面形状を有するので、全方向において摺動抵抗を小さくでき、当接リンク部材200と受圧部材40が当接する動作が行われるときに当接リンク部材200などスムーズに動作させることができる。
また、当接リンク部材200に対し上部連結ワイヤW1が貫通穴240に挿通されることで連結されているので、当接リンク部材200と上部連結ワイヤW1を簡単に連結することができる。
また、図11に示したように、駆動リンク部材100がストッパ部130を有し、ストッパ部130が固定ストッパ部材70に当接することで、駆動リンク部材100の回動を規制するので、例えば、ステッピングモータの駆動と停止によりリンク部材の回動量を規定する構成と比較して、駆動リンク部材100の回動量を精度良く規定することができる。また、ステッピングモータを使用する場合よりも、簡易かつ低コストな構成で駆動リンク部材100の回動量を精度良く規定することができる。また、ストッパ部130が第1ストッパ部131と第2ストッパ部132を有するので、駆動リンク部材100が一方向に回動する場合と逆方向に回動する場合の両方の場合において、その回動量を精度良く規定することができる。
また、駆動機構50(駆動リンク部材100)と固定ストッパ部材70の両方がブラケット60に固定されているので、ストッパ部130と固定ストッパ部材70との位置精度を向上させることができ、駆動リンク部材100の回動量をより精度良く規定することができる。
また、固定ストッパ部材70が出力軸52Cとサイドフレーム20との間に配置されているので、駆動リンク部材100や固定ストッパ部材70の大型化を抑制でき、駆動リンク部材100の周辺、具体的には、駆動リンク部材100の回動規定のための構成をコンパクトな構成とすることができる。なお、駆動リンク部材100や回動規定のための構成をコンパクト化できることで、突出するストッパ部130の長さを短くできるので、ストッパ部130が固定ストッパ部材70に当接したときの荷重を小さくすることができる。
また、ストッパ部130が駆動リンク部材100の側面102に設けられているので、ストッパ部がリンク部材から回動軸方向に突出している構成と比較して、駆動リンク部材100の構成を簡略化できる。また、トーションバネ55の第1アーム部55Bが第1ストッパ部131に掛止されているので、ストッパ部とは別の箇所にトーションバネを掛止するための部分を設ける構成と比較して、駆動リンク部材100の構成を簡略化できる。これらにより、駆動リンク部材100の製造を容易とすることができる。
また、図8(b)に示したように、ギヤボックス52Bにおいて、締結部330が突出していることで、締結部330を除くギヤボックス52Bの側面が締結部330に対して凹んだ形状をなすため、ギヤボックス52Bを含む駆動源52をコンパクトな構成とすることができる。また、突出した締結部330が直線LN上を避けた位置に配置されていることで、締結部330を除くギヤボックス52Bの側面とサイドフレーム20の屈曲部21Aの端部とを近づけて配置できるので、サイドフレーム20の大型化などを抑制することができ、駆動源52の周辺をコンパクトな構成とすることができる。また、締結部330を直線LNの左右方向外側に1つ、直線LNの左右方向内側に2つ配置することで、締結部330を複数有する構成においても、ギヤボックス52Bの側面と屈曲部21Aの端部とを近づけて配置できるので、駆動源52の周辺をコンパクトな構成とすることができる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、当接リンク部材200の回動量を規制するストッパ210が当接リンク部材200自身に設けられていたが、これに限定されず、ストッパは、例えば、駆動リンク部材やブラケット、サイドフレームなどに設けられていてもよい。
前記実施形態では、当接リンク部材200は、被覆部材202がリンク本体201の全体を覆うように設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、図17に示すように、被覆部材202は、リンク本体201の一部だけを覆うように設けられていてもよい。補足すると、図17に示す当接リンク部材200は、金属製のリンク本体201の一方の端部に、当接部230が設けられた樹脂製の被覆部材202が被せられるようにして取り付けられている。このような構成では、リンク本体201と被覆部材202を貫通する貫通穴240に上部連結ワイヤW1を挿通することで被覆部材202の脱落を抑制することができる。また、図17に示す当接リンク部材200において、被覆部材202の貫通穴242の最小径は、リンク本体201の貫通穴241の最小径よりも小さく形成されている。これにより、貫通穴240に挿通された上部連結ワイヤW1は樹脂製の被覆部材202の貫通穴242の内周面に当たることになるので、当接リンク部材200と上部連結ワイヤW1との接触音の発生を抑制することができる。
前記実施形態では、当接リンク部材200がリンク本体201と被覆部材202とを有し、リンク本体201と被覆部材202が異なる材料から形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、当接リンク部材は、その全体が樹脂から形成されていてもよい。なお、前記実施形態のように、当接リンク部材200が、リンク本体201と、当接部230が設けられた被覆部材202とを有して構成されることで、リンク本体201と被覆部材202のそれぞれをその機能上、最適な材料から形成することができる。例えば、前記実施形態のように、リンク本体201を金属製とし、被覆部材202を樹脂製とすることで、当接リンク部材200全体の剛性を確保しつつ、当接リンク部材200と受圧部材40との摺接音を抑制したり、摩耗を抑制したりすることができる。
前記実施形態では、当接部230が略球面形状を有していたが、これ限定されず、例えば、当接部は、リンク部材の回動軸方向から見たときだけ凸曲面形状を有するような構成であってもよい。また、当接部の断面形状は、円形状(円弧形状)に限定されず、長円形状や楕円形状などであってもよい。
前記実施形態では、駆動リンク部材100のストッパ部130がサイドフレーム20に固定された固定ストッパ部材70に当接して駆動リンク部材100の回動を規制するように構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、ストッパ部は、サイドフレームに直接当接してリンク部材の回動を規制するように構成されていてもよい。
前記実施形態では、ストッパ部130が駆動リンク部材100の側面102に設けられていたが、これに限定されず、例えば、ストッパ部は、駆動リンク部材から回動軸方向に突出するように設けられていてもよい。また、前記実施形態では、ストッパ部130が2つの第1ストッパ部131と第2ストッパ部132を有していたが、これに限定されず、例えば、ストッパ部は、1つであってもよい。また、前記実施形態では、駆動リンク部材100が左右で共通の部品として構成されていたが、これに限定されず、左または右の専用の部品として構成されていてもよい。
前記実施形態では、固定ストッパ部材70がブラケット60に固定されていたが、これに限定されず、例えば、固定ストッパ部材は、サイドフレームに直接固定されていてもよい。また、前記実施形態では、回動規制部73の全体が樹脂から形成されていたが、これに限定されず、例えば、回動規制部は、駆動リンク部材のストッパ部が当接する面だけが樹脂から形成されていてもよい。これによっても、ストッパ部と回動規制部との当接音を抑制できるので、駆動リンク部材の動作音を抑制することができる。
前記実施形態では、トーションバネ55のコイル部55Aと上部連結ワイヤW1とを離間して配置することで、受圧部材40が後方に移動したときに、上部連結ワイヤW1がコイル部55Aに食い込むのを抑えるように構成されていたが、図18(a),(b)に示すように、コイル部55Aと上部連結ワイヤW1との間に、カバー部材400を設けてもよい。
カバー部材400は、トーションバネ55のコイル部55Aを部分的に覆う部材であり、例えば、樹脂で形成されている。カバー部材400は、コイル部55Aの外周面を覆うカバー部410と、カバー部410の上端から延び、コイル部55Aの上側でピン54と重なる上側係合部420と、カバー部410の下端から当接リンク部材200の下側に回り込むように延びて当接リンク部材200に係合する下側係合部430とを有している。
カバー部410は、コイル部55Aと上部連結ワイヤW1の間に配置されるように、当接リンク部材200が初期位置に位置する状態で、コイル部55Aの上部連結ワイヤW1に最も近い部分を覆う位置からコイル部55Aの後部を覆う位置まで、コイル部55Aの外周面に沿って延びている。
上側係合部420は、下面から突出する係合突起421を有し、この係合突起421がピン54の上面に設けられた係合凹部54Aに係合することで、ピン54に係合している。
このようにカバー部材400を設けることで、受圧部材40が後方へ移動したときに、上部連結ワイヤW1が後方へ大きく移動すると、上部連結ワイヤW1がコイル部55Aに当たることなくカバー部410に当たる。これにより、コイル部55Aに上部連結ワイヤW1が食い込むのを抑えることができる。また、本変形例において、カバー部材400は、樹脂で形成されているので、上部連結ワイヤW1がカバー部410に当たった際に生じる異音を低減することができる。
前記実施形態では、受圧部材40が駆動源52に接触しないようになっていたが、乗物用シートは、受圧部材40が駆動源52に接触するように構成されていてもよい。例えば、受圧部材40に設けられた第2ビードB2のうち最も下に配置された第2ビードB2が、駆動源52の上端部と略同じ高さ位置に配置されており、この第2ビードB2が初期位置において駆動源52に接触していてもよい。
前記実施形態では、前進位置において、当接リンク部材200と受圧部材40の接点Pが、サイドフレーム20の前端よりも前方に位置するように構成されていたが、図19に示すように、初期位置においても、当接リンク部材200と受圧部材40の接点Pが、サイドフレーム20の前端よりも前方に位置するように構成してもよい。つまり、当接リンク部材200と受圧部材40の接点Pは、常に、サイドフレーム20の前端よりも前方に位置していてもよい。
前記実施形態では、当接リンク部材200の当接部230が受圧部材40に当接するように構成されていたが、図20に示すように、当接リンク部材200は、受圧部材40に当接しないように設けてもよい。
具体的には、上部連結ワイヤW1は、受圧部材40の第1支持部45に接触するとともに、第1支持部45よりも左右方向外側に設けられた第2支持部46にも連続して接触するように、第1支持部45に接触する部分からさらに前方へ延びるように屈曲して、第2支持部46に沿って延びている。そして、上部連結ワイヤW1は、左右の端部が第2支持部46から離れるように屈曲し、当接リンク部材200に連結されている。当接リンク部材200は、初期位置から前進位置に移動する間に、受圧部材40に接触しないように設けられている。
なお、受圧部材40のより左右方向外側に近い位置を上部連結ワイヤW1で押すことができるように、上部連結ワイヤW1の左右端は、第2支持部46に沿って延びていることが望ましく、さらに、第2支持部46の左右方向における中間部よりも外側まで第2支持部46に沿って延びていることが望ましい。これにより、上部連結ワイヤW1で受圧部材40を安定して支持することができる。
前記実施形態では、トーションバネ55のコイル部55Aが、当接リンク部材200に対して駆動源52とは反対側に設けられ、コイル部55Aが、上下方向から見て、駆動源52と重なるように配置されていたが、駆動源とトーションバネの配置はこれに限定されるものではない。例えば、図21に示すように、トーションバネ55のコイル部55Aは、当接リンク部材200に対して駆動源52と同じ側に設けられ、コイル部55Aと駆動源52とが、水平方向で重なるように配置されていてもよい。これによれば、駆動機構50の上下方向の小型化を図ることができる。
図22(a)に示すように、受圧部材40は、乗員の肩の位置に対応する左右端の上部に、切欠部47を有していてもよい。具体的には、支持部42の上端は、受圧部41の上端よりも低い位置に設けられている。車両を後退移動させるときには、乗員が後ろを振り返り、一方の肩を後ろに向けた姿勢をとることがある。このとき、受圧部材40に切欠部47がないと、ステアリング操作によって乗員の姿勢とは逆向きに受圧部材40が動いた場合、肩に前方へ移動した支持部42が当たるので、乗員が後ろを向きにくくなる。本変形例における受圧部材40は、乗員の肩の位置に対応する部分に切欠部47が設けられているので、乗員が振り返ったときに受圧部材40が乗員に肩に当たらないので、乗員が後ろを振り向きやすい。
また、受圧部材40は、図22(a),(b)に示すように、左右方向における中央部で折れやすくなっていてもよい。具体的には、受圧部材40は、左右方向における中央部に、上下方向に延びる折り線、例えば、前から見て凹んだ溝48が形成されており、この溝48の部分が、他部よりも薄肉になっている。この受圧部材40では、駆動機構50により受圧部材40の支持部42が前方へ押されると溝48で折れ曲がるので、左右の支持部42を独立して動かすことができる。なお、溝48は、後ろから見て凹んでいてもよく、前後両側が凹んでいてもよい。また、折り線は、溝ではなく、受圧部材40の左右方向中央部に上下方向に延びるミシン目であってもよい。
また、受圧部材40は、左右方向における中央部で左右に分かれていてもよい。例えば、受圧部材40は、図23に示すように、左右に並んだ2枚の板部材401から形成されていてもよい。なお、2枚の板部材401は、下端部同士が繋がっていてもよい。このような受圧部材40では、左右の支持部42をより独立して動かすことができる。
前記実施形態では、上部連結ワイヤW1の屈曲部W11がU字状に形成されていたが、図24(b)に示すように、屈曲部W11はV字状に形成され、下端部が第3部分40Cの左右方向中央部に配置されていてもよい。これによれば、上部連結ワイヤW1により受圧部材40のくびれの位置まで押すことができるので、受圧部材40が第3部分40Cでねじれやすくなる。また、第2部分40Bだけでなく第3部分40Cも上部連結ワイヤW1により後方から支持されるので、受圧部材40により乗員を安定して支持することができる。
前記実施形態では、上部フレーム10がサイドフレーム本体部21に固定されていたが、シートバックフレームF2の構成はこれに限定されるものではない。例えば、図24(a)に示すように、上部フレーム10は、サイドフレーム本体部21に対して前後に回動可能に支持されていてもよい。
具体的に、上部フレーム10は、サイドフレーム本体部21に回動可能に連結された左右一対の上部サイドフレーム13Aを有している。また、図24(b)に示すように、上部フレーム10は、一対の上部サイドフレーム13Aを繋ぐクロスメンバ14を有している。
このシートバックフレームF2に対して、受圧部材40は、駆動機構50と下部連結ワイヤW2の両方がサイドフレーム本体部21に固定されることで、第1部分40Aと第2部分40Bがサイドフレーム本体部21に支持されている。これにより、上部フレーム10が回動したときに、受圧部材40は移動しないので、乗員が受ける違和感を抑えることができる。
駆動機構50は、全体が、上部フレーム10のサイドフレーム本体部21に対する回動軸20Aよりも下方に配置されている。これにより、上部フレーム10が前方へ回動したときに、駆動機構50を構成する駆動源52等がシートバックフレームF2から後方へ大きく飛び出すのを抑えることができる。
また、受圧部材40の上端は、クロスメンバ14よりも下方、より詳細には、上部フレーム10のサイドフレーム本体部21に対する回動軸20Aよりも下方に配置されている。これにより、上部フレーム10が前方へ回動したときに、受圧部材40の上端部がシートバックフレームF2から後方へ大きく飛び出すのを抑えることができる。また、クロスメンバ14が受圧部材40よりも上に配置されるので、後突時に乗員の上体がシートバックS2に沈み込みやすくなる。
図25に示すように、シートバックフレームF2が下部に設けられた回動軸25Aを中心に回動するように構成される場合、受圧部材40は、第1部分40Aが回動軸25Aより下方に配置され、第2部分40Bが回動軸25Aより上方に配置されるように設けられていてもよい。
具体的に、シートバックフレームF2は、上端部がサイドフレーム本体部21の下端に回動可能に連結された左右の下部サイドフレーム25を有している。そして、駆動源52は、サイドフレーム本体部21に固定され、下部連結ワイヤW2は、下部サイドフレーム25に固定されている。つまり、受圧部材40の第1部分40Aは下部サイドフレーム25に支持され、受圧部材40の第2部分40Bはサイドフレーム本体部21に支持されている。
そして、受圧部材40の第3部分40Cは、シートバックフレームF2の回動軸25Aと略同じ高さ位置に設けられ、第1部分40Aに対して第2部分40Bが前後に揺動しやすくなるための折り線が設けられている。この折り線は、溝、ミシン目または図25に示したような蛇腹形状とすることができる。これにより、サイドフレーム本体部21が回動軸25Aを中心に前方へ倒れたときに、第2部分40Bがサイドフレーム本体部21の移動に合わせて前側へ移動することができるので、乗員が受ける違和感を抑えることができる。なお、図25に示したように、受圧部材40の支持部42の下部は、駆動源52の上部と同じ高さ位置に位置している。つまり、駆動源52と支持部42は、同一水平面上に位置している。
また、第3部分40Cが回動軸25Aに対して前後にずれた位置にある場合には、第3部分40Cを上下方向に伸縮可能に形成することで、第2部分40Bがサイドフレーム本体部21の移動に合わせて容易に移動することができる。この場合、例えば、第3部分40Cは、蛇腹状に折りたたまれた形状とすることができる。
前記実施形態では、サイドフレーム本体部21が一部品から構成されていたが、サイドフレーム本体部21の構成はこれに限定されず、図26に示すように、上下2枚の板から構成されていてもよい。
具体的に、サイドフレーム本体部21は、上フレーム211と、上フレーム211の下側に配置された下フレーム212とから構成されている。上フレーム211と下フレーム212は、溶接やネジ止め等により互いに固定されている。
駆動源52を支持する第2ブラケット62は、上フレーム211と下フレーム212の境界を跨ぐようにして設けられている。第2ブラケット62の固定部62Bは、上フレーム211にボルトで固定される上固定部62Dと、上固定部62Dから下方に延びて、下フレーム212にボルトで固定される下固定部62Eとを有している。このように第2ブラケット62を設けることで、上フレーム211と下フレーム212とをよりしっかりと固定することができる。
なお、サイドフレーム本体部21が、図26に示したように、上下にわかれた上フレーム211と下フレーム212から構成されている場合、第1ブラケット61と第2ブラケット62を、上フレーム211と下フレーム212を連結している部分、つまり、上フレーム211と下フレーム212の境界を避けた位置に配置してもよい。
図27(a),(b)に示すように、サイドフレーム本体部21の左右方向外側にエアバッグ装置Aを取り付ける場合には、エアバッグ装置Aの袋体の展開方向を規制する力布A1をサイドフレーム本体部21に取り付けるための取付孔21Bを、第1ブラケット61(図5参照)および第2ブラケット62と重ならない位置に設けることができる。より詳細には、取付孔21Bは、駆動源52のうちギヤボックス52B等の他部よりも細いモータ52Aと左右方向で重なる位置に設けられている。また、取付孔21Bは、当接リンク部材200および固定ストッパ部材70と左右方向で重ならない位置(上下方向にずれた位置)に設けられている。
ここで、シートバックS2におけるエアバッグ装置A周辺の構成について簡単に説明する。エアバッグ装置Aは、図示しない袋体やインフレータなどを備えて構成され、支持板A3を介してサイドフレーム本体部21に固定されている。このエアバッグ装置Aは、駆動源52と左右方向で重なる位置に配置されている。
力布A1は、エアバッグ装置Aを取り囲むように配置され、それぞれ、前端部が表皮材BP5の破断部BP51で表皮材BP5とともに縫い合わされ、後端部がサイドフレーム本体部21に固定されている。エアバッグ装置Aが作動したとき、インフレータで発生したガスによって膨張する袋体は、左右の力布A1によっていわばガイドされながら前方に向けて膨張していき、破断部BP51を破断して乗員の側方で展開することとなる。
力布A1は、各後端部が、リベット状の力布取付部材A2に固定されている。そして、一方の力布取付部材A2は、取付孔21Bに係合することで、サイドフレーム本体部21に固定されている。もう一方の力布取付部材A2は、サイドフレーム本体部21の後側の屈曲部21Aに係合することで、サイドフレーム本体部21に固定されている。
この変形例においては、取付孔21Bが、第1ブラケット61および第2ブラケット62と重ならない位置に設けられているので、取付孔21Bに係合した力布取付部材A2が各ブラケット61,62と干渉するのを抑えることができる。また、取付孔21Bが、モータ52Aと左右方向で重なる位置に設けられているので、モータ52A(駆動源52)と重ならない位置に設ける場合に比べて、サイドフレーム本体部21の小型化ができる。また、モータ52Aは、駆動源52の他部よりも細くなっている部分であるので、力布取付部材A2が駆動源52と干渉するのを抑えることができる。さらに、力布取付部材A2が、駆動リンク部材100、当接リンク部材200および固定ストッパ部材70と左右方向で重ならない位置に配置されるので、各リンク部材100,200および固定ストッパ部材70のいずれかの部材が力布取付部材A2と同じ高さ位置に設けられる場合に比べて、シートバックS2の左右方向の小型化を図ることができる。また、エアバッグ装置Aが、駆動源52と左右方向で重なる位置に配置されているので、サイドフレーム本体部21の上下方向の小型化を図ることができる。
なお、駆動源52よりも上側の位置に取付孔21Bをさらに設け、力布A1の後端部を上下の2箇所でサイドフレーム本体部21に固定することもできる。この場合は、2つの取付孔21Bの間に駆動源52が配置されるので、サイドフレーム本体部21の上下方向および前後方向における小型化を図ることができる。また、エアバッグ装置Aは、駆動源52と左右方向で重ならない、つまり、前後方向にずらして配置してもよい。この場合は、駆動源52と力布取付部材A2が左右方向で重ならないので、シートバックS2の左右方向の小型化を図ることができる。
前記実施形態では、付勢部材としてトーションバネ55を例示したが、これに限定されず、例えば、板バネなどであってもよい。また、前記実施形態では、第2の付勢部材として上部連結ワイヤW1を例示したが、これに限定されず、例えば、コイルバネなどであってもよい。前記実施形態では、回動抵抗部材として上部連結ワイヤW1とトーションバネ55を例示したが、これに限定されず、例えば、付勢部材、第2の付勢部材および回動抵抗部材はそれぞれ独立した別の部材であってもよい。
前記実施形態では、サイドフレーム20に固定された第2ブラケット62の延出部62Cの一部がサイドフレーム20の張出部22に配置されていたが、これに限定されず、例えば、延出部は、その全体が張出部22に配置されていてもよい。
前記実施形態で示したブラケット60の構成は一例である。例えば、前記実施形態では、第2ブラケット62の固定部62Bが延出部62Cを有していたが、これに限定されず、第1ブラケットの固定部が延出部を有していてもよい。また、図8(a)を参考に説明すると、第2ブラケット62の係合部62Aが駆動源52の下端部に係合し、固定部62Bが駆動源52よりも下側まで延びるように形成されていてもよい。また、前記実施形態では、ブラケット60が2つの第1ブラケット61と第2ブラケット62から構成されていたが、これに限定されず、ブラケットは、1つであってもよい。
前記実施形態では、連結機構51が2つのリンク(駆動リンク部材100および当接リンク部材200)を有して構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、連結機構は、1つリンク部材を有して構成されていてもよいし、3つ以上のリンク部材を有して構成されていてもよい。
前記実施形態では、本発明を自動車で使用されるシート(車両用シートS)に適用した例を示したが、これに限定されず、その他の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などで使用されるシートに適用することもできる。