JP7436898B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
また、左右方向とは、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、後述するシートバックフレーム1の幅方向と一致する方向である。また、前後方向とは、乗員が着座した状態での前後方向を意味する物である。
図1乃至図8を参照して、第1の実施形態に係る車両用シートSについて説明する。
車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1(背部)、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1(背部)及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、頭部の芯材(不図示)にパッド材3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部(不図示)で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
そして、本実施形態のサイドフレーム15には、後述の移動部材30が係止されている。なお、移動部材30の構成、作用は後述する。
シートバックフレーム1内(両側のサイドフレーム15の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える受圧部材としての受圧部材20が配設されている。
衝撃低減部材としての移動部材30は、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときに、連結部材(ワイヤ22)を介して伝わる衝撃荷重により乗物後方に移動すると共に受圧部材20を後方へ移動させ、乗員を後方へ移動するものである。なお、「移動」とは、水平移動、回動等の動きを指す。本実施形態では、軸部32を回動軸として回動する移動部材30について説明する。この移動部材30の乗物後方への移動により受圧部材20を乗物後方へ大きく移動させることができ、その結果、乗員を後方へ移動させるため、乗員にかかる荷重を効率的に低減することができる。
そして、本実施形態の移動部材30は、回動可能な軸部32によって、サイドフレーム15の内側、より詳細には側板15aの一部がシート内側に膨出して形成された凸部15eに軸支されている。
本実施形態では、移動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、これら両側に取り付けられた移動部材30は、互いに独立して移動(回動)するように構成されている。このため、荷重が左右方向に偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイドフレーム15に取り付けられた移動部材30が、各々独立して移動(回動)することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を後方へ沈み込ませることができる。
以下、受圧部材20と移動部材30の構成及び作用を説明する。
乗員が着座した通常の着座時において、シートバックS1内のクッションパッド1a、受圧部材20、ワイヤ22を介して、移動部材30を後方移動(回動)させる張力が生じる。一方、引張りコイルばね35は、移動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ移動(回動)させるように付勢している。ここで、移動部材30に連結されている引張りコイルばね35は、通常の着座時において生じる荷重領域では撓まない荷重特性を有しているため、移動部材30は常に初期位置に制止されている。つまり、移動部材30を移動(回動)させる力に抗して初期状態に復帰させる力が、通常の着座時に最も大きくなるように構成されている。
移動部材30の移動阻止部39は移動部材30を外周方向に延出させて一体に形成されており、その当接面が移動(回動)後においてサイドフレーム15(より詳細には、後縁部15c)と当接するので、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときであっても、移動部材30の移動(回動)を安定して停止させることができる。
この移動阻止部39は、付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
ここで、移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置はシートバックS1に対して相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と乗員の頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減することができる。
シートバックフレーム1の下部フレームは、下部フレーム基礎部17及び下部フレーム架設部18によって構成されている。下部フレーム架設部18(メンバーセンター)は、左右方向に離間して配設された一対の下部フレーム基礎部17を連結するように形成され、下部フレーム基礎部17に対して当接して配設されている。下部フレーム基礎部17は、サイドフレーム15の側板15aの下側に連結されている。そして、下部フレーム基礎部17は、側板15aの下方を延長するように形成されており、着座フレーム2との関係で、支障のない範囲で延長されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と下部フレーム基礎部17とが別部材で形成されているが、一体の板状フレーム等で形成してもよい。また、下部フレーム基礎部17と下部フレーム架設部18はそれぞれ別部材として形成された例を示すが、一体に形成された構成としても良い。
下部フレーム基礎部17は、図4に示すように、シートバックフレーム1の左右側方に位置して上下方向に延びるフレーム側部としての側方板17aと、側方板17aから左右方向の内側に向かって延出するフレーム延出部としての中間板17bとを備え、側方板17aと中間板17bとを連結する連結部17xには、衝撃荷重が加わったときに変形する孔部17kが形成されている。なお、「フレーム側部」はサイドフレーム15の側板15aも含むものであり、さらに、「フレーム延出部」はサイドフレーム15の後縁部15cや、下部フレーム架設部18も含むものであるが、本実施形態として、下部フレーム基礎部17において孔部17kが形成された例を示す。
本実施形態では、傾斜部17hがシート内側に向かうに従って上方に傾斜するように屈曲され、中間板17bの傾斜した上端部まで延設された構成を示している。
また、傾斜部17hを中間板17bの上端まで延設することにより、内方脆弱部17eを全体として屈曲させやすくなる。
なお、後面衝突時の衝撃荷重によりサイドフレーム15を特に後傾させやすくするため、中間板17bの上方よりも下方において剛性を向上させる目的から、ハーネス取付部17iは、屈曲部17gの上方ではなく、下方に設けると好適である。
一対の下部フレーム基礎部17の側方板17aまたは中間板17bには、下部フレーム架設部18が接合されている。下部フレーム架設部18は、側方板17a及び中間板17bの両方に接合されていると取付剛性が向上するため好ましい。さらに、下部フレーム架設部18の側方端部が側方板17aに対して当接するように形成されていると、側方荷重に対して剛性が向上する。なお、本実施形態において、下部フレーム架設部18は中間板17bの前方に配設されているが、中間板17bの後方に配設されていても良い。
後面衝突時の衝撃荷重が加わった際に下部フレーム基礎部17が変形する様子について、図7、図8を参照して、以下説明する。
図7は、後面衝突時の衝撃荷重が下部フレーム基礎部17にかかった直後の様子である。このとき、シートバックフレーム1に対して、主として後傾する方向の荷重が加わるが、サイドフレーム15の下方、すなわち下部フレーム基礎部17に最も大きな荷重が加わる。
その結果、下部フレーム基礎部17に形成された内方脆弱部17eや側方脆弱部17mを変形させ、さらに効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる。
また、中間板17bの内方脆弱部17eよりも下方の部分に後面58bが取り付けられて、下部フレーム架設部58が設けられているため、内方脆弱部17e以外の部位、本実施形態では、内方脆弱部17eの下方が後面58bにより補強され剛性が向上する。したがって、シートバックフレーム1に後方への衝撃荷重が加わった際に、内方脆弱部17e以外の部位からシートバックフレーム1が変形することを抑制でき、シートバックフレーム1の変形が生じる部位の位置規制が容易に行える。
さらに、後面58bの上端58eが内方脆弱部17eの水平部17fの延出方向に沿うように設けられているため、シートバックフレーム1が変形する方向及び変形形状のガイドが一層容易となる。
後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、側方脆弱部17mは上下方向に潰れるように変形するため、前方膨出部58aの上端58dが側方脆弱部17mの幅(高さ方向の長さ)の中央より下方に設けられていると、変形時に側方脆弱部17mと干渉せず、側方脆弱部17mの変形を阻害することなく好適である。
本実施形態の前方膨出部58aは、乗員が着座したときの乗員の腰部に相当する位置に配設されており、乗員の腰部側へ膨出するよう構成されている。このため、前方膨出部58aは、後面衝突時に乗員の腰部が後方へ移動するのを押し止める腰部進入阻害部材としての機能を有する。
このように、移動部材30の作用による衝撃荷重の吸収と、孔部17k及び脆弱部の作用による衝撃荷重の吸収とが可能となるため、より効率よく衝撃荷重を吸収することが可能となる。
図12は第2の実施形態に係る補強部の他の例を示すシートフレームの背面図である。図12で示すように、本例では、下部フレーム(下部フレーム基礎部17、及び下部フレーム架設部18または58)の後方に、補強部としての板状の補強部材59が設けられている。補強部材59は、内方脆弱部17eと前後方向で重ならない位置であって、内方脆弱部17eよりも下方に設けられ、上端59aが水平部17fの延出方向、すなわち下部フレーム架設部18または58の長手方向(シート幅方向)に沿うように配設されている。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
11a リクライニングシャフト
15 サイドフレーム
15a 側板(フレーム側部)
15b 前縁部
15c 後縁部(フレーム延出部)
15d 突起部
15e 凸部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム基礎部(下部フレーム)
17a 側方板(フレーム側部)
17b 中間板(フレーム延出部)
17c シャフト挿通孔
17d,17j 取付け孔
17e 内方脆弱部(脆弱部)
17f 水平部
17g 屈曲部
17h 傾斜部
17i ハーネス取付部(部品取付部、補強部)
17k 孔部
17m 側方脆弱部(脆弱部)
17p 境界部
17x 連結部
18 下部フレーム架設部(フレーム延出部、下部フレーム、補強部)
19 ヘッドレストピラー
19a ピラー支持部
20 受圧部材
21 ワイヤ(連結部材、上方連結部材)
21a 軸支部
22 ワイヤ(連結部材、下方連結部材)
30 移動部材(衝撃低減部材)
32 軸部
35 引張りコイルばね(付勢手段)
39 移動阻止部
58 下部フレーム架設部(フレーム延出部、下部フレーム、補強部)
58a 前方膨出部
58b 後面
58c 連結面
58d,58e 上端
58f 側方端部
58g 角部
59 補強部材
59a 上端
Claims (10)
- シートバックフレームの左右側方に位置して上下方向に延びるフレーム側部と、該フレーム側部から左右方向の内側に向かって延出するフレーム延出部と、前記シートバックフレームの下方に設けられた着座フレームと、を備え、
前記フレーム側部は、前記シートバックフレームと前記着座フレームとをリクライニング機構を介して連結する側方板を備え、
前記側方板は、シート幅方向に断面半円弧状に形成された脆弱部を有し、
前記フレーム延出部は、第二脆弱部を有し、
前記脆弱部及び前記第二脆弱部の少なくとも一方に接する補強部が形成されていることを特徴とする車両用シート。 - 前記脆弱部は、シート側面視において、前記リクライニング機構の回転中心をまたいで延設されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記脆弱部は、前記側方板と前記側方板の後端部から左右方向の内側に向かって延出する部分との境界部分である角部から、前記リクライニング機構の回転中心の方向に向かって延設され、前記リクライニング機構の回転中心よりも前記境界部分の反対側に延びていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用シート。
- 前記補強部は、前記脆弱部及び前記第二脆弱部の少なくとも一方の、上方及び下方の少なくとも一方に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用シート。
- 前記補強部は、部品取付部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の車両用シート。
- 前記脆弱部は、前記リクライニング機構の回転軸方向から見たときに、前記リクライニング機構と重ならない位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用シート。
- シートバックフレームの左右側方に位置して上下方向に延びるフレーム側部と、該フレーム側部から左右方向の内側に向かって延出するフレーム延出部と、前記シートバックフレームの下方に設けられた着座フレームと、を備え、
前記フレーム側部は、前記シートバックフレームと前記着座フレームとをリクライニング機構を介して連結する側方板を備え、
前記側方板は、シート幅方向に断面半円弧状に形成された脆弱部を有し、
前記側方板と前記側方板の後端部から左右方向の内側に向かって延出する部分との境界部分である角部には、衝撃荷重が加わったときに変形する孔部が形成されていることを特徴とする車両用シート。 - 前記脆弱部は、前記孔部と連結されていることを特徴とする請求項7に記載の車両用シート。
- 前記フレーム延出部は、第二脆弱部を有し、
前記脆弱部及び前記第二脆弱部の少なくとも一方は、前記孔部と連結されていることを特徴とする請求項7に記載の車両用シート。 - 前記シートバックフレームに載置されるクッションパッドと、
前記クッションパッドを覆う表皮材と、
前記着座フレームに載置される着座部クッションパッドと、
前記着座部クッションパッドを覆う着座部表皮材と、を備え、
前記着座フレームの後端部が、前記リクライニング機構を介して前記シートバックフレームと連結され、
前記着座フレームは、脚部で支持されており、前記脚部にはインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられており、
前記シートバックフレームは、上部フレームを有し、
前記上部フレームの上方には、ヘッドレストが設けられ、
前記ヘッドレストは、芯材の外周部にパッド材を設け、前記パッド材の外周にヘッドレスト表皮材を被覆して構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の車両用シート。
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