以下、本発明の一実施形態(本実施形態)について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることはもちろんである。特に、本実施形態では、後面衝突時の衝突エネルギーを吸収するための構成を具体例に挙げて説明するが、本発明の構成は後面衝突時に限定されるものではなく、例えば、側面衝突時の衝撃エネルギーを吸収するための構成としても適用可能である。さらに、以下では、上記の構成(後面衝突時の衝撃エネルギーを吸収するための構成)の適用例として、自動車のフロントシートのシートバックS1について説明するが、これに限らず、後部座席のシートバックについても、同様の構成を適用可能であることは勿論である。
また、本明細書において、乗物とは、自動車・鉄道など車輪を有する地上走行用乗物、地上以外を移動する航空機や船舶など、シートを装着できる移動用のものをいうものとする。また通常の着座荷重とは、着座するときに生じる着座衝撃、乗物の急発進によって生じる加速時の荷重などを含むものである。また、後面衝突時の衝撃エネルギーとは、後面衝突時に生じる大きな荷重によるエネルギーであって、後方側からの乗物による大きな追突、後退走行時における大きな衝突等に伴うものであり、通常の着座時に生じる荷重と同様な荷重領域の荷重によるエネルギーは含まないものである。
また、左右方向とは、車両前方を向いた状態での左右方向を意味し、後述するシートバックフレーム1の幅方向と一致する方向である。また、前後方向とは、乗員が着座した状態での前後方向を意味する物である。
図1乃至図10は本発明の実施形態に係るもので、図1は車両用シートの概略斜視図、図2はシートフレームの概略斜視図、図3はシートフレームの背面図、図4は下部フレーム基礎部の概略斜視図、図5は図4のA−A線による断面図、図6は下部フレーム基礎部の後面衝突後の状態を示す説明図、図7は下部フレームの後面衝突前の状態を示す説明図、図8は下部フレームの後面衝突後の状態を示す説明図、図9は、規制部材とその取り付け位置を示す図、図10は規制部材とその周辺を示す模式図である。また、図11乃至図116は本発明の他の実施形態に係る規制部材の説明図である。
<<車両用シートSの基礎構成>>
図1乃至図8を参照して、実施形態に係る車両用シートSについて説明する。
車両用シートSは、図1で示すように、シートバックS1(背部)、着座部S2、ヘッドレストS3より構成されており、シートバックS1(背部)及び着座部S2はシートフレームFにクッションパッド1a,2aを載置して、表皮材1b,2bで被覆されている。なお、ヘッドレストS3は、頭部の芯材(不図示)にクッションパッド3aを配して、表皮材3bで被覆して形成される。また符号19は、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラーである。
車両用シートSのシートフレームFは、図2で示すように、シートバックS1を構成するシートバックフレーム1、着座部S2を構成する着座フレーム2から構成されている。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部(不図示)で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
リクライニング機構11は、少なくともリクライニング機構11の回動軸に沿ったリクライニングシャフト11aを備えており、リクライニングシャフト11aは、シートバックフレーム1(より詳細には、一対のサイドフレーム15)の下方に延設された一対の下部フレーム基礎部17(メンバーサイド)に設けられたシャフト挿通孔17c(図4乃至図6参照)からシートフレームFの側部に突出するように嵌通して配設されている。
シートバックS1は、フレームの一例としてのシートバックフレーム1に、上述のようにクッションパッド1aを載置して、クッションパッド1aの上から表皮材1bにより覆われており、乗員の背中を後方から支持するものである。そして、本実施形態に係るシートバックフレーム1は、後述するように、後面衝突時等において衝撃荷重が加わった際に変形(後傾)して、その衝撃エネルギーを吸収することができるように構成されている。
本実施の形態において、シートバックフレーム1は、図2で示すように、略矩形状の枠体となっており、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレームとを備えており、下部フレームは、下部フレーム基礎部17と下部フレーム架設部18とから構成されている。下部フレームの詳細については後述する。
2本(一対)のサイドフレーム15は、シートバック幅を構成するため、左右方向に離間して配設され、上下方向に延在するように配設されている。そして、一対のサイドフレーム15の上端部側を連結する上部フレーム16が、サイドフレーム15から上方に延出している。なお、上部フレーム16は、一方のサイドフレーム15から上方に延設された後、屈曲し、他方のサイドフレーム15まで延設されている。
閉断面形状(たとえば、断面が円形、矩形等)の部材からなる上部フレーム16は、図2で示すように、略U字状に屈曲されている。そして、上部フレーム16の側面部16aは、サイドフレーム15の側板15aに対して上下方向に沿って一部が重なるように配設され、この重なり部分においてサイドフレーム15に固着接合される。なお、本実施形態では上部フレーム16は断面円形の管状部材によって形成されているが、断面が矩形の管状部材としてもよい。
また、上部フレーム16の上方には、ヘッドレストS3が配設されている。ヘッドレストS3は、前述のように芯材(不図示)の外周部にクッションパッド3aを設け、パッド材3aの外周に表皮材3bを被覆して構成している。上部フレーム16には、ピラー支持部19aが配設されている。このピラー支持部19aには、ヘッドレストS3を支持するヘッドレストピラー19(図1参照)がガイドロック(不図示)を介して取り付けられて、ヘッドレストS3が取り付けられるようになっている。なお、本実施形態ではシートバックS1とヘッドレストS3が別体となって形成されている例を示したが、シートバックS1とヘッドレストS3が一体となって形成されたバケットタイプとしてもよい。
シートバックフレーム1の一部を構成するサイドフレーム15は、図2で示すように、シートバックフレーム1の側面を構成する延伸部材であり、平板状の側板15aと、この側板15aの前端部(乗物前方側に位置する端部)からU字型に内側へ屈曲し、折り返した前縁部15bと、後端部からL字型に内側へ屈曲した後縁部15cとを有している。
本実施形態の前縁部15bには、後縁部15c側へ張り出した突起部15dが形成されており、この突起部15dには、付勢手段としての引張りコイルばね35を係止するための係止部としての係止孔が形成されている。
そして、本実施形態のサイドフレーム15には、後述の移動部材30が係止されている。なお、移動部材30の構成、作用は後述する。
<<受圧部材20の構成>>
シートバックフレーム1内(両側のサイドフレーム15の間)でシートバックフレーム1の内側領域には、クッションパッド1aを後方から支える受圧部材としての受圧部材20が配設されている。
本実施形態の受圧部材20は、樹脂を板状の略矩形状に形成した部材であり、クッションパッド1aと接する側の表面には滑らかな凹凸が形成されている。受圧部材20の裏側の上部側と下部側には、図2で示されるように、上方連結部材としてのワイヤ21及び下方連結部材としてのワイヤ22を係止するための爪部が形成されている。
本実施形態の受圧部材20は、連結部材に支持されている。すなわち、連結部材としての2本のワイヤ21,22が両側のサイドフレーム15間に架設され、受圧部材20の裏側の上部側と下部側で、所定位置に形成された爪部によって受圧部材20と係合し、受圧部材20をクッションパッド1aの背面で、支持している。ワイヤ21,22は、ばね性を有するスチール線材から形成され、連結部である凹凸部が形成されている。
特に本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上方に位置するワイヤ21は、下方に位置するワイヤ22よりも細いワイヤで構成されている。これにより、受圧部材20は下方と比較して上方が後方へより移動しやすくなっている。
また、ワイヤ22は太い線材で構成されるため、剛性が高く、通常の着座時は変形しにくい。したがって、通常の着座時、細い線材からなるワイヤ21によって支持される受圧部材20の上方は後方へ移動しやすく、太い線材からなるワイヤ22によって支持される受圧部材20の下方は大きく後方へ移動しない。その結果、通常の着座時においては受圧部材20の上方は適度に後方へ沈み込み、下方は乗員の身体を支持するため、着座感が損なわれることがない。
さらに、ワイヤ21,22は凹凸部が形成されていることによって、所定以上の荷重(後述する衝撃低減部材の可動又は回動の荷重より大きな荷重)によって大きく変形し、受圧部材20が、より多くの移動量をもって後方へ動くように構成されている。
図2で示すように、本実施形態の受圧部材20に係止された2本のワイヤ21,22のうち、上部側に係止されたワイヤ21の両端部は、両側のサイドフレーム15に設けられた軸支部21aに掛着されている。一方、下部側に係止されたワイヤ22の両端部は、左右のサイドフレーム15に装着された移動部材30に掛着されている。
ワイヤ21よりも太い線材で構成されたワイヤ22は、上述のように変形しにくく、通常の着座時、受圧部材20の下方部分は後方へ移動しにくい。したがって、後面衝突時には十分な沈み込み量を確保するため、ワイヤ22の端部に移動部材30が取り付けられる。
<<移動部材30の構成>>
衝撃低減部材としての移動部材30は、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときに、連結部材(ワイヤ22)を介して伝わる衝撃荷重により乗物後方に移動すると共に受圧部材20を後方へ移動させ、乗員を後方へ移動するものである。なお、「移動」とは、水平移動、回動等の動きを指す。本実施形態では、軸部32を回動軸として回動する移動部材30について説明する。この移動部材30の乗物後方への移動により受圧部材20を乗物後方へ大きく移動させることができ、その結果、乗員を後方へ移動させるため、乗員にかかる荷重を効率的に低減することができる。
本実施形態の移動部材30は、図2で示すように、両側のサイドフレーム15の側板15aの内側に、回動軸としての軸部32を介して回動自在に軸支され、連結部材としての下方位置のワイヤ22を係止すると共に、ワイヤ22を付勢する付勢手段としてのばね(引張りコイルばね35)と連結されるものである。つまり、移動部材30は、付勢手段としての引張りコイルばね35と連結しており、連結部材としてのワイヤ22を介して受圧部材20をシートバックフレーム1の前方側に付勢するように構成されている。
そして、本実施形態の移動部材30は、回動可能な軸部32によって、サイドフレーム15の内側、より詳細には側板15aの一部がシート内側に膨出して形成された凸部15eに軸支されている。
上述した移動部材30は、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、両側にそれぞれ配設された移動部材30に、ワイヤ22の両端部が掛着されており、各々の移動部材30が個別に作動するように構成されている。
本実施形態では、移動部材30が、両側のサイドフレーム15に取り付けられており、これら両側に取り付けられた移動部材30は、互いに独立して移動(回動)するように構成されている。このため、荷重が左右方向に偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイドフレーム15に取り付けられた移動部材30が、各々独立して移動(回動)することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を後方へ沈み込ませることができる。
(受圧部材20と移動部材30の作用効果)
以下、受圧部材20と移動部材30の構成及び作用を説明する。
乗員が着座した通常の着座時において、シートバックS1内のクッションパッド1a、受圧部材20、ワイヤ22を介して、移動部材30を後方移動(回動)させる張力が生じる。一方、引張りコイルばね35は、移動部材30をシートバックフレーム1の前方側へ移動(回動)させるように付勢している。ここで、移動部材30に連結されている引張りコイルばね35は、通常の着座時において生じる荷重領域では撓まない荷重特性を有しているため、移動部材30は常に初期位置に制止されている。つまり、移動部材30を移動(回動)させる力に抗して初期状態に復帰させる力が、通常の着座時に最も大きくなるように構成されている。
そして、移動部材30に備えられた移動阻止部39は、移動部材30の移動(回動)後にサイドフレーム15の後縁部15cと当接して移動(回動)を阻止する当接部である。
移動部材30の移動阻止部39は移動部材30を外周方向に延出させて一体に形成されており、その当接面が移動(回動)後においてサイドフレーム15(より詳細には、後縁部15c)と当接するので、後面衝突等により所定以上の衝撃荷重が受圧部材20に加わったときであっても、移動部材30の移動(回動)を安定して停止させることができる。
この移動阻止部39は、付勢手段(引張りコイルばね35)や連結部材(ワイヤ22)と干渉しない位置に形成される。
なお、本実施形態においては、移動部材30の移動阻止部39がサイドフレーム15に直接当接して移動(回動)を阻止するように構成されているが、移動阻止部39とサイドフレーム15との間に、当接時に発生する異音を消すために、移動部材30の移動(回動)停止の安定を阻害しない程度の厚さを有するラバーなどの消音部材を取り付けることもでき、このように構成すると、安定した移動(回動)阻止ができるとともに、消音効果が期待できる。
常時において移動部材30は、サイドフレーム15(より詳細には、凸部15eの一部を切り欠いた部分)に当接し、引張りコイルばね35による上方向に加わる力を押し止め、移動部材30が前方に移動(回動)しすぎることがないように移動(回動)範囲を制限している。
そして、後面衝突時においては、慣性で乗員が後方に移動しようとすると、この荷重が受圧部材20と、受圧部材20に係止されたワイヤ22を介して、移動部材30を後方に移動(回動)させる方向に張力がかかる。このときの張力は、移動部材30を初期位置に留めている引張りコイルばね35を伸長させ、移動部材30を後方に移動(回動)させるのに十分な荷重となる。
移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値は、通常の着座荷重よりも大きな値に設定されている。
ここで、移動部材30が移動(回動)を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。
また、通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では移動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
上述のように、移動部材30を後方に移動(回動)させることで、移動部材30に掛着されているワイヤ22が後方に移動し、それと共にワイヤ22に係止されている受圧部材20と、受圧部材20に支持されているクッションパッド1aが後方に移動し、乗員をシートバックS1内に沈み込ませることができる。
移動部材30は、ワイヤ22を介して生じる張力に対し、上述したような移動(回動)特性を有しているために、後面衝突が生じた場合は確実に、且つ効率よく乗員をシートバックS1のクッションパッドに沈み込ませることができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置はシートバックS1に対して相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と乗員の頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減することができる。
上記実施形態では、移動部材30を左右両側のサイドフレーム15に設けた例を示しているが、一方のサイドフレーム15のみに設ける構成としてもよい。この場合には、移動部材30が設けられていない側のサイドフレーム15には、ワイヤ21,22を直接係止するように構成することができる。
<<下部フレームの構成>>
シートバックフレーム1の下部フレームは、下部フレーム基礎部17及び下部フレーム架設部18によって構成されている。下部フレーム架設部18(メンバーセンター)は、左右方向に離間して配設された一対の下部フレーム基礎部17を連結するように形成され、下部フレーム基礎部17に対して当接して配設されている。すなわち、下部フレーム架設部18は、所定方向(具体的には、左右方向)に延出した第1延出部に相当する。
下部フレーム基礎部17は、サイドフレーム15の側板15aの下側に連結されている。この下部フレーム基礎部17は、側板15aの下方を延長するように形成されており、着座フレーム2との関係で、支障のない範囲で延長されている。下部フレーム基礎部17は、図4に示すように、サイドフレーム15の側板15aに接合される側方板17aと、側方板17aの後端部から略垂直に、サイドフレーム15の内側に向かって折曲して形成された中間板17bとにより形成されている。側方板17aの下方には、リクライニングシャフト11aが挿通されるシャフト挿通孔17cが形成されており、側方板17aの下方には着座フレーム2がリクライニング機構11を介して配設されている。
下部フレーム基礎部17の中間板17bには、前述の下部フレーム架設部18が、その一部(側方端部)が下部フレーム基礎部17の中間板17bに重ねられた状態で、当該中間板17bに接合されている。つまり、下部フレーム基礎部17は、第1延出部としての下部フレーム架設部18と一部が重なっている第2延出部に相当する。このように、下部フレーム架設部18の側方端部が側方板17aに対して当接するように形成されていると、側方荷重に対して剛性が向上するようになる。なお、本実施形態において下部フレーム架設部18は中間板17bの前方に配設されているが、中間板17bの後方に配設されていてもよい。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と下部フレーム基礎部17とが別部材で形成されているが、一体の板状フレーム等で形成してもよい。また、下部フレーム基礎部17と下部フレーム架設部18はそれぞれ別部材として形成された例を示すが、一体に形成された構成としてもよい。
本発明の車両用シートSでは、シートバックフレーム1に、衝撃荷重が加わったときに変形する脆弱部(以下で説明する孔部17k、内方脆弱部17e、側方脆弱部17m)が形成されており、さらに、脆弱部の変形量を規制するための部材(以下で説明する規制部材40)がシートバックフレーム1に取り付けられている。以下では、特に下部フレームを構成する下部フレーム基礎部17において脆弱部及び規制部が形成された構成を説明する。なお、本明細書中において、「脆弱部」とは、後面衝突時等の所定以上の大きさの衝撃荷重が加わった際に選択的に変形する脆弱性を備えた部分を示すものであり、穴部、凹部等により形成されたものである。
(下部フレーム基礎部17の構成)
下部フレーム基礎部17は、前述したように、上下方向(前後方向)に延びる側方板17aと、側方板17aから左右方向の内側に向かって延出する中間板17bとを備えている。そして、下部フレーム基礎部17は、図4に示すように、脆弱部として、側方板17aと中間板17bとを連結する連結部17x上に形成される第1の脆弱部としての孔部17kと、孔部17kと隣接され、中間板17b上に形成される第2の脆弱部としての内方脆弱部17eとを有している。すなわち、本実施形態の脆弱部は、シートバックフレーム1において内方脆弱部17eと隣接する位置に形成された孔部17kを有することになる。
さらに、下部フレーム基礎部17においては、孔部17kと連結され、側方板17a上に形成される第3の脆弱部としての側方脆弱部17mが形成されている。そして、本実施形態に関して、以下の説明では、下部フレーム基礎部17に脆弱部(孔部17k、内方脆弱部17e、側方脆弱部17m)が形成された例を示す。
下部フレーム基礎部17は、サイドフレーム15の側板15aに接合される側方板17aと、側方板17aの後端部から略垂直に、サイドフレーム15の内側に向かって折曲して形成された中間板17bとにより形成されている。側方板17aの下方には、リクライニングシャフト11aが挿通されるシャフト挿通孔17cが形成されており、側方板17aの下方には着座フレーム2がリクライニング機構11を介して配設されている。
また、側方板17aにおいて、シャフト挿通孔17cの上方には、下部フレーム基礎部17をサイドフレーム15に取り付けるための取付け孔17dが複数形成されている。サイドフレーム15の下方には、側方板17aが重ねられた際に、取付け孔17dと整合する位置において孔が設けられており、このサイドフレーム15に形成された孔と下部フレーム基礎部17の取付け孔17dとを貫通するようにボルト等の接合手段が貫通され、サイドフレーム15と下部フレーム基礎部17とが接合される。なお、複数形成された取付け孔17dはすべてサイドフレーム15に対して固定されている必要はなく、また、サイドフレーム15以外の部材が取り付けられる構成としてもよい。
そして、側方板17aまたは中間板17bのうち、少なくとも一方には、孔部17kと連結された脆弱部(すなわち、内方脆弱部17e、側方脆弱部17m)を有する。なお、本実施形態では、図4、図5等に示すように、側方板17a及び中間板17bの両方において脆弱部(内方脆弱部17e、側方脆弱部17m)を備えた構成を示す。
なお、本発明において、脆弱部(すなわち、孔部17k、内方脆弱部17e、側方脆弱部17m)は、リクライニング機構11とサイドフレーム15との間(より詳細には、シャフト挿通孔17cと取り付け孔17dとの間)に形成されている。すなわち、各脆弱部は、リクライニング機構11よりも上方に形成されている。このような構成とすることにより、シートバックフレーム1の下方がリクライニング機構11によって固定されるため、脆弱部よりも上方のシートバックフレーム1を後傾させやすくなる。
さらに、各脆弱部が着座フレーム2とサイドフレーム15との間に形成されているため、衝撃荷重が加わった際、各脆弱部の変形が着座フレーム2やサイドフレーム15により妨げられることがなく、効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる。
中間板17bには、後面衝突時の衝撃エネルギーを効率良く吸収するため、所定以上の衝撃荷重に対して可撓性を備えた内方脆弱部17eが形成されている。内方脆弱部17eは、断面略半円弧状で、前方へ凹んだ凹部により形成されており、一対のサイドフレーム15の内側に向かって延在するように形成されている。換言すると、内方脆弱部17eは、左右方向、すなわちシート幅方向に沿う溝状に形成され、サイドフレーム15の内側に向かって窪んだ凹部である。
後面衝突時等、乗員が急激に後方へ移動する際、その衝撃荷重を受けることにより、内方脆弱部17eが上下方向に押しつぶされることにより、下部フレーム基礎部17が折曲するように変形し、この変形に伴い、シートバックフレーム1が後傾する。したがって、内方脆弱部17eは、下部フレームを構成する部材の中でも、特にサイドフレーム15の下方に備えられる下部フレーム基礎部17に形成されていると好適である。なお、後面衝突時の衝撃エネルギーを吸収するため、下部フレーム基礎部17を十分に折曲させることができれば、内方脆弱部17eは、後方に凹むように凹設された構成としてもよい。さらに、通常の着座荷重に耐えられる強度を備えていれば、内方脆弱部17eを変形しやすくするため、内方脆弱部17eを構成する部分の板厚のみを薄く形成してもよい。
下部フレーム基礎部17の中間板17bに形成された内方脆弱部17eは、下部フレーム(より詳細には、下部フレーム架設部18)の長手方向(シート幅方向)に沿って延在する水平な部分(水平部17f)と、水平部17fの長手方向の一端側に形成された屈曲部17gと、屈曲部17gから斜め上方に傾斜して延在する傾斜部17hとを備えている。
そして、内方脆弱部17eを構成する水平部17fは、その長手方向において屈曲部17gと対向する側の端部において、内方脆弱部17e(より詳細には、水平部17f)の一部が切り欠かれている。この切り欠かれた部分が孔部17kであり、孔部17kと内方脆弱部17eとは、互いに隣接(連続)するように形成されている。このように、内方脆弱部17eと孔部17kとが隣接(連続)するように形成されているため、後面衝突時等の衝撃荷重が下部フレーム基礎部17に加わった際、以下において説明するように、孔部17kを起点として下部フレーム基礎部17の内方脆弱部17eが変形することにより、衝撃エネルギーを吸収する。
なお、本実施形態の第1の脆弱部として、孔部17kを示したが、第1の脆弱部は必ずしも穴によって形成されていなくてもよい。第1の脆弱部は、第2の脆弱部である内方脆弱部17e、第3の脆弱部である側方脆弱部17mよりも小さい衝撃荷重により変形するように形成されていればよく、例えば、内方脆弱部17e、側方脆弱部17mよりも板厚が薄く形成された構成や、深く凹んだ凹部によって形成された構成としてもよい。また、本実施形態では、第1脆弱部と第2脆弱部とが隣接(連続)するように形成されているが、これに限定されず、第1脆弱部と第2脆弱部とが隙間を隔てて(非連続の状態で)並んだ構成であってもよい。
水平部17fは、後面衝突等、シートバックフレーム1に対して所定の衝撃荷重(通常の着座時以上の大きな衝撃荷重)が加わった際に、撓むことができ、上下方向に潰れるように変形する(図6参照)。その結果、後傾荷重を安定して効率よく吸収することができる。また、水平部17fはシート幅方向、すなわち下部フレーム架設部18の長手方向に沿って延設されているため、左右方向の荷重が加わった場合であっても、その稜線部分で荷重を受け止めることが可能であり、下部フレーム基礎部17のシート幅方向の荷重に対する剛性が極めて向上する。
図4に示すように、水平部17fは、中間板17bと側方板17aの境界部分、すなわち孔部17kが形成された部分まで延設されている。換言すると、中間板17bと側方板17aの境界部分、すなわち連結部17xにおいて孔部17kが形成されている。この孔部17kは、脆弱部(内方脆弱部17e及び後述の側方脆弱部17m)よりも小さい衝撃荷重により変形するように形成されている。
下部フレーム基礎部17は、側方板17aの後端部からシート方向内側に向かって中間板17bが折り曲げられて形成されており、この折曲部(連結部17x)によって上下方向の荷重に対する剛性を備えている。したがって、衝撃荷重の大きさに依存して、下部フレーム基礎部17が上下方向において変形しにくくなり、衝撃エネルギーを効率よく吸収することが難しい場合がある。しかし、孔部17kが中間板17bと側方板17aとの境界部分(連結部17x)に形成されており、後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、孔部17kが脆弱部(内方脆弱部17e及び後述の側方脆弱部17m)と比較して変形しやすく形成されているため、初めに孔部17kが上下方向に潰れるように変形することができる。その結果、下部フレーム基礎部17の上方が後傾するように変形するため、効率よく後傾荷重のエネルギーを吸収することが可能である。
衝撃荷重に対して、孔部17kを脆弱部(内方脆弱部17e及び後述の側方脆弱部17m)よりも変形しやすくするために、例えば、孔部17kの幅(高さ方向の大きさ)は、少なくとも水平部17fまたは側方脆弱部17mの短手方向(上下方向)の幅と同等、或いはそれよりも若干大きく形成するとよい。孔部17kの高さ方向の大きさを水平部17fの上下方向の幅と同等、或いはそれよりも大きく形成することにより、後面衝突時等の衝撃荷重がかかった際、水平部17fよりも先に孔部17kが変形しやすくなるため、孔部17kを起点として、内方脆弱部17eを変形させることができる。
内方脆弱部17eは、下部フレーム架設部18と重ならない位置であって、下部フレーム架設部18よりも上方に形成されていると好ましい。このように、内方脆弱部17eを下部フレーム架設部18と重ならない位置に設けた構成とすると、後傾する方向の荷重がシートバックフレーム1に加わった際に、内方脆弱部17eの変形が下部フレーム架設部18により妨げられることがないため好適である。
また、内方脆弱部17eは、上記のように、水平部17fから屈曲部17gを介して延設された傾斜部17hを備えており、傾斜部17hは、中間板17bの側方板17a,17a(一対の下部フレーム基礎部17,17に備えられた側方板17a,17a)に挟まれた部分の上下方向端部まで延設されている。換言すると、傾斜部17hは、左右方向においてシート内側に備えられる中間板17bの上端部または下端部まで延設されている。
本実施形態では、傾斜部17hがシート内側に向かうに従って上方に傾斜するように屈曲され、中間板17bの傾斜した上端部まで延設された構成を示している。
このように、内方脆弱部17eを水平部17fのみからなる水平な直線状に延設した構成とするのではなく、屈曲部17gを備え、略水平方向以外の方向、すなわち斜め方向に延設された部分(傾斜部17h)を備えた構成とすることにより、屈曲部17g及び傾斜部17h周辺において、下部フレーム基礎部17の剛性が向上する。したがって、後面衝突等によりシートバックフレーム1が後傾して変形する荷重が加わった場合、水平部17fが特に変形しやすくなり、効率よく衝撃エネルギーを吸収させることができる。
また、傾斜部17hを中間板17bの上端まで延設することにより、内方脆弱部17eを全体として屈曲させやすくなる。
また、傾斜部17hは、水平部17fに対して略垂直に形成されていてもよいが、水平部17fに対して傾斜して形成されていると好ましい。すなわち、水平部17fに対して、傾斜部17hは、鋭角又は鈍角を成す構成であると好ましい。水平部17fに対して、傾斜部17hを略垂直に形成すると、シートバックフレーム1に対して後傾する荷重が加わった際に、傾斜部17hによって中間板17bの後傾荷重に対する剛性が向上し、水平部17fは後傾荷重により変形しにくくなる。一方、水平部17fに対して傾斜部17hが鋭角又は鈍角を成す構成とすると、適度に中間板17bが変形し、水平部17fを屈曲させることができる。
水平部17fは、屈曲部17g及び傾斜部17hが形成された側の端部とは対向する側の端部において、孔部17kが形成されている。したがって、水平部17fの中でも屈曲部17g及び傾斜部17hから最も遠い位置(すなわち、剛性が比較的高くなく、撓み変形しやすい位置)に孔部17kが形成されるため、衝撃荷重が加わった際に孔部17kが変形しやすくなり、それに伴って水平部17fを変形させて衝撃エネルギーを吸収させることができる。
また、屈曲部17gの屈曲方向の反対側(図3及び図4において下方)には、膨出した部品取付部としてのハーネス取付部17iが形成されている。このとき、ハーネス取付部17iは、内方脆弱部17eの膨出方向と反対側に膨出するように形成されている。すなわち、屈曲部17gの下方には、後方に膨出するように、ハーネス取付部17iが形成されている。このように、中間板17bにおいて、内方脆弱部17eの屈曲部17gが屈曲する方向と反対側(すなわち、水平部17fと傾斜部17hによって形成される鈍角側)にハーネス取付部17iを形成することにより、中間板17b上に凹凸形状が複数形成され、荷重に対する下部フレーム基礎部17の剛性(特に、屈曲部17g近傍の剛性)が向上する。その結果、後面衝突時等の衝撃荷重が加わった際、内方脆弱部17e以外の箇所を屈曲させることなく、内方脆弱部17eの水平部17f、屈曲部17g、傾斜部17hが屈曲して衝撃エネルギーを吸収することができる。
なお、後面衝突時の衝撃荷重によりサイドフレーム15を特に後傾させやすくするため、中間板17bの上方よりも下方において剛性を向上させる目的から、ハーネス取付部17iは、屈曲部17gの上方ではなく、下方に設けると好適である。
さらに中間板17bには、取付け孔17jが複数形成されている。取付け孔17jは、その他の部材(アクチュエーター等)をシートフレームFに対して取り付ける際にボルト等の接合手段が挿通される。
このように、ハーネス取付部17iや取付け孔17jを中間板17bに設けることにより、他部材の取付けに関し、省スペース化することができ、さらに部品点数を削減することができるという効果も奏する。
さらに、脆弱部は、側方板17aに形成されると共に着座フレーム2(より詳細には、着座フレーム2に備えられるサイドフレーム)とサイドフレーム15との間に形成される側方脆弱部17mを有している。すなわち、着座フレーム2とサイドフレーム15との間に配設される下部フレーム基礎部17は、側方板17aにおいて、側方脆弱部17mを備えている。側方脆弱部17mは、中間板17b上に形成された内方脆弱部17eと同じ高さ位置で形成されており、側方板17aと中間板17bとの境界部分に形成された孔部17kから前方側へ水平方向に延設されている。そして、側方板17a上において、孔部17kから延設された側方脆弱部17mは、側方板17aの前後方向において中央部まで延設されている。
側方脆弱部17mは、内方脆弱部17eと同様に、断面略半円弧状で、サイドフレーム15の左右方向(シート幅方向)外側に向かって内側から凹むように凹設されている。そして、側方脆弱部17mは、後方から前方に向かって直線状に延在するように形成されている。換言すると、側方脆弱部17mは、前後方向に沿って延在し、サイドフレーム15の下方に形成された凹部である。そして、上記の孔部17kと、内方脆弱部17eと、側方脆弱部17mとは、全て同一高さに形成されている。このように、三つの脆弱部(孔部17k、内方脆弱部17e、側方脆弱部17m)が同じ高さに形成されることにより、シートバックフレーム1を特に安定して後傾(変形)させることができ、効率よく衝撃エネルギーを吸収させることができる。
また、側方脆弱部17mの幅(高さ方向の長さ)は、少なくとも内方脆弱部17eを構成する水平部17fの短手方向(上下方向)の幅よりも小さく形成するとよい。側方脆弱部17mの高さ方向の長さを水平部17fの短手方向(上下方向)の幅よりも小さく形成することにより、後面衝突時等の衝撃荷重がかかった際、水平部17fよりも先に側方脆弱部17mが変形しやすくなるため、上記のように、孔部17kが衝撃荷重によって変形するのに伴い、側方脆弱部17mが上下方向に潰れるように変形する。このように、衝撃荷重が加わった際、下部フレーム基礎部17の側方板17aが、上下方向に撓み変形する結果、内方脆弱部17eがさらに変形しやすくなるため、衝撃エネルギーを確実に安定して吸収させることができる。また、本実施形態において、側方脆弱部17mは、直線状に形成された例を示したが、内方脆弱部17eのように、屈曲した形状としてもよい。
上記の内方脆弱部17e及び側方脆弱部17mは、下部フレーム基礎部17に対してプレス加工等を行うことにより形成される。また、孔部17kは、下部フレーム基礎部17上に内方脆弱部17e及び側方脆弱部17mを形成した後に切削して形成してもよいし、予め孔部17kを形成した後、内方脆弱部17e及び側方脆弱部17mを形成してもよい。
(規制部材40の構成)
内方脆弱部17eが設けられた中間板17bの後面には、脆弱部(特に内方脆弱部17e)の変形量を規制する規制部材40が備えられている。つまり、後面衝突時等の衝撃荷重がシートバックフレーム1に加わった際、内方脆弱部17eが上下方向に潰れるようにして中間板17bが後方へ屈曲するが、図6に示すように、規制部材40が、内方脆弱部17eの潰れる量(すなわち、中間板17bやシートバックフレーム1の後傾角度)が一定値以上に大きくならないように規制する。
本実施形態に係る規制部材40は、シートバックフレーム1とは別体をなし、内方脆弱部17eを介して対向する第1対向部41及び第2対向部42を構成要素として備えている。ここで、さらに、各対向部(第1対向部41、第2対向部42)の材質については、金属であってもよく、プラスチック等の樹脂材料であってもよい。また、図5及び図6に示すように、各対向部(第1対向部41、第2対向部42)を中空体とすると、車両用シートSを軽量化することができるため好ましいが、対向部の強度を十分に確保するため、中実体であってもよい。
また、規制部材40は、内方脆弱部17eの近傍のみに備えられた例を示したが、他の脆弱部(孔部17k、側方脆弱部17m)の近傍に備えられていてもよい。このとき、孔部17k、内方脆弱部17e、側方脆弱部17mのうち、少なくとも一つが規制部材40に挟まれる位置に配設されていればよい。
そして、規制部材40は、内方脆弱部17eの変形量が所定量に達した際に第1対向部41と第2対向部とが当接し合うことにより、内方脆弱部17eの変形量を規制する。具体的に説明すると、第1対向部41及び第2対向部42は、上下方向に並んで内方脆弱部17eを挟むように対向した状態で、中間板17b上に取り付けられている。特に、本実施形態において、第1対向部41及び第2対向部42は、内方脆弱部17eの、孔部17k側の端部を挟んだ状態で取り付けられている。このように内方脆弱部17eを介して対向して備えられた一対の対向部(第1対向部41及び第2対向部42)は、内方脆弱部17eの屈曲が大きくなると、対向部同士(第1対向部41、第2対向部42)が接触し、下方に備えられた第2対向部42が上方に備えられた第1対向部41を押し止めるように配設される。
より詳しく説明すると、第1対向部41、第2対向部42には、それぞれ、内方脆弱部17eを挟む位置において対向して配設される規制面41a,42aが備えられている。そして、一方の対向部に、他方の対向部の規制面41a、42aが当接することにより、内方脆弱部17eが屈曲する際に一定量以上屈曲しないように規制される。このような規制を実現するためには、例えば、図5に示すように、第1対向部41、第2対向部42が、正面視で矩形状、側面視で略台形状の外形形状となっていればよい。また、規制面41a,42aは、その面積が大きいほど、内方脆弱部17eの屈曲時、対向部同士(第1対向部41、第2対向部42)が接触しやすくなるため、シートバックフレーム1の変形量(後傾量)をより確実に規制することができる。なお、軽量化のため、各規制面41a,42aには、図4に示すように孔が設けられていてもよい。
さらに、本実施形態では、上記二つの規制面41a,42a間の距離が、内方脆弱部17eの高さ方向の幅(すなわち、第1対向部41、第2対向部42によって挟まれる方向の幅)よりも小さく形成されている。具体的には、上方に備えられる第1対向部41の下端部(すなわち、規制面41a)が、内方脆弱部17e(より詳細には、水平部17f)の上端部よりも下方に配設されている。一方、下方に備えられる第2対向部42の上端部(すなわち、規制面42a)が、内方脆弱部17e(より詳細には、水平部17f)の下端部よりも上方または略同じ高さに配設されている。なお、図5において、下方に備えられる第2対向部42の規制面42aは、内方脆弱部17eの下端部と略同じ高さに配設された状態を図示している。
すなわち、対向する一対の対向部(第1対向部41、第2対向部42)間の距離は、一対の対向部が並ぶ方向における内方脆弱部17eの幅(開口幅)よりも小さく形成されている。さらに換言すると、図5において、対向する規制面41a,42a間の距離αと、内方脆弱部17eの上下方向の幅βは、α<βとなるように形成されている。このような構成とすることにより、内方脆弱部17eが上下方向に屈曲した場合、図6のように、内方脆弱部17eの上下方向に配設された対向部同士(第1対向部41、第2対向部42)が接触し易くなり、一定の位置で内方脆弱部17eの変形を押し止めるようにすることができる。
また、本実施形態においては、第1対向部41、第2対向部42のいずれにおいても平面状の規制面41a,42aが形成された例を図示しているが、少なくとも一方において、規制面41a(または規制面42a)が平面状に形成されているとよい。すなわち、第1対向部41及び第2対向部42のうち少なくとも一方に備えられた規制面41a(または規制面42a)は、平面状に形成されている。このように、第1対向部41または第2対向部42のうち、少なくとも一方の規制面41a、42aを平面状とすることにより、内方脆弱部17eが屈曲した際、対向部同士(第1対向部41、第2対向部42)が接触しやすくなる。その結果、内方脆弱部17eの屈曲量が制限され、シートバックフレーム1の変形量が規定値よりも大きくなることがない。
さらに、上記の構成(規制面41a,42aが平面状に形成されている構成)では、図6に示すように、衝撃荷重が加わることにより内方脆弱部17eが変形し、第1対向部41が第2対向部42に当接する際、第1対向部41が平面状に形成された規制面42aに当接するようになる。すなわち、内方脆弱部17eの変形時、第1対向部41が当接する第2対向部42の規制面42aは、少なくとも第1対向部41の後方側(すなわち、内方脆弱部17eが形成された側とは反対側)の縁端よりもさらに後方(内方脆弱部17eとは反対側)まで延設されている。このような構成とすることにより、第1対向部41が平面状に形成された規制面42aに対して強固に当接するため、第1対向部41が第2対向部42に対して滑ってずれてしまうことが抑制され、より安定して内方脆弱部17eの変形を押し止めることができる。
上記の作用を実現できる構成とするためには、例えば、衝撃エネルギーが加わる前の状態(通常状態)において、第2対向部42の規制面42aの後方側(内方脆弱部17eとは反対側)縁端部を、第1対向部41の規制面41aの後方側(内方脆弱部17eとは反対側)縁端部よりも後方(内方脆弱部17eとは反対側)となるように形成されているとよい。
さらに、第1対向部41の規制面41aの左右方向の幅が、第2対向部42の規制面42aの左右方向の幅と異なるように形成されていることとしてもよい。つまり、下方に配設される第2対向部42の規制面42aの幅の方がより大きく形成されていることとしてもよい。このように、第1対向部41及び第2対向部42のうち、一方を他方よりも幅広に形成することにより、衝撃荷重が加わった際、例えばシートバックフレーム1がねじれ変形した場合であっても、第1対向部41及び第2対向部42が当接しやすくなる。つまり、一方を幅広に形成しておくことにより、複雑な入力荷重に起因してシートバックフレーム1がねじれるように後方へ傾倒した場合であっても、第1対向部41と第2対向部42とが接触するため、シートバックフレーム1の変形量を容易に制御することができる。
(下部フレーム基礎部17の作用効果)
後面衝突時の衝撃荷重が加わった際に下部フレーム基礎部17が変形する様子について、図7、図8を参照して、以下説明する。
図7は、後面衝突時の衝撃荷重が下部フレーム基礎部17にかかった直後の様子である。このとき、シートバックフレーム1に対して、主として後傾する方向の荷重が加わるが、サイドフレーム15の下方、すなわち下部フレーム基礎部17に最も大きな荷重が加わる。
そして、下部フレーム基礎部17に荷重が伝達されると、孔部17kを起点として、側方板17aに形成された側方脆弱部17mが上下方向に押しつぶされた形状に変形し、側方板17aがシート幅方向外側に広がるように変形する。このように、孔部17kを備え、さらに側方脆弱部17mを側方板17aに設けることにより、孔部17kを備えていない場合と比較して、側方板17aをシート幅方向外側に広がり易くすることができる。
上記のように、側方板17aがシート幅方向外側に広がるように変形した後、中間板17bに形成された内方脆弱部17e(より詳細には、水平部17f)が上下方向に押しつぶされるように変形し(図5、図6参照)、その結果、下部フレーム基礎部17の上方に備えられたサイドフレーム15が後傾し、シートバックフレーム1が変形する。
このように、下部フレーム基礎部17において、内方脆弱部17e及び孔部17kだけでなく、側方脆弱部17mをさらに備えることにより、孔部17kを起点として下部フレーム基礎部17を段階的に変形し易くし、効率よく衝撃エネルギーを吸収させることができる。後面衝突時等は、シートバックフレーム1に対し複雑な入力荷重が加わるが、上記構成を備えることにより、特定の箇所(詳細には、内方脆弱部17eの水平部17f)を安定して変形させることができる。その結果、後面衝突時の衝撃エネルギーを下部フレーム基礎部17において効率よく吸収することが可能である。
そして、上記のように内方脆弱部17eが屈曲する際、中間板17bに備えられた規制部材40により、内方脆弱部17eの屈曲量が大きくなりすぎることがないように規制される。つまり、後面衝突時の衝撃荷重が加わった際、内方脆弱部17eが上下方向に押しつぶされるように屈曲してサイドフレーム15(さらには、シートバックフレーム1)が後傾するが、内方脆弱部17eが一定の範囲まで屈曲すると、規制部材40に備えられた一対の対向部同士(第1対向部41及び第2対向部42)が互いに接触し、内方脆弱部17eの屈曲量を規制する。したがって、規制部材40を備えることにより、シートバックフレーム1の後傾量が大きくなりすぎることなく、後傾量を適当な大きさに設定することができる。
さらに、移動部材30に連結された受圧部材20を備えることにより、車両用シートSは、後面衝突時等において、乗員を十分にシートバックS1に沈み込ませることができる。そして、下部フレーム(より詳細には、下部フレーム基礎部17)の内方脆弱部17eにおいて屈曲部17g及び傾斜部17hが形成されているため、中間板17bは適度な剛性を有している。したがって、受圧部材20をサイドフレーム15、上部フレーム16に対して乗員の身体を相対的に沈み込ませ易くなるため、後面衝突等による衝撃エネルギーを効率よくシートバックフレーム1へ伝達し、吸収させることが可能である。
その結果、下部フレーム基礎部17に形成された内方脆弱部17eや側方脆弱部17mを変形させ、さらに効率よく衝撃エネルギーを吸収することができる。
(規制部材40の取り付けについて)
本実施形態では、第1対向部41及び第2対向部42が下部フレーム基礎部17の中間板17bに対して着脱可能となっており、図9に示すように、締結部材Tによって当該中間板17bの所定位置に取り付けられる。すなわち、本実施形態に係る規制部材40は、シートバックフレーム1に対して着脱可能であり、締結部材Tによってシートバックフレーム1に取り付けられる。締結部材Tは、ネジ、ビス、ボルト等、規制部材40(具体的には、第1対向部41及び第2対向部42)をシートバックフレーム1に取り付けるための部材である。
このように、規制部材40がシートバックフレーム1に対して着脱可能であれば、車両用シートSの設計変更等に合わせて規制部材40を任意で取り外すことができる。また、締結部材Tによってシートバックフレーム1に取り付ける場合には、取り付けが比較的容易になる。さらに、第1対向部41及び第2対向部42を取り付けるために締結部材Tを用いる構成では、第1対向部41及び第2対向部42側には、締結部材Tを保持(セット)するための保持部41b,42bが形成されることになり、この保持部41b,42bの形成によって、第1対向部41、第2対向部42の剛性が向上することにできる。
なお、本実施形態では、規制部材40(具体的には、第1対向部41及び第2対向部42)を取り付けるために締結部材Tを用いる構成について説明したが、規制部材40がシートバックフレーム1に対して着脱可能であり、規制部材40をシートバックフレーム1に取り付けるための取り付け部材である限り、締結部材T以外の部材を用いることとしてもよい。ここで、締結部材T以外の取り付け部材には、スナップフィット機構、接着剤、溶接材料が含まれる。
ところで、本実施形態では、シートバックフレーム1における規制部材40の取り付け位置が、脆弱部(孔部17k及び内方脆弱部17e)の変形に影響を及ぼさないように適宜な位置に設定されている。以下では、シートバックフレーム1における規制部材40の取り付け位置、特に、シートバックフレーム1において締結部材Tが設置される位置(換言すると、シートバックフレーム1において締結部材Tが規制部材40を締結する位置)について詳しく説明する。
第1対向部41及び第2対向部42は、図10に示すように、それぞれ規制面41a、42aが位置する側とは反対側に2つの保持部41b、42bを備えている。そして、第1対向部41及び第2対向部42は、前述したように、内方脆弱部17eの、孔部17k側の端部を挟んだ状態で、シートバックフレーム1(具体的には、下部フレーム基礎部17の中間板17b)に取り付けられる。この際、第1対向部41及び第2対向部42は、保持部41b、42bが脆弱部(孔部17k及び内方脆弱部17e)の形成位置から外れた位置に位置するように取り付けられる。つまり、本実施形態では、シートバックフレーム1において締結部材Tが設置される位置が脆弱部の形成位置からずれていることになる。
以上のように、締結部材Tが設置される位置が脆弱部の形成位置からずれていることにより、後面衝突時等において衝撃荷重が加わった際に、脆弱部は、締結部材Tの影響を受けずにスムーズに変形することが可能である。換言すると、締結部材Tの存在が脆弱部の変形に対して及ぼし得る影響を軽減することが可能となる。
より具体的に説明すると、第1対向部41及び第2対向部42の各々に2つずつ備えられた保持部41b、42bのうち、一方の保持部41bは、規制面41a、42aとは反対側の表面から延出している。そして、上記一方の保持部41bは、図10に示すように、規制部材40がシートバックフレーム1に取り付けられる際に、上下方向において内方脆弱部17eが位置する側とは反対側に位置するようになる。つまり、上記一方の保持部41bに保持される締結部材T(以下、一方の締結部材Tと呼ぶ。)は、規制部材40(第1対向部41及び第2対向部42の各々)の、内方脆弱部17eが位置する側とは反対側の部分をシートバックフレーム1に締結する第1締結部材に相当する。
以上のように、一方の締結部材Tによって規制部材40の、内方脆弱部17eが位置する側とは反対側の部分を締結する場合、内方脆弱部17eが位置する側と同じ側の部分を締結する場合と比較して、内方脆弱部17eの変形に対する影響をより軽減することが可能となる。換言すると、内方脆弱部17eの変形に対して支障を来すことなく、規制部材40をシートバックフレーム1に取り付けることが可能となる。
さらに、2つずつ備えられた保持部41b、42bのうち、もう一方の保持部41b(他方の保持部41b)は、第1対向部41や第2対向部42の側面から延出している。そして、上記他方の保持部41bは、図10に示すように、規制部材40がシートバックフレーム1に取り付けられる際に、左右方向において孔部17k(左右一対形成された孔部17kのうち、より近い側の孔部17k)側とは反対側に位置するようになる。つまり、上記他方の保持部41bに保持される締結部材T(以下、他方の締結部材Tと呼ぶ。)は、規制部材40(第1対向部41及び第2対向部42の各々)の、孔部17kが位置する側とは反対側の部分をシートバックフレーム1に締結する第2締結部材に相当する。ここで、孔部17kが位置する側とは反対側の部分とは、各対向部(第1対向部41、第2対向部42)の左右方向中央線(図10中、記号L1が付された仮想直線)から見て孔部17kが位置する側とは反対側の部分のことである。
以上のように、他方の締結部材Tによって規制部材40の、孔部17kが位置する側とは反対側の部分をシートバックフレーム1に締結する場合、孔部17kを変形起点としてシートバックフレーム1を変形させる際にスムーズな変形を実現し、もって、衝撃エネルギーを迅速に吸収することが可能になる。
より具体的に説明すると、脆弱部が内方脆弱部17eと孔部17kとを隣接させた状態で備えている場合、衝撃荷重が加わると、先ず、孔部17kが変形起点となって変形し、その後、変形が内方脆弱部17eに伝達されることにより、内方脆弱部17eが変形するようになる。かかる構成において、第1対向部41及び第2対向部42の各々の、孔部17kが位置する側とは反対側の部分を締結すれば、孔部17kが位置する側と同じ側の部分を締結する場合と比較して、孔部17kの変形に対して及ぼし得る影響を軽減することが可能になる。換言すると、孔部17kの変形に対して支障を来すことなく、規制部材40をシートバックフレーム1に取り付けることが可能となる。
なお、本実施形態において、他方の締結部材Tは、規制部材40のうち、孔部17kが位置する側とは反対側の部分であって、さらに、内方脆弱部17eが位置する側とは反対側の部分をシートバックフレーム1に締結することとしている。これにより、内方脆弱部17eの変形に対して及ぼし得る影響をより一層軽減することが可能になる。
以上までに説明してきたように、本実施形態では、締結部材Tの設置位置を脆弱部の形成位置から遠ざけた位置に設定することにより、脆弱部の変形に対して及ぼし得る影響を極力少なくしている。なお、規制部材40のシートバックフレーム1への取り付けについては、下記の構成を追加することにより、更に簡易的に、かつ、適切に実行することが可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1対向部41及び第2対向部42が離間した状態で内方脆弱部17eを挟む位置に配設される例について説明したが、図11に示すように、対向部同士(第1対向部41、第2対向部42)が連結部43により連結された状態で配設されることとしてもよい。ここで、連結部43は、第1対向部41の規制面41aと第2対向部42の規制面42aとの間に配置された、可撓性を有する板状部材である。すなわち、連結部43は、対向部間の位置関係を規定するものであり、規制部材40がシートバックフレーム1に取り付けられると(つまり、第1対向部41及び第2対向部42が内方脆弱部17eの一部を挟み込む位置に配設されると)、図11に示すように、連結部43が内方脆弱部17eと対向するようになる。
このように、連結部43によって第1対向部41と第2対向部42との間が連結されていることにより、規制部材40(具体的には、第1対向部41及び第2対向部42)を取り付けるにあたり、対向部間の位置関係が予め決まっていることになる。ゆえに、第1対向部41及び第2対向部42を個別に取り付ける場合と異なり、対向部間の位置関係を調整しながら各対向部(第1対向部41及び第2対向部42)を取り付ける必要がないので、その分、規制部材40の取り付けが容易になり、更には、組み付け性についても向上することとなる。
また、連結部43は、脆弱部(内方脆弱部17e)の屈曲変形に併せて屈曲変形することになる。かかる点を考慮し、連結部43を設ける構成において、締結部材Tにより規制部材40をシートバックフレーム1に取り付ける際には、規制部材40のうち、連結部43とは異なる部分をシートバックフレーム1に締結すると、好適である。具体的には、上記の実施形態と同様の位置に形成された保持部41b、42bに締結部材Tをセットすればよい。このように、規制部材40のうち、連結部43とは異なる部分がシートバックフレーム1に締結されることにより、連結部43の屈曲変形に及ぼし得る影響を軽減することが可能になり、この結果として、内方脆弱部17eの変形に対して及ぼし得る影響を軽減することも可能になる。すなわち、連結部43を備えた構成であっても内方脆弱部17eの変形に対して支障を来すことなく規制部材40を取り付けることが可能になる。
また、上記の実施形態では、締結部材Tが、第1対向部41及び第2対向部42を位置決めし、さらにシートバックフレーム1に締結している例について説明したが、図12に示すように、第1対向部41及び第2対向部42側に、位置決め用の部位が、締結部材Tとは別に形成されていることとしてもよい。
具体的に説明すると、シートバックフレーム1(具体的には、下部フレーム基礎部17の中間板17b)には、規制部材40をシートバックフレーム1に対して位置決めするために形成された位置決め部としての位置決め凹部17pが設けられている。一方、規制部材40には、規制部材40をシートバックフレーム1に対して位置決めする際に位置決め凹部17pに係合することが可能な係合部としての係合凸部44が設けられている。この係合凸部44は、第1対向部41及び第2対向部42の各々の側方に備えられ、第1対向部41及び第2対向部42の各々の底面(下部フレーム基礎部17の中間板17bとの接合面)よりも幾分突き出ている。
以上のような構成では、規制部材40をシートバックフレーム1に取り付けるに際して、先ず、規制部材40側の係合凸部44をシートバックフレーム1に形成された位置決め凹部17pに係合する。これにより、規制部材40がシートバックフレーム1に対して位置決めされるようになる。かかる位置決めの後、締結部材Tを用いて、規制部材40(より具体的には、第1対向部41及び第2対向部42)をシートバックフレーム1の所定位置に締結する。このように締結部材Tとは別に、規制部材40を位置決めするための部分が設けられているので、規制部材40を正確な取り付け位置に確実に、かつ、容易に取り付けることが可能になる。
なお、係合凸部44の形成箇所及び個数については、上記の構成(すなわち、図12に示す構成)に限定されるものではなく、規制部材40をシートバックフレーム1に取り付ける際に、脆弱部(孔部17k及び内方脆弱部17e)の形成位置から外れる限り、任意に設定することが可能である。また、上記の構成では、規制部材40に凸部(係合凸部44)を設け、シートバックフレーム1に凹部(位置決め凹部17p)を設けた構成としたが、かかる構成とは逆の構成、すなわち、シートバックフレーム1に凸部を設け、規制部材40に凹部を設けた構成であってもよい。
また、上記の実施形態では、内方脆弱部17eの変形量を規制するにあたり第1対向部41及び第2対向部42が当接し合い、その際には規制面41a、42aに直接接触することとした。ただし、これに限定されるものではなく、図13及び図14に示すように、規制面41a,42a間に衝撃吸収用の緩衝部45、46を配置し、第1対向部41及び第2対向部42の各々が緩衝部45、46を介して当接し合う構成であってもよい。
具体的に説明すると、規制部材40は、上下方向においてより上方側に第1対向部41を備え、より下方側に被当接部としての第2対向部42とを備えている。そして、規制部材40は、脆弱部(内方脆弱部17e)の変形量が所定量に達した際に、第1対向部41と第2対向部42とを当接することにより、脆弱部の変形量を規制することが可能である。ここで、第1対向部41は、規制部材本体に相当する。
また、規制部材40は、第1対向部41の下部を嵌め込んで第1対向部41に組み付けられる略箱状の緩衝部45を備えている。この緩衝部45は、第1対向部41に取り付けられ、規制部材40が脆弱部の変形量を規制するにあたって第1対向部41を介して第2対向部42に当接した際に生じる当接時荷重、を吸収する吸収部である。一方、同様の構成の緩衝部46が、第2対向部42の上部に取り付けられており、第1対向部41と第2対向部42との当接に伴う当接時荷重を吸収する。
第1対向部41及び第2対向部42の各々は、前述した保持部41b、42bを備え、各保持部41b、42bには、締結部材Tをセットするためのセット穴(不図示)が形成されている。一方、各緩衝部45、46には貫通穴45a,46aが形成されている。そして、第1対向部41に緩衝部45を組み付けると、図13に示すように、保持部41b側のセット穴と緩衝部45側の貫通穴45aとが重なるようになる。かかる状態で、締結部材Tをセットすると、第1対向部41と緩衝部45とが、共通の締結部材Tにより、シートバックフレーム1に締結される(取り付けられる)ことになる。換言すると、第1対向部41と緩衝部45とは、共通の締結部材Tによって共締めされることになる。同様に、第2対向部42に緩衝部46を組み付けると、保持部42b側のセット穴と緩衝部46側の貫通穴46aとが重なり、共通の締結部材Tによって第2対向部42と緩衝部46とがシートバックフレーム1に締結される。
以上のように、各対向部(第1対向部41、第2対向部42)と、それに対応する緩衝部45、46とを共通の締結部材Tによってシートバックフレーム1に締結すれば、各対向部41、42と緩衝部45、46とを個別に取り付ける場合(すなわち、対向部41、42用の締結部材Tとは別に緩衝部45、46用の取り付け部材を用意する場合)に比して、規制部材40の取り付け作業がより容易になり、部品点数を削減することも可能となる。
ところで、締結部材Tについては、シートバックフレーム1において剛性が比較的高い部分に設置されることが望ましい。ここで、シートバックフレーム1中には、下部フレーム基礎部17(具体的には、中間板17b)と、下部フレーム架設部18とが重なった部分(以下、重なり部分)が存在し、重なり部分の剛性は、他の部分の剛性よりも幾分高くなっている。そして、シートバックフレーム1のうち、比較的剛性の高い重なり部分に締結部材Tが設置されていることにより、規制部材40を適切にシートバックフレーム1に取り付けることができ、もって、規制部材40が脆弱部の変形量を適切に規制するようになる。
上記の実施形態では、シートバックフレーム1のうち、前述の重なり部分に、一部の締結部材T(具体的には、第2対向部42をシートバックフレーム1に締結するための締結部材T)のみが設置されている。ただし、上記の効果をより有効に奏する上で、図15に示すように、すべての締結部材T、すなわち、第1対向部41用の締結部材Tと、第2対向部42用の締結部材Tとが、いずれもシートバックフレーム1の重なり部分(図15中、ハッチングされた部分)に設置されていることが、より望ましい。このため、図15に示す例では、シートバックフレーム1の重なり部分に第1対向部41用の締結部材Tを設置するために、下部フレーム架設部18の上方位置(より具体的には、第1対向部41の上端部に掛かる位置)に、他の下部フレーム架設部118を配設している。そして、他の下部フレーム架設部118と下部フレーム基礎部17との重なり部分に、第1対向部41用の締結部材Tを設置することとしている。
また、上記の実施形態では、各対向部(第1対向部41及び第2対向部42の各々)の外形形状が正面視で矩形状であることとしたが、対向部の外形形状に制限はなく、例えば、図16に示すように、正面視で略等脚台形状であってもよい。図16に示す例において、各対向部(図16では、図示の簡略化のため、第1対向部41のみ図示している)の、脆弱部(内方脆弱部17e)側の端の幅が最も大きくなっていると、対向部同士(第1対向部41及び第2対向部42)が当接し易くなるので、好適である。さらに、図16に示す例において、締結部材Tの保持部41b、42bは、最大幅を有する端側よりも反対側(つまり、最小幅を有する端側)に近い方が望ましい。すなわち、図16に示す例では、第1対向部41及び第2対向部42の各々の、最小幅を有する端側の部分をシートバックフレーム1に締結する方が、好適である。