JP7283855B2 - アスパラギン酸を含有する炭酸アルコール飲料 - Google Patents
アスパラギン酸を含有する炭酸アルコール飲料 Download PDFInfo
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Description
しかしながら、高濃度のアスパラギン酸を経口で摂取する場合、高濃度のアスパラギン酸に起因する不快な後味が生じるとされており、特定の食物繊維によって不快な後味を改善することが提案されている(特許文献1)。
(1) アスパラギン酸の含有量が70~5100mg/Lであり、リモネンの含有量が4~110mg/Lである、炭酸アルコール飲料。
(2) アスパラギン酸の含有量が400~4000mg/Lである、(1)に記載の炭酸アルコール飲料。
(3) アルコール含有量が1.5~10v/v%である、(1)または(2)に記載の炭酸アルコール飲料。
(4) 柑橘果汁を含有する、(1)~(3)のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
(5) 前記柑橘果汁がレモン果汁を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
(6) アルギニンおよび/またはグルタミン酸をさらに含有する、(1)~(5)のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
(7) 1~1500mg/Lのアルギニンを含有する、(1)~(6)のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
(8) 50~1200mg/Lのアルギニンを含有する、(7)に記載の炭酸アルコール飲料。
(9) 10~800mg/Lのグルタミン酸を含有する、(1)~(8)のいずれかに記載の炭酸アルコール飲料。
(10) 25~700mg/Lのグルタミン酸を含有する、(9)に記載の炭酸アルコール飲料。
本発明に係る炭酸アルコール飲料は、70~5100mg/Lのアスパラギン酸を含有する。アスパラギン酸は、アミノ酸の1種であり、HOOCCH2CH(COOH)NH2という化学式を有する。また、アスパラギン酸は、エネルギー代謝に関与することが知られており、疲労回復や飲酒後の体の回復をサポートする働きが期待される。
本発明は炭酸アルコール飲料に関する。炭酸アルコール飲料とは、アルコール飲料であり、かつ、炭酸飲料であることを意味する。アルコール飲料とは、アルコールを含有する飲料のことであるが、ここでいうアルコールとは、特に断らない限り、エチルアルコール(エタノール)を意味する。
本発明に係る炭酸アルコール飲料は、4~110mg/Lのリモネンを含有する。上述したように、比較的多量のアスパラギン酸を飲料に配合すると、アスパラギン酸に起因する独特のエグ味が顕著になり、特に、炭酸およびアルコールを含有する炭酸アルコール飲料においては、この傾向が強くなってしまう。しかしながら、本発明においては、炭酸アルコール飲料に特定のリモネンを配合することによってアスパラギン酸に起因するエグ味を効率的にマスキングし、飲料の香味を改善することができる。本発明の炭酸アルコール飲料は4~110mg/Lのリモネンを含有するが、好ましくは5~100mg/L、より好ましくは6~80mg/L、さらに好ましくは10~60mg/Lのリモネンを含有する。
・分析前処理:Extrelut NT-1カラムにサンプルを充填し、エーテルで抽出
・分析装置:GC 6890N (Agilent Technologies)
・カラム:HP-ULTRA 2(内径0.32mm、長さ50m、膜厚0.52μm)
・キャリアガス:ヘリウム
・流量:2.2mL/分
・注入口:Splitless
・注入口温度:250℃
・オーブン温度:45℃(1.5分)から5℃/分で昇温して230℃(11.5分)
・検出器:FID
・検出器温度:260℃
・注入量:1.0μL
本発明の炭酸アルコール飲料は柑橘果汁を含有してもよい。柑橘類としては、ミカン科ミカン亜科ミカン連(カンキツ連)のミカン属(シトラス)、キンカン属、カラタチ属などに属する植物を挙げることができる。例えば、ミカン、シークヮーサー、ユズ、スダチ、ライム、レモン、カボス、オレンジ、グレープフルーツなどが好ましく、レモン、オレンジ、グレープフルーツが特に好ましい。柑橘果汁の配合量は特に制限されないが、ストレート果汁換算で0.01~30%とすることが好ましく、20%以下、10%以下、さらには5%以下としてもよい。果汁の種類も、果実を搾汁して得られる果汁をそのまま使用するストレート果汁、あるいは濃縮した濃縮果汁のいずれの形態であってもよい。また、混濁果汁であっても、透明果汁であってもよい。
果汁率(w/v%)=<果汁配合量(g)>×<濃縮倍率>/100mL×100
アルコール飲料中の果汁率の計算方法を、以下に例を挙げてさらに具体的に示す。まず、アルコール飲料中に含有させる果汁の濃縮倍率を求める。ここでいう「濃縮倍率」とは、果実を搾汁して得られるそのままの果汁(以下「ストレート果汁」という)を100%としたときの果汁の相対的濃縮倍率のことをいう。ストレート果汁の糖用屈折計示度あるいは酸度の値は、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)によって、各果実に固有の基準値が定められており、具体的には、下表に示すとおりである。従って、試料果汁の糖用屈折計示度あるいは酸度を測定し、その果実に固有の糖用屈折計示度あるいは酸度の基準値で割れば、果汁の濃縮倍率を求めることができる。例えば、JAS規格によればオレンジの基準Bxは11度であるから、Bx55度のオレンジ果汁は、5倍濃縮のオレンジ果汁となる。このような5倍濃縮オレンジ果汁を、アルコール飲料100mL中に2g配合した場合、このアルコール飲料における果汁率は、下式に基づいて10w/v%となる。
2g×5倍濃縮/100mLアルコール飲料×100=10w/v%
同様にして、例えば、酸度31.5%のレモン果汁の場合は、表2のレモンの基準酸度
4.5%から、7倍濃縮のレモン果汁であることが分かる。このような7倍濃縮レモン果
汁を、アルコール飲料100mL中に1g配合した場合、このアルコール飲料における果
汁率は7w/v%となる。
1g×7倍濃縮/100mLアルコール飲料×100=7w/v%
本発明のアルコール飲料には、アルギニンおよび/またはグルタミン酸を配合することができる。アルギニンやグルタミン酸を配合すると旨みが増してエグ味がマスキングされ、アルコール飲料の香味をより改善できる。
・分析機器
LC:島津製作所社製アミノ酸分析システム
オートサンプラー:SIL-30AC
・分析前処理
サンプル10mLをメンブランフィルター(孔径:0.2μm)で濾過
・分析条件
カラム:Triart C18(1.9μm、ワイエムシー社製)
移動相(グラジエント):(A液)20mmol/Lリン酸(カリウム)緩衝液(pH6.9)、(B液)アセトニトリル/メタノール/水(45/40/15)
流量:0.8ml/分
温度:35℃
検出:RF-20Axs(Ex350nm,Em450nm→Ex 255nm,Em305nm(9.0min)
セル温度:20℃
フローセル:コンベンショナルセル
注入量:1μl
(その他の成分)
本発明の飲料には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の飲料と同様、各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、酸味料、香料、ビタミン類、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、増粘剤、品質安定剤等を挙げることができる。
(容器詰飲料)
本発明のアルコール飲料は、通常の飲料と同様、瓶、缶、樽、またはペットボトル等の
密封容器に充填して、殺菌等の工程を経て容器入り飲料とすることができる。
一つの態様において、本発明は飲料の製造方法と理解することもできる。本発明の飲料はアスパラギン酸とリモネンを含む炭酸アルコール飲料であるが、本発明に係る飲料の製造方法は、アスパラギン酸とリモネンを配合する工程、炭酸ガスを含有させる工程を含むものである。容器詰飲料を製造する場合は、調製した飲料を容器に充填する工程を少なくとも備える。
また別の態様において本発明は、リモネンを配合することによる、アスパラギン酸を含有する炭酸アルコール飲料の呈味向上方法と理解することもできる。
下表に基づいて、アルコール濃度が5v/v%の炭酸アルコール飲料を製造した(液温20℃におけるガス圧:2.0kgf/cm2、pH:約3.3)。具体的には、アルコール(ニュートラルスピリッツ、アルコール度数:59v/v%)、果汁、果糖ぶどう糖液糖、酸味料(クエン酸)、アミノ酸(L-アスパラギン酸またはL-プロリン)を純水に順次添加し、そこに炭酸水を配合して炭酸アルコール飲料を調製した。本実験においては、飲料1Lあたり、果糖ぶどう糖液糖を40g、酸味料(クエン酸)を3g配合した。次いで、飲料を缶に充填した後に加熱殺菌して容器詰アルコール飲料を製造した。
・レモン果汁(7倍濃縮果汁)
・ぶどう果汁(6倍濃縮果汁)
・もも果汁(8倍濃縮果汁)
・トマト果汁(ストレート果汁)
・赤ワイン(アルコール度数:12.5v/v%、酸化防止剤無添加)
得られた炭酸アルコール飲料の香味を、評点法による官能試験によって、5段階で評価した。具体的には、良く訓練された官能評価者が、各評価項目について、下記の基準に基づいて評価した。
「エグ味」
・5点:エグ味をとても感じる
・4点:エグ味を感じる
・3点:エグ味をやや感じる
・2点:エグ味をわずかに感じる
・1点:エグ味を感じない
「特異な臭い」
・5点:アミノ酸に起因する特異な臭いをとても感じる
・4点:アミノ酸に起因する特異な臭いを感じる
・3点:アミノ酸に起因する特異な臭いをやや感じる
・2点:アミノ酸に起因する特異な臭いをわずかに感じる
・1点:アミノ酸に起因する特異な臭いを感じない
「総合評価」
・5点:非常に好ましい
・4点:より好ましい
・3点:好ましい
・2点:どちらかというと好ましくない
・1点:好ましくない
それに対して、アスパラギン酸を添加した炭酸アルコール飲料に各種果汁を配合すると、レモン果汁を添加した飲料(サンプル2)は、エグ味や臭いがマスキングされて香味が改善されたのに対し、ぶどう果汁、もも果汁、トマト果汁(野菜汁)、赤ワイン(ぶどう酒)を添加した飲料(サンプル3~6)は、香味を改善する効果は見られなかった。
実験1において、アスパラギン酸に起因するエグ味をレモン果汁によって改善できることが確認できた。レモン果汁に含まれるリモネンにアスパラギン酸に起因するエグ味を緩和する効果があると考え、本実験では、より詳細な検討を行った。
「柑橘の苦味」
・5点:柑橘の苦味が強すぎる
・4点:柑橘の苦味を強く感じる
・3点:柑橘の苦味を適度に感じる
・2点:柑橘の苦味をわずかに感じる
・1点:柑橘の苦味を全く感じない
アスパラギン酸に加えて、アルギニンとグルタミン酸を配合した炭酸アルコール飲料を製造した。具体的には、実験2のサンプル2-6と同様にして、下表に示す組成になるように、アルコール濃度が5v/v%の炭酸アルコール飲料を製造した(20℃におけるガス圧:2.0kgf/cm2、pH:3.3)。本実験で調製した飲料のレモン果汁含有量は1%であり、レモン果汁に由来するアスパラギン酸は約6mg/L、レモン果汁に由来するリモネンは約1mg/L、レモン果汁に由来するアルギニンは約1mg/L、レモン果汁に由来するグルタミン酸は約3mg/Lであった。なお、飲料の酸度は、サンプル3-7は0.25g/100ml、それ以外は0.35g/100mlだった。
「飲みごたえ」
・5点:とても感じる
・4点:感じる
・3点:やや感じる
・2点:わずかに感じる
・1点:感じない
「旨味」
・5点:強すぎる
・4点:強く感じる
・3点:適度に感じる
・2点:わずかに感じる
・1点:全く感じない
「総合評価」
・6点:さらに非常に好ましい
・5点:非常に好ましい
・4点:より好ましい
・3点:好ましい
・2点:どちらかというと好ましくない
・1点:好ましくない
Claims (11)
- アスパラギン酸の含有量が500~5100mg/Lであり、リモネンの含有量が10~110mg/Lである、炭酸アルコール飲料。
- アスパラギン酸の含有量が500~4000mg/Lである、請求項1に記載の炭酸アルコール飲料。
- アルコール含有量が1.5~10v/v%である、請求項1または2に記載の炭酸アルコール飲料。
- 柑橘果汁を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭酸アルコール飲料。
- 前記柑橘果汁がレモン果汁を含む、請求項4に記載の炭酸アルコール飲料。
- レモン果汁をさらに含む、請求項3に記載の炭酸アルコール飲料。
- アルギニンおよび/またはグルタミン酸をさらに含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の炭酸アルコール飲料。
- 1~1500mg/Lのアルギニンを含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の炭酸アルコール飲料。
- 50~1200mg/Lのアルギニンを含有する、請求項8に記載の炭酸アルコール飲料。
- 10~800mg/Lのグルタミン酸を含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の炭酸アルコール飲料。
- 25~700mg/Lのグルタミン酸を含有する、請求項10に記載の炭酸アルコール飲料。
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