JP7274847B2 - 飲料の香味改善方法 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料の香味改善方法に関する。
飲料には、種々の方法により、果実等の香気が付与される。果実の香気の付与方法として、例えば、原料の一部に果実を用いることや、果汁又は香料を飲料に添加することなどが挙げられる。しかしながら、果実や果汁又は香料を用いる手法では、風味を豊かにするために添加量を増加させると、果実由来の雑味も強調されてしまい、飲みにくい飲料になりやすい。そこで、雑味を強調することなく、果実由来の風味を豊かにすることが求められている。
上記に関連して、例えば特許文献1(特開2016-135110号公報)には、柑橘類由来の果汁及び/又は柑橘類果実含有原料酒と所定含有量のグリセリンとを含有するアルコール飲料が開示されている。特許文献1の記載によれば、グリセリンの含有量を特定の範囲とすることで、柑橘類果実成分に由来する苦味を低減できる。
特開2016-135110号公報
雑味を強調することなく、果実由来の豊かな風味を付与するための技術が、依然として求められている。従って、本発明の課題は、雑味を強調することなく、果実由来の豊かな風味を付与することができる、飲料の香味改善方法を提供することにある。
本発明者は、飲料にメチルチモールを含有させることにより、雑味を強調することなく、果実由来の豊かな風味を付与することができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の事項を含む。
[1]メチルチモールを飲料液に添加する工程を有する、飲料の香味改善方法。
[2]前記飲料が、アルコール飲料である、[1]に記載の方法。
[3]前記飲料液が、蒸留酒を含む、[2]に記載の方法。
[4]前記飲料が、ノンアルコール飲料である、[1]に記載の方法。
[5]前記メチルチモールの添加量が、0.001ppm以上である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記メチルチモールの添加量が、0.001ppm~10ppmである、[1]乃至[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記飲料液が、果実由来成分を含む、[1]乃至[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記果実由来成分が、柑橘類の果実由来成分を含む、[7]に記載の方法。
[9]0.001ppm以上のメチルチモールを含有する飲料。
本発明によれば、雑味を強調することなく、果実由来の豊かな風味を付与することができる、飲料の香味改善方法が提供される。
1:飲料
本発明の実施態様に係る飲料は、メチルチモールを含有する。メチルチモールを含有していることによって、雑味を強調することなく、果実由来の豊かな風味を付与することができる。具体的には、メチルチモールによって、新鮮さ、トップ香のボリューム、果汁感(ジューシー感)を増やすことができる。
飲料におけるメチルチモールの含有量は、特に限定されるものでは無いが、含有量が多い程、果実由来の風味をより豊かにすることができる。また、含有量が少ない程、雑味の強調を防ぐことができる。このような観点から、メチルチモールの含有量は、0.001ppm以上であることが好ましく、0.001~10ppmであることがより好ましく、0.001~5ppmであることが更に好ましく、0.001~1ppmであることが更に好ましく、0.005~0.5ppmであることが最も好ましい。
本実施態様に係る飲料は、アルコール飲料であってもよく、ノンアルコール飲料であってもよい。以下、第1の態様としてアルコール飲料の一例について説明し、第2の態様としてノンアルコール飲料の一例について説明する。
(第1の態様)アルコール飲料
アルコール飲料には、アルコールに起因する苦味があるため、アルコール飲料の風味を良好にする目的で、果実や果汁又は香料を添加して設計されるものも多くある。しかしながら、香気を高めるためにこれらの添加量を増やすと、却って果実由来の雑味が増強される場合がある。これに対して、本実施態様によれば、メチルチモールを含有させることにより、果実由来の雑味を強調させることなく、果実由来の豊かな風味を付与することができる。
アルコール飲料としては、例えば、原料となるアルコールとして、蒸留酒、醸造酒又は原料用アルコール等を使用した飲料が挙げられる。好ましいアルコール飲料は、蒸留酒を水により希釈してアルコール度数を調整した飲料である。蒸留酒としては、例えば、スピリッツ(ジン、ウォッカ)、焼酎、ウイスキー及びブランデー等が挙げられ、好ましくは、スピリッツである。
アルコール飲料におけるアルコール度数は、特に限定されるものでは無いが、例えば1~20容量%、好ましくは3~15容量%である。
アルコール飲料には、果実由来成分が含まれていることが好ましく、特に、柑橘類の果実由来成分が含まれていることが好ましい。柑橘類由来成分が含まれるアルコール飲料にメチルチモールを添加すると、雑味を強調することなく、柑橘類の香気を増強することができる。
柑橘類としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、シークァーサー、ユズ、スダチ及びスウィーティー等が挙げられる。好ましい柑橘類は、レモン、ライム、グレープフルーツ及びシークァーサーである。
柑橘類由来成分は、果汁としてアルコール飲料に添加されてもよいし、香料等としてアルコール飲料に添加されてもよい。あるいは、アルコール飲料がスピリッツ等の蒸留酒である場合には、最終的な蒸留を行う前に原料酒に柑橘類(果実)を浸漬させ、浸漬後の原料酒を蒸留することにより、得られるアルコール飲料に柑橘類由来成分を含有させることもできる。
アルコール飲料には、必要に応じて、その他の添加剤等が添加されていてもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸味料や甘味料等が挙げられる。
酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム(クエン酸ナトリウム)、クエン酸カリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸-ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸-ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
甘味料としては、例えば、糖類及び高甘味度甘味料等を用いることができ、これらは併用されてもよい。糖類とは、単糖類及び二糖類を意味する。単糖類としては、ぶどう糖、果糖、果糖ぶどう糖、木糖、ソルボース、ガラクトース又は異性化糖等が挙げられ、二糖類としては、蔗糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖又はパラチノース等が挙げられる。高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム及びステビア等が挙げられる。
アルコール飲料は、炭酸飲料であっても非炭酸飲料であってもよい。炭酸飲料である場合の炭酸ガス濃度は、通常用いられる範囲内とすることができる。
続いて、アルコール飲料の製造方法の一例について説明する。
まず、ベースとなる原料酒を飲料液として用意する。必要に応じて、水により飲料液を希釈し、アルコール度数を調整する。また、飲料液に、メチルチモール、及び必要に応じてその他の添加剤を添加する。その後、必要に応じて、缶、瓶、及びペットボトル等の容器に飲料液を充填する。これにより、本実施態様に係るアルコール飲料が得られる。
メチルチモールは、香料として添加されてもよいし、メチルチモールを含有する天然原料により、添加されてもよい。
(第2の態様)ノンアルコール飲料
第2の態様に係る飲料は、メチルチモールを含有するノンアルコール飲料である。
ノンアルコール飲料とは、実質的にアルコールを含まない飲料であり、アルコール含量が1容量%未満のものをいう。ノンアルコール飲料には、ビールテイスト飲料(ノンアルコールビール)、カクテルテイスト(チューハイテイスト)飲料、ハイボールテイスト飲料、梅酒テイスト飲料、ワインテイスト飲料等が含まれる。
本態様においても、第1の態様と同様に、メチルチモールを含有させることにより、果実由来の雑味を強調させることなく、果実由来の豊かな風味を付与することができる。
加えて、ノンアルコール飲料の中には、アルコールを実質的には含まないものの、飲用時にアルコール飲料と同様の感覚を生じさせることが求められるものもある。そのようなノンアルコール飲料には、酒感(アルコールらしい味わい)が求められる。
ここで、本態様によれば、ノンアルコール飲料にメチルチモールを添加することにより、酒感を付与することも可能となる。
ノンアルコール飲料は、メチルチモールに加えて、好ましくは酸味料、甘味料等を含有する。
酸味料としては、例えば、アジピン酸、クエン酸、クエン酸三ナトリウム(クエン酸ナトリウム)、クエン酸カリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸-ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、二酸化炭素、乳酸、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸-ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
甘味料としては、例えば、糖類及び高甘味度甘味料等を用いることができ、これらは併用されてもよい。糖類とは、単糖類及び二糖類を意味する。単糖類としては、ぶどう糖、果糖、果糖ぶどう糖、木糖、ソルボース、ガラクトース又は異性化糖等が挙げられ、二糖類としては、蔗糖、麦芽糖、乳糖、異性化乳糖又はパラチノース等が挙げられる。高甘味度甘味料としては、例えば、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム及びステビア等が挙げられる。
本態様においても、ノンアルコール飲料には、果実由来成分が含まれていることが好ましく、特に、柑橘類の果実由来成分が含まれていることが好ましい。柑橘類由来成分が含まれているノンアルコール飲料にメチルチモールを添加することにより、雑味を強調することなく、柑橘類の香気を増強することができる。
柑橘類としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、シークァーサー、ユズ、スダチ、及びスウィーティー等が挙げられる。好ましい柑橘類は、レモン、ライム、グレープフルーツ及びシークァーサーが挙げられる。柑橘類由来成分は、果汁としてアルコール飲料に添加されてもよいし、香料等としてアルコール飲料に添加されてもよい。
本態様に係るノンアルコール飲料は、例えば、ベースとなる飲用液に、メチルチモールと、必要に応じてその他の添加剤(酸味料、甘味料等)を添加することにより、得ることができる。
(その他)
第1及び第2の態様に係る飲料は、いずれも、果汁飲料であっても、無果汁飲料であってもよい。果汁飲料である場合、果汁の含有量は、例えば10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下、最も好ましくは1%以下である。
また、第1及び第2の実施態様に係る飲料は、いずれも、必要に応じて、食物繊維(例えばポリデキストロース等)、メチルチモール以外の香料、劣化臭生成抑制剤、劣化臭消臭剤(マスキング剤)、色素、エキス、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、旨み成分、安定化剤、及び乳化剤等が含まれていてもよい。
第1及び第2の態様に係る飲料は、いずれも、酸味料を含有する場合、その含有量は、例えば、クエン酸換算の酸度が0.01~5.0g/100mL、好ましくは、0.05~1.0(g/100mL)、より好ましくは0.08~0.5(g/100mL)となるような量である。尚、クエン酸換算した酸度は、例えば、国税庁所定分析法にて定められた酸度の測定方法に基づいて算出される。
第1及び第2の態様に係る飲料は、いずれも、甘味料を含有する場合、その含有量は、飲料の甘味度が2以下となるような量であることが好ましく、1以下となるような量であることが好ましい。
ここで、「飲料の甘味度」とは、飲料の甘さの強さを示すパラメータであり、飲料中に含まれる甘味料の含有量を、甘味の観点からショ糖に換算して求めたパラメータである。具体的には、飲料に含まれる各甘味料について、その濃度(g/100ml)に、各「甘味料の甘味度」を乗じることにより、ショ糖に換算した時の各甘味料の含有量(g/100ml)を求めることができる。そして、飲料に含まれる全甘味料についてのショ糖換算含有量の合計値(g/100ml)を、「飲料の甘味度」として求めることができる。
「甘味料の甘味度」とは、ショ糖と比較した時の各甘味料の甘味の強さを示すパラメータであり、例えば、「飲料用語事典、平成11年6月25日発行、株式会社ビバリッジジャパン社、資11」の値を採用することができる。尚、甘味度の値に幅がある場合には、その中央値を採用する。
例えば、代表的な甘味料の甘味度は、以下の通りである。
ブドウ糖(甘味度0.65)
果糖(甘味度1.5)
スクラロース(甘味度600)
アセスルファムカリウム(甘味度200)
アスパルテーム(甘味度200)
2:メチルチモールの測定方法
飲料中のメチルチモールの含有量は、例えば、GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析)法により定量することができる。詳細には、例えば、次の方法及び条件により測定することができる。
<前処理方法>
超純水を用いて試料を希釈し、内部標準物質としてリナロール-d5を添加する。添加後、Twister(PDMS,0.5mm×20mm)にて40℃、2時間の撹拌吸着反応を行ったものを分析用試料とする。なお、試料調製は、2点並行にて行う。
<定量方法>
分析用試料中のメチルチモールの量をm/z164にて特定し、内部標準物質であるリナロール-d5 m/z141のピークに対する面積比から、メチルチモールの含有量を計算する。同一試料について2点並行で行った分析値の平均値を、試料中の成分量であるものとして定量する。
<GC条件>
測定には昇温気化型注入口(CIS4,Gerstel社製)、加熱脱着ユニット(TDU, Gerstel社製)及びLTMカラム(1st:DB-WAX,20m×0.18mm;0.3μm、2nd:DB-5,10m×0.18mm;0.4μm, Agilent Technologies社製)を搭載した7890B GC System(Agilent Technologies社製)、5977A MSD(Agilent Technologies社製)を使用する。
TDU:20℃(1min) -720℃/min-250°(3min)
CIS:-50℃(1.5min) -12℃/sec-240℃(32min)
スプリット比:10:1
1stカラム温度:40℃(3min)-5℃/min-125℃(0min) -10℃ /min- 250℃(0min)
2ndカラム温度:40℃(32min)-10℃/min-125℃(0min) -50℃/min-250℃(0min)
MSD:Scan mode,m/z29-230,20 Hz,EI
(実施例)
[試験例1]
表1に示されるように、異なる添加量でメチルチモールが添加された例1乃至例6に係る飲料を得た。
詳細には、まず、レモンライムスピリッツ(原料用アルコールにレモン及びライムを浸漬させ、さらに蒸留を行って得られたスピリッツ)をベース液として用意した。用意したベース液を、最終的なアルコール度数が6容量%になるように市販の飲料水で10倍に希釈し、例1に係るアルコール飲料を得た。
また、ベース液に対し、1%メチルチモールを含むエタノール溶液を異なる量で添加し、例1と同様に最終的なアルコール度数が6容量%になるように水で希釈した。これにより、メチルチモール添加量が異なる例2乃至例6に係るアルコール飲料を得た。
なお、ベース液であるレモンライムスピリッツ中に、メチルチモールは確認されなかった。すなわち、メチルチモールの添加量は、実質的に、アルコール飲料中のメチルチモールの含有量であると言える。
得られた例1乃至例6に係る飲料について、果実由来の香気豊かな風味、及び雑味を、官能評価により評価した。尚、「果実由来の香気豊かな風味」として、具体的には、「新鮮さ」、「トップ香のボリューム」及び「ジューシー(果汁感)」を評価した。また、雑味については、果実由来のいわゆるイガイガした雑味を評価した。官能評価は、各項目ともに、それぞれ下記の5段階の基準を用いて9名の訓練されたパネリストにより行い、平均値を結果とした。なお、本評価は、パネリスト間で予め評点の強弱の認識を統一させた上で、実施した。
5:強い
4:やや強い
3:ふつう
2:やや弱い
1:弱い
結果を表1に示す。また、各アルコール飲料について、メチルチモールが添加されていない例1の結果との差を算出した。算出結果を表2に示す。
表1及び表2の結果から、メチルチモールを添加することにより、トップ香のボリュームが増加することが理解できる。また、メチルチモールの添加に伴い、新鮮さ及びジューシー(果汁感)も増加する傾向にあった。
一方で、雑味はほとんど変化しなかった。
すなわち、メチルチモールを添加することによって、雑味を強調することなく、果実由来の香気豊かな風味を増強できることが理解される。
[試験例2]
表3に示されるように、ベース液の種類及びメチルチモールの有無が異なる例7乃至12に係る飲料を得た。詳細には、ジン及び柑橘果実由来スピリッツ(シークァーサー及びグレープフルーツ)をベース液として用意した。用意した各ベース液を、最終的なアルコール度数が6容量%になるように市販の飲料水で10倍に希釈し、例7、9及び11に係る飲料を得た。
また、各ベース液に対して、試験例1と同様に1%メチルチモールを含むエタノール溶液を添加し、最終的なアルコール度数が6容量%になるように市販の飲料水で10倍に希釈した。これにより、メチルチモールが0.5ppmの添加量で添加された、例8、10及び12に係る飲料を得た。
得られた例7乃至12に係る飲料について、試験例1と同様の評価項目について、8名の訓練されたパネリストにより官能評価を行った。なお、本評価は、パネリスト間で予め評点の強弱の認識を統一させた上で、実施した。
結果を表3に示す。また、各飲料の評点について、メチルチモール未添加時の評点との差を算出した。差の算出結果を表4に示す。
表3及び表4に示されるように、ベース液がジン、シークァーサースピリッツ、及びグレープフルーツスピリッツである場合にも、メチルチモールを添加することによって、雑味を強調することなく、果実由来の香気豊かな風味を増強できることが理解される。
[試験例3]
ベース液として、食物繊維(ポリデキストロース)、酸味料、香料(果実由来成分を含む)、甘味料(アセスルファムカリウム及びスクラロース)を含有する市販のノンアルコール飲料を準備した。準備したベース液を、例13に係る飲料とした。
また、ベース液1Lに対して、表5に示す濃度(0、0.005、0.01、0.05、0.5、5,10%)のメチルチモールを含むエタノール溶液を各々100μL添加し、メチルチモール含有量が異なる例14~例19に係る飲料を得た。
得られた例13~19に係る飲料について、「新鮮さ」、「トップ香のボリューム」、「ジューシー(果汁感)」、「雑味」、及び「酒感(アルコールらしい味わい)」を官能評価により評価した。官能評価は、各項目ともに、下記の5段階の基準を用いて10名の訓練されたパネリストにより行い、平均値を結果とした。なお、本評価は、パネリスト間で予め評点の強弱の認識を統一させた上で、実施した。
5:強い
4:やや強い
3:ふつう
2:やや弱い
1:弱い
結果を表5に示す。また、各飲料の評点について、メチルチモール未添加時の評点との差を算出した。差の算出結果を表6に示す。
表5及び表6に示されるように、メチルチモールが添加された例14~19に係る飲料は、メチルチモールが添加されていない例13に係る飲料よりも、「新鮮さ」、「トップ香のボリューム」、「酒感」及び「ジューシー(果汁感)」が増加する傾向にあった。一方、「雑味」は増加しなかった。ノンアルコール飲料においては、メチルチモールの添加により、雑味を強調することなく、果実由来の香気豊かな風味を増強できる上に、酒感(アルコールらしい味わい)を付与する効果も確認された。
Figure 0007274847000001
Figure 0007274847000002
Figure 0007274847000003
Figure 0007274847000004
Figure 0007274847000005
Figure 0007274847000006

Claims (12)

  1. メチルチモールを飲料液に添加する工程(ただし、タイム抽出物を飲料液に添加する工程を除く。)を有する、果実由来成分を含むアルコール飲料の香味改善方法。
  2. 前記メチルチモールの添加量が、0.001ppm~10ppmである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記飲料液が、蒸留酒を含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記蒸留酒が、スピリッツを含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記蒸留酒が、ウォッカを含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記蒸留酒が、ジン、レモンライムスピリッツ、シークァーサースピリッツ又はグレープフルーツスピリッツを含む、請求項3に記載の方法。
  7. 0.001ppm以上のメチルチモールを含有し、果実由来成分を含むアルコール飲料(ただし、タイム抽出物を含有する飲料及び生姜を含有する飲料を除く。)。
  8. 前記メチルチモールの添加量が、0.001ppm~10ppmである、請求項に記載の飲料。
  9. 蒸留酒を含む、請求項又は請求項に記載の飲料。
  10. 前記蒸留酒が、スピリッツを含む、請求項に記載の飲料。
  11. 前記蒸留酒が、ウォッカを含む、請求項に記載の飲料
  12. 前記蒸留酒が、ジン、レモンライムスピリッツ、シークァーサースピリッツ又はグレープフルーツスピリッツを含む、請求項に記載の飲料。
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