JP7277076B2 - 磁性部材用粉末 - Google Patents

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Description

本発明は磁性部材用粉末に関する。詳細には、磁性シート、磁性リング等の部材中に分散される粉末に関する。
携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型パーソナルコンピュータ等の携帯用電子機器が、近年普及している。最近では、これらの機器の小型化及び高性能化が進んでいる。機器の小型化に伴い、機器内の回路部品にも、小型化及び高性能化の要求が高まっている。小型化及び高性能化された機器では、回路に装着される電子部品の密度が高い。従って、この電子部品から放射される電波ノイズに起因して、電子部品同士間の電波干渉、及び電子回路同士間の電波干渉が生じやすい。電波干渉は、電子機器の誤動作を招来する。
電波干渉の抑制の目的で、電子機器にノイズ抑制シートが挿入されることがある。このノイズ抑制シートは、放出された放射電波(ノイズ)を磁力に変換し、電子回路外への電波放出を防ぐ。ノイズ抑制シートの加工は容易であり、かつこのシートの形状自由度は高い。
典型的な従来のノイズ抑制シートには、フェライトと呼ばれる酸化物が、磁性材料として用いられている。このフェライトでは、高周波域において、透磁率が小さい。具体的には、周波数が100kHzから20Mzである領域において、透磁率が小さい。従って、この周波数域における電波から磁力への変換効率は、不十分である。
フェライトを含まず、透磁率の高い軟磁性金属粉末を含む磁性シート及び磁性リングが、提案されている。特開2017-208416公報には、FeMn合金粉末が用いられたノイズ抑制シートが開示されている。特開2011-108775公報には、Fe-Si-Al系の扁平粉末が用いられたノイズ抑制シートが開示されている。
特開2017-208416公報 特開2011-108775公報
特開2017-208416公報に開示された粉末では、反磁界係数低減の目的で、粒子が扁平化されている。この粒子の合金は、球状での使用には適していない。さらにこの粒子は、樹脂との混合による使用には適していない。
特開2011-108775公報に記載されたノイズ抑制シートでは、粉末が扁平化されているので、比較的高い周波数域でも、高い透磁率が達成されうる。しかし、Fe-Si-Al系の組成を有する粉末では、20MHzに近い高周波数域でのノイズ抑制は、十分ではない。
近年の電子機器に用いられる磁性部材には、高周波数域でのノイズ抑制の要請がある。本発明の目的は、周波数が100kHzから20MHzの領域においての損失を低減できる磁性部材に適した粉末の提供にある。
本発明に係る磁性部材用粉末は、多数の金属粒子、又は金属と絶縁皮膜とを有する多数の粒子からなる。この金属は、
Ni:15.0質量%以上25.0質量%以下、
Mo:2.0質量%以上10.0質量%以下、
Ti:0.10質量%以上1.00質量%以下、
Al:0.005質量%以上0.200質量%以下、
Co:1.0質量%以上15.0質量%、
並びに
残部:Fe及び不可避的不純物
を含む合金である。この合金の、X線回折分析における、角度2θが43°以上44°未満にある極大値PAと、角度2θが44°以上45°未満にある極大値PBの比PA/PBは、0.00100以上2.00以下である。
好ましくは、この合金では、保磁力Hcは、下記数式を満たす。
(20×PA/PB+20) < Hc < (70×PA/PB+70)
好ましくは、磁性部材用粉末の平均粒径D50は、20μm以上150μm以下である。
好ましくは、粒子は、扁平形状を有する。
他の観点によれば、本発明に係る磁性部材用粉末の製造方法は、
(1)多数の金属粒子、又は金属と絶縁皮膜とを有する多数の粒子からなり、この金属が
Ni:15.0質量%以上25.0質量%以下、
Mo:2.0質量%以上10.0質量%以下、
Ti:0.10質量%以上1.00質量%以下、
Al:0.005質量%以上0.200質量%以下、
Co:1.0質量%以上15.0質量%、
並びに
残部:Fe及び不可避的不純物
を含む合金であり、X線回折分析における、角度2θが43°以上44°未満にある極大値PAと、角度2θが44°以上45°未満にある極大値PBの比PA/PBが、0.00100以上2.00以下であり、そのタップ密度がTFである粉末を得る工程、
並びに
(2)上記粒子に扁平加工を施してそのタップ密度がTEである粉末を得る工程
を含む。比TE/TFは、0.3以上1.0以下である。
本発明に係る粉末が用いられた磁性部材では、周波数が100kHzから20MHzの領域にて、ノイズが抑制されうる。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁性部材用粉末の粒子が示された断面図である。 図2は、図1の粉末が分散した磁性シートの一部が示された断面図である。 図3は、本発明の他の実施形態に係る磁性部材用粉末の粒子が示された断面図である。 図4は、本発明のさらに他の実施形態に係る磁性部材用粉末の粒子が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
[第一実施形態]
本発明に係る磁性部材用粉末は、多数の粒子の集合体である。それぞれの粒子は、球形状を有する。図1は、この粒子2の断面図である。図2は、この粉末が分散した磁性部材(磁性シート4)が示された断面図である。
この磁性シート4が得られるには、まず粉末が、樹脂及びゴムのような基材ポリマーに、各種薬品と共に混練されてポリマー組成物が得られる。混練には、既知の方法が採用されうる。例えば、密閉式混練機、オープンロール等により、混練がなされうる。薬品として、潤滑材及びバインダーのような加工助剤が例示される。
次に、このポリマー組成物から、磁性シート4が成形される。成形には、既知の方法が採用されうる。圧縮成形法、射出成形法、押出成形法、圧延法等により、成形がなされうる。
磁性部材の形状は、シート状には限られない。リング状、立方体状、直方体状、円筒状等の形状が、採用されうる。加工が容易との観点から、組成物に、潤滑材、バインダー等の加工助剤が配合されてもよい。
磁性部材の性能を表す指標として、透磁率μ、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”がある。実部透磁率μ’は、電磁波遮蔽特性の優劣を表す。虚部透磁率μ”は、電磁波吸収特性の優劣を表す。透磁率μは、下記数式によって算出されうる。この数式において、「j」は虚数単位を表す。換言すれば、「j」の二乗は-1である。
μ=μ’+jμ”
なお、本願において、透磁率μ、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”のそれぞれは、真空透磁率との比である比透磁率で表される。高周波での磁気損失tanδは、この虚部透磁率μ”と実部透磁率μ’との比で表される。換言すれば、磁気損失tanδは下記数式によって算出される。
tanδ = μ” / μ’
この数式から明らかな通り、渦電流損失、磁気共鳴等に起因してμ’が低下しμ”が上昇すると、損失tanδが上昇する。
金属からなる磁性粉末の飽和磁束密度は、フェライトのそれよりも高い。これは、金属粉末の長所である。一方、従来の金属粉末では、フェライトに比べ、磁気共鳴による損失が低周波域で発生する。従ってこの金属粉末は、高周波域(周波数が100kHzから20MHzの範囲)での損失低減には、適していない。
粉末の扁平化は、高透磁率確保には有用である。しかし、扁平化された粉末は、ポリマーとの混練性に劣る。
発明者らは検討を進めた結果、所定の組成を有しかつX線回折分析における極大値が所定の範囲内である金属粉末が、磁性部材に適していることを見出した。本発明に係る粉末では、高周波域において損失が抑制されうる。
この粒子2の主部の材質は、合金である。ここで主部とは、粒子2がその表面に絶縁性皮膜を有する場合、この被膜を除いた部分のことである。この合金は、
Ni:15.0質量%以上25.0質量%以下、
Mo:2.0質量%以上10.0質量%以下、
Ti:0.10質量%以上1.00質量%以下、
Al:0.005質量%以上0.200質量%以下、
Co:1.0質量%以上15.0質量%、
並びに
残部:Fe及び不可避的不純物
を含む。以下、各元素の役割が詳説される。
[ニッケル(Ni)]
Niは、オーステナイト形成元素である。Niは、δフェライト相の生成を抑制する。さらに、Fe中のNiリッチ相は、透磁率向上に寄与する。この観点から、Niの含有率は15.0質量%以上が好ましく、17.0質量%以上が特に好ましい。Niの過剰の添加は、マルテンサイト変態を阻害し、磁気特性に悪影響を及ぼすことがある。この観点から、Niの含有率は25.0質量%以下が好ましく、22.0質量%以下が特に好ましい。Niの含有率は、「JIS G 1256」の規定に準拠して測定される。
[モリブデン(Mo)]
Moは、Fe中のNiリッチ相に固溶し、透磁率向上に寄与しうる。この観点から、Moの含有率は2.0質量%以上が好ましく、3.5質量%以上が特に好ましい。Moは、Niとの金属間化合物を形成する。多量の金属間化合物は、磁気特性に悪影響を及ぼす。この観点から、含有率は10質量%以下が好ましく、7.0質量%以下が特に好ましい。Moの含有率は、「JIS G 1256」の規定に準拠して測定される。
[チタン(Ti)]
合金には、不可避的不純物としてCが含まれる。TiはこのCと共に炭化物を形成し、透磁率向上に寄与しうる。この観点から、Tiの含有率は0.10質量%以上が好ましく、0.50質量%以上が特に好ましい。Tiは、Ni又はMoと金属間化合物を形成する。多量の金属間化合物量は、磁気特性に悪影響を及ぼす。この観点から、Tiの含有率は1.00質量%以下が好ましく、0.90質量%以下が特に好ましい。Tiの含有率は、「JIS G 1258」の規定に準拠して測定される。
[アルミニウム(Al)]
合金には、不可避的不純物として酸素が含まれる。Alはこの酸素と結合し、透磁率向上に寄与しうる。この観点から、Alの含有率は0.005質量%以上が好ましく、0.100質量%以上が特に好ましい。AlはNiとの金属間化合物を形成し、Tiとの金属間化合物も形成する。多量の金属間化合物量は、磁気特性に悪影響を及ぼす。この観点から、Alの含有率は0.200質量%以下が好ましく、0.150質量%以下が特に好ましい。Alの含有率は、「JIS G 1258」の規定に準拠して測定される。
[コバルト(Co)]
Coは、Fe中に固溶し、保磁力の向上に寄与する。保磁力は、磁気共鳴周波数と相関する。保磁力が大きい合金では、磁気共鳴周波数が高い。この観点から、Coの含有率は1.0質量%以上が好ましく、5.0質量%以上が特に好ましい。保磁力は、透磁率とは負の相関関係にある。Coの過剰の添加は、透磁率向上に悪影響を及ぼす。この観点から、Coの含有率15.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以下が特に好ましい。Coの含有率は、「JIS G 1256」の規定に準拠して測定される。
[残部]
この合金の残部は、Fe及び不可避的不純物である。この合金において、不可避的不純物である元素の含有は、許容される。
[X線回折分析のピーク]
この粉末のX線回折分析において、角度2θが43°以上44°未満にある極大値PAと、角度2θが44°以上45°未満にある極大値PBとが測定されうる。極大値PAは、保磁力向上に寄与する相のピークである。極大値PBは、透磁率向上に寄与する相のピークである。発明者は、鋭意開発の結果、両者の比PA/PBが0.00100以上2.00以下である粉末において、良好な磁気特性が得られることを見出した。比PA/PBは、0.010以上が特に好ましい。比PA/PBは、1.00以下が特に好ましい。X線回折装置の代表例として、株式会社リガクの全自動多目的X線回折装置「SmartLab SE」が挙げられる。
極大値PA及び極大値PBの調整方法として、粉末の熱処理が挙げられる。熱処理の具体例として、急冷、徐冷及び温度保持が挙げられる。複数回の熱処理が、繰り返されてもよい。2種以上の熱処理が粉末に施されてもよい。
比PA/PBと保磁力Hcとが、下記の数式を満たすことが好ましい。
(20×PA/PB+20) < Hc < (70×PA/PB+70)
発明者らは、鋭意開発の結果、上記数式を満たす粉末において、より良好な磁気特性が得られることを見出した。より好ましくは、比PA/PBと保磁力Hcとは、下記数式を満たす。
(30×PA/PB+30) < Hc < (60×PA/PB+60)
保磁力は、磁化された磁性体を磁化されていない状態に戻すために必要な反対向きの外部磁場の強さである。保磁力は、東特興業株式会社のHCメーターK-HC1000で測定される。
[平均粒径]
この粉末の平均粒径D50は、20μm以上150μm以下が好ましい。平均粒径D50が20μm以上である粉末は、流動性に優れており、従ってバインダー等と容易に混合されうる。この観点から、平均粒径D50は25μm以上がより好ましく、30μm以上が特に好ましい。平均粒径D50が150μm以下である粉末から、厚さが小さな磁性シート4が得られうる。この磁性シート4は、小型の電子機器に適用されうる。この観点から、平均粒径D50は120μm以下がより好ましく、100μm以下が特に好ましい。
平均粒径D50は、粉体の全体積を100%として累積カーブが求められたとき、その累積カーブが50%となる点の粒子径である。粒子径は、日機装社のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」により測定される。この装置のセル内に、粉末が純水と共に流し込まれ、粒子2の光散乱情報に基づいて、平均粒径が検出される。
この粉末は、アトマイズによって製造されうる。好ましいアトマイズとして、ガスアトマイズ法及び水アトマイズ法が挙げられる。
[第二実施形態]
図3は、本発明の他の実施形態に係る磁性部材用粉末の粒子6が示された断面図である。この粒子6は、球状の主部8と絶縁性皮膜10とを有している。主部8の材質、性状、サイズ等は、図1に示された粒子2のそれらと同じである。この粒子6は、図1に示された粒子2の表面に絶縁性皮膜10が付着することで得られうる。
粒子6の主部8と、この粒子6に隣接する他の粒子6の主部8との直接の接触が、絶縁性皮膜10によって防止される。これにより、渦電流損失が抑制される。この観点から、皮膜10の厚みは20nm以上が好ましく、30nm以上が特に好ましい。主部8が有する磁気特性が阻害されにくいとの観点から、皮膜10の厚みは500nm以下が好ましく、100nm以下が特に好ましい。
絶縁性皮膜10を有さない粒子で作製したシートの体積抵抗値αに対する、絶縁性皮膜10を有する粒子6で作製したシートの体積抵抗値βの比(β/α)は、100以上である。
図3に示されるように、皮膜10は主部8の全体を覆っている。皮膜10が、主部8を部分的に覆ってもよい。
粒子6が、主部8と皮膜10との間に他の皮膜を有してもよい。粒子6が、皮膜10の外側に他の皮膜を有してもよい。
皮膜10の好ましい材質は、チタンアルコキシド類及びケイ素アルコキシド類を含む重合体である。この重合体はチタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類との混合物の重合反応によって得られうる。チタンアルコキシド類は、1つの分子中にあるチタン原子に少なくとも1つのアルコキシド基が結合している化合物である。ケイ素アルコキシド類は、1つの分子中にあるケイ素原子に少なくとも1つのアルコキシド基が結合している化合物である。アルコキシド基は、有機基が負の電荷を持つ酸素と結合した化合物である。有機基は、有機化合物からなる基である。
チタンアルコキシド類には、チタンアルコキシドのモノマー、このモノマーが複数重合されて形成されたオリゴマー、及びチタンアルコキシドが生成する前の段階の化合物(前駆体とも称される。)が含まれる。ケイ素アルコキシド類には、ケイ素アルコキシドのモノマー、このモノマーが複数重合されて形成されたオリゴマー、及びケイ素アルコキシドが生成する前の段階の化合物(前駆体とも称される。)が含まれる。
チタンアルコキシドの具体例として、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラ-2-エチルヘキソキシド及びイソプロピルトリドデシルベンゼンスフォニルチタネートが挙げられる。
ケイ素アルコキシドの具体例として、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン及びN-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
主部8への皮膜10の付着には、種々のコーティング方法が採用されうる。コーティング方法の具体例として、混合法、ゾル・ゲル法、スプレードライヤー法及び転動流動層法が挙げられる。
チタンアルコキシド類及びケイ素アルコキシド類を含む重合体が溶剤で希釈されて、コーティングに供されてもよい。好ましい溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸エチル、プロピオン酸エチル及びテトラヒドロフランが例示される。
皮膜10が、チタンアルコキシド類及びケイ素アルコキシド類を含む重合体と共に、他の化合物を含んでもよい。皮膜10が、チタンアルコキシド類及びケイ素アルコキシド類を含む重合体以外の化合物から形成されてもよい。
[第三実施形態]
図4は、本発明の他のさらに実施形態に係る磁性部材用粉末の粒子12が示された断面図である。図4において、符号Lで示されているのは粒子12の長軸の長さであり、tで示されているのは粒子12の厚さである。長さLは、厚さtよりも大きい。換言すれば、この粒子12は扁平である。この粒子12の材質は、図1に示された粒子2の材質と同じである。
この粉末のアスペクト比は、10以上300以下が好ましい。アスペクト比が10以上である粉末が用いられた磁性部材では、高周波領域での実部透磁率μ’が十分大きく、従って損失が抑制される。この観点から、アスペクト比は50以上が特に好ましい。アスペクト比が300以下である粉末が用いられた磁性部材では、粉末同士が接触する箇所が抑制され、渦電流による損失が抑制される。この観点から、アスペクト比は200以下が特に好ましい。
アスペクト比の測定では、走査型電子顕微鏡(SEM)によって粒子12が観察される。平面視においてその長さが最大となる位置が特定される。この長さが、長軸の長さLである。50個の粒子12の長さLが測定され、相加平均値Lavが算出される。この粒子12が、樹脂に埋め込まれて研磨される。この研磨面が光学顕微鏡で観察され、この粒子12の厚さ方向が特定される。さらに、最大厚みtm及び最小厚みtnが測定され、最大厚みtm及び最小厚みtnの平均値((tm+tn)/2)が算出される。50個の粒子12の平均値((tm+tn)/2)の相加平均値tavが、算出される。この粉末のアスペクト比Rは、下記の数式によって算出される。
R = Lav / tav
この粉末のX線回折分析において、角度2θが43°以上44°未満にある極大値PAと、角度2θが44°以上45°未満にある極大値PBとが測定されうる。極大値PAは、保磁力向上に寄与する相のピークである。極大値PBは、透磁率向上に寄与する相のピークである。発明者は、鋭意開発の結果、両者の比PA/PBが0.00100以上2.00以下である粉末において、良好な磁気特性が得られることを見出した。比PA/PBは、0.010以上が特に好ましい。比PA/PBは、1.00以下が特に好ましい。X線回折装置の代表例として、株式会社リガクの全自動多目的X線回折装置「SmartLab SE」が挙げられる。
[平均粒径]
この粉末の平均粒径D50は、20μm以上150μm以下が好ましい。平均粒径D50が20μm以上である粉末は、流動性に優れており、従ってバインダー等と容易に混合されうる。この観点から、平均粒径D50は25μm以上がより好ましく、30μm以上が特に好ましい。平均粒径D50が150μm以下である粉末から、厚さが小さな磁性シートが得られうる。この磁性シートは、小型の電子機器に適用されうる。この観点から、平均粒径D50は120μm以下がより好ましく、100μm以下が特に好ましい。
この磁性部材用粉末の製造では、まずアトマイズにより、多数の球状粒子からなる原料粉末が得られる。好ましくは、この原料粉末の比PA/PBと保磁力Hcとは、下記の数式を満たす。
(20×PA/PB+20) < Hc < (70×PA/PB+70)
より好ましくは、比PA/PBと保磁力Hcとは、下記数式を満たす。
(30×PA/PB+30) < Hc < (60×PA/PB+60)
酸化物の還元等の化学的プロセスにより、原料粉末が得られてもよい。
この原料粉末に扁平加工が施され、磁性部材用粉末が得られる。典型的な扁平加工は、メディア攪拌型ミル(アトライタ)によってなされる。機械的粉砕により、扁平化がなされてもよい。扁平加工後の粉末に、歪取り焼鈍が施されてもよい。
原料粉末のタップ密度TFに対する磁性部材用粉末TEの比TE/TFは、0.3以上が好ましい。比TE/TFが0.3以上である磁性部材用粉末は、ポリマー組成物中に十分に分散する。この観点から、比TE/TFは0.5以上が特に好ましい。比TE/TFは、1.0以下が好ましい。
タップ密度TF及びTEは、「JIS Z 2512」の規定に準拠して測定される。測定では、約50gの粉末が容積が100cmのシリンダーに充填される。測定条件は、以下の通りである。
落下高さ:3mm
タップ回数:3000
粒子12が、図3に示された粒子6の皮膜10と同様の皮膜を有してもよい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実験1]
[実施例1]
アトマイズにより、下記の表1に示された組成を有する実施例1の粉末を製作した。この粉末における各粒子の形状は、球であった。この粉体を、小型ミキサーを用いて100℃の温度下でエポキシ樹脂と混練し、粉末が樹脂マトリクス中に均一に分散した樹脂組成物を得た。エポキシ樹脂と粉末との体積比は、5対2とされた。この樹脂組成物を、圧力が4MPaであり、温度が200℃であるの条件で5分間熱プレス処理し、厚み0.1mmである磁性シートを得た。
[実施例2-20及び比較例1-36]
組成を下記の表1及び2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2-20及び比較例1-36の粉末を製作した。これら粉末から、実施例1と同様にして、磁性シートを得た。
[磁性シートの評価]
各磁性シートの、温度が25℃であり周波数が20MHzである条件下での透磁率μ’を、測定した。この結果が、下記の表1及び2に示されている。透磁率μ’は、アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)社製の商品名「ベクトル・ネットワーク・アナライザーN5245A」によって測定された。この透磁率μ’に基づき、下記の基準に従って、各粉末をランク付けした。
A:30以上
B:20以上30未満
F:20未満
ランク付けの結果が、下記の表1及び2に示されている。
Figure 0007277076000001
Figure 0007277076000002
表1及び2におけるV1及びV2は、下記の数式によって算出される。
V1 = 20 × PA / PB + 20
V2 = 70 × PA / PB + 70
表1及び2に示された評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
[実験2]
[実施例21]
アトマイズにより、下記の表3に示された組成を有する原料粉末を製作した。この原料粉末における各粒子の形状は、球であった。この粉体に、アトライタによる扁平加工を施して、実施例21の扁平粉末を得た。この扁平粉末を、小型ミキサーを用いて100℃の温度下でエポキシ樹脂と混練し、扁平粉末が樹脂マトリクス中に均一に分散した樹脂組成物を得た。エポキシ樹脂と扁平粉末との体積比は、5対2とされた。この樹脂組成物を、圧力が4MPaであり、温度が200℃であるの条件で5分間熱プレス処理し、厚み0.1mmである磁性シートを得た。
[実施例22-40及び比較例37-72]
組成を下記の表3及び4に示される通りとした他は実施例21と同様にして、実施例22-40及び比較例37-72の粉末を製作した。これら粉末から、実施例21と同様にして、磁性シートを得た。
[磁性シートの評価]
各磁性シートの、温度が25℃であり周波数が20MHzである条件下での透磁率μ’を、測定した。この結果が、下記の表3及び4に示されている。透磁率μ’は、アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)社製の商品名「ベクトル・ネットワーク・アナライザーN5245A」によって測定された。この透磁率μ’に基づき、下記の基準に従って、各粉末をランク付けした。
A:50以上
B:40以上かつ、50未満
F:40未満
ランク付けの結果が、下記の表3及び4に示されている。
Figure 0007277076000003
Figure 0007277076000004
表3及び4におけるV1及びV2は、下記の数式によって算出される。
V1 = 20 × PA / PB + 20
V2 = 70 × PA / PB + 70
表3及び4に示された評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係る粉末は、種々の磁性部材に適している。
2、6、12・・・粒子
4・・・磁性シート
8・・・主部
10・・・皮膜

Claims (3)

  1. 多数の金属粒子、又は金属と絶縁皮膜とを有する多数の粒子からなり、
    この金属が、
    Ni:15.0質量%以上25.0質量%以下、
    Mo:2.0質量%以上10.0質量%以下、
    Ti:0.10質量%以上1.00質量%以下、
    Al:0.005質量%以上0.200質量%以下、
    Co:1.0質量%以上15.0質量%、
    並びに
    残部:Fe及び不可避的不純物
    を含む合金であり、
    上記合金のX線回折分析における、角度2θが43°以上44°未満にある極大値PAと、角度2θが44°以上45°未満にある極大値PBの比PA/PBが、0.00100以上2.00以下である磁性部材用粉末。
  2. その平均粒径D50が20μm以上120μm以下である請求項1に記載の磁性部材用粉末。
  3. 上記粒子が扁平形状を有する請求項1又は2に記載の磁性部材用粉末。
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