JP3990658B2 - 電磁波吸収体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信機器や電子機器において発生する不要電磁波の、外部への漏洩や内部回路間での相互干渉による誤動作を防止するため、また、外部からの電磁波の悪影響を防止するために用いられる電磁波吸収体に関する。特に軟磁性体粉末を結合材中に分散させた複合磁性体から成る電磁波吸収体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通信機器や電子機器の回路から、不要な電磁波が漏洩し、またこのような電磁波により機器自身が誤動作を起こしたりする、いわゆるEMC(電磁環境両立)に関する問題は、電子機器の小型軽量化と高機能化の進展に伴い、電子部品の実装密度が飛躍的に高まることにより、ますます発生する可能性が高くなっている。
【0003】
また、最近の通信技術、デジタル技術の進展に伴い、適用される周波数の高周波化も進められており、EMCに対する対応の仕方も従来と異なった視点が必要となっている。一方、近年急速に普及している携帯電話において、放射する電磁波が人体に悪影響を及ぼす可能性も指摘されている。
【0004】
不要電磁波の発生や漏洩、電磁干渉による誤動作の対策としては、一般に、発生源にシールドを施したり、伝送線路にチョークコイルやフィルタを挿入したりする方法がとられている。このような方法とともに、ゴム材料やポリマー材料などの結合材料中に軟磁性体粉末を分散させた電磁波吸収体を、電子部品や回路の近傍に配置する方法も提案され実用に供されている。この電磁波吸収体は、加工性や実装性に優れており、実用性が高いものである。(「新電磁波吸収体の最新技術と応用」、1993年3月10日、株式会社CMC、第124〜125頁、特開平11−87117号公報、特開平11−354973号公報、特開2000−4097号公報、特開2002−158488号公報)
【0005】
しかしながら、前記したように、近年の電子機器の小型軽量化や高機能化、高周波化への要求より、不要電磁波対策のための部材についても、特に薄型で高性能、および高周波に対応した部材が求められるようになってきている。
【0006】
電磁波吸収体の電磁波吸収性能は、その虚数部比透磁率μ″の大きさと材料厚さの積で決まる。従って、厚さを薄くしようとすれば、虚数部比透磁率μ″の値を大きくする必要がある。具体的には、厚さとしては、1.0mm以下のものが求められるようになっており、このとき必要な虚数部比透磁率μ″としては10以上の値が要求される。
【0007】
従来、電磁波吸収体としては、Fe−Al−Si(センダスト)、Fe−Si(ケイ素鋼)、Ni−Fe(パーマロイ)などの軟磁性材料として広く知られている合金の粉末をゴム材料やポリマー材料などの結合材と複合させたものが、特開平11−87117号公報、特開平11−354973号公報、特開2002−158488号公報などで提案されており、この磁性体粉末の形状を扁平状とすることで、虚数部比透磁率μ″を高周波領域で大きくする手法がとられてきた。
しかし、虚数部比透磁率μ″は周波数によって変化するが、前記の従来の扁平状合金粉末は、1GHz以下のところで虚数部比透磁率μ″が最大値を示し、1GHz以上の周波数域では単調減少するものが多かった。従って、近ごろ携帯電話などで適用が進められている1〜3GHzの周波数域では、虚数部比透磁率μ″の値が不十分である。また、従来の扁平状合金粉末の中には、1GHz以上のところで最大値をとるものもあるが(特開平11−87117号公報)、その場合は虚数部比透磁率μ″の値自体が十分でない。従って、前記の従来の扁平状合金粉末を用いた場合は、電磁波吸収体の厚みを厚くせざるを得なかった。
【0008】
また、軟磁性体粉末と結合材からなる電磁波吸収体の虚数部比透磁率μ″は、対数混合則に従う。従って、高い虚数部比透磁率μ″を得るために、軟磁性体粉末の体積分率を高めることが行われてきた。ところが、軟磁性体粉末の体積分率を高めると、電磁波の反射が大きくなり、電子機器内部でのクロストークの問題などに対して十分とは言えないものとなった。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−87117号公報
【特許文献2】
特開平11−354973号公報
【特許文献3】
特開2000−4097号公報
【特許文献4】
特開2002−158488号公報
【非特許文献1】
「新電磁波吸収体の最新技術と応用」、1993年3月10日、株式会社CMC、第124〜125頁
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の技術的な課題は、前記の軟磁性体粉末と結合材からなる電磁波吸収体において、従来品よりも薄型で、電子機器や通信機器特に携帯電話などで適用が進められている1〜3GHzの電磁波に対し高い吸収性能を有し、さらに好ましくは電磁波の反射率が小さい電磁波吸収体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、1〜3GHzにおいて、反射率を増加させることなく電磁波吸収体の虚数部比透磁率μ″を増加させることを検討した。その結果、Ni−30〜60%Feという合金よりなる軟磁性体の扁平状粉末を用いることで、虚数部比透磁率μ″が、1〜3GHzの周波数域で最大値を示し、かつ大きな値(例えば10以上)を得ることができることを見出した。また、このときに軟磁性体扁平粉末の平均径を制限すれば、電磁波の反射率が小さなものが得られることを見いだした。本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
【0012】
すなわち、本発明の請求項1の電磁波吸収体は、軟磁性体扁平粉末と結合材からなる電磁波吸収体において、軟磁性体扁平粉末の組成がNi−30〜60%Feであり、かつ前記軟磁性体扁平粉末の表面が、オクタデカンチオール、またはオクタデカンチオールおよびチタネート系カップリング剤の混合物でコーティングされていることを特徴とする。
Ni−30〜60%Feとは、Feが30〜60重量%含まれているNi−Fe合金を意味する。この電磁波吸収体は、結合材に、Ni−30〜60%Feの合金を配向分散することにより製造することができる。
【0013】
ここで結合材としては、絶縁性のゴム材料やポリマー材料などが用いられる。特に結合剤としての機能、絶縁性と、電磁波吸収材料を種々の形状に成形するための成形性とを併せ考慮すると、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合樹脂(ABS)、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(AS)などのスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)などのポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが、好適なものとして例示される。
配向分散の方法としては、この技術分野で通常採用されている公知の方法が採用される。
【0014】
本発明の請求項2の電磁波吸収体は、請求項1において、軟磁性体扁平粉末として、平均径(長径と短径の平均)が30μm以下のものを用いることを特徴とする。このように、平均径を小さくすることにより、1〜3GHzの周波数域で電磁波の反射率を低減することができる。その結果、この電磁波吸収体は、1〜3GHzの周波数域で電磁波の反射率が20%以下を示す。
【0015】
なお、軟磁性体粉末の形状については、扁平度(平均径/平均厚み)が10〜100程度が望ましい。扁平度が10未満では、軟磁性体粉末の体積分率を上げても虚数部比透磁率μ″の向上は小さく、また薄型の電磁波吸収体の形成が困難になる。一方、扁平度が100を越えるものは、ゴム材料やポリマー材料との混合、分散化の過程で形状が保持されにくく、結果として特性の良い電磁波吸収体が得られない。
本発明の請求項3の電磁波吸収体は、軟磁性体扁平粉末として、扁平度が10〜100の粉末を用いることを特徴とする。
【0016】
しかし、軟磁性体粉末を結合材中に分散させたときに、軟磁性体粉末同士が凝集すると、粉末同士の電気的な接触が起こり、粉末径の実質的な増大などが生じ、これにより反射率の増大および虚数部比透磁率μ″が低下することがある。そこで、粉末同士の電気的な接触を避けるために、軟磁性体粉末の表面を絶縁材料である有機物でコーティング(表面処理)する。
【0017】
前記軟磁性体扁平粉末の表面処理に用いられる有機物とは、オクタデカンチオール、またはオクタデカンチオールおよびチタネート系カップリング剤の混合物である。
本発明の電磁波吸収体は、前記軟磁性体扁平粉末の表面が、オクタデカンチオール、またはオクタデカンチオールおよびチタネート系カップリング剤でコーティングされていることを特徴とするものであり、この表面処理により軟磁性体粉末同士の凝集を防ぐものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
後記の実施例、比較例に示すように、一般的な水アトマイズ法(溶融金属をノズルから水気流中に噴霧して粉末を製造する方法)にて製造した組成の異なるNi−Fe合金(パーマロイと称される)粉末をアトライタにて扁平状に粉砕加工した(平均径20μm、平均厚み0.5μm)。この粉末を、塩素化ポリエチレン中に、粉末の体積分率が48%となるように配向分散させてシートを作製し、そのシートの複素透磁率(虚数部比透磁率μ″)を測定した。結果を図1に示す。
Ni−Fe合金では、Ni−22%Fe合金が静磁場においては高い軟磁性をもつことが既に知られているが、図1より、Ni−22%Fe合金(比較例1、比較例2)では、虚数部比透磁率μ″は0.5GHz近傍でピークを示し、それ以上の周波数では単調に減少していることがわかる。一方、Fe濃度が高くなるほどこのピーク周波数が高周波数側にシフトしており、Fe30%以上(実施例1、2、3)でピーク周波数が1GHz以上となることが、上記検討の結果判明した。
上記の検討結果に基づき、Fe濃度を横軸にとった時の、1GHz、3GHzにおける虚数部比透磁率μ″の値を図2に示す。これより、Fe濃度が60%を越えると周波数の広い範囲で虚数部比透磁率μ″が小さくなることも判明した。(なお、Ni−22%Fe合金とは、上記のようにFeを22重量%含有する合金であるが、製品により濃度のばらつきがおよそ1%程度ある。)
【0019】
以上より、Ni−Fe合金におけるFe濃度が30〜60%のとき、1〜3GHzの周波数域で虚数部比透磁率μ″に最大値をもたせることができ、かつ大きな値、例えば10以上を得ることができることを見出した。
【0020】
Ni−55%Fe合金からなり、厚みは0.5μmである軟磁性体扁平粉末を用い、体積分率48%で電磁波吸収体を形成した。軟磁性体扁平粉末の平均径を20μm、30μm、50μmに変えた時の、電磁波の反射率の変化を測定し、その結果を図3(a)(b)(c)に示す。平均径とは、扁平な面の外周に接する2本の平行な接線間の最大の距離を長径とし、最小の距離を短径としたとき、この長径と短径の平均値である。また、平均径を横軸にとった時の、1GHz、3GHzにおける反射率の値を図4に示す。図4より、平均径が小さいほど反射率が小さくなっており、平均径を30μm以下とすれば確実に1〜3GHzでの反射率を20%以下にすることができることが判明した。平均径を20μm以下とすれば、この周波数域で、反射率が10%程度のものも得ることができ、いっそう望ましい。但し、粉末から、機械的な粉砕により扁平粉末を形成するときには、上記平均径は約5μm以上が現実的である。
【0021】
【実施例】
実施例1
軟磁性体粉末として、水アトマイズ法にて作製したNi−55%Fe粉末を準備した。アトライタにて粉砕加工を施し形状を扁平化した(平均径20μm、平均厚み0.5μm)。引き続き、扁平化工程で生じる歪みを除くために、窒素雰囲気650℃で2時間焼鈍処理を行った。
【0022】
次に、軟磁性体粉末同士の凝集による粉末径の実質的な増大を防ぐために、オクタデカンチオールを用いて、以下の方法で、粉末表面の有機被膜コーティングを行った。
まず、オクタデカンチオール(和光純薬製)を10g秤量し、エタノール(和光純薬製 試薬特級)の500mlに加え、攪拌、溶解してオクタデカンチオールのエタノール溶液を調製した。軟磁性体粉末の100gを秤量し、前記オクタデカンチオールのエタノール溶液に加え、プロペラ式の攪拌器で1時間攪拌後、約30分静置した後、上澄みを除去した。その後、大気雰囲気中、恒温槽で80℃、30分乾燥し室温で冷却して、有機被膜コーティングされた軟磁性体粉末が得られた。オクタデカンチオールの付着量は、0.56重量%であった。
【0023】
このようにして得られた軟磁性体扁平粉末を72重量部、塩素化ポリエチレンを20重量部、キシレンを50重量部それぞれ秤量し、成膜用のスラリーを作製した。このとき、塩素化ポリエチレンが結合材、キシレンが溶媒となっている。
【0024】
次に前記スラリーをドクターブレード法により、離型剤を塗布したポリエチレンテレフタレート(以後、PETと称する)フィルム上に0.05mm厚さで塗布し、60℃に保持した乾燥炉内に2時間保持して溶媒を除去し、PETフィルムから剥がして電磁波吸収シートとした。得られた電磁波吸収シート中の、軟磁性体扁平粉末の体積分率は48%であった。
【0025】
上記電磁波吸収シートの虚数部比透磁率μ″および反射率をネットワークアナライザ(HP8720B、アジレントテクノロジー社製)にて測定した。虚数部比透磁率μ″は、図1に示すように、周波数1〜3GHzで虚数部比透磁率μ″は10以上の値であった。また、反射率は、図3(a)に示されるように、同周波数域で約10%(7〜12%)の値であった。
【0026】
実施例2
Ni−45%Fe粉末を用い、実施例1と同様にして、平均径20μm、平均厚み0.5μmを有する軟磁性体扁平粉末を作製した。この軟磁性体扁平粉末を用いて、実施例1と同様にして電磁波吸収シート(0.05mm厚さ、軟磁性体扁平粉末の体積分率は48%)を作製し、シートの虚数部比透磁率μ″を測定し、その結果を図1に示した。図1に示すように、虚数部比透磁率μ″は約周波数1.5GHzで最大となり、周波数1〜3GHzでは10以上の高い値であった。
【0027】
実施例3
Ni−30%Fe粉末を用い、実施例1と同様にして、平均径20μm、平均厚み0.5μmを有する軟磁性体扁平粉末を作製した。この軟磁性体扁平粉末を用いて、実施例1と同様にして電磁波吸収シート(0.05mm厚さ、軟磁性体扁平粉末の体積分率は48%)を作製し、シートの虚数部比透磁率μ″を測定し、その結果を図1に示した。図1に示すように虚数部比透磁率μ″は、周波数約1.0GHzで最大値となり、その値は10以上の高い値であった。
【0028】
比較例1
Ni−22%Fe粉末を用い、実施例1と同様にして、平均径20μm、平均厚み0.5μmを有する軟磁性体扁平粉末を作製した。この軟磁性体扁平粉末を用いて、実施例1と同様にして電磁波吸収シートを作製し、シートの虚数部比透磁率μ″を測定し、その結果を図1に示した。図1に示されるように、周波数1〜3GHzでは虚数部比透磁率μ″は単調減少しており、2GHz以上の周波数域では10以下の値であった。また、反射率は、実施例1と変わらない値であった。
【0029】
比較例2
Ni−22%Fe粉末を用いて、実施例1と同様にして、平均径80μm、平均厚み0.5μmを有する軟磁性体扁平粉末を作製した。この軟磁性体扁平粉末を用いて、実施例1と同様にして電磁波吸収シートを作製し、シートの虚数部比透磁率μ″を測定したところ、比較例1と変わらない値であった。また、反射率は、図3(d)で示すように、周波数1〜3GHzでは20%を越える値(22〜38%)であった。
【0030】
比較例3
Ni−75%Fe粉末を用いて、実施例1と同様にして、平均径20μm、平均厚み0.5μmを有する軟磁性体扁平粉末を作製した。この軟磁性体扁平粉末を用いて、実施例1と同様にして電磁波吸収シートを作製し、シートの虚数部比透磁率μ″を測定し、その結果を図1に示した。図1に示されるように、周波数1〜3GHzでは虚数部比透磁率μ″は、10よりはるかに小さい値であった。
【0031】
実施例4
Ni−55%Fe粉末を用い、実施例1と同様にして、平均径30μm、平均厚み0.5μmを有する軟磁性体扁平粉末を作製した。この軟磁性体扁平粉末を用いて、実施例1と同様にして電磁波吸収シート(0.05mm厚さ、軟磁性体扁平粉末の体積分率は48%)を作製し、電磁波の反射率を測定し、その結果を図3(b)に示した。
【0032】
実施例5
Ni−55%Fe粉末を用い、実施例1と同様にして、平均径50μm、平均厚み0.5μmを有する軟磁性体扁平粉末を作製した。この軟磁性体扁平粉末を用いて、実施例1と同様にして電磁波吸収シート(0.05mm厚さ、軟磁性体扁平粉末の体積分率は48%)を作製し、電磁波の反射率を測定し、その結果を図3(c)に示した。
【0033】
実施例6、7
Ni−50%Fe粉末を用い、実施例1と同様にして、平均径20μm、平均厚み0.5μmを有する軟磁性体扁平粉末を作製した。この軟磁性体扁平粉末を用いて、実施例1と同様にして電磁波吸収シートを作製し、シートの虚数部比透磁率μ″を測定し、その結果を図5に示した(実施例6)。
粉末表面の有機被膜コーティングを行わない以外は、実施例6と同様にして電磁波吸収シートを作製し、シートの虚数部比透磁率μ″を測定し、その結果も図5に示した(実施例7)。
図5の結果より、オクタデカンチオールのコーティングにより、虚数部比透磁率μ″が向上することが判明した。この向上率(虚数部比透磁率μ″の最大値の増加率)は、8.4%であった。
【0034】
実施例8、9
オクタデカンチオールを下記の表1に示す有機物に代えた以外は実施例6と同様にして、電磁波吸収シートを作製し、シートの虚数部比透磁率μ″を測定し、有機被膜コーティングを行わない場合と比較した虚数部比透磁率μ″の向上率を求めた。その結果を、表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、軟磁性体扁平粉末の組成がNi−30〜60%Feであることを特徴とする本発明の電磁波吸収体は、虚数部比透磁率μ″が1〜3GHzの周波数域で、大きな値(例えば10以上)をとる。すなわち、電子機器や通信機器特に携帯電話などで適用が進められている周波数帯域の電磁波に対し高い吸収性能を有するので、これらの機器に好適に用いることができる。
さらに、この軟磁性扁平体粉末として、平均径が30μm以下のものを用いることを特徴とする電磁波吸収体は、この周波数帯域において、反射率が20%以下であるので、さらに好適である。
軟磁性扁平体粉末の表面が、有機物または酸化物、特にオクタデカンチオールまたはオクタデカンチオールおよびチタネート系カップリング剤の混合物でコーティングされていることを特徴とする本発明の電磁波吸収体は、虚数部比透磁率虚数部比透磁率μ″がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
実施例1、2、3および比較例1、3で作製された電磁波吸収体における、周波数と虚数部比透磁率μ″との関係を示すグラフ図である。
【図2】
実施例1、2、3および比較例1、3で作製された電磁波吸収体における、軟磁性体扁平粉末の組成(Fe濃度)と虚数部比透磁率μ″との関係を示すグラフ図である。
【図3】
実施例1、4、5および比較例2で作製された電磁波吸収体における周波数と反射率との関係を示すグラフである。
【図4】
実施例1、4、5および比較例2で作製された電磁波吸収体における平均径と反射率との関係を示すグラフである。
【図5】
実施例6、7で作製された電磁波吸収体における、周波数と虚数部比透磁率μ″との関係を示すグラフ図である。
Claims (3)
- 軟磁性体扁平粉末と結合材からなる電磁波吸収体において、前記軟磁性体扁平粉末の組成がNi−30〜60%Feであり、かつ前記軟磁性体扁平粉末の表面が、オクタデカンチオール、またはオクタデカンチオールおよびチタネート系カップリング剤の混合物でコーティングされていることを特徴とする電磁波吸収体。
- 前記軟磁性体扁平粉末として、平均径が30μm以下の粉末を用いることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収体。
- 前記軟磁性体扁平粉末として、扁平度が10〜100の粉末を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁波吸収体。
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