JP6588749B2 - 絶縁被覆扁平粉末 - Google Patents

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Description

本発明は、絶縁被覆粉末に関する。詳細には、本発明は、1MHzから50GHzまでの周波数領域における電磁波を遮蔽又は吸収するために用いられる磁性部材の製造のための絶縁被覆扁平粉末に関する。
携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ及びタブレット型パーソナルコンピュータに代表される携帯用電子機器が普及している。最近では、これら電子機器の小型化、高性能化に伴って回路内の部品同士が近接し、半導体素子等のノイズを発生させる部品からの影響を受けやすくなっている。また、携帯用電子機器が発する電磁波が、人体に悪影響を及ぼすことが報告されている。
回路基板内の半導体素子や携帯用電子機器が発する電磁波を遮断し、この電磁波による影響を防止するために、電磁波を遮蔽又は吸収しうる磁性部材で電磁波の発生源を包み込むことが行われている。この磁性部材として、樹脂やゴムなどの絶縁物に軟磁性金属粉末を配合し、これをシート状又はリング状に成形したものが利用されている。この磁性部材に、絶縁被覆処理がなされた軟磁性金属粉末が用いられることもある。このような磁性部材として、電磁波吸収体、電磁波吸収シート、磁性シート等が挙げられる。
携帯用電子機器が発する電磁波の周波数は、高周波化する傾向にある。従来の磁性部材では、高周波領域の電磁波を十分に遮蔽又は吸収することができないのが実状である。このため、高周波領域の電磁波の遮蔽及び吸収にも有効な磁性部材について、様々な検討がなされている。この検討例が、特開2002−305395号公報、特開2006−203233号公報及び特開2015―050361号公報に開示されている。
特開2002−305395号公報には、シート状に成形された電磁波吸収体が開示されている。この電磁波吸収体は、フレーク状の軟磁性金属粉末の表面をリン酸塩処理して得た粉末を含んでいる。
特開2006−203233号公報には、電波吸収体が開示されている。この電波吸収体には、有機基を有する分子からなる電気的絶縁層を備えた金属軟磁性体粒子が充填されている。
特開2015−050361号公報には、1MHzから50GHzまでの周波数領域における電磁波の遮蔽又は吸収に有効な、磁性部材のための絶縁被覆扁平粉末が開示されている。
特開2002−305395号公報 特開2006−203233号公報 特開2015−050361号公報
上記特開2002−305395号公報に記載の電磁波吸収体では、軟磁性金属のフレーク状粉末を、(A)リン酸、(B)MgO、CaO及びZnOから選んだ1種又は2種以上、並びに(C)ホウ酸を含む水溶液又は水分散液と混合した後、水切りして乾燥することにより、この粉末の表面にリン酸塩皮膜が形成される。この方法では、リン酸を含む水溶液又は水分散液に、フレーク状の軟磁性金属粉末を浸漬した場合、条件によっては、厚みが薄いフレーク状粉末が溶解するおそれがある。
上記特開2006−203233号公報に記載の電波吸収体に用いられる金属軟磁性粒子は、その表面に、シラン系カップリング剤からなる電気的絶縁層を有している。シラン系カップリング剤を用いて電気的絶縁層を形成する過程では、金属軟磁性粉末が折り重なって凝集する場合がある。その結果、得られる粉末の見かけ厚さが増大し、電磁波の遮蔽又は吸収特性が劣化する恐れがある。また、この電波吸収体は、470MHz〜770MHzのUHF帯域で適用するために検討されている。この電波吸収体では、770MHz〜50GHzまでの周波数領域において、絶縁抵抗が不十分となり、透磁率が低下し吸収特性が悪化する恐れがある。
上記特開2015−050361号公報に記載の絶縁被覆扁平粉末は、扁平加工された金属粉末と、絶縁性皮膜とを備えている。特開2015−050361号公報では、絶縁性皮膜の形成中に生じうる金属粉末の凝集が考慮されていない。絶縁性皮膜形成中の金属粉末の凝集は、この金属粉末の形状に由来する磁気特性の向上効果を阻害する。この絶縁被覆扁平粉末を用いて得られる磁性部材では、所望の磁気特性向上効果が得られない場合がある。
本発明の目的は、扁平加工された金属粉末の形状に由来する特性向上効果が充分に発揮される絶縁被覆扁平粉末であって、かつ1MHzから50GHzまでの周波数領域における電磁波の遮蔽又は吸収に有効な磁性部材のための絶縁被覆扁平粉末の提供にある。
本発明に係る絶縁被覆扁平粉末は、扁平加工された金属粉末と、この金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えている。この皮膜は、チタンアルコキシド類のオリゴマーの重合体を含んで形成されたものである。この絶縁被覆扁平粉末の比表面積Sc(m/kg)と金属粉末の比表面積Sm(m/kg)との比Sc/Smは、0.50以上1.50以下である。
好ましくは、この金属粉末の平均粒子径D50(μm)、金属粉末の真密度ρ(kg/m)及び金属粉末の比表面積Sm(m/kg)について下記(式1)で定義される値Yは、150以上1000以下である。
Y=D50×ρ×Sm×10−6 (式1)
好ましくは、この皮膜を備えた金属粉末の断面において、この金属粉末の外周全体の長さがLAとされ、この皮膜が付着していない部分の周長さと上記皮膜の厚さが10nm未満である皮膜が付着した部分の周長さとの和がLBとされるとき、好ましくは、LBはLAの50%以下である。
好ましくは、この皮膜は、チタンとともにケイ素を含む。好ましくは、この皮膜中のチタンの質量とケイ素の質量との比Ti/Siは、2以上5以下である。
本発明に係る磁性部材は、上記いずれかの絶縁被覆扁平粉末を用いて形成される。
本発明に係る絶縁被覆扁平粉末(以下、被覆粉末と称される場合がある)を用いて得られる磁性部材の性能は、透磁率μ、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”を指標として表される。実部透磁率μ’は、電磁波遮蔽特性の優劣を表す指標である。実部透磁率μ’が高い磁性部材は、電磁波遮蔽特性に優れる。虚部透磁率μ”は、電磁波吸収特性の優劣を表す指標である。虚部透磁率μ"が高い磁性部材は、電磁波吸収特性に優れる。透磁率μは、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”を用いて、下記(式2)により表される。(式2)中、「j」は虚数(j=−1)を意味する。
μ=μ’+jμ” (式2)
なお、本願明細書において、透磁率μ、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”は、いずれも真空の透磁率との比である比透磁率として示される。
本発明に係る絶縁被覆扁平粉末は、扁平加工された金属粉末と、その表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えている。扁平加工された金属粉末は、表皮深さ(即ち、発生した渦電流が流れることが可能な深さの尺度)が浅く、スネーク(Snoek)の限界を超えた高周波領域でも透磁率が低下しないため、より高い周波数領域でその特性を発揮することができる。この扁平加工された金属粉末によって、フェライト類と比較して高い飽和磁束密度が得られる。
本発明に係る被覆粉末が備える絶縁性の皮膜は、チタンアルコキシド類のオリゴマーを含んでなる重合体から形成されたものである。チタンアルコキシド類のオリゴマーは、金属粉末の表面において、適切な反応速度で重合する。チタンアルコキシド類のオリゴマーを含んでなる重合体によって形成される絶縁性皮膜には、クラックが少なく、その厚みが薄い。本発明に係る被覆粉末では、この絶縁性皮膜が、導電性である金属粉末の表面を被覆する。この絶縁性皮膜は、導電性の金属粉末同士が直接接触することにより発生する渦電流を防止する。この絶縁性皮膜は、渦電流損失の増加によりもたらされる、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”の低下を防止する。さらに、本発明では、この絶縁性皮膜を備えた被覆粉末の比表面積Scと、金属粉末の比表面積Smとの比Sc/Smが、0.50以上1.50以下になるように調整されている。この被覆粉末では、扁平加工された金属粉末の形状に由来する優れた特性が、皮膜形成中の金属粉末の凝集等によって阻害されることなく発揮される。
本発明に係る被覆粉末を用いて得られる磁性部材では、渦電流損失の増大による実部透磁率μ’の低下が抑制される。この磁性部材では、高い実部透磁率μ’が達成される。この磁性部材は、電磁波遮蔽特性に優れる。この磁性部材では、高周波領域で見られる虚部透磁率μ”の低下も抑制される。この磁性部材は、高周波領域における電磁波吸収特性にも優れる。さらに、この磁性部材では、扁平加工された金属粉末の形状に由来する各特性向上効果が充分に発揮されうる。本発明に係る被覆粉末によれば、1MHzから50GHzまでの広い周波数領域において、電磁波の遮蔽又は吸収に有効な磁性部材を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁被覆扁平粉末の断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁被覆扁平粉末2の断面図である。図示される通り、この被覆粉末2は、金属粉末4と、この金属粉末4の表面に付着した皮膜6とを備えている。この断面において測定される皮膜6の厚さが、両矢印Tとして示されている。被覆粉末2は、皮膜6の外表面に、この皮膜6とは別の皮膜を備えうる。被覆粉末2が、金属粉末4と皮膜6との間に、この皮膜6とは別の皮膜を備えてもよい。
この被覆粉末2を用いて、電磁波吸収体、電磁波吸収シート及び磁性シートのような磁性部材が形成される。磁性部材の形状は、特に制限されない。シート状、リング状、立方体状、直方体状、円筒状等の形状が例示される。磁性部材を形成する方法は、特に限定されない。例えば、無数の被覆粉末2からなる基材粉体と、樹脂又はゴム等の絶縁物とを、公知の方法で混合して組成物とした後、この組成物を、熱プレス等の公知の方法で成形して、磁性部材を形成する方法が挙げられる。加工が容易との観点から、基材粉体及び絶縁物からなる組成物に、さらに潤滑剤やバインダー等の加工助剤を配合してもよい。
図示される通り、金属粉末4は、扁平加工されている。扁平加工された金属粉末4の製造方法は、特に制限されない。例えば、この金属粉末4は、ガスアトマイズ法又は水アトマイズ法によって得られる金属の粗粒子を、メディア攪拌型ミル(アトライタ)で粉砕し、扁平加工することによって製造される。粉砕等の機械的プロセスにより得た金属の粗粒子を扁平加工したものを、金属粉末4としてもよい。金属酸化物の還元等化学的プロセスにより得た金属の粗粒子を扁平加工しものを、金属粉末4としてもよい。金属の粗粒子を扁平加工した後、さらに歪取り焼鈍処理したものを、金属粉末4としてもよい。
扁平加工された金属粉末4の形状は、反磁界係数の影響を抑制する。反磁界係数の影響が抑制されることにより、実部透磁率μ’の低下が防止される。本発明者は、扁平加工された金属粉末4の比表面積Sm、平均粒子径D50及び真密度ρが、反磁界係数に影響すること見出した。さらに、本発明者は、下記(式1)により定義される値Yを制御することで、反磁界係数の影響を、効率的に抑制できることを見出した。
Y=D50×ρ×Sm×10−6 (式1)
ここで、(式1)中、D50は金属粉末4の平均粒子径(μm)であり、ρは金属粉末4の真密度(kg/m)であり、Smは金属粉末4の比表面積(m/kg)である。
高周波領域での実部透磁率μ’の低下を抑制し、電磁波遮蔽特性を向上するとの観点から、値Yは、150以上が好ましく、200以上がより好ましい。磁性部材を形成する際に、樹脂又はゴム等との混合による被覆粉末2の破損を防止する観点から、値Yは、1000以下が好ましく、800以下がより好ましい。
本願明細書において、平均粒子径D50とは、レーザー回折・散乱法によって求められる粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒子径(メジアン径)を意味する。具体的には、金属粉末4の全体積を100%とし、粒子径を横軸として作成された累積カーブ(粒度分布)において、累積体積が50%である点の粒子径が、金属粉末4の平均粒子径D50とされる。この測定に適した装置として、例えば、日機装社のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」が挙げられる。この装置のセル内に、金属粉末4と純水とが投入されて得られる金属粉末4の光散乱情報に基づいて、金属粉末4の平均粒子径D50が算出される。
本願明細書において、真密度とは、固体表面の細孔や内部の空隙を含まない固体自身が占める体積だけを、密度算定用の体積として得られる密度を意味する。金属粉末4の真密度ρは、気相置換法によって導出される。この測定装置として、例えば、島津製作所社の乾式自動密度測定器「AccuPycII 1340」が挙げられる。
本願明細書において、比表面積とは、単位質量当たりの表面積を意味する。金属粉末4の比表面積Smは、ガス吸着法により導出される。この測定装置として、例えば、島津製作所社の流動式比表面積自動測定装置「フローソーブIII 2305」が挙げられる。
この実施形態において、好ましい金属粉末4は、軟磁性材料である。この金属粉末4として、例えば、他の成分を含まない純金属の粉末、予め合金成分を添加した合金鋼からなる合金粉末、純金属の粉末又は合金粉末の表面に合金成分を部分的に拡散付着させた粉末等を用いることができる。純金属としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)及びガドリニウム(Gd)が例示される。合金鋼としては、上記純金属同士を合金化したものが挙げられる。上記純金属又は純金属同士からなる合金鋼に、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)からなる群から選択された少なくとも1種を添加したものを、金属粉末4として用いてもよい。結晶磁気異方性による磁気特性向上の観点から、鉄を主成分として含む金属粉末4が好ましい。より好ましい金属粉末4は、鉄を50質量%以上含む。
金属粉末4の具体例として、他の成分を含まない純鉄粉末、Fe−3mass%Si粉末、Fe−6.5mass%Si粉末、Fe−3mass%Si―2mass%Cr粉末、Fe−8mass%Si−2mass%Cr粉末、Fe−5mass%Al粉末、Fe−9.5mass%Si−5.5mass%Al(センダスト)粉末、Fe−50mass%Co(パーメンジュール)及びFe−50mass%Ni(パーマロイ)が挙げられる。なお、「mass%」は質量%と同義である。
皮膜6は、絶縁性である。図示される通り、この被覆粉末2では、金属粉末4の外表面に、絶縁性の皮膜6が形成されている。この被覆粉末2では、皮膜6が金属粉末4に積層し、金属粉末4の外表面に接合している。この被覆粉末2を樹脂又はゴム等に混合して得られる磁性部材では、絶縁性の皮膜6が、金属粉末4同士の直接的な接触を防止する。これにより、渦電流の発生に伴う実部透磁率μ’の低下が抑制される。この被覆粉末2を用いて形成される磁性部材では、従来よりも高い実部透磁率μ'が達成される。この被覆粉末2は、磁性部材の磁束収束効果に貢献する。この被覆粉末2を用いてなる磁性部材は、電磁波遮蔽特性に優れる。さらに、この被覆粉末2は、磁性部材の虚部透磁率μ”の低下を抑制する。この磁性部材は、高周波領域における電磁波吸収特性に優れる。
皮膜6は、金属粉末4の外表面の全体又は一部を被覆する。金属粉末4同士の接触を防止して、電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性に寄与するとの観点から、金属粉末4の外表面全体が、絶縁性の皮膜6で被覆されていることが好ましい。この皮膜6が、2以上の層で構成されてもよい。
本発明に係る被覆粉末2において、皮膜6は、チタンアルコキシド類のオリゴマーの重合体を含んで形成されたものである。本願明細書において、チタンアルコキシド類とは、1分子中にあるチタン原子に、少なくとも一つのアルコキシド基が結合している化合物を言う。アルコキシド基とは、有機基が負の電荷を持つ酸素と結合した基又は原子団を言う。有機基とは、炭素骨格を主たる構成要素として有機化合物をなす基又は原子団を意味する。有機基の例として、置換されていてもいなくてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリル基等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
チタンアルコキシド類は、重縮合反応又は加水分解反応することにより、重合体を形成する。チタンアルコキシド類のオリゴマーは、チタンアルコキシド類のモノマーが複数重合することにより得られる比較的低分子量の重合体を意味する。換言すれば、チタンアルコキシド類のオリゴマーは、チタンアルコキシド類のモノマーから形成されたものである。このようなチタンアルコキシド類のモノマーとして、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド及びイソプロピルトリドデシルベンゼンスフォニルチタネートが例示される。チタンアルコキシド類のオリゴマーは、1種類のチタンアルコキシド類のモノマーから形成されたものでもよく、異なる種類のチタンアルコキシド類のモノマーから形成されたものでもよい。
チタンアルコキシド類のオリゴマーは、さらに、重縮合反応又は加水分解反応して、チタンの酸化物を構成要素とする重合体を生成する。本発明に係る被覆粉末2では、金属粉末4の外表面において、チタンアルコキシド類のオリゴマーの反応が進行する。この反応によって、金属粉末4の外表面上に、チタンアルコキシド類の重合体を含む皮膜6が形成される。この皮膜6の主たる構成要素は、チタンの酸化物である。
金属粉末4の表面におけるチタンアルコキシド類の反応速度は、アルミニウムアルコキシド類、ジルコニウムアルコキシド類のような他の金属のアルコキシド類の反応速度よりも適切である。チタンアルコキシド類は、他の金属のアルコキシド類と比較して、より適切な反応速度で、金属粉末4の外表面に皮膜6を形成する。この皮膜6では、クラックの発生が少ない。しかも、この皮膜6は、薄い。この皮膜6を備えた被覆粉末2からなる磁性部材は、電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性に優れる。
チタンアルコキシド類のオリゴマーの反応速度は、そのチタンアルコキシド類のモノマーの反応速度よりも小さい。チタンアルコキシド類のオリゴマーによる反応は、そのモノマーによる反応よりも穏やかに進行する。チタンアルコキシド類のオリゴマーを皮膜6の形成に用いた場合、そのモノマーを用いた場合に比して、さらに適切な反応速度で皮膜6が形成される。チタンアルコキシド類のオリゴマーを用いて得られる皮膜6では、クラックの発生が、より効果的に抑制される。この皮膜6は、薄くかつ均一である。薄くかつ均一な皮膜6は、磁性部材の電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性の向上に寄与する。
チタンアルコキシド類のオリゴマーをなすモノマーの数は、皮膜6形成時の反応速度に影響する。適切な反応速度の観点から、チタンアルコキシド類のオリゴマーをなすモノマーの数は、4以上が好ましく、10以上がより好ましい。製造効率の観点から、チタンアルコキシド類のオリゴマーをなすモノマーの数は、50以下が好ましく、40以下がより好ましい。本発明の目的が達成される限り、皮膜6が、チタンアルコキシド類のモノマー及びチタンアルコキシド類が生成する前の段階の化合物(以下、前駆体とも称される。)からなる重合体を含んでもよい。
チタンアルコキシド類のオリゴマーは、チタンアルコキシド類のモノマー又は他の金属アルコキシド類のモノマーと反応する。チタンアルコキシド類のオリゴマーは、他の金属のアルコキシド類のオリゴマーとも反応する。本発明の目的が阻害されない限り、皮膜6が、チタン以外の金属アルコキシド類の重合体を含んで形成されてもよい。皮膜6が、チタンアルコキシド類と、チタン以外の金属アルコキシド類との共重合体を含んで形成されてもよい。本願明細書における重合体の概念には、共重合体が含まれる。
チタンアルコキシド類のオリゴマーと併用される金属アルコキシド類として、ケイ素アルコキシド類が例示される。皮膜6の形成に、チタンアルコキシド類のオリゴマーと、ケイ素アルコキシド類のモノマー又はオリゴマーとを用いた場合、より適切な反応速度が得られる。チタンアルコキシド類のオリゴマーと、ケイ素アルコキシド類のモノマー又はオリゴマーとを用いて得られる皮膜6は、チタンアルコキシド類とケイ素アルコキシド類との重合体を含む。この皮膜6は、チタン及びケイ素の酸化物を主たる構成要素として形成される。この皮膜6を備えた被覆粉末2を用いて得られる磁性部材では、電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性が向上する。この観点から、皮膜6に含まれるチタンの質量とケイ素の質量との比Ti/Siは、2以上が好ましい。電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性向上の観点から、質量比Ti/Siは、5以下が好ましい。なお、質量比Ti/Siは、チタンアルコキシド類のオリゴマーとケイ素アルコキシド類との配合比に基づいて、算出される。
本発明の目的が阻害されない限り、皮膜6が、さらに他の金属のアルコキシド類の重合体を含んで形成されてもよい。磁性部材の諸性能に影響しない範囲で、皮膜6は、金属アルコキシド類の重合体以外の成分を含みうる。
本発明において、金属粉末4の表面に皮膜6を形成する方法は、特に限定されない。混合法、ゾル・ゲル法、スプレードライヤー法、転動流動層法等の種々の方法が、適宜選択されて用いられ得る。本実施形態では、チタンアルコキシド類のオリゴマーを含む処理液が準備される。この処理液が、無数の金属粉末4からなる粉体と混合されることにより、各金属粉末4の表面に、チタンアルコキシド類のオリゴマーを含む処理液が付着する。この処理液が付着した無数の金属粉末4からなる粉体が加熱又は乾燥されることにより、各金属粉末4の表面上で、チタンアルコキシド類のオリゴマーの反応が開始され、チタンアルコキシド類の重合体を含む皮膜6が形成される。
チタンアルコキシド類のオリゴマーを溶剤で希釈したものを、処理液として用いてもよい。この溶剤の種類としては、チタンアルコキシド類のオリゴマーを溶解又は分散可能なものであればよく、特に制限はない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸エチル、プロピオン酸エチル及びテトラヒドロフランが挙げられる。2種類以上の溶剤が希釈剤として用いられてもよい。
前述した通り、本発明に係る被覆粉末2では、扁平加工された金属粉末4の形状が、高周波領域における実部透磁率μ’に影響する。金属粉末4の表面に皮膜6を形成する過程で、金属粉末4同士が凝集して凝集体を形成する場合がある。この金属粉末4同士の凝集によって見かけの厚さが増加すると、電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性が低下する。この凝集体を解砕するために、皮膜6形成過程で、機械的な攪拌等が加えられる場合がある。凝集体の解砕により、皮膜6の剥離や金属粉末4の粉砕が生じると、電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性が低下するおそれがある。電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性の観点から、理想的には、金属粉末4同士の凝集や解砕を全く伴わずに、皮膜6を形成することが好ましい。しかし、コスト面等の工業的利用性を考慮すると、凝集又は解砕を完全に回避する工程は現実的ではない。工業的利用性を減じない程度に、金属粉末4同士の凝集及び解砕を抑制して得られる被覆粉末2が、好ましい。
皮膜6形成中の金属粉末4同士の凝集又は解砕の程度は、得られる被覆粉末2の形状に影響する。本願明細書において、皮膜6形成中の金属粉末4同士の凝集及び解砕の程度は、比表面積の比Sc/Smを指標として示される。ここで、Smは皮膜6が形成される前の金属粉末4の比表面積(m/kg)であり、Scはこの金属粉末4に皮膜6を形成して得られた被覆粉末2の比表面積(m/kg)である。換言すれば、比Sc/Smは、皮膜6形成前後における金属粉末4の形状変化を示す指標である。被覆粉末2の比表面積Sc(m/kg)は、金属粉末4の比表面積Smについて前述した方法により、測定される。
本発明に係る被覆粉末2の比Sc/Smは、0.50以上1.50以下である。比Sc/Smが0.50以上1.50以下である被覆粉末2は、皮膜6形成前の扁平加工された金属粉末4と近似した形状を有している。この被覆粉末2を用いて得られる磁性部材では、扁平加工された金属粉末4の形状に由来する優れた特性が発揮される。電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性の向上と、工業的利用性との観点から、比Sc/Smは、0.7以上1.2以下がより好ましい。
被覆粉末2が備える皮膜6の厚さTは、この被覆粉末2を用いて形成される磁性部材の電磁波遮蔽特性及び電磁波吸収特性に影響する。厚さTが10nm未満の被覆粉末2から得られる磁性部材では、トンネル電流が発生する可能性がある。この磁性部材では、絶縁抵抗(体積抵抗率)が低下するとともに、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”も低下する。この観点から、好ましい厚さTは10nm以上であり、より好ましい厚さTは、20nm以上である。厚さTが200nmを超える皮膜6を備えた被覆粉末2の、磁性部材への充填率は低い。充填率が低い磁性部材では、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”が低下する怖れがある。この観点から、好ましい厚さTは200nm以下であり、より好ましい厚さTは、100nm以下である。なお、本願明細書における充填率とは、無数の被覆粉末2からなる基材粉体の体積と、これら被覆粉末2が分散する樹脂又はゴムの体積との比である。
本願明細書において、皮膜6の厚さTは、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影された被覆粉末2の断面画像において測定される。詳細には、TEMにて観察された無数の被覆粉末2の断面から、皮膜6の厚さTが確認可能な10視野の画像が選択され、撮影される。得られた各断面画像における計測値の平均が、厚さTとされる。なお、TEMでの撮影に際し、試料である被覆粉末2には、その断面が観察可能となるように、集束イオンビーム(FIB)加工がなされている。
好ましくは、TEMにて撮影された前述の断面画像において、被覆粉末2が備える金属粉末4の外周全体の長さLAが計測される。さらに、この金属粉末4において、皮膜6が付着していない部分の周長さと、厚さTが10nm未満の皮膜6が付着した部分の周長さとがそれぞれ計測され、それらの和LBが算出される。皮膜6が付着していない部分及び厚さ10nm未満の皮膜6が付着した部分の周長さの和LBが、外周全体の長さLAの50%以下である被覆粉末2が好ましい。この被覆粉末2を用いて形成される磁性部材では、渦電流及びトンネル電流の発生が抑制される。この磁性部材では、実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ"の低下が抑制される。この観点から、和LBは、長さLAの30%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、10%以下が特に好ましい。下限値は特に限定されないが、理想的には0%である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。なお、特に言及されない限り、下記表1−9に記載の各物性値は、本願明細書中にて前述した方法により測定されたものである。
[絶縁被覆扁平粉末の製造]
下記表1−9に示された物性値を有する実施例及び比較例の被覆粉末を製造した。これらの被覆粉末の製造では、無数の金属粉末からなる粉体10kgを準備した。この粉体をアトライタで処理することにより、各金属粉末に扁平加工をおこなった。続いて、チタンアルコキシド類のオリゴマー及びケイ素アルコキシドを含む処理液を準備した。この処理液を用いて、扁平加工をおこなった各金属粉末上に皮膜を形成し、図1に示される被覆粉末を製造した。なお、実施例1−35及び比較例1−10では、金属粉末として、Fe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末を使用した。実施例36−70及び比較例11−20では、金属粉末として、Fe−3mass%Si粉末を使用した。実施例71−105及び比較例21−30では、金属粉末として、Fe−8mass%Si−2mass%Cr粉末を使用した。
下記表1−9において、Smは金属粉末の比表面積であり、Scは得られた被覆粉末の比表面積であり、Sc/Smは比表面積の比である。下記表1−9において、D50は金属粉末の平均粒子径であり、ρは金属粉末の真密度であり、Yは下記(式1)にて算出される値である。
Y=D50×ρ×Sm×10−6 (式1)
下記表1−9において、LAは、金属粉末の外周全体の長さであり、LBは、皮膜が付着していない部分及び厚さ10nm未満の皮膜が付着した部分の周長さの和LBであり、LB/LAはその比である。表1−9において、Ti/Siは、皮膜に含まれるチタンの質量とケイ素の質量との比である。
[磁性シート(磁性部材)の作成]
表1−9に示された実施例及び比較例の被覆粉末を用いて、以下の方法で、磁性部材である磁性シートを作成した。はじめに、無数の絶縁被覆扁平粉末からなる基材粉体と、市販のエポキシ樹脂とを、体積比5対2となるように、小型ミキサーに投入し、100℃の温度下で混練することにより、各被覆粉末が均一に分散した樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、4MPa、200℃の条件で5分間プレス処理して、厚み0.1mmの磁性シートを作成した。
[磁性シートの評価]
作成した各磁性シートについて、温度25℃、周波数20MHzでの実部透磁率μ’、周波数1GHzから50GHzまでの測定範囲における虚部透磁率μ”の最大値及び体積抵抗率ρv(Ω・m)を測定した。実部透磁率μ’及び虚部透磁率μ”の測定には、アジレント・テクノロジー(Agilent Technologies)社製の商品名「ベクトル・ネットワーク・アナライザーN5245A」を使用した。体積抵抗率ρvの測定には、日置電機社製の商品名「DSM−8104」を使用した。得られた結果が、下記表1−9に示されている。
[総合評価1]
Fe−9.5mass%Si−5.5mass%Al粉末を用いて得た実施例1−35及び比較例1−10の被覆粉末から形成した各磁性シートを、下記の格付けにより評価した。得られた評価結果が、総合評価として、表1−3に示されている。S、A、B、Fの順に、評価が高い。
S:実部透磁率μ’が7.1以上、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m以上
A:実部透磁率μ’が4.5以上7.0未満、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m以上
B:実部透磁率μ’が4.5以上7.0未満、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m未満
F:実部透磁率μ’が4.5未満
[総合評価2]
Fe−3mass%Si粉末を用いて得た実施例36−70及び比較例11−20の被覆粉末から形成した各磁性シートを、下記の格付けにより評価した。得られた評価結果が、総合評価として、表4−6に示されている。S、A、B、Fの順に、評価が高い。
S:実部透磁率μ’が4.5以上、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m以上
A:実部透磁率μ’が3.0以上4.5未満、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m以上
B:実部透磁率μ’が3.0以上4.5未満、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m未満
F:実部透磁率μ’が3.0未満
[総合評価3]
Fe−8mass%Si−2mass%Cr粉末を用いて得た実施例71−105及び比較例21−30の被覆粉末から形成した各磁性シートを、下記の格付けにより評価した。得られた評価結果が、総合評価として、表7−9に示されている。S、A、B、Fの順に、評価が高い。
S:実部透磁率μ’が8.0以上、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m以上
A:実部透磁率μ’が6.0以上8.0未満、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m以上
B:実部透磁率μ’が6.0以上8.0未満、かつ、体積抵抗率ρvが5.0×10Ω・m未満
F:実部透磁率μ’が6.0未満
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表1−3において、比表面積の比Sc/Smが0.50以上1.50以下である実施例1−10では、比Sc/Smが0.50未満である比較例1−5及び比Sc/Smが1.50を超える比較例6−10よりも、実部透磁率μ’が高い磁性シートが得られた。比Sc/Smが0.50以上1.50以下であり、かつ値Yが150以上1000以下である実施例11−20では、実施例1−10よりも高い実部透磁率μ'が達成された。比LB/LAが50%を超える実施例21−25では、体積抵抗率ρvが若干低下するものの、実施例1−10と同等の実部透磁率μ’が維持された。比Ti/Siが2未満である実施例26−30及び比Ti/Siが5を超える実施例31−35では、体積抵抗率ρvが若干低下するものの、実施例1−10と同等の実部透磁率μ’が維持された。
表4−6において、比表面積の比Sc/Smが0.50以上1.50以下である実施例36−45では、比Sc/Smが0.50未満である比較例11−15及び比Sc/Smが1.50を超える比較例16−20よりも、実部透磁率μ’が高い磁性シートが得られた。比Sc/Smが0.50以上1.50以下であり、かつ値Yが150以上1000以下である実施例46−55では、実施例36−45よりも高い実部透磁率μ’が達成された。比LB/LAが50%を超える実施例56−60では、体積抵抗率ρvが若干低下するものの、実施例36−45と同等の実部透磁率μ’が維持された。比Ti/Siが2未満である実施例61−65及び比Ti/Siが5を超える実施例66−70では、体積抵抗率ρvが若干低下するものの、実施例36−45と同等の実部透磁率μ’が維持された。
表7−9において、比表面積の比Sc/Smが0.50以上1.50以下である実施例71−80では、比Sc/Smが0.50未満である比較例21−25及び比Sc/Smが1.50を超える比較例26−30よりも、実部透磁率μ’が高い磁性シートが得られた。比Sc/Smが0.50以上1.50以下であり、かつ値Yが150以上1000以下である実施例81−90では、実施例71−80よりも高い実部透磁率μ’が達成された。比LB/LAが50%を超える実施例91−95では、体積抵抗率ρvが若干低下するものの、実施例71−80と同等の実部透磁率μ’が維持された。比Ti/Siが2未満である実施例96−100及び比Ti/Siが5を超える実施例101−105では、体積抵抗率ρvが若干低下するものの、実施例71−80と同等の実部透磁率μ’が維持された。
表1−9に示されるように、実施例の被覆粉末は、比較例の被覆粉末に比べて評価が高い。以上の評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された絶縁被覆扁平粉末は、磁性シート以外にも種々の磁性部材に適用されうる。
2・・・絶縁被覆扁平粉末
4・・・金属粉末
6・・・皮膜

Claims (4)

  1. 扁平加工された金属粉末と、この金属粉末の表面に付着した絶縁性の皮膜とを備えており、
    上記皮膜が、チタンアルコキシド類のオリゴマーの重合体を含んで形成されたものであり、
    上記皮膜が形成された金属粉末の比表面積Sc(m/kg)と、上記金属粉末の比表面積Sm(m/kg)との比Sc/Smが、0.50以上1.50以下であり、
    上記皮膜を備えた金属粉末の断面において、この金属粉末の外周全体の周長さがLAとされ、この皮膜が付着していない部分の周長さとその厚さが10nm未満の皮膜が付着した部分の周長さとの和がLBとされたとき、LBがLAの20%以下であり、
    上記皮膜の厚さTが10nm以上200nm以下である絶縁被覆扁平粉末。
  2. 上記金属粉末の平均粒子径D50(μm)と、上記金属粉末の真密度ρ(kg/m)と、上記比表面積Sm(m/kg)とについて、下記(式1)で定義される値Yが、150以上1000以下である請求項1に記載の絶縁被覆扁平粉末。
    Y=D50×ρ×Sm×10−6 (式1)
  3. 上記皮膜がチタンとともにケイ素を含んでおり、この皮膜中のチタンの質量とケイ素の質量との比Ti/Siが、2以上5以下である請求項1又は2に記載の絶縁被覆扁平粉末。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の絶縁被覆扁平粉末を用いて形成された磁性部材。

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