JP7276201B2 - アウターミラー用ガスケット - Google Patents
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特許文献1に示されるように、車体表面とアウターミラーは、ボルトなどの締結部材で連結される。
しかしながら、アウターミラーの荷重を支え、かつ、アウターミラーの振動を抑制するには、ガスケットのシール程度の剛性では不十分である。また、締結部材で連結される車体表面とアウターミラーとの間のクリアランスには、設計と実際の製造との誤差が生じるのが常であり、かかる誤差によって生じ得る車体表面及びアウターミラーの接触を抑制するためには、ガスケットのシール程度の剛性では不十分である。
ここで、リブの形状は、一体成型法にて製造されるガスケットの製造上の観点から、一般面と接する基部のリブ断面を長方形とし、リブの先端側に向かって、シール側のリブ面が垂直に延び、シール反対側のリブ面が斜めに延びて、全体としてテーパー状に先細る形状とした。リブの断面形状は、概ね、直角三角形である。
本発明者の鋭意検討の結果、車体表面に接しているリブの車両振動時の形状変化が異音の発生に深く関連していることを見出した。具体的には、車両振動時のリブの曲がりの程度が少ないほど、異音の発生が抑制されることを見出した。
車両の車体表面に取り付けられるアウターミラーに使用されるガスケットであって、
取り付け時に前記車体表面に対向する一般面と、
前記一般面から突起し、取り付け時に前記車体表面に接触するシール部と、
前記シール部の内側の前記一般面から突起し、取り付け時に前記車体表面に接触するリブと、を備え、
前記リブの先端から前記一般面と接する基部に亘る、前記一般面に平行なリブ断面の重心を結ぶ線が、前記一般面に対して垂直であることを特徴とする。
車両の車体表面に取り付けられるアウターミラーに使用されるガスケットであって、
取り付け時に前記車体表面に対向する一般面と、
前記一般面から突起し、取り付け時に前記車体表面に接触するシール部と、
前記シール部の内側の前記一般面から突起し、取り付け時に前記車体表面に接触するリブ(以下、本発明のリブということがある。)と、を備え、
前記リブの先端から前記一般面と接する基部に亘る、前記一般面に平行なリブ断面の重心を結ぶ線(以下、重心線ということがある。)が、前記一般面に対して垂直であることを特徴とする。
車両としては、ガソリンや軽油などの有機燃料をエネルギー源とし内燃機関を備える車両でもよく、EVやFCVなどの電気をエネルギー源とし電動機を備える車両でもよく、HV、PHVなどの内燃機関及び電動機の両者を備える車両でもよい。本発明のガスケットは異音の発生を抑制することから、音が静かな電動機を備える車両に対して適用するのが好ましい。
アウターミラーの重量と本発明のリブに負荷される荷重との関係及び異音の抑制との観点からみて、フロントドアに装着される比較的重いドアミラーに対して本発明のガスケットを適用するのが好ましいといえる。
また、アウターミラーとしては、鏡を備えるものでもよいし、カメラを備えるデジタルミラーでもよい。
図1に示すとおり、車体のフロントドアにおける金属製のドアパネル10の表面に、アウターミラー1が連結されている。図2は図1のアウターミラー1近傍の拡大図であり、アウターミラー1は、鏡を備えるミラー本体2と、ミラー本体2と連結するミラーベース3を備える。アウターミラー1は電動格納式であり、ミラー本体2がミラーベース3との連結軸を中心として回動することで開閉される。
ミラーベース3のドアパネル10側には、本発明のガスケットが配置されており、本発明のガスケットはシール部及びリブにてドアパネル10と接触している。
ガスケットは、一般面、シール部及びリブを備えるが、これらは一体成型法にて製造されるのが合理的である。
本発明のリブは、重心線が車体表面とガスケットの一般面に対して垂直である。そのため、車両振動時に車体表面からの圧力変動が生じた場合でも、リブに対する荷重方向のズレが生じ難いため、リブの曲がりが生じ難い。したがって、車体表面とリブ先端との位置ズレが生じ難いので、リブと車体表面との摩擦振動が抑制される結果、異音の発生が抑制される。
(短軸又は短辺の長さ)に対する(リブの高さ)の比としては、0.3~3、0.4~2、0.5~1.5、0.6~1、0.7~0.9を例示できる。
S3とS2の関係としては、0.6×S2≦S3≦2×S2、0.7×S2≦S3≦1.5×S2、0.8×S2≦S3≦1.4×S2、0.9×S2≦S3≦1.3×S2、S2≦S3≦1.2×S2、1.1×S2≦S3≦1.2×S2を例示できる。
図3に、実施例1のガスケット4を備えるアウターミラー1を示す。
アウターミラー1は、鏡を備えるミラー本体2と、ミラー本体2と連結するミラーベース3と、実施例1のガスケット4で構成される。アウターミラー1は電動格納式であり、ミラー本体2がミラーベース3との連結軸を中心として回動することで開閉される。
ミラーベース3には、3つの締結部材5、2つの位置合わせ部6、仮保持部7及びコード8が、それぞれ実施例1のガスケット4の一般面を貫通する状態で存在する。
アウターミラー1は、車体のドアにおける金属製のドアパネルの表面に、実施例1のガスケット4を接触させた状態で連結される。
実施例1のガスケット4はポリ塩化ビニル製である。実施例1のガスケット4は、ミラーベース3の車体表面側に接着されており、ミラーベース3の外周よりもやや小さい。
実施例1のガスケット4は一体成型法で製造されており、一般面40と、一般面40の外周縁から連続的に突起するシール部41と、シール部41の内側の一般面40から突起する7つのリブ42を備える。一般面40は概ね厚み2.5mmであり、取り付け時に車体表面に平行に対向する。7つのリブ42の形状は、短辺3.5mm、長辺6~12mm、高さ2.5mmの直方体である。リブ42の長辺は、一般面40の外周縁に沿って延びている。
また、実施例1のガスケット4には、3つの締結部材5、2つの位置合わせ部6、仮保持部7及びコード8を貫通させるための貫通孔が設けられている。
ドアパネル10は金属製であり、2つの位置合わせ部6がそれぞれ貫通する2つの貫通孔11を有し、かつ、中央孔12を有する。中央孔12の奥には、補強部材のリインフォース20が存在する。リインフォース20には、3つの締結部材5がそれぞれ貫通する3つの貫通孔21、仮保持部7が貫通する貫通孔22、及び、コード8が貫通する貫通孔23が存在する。リインフォース20に、3つの締結部材5が直接に締結されることで、アウターミラー1はドアパネル10の表面に固定される。
シール部41は一般面40の最外周に沿って形成されている。シール部41の形状は、一般面40から外周側上方に突起し、途中で折れ曲がり、先端部が内側に傾斜している。一般面40を基準としたシール部41の高さは3mm程度であり、厚みは0.5~0.9mm程度である。
リブ断面の重心を結ぶ線45が一般面40に対して垂直なので、先端面43に対する圧力が上下方向に変動する場合でも、圧力の荷重方向は変化しないため、リブ42の曲がりは生じ難い。
また、図6において、リブ42の高さは2.5mmであり、先端面43の短辺の長さは3.3mmであり、基部断面44の短辺の長さは3.5mmである。先端面43の面積(S3)と基部断面積(S2)の関係は、S3=0.94×S2であり、接触予定面の面積(S1)と基部断面積(S2)の関係は概ねS1=S2である。
リブ42の形状が異なる実施例2のガスケットについて説明する。実施例2のガスケット4について、図7に、図4及び図6の実施例1と同様のA-A断面図を示す。
一般面40から突起するリブ42のA-A断面における断面形状は上底が下底よりも短い台形である。上底の長さは2.0mmであり、下底の長さは3.5mmであり、高さは2.5mmである。
実施例2のガスケット4においても、リブ42の先端の先端面43から一般面40と接する基部の基部断面44に亘る、一般面40に平行なリブ断面の重心を結ぶ線45は、一般面40に対して垂直である。
先端面43の面積(S3)と基部断面積(S2)の関係は、S3=0.57×S2であり、接触予定面の面積(S1)と基部断面積(S2)の関係は概ねS1=0.63×S2である。
リブ42の形状が異なる実施例3のガスケットについて説明する。実施例3のガスケット4について、図8に、図4及び図6の実施例1と同様のA-A断面図を示す。
一般面40から突起するリブ42のA-A断面における断面形状は上底が下底よりも長い台形である。上底の長さは4.0mmであり、下底の長さは3.5mmであり、高さは2.5mmである。
実施例3のガスケット4においても、リブ42の先端の先端面43から一般面40と接する基部の基部断面44に亘る、一般面40に平行なリブ断面の重心を結ぶ線45は、一般面40に対して垂直である。
先端面43の面積(S3)と基部断面積(S2)の関係は、S3=1.1×S2であり、接触予定面の面積(S1)と基部断面積(S2)の関係は概ねS1=1.1×S2である。
リブ42の形状が異なる比較例1のガスケットについて説明する。比較例1のガスケット4について、図9に、図4及び図6の実施例1と同様のA-A断面図を示す。
一般面40から突起するリブ42のA-A断面における断面形状は、やや丸みを帯びたリブ先端を頂点とし、基部断面44の短辺を底辺とする直角三角形である。他の2辺は、頂点からリブ42の高さと等しい長さで垂直に底辺と交わる1辺と、頂点から斜めに底辺と交わる斜辺である。
リブの先端から一般面40と接する基部の基部断面44に亘る、一般面40に平行なリブ断面の重心を結ぶ線45は、一般面40に対して、シール部41側に傾いており、垂直ではない。
接触予定面の面積(S1)と基部断面積(S2)の関係は概ねS1=0.3×S2である。
実施例1のガスケットのリブの形状と、比較例1のガスケットのリブの形状を、CATIA-CAEにて評価した。具体的には、取り付け時のリブへの荷重を346Nとし、圧力変動時のリブへの荷重を52.6Nとした場合の各リブの形状変化をシミュレーションした。
リブの基部断面の短辺方向から観察したリブの圧力変動時における形状変化について、実施例1のガスケットのリブの形状変化を図10に示し、比較例1のガスケットのリブの形状変化を図11に示す。
実施例1のガスケットのリブにおいては、圧力変動時の横方向への変位(曲げモーメント)が著しく低減されていることがわかる。
実施例1の自動車のうち、ドアのアウターパネルとアウターミラーのミラーベースとのクリアランスが最も小さいもの(以下、建付け最小品という。)と、ドアのアウターパネルとアウターミラーのミラーベースとのクリアランスが設計通りのもの(以下、建付け中央品という。)について、ドアの開閉を行い、異音の有無を確認した。
比較例1の自動車についても同様の試験を行った。
以上の結果を評価例1の結果と共に表1に示す。
2 ミラー本体
3 ミラーベース
4 ガスケット
5 締結部材
6 位置合わせ部
7 仮保持部
8 コード
10 ドアパネル
11 貫通孔
12 中央孔
20 リインフォース
21 貫通孔
22 貫通孔
23 貫通孔
40 一般面
41 シール部
42 リブ
43 先端面
44 基部断面
45 線(重心線)
Claims (5)
- 車両の車体表面に取り付けられるアウターミラーに使用されるガスケットであって、
取り付け時に前記車体表面に対向する一般面と、
前記一般面から突起し、取り付け時に前記車体表面に接触するシール部と、
前記シール部の内側の前記一般面から突起し、取り付け時に前記車体表面に接触するリブと、を備え、
前記リブの先端から前記一般面と接する基部に亘る、前記一般面に平行なリブ断面の重心を結ぶ線が、前記一般面に対して垂直であることを特徴とするガスケット。 - 前記リブにおいて、前記車体表面との接触予定面の面積(S1)と前記リブにおける前記基部の断面積(S2)の関係が、S1≧0.5×S2を満足する請求項1に記載のガスケット。
- 前記リブが、前記線を軸として回転対称である請求項1又は2に記載のガスケット。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のガスケットを備えるアウターミラー。
- 請求項4に記載のアウターミラーを備える車両。
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