JP7271647B2 - 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法、及び凹状成形体 - Google Patents

架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法、及び凹状成形体 Download PDF

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Description

本発明は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体、該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法及び凹状成形体に関する。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、優れた耐熱性及び断熱性を有しているので、従来から、断熱材、クッション材等として広範な分野で使用されている。特に、自動車用途では、天井、ドア、インストルメントパネル、クーラーカバー等の断熱材及び内装材として使用されている。
自動車内装成形品などにおいて、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、通常、その表面に軟質ポリ塩化ビニルシートなどの表皮材を接着剤又は押出機によりラミネートして複合材とし、この複合材を、例えば、赤外線ヒーターなどで加熱し溶融状態にされたポリプロピレンシートなどの骨材上にセットして、プレス加工されて成形品とされる。そのため、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体については、高い耐熱性及び良好な成形加工性などが求められている。
特許文献1には、各表層部の架橋度が、中層部の架橋度よりも3%以上高い架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、高い耐熱性と柔軟性を兼ね備えており、スタンピング成形性も良好であることが記載されている。
特開2004-204154号公報
特許文献1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、一定の耐熱性、柔軟性、成形性を有する。しかしながら、近年、機能性の観点及び嗜好性の多様化の観点から、車両用内装材にも複雑な形状が求められるようになってきており、より複雑な形状に成形する場合には、引用文献1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体では成形加工性が十分ではない場合があることが確認された。特に、架橋ポリオフィン系樹脂発泡体を用いて、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の両面それぞれに表皮材及び骨材が積層され、かつ表皮層が内側にある凹状成形体を製造する際には、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表皮層側及び骨材側の表面の一部に破れが発生することが多いことが確認された。
そこで、本発明は、耐熱性と柔軟性とを有し、破れ等の発生が少なく成形加工性の良好な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、両面の表層部の架橋度の差が5~15質量%である架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が、前記課題を解決できることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]~[7]に関する。
[1]両面の表層部の架橋度の差が5~15質量%である、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
[2]架橋度の高い表層部の架橋度が45~55質量%であり、架橋度の低い表層部の架橋度が35~50質量%である上記[1]に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
[3]見掛け密度が0.025~0.200g/cmである、請求項1又は2に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
[4]ポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂発泡性組成物の架橋発泡体である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
[5]下記(1)~(3)の工程を含む架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
(1)ポリオレフィン系樹脂及び発泡剤を含有するポリオレフィン系樹脂発泡性組成物をシート状に加工し、ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを製造する工程1
(2)該ポリオレフィン系樹脂発泡性シートの両方の面に対して電離性放射線を照射し架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを製造する工程であって、両方の面の電離性放射線の照射線量の差が0.2Mrad以上である工程2
(3)架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを発泡させ架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する工程3
[6]上記[1]~[4]のいずれかに記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の両面それぞれに表皮材及び骨材が積層された凹状成形体であり、前記表皮材を内側に有する、凹状成形体。
[7]前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の架橋度が低い表層側の表面に骨材が積層され、架橋度が高い表層側の表面に表皮層が積層されている、上記[6]に記載の凹状成形体。
本発明によれば、成形加工性の良好な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することができる。
本発明の凹状成形体の断面模式図である。
[架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体]
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、後述するポリオレフィン系樹脂発泡性組成物を架橋し、発泡させた発泡体であり、両面の表層部の架橋度の差が5~15質量%である。ここで架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表層部とは、最表面から0.5mmまでの領域のことを意味し、中層部とは、両表層部を除いた部分を意味する。
<架橋度>
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、両面の架橋度の差が5~15質量%である。架橋度の差が5%未満であると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の成形加工性時、特に、該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体と表皮材と骨材を用いて、凹状成形体を製造する際に破れが発生する傾向がある。一方で、両面の架橋度の差が15質量%を超えた場合には、発泡体表面に皺が入りやすくなり、これに起因して、外観不良、又は表皮材、骨材との接着性不良等の問題が生じやすい。
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の両面の表層部の架橋度の差は、成形加工性を良好とする観点から、好ましくは、6~14質量%、より好ましくは7~13質量%、8~12質量%である。
また同様の観点から、架橋度の高い表層部の架橋度は、好ましくは45~55質量%であり、より好ましくは48~53質量%であり、架橋度の低い表層部の架橋度は、好ましくは35~50質量%であり、より好ましくは37~45質量%である。なお、架橋度の高い表層部とは、両面の表層部の架橋度を比較し、相対的に架橋度の高いほうの表層部のことを意味し、逆に、架橋度の低い表層部とは、両面の表層部の架橋度を比較し、相対的に架橋度の低いほうの表層部のことを意味する。
中層部の架橋度は特に限定されないが、好ましくは少なくとも一方の表層部の架橋度よりも高いことが好ましく、より好ましくは両面の表層部の架橋度よりも高いことが好ましい。具体的には、中層部の架橋度は、架橋度の高い表層部の架橋度よりも、2質量%以上高いことが好ましく、3~10質量%高いことが好ましく、4~8質量%高いことが好ましい。上記のように中層部の架橋度を調整することで、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の機械的強度を向上させることができ、成形加工時の発泡体表面の破れを低減しやすくなる。架橋度は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
<見かけ密度>
架橋ポリオフィン系樹脂発泡体は、その見かけ密度が0.025~0.200g/cm3であることが好ましく、0.040~0.200g/cm3であることがより好ましい。見かけ密度をこのような範囲とすることで、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が良好となる。見かけ密度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
<厚み>
架橋ポリオフィン系樹脂発泡体の厚みは、特に制限されないが、1.1~10mmが好ましく、1.5~8mmがより好ましく、2~5mmがさらに好ましい。
<ポリオレフィン系樹脂組成物>
架橋ポリオフィン系樹脂発泡体は、ポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂発泡性組成物を架橋、発泡して得られる架橋発泡体である。ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物には、発泡剤が少なくとも含まれることが好ましく、また、必要に応じて架橋助剤、及びその他添加剤が含まれていてもよい。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性、及び成形加工性を向上させる観点から、ポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましく、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との双方を含むことがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレンランダム共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレンブロック共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性及び柔軟性を良好とし易いため、プロピレンを主成分とするエチレン-プロピレンブロック共重合体を用いることが好ましい。
上記ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」と記す)は、70g/10分以下が好ましく、より好ましくは50g/10分以下であり、さらに好ましくは25g/10分以下である。また、MFRの下限は、通常0.1g/10分である。MFRが70g/10分以下である場合には、架橋度を所望の値に調整しやすくなる。
上記MFRは、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.2Nの条件下で測定した値である。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。上記したポリエチレン系樹脂の中では、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂のMFRは、0.5~70g/10分が好ましく、より好ましくは1.5~50g/10分であり、さらに好ましくは2~30g/10分である。
上記MFRは、JIS K 7210に準拠して、温度190℃、荷重21.2Nの条件下で測定した値である。
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂を含有する場合は、耐熱性を向上させる観点から、ポリオレフィン系樹脂中において、ポリプロピレン系樹脂を好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上含有することが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂が、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを含有する場合は、ポリプロピレン系樹脂の量の方が多いことが好ましく、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂との全量基準において、ポリプロピレン系樹脂が好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上である。このような配合量にすることにより、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性と柔軟性が良好になる。
また、ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。
(発泡剤)
ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物に含まれる発泡剤としては、例えば、熱分解発泡剤が挙げられ、熱分解型発泡剤としては、有機発泡剤、無機発泡剤が使用可能である。熱分解型発泡剤は、通常、樹脂の溶融温度より高い分解温度を有するものを使用し、例えば分解温度が140~270℃のものを使用すればよい。
具体的な有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。
発泡性組成物における熱分解型発泡剤の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部、より好ましくは1~15質量部、さらに好ましくは2~10質量部である。
(架橋助剤)
ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物に必要に応じて含まれる架橋助剤としては、特には限定されないが、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル等が挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上が併用されてもよい。
上記架橋助剤の添加量は、所望の架橋度の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得る観点から、上記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対し、0.1~30質量部が好ましく、より好ましくは0.3~15質量部であり、さらに好ましくは0.5~10質量部である
(その他添加剤)
ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材、防錆剤、分解温度調整剤等の発泡体に一般的に使用する添加剤を配合されてもよい。これらの中では酸化防止剤、防錆剤のいずれか又は双方を使用することが好ましい。
<架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法>
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、下記(1)~(3)の工程を含む架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法であることが好ましい。
(1)ポリオレフィン系樹脂及び発泡剤を含有するポリオレフィン系樹脂発泡性組成物をシート状に加工し、ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを製造する工程1。
(2)該ポリオレフィン系樹脂発泡性シートの両方の面に対して電離性放射線を照射し架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを製造する工程であって、両方の面の電離性放射線の照射線量の差が0.2Mrad以上である工程2。
(3)架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを発泡させ架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する工程3。
(工程1)
工程1は、ポリオレフィン系樹脂及び発泡剤を含有するポリオレフィン系樹脂発泡性組成物をシート状に加工し、ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを製造する工程である。ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物を、バンバリーミキサーや加圧ニーダ等の混練り機を用いて混練した後、押出機、カレンダ、コンベアベルトキャスティング等により連続的に押し出すことによりポリオレフィン系樹脂発泡性シートを製造することができる。
(工程2)
工程2は、ポリオレフィン系樹脂発泡性シートの両方の面に対して電離性放射線を照射し架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを製造する工程であって、両方の面の電離性放射線の照射線量の差が0.2Mrad以上である工程である。電離性放射線としては、例えば、光、γ線、電子線等が挙げられる。
両方の面の電離性放射線の照射線量の差は、両面の表層部の架橋度の差を所望の範囲とする観点から、0.2~1Mradであることが好ましく、0.3~0.8Mradであることがより好ましい。
照射線量が多い表層側の照射線量は、好ましくは1.6~2.5Mradであり、より好ましくは1.7~2.2Mradである。照射線量が少ない表層側の照射線量は、好ましくは1.0~2.0Mradであり、より好ましくは1.2~1.6Mradである。
照射線量の多い表層側についての電離性放射線の加速電圧は、好ましくは200~1000kV、より好ましくは300~800kVである。照射線量の少ない表層側についての電離性放射線の加速電圧は、好ましくは300~1500kV、より好ましくは400~1000kVである。また、加速電圧は、照射線量の多い表層側の方を低くすることが好ましい。加速電圧にも差をつけることで、より明確に架橋度差をつけることができる。
(工程3)
工程3は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを発泡させ架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造する工程である。架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを発泡させる方法としては、オーブンのようなバッチ方式や、架橋発泡性シートを長尺のシート状とし、連続的に加熱炉内を通す連続発泡方式を挙げることができる。
<凹状成形体>
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、凹状成形体とすることができる。例えば、凹状成形体は、図1に示すように、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体13の両面それぞれに表皮材12及び骨材14が積層されたものであって、表皮材を内側に有する。
凹状成形体とは、表皮材側が内側になるように凹状に成形されたあらゆる形状の成形体を意味し、例えば、カップ状、半球状、砲弾状などの成形体が挙げられる。凹状成形体のコーナーエッジ部15は、曲面状であっても、角状であってもよいが、本発明の、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、コーナーエッジ部15が角状の凹状成形体を作製する場合においても、破れや皺などが生じ難く、成形加工性が良好である。
表皮材は、デザイン性、断熱性等の機能性を付与することを目的に好適に使用されるものである。表皮材としては、特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂シート、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂シート、熱可塑性エラストマーシートなどの合成樹脂シート;ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリレート系などの合成繊維シート又は不織布;セルロース系などの天然繊維シート又は不織布等が挙げられる。表皮材の厚さは好ましくは0.4~0.7mm、より好ましくは0.5~0.6mmである。表皮材の融点は80~220℃が好ましく、100~200℃がより好ましい。
骨材を構成する材料としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられ、熱可塑性樹脂の中でもポリオレフィン系樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂には、タルク、珪酸、炭酸カルシウムなどの無機物を熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲で配合してもよいし、又、成形加工性を損なわない範囲でABS樹脂、ポリスチレン系樹脂、石油樹脂などオレフィン系以外の樹脂を添加してもよい。骨材の厚さは好ましくは5~50mm、より好ましくは10~30mmである。骨材の融点は90~200℃が好ましく、100~180℃がより好ましい。また、骨材の融点は表皮材の融点より低いことが好ましい。
また、凹状成形体は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の架橋度が低い表層側に骨材が積層され、架橋度が高い表層側に表皮材が積層されていることが好ましい。このような態様である場合には、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の破れが生じ難いという本発明の効果がより顕著となる。この理由は、定かではないが、以下のように推定される。すなわち、骨材は、表皮材よりも外側に存在するため、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の骨材側の表面は、骨材表面に密着性よく積層されるために、骨材表面の形状に合わせて延伸される必要がある。したがって、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の骨材側の表面の架橋度が低いと、延伸性が良好となり、延伸における破れが低減されるものと推察される。これに対して、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表皮材側の表面は、成形加工において熱の影響を受けやすい表面であり、ある程度の耐熱性がないと、破れ又は皺の発生原因となってしまう。そのため、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表皮材側の表面は、架橋度が高いことが必要になるものと推察される。
<凹状成形体の製造方法>
本発明の凹状成形体の製造方法は、特に制限されるものではないが、例えば真空成形法、スタンピング成形法などを適用することができる。真空成形法は、例えば以下のように行うことができる。すなわち、まず最初に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に接着剤を用いて表皮材を貼り合わせ、複合材を作製する。次いで、予め所要形状に成形した骨材を金型の雌型にセットして、該骨材の表面に接着剤を塗布した後、その上に、上記複合材を架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体側を骨材側にして加熱状態で供給し、型内の空気を真空吸引により排出して、雄型と複合材、および複合材と骨材をそれぞれ密接させ加圧する。これらの工程により凹状成形体を得ることができる。
スタンピング成形法としては、例えば、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に接着剤を用いて表皮材を貼り合わせ、複合材を作製し、次いで、金型の一方のプレス面上に溶融状態の骨材用の熱可塑性樹脂を供給し、その上に、前記複合材を架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体側を骨材側にして加熱状態で積層し、両者を加圧する方法が例示される。
また、前記真空成形法、スタンピング成形法において、成形体を製造する際に発泡体の破れを生じ難くする観点から、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に表皮層を貼り合わせる場合は、架橋度の高い表層部の側に表皮層を貼り合わせることが好ましい。
本発明では、上記した真空成形法、スタンピング成形法の何れも適用可能であるが、真空成形法により、凹状成形体を得ることが好ましい。
コーナーエッジ部に角がある成形体を作製する場合には、成形性の観点から、通常、スタンピング成形が適用されるが、本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いると、被成形体に対する熱の影響の少ない真空成形を適用しても、成形性の良好な成形体を得ることが可能となる。
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体シート及びこれを用いた凹状成形体の用途は特に限定されるものではないが、天井、ドア、インストルメントパネル、クーラーカバーなどの車両用内装材として好適に使用される。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂(エチレン-プロピレンランダム共重合体:住友化学社製、商品名「AD571」、密度0.90g/cm3、MFR0.5g/10分(230℃))80質量部、及び直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製、商品名「ZF231」、MFR2g/10分(190℃)、密度0.917g/cm3)20質量部、アゾジカルボンアミド(発泡剤、永和化成工業(株)製商品名「ビニホールAC-K3-TA」、分解温度:210℃)7質量部、ジビニルベンゼン(架橋助剤)3質量部、ジラウリルチオプロピオネート(酸化防止剤)0.3質量部、及びメチルベンゾトリアゾール(金属害防止剤)0.5質量部を混合して得たポリオレフィン系樹脂発泡性組成物を、単軸押出機により、温度185℃で溶融混練して、ポリオレフィン系樹脂発泡性シートとした。該発泡性シートの表層を加速電圧650keVにて電離性放射線を1.8Mradで照射し、次いでもう一方の表層を加速電圧800keVにて電離性放射線を1.4Mradで照射して、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを得た。その後、該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡性シートを、炉内温度250℃の縦型熱風式発泡炉に供給し、進入速度1.7m/秒、巻取速度6.2m/秒で連続的に延伸しつつ加熱発泡させ、目的とする架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。
該架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体について、見掛け密度、表層部(表層部(1)及び表層部(2))及び中層部の架橋度、成形加工性評価を下記とおり行った。結果を表1に示した。
(実施例2、比較例1~2)
ポリオレフィン系樹脂発泡性組成物の組成、電離性放射線の照射量及び加速電圧を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。
(見掛け密度)
JIS K 7222に準拠して測定した。
(架橋度)
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体から、その両面からそれぞれ深さ0.5mmまでの領域をスライスし表層部(1)及び(2)とし、残りを中層部とした。得られた表層部(1)、(2)、及び中層部の架橋度をそれぞれ以下のとおり測定した。
約100mgの試験片を採取し、試験片の重量A(mg)を精秤する。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の重量B(mg)を精秤る。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出する。
架橋度(質量%)=100×(B/A)
(成形加工性評価)
各実施例、比較例で作製したそれぞれの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の架橋度の高い表層部側の表面に、ウレタン系接着剤を用いてポリ塩化ビニルシートからなる表皮材(0.6mm)を貼り合わせ、複合材を作製した。次いで、角状のコーナーエッジ部を有する凹状に成形した骨材(底面積250cm、高さ10cm)を金型の雌型にセットして、該骨材の表面にウレタン系接着剤を塗布した後、その上に、上記複合材を、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体側を骨材側にし、シート表面が180℃になるようにして供給した。その後、型内の空気を真空吸引により排出して、雄型と複合材、および複合材と骨材をそれぞれ密接させ、25%の圧縮率となるようにクリアランスを調整して30秒間加圧することにより、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の両面それぞれに表皮材及び骨材が積層され、表皮材を内側に有する凹状成形体を得た。
得られた凹状成形体について、下記の基準で成形加工性を評価した。
A:架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表皮側表面及び骨材側表面について、破れた箇所が確認されなかった
B:架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表皮側表面又は骨材側表面に一部破れた箇所が確認された
C:架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表皮側表面及び骨材側表面に破れた箇所が確認された
Figure 0007271647000001
表1の結果から明らかなように、凹状成形体を作成する際に、両面の表層部の架橋度の差が5~15質量%である本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用い場合には、成形加工性が良好であった。一方、両面の表層部の架橋度差がほとんどない架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた場合は、表面破れが確認され、成形加工性に劣るものであった。
11 凹状成形体
12 表皮材
13 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
14 骨材
15 コーナーエッジ部

Claims (4)

  1. 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の両面それぞれに表皮材及び骨材が積層された凹状成形体であり、前記表皮材を内側に有し、
    前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、架橋度の高い表層部の架橋度が45~55質量%であり、架橋度の低い表層部の架橋度が35~50質量%であり、両面の表層部の架橋度の差が5~15質量%であり、前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の架橋度が低い表層側の表面に骨材が積層され、架橋度が高い表層側の表面に表皮材が積層されている、凹状成形体
  2. 前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の見掛け密度が0.025~0.200g/cmである、請求項1に記載の凹状成形体
  3. 前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が、ポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂発泡性組成物の架橋発泡体である、請求項1又は2に記載の凹状成形体
  4. 前記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における中層部の架橋度が、架橋度の高い表層部の架橋度よりも3~10質量%高い、請求項1~3のいずれかに記載の凹状成形体。
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