JP2004276261A - 成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の成形品は、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の内の少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなり、見掛け密度が0.040〜0.200g/cm3 であり且つ常温における25%圧縮強度が0.98〜9.80N/cm2 であると共に、160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値が9.8〜19.6N/cm2 であるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂が積層一体化された上で所望形状に成形されてなる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械的強度、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランスに優れており、複雑な形状に成形可能なポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを用いた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリオレフィン系樹脂からなる架橋発泡シートは、柔軟性、耐熱性及び機械的強度等に優れていることから、例えば、天井、ドア、インストルメントパネル等の車両内装材として汎用されている。
【0003】
このようなポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートとしては、例えば、特許文献1には、ポリエチレン及び/又はエチレン共重合体と、融点が130〜160℃のエチレン−ブテン−プロピレン共重合体Aと、共重合体Aの融点より10℃以上高い融点を有するポリプロピレン及び/又はプロピレン共重合体との混合物に、発泡剤と、架橋剤及び/又は架橋促進剤を添加混合し、架橋、発泡させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの製造方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記公報に開示されている製造方法で得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは柔軟性が不十分であるという問題点があり、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを複雑な形状に成形した際に破れが生じるといった問題点があった。
【0005】
更に、特許文献2には、常温における25%圧縮強度が4.9〜11.8N/cm2 、120℃における100%モジュラスが15.7〜29.4N/cm2、160℃における100%モジュラスが3.9〜9.8N/cm2 及び比重が0.04〜0.20であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートが開示されている。
【0006】
しかしながら、上記公報に開示されているポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、近年増加している複雑な形状を有する成形品への成形において、耐熱性が不十分であるという問題点や、又、例えばスタンピング成形で必要とされる常温における機械的強度が不十分であるという問題点があった。
【0007】
【特許文献1】
特公平2−38100号公報
【特許文献2】
特開2000−355085号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的強度、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランスに優れ、スタンピング成形等の成形方法を用いて複雑な形状の成形品を得ることができるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを用いた成形品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の成形品は、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の内の少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなり、見掛け密度が0.040〜0.200g/cm3 であり且つ常温における25%圧縮強度が0.98〜9.80N/cm2 であると共に、160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値が9.8〜19.6N/cm2 であるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂が積層一体化された上で所望形状に成形されてなることを特徴とする。
【0010】
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂は、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度のうちの少なくとも一つが140℃以上であることが必要である。即ち、ポリオレフィン系樹脂における示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度が複数個ある場合には、そのうちの少なくとも一つが140℃以上であることが必要である。
【0011】
これは、ポリオレフィン系樹脂の融解吸熱ピーク温度の全てが140℃未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの機械的強度や耐熱性が不十分となるからである。
【0012】
そして、このようなポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。又、ポリオレフィン系樹脂を二種類以上、混合して用いる場合には、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度のうちの少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂を少なくとも一種類含有しておればよい。
【0013】
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン成分を50重量%以上含有するエチレンと重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0014】
なお、エチレンと共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。重合性モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0015】
更に、上記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレンと重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0016】
なお、プロ レンと共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンが挙げられる。プロピレンと共重合可能な重合性モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0017】
プロピレン−α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィンの含有量は、1〜8重量%が好ましく、2〜5重量%がより好ましい。これは、プロピレン−α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィンの含有量が1重量%未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性及び伸びが不十分となることがあり、又、8重量%を超えると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面性(外観)が損なわれることがあるからである。
【0018】
上記熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーとは、常温ではゴム弾性を示し、高温では可塑化されて各種の成形加工が可能となるものであり、一般に、分子中にエントロピー弾性を有するソフトセグメント(ゴム成分)と、塑性変形を防止するためのハードセグメント(分子拘束成分)とを共有していることが多く、成形可能な範囲においては部分架橋構造を有する場合もあるが、広範囲の三次元架橋構造(網目構造)は有していない。
【0019】
このような熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーとしては、例えば、ソフトセグメントとしてポリエチレン、エチレンと少量のジエンとの共重合体或いはこれらの部分架橋物等を有し、ハードセグメントとしてポリプロピレン等を有するブロック共重合体等からなるポリオレフィン系エラストマーが挙げられる。熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0020】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、機械的強度、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランスがより優れたものとなることから、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物であってポリプロピレン系樹脂を50重量%以上含有するもの、ポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体及び熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーからなる混合物が好ましく、ポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体及び熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーからなる混合物がより好ましい。
【0021】
そして、ポリオレフィン系樹脂として、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との混合物であってポリプロピレン系樹脂を50重量%以上含有するものを用いる場合には、ポリオレフィン系樹脂中におけるポリプロピレン系樹脂の含有量は、少ないと、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性が不十分となることがあり、又、多いと、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性や伸びが不十分となることがあるので、55〜90重量%が好ましい。
【0022】
又、ポリオレフィン系樹脂として、ポリエチレン系樹脂、プロピレン単独重合体及び熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーからなる混合物を用いる場合には、ポリエチレン系樹脂10〜50重量%、プロピレン単独重合体10〜40重量%及び熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー20〜50重量%からなるポリオレフィン系樹脂が好ましい。なお、ポリエチレン系樹脂とプロピレン単独重合体と熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーとの合計が100重量%となるように調整する必要がある。
【0023】
これは、ポリオレフィン系樹脂中におけるポリエチレン系樹脂の含有量が10重量%未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性や常温での機械的強度が不十分となることがあり、又、50重量%を超えると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性が不十分となることがあるからである。
【0024】
そして、ポリオレフィン系樹脂混合物中におけるプロピレン単独重合体の含有量が10重量%未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの機械的強度や耐熱性が不十分となることがあり、又、40重量%を超えると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性や伸びが不十分となることがあるからである。
【0025】
更に、ポリオレフィン系樹脂中における熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーの含有量が20重量%未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性や伸びが不十分となることがあり、又、50重量%を超えると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性が不十分となることがあるからである。
【0026】
上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの見掛け密度は、小さいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性が不十分となって、加熱成形時に気泡(セル)が破壊され、又、大きいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性及び伸びが不十分となるので、0.040〜0.200g/cm3 に限定される。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの見掛け密度は、JIS K6767「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」に準拠して測定されたものをいう。
【0027】
又、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける常温での25%圧縮強度は、小さいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの見掛け密度や結晶量が低下して機械的強度や耐熱性が不十分となり、又、大きいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性や伸びが不十分となるので、0.98〜9.80N/cm2 に限定される。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける常温での25%圧縮強度とは、JIS K6767に準拠して測定された25%圧縮強度をいう。具体的な測定方法としては、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートから縦5cm×横5cmの板状の試験片を複数個切り出し、これら試験片を厚み方向に複数枚、重ね合わせて厚み25cmの積層体を作製して常温下にて5時間放置した後、常温下にて積層体の25%圧縮強度を測定する。
【0028】
更に、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値は、小さいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性が低下して成形時に破泡や痘痕が発生し、又、大きいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性が低下して剛性が高くなり過ぎて成形性が低下するので、9.8〜19.6N/cm2 に限定される。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの100%モジュラスとは、JISK6767に準拠して測定された100%モジュラスをいう。
【0029】
そして、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値の具体的な測定方法は下記の通りである。
【0030】
即ち、同一形状、同一大きさのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18を18枚用意し、各ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18を160℃の高温ボックス中に5分間放置し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1〜A18を測定中、その加熱温度に維持する。
【0031】
なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18の厚みが10mm以下の場合は、そのまま用いる一方、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18の厚みが10mmを超える場合には、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18を何れか一方の表面を全面的に含んだ状態に厚み10mmにスライスして用いる。
【0032】
そして、図1に示したように、各ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18表面における任意点を測定中心点B1 〜B18と定める。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18間において、測定中心点B1 〜B18同士が相対的に同一位置となるように測定中心点B1 〜B18を定める。 次に、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18の表面に、測定中心点B1 〜B18を通る仮想基準線C1 〜C18を、互いのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18の仮想基準線C1 〜C18同士が測定中心点B1 〜B18を中心にして順次、時計周りに10°づつずれた状態に描く。
【0033】
つまり、任意のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート(第一シート)A1 に仮想基準線(第一仮想基準線)C1 を描き、次のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート(第二シート)A2 に第一仮想基準線C1 から測定中心点B2 を中心にして時計周りに10°だけずれた状態に仮想基準線(第二仮想基準線)C2 を描く。更に、次のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート(第三シート)A3 に第二仮想基準線C2 から測定中心点B3 を中心にして時計周りに10°だけずれた状態に仮想基準線(第三仮想基準線)C3 を描く。この要領を繰り返すことによって、全てのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18に一本づつ仮想基準線C1 〜C18を描く。
【0034】
次に、各ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18からJIS K6251の4.1(試験片の形状及び寸法)に規定するダンベル状1号形に4.4(試験片の打抜き刃型)に規定する打抜型を用いて試験片Dを打抜く(図2参照)。この時、試験片Dを幅方向に二つ折りに重ね合わせた時の仮想折曲線D1 と上記仮想基準線C1 〜C18とが合致し且つ仮想折曲線D1 の中間点D2 と測定中心点B1 〜B18とが合致した状態となるようにする。
【0035】
そして、各ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18から打抜かれて作製された試験片D毎に100%モジュラスをJIS K6767に準拠して測定し、その中から100%モジュラスの最大値を抽出する。
【0036】
更に、100%モジュラスが最大値をとる試験片の仮想基準線に対して90°だけずれた仮想基準線に基づいて作製された試験片の100%モジュラスを抽出し、この100%モジュラスと100%モジュラスの最大値との平均値を算出する。この平均値を、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値とする。
【0037】
なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートが押出発泡によって製造されたものである場合には、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける100%モジュラスが最大値をとる方向とは押出方向であり、100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向とは、押出方向に直交し且つポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面に沿った方向をいう。
【0038】
又、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける機械的物性と成形性とのバランスが優れることから、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスのうちの少なくとも一方が9.8〜14.7N/cm2 であることが好ましい。
【0039】
そして、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの常温での引張強度の最大値と、この引張強度の最大値をとる方向に直交する方向における常温での引張強度との平均値は、小さいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの成形性が低下して成形時に破泡や痘痕が発生することがあり、又、大きいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの柔軟性が低下して剛性が強くなり過ぎて成形性が低下することがあるので、117.6〜245.0N/cm2 が好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの引張強度とは、JIS K6767に準拠して測定された引張強度をいう。
【0040】
そして、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの常温における引張強度の最大値と、この引張強度の最大値をとる方向に直交する方向における常温での引張強度との平均値の具体的な測定方法は下記の通りである。
【0041】
即ち、同一形状、同一大きさのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを18枚用意し、各ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを常温下に5分間放置し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを測定中、その状態に維持する。
【0042】
なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18の厚みが10mm以下の場合は、そのまま用いる一方、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18の厚みが10mmを超える場合には、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18を何れか一方の表面を全面的に含んだ状態に厚み10mmにスライスして用いる。
【0043】
そして、図1に示したように、各ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18表面における任意点を測定中心点B1 〜B18と定める。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18間において、測定中心点B1 〜B18同士が相対的に同一位置となるように測定中心点B1 〜B18を定める。
【0044】
次に、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18の表面に、測定中心点B1 〜B18を通る仮想基準線C1 〜C18を、互いのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18の仮想基準線C1 〜C18同士が測定中心点B1 〜B18を中心にして順次、時計周りに10°づつずれた状態に描く。
【0045】
つまり、任意のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート(第一シート)A1 に仮想基準線(第一仮想基準線)C1 を描き、次のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート(第二シート)A2 に第一仮想基準線C1 から測定中心点B2 を中心にして時計周りに10°だけずれた状態に仮想基準線(第二仮想基準線)C2 を描く。更に、次のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート(第三シート)A3 に第二仮想基準線C2 から測定中心点B3 を中心にして時計周りに10°だけずれた状態に仮想基準線(第三仮想基準線)C3 を描く。この要領を繰り返すことによって、全てのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18に一本づつ仮想基準線C1 〜C18を描く。
【0046】
次に、各ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18からJIS K6251の4.1(試験片の形状及び寸法)に規定するダンベル状1号形に4.4(試験片の打抜き刃型)に規定する打抜型を用いて試験片Dを打抜く(図2参照)。この時、試験片Dを幅方向に二つ折りに重ね合わせた時の仮想折曲線D1 と上記仮想基準線C1 〜C18とが合致し且つ仮想折曲線D1 の中間点D2 と測定中心点B1 〜B18とが合致した状態となるようにする。
【0047】
そして、各ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートA1 〜A18から打抜かれて作製された試験片D毎に引張強度をJIS K6767に準拠して測定し、その中から引張強度の最大値を抽出する。
【0048】
更に、引張強度が最大値をとる試験片の仮想基準線に対して90°だけずれた仮想基準線に基づいて作製された試験片の引張強度を抽出し、この引張強度と、引張強度の最大値との平均値を算出する。この平均値を、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの常温における引張強度の最大値と、この引張強度の最大値をとる方向に直交する方向における常温での引張強度との平均値とする。
【0049】
なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートが押出発泡によって製造されたものである場合には、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける常温での引張強度の最大値をとる方向とは押出方向であり、常温における引張強度の最大値をとる方向に直交する方向とは、押出方向に直交し且つポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面に沿った方向をいう。
【0050】
又、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける機械的物性と成形性とのバランスが優れることから、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの常温での引張強度の最大値と、この引張強度の最大値をとる方向に直交する方向における常温での引張強度のうちの少なくとも一方が117.6〜196.0N/cm2 であることがより好ましい。
【0051】
ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの製造方法としては、汎用の発泡体の製造方法が用いられ、例えば、(1)上述したポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤とからなる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に、必要に応じて架橋助剤を添加した上で、この発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練し押出して発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを作製し、得られた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに電離性放射線を所定量照射して発泡性ポリオレフィン系樹脂シートに架橋構造を付与した後、この架橋された発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを上記熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱してポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを製造する方法(電離性放射線架橋法)、(2)上述したポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤とからなる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に、架橋剤及び必要に応じて架橋助剤を添加した上で、この発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を押出機に供給し溶融混練して発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを押出し、得られた発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを押出しと同時に加熱ロール等によって上記熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱してポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを製造する方法(化学架橋法)等が挙げられ、いずれの方法が採用されてもよい。又、上記製造方法は、インラインによる連続工程で行われてもよいし、アウトラインによる分割工程で行われてもよい。
【0052】
上記熱分解型発泡剤としては、従来から発泡体の製造に一般的に用いられている熱分解型発泡剤であれば特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム塩、ニトロソグアニジン、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられ、アゾジカルボンアミドが好ましい。熱分解型発泡剤は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0053】
上記熱分解型発泡剤の添加量は、特に限定されず、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましく、1〜14重量部がより好ましい。
【0054】
ポリオレフィン系樹脂100重量部に対する熱分解型発泡剤の添加量が1重量部未満であると、ポリオレフィン系樹脂が十分に発泡しないことがあり、又、30重量部を超えると、発泡時に破泡を起こし易くなって、所望のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを得られなくなるからである。
【0055】
又、上記架橋剤としては、従来から発泡体の製造に一般的に用いられている架橋剤であれば特に限定されず、例えば、イソブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、シクロヘキサンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ベルレート、ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸等が挙げられる。架橋剤は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0056】
そして、上記架橋剤の添加量は、特に限定されるものではないが、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。 これは、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対する架橋剤の添加量が0.1重量部未満であると、ポリオレフィン系樹脂の架橋密度が低くなり過ぎて、ポリオレフィン系樹脂に発泡に必要な剪断粘度を付与できないことがあり、又、10重量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂の架橋密度が高くなり過ぎて十分に発泡しないことがあるからである。
【0057】
又、上記架橋助剤としては、従来から発泡体の製造に一般的に用いられている架橋助剤であれば特に限定されず、例えば、トリアリルトリメリテート、トリアリルメリテート、ジアリルメリテート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート等が挙げられる。架橋助剤は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0058】
そして、上記架橋助剤の添加量は、特に限定されるものではないが、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
【0059】
ポリオレフィン系樹脂100重量部に対する架橋助剤の添加量が0.5重量部未満であると、架橋助剤を添加することによる効果を十分に得られないことがあり、又、20重量部を超えると、ポリオレフィン系樹脂の架橋が進み過ぎて、発泡が阻害されることがあるからである。
【0060】
又、架橋剤や架橋助剤の添加量の一つの目安として、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートのゲル分率が挙げられる。即ち、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートのゲル分率が20〜75重量%となるように架橋剤や架橋助剤の添加量を調整することが好ましく、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートのゲル分率が35〜70重量%となるように架橋剤や架橋助剤の添加量を調整することがより好ましい。
【0061】
なお、ここでいうゲル分率とは、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートから試験片として秤量(Ag)し、この試験片を120℃のキシレン中に24時間浸漬した後、残渣(不溶解分)を含むキシレン溶液を200メッシュの金網で濾過し、金網上の濾過残渣(不溶解分)を真空乾燥して、乾燥残渣(乾燥不溶解分)を秤量(Bg)し、下記式により算出されるゲル分率を意味する。
ゲル分率(重量%)=100×(B/A)
【0062】
ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの製造方法のうち、電離性放射線架橋法で用いられる電離性放射線としては、従来から発泡性樹脂組成物の架橋に一般的に用いられている電離性放射線であれば特に限定されず、例えば、電子線、α線、β線、γ線、X線等が挙げられる。電離性放射線は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0063】
本発明で用いられる発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物には、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの物性を阻害しない範囲内で必要に応じて、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系、燐系、アミン系、ジラウリルチオジプロピオネート等の硫黄系等の酸化防止剤(老化防止剤)、メチルベンゾトリアゾール等の金属害防止剤、燐系、窒素系、ハロゲン系、アンチモン系及びこれらの混合物等の難燃剤、無機充填剤、有機充填剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤(無機顔料や有機顔料)等の添加剤が添加されてもよい。なお、添加剤は、一種類若しくは二種類以上が添加されてもよい。
【0064】
このようにして製造されたポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、機械的強度、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランスに優れており、スタンピング成形や真空成形等の汎用の成形方法でもって、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂を積層一体化させた上で或いは熱可塑性樹脂を積層一体化させつつ所望形状に成形されて本発明の成形品とされる。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを用いて成形品を製造するには、スタンピング成形を用いるのが好ましい。
【0065】
ここで、スタンピング成形とは、雌雄型間に形成されたキャビティ内にポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを配設すると共に上記キャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を供給し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートと熱可塑性樹脂とを所望形状に成形しつつ、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂を積層一体化させる方法をいい、このスタンピング成形によって、上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂が積層一体化され且つ所望形状に成形されてなる成形品を製造することができる。
【0066】
スタンピング成形の具体的な要領の一例を具体的に説明すると、雌型内に団子状或いはシート状の熱可塑性樹脂を溶融状態にて配設した後、この熱可塑性樹脂上にポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを配設する。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは加熱されていてもそうでなくてもよい。しかる後、雌雄型を型閉めし、雌雄金型間に形成されたキャビティ内でポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート及び熱可塑性樹脂を所望形状に成形すると同時にポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂を積層一体化して成形品を製造することができる。
【0067】
そして、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0068】
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン成分を50重量%以上含有するエチレンと重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0069】
なお、エチレンと共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。重合性モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0070】
更に、上記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレンと重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0071】
なお、プロ レンと共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンが挙げられる。プロピレンと共重合可能な重合性モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0072】
又、上記熱可塑性樹脂には、その物性を損なわない範囲内において、タルク、珪酸、炭酸カルシウム等の無機化合物、熱安定剤、酸化防止剤、造核剤、着色剤等の添加剤が添加されてもよい。
【0073】
更に、上記熱可塑性樹脂に、ABS樹脂、ポリスチレン系樹脂、石油樹脂等のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂が添加されていてもよく、又、上記熱可塑性樹脂は発泡されていても架橋されていてもよい。
【0074】
そして、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの他面に表皮材が積層一体化されていてもよい。このように、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの他面に表皮材を積層一体化させる場合には、スタンピング成形する前に予めポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの他面に表皮材を積層一体化しておいても、或いは、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの他面に表皮材を分離可能に積層しておき、スタンピング成形時にポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの他面に表皮材を積層一体化させるようにしてもよい。
【0075】
上記表皮材としては、例えば、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニルとABS樹脂との混合樹脂からなるシート、熱可塑性エラストマーシート、織物、編物、不織布等が挙げられる。
【0076】
又、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを真空成形にて成形する場合には、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂を積層一体化させ、必要に応じて、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの他面に表皮材を積層一体化させた上で、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート及び熱可塑性樹脂、並びに、必要に応じて表皮材を所定温度に加熱し、真空成形して所望形状に成形すればよい。
【0077】
【作用】
本発明の成形品におけるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度のうちの少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなり、見掛け密度、常温における25%圧縮強度、及び、160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値が所定範囲に限定されているので、機械的強度、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランスに優れ、汎用の成形方法、特に、スタンピング成形に適しており、複雑な形状に正確に成形することができる。従って、このポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを用いた成形品は、美麗にして複雑な形状を採り得る。
【0078】
又、本発明の成形品におけるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、常温での引張強度の最大値と、この引張強度の最大値をとる方向に直交する方向における常温での引張強度との平均値が所定範囲内に限定されているので、スタンピング成形性により優れており、更に複雑な形状に正確に成形することができる。従って、このポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを用いた成形品は、より美麗にして複雑な形状を採り得る。
【0079】
【実施例】
(実施例1〜3、比較例1〜5)
示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度が120℃である直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.92g/cm3 、曲げ弾性率:294MPa、230℃でのメルトフローレート:2g/10分)、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度が164℃であるプロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm3 、曲げ弾性率:1960MPa、230℃でのメルトフローレート:14g/10分)及び示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度が143℃である熱可塑性ポリオレフィン系エラストマー(密度:0.88g/cm3 、曲げ弾性率:83.3MPa、230°でのメルトフローレート:0.45g/10分)からなるポリオレフィン系樹脂に、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール及びジラウリルチオジプロピオネートをそれぞれ表1に示した所定量づつ添加して発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を作製した。
【0080】
次に、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を二軸押出機に供給して樹脂温度190℃で押出し、厚さ1.5mmの発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0081】
続いて、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートをその両面に加速電圧800kVで電子線3.5Mradを照射して架橋させた後、250℃で5分間加熱して発泡させ、厚さ3mmのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを製造した。
【0082】
上記の如くして得られたポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの見掛け密度、常温における25%圧縮強度、160℃での100%モジュラスの最大値とこの100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値(160℃での100%モジュラス平均値)、及び、常温での引張強度の最大値とこの引張強度の最大値をとる方向に直交する方向における常温での引張強度との平均値(常温での引張強度平均値)を表1に示した。
【0083】
次に、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの上面にポリエステル系接着剤を介して厚さが0.50mmの軟質ポリ塩化ビニルシートを全面的に貼着一体化した。
【0084】
そして、軟質ポリ塩化ビニルシートが上面に貼着一体化されたポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートから縦15cm×横15cm×厚さ3.5mmの平面正方形状の板状体を切り出した。
【0085】
次に、型開き状態の雌雄型間に上記板状体をその軟質ポリ塩化ビニルシートが雄型側となるように配設すると共に、雌型内に200℃のポリプロピレン系樹脂(230℃でのメルトフローレート:20g/10分)20gを供給した後、雌雄型を直ちに圧力4.9MPaで5秒間、型閉めし、続いて、雌雄型を圧力0.98MPaで50秒間型閉めした。
【0086】
しかる後、雌雄型内に通水してポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを冷却した上で雌雄型を型開きして、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面にポリプロピレン系樹脂が、他面に軟質ポリ塩化ビニルシートが積層一体化されてなる成形品を得た。なお、成形品は、直径8cmで且つ厚み3.5mmの平面円形状の底面部の外周縁から厚み2mmの円筒状周壁部が垂直上方に向かって延設されてなる有底円筒状に形成されていた。
【0087】
上記の如くして得られた成形品の外観性及び柔軟性を下記基準にて評価し、その結果を表1に示した。
【0088】
(外観性)
得られた成形品の表面を目視観察して下記基準により外観性を評価した。
〔底面部〕
○‥‥底面部の軟質ポリ塩化ビニルシート部分に凸凹、皺は見られず、優れた外観であった。
×‥‥底面部の軟質ポリ塩化ビニルシート部分に凸凹、皺が発生し、外観は不良であった。
〔コーナー部〕
○‥‥底面部と周壁部との連設部分における軟質ポリ塩化ビニルシート部分に外面に破れはなく優れた外観であった。
×‥‥底面部と周壁部との連設部分における軟質ポリ塩化ビニルシート部分に破れが発生し、外観は不良であった。
【0089】
(柔軟性)
得られた成形品の軟質ポリ塩化ビニルシート部分の硬度をアスカーCタイプの硬度計を用いて測定し、下記判定基準により柔軟性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥硬度が59以下であった。
×‥‥硬度が60以上であった。
【0090】
【表1】
【0091】
以上述べたように、本発明の成形品におけるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の内の少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなり、見掛け密度が0.040〜0.200g/cm3 であり且つ常温における25%圧縮強度が0.98〜9.80N/cm2 であると共に、160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値が9.8〜19.6N/cm2 であるので、機械的強度、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランスに優れていると共に成形性にも優れており、このポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを用いた成形品は、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートに破れ等がない優れた外観性を有していると共に柔軟性及び触感に優れ略正確な寸法を有しており、例えば、車両内装材のような複雑な形状を有する成形品として好適に用いることができる。
【0092】
そして、上記本発明の成形品におけるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおいて、常温での引張強度の最大値と、この引張強度の最大値をとる方向に直交する方向における常温での引張強度との平均値が117.6〜245.0N/cm2 である場合には、機械的強度、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランス並びに成形性に更に優れており、このポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを用いた成形品は、表皮材に皺や凹凸が殆どない優れた外観性を有していると共に優れた柔軟性を有しており、高度な外観性及び触感が要求される用途にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値、及び、常温での引張強度の最大値と、この引張強度の最大値をとる方向に直交する方向における常温での引張強度との平均値を測定する際に用いられる試験片の作製要領を示した平面図である。
【図2】図2は、上記試験片を示した平面図である。
【符号の説明】
A1 〜A18 ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート
D 試験片
Claims (2)
- 示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の内の少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなり、見掛け密度が0.040〜0.200g/cm3 であり且つ常温における25%圧縮強度が0.98〜9.80N/cm2 であると共に、160℃での100%モジュラスの最大値と、この100%モジュラスの最大値をとる方向に直交する方向における160℃での100%モジュラスとの平均値が9.8〜19.6N/cm2 であるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂が積層一体化された上で所望形状に成形されてなることを特徴とする成形品。
- ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの他面に表皮材が積層一体化された上で所望形状に成形されてなることを特徴とする請求項1に記載の成形品。
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