JP2006070206A - ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、低密度であるにもかかわらず、耐熱性及び表皮強度に優れており、特に、スタンピング成形に好適に用いることができるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを提供する。
【解決手段】 本発明のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなると共に、密度が0.030〜0.045g/cm3 、ゲル分率が35〜55重量%、常温における表皮強度が28.0N/25mm以上、160℃における100%引張強度が0.03〜0.06MPaであることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低密度であるにもかかわらず耐熱性及び表皮強度に優れており、優れた成形性を有するポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートに関する。
従来から、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、優れた耐熱性及び断熱性を有していることから、断熱材や雑貨製品の材料として汎用されており、最近では、車両用内装材として用いられることが多くなっている。
そして、上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを用いて車両用内装材を製造するにあたってはスタンピング成形が用いられる。このスタンピング成形は、溶融状態の熱可塑性樹脂が直接、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面に接触することから、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートに耐熱性が要求される。
そこで、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤を含有する発泡性樹脂組成物を架橋・発泡してなるポリオレフィン系樹脂架橋発泡体において、該ポリオレフィン系樹脂が、(A)エチレンに炭素数4のα−オレフィンを共重合させた線状低密度ポリエチレン10〜40重量部、(B)エチレンに炭素数6のα−オレフィンを共重合させた線状低密度ポリエチレン10〜40重量部、及び(C)その他のポリオレフィン樹脂20〜80重量部を含有するものであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂架橋発泡体が開示されている。
しかしながら、上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、これを構成するポリオレフィン系樹脂に、特定の線状低密度ポリエチレンを含有させてなるものであるが、このような線状低密度ポリエチレンを含有させただけでは、スタンピング成形に充分に耐え得る耐熱性をポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートに付与することができない。
従って、上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートをスタンピング成形すると、加熱状態にて加えられた剪断応力によってポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面部の気泡が圧壊されて表面性が低下するといった問題点があった。
そして、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、その表面に表皮材を積層一体化させた上でスタンピング成形されるところ、上述したように、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面性の低下に伴って、該ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面に積層させた表皮材が発泡シート表面から剥離してしまうといった問題点があった。
特開平5−247257号公報
本発明は、低密度であるにもかかわらず、耐熱性及び表皮強度に優れており、特に、スタンピング成形に好適に用いることができるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを提供する。
本発明のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなると共に、
密度が0.030〜0.045g/cm3 、ゲル分率が35〜55重量%、常温における表皮強度が28.0N/25mm以上、160℃における100%引張強度が0.03〜0.06MPaであることを特徴とする。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の少なくとも一つが140℃以上であれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンを50重量%以上含有する他のモノマーとの共重合体などのポリプロピレン系樹脂;ポリエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレンを50重量%以上含有する他のモノマーとの共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン三次元共重合体などを含有するポリオレフィン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、単独で用いられても併用されてもよい。なお、プロピレンを50重量%以上含有する他のモノマーとの共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体又はランダムブロック共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンを50重量%以上含有する他のモノマーとの共重合体を構成する他のモノマーとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられ、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性及び成形性が優れていることから、エチレンが好ましい。
又、上記ポリエチレン系樹脂としては、エチレン単独重合体、エチレンを50重量%以上含有するα−オレフィンとの共重合体などが挙げられ、このような共重合体としては、具体的には、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどが挙げられ、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性及び成形性が優れていることから、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。なお、上記α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられ、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが好ましい。
そして、ポリプロピレン系樹脂のメルトインデックスは、小さいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの原反を押出機から押出すのが困難となったり、或いは、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面性が低下することがある一方、大きいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表皮強度や耐熱性が低下することがあるので、メルトインデックスが0.1〜1.0g/10分のポリプロピレン系樹脂とメルトインデックスが2.0〜8.0g/10分のポリプロピレン系樹脂とを併用することによって、ポリプロピレン系樹脂のメルトインデックスを調整することが好ましい。
又、ポリエチレン系樹脂のメルトインデックスは、小さくても大きくても、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表皮強度や耐熱性が低下することがあるので、1.0〜5.0g/10分が好ましい。
なお、ポリプロピレン系樹脂のメルトインデックスは、JIS K7210に準拠して230℃、荷重2.12Nの条件下で測定されたものをいい、又、ポリエチレン系樹脂は、JIS K7210に準拠して190℃、荷重2.12Nの条件下で測定されたものをいう。
そして、ポリオレフィン系樹脂中、メルトインデックスが0.1〜1.0g/10分であるポリプロピレン系樹脂の含有量は、少ないと、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表皮強度及び耐熱性が低下することがある一方、多いと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの原反を押出機から押出すのが困難となることがあるので、10〜40
重量%が好ましく、20〜40重量%がより好ましい。
又、ポリオレフィン系樹脂中、メルトインデックスが2.0〜8.0g/10分であるポリプロピレン系樹脂の含有量は、少ないと、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの高温における伸長性が低下することがある一方、多いと、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表皮強度や低温における機械的強度が低下することがあるので、20〜50重量%が好ましく、35〜50重量%がより好ましい。
更に、ポリオレフィン系樹脂中、メルトインデックスが1.0〜5.0g/10分であるポリエチレン系樹脂の含有量は、少ないと、表皮強度や低温における機械的強度が低下することがある一方、多いと、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性が低下することがあるので、20〜40重量%が好ましい。
そして、上記ポリオレフィン系樹脂は、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の少なくとも一つが140℃以上であることが必要である。
これは、ポリオレフィン系樹脂における示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の全てが140℃未満であると、得られるポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性や機械的強度が低下するからである。
次に、上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの製造方法について説明する。ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの製造方法としては、汎用の方法が用いられ、例えば、(1) ポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤に必要に応じて架橋助剤を添加してなる発泡性樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練して所望形状を有する発泡性樹脂シートを押出し、この発泡性樹脂シートに電離性放射線を照射して発泡性樹脂シートを架橋させた上で発泡性樹脂シートを加熱、発泡させてポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを製造する方法、(2) ポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤及び架橋剤に、必要に応じて架橋助剤を添加してなる発泡性樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練して所望形状を有する発泡性樹脂シートを押出し、この発泡性樹脂シートを架橋剤及び熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して発泡性樹脂シートを架橋しつつ発泡させてポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを製造する方法などが挙げられる。
ここで、上記熱分解型発泡剤としては、従来から発泡シートの製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、これらは単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
又、上記架橋助剤としては、従来から発泡シートの製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどが挙げられ、これらは単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
更に、上記架橋剤としては、従来から発泡シートの製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパ
ーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、クミルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、α, α′−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、t−ブチルパーオキシクメンなどが挙げられる。
なお、発泡性樹脂シートの架橋度合いの目安としてゲル分率が挙げられ、このゲル分率を調整することによって、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性及び表皮強度を向上させると共に、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの原反の発泡性を向上させることができ、具体的には、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートのゲル分率が、35〜55重量%となるように調整される。
ここで、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートのゲル分率は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートをAg秤量し、これを120℃のキシレン中に24時間浸漬して不溶解分を200メッシュの金網で濾過し、金網上の残渣を真空乾燥して乾燥残渣の重量を測定し(Bg)、下記式により算出した。
ゲル分率(重量%)=(B/A)×100
このようにして得られたポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの密度は、小さいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表皮強度及び耐熱性が低下し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの成形時に気泡が破壊され、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面性が低下する一方、大きいと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの軽量性が低下するので、0.030〜0.045g/cm3 に限定され、0.032〜0.043g/cm3 が好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの密度は、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの重量を見掛けの体積で除したものをいう。具体的には、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの密度は、ミラージュ社から商品名「電子比重計ED20T」で市販されている測定装置を用いて測定することができる。
又、得られたポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける常温での表皮強度は、低いと、成形時にポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートに加えられる剪断応力によって発泡シートの表面部の気泡が圧壊されて表面性が低下するので、28.0N/25mm以上に限定され、29〜40N/25mmが好ましい。
なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける常温での表皮強度は、下記の要領で測定されたものをいう。先ず、JIS Z0237に準拠して測定された180°引き剥がし粘着力が6.7N/25mmである、幅が25mmの粘着テープを用意し、この粘着テープをポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面に圧着する。なお、上記粘着テープとしては、例えば、積水化学工業社から商品名「N500」で市販されている粘着テープが挙げられる。
しかる後、常温にて1時間放置した後、200mm/分の引き剥がし速度で180°引き剥がし試験を行い、その際に要した引き剥がし力を測定し、この引き剥がし力を表皮強度とする。
更に、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける160℃での100%引張強度は、低いと、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの耐熱性が低下し、成形時に、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートに破れや表面荒れが発生する一方、高いと、成形時にポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの伸び性が低下し、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを複雑な形状に成形することができないので、0.03〜0.06MPaに限定され、0
.031〜0.045MPaが好ましい。
なお、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートにおける160℃での100%引張強度は、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを160℃の恒温室内に5分間に亘って放置したこと以外はJIS K6767に準拠し、伸び率が100%となった時に測定された引張強度をいう。
上記の如くして得られたポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、スタンピング成形や真空成形などの汎用の成形方法を用いて所望形状に成形することができ、通常、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、その一面に表皮材を積層した上で所望形状に成形加工される。特に、車両用内装材用途としては、上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に表皮材を積層一体化し、他面に骨材用の溶融状態の熱可塑性樹脂を供給した後、プレス成形するのが好ましい(このような成形方法は、一般に「スタンピング成形」と称される)。
上記スタンピング成形の形態としては、例えば、上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に表皮材を積層した複合シートを、凸型金型と凹型金型との間に配置して型を閉じ、複合シートのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート側に、骨材用の溶融状態の熱可塑性樹脂を射出供給した後、凸型金型と凹型金型とを型締めしてプレス成形する方法、予め凹型金型に骨材用の溶融状態の熱可塑性樹脂を供給しておき、上記複合シートのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート側が溶融状態の熱可塑性樹脂側になるように載置した後、凸型金型と凹型金型とを型締めしてプレス成形する方法、凸型金型と凹型金型との間に上記複合シートを配置し、型を閉じる前に、複合シートのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート側に骨材用の溶融状態の熱可塑性樹脂を載せ、その後型締めしてプレス成形する方法などが挙げられる。
上記表皮材としては特には限定されず、例えば、ポリオレフィン系樹脂シート、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂シート、熱可塑性エラストマーシートなどの合成樹脂シート;ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリレート系などの合成繊維シート又は不織布;セルロース系などの天然繊維シート又は不織布などが挙げられる。
そして、上記表皮材は、溶融状態の熱可塑性樹脂を供給する前に、熱ラミネート、接着剤などにより上記ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートに積層一体化しておくのが好ましいが、後述する溶融状態の熱可塑性樹脂を供給した後、プレス成形加工する際に、その熱により積層一体化してもよい。又、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂などが挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなると共に、密度が0.030〜0.045g/cm3 、ゲル分率が35〜55重量%、常温における表皮強度が28.0N/25mm以上、160℃における100%引張強度が0.03〜0.06MPaであることを特徴とするので、優れた表皮強度及び耐熱性を有しており、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの成形時に加えられる剪断応力や熱によっても、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面部の気泡が圧壊されにくい。
従って、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートによれば、優れた表面性及び複雑な形状を有する成形品を熱成形によって正確に得ることができると共に、表面に表皮材を積層させて用いる場合にあっても、熱成形時に発泡シート表面の荒れに起因した表皮材の剥離を抑えることができ、表面に表皮材を積層一体化させた外観性に優れた成形品を得ることが
できる。
そして、本発明のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートは、上述のように、表皮強度及び耐熱性に優れていることから、溶融状態の熱可塑性樹脂が直接接触するスタンピング成形法に好適に用いることができ、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの表面に熱可塑性樹脂からなる骨材が積層一体化され且つ所望形状に成形された成形品を得ることができる。
(実施例1〜3、比較例1〜4)
エチレン−プロピレン共重合体A(トクヤマ社製 商品名「RS511Y」、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度:150℃、曲げ弾性率:1000MPa、メルトインデックス:2.5g/10分、密度:0.90g/cm3 )、エチレン−プロピレン共重合体B(チッソ社製 商品名「XK0235」、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度:145℃、曲げ弾性率:750MPa、メルトインデックス:0.5g/10分、密度:0.90g/cm3 )、炭素数が8である直鎖状低密度ポリエチレンA(出光社製 商品名「モアテック0238CN」、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度:120℃、メルトインデックス:2.0g/10分、密度:0.92g/cm3 )、炭素数が6である直鎖状低密度ポリエチレンB(東ソー社製 商品名「ZF230」、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度:120℃、メルトインデックス:2.0g/10分、密度:0.92g/cm3 )及び炭素数が4である直鎖状低密度ポリエチレンC(東ソー社製 商品名「FS240」、示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度:120℃、メルトインデックス:2.2g/10分、密度:0.92g/cm3 )を表1及び表2に示した配合割合で混合してなるポリオレフィン系樹脂100重量部、架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレート3.8重量部、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド10重量部、並びに、抗酸化剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3重量部及びジラウリルチオジプロピオレート0.3重量部を二軸押出機に供給して溶融混練し、樹脂温度190℃にて押出して厚み1.30mmの発泡性樹脂シートを得た。なお、表1及び表2において「メルトインデックス」は単に「MI」と表記した。
得られた発泡性樹脂シートの両面に電子線を加速電圧800kVにて1.2Mradだけ照射し、発泡性樹脂シートを架橋した。しかる後、発泡性樹脂シートを250℃に加熱して5分間に亘って発泡させて、厚みが2.50mmのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを得た。
(比較例5)
アゾジカルボンアミドを10重量部の代わりに15重量部としたこと以外は実施例1と同様にして、厚みが2.50mmのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを得た。
(比較例6)
電子線を1.2Mradの代わりに1.0Mradとしたこと以外は実施例1と同様にして、厚みが2.50mmのポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを構成しているポリオレフィン系樹脂の融解吸熱ピーク温度、並びに、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの密度、ゲル分率、常温における表皮強度及び160℃における100%引張強度を上述の要領で、更に、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの成形性を下記の要領で測定し、その結果を表1及び表2に示した。
(成形性)
ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に表皮材(積水フィルム社製 商品名「ハイトロン」)を加熱によって積層一体化した後、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートをその他面の表面温度が350℃となるまで赤外線ヒータで35秒間に亘って加熱した。
しかる後、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを、三角錐状の凹部を有する雌型金型を用いて5秒間に亘って真空成形を行い、更に、この真空成形されたポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートを上記雌型金型に嵌合し得る三角錐状の凸部を有する雄型金型を用いてプレス成形して成形品を得た。得られた成形品を目視観察して下記基準に基づいて判断した。なお、発泡シート内部の気泡破壊の有無は、成形品を任意の箇所にて発泡シートの厚み方向に切断し、その切断面を目視観察することにより判断した。
○・・・成形品表面に凹凸が発生していないと共に、発泡シートと表皮材との間におい
て界面剥離も発生しておらず、更に、発泡シート内部にも気泡破壊は発生して
おらず、成形品の外観は良好であった。
×・・・成形品表面の凹凸、発泡シートと表皮材との間における界面剥離又は発泡シー
ト内部の気泡破壊の何れか或いは複数が発生していた。
Figure 2006070206
Figure 2006070206

Claims (2)

  1. 示差走査熱量分析による融解吸熱ピーク温度の少なくとも一つが140℃以上であるポリオレフィン系樹脂からなると共に、密度が0.030〜0.045g/cm3 、ゲル分率が35〜55重量%、常温における表皮強度が28.0N/25mm以上、160℃における100%引張強度が0.03〜0.06MPaであることを特徴とするポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート。
  2. ポリオレフィン系樹脂が、JIS K7210に準拠して230℃、荷重2.12Nの条件下で測定されたメルトインデックスが0.1〜1.0g/10分であるポリプロピレン系樹脂10〜40重量%、JIS K7210に準拠して230℃、荷重2.12Nの条件下で測定されたメルトインデックスが2.0〜8.0g/10分であるポリプロピレン系樹脂20〜50重量%、及び、JIS K7210に準拠して190℃、荷重2.12Nの条件下で測定されたメルトインデックスが1.0〜5.0g/10分であるポリエチレン系樹脂20〜40重量%からなることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート。
JP2004257353A 2004-09-03 2004-09-03 ポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート Pending JP2006070206A (ja)

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