JP2003082142A - 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及びその製造方法

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JP2003082142A
JP2003082142A JP2001276738A JP2001276738A JP2003082142A JP 2003082142 A JP2003082142 A JP 2003082142A JP 2001276738 A JP2001276738 A JP 2001276738A JP 2001276738 A JP2001276738 A JP 2001276738A JP 2003082142 A JP2003082142 A JP 2003082142A
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polyolefin resin
weight
foam
crosslinking
resin composition
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JP2001276738A
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Inventor
Isao Higuchi
勲夫 樋口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡倍率を上げても高温伸度及び高温破断強
度に優れ、且つ、フクレ現象やアバタ現象等を生じず、
真空成形法、圧縮成形法及びホットスタンピング成形法
等のいずれの成形方法でも優れた発泡体成形品を得るこ
とができる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及びその製
造方法を提供する。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂0〜99.5重量
%、ポリエチレン系樹脂0〜60重量%及び極性基を有
するポリオレフィン系樹脂0.5〜100重量%を含有
するポリオレフィン系樹脂組成物からなる架橋ポリオレ
フィン系樹脂発泡体、及び、上記ポリオレフィン系樹脂
組成物に対して熱分解型発泡剤及び架橋助剤を配合した
発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を熱分解型発泡剤の
分解温度未満の温度で溶融成形して発泡性シートを作製
し、上記発泡性シートを電離性放射線により架橋させ、
架橋後又は架橋と同時に上記発泡性シートを熱分解型発
泡剤の分解温度以上の温度に加熱して発泡させる上記架
橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋ポリオレフィ
ン系樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、断
熱材やクッション材などとして広範な分野で使用されて
いる。特に、自動車などの車両分野では、例えば、天井
材、ドア、インスツルメントパネル、コンソールボック
ス、リヤホイルハウスカバー、ラゲージハウスカバー、
トランクルームカバー等の車両用内装材として汎用され
ている。これらの車両用内装材は、一般に、シート状の
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の片面もしくは両面
に、軟質塩化ビニル系樹脂(PVC)シートなどの表皮
材を積層(ラミネート)した後、真空成形や圧縮成形な
どにより所定形状に成形加工して、製品化されている。
【0003】近年、ドアやインスツルメントパネル等の
形状が深くなるに伴い、特に発泡体の展開率が大きく良
く伸ばされるアームレストや決め込み部においては、表
皮材と発泡体との間に空気が溜って生じる、いわゆるフ
クレ現象への対策が一層必要となっている。又、オス型
とメス型とを組み合わせて真空成形するマッチドダイ法
では、両型のクリアランスの間で発泡体が強い剪断力を
受けて扱かれる結果、同様のフクレ現象が生じ易くなっ
ている。
【0004】これらの対策としては、高温(100℃以
上)での表皮材と発泡体との間の剥離強度を上げるのは
勿論のこと、高温伸度を上昇させて、高温弾性率を低下
させる方法などが挙げられる。高温伸度の上昇や高温弾
性率の低下は発泡体の架橋度を下げることにより実現で
きるが、発泡体の架橋度を下げると、発泡体表面の耐熱
性が低下して、高温時に発泡体表面に凹凸が生じる、い
わゆるアバタ現象が発生する。このアバタ現象は、発泡
体とPVCシートなどの表皮材とを貼り合わせる際に発
生し易く、表皮材に凹凸が生じて、外観不良となる。
又、発泡体と表皮材とを貼り合わせる際には、耐熱性の
みならず、ピンチロール等による扱きに対する抵抗力も
必要となる。
【0005】上記アバタ現象は、発泡体中に気泡の膜の
弱いところが存在し、そこに熱が加わり、更に応力が加
わることにより、気泡が破れ、微細な穴が発生して気泡
が収縮することによる凹凸の発生に起因するものと考え
られる。発泡体の表層付近は、特に熱を受け易く、表皮
材と積層する際に最も力を受け易いところでもある。
【0006】発泡体の表層を強化するための対策として
は、発泡体中の気泡の膜を強くすることや、気泡の膜厚
を厚くすること等が挙げられる。しかし、気泡の膜の強
度を高めると、発泡体全体として伸度を維持することが
困難となり、又、発泡方法の工夫のみで気泡の膜厚を厚
くし、且つ、発泡倍率を上げることは困難である。
【0007】一方、近年、自動車などの車両の内装材
は、軽量化、低コスト化が進み、使用される発泡体も高
発泡倍率品が要求されている。つまり、それだけアバタ
現象が発生し易い状況になってきている。
【0008】更に、近年、発泡体の分野においては、成
形サイクルが短縮化され、成形品の形状も複雑化し、例
えばホットスタンピング成形時に従来より大きな剪断力
が加えられたり、より高温に加熱されたりすることが多
くなっている。又、発泡体からなる深絞りの成形品も多
くなっている。ホットスタンピング成形においては、最
近、真空成形により予備成形した後にホットスタンピン
グ成形を行うことが主流となってきている。従って、ホ
ットスタンピング成形においても高温伸度が要求されて
いる。例えば、従来の表皮材付き発泡シートを、予め真
空成形により凹型で所望形状に成形し、これに加熱溶融
した熱可塑性樹脂からなる骨材を供給し、凸型で型押し
してホットスタンピング成形する場合、発泡シート内に
骨材が部分的に侵入し、この侵入した骨材により発泡シ
ートが部分的に千切れることがあり、良好な成形品を得
ることが困難である。
【0009】一般に、架橋ポリオレフィン系樹脂には架
橋剤が配合されるが、高温伸度、高温破断強度等の力学
的物性を上げるためには、ポリオレフィン系樹脂に対す
る架橋剤の分散が均一であることが望まれる。しかし、
架橋剤は極性基を有しているものが多いので、極性の低
いポリオレフィン系樹脂とは相溶性が悪く、一般的にポ
リオレフィン系樹脂中で固まりとなっており、均一に分
散しているとは言い難い。そのため、この状態で電子線
などの電離性放射線で架橋を施しても架橋点がポリオレ
フィン系樹脂中に均一に分散せず、ポリオレフィン系樹
脂中で架橋が過剰に起こっている部位と殆ど架橋してい
ない部位とが混在している状態になっていると考えられ
る。上記高温伸度は、架橋が過剰に起こっている部位で
悪くなり、高温破断強度は殆ど架橋していない部位で悪
くなると考えられるので、ポリオレフィン系樹脂に対す
る架橋剤の分散性を高めることにより、物性のバランス
が向上するものと考えられる。
【0010】又、電離性放射線による架橋発泡体におい
ては、架橋剤の配合量が多いほど、特に高温伸度及び高
温破断強度に優れる発泡体を得ることができるため、架
橋剤の大量配合が望まれている。しかし従来の技術で
は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して架橋剤
を5重量部以上配合すると架橋剤のブリードアウトが激
しくなるため、架橋剤の大量配合ができなかった。
【0011】架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体として、
例えば、特開平9−12762号公報には、ポリプロピ
レン系樹脂40〜100重量%とポリエチレン系樹脂0
〜60重量%とを含有するポリオレフィン系樹脂から形
成されたシート状の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に
おいて、厚み方向の架橋度(ゲル分率)の差が2.0重
量%以下で、表層部の見掛けの発泡倍率(倍)が、中央
部の見掛けの発泡倍率の60%以下であることを特徴と
する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が開示されてい
る。
【0012】しかし、上記公報に開示されている架橋ポ
リオレフィン系樹脂発泡体も、架橋剤をポリオレフィン
系樹脂に対して均一に分散させることについては何ら考
慮されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
現状に鑑み、発泡倍率を上げても高温伸度及び高温破断
強度に優れ、且つ、フクレ現象やアバタ現象等を生じ
ず、真空成形法、圧縮成形法及びホットスタンピング成
形法等のいずれの成形方法でも優れた発泡体成形品を得
ることができる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体、及
び、その製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の架橋ポリオレフ
ィン系樹脂発泡体は、ポリプロピレン系樹脂0〜99.
5重量%、ポリエチレン系樹脂0〜60重量%及び極性
基を有するポリオレフィン系樹脂0.5〜100重量%
を含有するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを
特徴とする。
【0015】又、本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発
泡体の製造方法は、上記ポリオレフィン系樹脂組成物に
対して熱分解型発泡剤及び架橋助剤を配合した発泡性ポ
リオレフィン系樹脂組成物を熱分解型発泡剤の分解温度
未満の温度で溶融成形して発泡性ポリオレフィン系樹脂
シートを作製し、次いで、上記発泡性ポリオレフィン系
樹脂シートを電離性放射線により架橋させ、架橋後又は
架橋と同時に、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シート
を熱分解型発泡剤の分解温度以上の温度に加熱して発泡
させることを特徴とする。
【0016】本発明で用いられるポリプロピレン系樹脂
としては、特に限定されるものではないが、例えば、プ
ロピレン単独重合体、プロピレンと該プロピレンと共重
合可能なプロピレン以外のα−オレフィンとのプロピレ
ンを主体とする共重合体、ポリプロピレン系樹脂と例え
ばポリエチレン系樹脂などのポリプロピレン系樹脂以外
のポリオレフィン系樹脂とのポリプロピレン系樹脂を主
体とする混合物等が挙げられる。これらのポリプロピレ
ン系樹脂は、単独で用いられても良いし、2種類以上が
併用されても良い。
【0017】上記プロピレンとプロピレン以外のα−オ
レフィンとのプロピレンを主体とする共重合体は、ラン
ダム共重合体であっても良いし、プロック共重合体であ
っても良い。又、上記共重合体は、二元共重合体であっ
ても良いし、三元以上の多元共重合体であっても良い。
【0018】プロピレンと共重合可能なプロピレン以外
のα−オレフィンとしては、特に限定されるものではな
いが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、
1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン等が挙げられる。これらのプロピレン
以外のα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、
2種類以上が併用されても良い。
【0019】プロピレンとプロピレン以外のα−オレフ
ィンとのプロピレンを主体とする共重合体中におけるプ
ロピレンの含有量は、特に限定されるものではないが、
50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは
85重量%以上である。上記共重合体中におけるプロピ
レンの含有量が50重量%未満であると、得られる架橋
ポリオレフィン系樹脂発泡体の高温伸度や高温破断強度
が不十分となることがある。
【0020】上記ポリプロピレン系樹脂は、特に限定さ
れるものではないが、JIS K−7210「プラスチ
ック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト
(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MV
R)の試験方法」に準拠し、温度230℃、荷重21.
18Nで測定されたメルトマスフローレイト(MFR)
が0.3〜10.0g/10分であるものが好ましく、
なかでも、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に
優れた耐熱性や高温伸度を付与することができることか
ら、0.4〜2.0g/10分であるものがより好まし
い。
【0021】本発明で用いられるポリエチレン系樹脂と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、超低
密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度
ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ンなどのいわゆるポリエチレン樹脂、エチレンと該エチ
レンと共重合可能なエチレン以外のα−オレフィンとの
エチレンを主体とする共重合体、エチレンと該エチレン
と共重合可能なα−オレフィン以外の重合性モノマーと
のエチレンを主体とする共重合体等が挙げられる。これ
らのポリエチレン系樹脂は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0022】上記エチレンとエチレン以外のα−オレフ
ィンとのエチレンを主体とする共重合体及びエチレンと
α−オレフィン以外の重合性モノマーとのエチレンを主
体とする共重合体は、ランダム共重合体であっても良い
し、ブロック共重合体であっても良い。又、上記共重合
体は、二元共重合体であっても良いし、三元以上の多元
共重合体であっても良い。
【0023】エチレンと共重合可能なエチレン以外のα
−オレフィンとしては、特に限定されるものではない
が、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、
1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン等が挙げられる。これらのエチレン以
外のα−オレフィンは、単独で用いられても良いし、2
種類以上が併用されても良い。
【0024】又、エチレンと共重合可能なα−オレフィ
ン以外の重合性モノマーとしては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル
酸、各種(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
これらのα−オレフィン以外の重合性モノマーは、単独
で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良
い。又、上記エチレン以外のα−オレフィン及びα−オ
レフィン以外の重合性モノマーは、それぞれ単独で用い
られても良いし、両者が併用されても良い。尚、ここで
言う(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリ
ル酸を意味する。
【0025】上記ポリエチレン系樹脂は、特に限定され
るものではないが、JIS K−7210に準拠し、温
度190℃、荷重21.18Nで測定されたMFRが
1.0〜20.0g/10分であるものが好ましい。
【0026】本発明においては、上記ポリエチレン系樹
脂のなかでも、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡
体に優れた高温伸度を付与することができることから、
上記MFRを有する直鎖状低密度ポリエチレンが特に好
適に用いられる。
【0027】本発明で用いられる極性基を有するポリオ
レフィン系樹脂としては、後述する極性基を有する架橋
剤の、上記ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂
に対する親和性を効果的に向上させ得るものであれば良
く、特に限定されるものではないが、例えば、無水マレ
イン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレン、無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重
合体、無水マレイン酸変性スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体系熱可塑性エラストマーもしくはその水素添
加物、無水マレイン酸変性スチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体系熱可塑性エラストマーもしくはその水素添
加物、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、プロピレン−(メタ)アクリ
ル酸共重合体、無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマ
ー、プロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体系オリゴ
マーなどの極性基を有するオレフィン系ポリマーもしく
はオリゴマー等が挙げられるが、なかでも、比較的少量
の配合量でも上記親和性向上効果が高く、且つ、ポリプ
ロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂との相溶性も良好
であることから、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無
水マレイン酸変性ポリプロピレン等の無水マレイン酸変
性ポリオレフィン系樹脂やプロピレン−(メタ)アクリ
ル酸共重合体等が特に好適に用いられる。これらの極性
基を有するポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられて
も良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0028】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
を構成するポリオレフィン系樹脂組成物は、前記ポリプ
ロピレン系樹脂0〜99.5重量%、前記ポリエチレン
系樹脂0〜60重量%及び上記極性基を有するポリオレ
フィン系樹脂0.5〜100重量%を含有してなること
が必要である。
【0029】ポリオレフィン系樹脂組成物中におけるポ
リプロピレン系樹脂の含有量が99.5重量%を超える
と、ポリオレフィン系樹脂組成物中における極性基を有
するポリオレフィン系樹脂の含有量が0.5重量%未満
となって、極性基を有するポリオレフィン系樹脂を配合
することによる前記親和性向上効果が不十分となる。
尚、本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂組成物中
には、ポリプロピレン系樹脂は必ずしも含有されていな
くても良い。
【0030】ポリオレフィン系樹脂組成物中におけるポ
リエチレン系樹脂の含有量が60重量%を超えると、得
られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の高温破断強度
や耐熱性が不十分となる。尚、本発明で用いられるポリ
オレフィン系樹脂組成物中には、ポリエチレン系樹脂は
必ずしも含有されていなくても良い。
【0031】ポリオレフィン系樹脂組成物中における極
性基を有するポリオレフィン系樹脂の含有量が0.5重
量%未満であると、極性基を有するポリオレフィン系樹
脂を配合することによる前記親和性向上効果が不十分と
なる。尚、本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂組
成物は、極性基を有するポリオレフィン系樹脂のみから
なるものであっても良い。
【0032】極性基を有するポリオレフィン系樹脂とし
て前記無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂を用い
る場合、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体中における無
水マレイン酸の含有量(C4 3 3 として換算、分子
量:99.06)は0.01重量%以上であることが好
ましく、より好ましくは0.05重量%以上である。例
えば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂として
無水マレイン酸の含有量が1重量%の無水マレイン酸変
性ポリプロピレンを用いる場合、ポリオレフィン系樹脂
組成物中における上記無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ンの含有量は1重量%以上であることが好ましいことに
なり、より好ましくは5重量%以上であることになる。
【0033】架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体中におけ
る無水マレイン酸の含有量が0.01重量%未満である
と、前記親和性向上効果を十分に得られないことがある
ため、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂の配合
量を多くする必要が生じることがある。
【0034】次に、本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂
発泡体の製造方法は、先ず、上述したポリオレフィン系
樹脂組成物に対して熱分解型発泡剤及び架橋助剤を配合
して発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を調製する。次
に、この発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を熱分解型
発泡剤の分解温度未満の温度で溶融成形して発泡性ポリ
オレフィン系樹脂シートを作製する。次いで、上記発泡
性ポリオレフィン系樹脂シートを電離性放射線により架
橋させ(電離性放射線架橋法)、架橋後又は架橋と同時
に、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを熱分解型
発泡剤の分解温度以上の温度に加熱して発泡させる。こ
のような製造方法を採ることにより、所望の架橋ポリオ
レフィン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0035】上記熱分解型発泡剤としては、本発明で用
いられるポリオレフィン系樹脂組成物の溶融温度よりも
高い分解温度を有するものであれば良く、特に限定され
るものではないが、例えば、アゾジカルボンアミド、ヒ
ドラゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸アミド、ア
ゾジカルボン酸バリウム塩、ジニトロソペンタメチレン
テトラミン、ニトロソグアニジン、p,p−オキシビス
ベンゼンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジンシ
ンメトリックトリアジン、ビスベンゼンスルホニルヒド
ラジドバリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソ
ブチロニトリル、トリエンスルホニルヒドラジド等が挙
げられるが、なかでも、発泡時の安定性が良好なことか
ら、アゾジカルボンアミドが好適に用いられる。これら
の熱分解型発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種
類以上が併用されても良い。
【0036】上記熱分解型発泡剤の配合量は、所望の発
泡倍率に応じて適宜設定されれば良く、特に限定される
ものではないが、前記ポリオレフィン系樹脂組成物10
0重量部に対して、熱分解型発泡剤1〜30重量部であ
ることが好ましく、より好ましくは2〜15重量部であ
る。
【0037】ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部
に対する熱分解型発泡剤の配合量が1重量部未満である
と、ポリオレフィン系樹脂組成物が十分に発泡しないこ
とがあり、逆に30重量部を超えると、発泡時に破泡を
起こし易くなって、所望の架橋ポリオレフィン系樹脂発
泡体を得られなくなることがある。
【0038】上記架橋助剤としては、従来から発泡体の
製造に一般的に用いられている架橋助剤で良く、特に限
定されるものではないが、例えば、ジビニルベンゼン、
ジアリルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレン
ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、トリアリルイソシアヌレート、1,9−ノナ
ンジオールジメタクリレート等が挙げられる。これらの
架橋助剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が
併用されても良い。
【0039】上記架橋助剤の配合量は、特に限定される
ものではないが、前記ポリオレフィン系樹脂組成物10
0重量部に対して、架橋助剤1〜30重量部であること
が好ましく、より好ましくは2〜15重量部である。
【0040】ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部
に対する架橋助剤の配合量が1重量部未満であると、架
橋助剤を配合することによる効果を十分に得られないこ
とがあり、逆に30重量部を超えると、ポリオレフィン
系樹脂組成物の架橋が進み過ぎて、発泡が阻害されるこ
とがある。
【0041】又、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物に
化学架橋剤を配合しておき、発泡性ポリオレフィン系樹
脂シートを作製した後、化学架橋剤を加熱分解させて架
橋を施しても良い(化学架橋法)。
【0042】上記化学架橋剤としては、従来から発泡体
の製造に一般的に用いられている化学架橋剤で良く、特
に限定されるものではないが、例えば、メチルエチルケ
トンパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、ジク
ミルパーオキサイドなどの有機過酸化物等が挙げられ
る。これらの化学架橋剤は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0043】上記化学架橋剤の配合量は、特に限定され
るものではないが、前記ポリオレフィン系樹脂組成物1
00重量部に対して、化学架橋剤0.01〜10重量部
であることが好ましく、より好ましくは0.05〜5重
量部である。
【0044】ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部
に対する化学架橋剤の配合量が0.01重量部未満であ
ると、ポリオレフィン系樹脂組成物の架橋度が低くなり
過ぎて、発泡に必要な溶融粘度(剪断粘度)を得られな
くなることがあり、逆に10重量部を超えると、ポリオ
レフィン系樹脂組成物の架橋度が高くなり過ぎて、十分
に発泡しなくなることがある。
【0045】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
の製造方法で用いられる発泡性ポリオレフィン系樹脂組
成物には、上記熱分解型発泡剤、架橋助剤、化学架橋剤
以外に、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応
じて、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ルなどのフェノール系、燐系、アミン系、ジラウリルチ
オジプロピオネートなどの硫黄系等の酸化防止剤(老化
防止剤)、メチルベンゾトリアゾール等の金属害防止
剤、燐系、窒素系、ハロゲン系、アンチモン系及びこれ
らの混合物等の難燃剤、無機充填剤、有機充填剤、滑
剤、帯電防止剤、着色剤(無機顔料や有機顔料)等の各
種添加剤の1種類もしくは2種類以上が配合されていて
も良い。
【0046】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
の製造を電離性放射線架橋法で行う場合に用いられる電
離性放射線としては、従来から発泡性樹脂組成物の架橋
に一般的に用いられている電離性放射線で良く、特に限
定されるものではないが、例えば、α線、β線、γ線、
X線、電子線等が挙げられる。これらの電離性放射線
は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用され
ても良い。
【0047】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
の製造において、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体中の
各層(例えば、表面層と内層)に架橋度差を付与したい
場合には、電離性放射線架橋法と化学架橋法とを併用し
ても良い。
【0048】こうして得られる本発明の架橋ポリオレフ
ィン系樹脂発泡体は、架橋度(ゲル分率)が30〜75
重量%であることが好ましく、より好ましくは、発泡時
の安定性が良好なことから、40〜65重量%である。
【0049】架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の架橋度
(ゲル分率)が30重量%未満であると、高温破断強度
や耐熱性が不十分となることがあり、逆に75重量%を
超えると、高温伸度や柔軟性が不十分となることがあ
る。
【0050】尚、本発明で言う架橋度(ゲル分率)と
は、試料として架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一部
を秤量(Ag)し、これを120℃のキシレン中に24
時間浸漬した後、残渣(不溶解分)を含むキシレン溶液
を200メッシュの金網で濾過し、金網上の濾過残渣
(不溶解分)を真空乾燥して、乾燥残渣(乾燥不溶解
分)を秤量(Bg)し、下式により算出される架橋度
(ゲル分率)を意味する。 架橋度{ゲル分率(重量%)}=(B/A)×100
【0051】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
は、発泡倍率が10〜35cm3 /gであることが好ま
しく、より好ましくは15〜25cm3 /gである。
【0052】架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の発泡倍
率が10cm3 /g未満であると、柔軟性が不十分とな
ったり、重量が重くなることがあり、逆に35cm3
gを超えると、高温伸度や高温破断強度が不十分となる
ことがある。
【0053】尚、本発明で言う発泡倍率とは、JIS
K−6767「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験
方法」に準拠して測定された見掛け密度(g/cm3
の逆数を意味する。
【0054】又、本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発
泡体においては、表面層近傍の耐熱性を向上させるため
に、表面層近傍の発泡倍率を中央部近傍の発泡倍率より
低く抑えて、表面層近傍の強度を高めても良い。
【0055】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
の用途は、特に限定されるものではなく如何なる用途に
用いられても良いが、代表的な用途としては、例えば、
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の片面もしくは両面に
表皮材が積層(ラミネート)されてなる車両用内装材等
が挙げられる。
【0056】上記表皮材としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、
アクリル系などの合成繊維やセルロース系などの天然繊
維等からなる布系表皮材や、軟質ポリ塩化ビニル系樹脂
や熱可塑性エラストマー等からなる樹脂系表皮材等が挙
げられる。これらの表皮材は、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。又、架橋ポリオレ
フィン系樹脂発泡体の両面に表皮材が積層される場合、
一方の面に積層される表皮材と他方の面に積層される表
皮材とは、同一のものであっても良いし、異なるもので
あっても良い。
【0057】架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に対する
表皮材の積層方法としては、公知の任意の方法で良く、
特に限定されるものではないが、例えば、接着剤を用い
る接着法、熱ラミネート法、押出ラミネート法等が挙げ
られ、いずれの積層方法が採られても良い。
【0058】
【作用】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、
極性基を有するポリオレフィン系樹脂を特定量含有する
ポリオレフィン系樹脂組成物からなるので、極性基を有
する架橋助剤のポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系
樹脂に対する親和性が著しく向上しており、上記架橋助
剤はポリオレフィン系樹脂組成物中に均一に分散してい
る。従って、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体中におい
ても架橋点が均一に分散しているので、発泡倍率を上げ
ても優れた高温伸度及び高温破断強度を発現するものと
なる。
【0059】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は
「重量部」を意味し、「%」は「重量%」を意味する。
【0060】(実施例1)ポリプロピレン系樹脂として
プロピレン−エチレンランダム共重合体{エチレン含有
量:3.6%、MFR:0.5g/10分(温度230
℃、荷重21.18N)}50%、ポリエチレン系樹脂
として直鎖状低密度ポリエチレン{密度:0.920g
/cm3 、MFR:8.0g/10分(温度190℃、
荷重21.18N)}40%及び極性基を有するポリオ
レフィン系樹脂として無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ン{無水マレイン酸含有量:1.0%、MFR:9.0
g/10分(温度230℃、荷重21.18N)}10
%を含有するポリオレフィン系樹脂組成物を調製した
後、このポリオレフィン系樹脂組成物100部に対し
て、熱分解型発泡剤としてアゾジカルボンアミド9部、
架橋助剤としてトリメチロールプロパントリメタクリレ
ート1.5部及び1,9−ノナンジオールジメタクリレ
ート1.5部、及び、酸化防止剤0.5部を配合して、
発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。
【0061】次に、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂組
成物をラボプラストミルに供給し、170℃で6分間溶
融混練した後、ハンドプレスを用いて、180℃で2分
間押圧して、厚み1.2mmの発泡性ポリオレフィン系
樹脂シートを作製した。次いで、上記発泡性ポリオレフ
ィン系樹脂シートに加速電圧750kV、線量6.5M
radの条件で電子線を照射して架橋させた後、260
℃のギアオーブン内に供給して発泡させ、厚みが3.0
mmの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造した。
【0062】(実施例2)ポリオレフィン系樹脂組成物
の調製において、プロピレン−エチレンランダム共重合
体の含有量を30%とし、無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレンの含有量を30%としたこと以外は実施例1の場
合と同様にして、厚みが3.0mmの架橋ポリオレフィ
ン系樹脂発泡体を製造した。
【0063】(実施例3)ポリオレフィン系樹脂組成物
の調製において、プロピレン−エチレンランダム共重合
体の含有量を55%とし、無水マレイン酸変性ポリプロ
ピレンの含有量を5%としたこと以外は実施例1の場合
と同様にして、厚みが3.0mmの架橋ポリオレフィン
系樹脂発泡体を製造した。
【0064】(実施例4)ポリオレフィン系樹脂組成物
の調製において、プロピレン−エチレンランダム共重合
体の含有量を55%とし、直鎖状低密度ポリエチレンの
含有量を35%とし、無水マレイン酸変性ポリプロピレ
ンの含有量を5%とし、更に無水マレイン酸変性直鎖状
低密度ポリエチレン{無水マレイン酸含有量:0.7
%、MFR:0.9g/10分(温度190℃、荷重2
1.18N)}5%を含有させたこと以外は実施例1の
場合と同様にして、厚みが3.0mmの架橋ポリオレフ
ィン系樹脂発泡体を製造した。
【0065】(実施例5)発泡性ポリオレフィン系樹脂
組成物の調製において、実施例1で用いた無水マレイン
酸変性ポリプロピレン60%及び実施例4で用いた無水
マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン40%を含有
するポリオレフィン系樹脂組成物を調製し、このポリオ
レフィン系樹脂組成物100部に対して、アゾジカルボ
ンアミド9部、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート2.1部及び1,9−ノナンジオールジメタクリレ
ート2.1部、及び、酸化防止剤0.5部を配合したこ
と以外は実施例1の場合と同様にして、厚みが3.0m
mの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造した。
【0066】(実施例6)ポリオレフィン系樹脂組成物
の調製において、無水マレイン酸変性ポリプロピレン1
0%の代わりに、極性基を有するポリオレフィン系樹脂
としてプロピレン−アクリル酸ブロック共重合体(アク
リル酸含有量:50%)10%を含有させたこと以外は
実施例1の場合と同様にして、厚みが3.7mmの架橋
ポリオレフィン系樹脂発泡体を製造した。
【0067】(実施例7)発泡性ポリオレフィン系樹脂
組成物の調製において、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート及び1,9−ノナンジオールジメタクリレ
ートの配合量を各3部とし、電子線架橋時の線量を1.
5Mradとしたこと以外は実施例1の場合と同様にし
て、厚みが3.0mmの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡
体を製造した。
【0068】(比較例1)ポリオレフィン系樹脂組成物
の調製において、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを
含有させず、プロピレン−エチレンランダム共重合体の
含有量を60%としたこと以外は実施例1の場合と同様
にして、厚みが3.0mmの架橋ポリオレフィン系樹脂
発泡体を製造した。
【0069】(比較例2)ポリオレフィン系樹脂組成物
の調製において、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを
含有させず、プロピレン−エチレンランダム共重合体の
含有量を60%としたこと以外は実施例7の場合と同様
にして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造を試み
たが、発泡性ポリオレフィン系樹脂組成物中において、
架橋助剤(トリメチロールプロパントリメタクリレート
及び1,9−ノナンジオールジメタクリレート)のブリ
ードアウトが激しく、混練が不可能であったので、架橋
ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができなかっ
た。
【0070】実施例1〜実施例7、及び、比較例1で得
られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の架橋度(ゲル
分率)及び発泡倍率を前記方法で測定した。その結果は
表1に示すとおりであった。尚、架橋度(ゲル分率)測
定時の試料重量(Ag)は100mgとした。
【0071】又、実施例1〜実施例7、及び、比較例1
で得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の性能(
高温破断強度、高温伸度、外観、ホットスタンピ
ング成形性)を以下の方法で評価した。その結果は表1
に示すとおりであった。
【0072】高温破断強度及び高温伸度:JIS
K−6767に準拠して、ダンベル状1号形に打ち抜い
た架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体(試験片)を160
℃の温度下に5分間放置した後、この温度下において、
引張速度500mm/分で引張試験を行い、高温破断強
度(MPa)及び高温伸度(%)を測定した。
【0073】外観:架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
の表面を目視で観察し、下記判定基準により外観を評価
した。 〔判定基準〕 ○‥‥表面に凸凹(アバタ現象)の発生は無く、優れた
外観であった。 ×‥‥表面に凸凹(アバタ現象)の発生が有り、外観が
悪かった。
【0074】ホットスタンピング成形性:試料として
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体(各10枚)を用い、
この試料の表面が190℃となるように加熱して、絞り
比(深さ/直径:100mm)が1.0の円筒状の凹型
で予め真空成形した後、これに溶融した210℃のポリ
プロピレン樹脂からなる骨材樹脂を供給し、凸型で型押
ししてホットスタンピング成形を行った。得られた成形
品(各10個)を目視で観察し、下記判定基準によりホ
ットスタンピング成形性を評価した。 〔判定基準〕 ○‥‥成形品10個の全てについて、架橋ポリオレフィ
ン系樹脂発泡体中への骨材樹脂の部分的な侵入や、侵入
した骨材樹脂による架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の
部分的な千切れが認められなかった。 ×‥‥成形品10個のうち1個以上に、架橋ポリオレフ
ィン系樹脂発泡体中への骨材樹脂の部分的な侵入や、侵
入した骨材樹脂による架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
の部分的な千切れが認められた。
【0075】
【表1】
【0076】表1から明らかなように、本発明による実
施例1〜実施例7の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体
は、いずれも、高温破断強度、高温伸度、外観及びホッ
トスタンピング成形性の全てについて優れていた。
【0077】これに対し、極性基を有するポリオレフィ
ン系樹脂を含有させなかった発泡性ポリオレフィン系樹
脂組成物からなる比較例1の架橋ポリオレフィン系樹脂
発泡体は、高温破断強度及び高温伸度が劣っており、且
つ、外観及びホットスタンピング成形性が悪かった。
【0078】又、極性基を有するポリオレフィン系樹脂
を含有させず、架橋助剤(トリメチロールプロパントリ
メタクリレート及び1,9−ノナンジオールジメタクリ
レート)の配合量が多かった比較例2の発泡性ポリオレ
フィン系樹脂組成物は、架橋助剤のブリードアウトが激
しく、混練が不可能であったので、架橋ポリオレフィン
系樹脂発泡体を得ることができなかった。
【0079】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の架橋ポリオ
レフィン系樹脂発泡体は、発泡倍率を上げても高温伸度
及び高温破断強度に優れ、且つ、フクレ現象やアバタ現
象等を生じず、真空成形法、圧縮成形法及びホットスタ
ンピング成形法等のいずれの成形方法でも優れた発泡体
成形品を得ることができるものであり、例えば車両用内
装材のような複雑な形状を有する成形品用の成形材料や
各種成形法に適用できる成形材料として好適に用いられ
る。
【0080】又、本発明の製造方法によれば、上記優れ
た性能を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を効率
的且つ簡便に得ることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂0〜99.5重量
    %、ポリエチレン系樹脂0〜60重量%及び極性基を有
    するポリオレフィン系樹脂0.5〜100重量%を含有
    するポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴と
    する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 極性基を有するポリオレフィン系樹脂が
    無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂であり、且
    つ、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体中における無水マ
    レイン酸の含有量が0.01重量%以上であることを特
    徴とする請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発
    泡体。
  3. 【請求項3】 架橋度(ゲル分率)が30〜75重量%
    であり、且つ、発泡倍率が10〜35cm3 /gである
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の架橋ポ
    リオレフィン系樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン系樹脂0〜99.5重量
    %、ポリエチレン系樹脂0〜60重量%及び極性基を有
    するポリオレフィン系樹脂0.5〜100重量%を含有
    するポリオレフィン系樹脂組成物に対して熱分解型発泡
    剤及び架橋助剤を配合した発泡性ポリオレフィン系樹脂
    組成物を熱分解型発泡剤の分解温度未満の温度で溶融成
    形して発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを作製し、次
    いで、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを電離性
    放射線により架橋させ、架橋後又は架橋と同時に、上記
    発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを熱分解型発泡剤の
    分解温度以上の温度に加熱して発泡させることを特徴と
    する請求項1〜請求項3のいずれかに記載の架橋ポリオ
    レフィン系樹脂発泡体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013209460A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Sumitomo Chemical Co Ltd 樹脂反応生成物、およびそれを含む成形体
US10301447B2 (en) 2009-07-14 2019-05-28 Toray Plastics (America), Inc. Crosslinked polyolefin foam sheet with exceptional softness, haptics, moldability, thermal stability and shear strength
CN115044119A (zh) * 2022-06-24 2022-09-13 江苏鹿山新材料有限公司 自粘型聚烯烃发泡片材及其制备方法

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