JP2004182897A - 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が155℃以上であるポリプロピレン系樹脂を15重量%以上含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線照射により架橋させた上で上記ポリオレフィン系樹脂に含有させた熱分解型発泡剤を分解、発泡させて得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、密度が0.067g/cm3 以下であると共に、JIS K6767に準拠した常温での25%圧縮硬さが100kPa以下で且つ160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスが0.05MPa以上であることを特徴とするので、優れた耐熱性及び柔軟性を有しており、スタンピング成形により成形した場合にあっても、破れや皺を生じることなく複雑な形状に成形することができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性及び柔軟性に優れた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、優れた耐熱性及び断熱性を有していることから、断熱材や雑貨製品の材料として汎用されている。最近では、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は車両用内装材として用いられることが多くなっている。
【0003】
そして、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いて車両用内装材を製造する方法としては、雌雄型間に形成されたキャビティ内に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を配設すると共に上記キャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を供給することによって架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体と熱可塑性樹脂とを所望形状に成形しつつ積層一体化させる、所謂、スタンピング成形方法が挙げられる。
【0004】
しかしながら、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、溶融状態の熱可塑性樹脂に直接接触することから、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が不十分である場合には、スタンピング成形時に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が破れたり、或いは、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体表面に皺が発生したりするといった問題点があった。
【0005】
そこで、特許文献1には、高結晶性のホモポリプロピレンを所定量添加してなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が提案されている。ところが、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に高結晶性のホモポリプロピレンを添加すると、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の常温での伸度や柔軟性が低下し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を巻回させた場合に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に亀裂が発生したりするといった別の問題点が発生した。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−45975号公報(特許請求の範囲)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた耐熱性及び柔軟性を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が155℃以上であるポリプロピレン系樹脂を15重量%以上含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線照射により架橋させた上で上記ポリオレフィン系樹脂に含有させた熱分解型発泡剤を分解、発泡させて得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、密度が0.067g/cm3 以下であると共に、JIS K6767に準拠した常温での25%圧縮硬さが100kPa以下で且つ160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスが0.05MPa以上であることを特徴とする。
【0009】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン単独重合体、低密度ポリエチレン単独重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするα−オレフィンとのランダム或いはブロック共重合体等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、プロピレンを主成分とするα−オレフィンとのランダム或いはブロック共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー等が挙げられ、単独で用いられても併用されてもよい。
【0010】
なお、エチレンを主成分とするα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、又、プロピレンを主成分とするα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられる。
【0011】
上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂のうちの15重量%以上は、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が155℃以上であるポリプロピレン系樹脂(以下、「ポリプロピレン系樹脂A」という)が用いられる。
【0012】
このようなポリプロピレン系樹脂Aとしては、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体が好ましく、エチレン−プロピレンブロック共重合体がより好ましい。
【0013】
ここで、エチレン−プロピレンブロック共重合体が好ましいのは以下の理由による。即ち、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が155℃以上であるエチレン−プロピレンブロック共重合体は、エチレン成分がプロピレン成分中に微分散していることから、高い耐熱性と柔軟性の双方を有し且つ発泡時に適正な溶融伸長粘度を有し発泡成形性に優れている。
【0014】
従って、得られるポリオレフィン系樹脂発泡体は、耐熱性と柔軟性の双方に優れ、スタンピング成形においても破れや皺を発生することなく、外観及び触感に優れた成形加工品を得ることができるからである。
【0015】
更に、エチレン−プロピレンブロック共重合体におけるプロピレン成分中でのエチレン成分の分散状態、即ち、エチレン成分の平均粒径は、大きいと、電離性放射線を照射してポリオレフィン系樹脂を架橋させた時、ポリオレフィン系樹脂内の架橋分布に偏りが生じて、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の物理的強度が不均一となることがあるので、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましく、5μm以下が一層好ましく、3μm以下が特に好ましく、1μm以下が最も好ましい。
【0016】
上記エチレン−プロピレンブロック共重合体中におけるエチレン成分の平均粒径は下記の要領で測定されたものをいう。先ず、酸化ルテニウムを用いてエチレン−プロピレンブロック共重合体のエチレン成分部分を染色し、この染色されたエチレン−プロピレンブロック共重合体を電子顕微鏡で1万倍に拡大した顕微鏡写真を得る。そして、この顕微鏡写真に基づいて、染色されたエチレン成分部分のそれぞれの面積を測定する。次に、この測定した面積に等しい面積を有する真円の直径をそれぞれのエチレン成分部分について算出し、この直径を各エチレン成分部分の粒径とする。そして、各エチレン成分部分の粒径の平均値を算出し、この値をエチレン成分の粒径とする。なお、ピアス社から市販されている画像処理装置(商品名「HI−PIAS IV 」)を用いて、エチレン−プロピレンブロック共重合体中におけるエチレン成分の平均粒径を測定することができる。
【0017】
そして、ポリプロピレン系樹脂Aの示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度は、低いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下するので、155℃以上に限定され、157℃以上が好ましく、159℃以上がより好ましく、161℃以上が一層好ましく、163℃以上が特に好ましい。
【0018】
又、ポリプロピレン系樹脂の示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度は、高いと、後述する発泡性樹脂成形体を押出機から押出す際に熱分解型発泡剤が分解する等の不都合を生じることがあるので、170℃以下が好ましい。
【0019】
ここで、上記ポリプロピレン系樹脂Aにおける示差走査熱量分析による結晶融解ピークが複数本ある場合には、上記ポリプロピレン系樹脂Aにおける示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度は、最も高い結晶融解ピーク温度をいう。
【0020】
なお、上記ポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度は、ポリプロピレン系樹脂10mgを示差走査熱量計を用いて大気中において昇温速度10℃/分の条件下で測定した際のピーク温度をいう。なお、上記示差走査熱量計は、例えば、セイコーインスルメンツ社から商品名「220C」で市販されている。
【0021】
又、上記ポリプロピレン系樹脂Aのポリオレフィン系樹脂中における配合量は、少ないと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下するので、15重量%以上に限定され、20重量%以上が好ましく、25重量%以上がより好ましく、30重量%以上が特に好ましい一方、多いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下して常温で使用した際に割れ等が発生することがあるので、90重量%以下が好ましく、85重量%以下がより好ましい。
【0022】
そして、ポリプロピレン系樹脂Aにおけるクロス分別法により測定した0℃での樹脂溶出量は、少ないと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下することがあり、又、高いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下することがあるので、全ポリプロピレン系樹脂Aの1〜50重量%が好ましく、全ポリプロピレン系樹脂Aの2〜40重量%がより好ましく、全ポリプロピレン系樹脂Aの3〜30重量%が特に好ましく、全ポリプロピレン系樹脂Aの5〜25重量%が最も好ましい。
【0023】
更に、ポリプロピレン系樹脂Aにおけるクロス分別法により測定した100℃以上での樹脂溶出量は、少ないと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下することがあるので、全ポリプロピレン系樹脂Aの5重量%以上が好ましく、全ポリプロピレン系樹脂Aの15重量%以上がより好ましく、全ポリプロピレン系樹脂Aの30重量%以上が一層好ましく、全ポリプロピレン系樹脂Aの40重量%以上が特に好ましく、全ポリプロピレン系樹脂Aの50重量%以上が最も好ましい一方、多いと、後述する発泡性樹脂成形体を押出機から押出す際に熱分解型発泡剤が分解する等の不都合を生じることがあるので、全ポリプロピレン系樹脂Aの95重量%以下が好ましい。
【0024】
なお、上記ポリプロピレン系樹脂のクロス分別法による樹脂溶出量の測定は以下の要領で行われる。即ち、ポリプロピレン系樹脂を先ず140℃或いはポリプロピレン系樹脂が完全に溶解する温度に保持されたo−ジクロロベンゼンに溶解し、このポリプロピレン系樹脂を溶解させた溶液を一定速度で冷却して予め用意した不活性担体表面に薄いポリマー層を結晶性の高い順及び分子量の大きい順に生成させる。次に、温度を連続的に又は段階的に昇温し、100℃以上で溶出した成分の濃度を検出して組成分布(結晶性分布)を測定することにより行われる。これを温度上昇溶離分別(TREF=Temperature RisingElution Fractionation)という。上記ポリプロピレン系樹脂のクロス分別法による樹脂溶出量の測定装置としては、例えば、三菱油化社製の商品名「CFC−T150A型」のものが挙げられる。
【0025】
そして、ポリプロピレン系樹脂Aのメルトマスフローレイトは、大きいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下することがあるので、70g/10分以下が好ましく、50g/10分以下がより好ましく、30g/10分以下が一層好ましく、25g/10分以下が特に好ましい一方、小さいと、後述する発泡性樹脂成形体を押出機から押出す際に熱分解型発泡剤が分解する等の不都合を生じることがあるので、0.1g/10分以上が好ましい。なお、上記ポリプロピレン系樹脂Aのメルトマスフローレイトは、JIS K7210に基いて230℃、21.2Nの条件下で測定したものをいう。
【0026】
更に、上記ポリオレフィン系樹脂のメルトマスフローレイトは、小さいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の原反となる発泡性樹脂組成物を所望形状に成形するのが困難となることがあり、又、大きいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下することがあるので、0.5〜70g/10分が好ましく、1.5〜50g/10分がより好ましく、2〜40g/10分が特に好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂のメルトマスフローレイトは、ASTM D1238に準拠して測定されたものをいう。
【0027】
又、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の密度は、大きいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下するので、0.067g/cm3 以下に限定され、0.055g/cm3 以下が好ましい一方、小さいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の物理的強度が低下し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の成形時や架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体から得られる成形品の使用時に破断等が生じることがあるので、0.02g/cm3 以上が好ましく、0.035g/cm3 以上がより好ましく、0.04g/cm3 以上が特に好ましい。なお、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の密度は、JIS K6767に準拠して測定されたものをいう。
【0028】
そして、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体におけるJIS K6767に準拠した常温での25%圧縮硬さは、高いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を成形して得られる成形品の外観や触感が低下するので、100kPa以下に限定され、90kPa以下が好ましく、85kPa以下がより好ましい一方、低いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を圧縮させた後の回復性が低下することがあるので、30kPa以上が好ましい。
【0029】
更に、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスは、低いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体をスタンピング成形する時に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の物理的強度が不測して、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に破れや皺等が発生するので、0.05MPa以上に限定され、0.06MPa以上が好ましく、0.07MPa以上がより好ましく、0.08MPa以上が特に好ましい一方、高いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体をスタンピング成形した際に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に破れや皺等が発生することがあるので、0.3MPa以下が好ましい。なお、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスは、具体的には、JIS K6767に準拠して測定されたものをいう。
【0030】
なお、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体には、物性を損なわない範囲内において、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム等の気泡形成剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ジラウリルチオプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤;メチルベンゾトリアゾール等の金属害防止剤;ヘキサブロモビフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル等のハロゲン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、トリメチルフォスフェート等のリン系難燃剤等の難燃剤;充填剤;帯電防止剤;安定剤;顔料等の添加剤が添加されていてもよい。
【0031】
次に、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法について説明する。先ず、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が155℃以上であるポリプロピレン系樹脂Aを15重量%以上含有するポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤に、必要に応じて、上記添加剤を添加してなる発泡性樹脂組成物を汎用の混練装置に供給して溶融、混練して所望形状の発泡性樹脂成形体を得る。なお、上記混練装置としては、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ロール等が挙げられる。
【0032】
上記発泡性樹脂成形体がシート状である場合には、この発泡性樹脂シートの厚みは、厚いと、均質な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が得られないことがあるので、3mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2mm以下が一層好ましく、1.5mm以下が特に好ましい一方、薄すぎても、均質な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が得られないことがあるので、0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましい。
【0033】
上記熱分解型発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられていたものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられ、これらは、単独で用いられても併用されてもよい。
【0034】
そして、上記熱分解型発泡剤の添加量は、多いと、発泡性樹脂成形体が破泡することがあり、又、少ないと、発泡性樹脂成形体が発泡しないことがあるので、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、4〜25重量部が好ましい。
【0035】
次に、上記発泡性樹脂成形体に電離性放射線を照射して発泡性樹脂成形体を架橋させる。なお、上記電離性放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線等が挙げられる。
【0036】
そして、上記発泡性樹脂成形体に対する電離性放射線の照射量としては、少ないと、発泡性樹脂成形体の発泡時における伸張粘度が不足して良好な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が得られないことがあり、又、多いと、発泡性樹脂成形体の発泡時における流動性が低下して良好な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができないことあるので、0.1〜30Mradが好ましく、0.2〜20Mradがより好ましく、0.3〜15Mradが一層好ましく、0.3〜12Mradが特に好ましく、0.3〜10Mradが最も好ましい。なお、電離性放射線を加速電圧を変化させて照射した場合には、電離性放射線の照射量とは、各加速電圧にて照射した電離性放射線の照射量の和をいう。
【0037】
又、電離性放射線の加速電圧は、特に限定されず、発泡性樹脂成形体の形状に応じて適宜調整されればよく、そして、上記発泡性樹脂成形体がシート状である場合には、発泡性樹脂シートの厚み方向の架橋度が均一となるように、同一加速電圧、同一線量でもって電離性放射線を発泡性樹脂シートの両面から照射するのが好ましい。
【0038】
更に、上記発泡性樹脂成形体の架橋を促進させて、上記発泡性樹脂成形体に対する電離性放射線の照射量を低く抑え、上記ポリオレフィン系樹脂の分子鎖の切断や劣化を低く抑えるために、上記発泡性樹脂組成物に架橋助剤を添加してもよい。
【0039】
このような架橋助剤としては、従来から発泡剤の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル等が挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
【0040】
上記架橋助剤の添加量は、少ないと、発泡性樹脂成形体に所望の架橋度を付与することができないことがあり、又、多いと、発泡性樹脂成形体の架橋度が高くなってしまって、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の外観性が低下することがあるので、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましく、0.3〜15重量部が一層好ましく、0.4〜12重量部が特に好ましく、0.5〜10重量部が最も好ましい。
【0041】
そして、上記のように架橋構造が付与された発泡性樹脂成形体を該発泡性樹脂成形体に含有された熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して熱分解型発泡剤を分解させ、発泡性樹脂成形体を発泡させて架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0042】
【実施例】
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂(住友化学社製 商品名「AD571」、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度:148℃、密度:0.90g/cm3 、メルトマスフローレイト:0.5g/10分)40重量部、エチレン−プロピレンブロック共重合体(ダウケミカル社製 商品名「INSPIRE112」、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度:163℃、エチレン成分の平均粒径:0.8μm)30重量部、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製 商品名「ZF231」)30重量部、アゾジカルボンアミド13重量部、ジビニルベンゼン3重量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3重量部、ジラウリルチオプロピオネート0.3重量部及びメチルベンゾトリアゾール0.5重量部を単軸押出機に供給して185℃で溶融、混練して押出し、厚さ1mmの発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0043】
次に、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に加速電圧800kVで電子線を1.5Mrad照射した後、更に加速電圧300kVで電子線を6Mrad照射して発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを架橋させた上で、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを250℃に加熱して発泡させ、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
【0044】
得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、その密度が0.050g/cm3 、JIS K6767に準拠した常温での25%圧縮硬さが82kPa、160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスが0.086MPaであった。
【0045】
(比較例1)
エチレン−プロピレンブロック共重合体の代わりに、ポリプロピレン系樹脂(チッソ社製 商品名「XF1932」、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度:169℃、メルトマスフローレイト:0.4g/10分)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
【0046】
得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、その密度が0.051g/cm3 、JIS K6767に準拠した常温での25%圧縮硬さが146kPa、160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスが0.083MPaであった。
【0047】
(比較例2)
エチレン−プロピレンブロック共重合体を30重量部の代わりに8重量部としたこと、直鎖状低密度ポリエチレンを30重量部の代わりに52重量部としたこと以外は実施例1と同様にして架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
【0048】
得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートは、その密度が0.049g/cm3 、JIS K6767に準拠した常温での25%圧縮硬さが96kPa、160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスが0.044MPaであった。
【0049】
上記の如くして得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートのスタンピング成形性を下記の要領で測定した。
【0050】
(スタンピング成形性)
架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体から一辺が100mmの平面正方形状で且つ厚みが2.5mmの試験片を切り出し、この試験片を雌雄金型間に配設して雌雄金型をクラッキングを残した状態で型締めした。
【0051】
しかる後、上記予備成形された試験片と雌金型との間に溶融状態のポリプロピレンを射出した上で雌雄金型を完全に型締めして、一辺が70mmの平面正方形状の底面部とこの底面部の四方外周縁から上方における斜め外方に向かって突設された周壁部とからなる成形加工品を得た。なお、成形加工品の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の外周面全面にはポリプロピレン層が形成されていた。
【0052】
そして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体のスタンピング成形性を下記基準により判断したところ、実施例1の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は○、比較例1、2の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は×であった。
○・・・成形加工品の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体表面には破れや凹凸が殆ど或いは全く存在しなかった。
×・・・成形加工品表面の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体表面に破れや凹凸が多数存在した。
【0053】
【発明の効果】
請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が155℃以上であるポリプロピレン系樹脂を15重量%以上含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線照射により架橋させた上で上記ポリオレフィン系樹脂に含有させた熱分解型発泡剤を分解、発泡させて得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、密度が0.067g/cm3 以下であると共に、JIS K6767に準拠した常温での25%圧縮硬さが100kPa以下で且つ160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスが0.05MPa以上であることを特徴とするので、優れた耐熱性及び柔軟性を有しており、スタンピング成形により成形した場合にあっても、破れや皺を生じることなく複雑な形状に成形することができる。
Claims (1)
- 示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が155℃以上であるポリプロピレン系樹脂を15重量%以上含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線照射により架橋させた上で上記ポリオレフィン系樹脂に含有させた熱分解型発泡剤を分解、発泡させて得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、密度が0.067g/cm3 以下であると共に、JIS K6767に準拠した常温での25%圧縮硬さが100kPa以下で且つ160℃引張試験を行なった際の100%モジュラスが0.05MPa以上であることを特徴とする架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
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