JP2004339362A - 架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、優れた耐熱性及び柔軟性を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を提供する。
【解決手段】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線の照射によって架橋させた上で発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、見掛け密度が0.067g/cm3 以下で且つ160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスが0.05MPa以上であると共に、破断点伸度が200%以上であるので、優れた耐熱性及び柔軟性を有しており、スタンピング成形により成形した場合にあっても、破れや皺を生じることなく複雑な形状に成形することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線の照射によって架橋させた上で発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、見掛け密度が0.067g/cm3 以下で且つ160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスが0.05MPa以上であると共に、破断点伸度が200%以上であるので、優れた耐熱性及び柔軟性を有しており、スタンピング成形により成形した場合にあっても、破れや皺を生じることなく複雑な形状に成形することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性及び柔軟性に優れた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及びこの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、優れた耐熱性及び断熱性を有していることから、断熱材や雑貨製品の材料として汎用されており、最近では、車両用内装材として用いられることが多くなっている。
【0003】
そして、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いて車両用内装材を製造する方法としては、雌雄型間に形成されたキャビティ内に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を配設すると共に上記キャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を供給することによって架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体と熱可塑性樹脂とを所望形状に成形しつつ積層一体化させる、所謂、スタンピング成形方法が挙げられる。
【0004】
しかしながら、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、溶融状態の熱可塑性樹脂に直接接触することから、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が不十分である場合には、スタンピング成形時に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が破れたり、或いは、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体表面に皺が発生したりするといった問題点があった。
【0005】
そこで、特許文献1には、高結晶性のホモポリプロピレンを所定量添加してなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が提案されている。
【0006】
ところが、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に高結晶性のホモポリプロピレンを添加すると、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の常温での伸度や柔軟性が低下し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を巻回させた場合に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に亀裂が発生したりするといった別の問題点が発生した。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−45975号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた耐熱性及び柔軟性を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及びこの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた成形品を提供する。
【0009】
【課題を解決する手段】
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線の照射によって架橋させた上で発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、見掛け密度が0.067g/cm3 以下で且つ160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスが0.05MPa以上であると共に、破断点伸度が200%以上であることを特徴とする。
【0010】
上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂が挙げられる。先ず、ポリプロピレン系樹脂としては、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられ、メタロセン化合物を重合触媒として重合されたポリプロピレン系樹脂が好ましい。なお、プロピレン−α−オレフィン共重合体は、ランダム共重合体又はブロック共重合体の何れであってもよいが、発泡が容易であり且つ成形性に優れていることから、ランダム共重合体が好ましい。
【0011】
又、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体中のプロピレン成分の含有量は、少ないと、結晶性が不足して架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下することがあるのでので、85重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。
【0012】
ここで、上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセンなどが挙げられ、エチレンが好ましい。
【0013】
そして、上記メタロセン化合物とは、一般に、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造の化合物をいい、ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体を代表例として挙げることができる。
【0014】
本発明において用いられるメタロセン化合物としては、具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、白金などの四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体が配位子(リガンド)として存在する化合物が挙げられる。
【0015】
上記配位子の具体例としては、例えば、シクロペンタジエニル環;炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換されたシクロペンタジエニル環;シクロペンタジエニルオリゴマー環;インデニル環;炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換されたインデニル環などが挙げられる。
【0016】
なお、シクロペンタジエニル環又はインデニル環に置換する炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。
【0017】
更に、遷移金属には、上記π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素、臭素などの一価のアニオンリガンド、二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィドなどが配位結合していてもよい。
【0018】
このようなメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルアミド)等が挙げられる。
【0019】
上記メタロセン化合物は、金属の種類や配位子の構造を変化させると共に特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることによって、オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。
【0020】
上記共触媒としては、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物などが挙げられる。この共触媒の添加量としては、メタロセン化合物に対して10〜1000000モル倍が好ましく、50〜5000モル倍がより好ましい。
【0021】
そして、上記メタロセン化合物を重合触媒として用いたオレフィンの重合方法としては、不活性媒体を用いた溶液重合法、実質的に不活性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法などが挙げられ、重合温度としては−100〜300℃が好ましく、重合圧力としては常圧から1×107 Paが好ましい。
【0022】
上記メタロセン化合物は、活性点の性質が均一であるという特徴を有しており、各活性点が同じ活性度を備えているため、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリマーは、その分子量、分子量分布、組成、組成分布の均一性が向上する。
【0023】
従って、上記メタロセン化合物を重合触媒として用いて重合させて得られるポリプロピレン系樹脂は、分子量分布が狭く、共重合体の場合には、どの分子量成分にも共重合体成分が略等しい割合で導入されており、このようなポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂からなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、その架橋分布を均一なものとし、伸度の低下を防止しつつ引張物性の良好なものとなる。なお、メタロセン化合物を重合触媒として用いて重合させて得られるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、日本ポリケム社から商品名「ウィンテック」で市販されている。
【0024】
又、上記ポリプロピレン系樹脂における数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)は、3.0以下に限定され、2.8以下が好ましく、1.5〜2.8がより好ましく、2.0〜2.8が特に好ましい。
【0025】
これは、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)は分子量分布を示すものであり、この値を小さくすることによって、ポリプロピレン系樹脂を架橋させて用いた際における架橋分布を均一なものとすることができ、架橋点を多くした場合、即ち、架橋度を高くした場合にも架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の伸度の低下を防止して、引張物性の良好な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0026】
更に、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂のポリオレフィン系樹脂中における含有量は、少ないと、架橋分布を均一にすることができず、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下する一方、多いと、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の常温における柔軟性が低下して保管時などに割れなどを生じるので、20〜80重量%に限定され、30〜75重量%が好ましく、35〜70重量%がより好ましい。
【0027】
又、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度は、低いと、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下するので、120℃以上に限定され、125℃以上が好ましいが、高すぎると、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下することがあるので、170℃以下が好ましく、165℃以下がより好ましい。
【0028】
又、上記ポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピークが複数本ある場合には、ポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度は、最も低い結晶融解ピーク温度をいう。
【0029】
次に、上記ポリエチレン系樹脂について説明すると、このポリエチレン系樹脂としては、従来から発泡体の製造に用いられていたものであれば、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン系樹脂などが挙げられ、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂が好ましい。なお、ポリエチレン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0030】
そして、上記ポリエチレン系樹脂のメルトインデックス(以下、「MI」という)は、小さいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の原反の製造が困難となることがある一方、大きいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の原反を架橋する際に架橋密度の制御が困難となることがあるので、0.1〜100g/10分が好ましく、0.3〜50g/10分がより好ましい。なお、ポリエチレン系樹脂のMIは、JIS K7210に準拠して温度190℃、荷重2.12Nの条件で測定されたものをいう。
【0031】
又、上記ポリオレフィン系樹脂中におけるポリエチレン系樹脂の含有量は、少ないと、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下して所望の破断点伸度を得るとができないことがある一方、多いと、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における160℃で引張試験を行った際の100%モジュラスを好適な範囲に制御することが困難となることがあるので、20〜80重量%が好ましく、25〜70重量%がより好ましく、30〜65重量%が特に好ましい。
【0032】
そして、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の見掛け密度は、高いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下するので、0.067g/cm3 以下に限定され、0.056g/cm3 以下が好ましいが、低すぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の力学特性が低下することがあるので、0.02g/cm3 以上が好ましい。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の見掛け密度は、JIS K7222に準拠して測定されたものをいう。
【0033】
又、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスは、低いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を所望形状に成形した際に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に破れや皺などが発生するので、0.05MPa以上に限定され、0.06MPa以上が好ましく、0.07MPa以上がより好ましく、0.08Pa以上が特に好ましいが、高すぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下することがあるので、0.3MPa以下が好ましい。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスは、JIS K6767に準拠して測定された100%モジュラスをいう。
【0034】
そして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の破断点伸度は、低いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を常温で保管中や架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体をスタンピング成形などによって成形した際に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体にひび割れや破れなどが発生するので、200%以上に限定され、220%以上が好ましい。
【0035】
なお、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の破断点伸度は、JIS K6767(A法)に準拠して測定されたものをいい、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の破断点伸度を測定する際は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を所定温度に調整されたオーブン内に放置し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表面温度をサーモラベルにより測定して、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表面温度が160℃となった時に測定する。
【0036】
又、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体には、物性を損なわない範囲内において、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウムなどの気泡形成剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ジラウリルチオプロピオネートなどのイオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤;メチルベンゾトリアゾールなどの金属害防止剤;ヘキサブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、トリメチルフォスフェートなどのリン系難燃剤などの難燃剤;充填剤;帯電防止剤;安定剤;顔料などの添加剤が添加されていてもよい。
【0037】
次に、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法について説明する。先ず、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤に、必要に応じて、上記添加剤を添加してなる発泡性樹脂組成物を押出機、バンバリーミキサー、ロールなどの汎用の混練装置に供給して溶融、混練して所望形状の発泡性樹脂成形体、好ましくは発泡性樹脂シートを得る。
【0038】
なお、発泡性樹脂シートの厚みは、薄すぎても厚すぎても、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の気泡径のばらつきが大きくなることがあるので、0.5〜3mmが好ましく、0.7〜2.5mmがより好ましい。
【0039】
上記熱分解型発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられていたものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、これらは、単独で用いられても併用されてもよい。
【0040】
そして、上記熱分解型発泡剤の添加量は、多いと、発泡性樹脂成形体の発泡時に破泡することがあり、又、少ないと、発泡性樹脂成形体が発泡しないことがあるので、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、4〜25重量部がより好ましい。
【0041】
次に、上記発泡性樹脂成形体に電離性放射線を照射して発泡性樹脂成形体を架橋させるが、発泡性樹脂成形体がシート状である場合には、発泡性樹脂シートの両面に電離性放射線を同一電圧、同一線量で照射するのが好ましい。なお、上記電離性放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線などが挙げられる。
【0042】
又、上記発泡性樹脂成形体に対する電離性放射線の照射量としては、少ないと、発泡性樹脂成形体の発泡時における伸張粘度が不足して良好な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が得られないことがあり、又、多いと、発泡性樹脂成形体の発泡時における流動性が低下して高い発泡倍率を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができないことがあるので、0.01〜20Mradが好ましく、0.05〜10Mradがより好ましく、0.1〜5Mradが特に好ましく、0.15〜3Mradが一層好ましく、0.2〜2.5Mradが最も好ましい。
【0043】
更に、上記発泡性樹脂成形体の架橋を促進させて、上記発泡性樹脂成形体に対する電離性放射線の照射量を低く抑え、上記ポリオレフィン系樹脂の分子鎖の切断や劣化を低く抑えるために、上記発泡性樹脂組成物に架橋助剤を添加してもよい。
【0044】
このような架橋助剤としては、従来から発泡剤の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどが挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
【0045】
上記架橋助剤の添加量は、少ないと、発泡性樹脂成形体に所望の架橋度を付与することができないことがあり、又、多いと、発泡性樹脂成形体の架橋度が高くなってしまって、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の外観性が低下することがあるので、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましく、0.3〜15重量部が一層好ましく、0.4〜12重量部が特に好ましく、0.5〜10重量部が最も好ましい。
【0046】
そして、上記のように架橋構造が付与された発泡性樹脂成形体を熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱し、発泡性樹脂成形体を発泡させて架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0047】
上述のようにして得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、力学特性、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランスに優れており、スタンピング成形や真空成形等の汎用の成形方法でもって、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層を積層一体化させた上で或いは熱可塑性樹脂層を積層一体化させつつ所望形状に成形されて成形品とされる。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いて成形品を製造するには、スタンピング成形を用いるのが好ましい。
【0048】
ここで、スタンピング成形とは、雌雄型間に形成されたキャビティ内に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を配設すると共に上記キャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を供給し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体と熱可塑性樹脂とを所望形状に成形しつつ、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂を積層一体化させる方法をいい、このスタンピング成形によって、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層が積層一体化され且つ所望形状に成形されてなる成形品を製造することができる。
【0049】
スタンピング成形の具体的な要領の一例を具体的に説明すると、雌型内に団子状或いはシート状の熱可塑性樹脂を溶融状態にて配設した後、この熱可塑性樹脂上に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を配設する。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は加熱されていてもそうでなくてもよい。
【0050】
しかる後、雌雄型を型閉めし、雌雄金型間に形成されたキャビティ内でポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート及び熱可塑性樹脂を所望形状に成形すると同時にポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂層を積層一体化して成形品を製造することができる。
【0051】
そして、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0052】
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン成分を50重量%以上含有するエチレンと重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0053】
なお、エチレンと共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。重合性モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0054】
更に、上記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレンと重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0055】
なお、プロピレンと共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンが挙げられる。プロピレンと共重合可能な重合性モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0056】
又、上記熱可塑性樹脂には、その物性を損なわない範囲内において、タルク、珪酸、炭酸カルシウム等の無機化合物、熱安定剤、酸化防止剤、造核剤、着色剤等の添加剤が添加されてもよい。
【0057】
更に、上記熱可塑性樹脂に、ABS樹脂、ポリスチレン系樹脂、石油樹脂等のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂が添加されていてもよく、又、上記熱可塑性樹脂は発泡されていても架橋されていてもよい。
【0058】
そして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材が積層一体化されていてもよい。このように、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を積層一体化させる場合には、スタンピング成形する前に予め架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を積層一体化しておいても、或いは、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を分離可能に積層しておき、スタンピング成形時に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を積層一体化させるようにしてもよい。
【0059】
上記表皮材としては、例えば、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニルとABS樹脂との混合樹脂からなるシート、熱可塑性エラストマーシート、織物、編物、不織布等が挙げられる。
【0060】
又、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を真空成形にて成形する場合には、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層を積層一体化させ、必要に応じて、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を積層一体化させた上で、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及び熱可塑性樹脂、並びに、必要に応じて表皮材を所定温度に加熱し、真空成形して所望形状に成形すればよい。
【0061】
【実施例】
(実施例1〜3、比較例1,2)
表1に示した所定量のメタロセン化合物を重合触媒として重合されたポリプロピレン(日本ポリケム社製 商品名「ウィンテックWFX6」、Mw/Mn:2.8、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度:125℃、MI:2.0g/10分)、プロピレン単独重合体(三井住友ポリオレフィン社製 商品名「J103」、Mw/Mn:4.1、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度:168℃、MI:3.0g/10分、密度:0.91g/cm3 )、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製 商品名「ZF231」、MI:2.0g/10分、密度:0.917g/cm3 )、アゾジカルボンアミド13重量部、ジビニルベンゼン3重量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3重量部、ジラウリルチオプロピオネート0.3重量部及びメチルベンゾトリアゾール0.5重量部を単軸押出機に供給して185℃で溶融、混練して押出し、厚さ1mmの発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0062】
次に、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に、加速電圧800kVで電子線を1.5Mrad照射した後に、更に、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に加速電圧300kVで電子線を6Mrad照射した上で、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを250℃に加熱して発泡させ、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
【0063】
得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの見掛け密度、160℃で引張試験を行った際における100%モジュラス及び破断点伸度を表2に示した。
【0064】
次に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの上面にポリエステル系接着剤を介して厚さが0.50mmの軟質ポリ塩化ビニルシートを全面的に貼着一体化した。
【0065】
そして、軟質ポリ塩化ビニルシートが上面に貼着一体化された架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートから縦15cm×横15cm×厚さ3.5mmの平面正方形状の板状体を切り出した。
【0066】
次に、型開き状態の雌雄型間に上記板状体をその軟質ポリ塩化ビニルシートが雄型側となるように配設すると共に、雌型内に200℃のポリプロピレン系樹脂(230℃でのMI:20g/10分)20gを供給した後、雌雄型を直ちに圧力4.9MPaで5秒間、型閉めし、続いて、雌雄型を圧力0.98MPaで50秒間型閉めした。
【0067】
しかる後、雌雄型内に通水して架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを冷却した上で雌雄型を型開きして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一面にポリプロピレン系樹脂層が、他面に軟質ポリ塩化ビニルシートが積層一体化されてなる成形品を得た。なお、成形品は、直径8cmで且つ厚み3.5mmの平面円形状の底面部の外周縁から厚み2mmの円筒状周壁部が垂直上方に向かって延設されてなる有底円筒状に形成されていた。
【0068】
上記の如くして得られた成形品の外観性及び柔軟性を下記基準にて評価し、その結果を表2に示した。
【0069】
(外観性)
得られた成形品の表面を目視観察して下記基準により外観性を評価した。
〔底面部〕
○‥‥底面部の軟質ポリ塩化ビニルシート部分に凸凹、皺は見られず、優れた外観であった。
×‥‥底面部の軟質ポリ塩化ビニルシート部分に凸凹、皺が発生し、外観は不良であった。
〔コーナー部〕
○‥‥底面部と周壁部との連設部分における軟質ポリ塩化ビニルシート部分に破れはなく優れた外観であった。
×‥‥底面部と周壁部との連設部分における軟質ポリ塩化ビニルシート部分に破れが発生し、外観は不良であった。
【0070】
(柔軟性)
得られた成形品の軟質ポリ塩化ビニルシート部分の硬度をアスカーCタイプの硬度計を用いて測定し、下記判定基準により柔軟性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥硬度が59以下であった。
×‥‥硬度が60以上であった。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】
請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線の照射によって架橋させた上で発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、見掛け密度が0.067g/cm3 以下で且つ160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスが0.05MPa以上であると共に、破断点伸度が200%以上であることを特徴とするので、優れた耐熱性及び柔軟性を有しており、スタンピング成形により成形した場合にあっても、破れや皺を生じることなく複雑な形状に成形することができる。
【0074】
又、請求項2に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体において、ポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が120℃以上であることを特徴とするので、優れた耐熱性及び柔軟性を有しており、スタンピング成形により成形した場合にあっても、破れや皺を生じることなくさらに複雑な形状に成形することができる。
【0075】
最後に、請求項3に記載の成形品は、請求項1又は請求項2に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層が積層一体化され且つ他面に表皮材が積層一体化されていると共にスタンピング成形によって所望形状に成形されてなることを特徴とするので、複雑な形状であっても破れや皺などがない正確な形状を有している。
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性及び柔軟性に優れた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及びこの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、優れた耐熱性及び断熱性を有していることから、断熱材や雑貨製品の材料として汎用されており、最近では、車両用内装材として用いられることが多くなっている。
【0003】
そして、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いて車両用内装材を製造する方法としては、雌雄型間に形成されたキャビティ内に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を配設すると共に上記キャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を供給することによって架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体と熱可塑性樹脂とを所望形状に成形しつつ積層一体化させる、所謂、スタンピング成形方法が挙げられる。
【0004】
しかしながら、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、溶融状態の熱可塑性樹脂に直接接触することから、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が不十分である場合には、スタンピング成形時に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が破れたり、或いは、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体表面に皺が発生したりするといった問題点があった。
【0005】
そこで、特許文献1には、高結晶性のホモポリプロピレンを所定量添加してなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が提案されている。
【0006】
ところが、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に高結晶性のホモポリプロピレンを添加すると、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の常温での伸度や柔軟性が低下し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を巻回させた場合に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に亀裂が発生したりするといった別の問題点が発生した。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−45975号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた耐熱性及び柔軟性を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及びこの架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いた成形品を提供する。
【0009】
【課題を解決する手段】
本発明の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線の照射によって架橋させた上で発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、見掛け密度が0.067g/cm3 以下で且つ160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスが0.05MPa以上であると共に、破断点伸度が200%以上であることを特徴とする。
【0010】
上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を構成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂が挙げられる。先ず、ポリプロピレン系樹脂としては、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であれば、特に限定されず、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられ、メタロセン化合物を重合触媒として重合されたポリプロピレン系樹脂が好ましい。なお、プロピレン−α−オレフィン共重合体は、ランダム共重合体又はブロック共重合体の何れであってもよいが、発泡が容易であり且つ成形性に優れていることから、ランダム共重合体が好ましい。
【0011】
又、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体中のプロピレン成分の含有量は、少ないと、結晶性が不足して架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下することがあるのでので、85重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。
【0012】
ここで、上記α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3,3−ジメチル−1−ヘキセンなどが挙げられ、エチレンが好ましい。
【0013】
そして、上記メタロセン化合物とは、一般に、遷移金属をπ電子系の不飽和化合物で挟んだ構造の化合物をいい、ビス(シクロペンタジエニル)金属錯体を代表例として挙げることができる。
【0014】
本発明において用いられるメタロセン化合物としては、具体的には、チタン、ジルコニウム、ニッケル、パラジウム、ハフニウム、白金などの四価の遷移金属に、1又は2以上のシクロペンタジエニル環又はその類縁体が配位子(リガンド)として存在する化合物が挙げられる。
【0015】
上記配位子の具体例としては、例えば、シクロペンタジエニル環;炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換されたシクロペンタジエニル環;シクロペンタジエニルオリゴマー環;インデニル環;炭化水素基、置換炭化水素基又は炭化水素−置換メタロイド基により置換されたインデニル環などが挙げられる。
【0016】
なお、シクロペンタジエニル環又はインデニル環に置換する炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、イソブチル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、セチル基、2−エチルヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。
【0017】
更に、遷移金属には、上記π電子系の不飽和化合物以外にも、塩素、臭素などの一価のアニオンリガンド、二価のアニオンキレートリガンド、炭化水素、アルコキシド、アリールアミド、アリールオキシド、アミド、アリールアミド、ホスフィド、アリールホスフィドなどが配位結合していてもよい。
【0018】
このようなメタロセン化合物としては、例えば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルアミド)等が挙げられる。
【0019】
上記メタロセン化合物は、金属の種類や配位子の構造を変化させると共に特定の共触媒(助触媒)と組み合わせることによって、オレフィンの重合の際に触媒としての作用を発揮する。
【0020】
上記共触媒としては、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、ホウ素系化合物などが挙げられる。この共触媒の添加量としては、メタロセン化合物に対して10〜1000000モル倍が好ましく、50〜5000モル倍がより好ましい。
【0021】
そして、上記メタロセン化合物を重合触媒として用いたオレフィンの重合方法としては、不活性媒体を用いた溶液重合法、実質的に不活性媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法などが挙げられ、重合温度としては−100〜300℃が好ましく、重合圧力としては常圧から1×107 Paが好ましい。
【0022】
上記メタロセン化合物は、活性点の性質が均一であるという特徴を有しており、各活性点が同じ活性度を備えているため、メタロセン化合物を重合触媒として用いて得られたポリマーは、その分子量、分子量分布、組成、組成分布の均一性が向上する。
【0023】
従って、上記メタロセン化合物を重合触媒として用いて重合させて得られるポリプロピレン系樹脂は、分子量分布が狭く、共重合体の場合には、どの分子量成分にも共重合体成分が略等しい割合で導入されており、このようなポリプロピレン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂からなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、その架橋分布を均一なものとし、伸度の低下を防止しつつ引張物性の良好なものとなる。なお、メタロセン化合物を重合触媒として用いて重合させて得られるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、日本ポリケム社から商品名「ウィンテック」で市販されている。
【0024】
又、上記ポリプロピレン系樹脂における数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)は、3.0以下に限定され、2.8以下が好ましく、1.5〜2.8がより好ましく、2.0〜2.8が特に好ましい。
【0025】
これは、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)は分子量分布を示すものであり、この値を小さくすることによって、ポリプロピレン系樹脂を架橋させて用いた際における架橋分布を均一なものとすることができ、架橋点を多くした場合、即ち、架橋度を高くした場合にも架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の伸度の低下を防止して、引張物性の良好な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0026】
更に、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂のポリオレフィン系樹脂中における含有量は、少ないと、架橋分布を均一にすることができず、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下する一方、多いと、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の常温における柔軟性が低下して保管時などに割れなどを生じるので、20〜80重量%に限定され、30〜75重量%が好ましく、35〜70重量%がより好ましい。
【0027】
又、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度は、低いと、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐熱性が低下するので、120℃以上に限定され、125℃以上が好ましいが、高すぎると、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下することがあるので、170℃以下が好ましく、165℃以下がより好ましい。
【0028】
又、上記ポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピークが複数本ある場合には、ポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度は、最も低い結晶融解ピーク温度をいう。
【0029】
次に、上記ポリエチレン系樹脂について説明すると、このポリエチレン系樹脂としては、従来から発泡体の製造に用いられていたものであれば、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン系樹脂、中密度ポリエチレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状中密度ポリエチレン系樹脂、直鎖状高密度ポリエチレン系樹脂などが挙げられ、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂が好ましい。なお、ポリエチレン系樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0030】
そして、上記ポリエチレン系樹脂のメルトインデックス(以下、「MI」という)は、小さいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の原反の製造が困難となることがある一方、大きいと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の原反を架橋する際に架橋密度の制御が困難となることがあるので、0.1〜100g/10分が好ましく、0.3〜50g/10分がより好ましい。なお、ポリエチレン系樹脂のMIは、JIS K7210に準拠して温度190℃、荷重2.12Nの条件で測定されたものをいう。
【0031】
又、上記ポリオレフィン系樹脂中におけるポリエチレン系樹脂の含有量は、少ないと、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下して所望の破断点伸度を得るとができないことがある一方、多いと、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における160℃で引張試験を行った際の100%モジュラスを好適な範囲に制御することが困難となることがあるので、20〜80重量%が好ましく、25〜70重量%がより好ましく、30〜65重量%が特に好ましい。
【0032】
そして、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の見掛け密度は、高いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下するので、0.067g/cm3 以下に限定され、0.056g/cm3 以下が好ましいが、低すぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の力学特性が低下することがあるので、0.02g/cm3 以上が好ましい。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の見掛け密度は、JIS K7222に準拠して測定されたものをいう。
【0033】
又、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスは、低いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を所望形状に成形した際に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体に破れや皺などが発生するので、0.05MPa以上に限定され、0.06MPa以上が好ましく、0.07MPa以上がより好ましく、0.08Pa以上が特に好ましいが、高すぎると、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の柔軟性が低下することがあるので、0.3MPa以下が好ましい。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体における160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスは、JIS K6767に準拠して測定された100%モジュラスをいう。
【0034】
そして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の破断点伸度は、低いと、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を常温で保管中や架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体をスタンピング成形などによって成形した際に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体にひび割れや破れなどが発生するので、200%以上に限定され、220%以上が好ましい。
【0035】
なお、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の破断点伸度は、JIS K6767(A法)に準拠して測定されたものをいい、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の破断点伸度を測定する際は、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を所定温度に調整されたオーブン内に放置し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表面温度をサーモラベルにより測定して、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の表面温度が160℃となった時に測定する。
【0036】
又、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体には、物性を損なわない範囲内において、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウムなどの気泡形成剤;2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ジラウリルチオプロピオネートなどのイオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤;メチルベンゾトリアゾールなどの金属害防止剤;ヘキサブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、トリメチルフォスフェートなどのリン系難燃剤などの難燃剤;充填剤;帯電防止剤;安定剤;顔料などの添加剤が添加されていてもよい。
【0037】
次に、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法について説明する。先ず、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂及び熱分解型発泡剤に、必要に応じて、上記添加剤を添加してなる発泡性樹脂組成物を押出機、バンバリーミキサー、ロールなどの汎用の混練装置に供給して溶融、混練して所望形状の発泡性樹脂成形体、好ましくは発泡性樹脂シートを得る。
【0038】
なお、発泡性樹脂シートの厚みは、薄すぎても厚すぎても、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の気泡径のばらつきが大きくなることがあるので、0.5〜3mmが好ましく、0.7〜2.5mmがより好ましい。
【0039】
上記熱分解型発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられていたものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられ、これらは、単独で用いられても併用されてもよい。
【0040】
そして、上記熱分解型発泡剤の添加量は、多いと、発泡性樹脂成形体の発泡時に破泡することがあり、又、少ないと、発泡性樹脂成形体が発泡しないことがあるので、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して1〜50重量部が好ましく、4〜25重量部がより好ましい。
【0041】
次に、上記発泡性樹脂成形体に電離性放射線を照射して発泡性樹脂成形体を架橋させるが、発泡性樹脂成形体がシート状である場合には、発泡性樹脂シートの両面に電離性放射線を同一電圧、同一線量で照射するのが好ましい。なお、上記電離性放射線としては、例えば、α線、β線、γ線、電子線などが挙げられる。
【0042】
又、上記発泡性樹脂成形体に対する電離性放射線の照射量としては、少ないと、発泡性樹脂成形体の発泡時における伸張粘度が不足して良好な架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体が得られないことがあり、又、多いと、発泡性樹脂成形体の発泡時における流動性が低下して高い発泡倍率を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができないことがあるので、0.01〜20Mradが好ましく、0.05〜10Mradがより好ましく、0.1〜5Mradが特に好ましく、0.15〜3Mradが一層好ましく、0.2〜2.5Mradが最も好ましい。
【0043】
更に、上記発泡性樹脂成形体の架橋を促進させて、上記発泡性樹脂成形体に対する電離性放射線の照射量を低く抑え、上記ポリオレフィン系樹脂の分子鎖の切断や劣化を低く抑えるために、上記発泡性樹脂組成物に架橋助剤を添加してもよい。
【0044】
このような架橋助剤としては、従来から発泡剤の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどが挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
【0045】
上記架橋助剤の添加量は、少ないと、発泡性樹脂成形体に所望の架橋度を付与することができないことがあり、又、多いと、発泡性樹脂成形体の架橋度が高くなってしまって、得られる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の外観性が低下することがあるので、上記ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましく、0.3〜15重量部が一層好ましく、0.4〜12重量部が特に好ましく、0.5〜10重量部が最も好ましい。
【0046】
そして、上記のように架橋構造が付与された発泡性樹脂成形体を熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱し、発泡性樹脂成形体を発泡させて架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができる。
【0047】
上述のようにして得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、力学特性、耐熱性、柔軟性及び伸び等の物性バランスに優れており、スタンピング成形や真空成形等の汎用の成形方法でもって、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層を積層一体化させた上で或いは熱可塑性樹脂層を積層一体化させつつ所望形状に成形されて成形品とされる。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いて成形品を製造するには、スタンピング成形を用いるのが好ましい。
【0048】
ここで、スタンピング成形とは、雌雄型間に形成されたキャビティ内に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を配設すると共に上記キャビティ内に溶融状態の熱可塑性樹脂を供給し、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体と熱可塑性樹脂とを所望形状に成形しつつ、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂を積層一体化させる方法をいい、このスタンピング成形によって、上記架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層が積層一体化され且つ所望形状に成形されてなる成形品を製造することができる。
【0049】
スタンピング成形の具体的な要領の一例を具体的に説明すると、雌型内に団子状或いはシート状の熱可塑性樹脂を溶融状態にて配設した後、この熱可塑性樹脂上に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を配設する。なお、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は加熱されていてもそうでなくてもよい。
【0050】
しかる後、雌雄型を型閉めし、雌雄金型間に形成されたキャビティ内でポリオレフィン系樹脂架橋発泡シート及び熱可塑性樹脂を所望形状に成形すると同時にポリオレフィン系樹脂架橋発泡シートの一面に熱可塑性樹脂層を積層一体化して成形品を製造することができる。
【0051】
そして、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0052】
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン成分を50重量%以上含有するエチレンと重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリエチレン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0053】
なお、エチレンと共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。重合性モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0054】
更に、上記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレンと重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0055】
なお、プロピレンと共重合可能な重合性モノマーとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィンが挙げられる。プロピレンと共重合可能な重合性モノマーは、単独で用いられても二種類以上が併用されてもよい。
【0056】
又、上記熱可塑性樹脂には、その物性を損なわない範囲内において、タルク、珪酸、炭酸カルシウム等の無機化合物、熱安定剤、酸化防止剤、造核剤、着色剤等の添加剤が添加されてもよい。
【0057】
更に、上記熱可塑性樹脂に、ABS樹脂、ポリスチレン系樹脂、石油樹脂等のポリオレフィン系樹脂以外の樹脂が添加されていてもよく、又、上記熱可塑性樹脂は発泡されていても架橋されていてもよい。
【0058】
そして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材が積層一体化されていてもよい。このように、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を積層一体化させる場合には、スタンピング成形する前に予め架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を積層一体化しておいても、或いは、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を分離可能に積層しておき、スタンピング成形時に架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を積層一体化させるようにしてもよい。
【0059】
上記表皮材としては、例えば、ポリ塩化ビニルシート、ポリ塩化ビニルとABS樹脂との混合樹脂からなるシート、熱可塑性エラストマーシート、織物、編物、不織布等が挙げられる。
【0060】
又、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体を真空成形にて成形する場合には、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層を積層一体化させ、必要に応じて、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の他面に表皮材を積層一体化させた上で、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体及び熱可塑性樹脂、並びに、必要に応じて表皮材を所定温度に加熱し、真空成形して所望形状に成形すればよい。
【0061】
【実施例】
(実施例1〜3、比較例1,2)
表1に示した所定量のメタロセン化合物を重合触媒として重合されたポリプロピレン(日本ポリケム社製 商品名「ウィンテックWFX6」、Mw/Mn:2.8、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度:125℃、MI:2.0g/10分)、プロピレン単独重合体(三井住友ポリオレフィン社製 商品名「J103」、Mw/Mn:4.1、示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度:168℃、MI:3.0g/10分、密度:0.91g/cm3 )、直鎖状低密度ポリエチレン(東ソー社製 商品名「ZF231」、MI:2.0g/10分、密度:0.917g/cm3 )、アゾジカルボンアミド13重量部、ジビニルベンゼン3重量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3重量部、ジラウリルチオプロピオネート0.3重量部及びメチルベンゾトリアゾール0.5重量部を単軸押出機に供給して185℃で溶融、混練して押出し、厚さ1mmの発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを得た。
【0062】
次に、上記発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に、加速電圧800kVで電子線を1.5Mrad照射した後に、更に、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートの両面に加速電圧300kVで電子線を6Mrad照射した上で、発泡性ポリオレフィン系樹脂シートを250℃に加熱して発泡させ、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
【0063】
得られた架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの見掛け密度、160℃で引張試験を行った際における100%モジュラス及び破断点伸度を表2に示した。
【0064】
次に、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの上面にポリエステル系接着剤を介して厚さが0.50mmの軟質ポリ塩化ビニルシートを全面的に貼着一体化した。
【0065】
そして、軟質ポリ塩化ビニルシートが上面に貼着一体化された架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートから縦15cm×横15cm×厚さ3.5mmの平面正方形状の板状体を切り出した。
【0066】
次に、型開き状態の雌雄型間に上記板状体をその軟質ポリ塩化ビニルシートが雄型側となるように配設すると共に、雌型内に200℃のポリプロピレン系樹脂(230℃でのMI:20g/10分)20gを供給した後、雌雄型を直ちに圧力4.9MPaで5秒間、型閉めし、続いて、雌雄型を圧力0.98MPaで50秒間型閉めした。
【0067】
しかる後、雌雄型内に通水して架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートを冷却した上で雌雄型を型開きして、架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートの一面にポリプロピレン系樹脂層が、他面に軟質ポリ塩化ビニルシートが積層一体化されてなる成形品を得た。なお、成形品は、直径8cmで且つ厚み3.5mmの平面円形状の底面部の外周縁から厚み2mmの円筒状周壁部が垂直上方に向かって延設されてなる有底円筒状に形成されていた。
【0068】
上記の如くして得られた成形品の外観性及び柔軟性を下記基準にて評価し、その結果を表2に示した。
【0069】
(外観性)
得られた成形品の表面を目視観察して下記基準により外観性を評価した。
〔底面部〕
○‥‥底面部の軟質ポリ塩化ビニルシート部分に凸凹、皺は見られず、優れた外観であった。
×‥‥底面部の軟質ポリ塩化ビニルシート部分に凸凹、皺が発生し、外観は不良であった。
〔コーナー部〕
○‥‥底面部と周壁部との連設部分における軟質ポリ塩化ビニルシート部分に破れはなく優れた外観であった。
×‥‥底面部と周壁部との連設部分における軟質ポリ塩化ビニルシート部分に破れが発生し、外観は不良であった。
【0070】
(柔軟性)
得られた成形品の軟質ポリ塩化ビニルシート部分の硬度をアスカーCタイプの硬度計を用いて測定し、下記判定基準により柔軟性を評価した。
〔判定基準〕
○‥‥硬度が59以下であった。
×‥‥硬度が60以上であった。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】
請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線の照射によって架橋させた上で発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、見掛け密度が0.067g/cm3 以下で且つ160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスが0.05MPa以上であると共に、破断点伸度が200%以上であることを特徴とするので、優れた耐熱性及び柔軟性を有しており、スタンピング成形により成形した場合にあっても、破れや皺を生じることなく複雑な形状に成形することができる。
【0074】
又、請求項2に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体は、請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体において、ポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が120℃以上であることを特徴とするので、優れた耐熱性及び柔軟性を有しており、スタンピング成形により成形した場合にあっても、破れや皺を生じることなくさらに複雑な形状に成形することができる。
【0075】
最後に、請求項3に記載の成形品は、請求項1又は請求項2に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層が積層一体化され且つ他面に表皮材が積層一体化されていると共にスタンピング成形によって所望形状に成形されてなることを特徴とするので、複雑な形状であっても破れや皺などがない正確な形状を有している。
Claims (3)
- 数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との比(Mw/Mn)が3.0以下であるポリプロピレン系樹脂を20〜80重量%含有するポリオレフィン系樹脂を電離性放射線の照射によって架橋させた上で発泡させてなる架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体であって、見掛け密度が0.067g/cm3 以下で且つ160℃で引張試験を行った際における100%モジュラスが0.05MPa以上であると共に、破断点伸度が200%以上であることを特徴とする架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
- ポリプロピレン系樹脂における示差走査熱量分析による結晶融解ピーク温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体。
- 請求項1又は請求項2に記載の架橋ポリオレフィン系樹脂発泡体の一面に熱可塑性樹脂層が積層一体化され且つ他面に表皮材が積層一体化されていると共にスタンピング成形によって所望形状に成形されてなることを特徴とする成形品。
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