JP2005112884A - ポリプロピレン系発泡性シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
160〜180℃の低温度条件による発泡成形が可能であり、適度に剛性を付与した加熱発泡成形用シートを提供すること。
【解決手段】
プロピレン系ランダム共重合体からなる熱可塑性樹脂を発泡させてなる発泡性シートであって、熱可塑性樹脂がランダム系ポリプロピレン樹脂であり、発泡温度が180度以下であることを特徴とする発泡性シート。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、プロピレンとα−オレフィンを少なくともモノマー単位として含み、示差走査型熱量計で測定した融点が125〜155℃の範囲にあるものが好ましい。
Description
ところが、ポリプロピレン(以下「PP」と略記することがある)は、ポリエチレンとくに高圧法低密度ポリエチレンにくらべて、溶融時の粘弾性が低いため、PPを主成分とする発泡性材料は、発泡ガスが材料中を移動して飛散しやすく、品質のよい発泡体を得ることが難しいという問題点があった。
また本出願人は、PPにラジカル発生剤と架橋助剤とを加えるとともに、特定の他のオレフィン系樹脂を配合してなる発泡性シート形成組成物およびこの組成物を用いた発泡体の製造方法を、特開昭61-185533号公報、特開昭61-181841号公報、特開昭61-176636号公報、および特開昭61-171742号公報にて提案した。
また、本出願人は特公平6-104739では同様にして得られた発泡性シートに電離性放射線を照射して架橋させる手法を提案している。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、プロピレンとα−オレフィンを少なくともモノマー単位として含み、示差走査型熱量計で測定した融点が125〜155℃の範囲にあるものをいう。
本発明のプロピレン系ランダム共重合体は、下記の構成を好ましい態様としてあげることができる;
(1)プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であって、エチレン含量が5重量%以下、示差走査型熱量計で測定した融点が130〜155℃のもの。
(2)プロピレンとエチレンの他に5重量%以下の他のα−オレフィンとの3元ランダム共重合体であって、示差走査型熱量計で測定した融点が125〜150℃であり、結晶性のもの。プロピレン・エチレン・1-ブテンの3元ランダム共重合体であって、共重合体中に含まれるエチレン量が3重量%以下、ブテン量が4重量%以下であるものがとりわけ好ましい。
さらに、当該プロピレン樹脂(A)の100重量部に対して発泡剤(B)が1〜10重量部の割合で用いて発泡され、かつ架橋されてなる発泡性シートが好ましい。
発泡剤の量が上記範囲を逸脱して少なすぎると発泡倍率が2倍以上の発泡体が得られず、一方、上記範囲を越え多すぎると、発生ガスの膨張力が大きくなり過ぎ、溶融樹脂膜の伸長性が不足し該膜が破れ始めるためガスが逃失し、ガスの有効利用率が低下して発泡倍率が低下する上、独立気泡度が低下する。
また、ラジカル発生剤(C)の量を架橋に要する当量より過少量用いた場合には、遊離の架橋剤(D)が残留するため、臭気、溶出などの安全、衛生上の問題が生じる上、資源の浪費となり実用的でない。
このような耐熱安定剤としては、たとえば、n−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)プロピオネート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
架橋組成物と発泡剤とを混練した発泡性の材料をシートに成形する方法としては、ブラベンダー等の二軸混練機で加熱溶融した架橋組成物に発泡剤を添加し分散し、ついでカレンダーロールでシート状に成形する方法、プレス成形機でシート化する方法および押出機を用いて混練したのちTダイまたは環状ダイを通してシート化する方法などがある。これらのなかでは、最後の方法、つまり混練した後、発泡剤の分解温度未満の温度でTダイから押し出して成形する方法は、エネルギー消費量、所要時間とも少なく、シートの平面性や押出肌も良好であり好ましい。
図1ないし図3に本発明の成形用積層体の要部断面図を示す。
本発明の発泡性を有する成形用積層体は、発泡性シート(イ)の片面または両面に、無機質繊維状物、高分子材料から選ばれる裏打材(ロ)を積層一体化して構成される。
裏打材(ロ)としては、グラスウールなどの無機質繊維状物の不織布状シート、ポリオレフィン樹脂のシート、ポリエチレンテレフタレート等の不織布などが例示される。
無機質繊維状物の不織布状物としては通常目付10g/m2ないし2000g/m2、好ましくは50g/m2ないし500g/m2である。
また、ポリオレフィン樹脂のシートには、ポリプロピレンシート、プロピレン−エチレン−ブロック共重合体シート、ポリエチレンシート(好ましくは高密度ポリエチレンシート)が例示され、必要に応じて、エチレン・プロピレン−ジエンゴムなどの合成ゴム、タルク、紙、木粉等の充填剤も配合される。これらポリオレフィン樹脂シートの厚さは通常0.1ないし2mm程度である。
(i)発泡性シート(イ)とポリオレフィン樹脂シートからなる裏打材(ロ)を共押出しにより成形しながら溶融状態で一体化する方法。
(ii)予め成形された裏打材(ロ)の片面に、発泡性シート(イ)を押出してラミネートする方法。
(iii)予め成形された発泡性シート(イ)および裏打材(ロ)を接着剤、粘着剤等を介在させて積層一体化する方法。
が例示される。
また本発明の成形用積層体は、発泡性シート(イ)の片面に裏打材(ロ)を積層一体化し、他方の面に、種々の表装材、パッド等を積層した態様を包含する。表皮材としては、熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニルレザー、カーペット、不織布などが例示される。パッド材としては、ポリエチレン発泡シート、ポリウレタン発泡シートなどが例示される。
第1図は、本発明の成形用積層体の例を示す要部断面図である。発泡性シート(イ)の厚さは、約0.3mmないし5mm、好ましくは約0.5ないし2mmであり、その両面に積層一体化された裏打材(ロ)はポリオレフィンシートの場合その厚さは、約0.1mmないし2mm、好ましくは約0.3ないし1.0mmである。発泡性シート(イ)が0.3mm未満では、剛性が劣り、加熱・発泡される際およびプレスや真空成形させる際に成形用積層体を横持ち運搬することが困難である。また5mmを越えると軽量化のメリットが生かされない。またポリオレフィン樹脂シートの裏打材(ロ)の厚さが0.1mm未満では、深絞りの際の薄肉化により、発泡性シート(イ)の発泡セルの内圧に抵抗できず、ポリオレフィン樹脂シートの裏打材(ロ)の孔あきを生ずる恐れがある。さらに十分な補強効果が得られない。また2mmを越えると、本発明の成形用積層体によって達成される軽量化のメリットが得られない。
第2図は、本発明の成形用積層体の他の例を示す要部断面図である。発泡性シート(イ)および裏打材(ロ)は、第1図の場合と同様であり、裏打材(ロ)は発泡性シート(イ)の片面のみに積層一体化されており、発泡性シートの他の面には、パッド材12を介して表皮材13が一体的に積層されている。パッド材12の厚さは通常約1ないし10mm、好ましくは約2ないし5mmであり、表皮材13の厚さは通常約0.05ないし1.0mmである。好ましくは0.2〜0.8mmである。
第3図は、本発明の成形用積層体の他の例を示す要部断面図である。発泡性シート(イ)および裏打材(ロ)は、第2図の場合と同様であるが、本態様では、表皮材の機能とパッド材の機能を兼ねた表皮材13を利用するものである。
裏打材(ロ)/発泡性シート(イ)
裏打材(ロ)/発泡性シート(イ)/PPE/TPE
裏打材(ロ)/発泡性シート(イ)/ポリウレタンフォーム/TPE
裏打材(ロ)/発泡性シート(イ)/PPE/ポリ塩化ビニルレザー
裏打材(ロ)/発泡性シート(イ)/ポリウレタンフォーム/ポリ塩化ビニルレザー
裏打材(ロ)/発泡性シート(イ)/ポリ塩化ビニルレザー
裏打材(ロ)/発泡性シート(イ)/低発泡ポリエチレン
ここでTPEとは熱可塑性エラストマーからなる表皮材であり、スチレン系、水添スチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、イオン架橋系等の種々のタイプのものが例示される。
PPEとは、ポリプロピレン製軟質発泡性シートである。
(1)熱板の上に積層シートを置いて加熱する常圧発泡法、
(2)上記(1)に加えて、発熱体からの輻射熱の利用、
(3)高周波誘導による加熱、
(4)オーブンを用いた加熱、および
(5)熱風加熱
(6)塗装工程での熱源の利用
である。いずれの方法においても、発泡性シート(イ)が軟化しても、他の材料が発泡層の垂れ下りを防止できるように、成形用積層体は発泡性シートの層を表皮材よりも上側に置くことが好ましい。
成形用積層体は、発泡が起りつつあるか、または発泡がほぼ完了したが、なおシートが可塑性を保っている間に成形する。加工方法としては、プレス成形、真空成形および圧空成形などがある。加熱および成形を同時に行う場合は、プレス型に積層シートを入れ、型を閉じて加熱するとともに成形し、発泡剤の分解が終了したら型を開放し、発泡ガスを膨張させて積層発泡成形体を得る。
[実施例]
装置:示差走査型熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)、EXSTAR 6000)
測定条件:室温から230℃まで10℃/分の昇温速度で昇温し、230℃で10分間保持した後、10℃/分の降温速度で50℃まで冷却する。50℃で1分間保持した後、再び10℃/分の昇温速度で、230℃まで昇温する。この2回目の昇温途中に表れるピーク温度を融点として読み取った。
こうして得た発泡性材料を、第4図に示すように、押出機に開口幅500mm、開口厚さ1mmのコートハンガー型のダイを装着したものを用いて、樹脂温度160℃、スクリュー回転数40rpmの条件で押出して厚さ1mmの未発泡シート原反を得、次に定尺に裁断した。
このようにして用意した発泡性シートを、肉厚0.3mmのアルミ板上に載せ、170℃、および180℃の2水準の温度条件に設定したオーブン中で30分間加熱しフリー発泡条件で二次発泡させた。その後オーブン外に取り出し、自然冷却し発泡成形体を得た。
発泡成形体の発泡倍率を水中置換法による比重から求めたところ、170℃の温度条件で4.3倍、180℃条件で5.9倍となっていた。
[比較例1]
[比較例2]
[比較例3]
以上の結果を、表1に示す。
ロ……裏打ち材
12……パッド材
13……表皮材
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂からなる発泡性シートであって、熱可塑性樹脂がランダム系ポリプロピレン樹脂であり、発泡温度が180度以下であることを特徴とする発泡性シート。
- ランダム系ポリプロピレン樹脂がプロピレン・エチレンのランダム共重合体からなり、共重合体中に含まれるエチレン量が5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性シート。
- ランダム系ポリプロピレン樹脂がプロピレン・エチレン・1-ブテンの3元ランダム共重合体からなり、共重合体中に含まれるエチレン量が3重量%以下、ブテン量が4重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性シート。
- 熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜10重量部の発泡剤を用いて発泡され、かつ架橋されてなることを特徴とする請求項2および3に記載の発泡性シート。
- 請求項4に記載の発泡性シートの片面または両面に、無機または高分子材料を一体的に積層してなることを特徴とする発泡性を有する成形用積層体。
- 加熱発泡温度よりも15〜25℃低い分解温度を有する発泡剤を用いることを特徴とする、請求項4記載の発泡性シートおよび請求項5に記載の発泡性積層体。
- 発泡剤の分解温度よりも15〜25℃高い温度で発泡を行なうことを特徴とする、請求項4記載の発泡性シートおよび請求項5に記載の発泡性積層体の製造方法。
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