JP2011093294A - 透湿防水シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 透湿性及び防水性に特徴を有した透湿防水シートを提供する。
【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂発泡体の両面を切断又は切削する二次加工を施すことにより、発泡体の両面に気泡断面を露出させた状態である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透湿防水シートに関する。
従来、防水シートとして用いられているものとして、アスファルトフェルトやアスファルトルーフィングなどが市販されているが、これらは防水性を有するが、透湿性を有しないか、またはその程度が極めて少ないため、室内外での気温差が大きい場合に、水蒸気や水滴が発生し、内側が結露し、接している支持体を傷める可能性がある。また、現在使用されているものは紙又は不織布にアスファルトを含浸又は塗布しているため重量が大きく、取り扱い性が悪く、作業性も悪くなるなど問題があった(特許文献1参照)。
そこで、柔軟性に優れるポリオレフィン系樹脂発泡体を用いることで、優れた防水性を有し、且つ優れた透湿性を達成した。さらに、ポリオレフィン系樹脂発泡体を用いることで、過酷な使用環境においても性能を維持し、重量の問題等も解決した。
しかし、これまでの特許文献には、種々の物性や改善点などの記載はあるが、具体的な製造方法についてや、発泡体を用いたものについては、何ら記載がない(特許文献2及び3参照)。
特開平10−280623 特開2007−126953 特許第4021524号
本発明の目的は、透湿性及び防水性に特徴を有した透湿防水シートを提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討した。その結果、特定の熱可塑性樹脂組成物を押出機に供給し、二酸化炭素を発泡剤として押出機内へ圧入して溶融樹脂と混練した後、特定の吐出速度と圧力にて押出発泡させることにより得られる発泡体の両面を切断又は切削する二次加工を施すことにより、発泡体の両面に気泡断面を露出させた状態にした発泡体によれば、上記課題を達成し得ることを見出した。
本発明は、以下の透湿防水シートを提供するものである。
1 ポリオレフィン系樹脂発泡体の両面を切断又は切削する二次加工を施すことにより、発泡体の両面に気泡断面を露出させた状態であることを特徴とする透湿防水シート。
2 ポリオレフィン系樹脂発泡体に熱可塑性エラストマーを混合して得られた透湿防水シート。
3 ポリオレフィン系樹脂発泡体の透湿度が10〜500g/m・hの範囲であり、且つ、耐水度が少なくとも200mmHOであることを特徴とする透湿防水シート。
4 ポリオレフィン系樹脂発泡体の平均気泡径が0.02〜0.2mmの範囲であることを特徴とする透湿防水シート。
5 ポリオレフィン系樹脂発泡体の厚みが0.5〜2.0mmの範囲であり、且つ、見掛け密度が35〜100kg/mの範囲であることを特徴とする透湿防水シート。
6 ポリオレフィン系樹脂発泡体の少なくとも片面に、織物、編物又は不織布等からなる基材をラミネートすることを特徴とする透湿防水シート。
本発明によれば、下記の如き格別顕著な効果が得られる。
(1)本発明の透湿防水シートは、所定のメルトフローレートを有するポリオレフィン系樹脂に、熱可塑性エラストマーを所定割合にて含有させたポリオレフィン系樹脂発泡体であるため、結晶性の低い熱可塑性エラストマーによって、ポリオレフィン系樹脂における溶融粘度の温度依存性を緩和し、発泡適正温度を広げて発泡性の改善を図っており、発泡剤に二酸化炭素を用い、更に気泡生成部と発泡体成形部を有する円環ダイを用いて、なお且つ所定の吐出速度、圧力にて押出発泡することにより気泡の微細化、気泡膜強度の向上及び発泡倍率を向上させた、表面平滑性の良い発泡体を得ることが可能となる。
(2)また、本発明において、上記方法を用いることで、微細な気泡を形成させることが可能となり、発泡倍率が高くクッション性及び柔軟性に優れるとともに、表面にムラや皺が少ない、外観に優れたポリオレフィン系樹脂発泡体を安定的に連続して効率よく製造することができるので、表面平滑性に優れることにより、発泡体両面の表皮を除去するスライス加工性に優れる。
(3)本発明により得られる透湿防水シートは、水を通さない優れた防水性を有していると共に、水蒸気及び空気は透過させるという特徴を有しているため、建築物等に用いる透湿・防水資材として、浴槽周りや介護用の透湿防水シートとして、電子機器又は電子機器部材の透湿防水シート等の、高温又は乾燥条件下等で使用するなど水分や空気の移動を伴う条件下で使用する場合に好適に用いることができる。
従来、一般家屋の壁面や屋根下敷き材等に用いられているものは、防水性は有するが、透湿性を有していないか、又はその透湿性が極めて小さいため、室内外の気温差が大きい場合には、これらのシートの内側に発生した水蒸気が結露したり、黴が発生することにより、シートに接する支持体を傷めてしまう可能性があるという第1の問題があった。
また、屋根下敷き材やハウスラップとして用いるシートは、その固定のためにタッカーや釘などを使用するのが一般的であり、その際に隙間や穴ができることから、瓦や外壁から侵入した雨水がその隙間や穴を通過し、支持体を傷めてしまう第2の問題があった。
第2の問題を解決するために、水膨張性コロイド粘土層を設けたシート(実開平5−61074号公報)や吸水倍率が高い高吸収ポリマーをバインダーを用いて固着する方法(特開平7−279054号公報)が開発されているが、シートの厚みが厚くなることで透湿性が劣ってしまうことや、ポリマー層がむき出しになることで水と接すると膨潤して取り扱いにくくなるなど問題があると共に、シートの重みが増し、作業性が悪くなるなど第3の問題が発生する。
これらの問題を解決するため、微細気泡を有する発泡体の両面を除去し、微細気泡を露出させることで、水を通さない優れた防水性を有し、空気等の気体を透過させると共に水蒸気を透過させることで上記第1の問題を解決できる。次に柔軟性、クッション性に優れることで隙間などの発生を抑え、他の部材との二次加工又は複合化等を行なうことでさらなる強度を維持させることも可能となる。さらにまた、発泡体であるため、重量も軽く、貼り合わせ等の二次加工を行なった際の重量軽減にも寄与する。これらの特性は建築部材等の利用に効果を発するだけでなく、キャビネット内への浸水を防止し、内部で発生する気体を外部に排出したいような電子・電気機器部材や、水蒸気や気体の放出を必要とする部材等に好適に使用することが可能である。
本発明の一実施形態を示す円環ダイの概略断面図である。
(ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法)
本発明の一実施形態であるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、以下の通りである。
メルトフローレート0.2〜5g/10minのポリオレフィン系樹脂100重量部と、熱可塑性エラストマー10〜300重量部から成る配合樹脂組成物に気泡核剤を含有する熱可塑性樹脂組成物を押出機に供給し、二酸化炭素を発泡剤として押出機内へ圧入して溶融樹脂組成物と混練した後、押出機先端に取り付けた図1に示した円環ダイDより押出発泡させる熱可塑性樹脂発泡体の製造方法である。
この実施形態では特に、該円環ダイDは、樹脂流路3に形成された気泡生成部2と、気泡生成部2に連続し、この生成した気泡の成長及び発泡体表面の平滑化を行う発泡体成形部1とを有しており、該円環ダイDの気泡生成部2における樹脂の吐出速度Vが、50〜300kg/cm・hrかつ、円環ダイD手前での樹脂圧力が7MPa以上となる条件下で押出発泡させることを特徴とする。4は円環ダイイン側金型、5は円環ダイアウト側金型である。
本明細書において、樹脂の吐出速度V(kg/cm・hr)は、下記式によって、定義される。
V=押出樹脂重量/金型気泡生成部断面積・時間
ここで、押出樹脂重量は、金型から押し出された総重量をいう。従って、押出樹脂重量は、ポリオレフィン系樹脂組成物と発泡剤との合計量となる。また、押出樹脂重量は、1時間当りの吐出量(kg/hr)で表すことができる。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、押出機先端から円環ダイまでの流路において、ストレインゲージなどによって測定される圧力であって、特に本明細書においては、押出機先端フランジ、両サイドにフランジのある直管金型、円環ダイと順に接続した直管金型部に取り付けた、ストレインゲージにて測定される値を言う。
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物は、メルトフローレート0.2〜5g/10minのポリオレフィン系樹脂100重量部、熱可塑性エラストマー10〜300重量部及び気泡核剤を、必須成分として含有する。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂としては、メルトフローレートが0.2〜5g/10min程度であれば、特に限定されない。具体的には、ホモポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。
プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ランダム共重合体又はブロック共重合体の何れであってもよいが、耐熱性に優れていることから、ブロック共重合体が好ましい。
プロピレンと共重合する他のオレフィンとしては、例えば、エチレンの他に、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数が4〜10であるα−オレフィンが挙げられる。
これらの内、発泡性や耐熱性が優れるホモポリプロピレンや、ブロック共重合体ポリプロピレンが好ましく、さらに耐熱性に優れるホモポリプロピレンがより好ましい。
また、本発明に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、発泡性に優れることから、高溶融張力ポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。高溶融張力ポリプロピレン系樹脂としては、電子線架橋などにより分子構造中に自由末端長鎖分岐を有している高溶融張力ポリプロピレン(HMS−PP)や、高分子量成分を含むことで溶融張力を上げたもの等がある。この高溶融張力ポリプロピレンとしては、市販品を使用でき、市販品の具体例としては、日本ポリプロ社製の商品名「ニューストレンSH9000」や、Borealis社製の商品名「DaployWB135HMS」などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を適宜組み合わせ混合して用いてもよい。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は低いと、押出機の負荷が大きくなって生産性が低下し、又は、発泡剤を含む溶融したポリオレフィン系樹脂組成物が金型内を円滑に流れることができなくなって、得られるポリオレフィン系樹脂発泡体の表面にムラが発生して外観が低下する一方、高いと、金型円環ダイ手前での樹脂圧力が低下し、円環ダイ気泡生成部における樹脂圧力も低下することから、気泡生成部手前で気泡が生成してしまい発泡体成形部で破泡が急激に生じることにより発泡性が低下し、得られる発泡体の外観が低下もしくは、発泡体が得られなくなるので、0.2〜5g/10min程度に限定され、0.2〜4g/10min程度が好ましく、0.3〜3.5g/10min程度がより好ましい。
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートは、JIS K7210:1999のB法に準拠して、試験温度230℃、試験荷重21.18Nにて測定されたものをいう。
ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートは、ポリオレフィン系樹脂を一種単独で用いた場合には、その樹脂のメルトフローレートを上記方法で測定されたものをいう。
また、ポリオレフィン系樹脂二種以上を混合して用いた場合には、それぞれ個々のポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートを上記測定方法で測定し、それぞれのメルトフローレートの値から、下記の様にして、算出したものをいう。
即ち、ポリオレフィン系樹脂が、n種類のポリオレフィン系樹脂の混合物であるとした場合、ポリオレフィン系樹脂1のメルトフローレートをMFR、ポリオレフィン系樹脂2のメルトフローレートをMFR、・・・ポリオレフィン系樹脂nのメルトフローレートをMFRとすると共に、ポリオレフィン系樹脂1の含有量をC1、ポリオレフィン系樹脂2の含有量をC2・・・ポリオレフィン系樹脂nの含有量をCnとする。なお、ポリオレフィン系樹脂nの含有量は、ポリオレフィン系樹脂nの重量をポリオレフィン系樹脂全体の重量で除したものとする。そして、ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレートは、下記式によって算出される。
メルトフローレート(g/10min)=(MFRC1×(MFRC2×・・・×(MFRnCn
(熱可塑性エラストマー)
熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するもので、常温でゴム弾性を示し、高温では熱可塑性樹脂と同様に可塑化され成形できるという性質を有する。一般的には、ハードセグメントがポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂であり、ソフトセグメントがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのゴム成分または非結晶性ポリエチレンである。
熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を多段階で行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機などの混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機などの混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させる際に架橋剤を加えることによって、ポリオレフィン系樹脂マトリックス中に、ゴム成分を完全架橋又は部分架橋させミクロ分散させて得られる、動的架橋されたエラストマーが挙げられる。
本発明では、非架橋エラストマー及び架橋エラストマー共に利用することが可能であり、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造された非架橋エラストマーを用いた場合、製造された製品のリサイクル性を考慮すると好ましく、通常のポリオレフィン系樹脂を押出発泡成形する場合と同様の押出機での製造が容易に可能となり、更に発泡成形品をリサイクルし再び押出機へ供給して同じ発泡成形をする場合でも、架橋ゴムによる発泡不良等が抑えられる。一方、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させると同時に、ゴム成分を部分架橋または動的架橋された架橋エラストマーを用いた場合、ポリオレフィン系樹脂との相溶性に優れることや、得られる発泡体の耐熱性を高めることなどから好ましい。
なお、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーを構成するジエン成分としては、例えば、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
ここで、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーは一種或いは二種以上を混合して用いられてもよく、このようなエチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーを使用することにより、通常のポリオレフィン系樹脂を押出発泡成形する場合と同様の押出機での製造が容易となる。
熱可塑性エラストマーの硬度は、JIS K6253で規定されるデュロA硬度で90以下であることが、優れた柔軟性を有するポリオレフィン系樹脂発泡体が得られる点から好ましい。デュロA硬度は、80〜20程度であることがより好ましい。
熱可塑性エラストマーの含有量は、少ないと、得られるポリオレフィン系樹脂発泡体の緩衝性や柔軟性が乏しくなる一方、多いと、熱可塑性樹脂組成物のゴム弾性が強くなりすぎて発泡性が低下したり、得られたポリオレフィン系樹脂発泡体の収縮が大きくなるために、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して10〜300重量部程度に限定され、20〜150重量部程度が好ましく、30〜100重量部程度がより好ましく、40〜70重量部程度が特に好ましい。
(気泡核剤)
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、気泡核剤が含まれる。気泡核剤は熱可塑性樹脂組成物が気泡を形成する際に気泡核の生成を促すものであり、気泡の微細化と均一性に効果を示す。気泡核剤としては、例えばタルク、マイカ、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、ガラスビーズなどの無機化合物;ポリテトラフルオロエチレン、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などの有機化合物、窒素などの不活性ガスなどが挙げられる。その中でも、無機化合物ではタルク、有機化合物ではポリテトラフルオロエチレンが気泡微細化に効果が高いため好ましい。また、ポリテトラフルオロエチレンは分散させた際にフィブリル状になることで樹脂の溶融張力が上がるようになるものが特に好ましい。
気泡核剤の量は、少ないと得られるポリオレフィン系樹脂発泡体の気泡数を増加させることが困難となり、得られるポリオレフィン系樹脂発泡体の表面平滑性が低下することがある。一方、多いと二次凝集を起こしやすくなり押出発泡不良による発泡体の表面平滑性が低下することがあるので、配合樹脂組成物100重量部に対して0.01〜15重量部であることが好ましく、0.1〜12重量部であることがより好ましい。
本発明で使用される気泡核剤は、そのものの形態で配合樹脂組成物と混合し熱可塑性樹脂組成物として、又は個別に押出機内へ供給しても良く、更にマスターバッチとして配合樹脂組成物と混合し熱可塑性樹脂組成物として、又は個別に押出機内へ供給しても良い。
マスターバッチの基材樹脂としては、配合樹脂組成物に対する相溶性に優れるものであれば、特に限定されず、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を好適に使用することができる。
(添加剤)
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー及び気泡核剤以外に、任意成分として、発泡成形に通常用いられる各種添加剤を配合することができる。該添加剤としては、例えば、耐候性安定剤、光安定剤、顔料、染料、難燃剤、結晶核剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの内、界面活性剤は、すべり性及びアンチブロッキング性を付与するものである。また、分散剤は、無機充填剤の分散性を向上させるもので、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
添加剤の添加量は、気泡の形成、得られる発泡体の物性等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の熱可塑性樹脂の成形に用いられる添加量を採用できる。
前記気泡核剤及び上記添加剤は、取扱いの容易性や粉体飛散による製造環境汚染の防止のため、又熱可塑性樹脂中への分散性を向上させるため、マスターバッチとして、使用することもできる。
マスターバッチは、通常、熱可塑性の基材樹脂に、添加剤等を高濃度で練り込み、ペレット状とすることにより、行うことができる。基材樹脂としては、配合樹脂組成物に対する相溶性に優れるものであれば、特に限定されず、例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等を好適に使用することができる。
(発泡剤)
発泡剤は、熱可塑性樹脂組成物を発泡させるために、押出機内に圧入させて供給されるものであり、本発明においては、二酸化炭素を用いる。二酸化炭素は、超臨界状態、亜臨界状態、又は液化された二酸化炭素を用いることで、従来の発泡体以上に微細な気泡を形成させることが出来、得られる発泡体の表面平滑性や柔軟性を向上させることが出来る。 押出機内に圧入される発泡剤の量は、ポリオレフィン系樹脂発泡体の発泡倍率に応じて適宜、調整されればよいが、少ないと、ポリオレフィン系樹脂発泡体の発泡倍率が低くなり、軽量性及び断熱性が低下することがある一方、多いと、金型内において発泡を生じ、破泡を生じたり、或いは、ポリオレフィン系樹脂発泡体中に大きな空隙が生じることがあるので、ポリオレフィン系樹脂組成物100重量部に対して1〜10重量部程度であるのが好ましく、2〜8重量部程度であるのがより好ましく、3〜6重量部程度であるのが特に好ましい。
(押出機、金型及び樹脂の吐出速度)
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法において、押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、およびタンデム型押出機のいずれの押出機をも用いることができる。本発明では、これらの内、押出条件を調整しやすいことから、タンデム型押出機が好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法において用いられる金型は、図1及び既述のとおり、樹脂流路3の絞り31により形成された気泡生成部2と、生成した気泡の成長及び発泡体表面の平滑化を行う発泡体成形部1とを有している円環ダイDである。本発明によるポリオレフィン系樹脂発泡体は、従来よりも微細な気泡を有しているため、従来の円環ダイを用いて発泡させた場合、発泡体表面には多数のコルゲートが発生し、得られる発泡体の表面平滑性が悪くなる。しかしながら、発泡体形成部の有する円環ダイは、発泡体成形部における適度なすべり抵抗によって、気泡生成部でのコルゲートの発生を抑制でき、表面平滑な発泡体を得ることができる。ここで言うコルゲートとは、円環ダイから出た発泡体が体積膨張による円周方向の線膨張分を吸収するために波打ちしてできる、多数の山谷状のヒダのことである。
本発明の製造方法では、気泡生成部での樹脂の吐出速度Vは、50〜300kg/cm・hrかつ、円環ダイ手前での樹脂圧力が7MPa以上とする。
吐出速度Vは70〜250kg/cm・hr程度であることが好ましく、100〜200cm・hr程度であることがより好ましい。かつ円環ダイ手前での樹脂圧力は7MPa以上であり、8MPa以上20MPa以下であることがより好ましい。上記条件による押出発泡で、ポリオレフィン系樹脂の発泡性を向上させることができることに加え、気泡を微細化することができるとともに気泡膜の強度がより高まる。これら条件により、得られた発泡体は二次加工する場合の加工性が向上し、例えばスライス加工して得られるシート状の発泡体は、表面平滑性に優れたものが得られる。吐出速度Vが50kg/cm・hr程度より小さい場合、気泡の微細化や高発泡倍率の発泡体を得ることが困難となる。一方で300kg/cm・hr程度より大きい場合、金型気泡生成部で樹脂が発熱して気泡破れをきたし、発泡倍率が低下しやすくなることに加え、皺状のコルゲートが発生しやすくなり気泡径が不均一となって発泡体の表面平滑性が低下するため好ましくない。吐出速度Vは、円環ダイ気泡生成部の断面積、押出吐出量により適宜調節される。
気泡生成部の断面積の調整方法としては、金型の気泡生成部の長さ(フラット金型の場合)や口径(円環ダイの場合)を変える方法と、金型の気泡生成部の間隔(フラット金型又は円環ダイの場合)を変える方法との2通りの方法が挙げられる。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、7MPaよりも低いと円環ダイ気泡生成部より手前で気泡生成が始まり、良好な発泡体が得られなくなるため好ましくない。また、20MPaより高くなると、押出機の負荷が高くなりすぎたり、発泡剤の注入圧力が高くなりすぎて圧入出来なくなる恐れがあるため、好ましくない。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、溶融樹脂粘度と押出吐出量、円環ダイ気泡生成部断面積によって適宜調節される。更に溶融樹脂粘度は配合樹脂組成物の粘度と発泡剤の添加量、及び溶融樹脂温度によって適宜調節される。なお、本明細書での溶融樹脂温度とは、円環ダイ手前での樹脂圧力を測定する直管金型において、溶融樹脂に直接接触させる形で取り付けられた熱電対にて測定された温度を言う。
本発明における樹脂温度は、概ねポリオレフィン系樹脂の融点より10℃〜20℃の範囲とすることが、発泡性を高める上で好ましい。樹脂温度が融点に近づくと、ポリオレフィン系樹脂の結晶化が始まり、急激に粘度が上昇し押出条件が不安定になったり、押出機の負荷が上昇したりするので好ましくない。逆に高すぎると発泡後の樹脂固化が発泡スピードに追い着かず、破泡をきたして発泡倍率が上がらないなどの問題が出るので好ましくない。
(ポリオレフィン系樹脂発泡体)
本発明方法により得られたポリオレフィン系樹脂発泡体の平均気泡径は、小さいと、破泡が多くなり、ポリオレフィン系樹脂発泡体の見かけ密度が大きくなることがある一方、大きいと、ポリオレフィン系樹脂発泡体の通気性、透湿性及び耐水圧等が低下することがあるので、0.02〜0.3mm程度であるのが好ましく、0.05〜0.2mm程度であるのがより好ましく、0.07〜0.18mm程度であるのが特に好ましい。
(ラミネート基材)
本発明で使用するラミネート基材としては、木綿、ビスコースレーヨン、パルプ等のセルロース系繊維や、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、アクリル系等の合成繊維等から構成した織物、編物又は不織布等が挙げられる。その中でも、ポリプロピレンが熱加工性に優れているため好ましい。
織物、編物又は不織布等からなる基材をラミネートすることで、透気性、透湿性又は防水性の機能を維持しつつ、強度の向上にもつながることで、作業性の向上や、壁面、屋根下敷き部材等に好適に用いることができる。
[本発明における物性測定方法]
(平均気泡径)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の平均気泡径は、ASTEM D2842−69の試験方法に準拠して、下記の様にして、測定されたものをいう。
具体的には、発泡シートをMD方向(押出方向)及びTD方向(押出方向に直交する方向)に沿って切断し、それぞれの切断面の中央部を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−3000N)で拡大して撮影した。
次に、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、画像上に長さ60mmの直線を一本、描く。なお、MD方向に切断した切断面についてはMD方向に平行に、TD方向に切断した切断面についてはTD方向に平行に、VD方向(厚み方向)はMD方向及びTD方向に対して垂直(シートに対して垂直)に直線を描く。このとき、60mmの直線上に気泡が10〜20個程度となる様に、上記の電子顕微鏡での拡大倍率を調整した。
上記直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出し、この平均弦長を各方向(MD方向、TD方向及びVD方向)の平均気泡径とした。
平均弦長 t=60/(気泡数×写真の倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにする。又、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、更に、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。
そして、得られたMD方向の気泡径(DMD)とTD方向の気泡径(DTD)とVD方向の気泡径(DVD)の相加平均値をポリオレフィン系樹脂発泡体の平均気泡径とする。
平均気泡径(mm)=(DMD+DTD+DVD)/3
(見掛け密度)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の見かけ密度はJIS K 7222−1999記載の方法に準拠した方法により測定される。具体的には、試料から10cm以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を試料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出する。
密度(kg/m)=試験片質量(g)/試験片体積(cm)×10
ポリオレフィン系樹脂発泡体の見かけ密度は、小さいと、ポリオレフィン系樹脂発泡体の機械的強度が低下することがある一方、大きいと、ポリオレフィン系樹脂発泡体のクッション性又は柔軟性が低下することがあるので、35〜100kg/m程度の範囲内であるのが好ましく、35〜90kg/m程度の範囲内であるのがより好ましく、40〜70kg/m程度の範囲内であるのが特に好ましい。
(耐水圧)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐水圧はJIS L1092 A法記載の方法に準拠した方法により測定される。具体的には、約150mm×150mmの試験片を5枚採取し、装置に試験片の表側が水に当たるように取り付け、水を入れた水準装置を所定の速さで水位を上昇させ、試験片の裏側に3箇所から水が出たときの水位をmm単位で測る。測定装置としては、安田精機製作所より市販されている耐水度試験機を用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂発泡体の耐水圧は、100mmHO以下では、水圧をかけると同時に水滴が発生するため、200mmHO以上であるのが好ましく、300mmHO以上であることがより好ましく、400mmHO以上であるのが最も好ましい。上限値は格別限定されず、高ければ高いほどよいが、測定方法により自ずと制限される。
(透湿度)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の透湿度はJIS L1099 A−1塩化カルシウム法記載の方法に準拠した方法により測定される。具体的には、あらかじめ約40度に温めた透湿カップに吸湿剤を約33g入れ、カップに振動を与え均一にした後、表面を平らにならし、円形板を用いて、吸湿剤と試験片の下面との距離が3mmになるように調節する。
次にΦ70の試験片の表面を吸湿剤側に向けて透湿カップに対して同心円になるように載せ、パッキン及びリングを順次装置し、ちょうどナットで固定した後、装着側面をビニル粘着テープでシールして試験体とする。この試験体を温度40度±2度、湿度90±5%RHの恒温・恒湿装置内の試験体約1cm上部の風速が0.8m/sを超えない位置に置く。
1時間後に試験体を取り出し、直ちに質量を1mgまで測定する。測定後、再び試験体を恒温・恒湿装置の同位置に置き、1時間後に試験体を取り出し、直ちに質量を1mgまで測定する。測定装置としては、ISUZU製作所より市販されている低温恒温恒湿器HPAV−120−20を用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂発泡体の透湿度は、小さいと、水蒸気だけを蒸発させたい際に、水を通さないだけでなく、水蒸気の移動まで制約してしまい、水分の移動を伴う条件下での使用に不向きになることがある一方、大きいと、水蒸気だけでなく水まで通してしまうことがあるため、透湿度は、10〜500g/m・h程度の範囲内であるのが好ましく、15〜450g/m・h程度の範囲内であるのがより好ましく、20〜400g/m・h程度の範囲内であるのが特に好ましい。
(ガーレー透気抵抗度)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の透気抵抗度はJIS P8117−1998記載の方法に準拠した方法により測定される。具体的には、液面に浮かぶ内筒の垂直方向の重さによって空気を圧縮し、この空気が試験片を透過し、内筒は徐々に下降し、一定体積の空気が透過するのに要した時間を測定する。測定装置としては、東洋精機製作所より市販されているガーレー試験機B型を用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂発泡体の透気抵抗度は、小さいと、気泡径が粗く、柔軟性などの物性が劣ってしまうことや、水蒸気だけでなく水そのものを通してしまう可能性がある。また、気泡が粗いため、微粉末などが漏れる可能性があるので、透気抵抗度は、0.3秒以上が好ましい。
(引張試験)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の引張最大応力及び引張伸びはJIS K 6251記載の方法に準拠した方法により測定される。具体的には、一定速度で移動するつかみ具又はプーリーをもつ引張試験機で、MD方向は引張方向、TD方向は幅方向(引張方向に直交する方向)に打ち抜いたダンベル状3号形試験片を連続的に引張る間又は切断するときの最大の引張り力及び伸びを測定する。測定装置としては、株式会社オリエンテックより市販されているテンシロン万能試験機を用いることができる。
(引裂試験)
本明細書において、ポリオレフィン系樹脂発泡体の引裂き強度はJIS K 6767記載の方法に準拠した方法により測定される。具合的には、一定速度で移動するつかみ具又はプーリーをもつ引張試験機で、JIS K 6767記載の試験片を連続的に試験片が切断するまで引張り、切断時の最大荷重を測定する。MD方向は引裂き方向、TD方向は幅方向(引裂き方向に直交する方向)である。測定装置としては、株式会社オリエンテックより市販されているテンシロン万能試験機を用いることができる。
得られたポリオレフィン系樹脂発泡体は、表皮をスライス加工によって除去することが出来る。本発明で得られたポリオレフィン系樹脂発泡体はスライス加工性に優れており、発泡体の表皮を除去することで、透気性及び透湿性に優れると共に、折れ曲がった際でも折れ皺の発生が少ないこと、さらに表面平滑性、柔軟性、緩衝性に優れた発泡体となる。スライス加工機としては、刃物が回転するタイプのものなどの公知のものを使用できる。
表皮を除去したポリオレフィン系樹脂発泡体と織物、編物又は不織布等をラミネートすることで、透気性、透湿性又は防水性の機能を維持したままで、引張強度又は引裂強度など物理的特性にも優れた発泡体となる。ラミネート方法としては、網目状に融着するものや、熱風融着など公知のものを使用できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらによって限定されるものではない。尚、各例において、部及び%は、原則として、重量基準である。
(実施例1)
口径が65mmの第一押出機の先端に、口径が75mmの第二押出機を接続してなるタンデム型押出機を用意した。
このタンデム型押出機の第一押出機に、ポリオレフィン系樹脂(日本ポリプロ社製 ニューストレンSH9000 MFR:0.3g/10min)100重量部に、非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーである熱可塑性エラストマー(三菱化学社製 サーモランZ101N MFR:14g/10min)を67重量部加えた配合樹脂組成物100重量部に、気泡核剤として平均粒子径12μmのタルクを70重量%含有したマスターバッチ(日本タルク社製 タルペット70P)10重量部を混合させた、熱可塑性樹脂組成物を第一押出機に供給して溶融混練した。第一押出機の途中から発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を4.2重量部圧入して、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物と二酸化炭素を均一に混合混練した上で、この発泡剤を含む溶融樹脂組成物を第二押出機に連続的に供給して溶融混練しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。その後、第二押出機の先端に取り付けた金型の気泡生成部口径Φ35mm、金型の気泡生成部間隔0.25mm(気泡生成部の断面積:0.275cm)、発泡体成形部の間隔3.4mm、発泡体成形部の出口口径Φ70の円環ダイから吐出量30kg/hr(吐出速度V=109kg/cm・hr)、樹脂温度175℃、円環ダイ手前での樹脂圧力9.8MPaの条件で押出発泡させ、円環ダイの発泡体成形部において成形された円筒状の発泡体を冷却されているマンドレル上に添わせるとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却成形し、マンドレル上の一点で、カッターにより円筒状の発泡体を切開して、シート状のポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。得られたポリオレフィン系樹脂発泡体の両面をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去し、厚み1.0mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
(実施例2)
熱可塑性エラストマーを非架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーであるJSR社製エクセリンク3300B(MFR:0.9g/10min)に変更した以外は実施例1と同様にして、超臨界状態の二酸化炭素を4.8重量部圧入し、樹脂温度172℃、円環ダイ手前樹脂圧力10.8MPaの条件で押出発泡させ、ポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。得られたポリオレフィン系樹脂発泡体の両面をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去し、厚み1.0mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
(実施例3)
気泡核剤としてポリテトラフルオロエチレンを20重量%含有したマスターバッチ(三菱レイヨン社製 MZX−4)9重量部を混合させた以外は実施例1と同様にして、超臨界状態の二酸化炭素を4.2重量部圧入して、樹脂温度176℃、円環ダイ手前での樹脂圧力10.8MPaの条件で押出発泡させ、シート状のポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み1.0mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
(実施例4)
気泡核剤としてポリテトラフルオロエチレンを20重量%含有したマスターバッチ(三菱レイヨン社製 MZX−4)9重量部を混合させた以外は実施例2と同様にして、超臨界状態の二酸化炭素を4.8重量部圧入して、樹脂温度175℃、円環ダイ手前樹脂圧力12.1MPaの条件で押出発泡させ、ポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み1.0mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
(実施例5)
気泡核剤としてポリテトラフルオロエチレンを20重量%含有したマスターバッチ(三菱レイヨン社製 MZX−4)9重量部を混合させ、熱可塑性エラストマーを動的架橋エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーであるJSR社製エクセリンク2700B(MFR:11g/10min)に変更した以外は実施例1と同様にして、超臨界状態の二酸化炭素を5.3重量部圧入して、樹脂温度173℃、円環ダイ手前樹脂圧力14.2MPaの条件で押出発泡させ、ポリオレフィン系樹脂発泡体を得た。得られた発泡体をスプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み1.0mmの両面がスライス面とされたシート状発泡体を得た。
(実施例6)
実施例1で得られたシートの両面に、ポリプロピレンを原料とした不織布(シンワ社製 6630−1A)を熱風温度380℃、速度8m/minにより熱風融着したシート状発泡体を得た。
(比較例1)
実施例1で得られた発泡体で、表皮を除去するスライス加工を行なっていないシート状発泡体を作成した。
(比較例2)
市販されているポリエチレン製の連続気泡発泡体(三和化工社製 オプセル LC−300♯2D)を、実施例と同様に、スプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み1.0mmの両面がスライス面とされた発泡体を得た。
(比較例3)
市販されているポリエチレンに電子線を照射した独立気泡発泡体(積水化学社製 ソフトロン)を、実施例と同様に、スプリッティングマシン(フォーチュナ社製「AB−320D」)によりスライス加工して表皮を除去して、厚み1.0mmの両面がスライス面とされた発泡体を得た。
(比較例4)
実施例6で用いた不織布(シンワ社製 6630−1A)を用いた。
(物性試験)
各実施例及び比較例で得られた各発泡体について、平均気泡径、ガーレー透気抵抗度、透湿度及び耐水圧の測定を行い、比較を行なった。比較結果を書きに示す。
表1に、各実施例、比較例の各発泡体について、樹脂の吐出速度、密度、シート厚み、ガーレー透気抵抗度、透湿度及び耐水圧の結果を示す。また表1に、各実施例、比較例の各発泡体について、引張最大応力、最大点伸張率、引裂強度の結果を示す。
Figure 2011093294
本実施例は、微細気泡を有し、発泡体密度、シート厚みが良好で表面美麗なポリオレフィン系樹脂発泡体が得られており、得られた発泡体の両面を切断又は切削する二次加工を施すことにより、透湿性及び防水性に特徴を有するポリオレフィン系樹脂発泡体が得られている。また本実施例では表に示されるように、透湿度が10〜500g/m・hの範囲であり、且つ耐水度が少なくとも200mmHOであることが好ましいことを示しており、平均気泡径も0.02〜0.2mmの範囲が好ましいことを示している。比較例1では、表面美麗な発泡体が得られているが、気泡断面が露出していないため、耐水圧は大きいが、透湿度が小さい結果となった。比較例2では、透湿度は大きい結果となったが、耐水圧が小さく、防水性は低い結果となった。比較例3では、耐水圧は大きく、防水性は高い結果となったが、透湿性が小さく、水蒸気をほとんど通さない結果となった。
また本実施例は、両面に不織布をラミネートした場合でも、表面美麗にラミネートすることが可能であり、ラミネートを施した場合においても透湿性及び防水性の特徴が維持されている。また、ラミネートを施すことにより、引張最大応力、最大点伸長率、引裂強度が向上している。比較例4では、引張最大応力、最大点伸長率、引裂強度は実施例6と同等であり、透湿度は大きい結果となった。しかし、耐水圧が無く、防水性は極めて小さくなり、空気、水蒸気、水が通りやすい結果となった。
本発明は優れた透湿性及び耐水圧を有しており、且つ気泡が微細であることを特徴とする。これらの性質は高温又は乾燥条件下等で使用するなど水分の移動を伴う条件下での使用等に好適に使用することができる。具体的には、建築物等に用いる透湿・防水資材、浴槽周りや介護用の透湿防水シートとして、電子機器又は電子機器部材の透湿防水シート等に使用することができる。
1:発泡体成形部
2:気泡生成部
3:発泡剤含有混練溶融樹脂流路部
4:円環ダイイン側金型
5:円環ダイアウト側金型

Claims (5)

  1. ポリオレフィン系樹脂発泡体の両面を切断又は切削する二次加工を施すことにより、発泡体の両面に気泡断面を露出させた状態であることを特徴とする透湿防水シート。
  2. 上記ポリオレフィン系樹脂発泡体に熱可塑性エラストマーを混合して得られた請求項1に記載の透湿防水シート。
  3. 上記ポリオレフィン系樹脂発泡体の透湿度が10〜500g/m・hの範囲であり、且つ、耐水度が少なくとも200mmHOであることを特徴とする請求項1又は2に記載の透湿防水シート。
  4. 上記ポリオレフィン系樹脂発泡体の平均気泡径が0.02〜0.2mmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透湿防水シート。
  5. 上記ポリオレフィン系樹脂発泡体の厚みが0.5〜2.0mmの範囲であり、且つ、見掛け密度が35〜100kg/mの範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透湿防水シート。
    [請求項6]
    上記ポリオレフィン系樹脂発泡体の少なくとも片面に、織物、編物又は不織布からなる基材をラミネートすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の透湿防水シート。
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