JP2015199925A - ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートおよびその製造方法、並びに粘着シート - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートおよびその製造方法、並びに粘着シート Download PDF

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Kazuma Kimura
和真 木村
山田 浩二
Koji Yamada
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Abstract

【課題】薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材などに用いるために最適なポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを提供することを課題とする。【解決手段】本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有するシートであり、前記ポリオレフィン系樹脂組成物が、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーとを特定の質量比の関係で含み、0.05〜0.5mmの平均厚み、2〜15倍の発泡倍率、30〜95%の連続気泡率および1〜30%の気泡破れ率を有し、一方のシート表面側の第1の領域の樹脂部比率が40〜80%であり、他方のシート表面側の第2の領域の樹脂部比率が20〜50%である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートおよびその製造方法、並びに粘着シートに関する。さらに詳しくは、本発明は、薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材などに用いるために最適なポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートおよびその製造方法、並びに粘着シートに関する。
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、高強度で柔軟性に優れることから、緩衝材(シール材)、包装材、パッキン材などとして広く用いられている。その中でもポリオレフィン系樹脂発泡体の特徴を活かして、電子機器内部に用いる部材としての用途が広がっている。
近年では、スマートフォンやタブレット端末などの電子機器の薄型化、軽量化、小型化に伴い、用いられる部材にも薄型化、軽量化、小型化が求められている。そのような中で電子機器内部に用いる部材にも薄層化、軽量化が求められ、0.5mm以下の薄層発泡シートが要望されている。
このような薄層発泡シートは、一般に発泡体をスライス加工または加熱プレスして薄層化することにより製造されている。そして、薄層発泡シートの寸法精度や物性は、素材自体よりも加工設備や加工条件からの影響を大きく受ける。
スライス加工では、加工性はスライス機の精度などに大きく依存し、安定的に0.5mm以下に加工することが困難であり、より薄い0.4mm以下の加工が難しいなどの課題があった。また、シートの密度が変わらず、薄くなるため、シート強度は厚みに比例して弱くなる傾向が強く、粘着加工などの二次加工を考慮すると加工性に課題も残る。
一方、加熱プレスでは、スライス加工よりは安定的な薄層化が可能であるものの、加工性がプレス圧力や温度に大きく依存する課題が残る。
加熱プレスでは、シートの融点付近まで熱を加えるため、ベースとなる樹脂の熱劣化や、ゴム成分を含む場合にはゴム成分の劣化が起こり、得られるシート自体の強度低下が懸念される。しかし、所望の厚みまで薄層化するためには、シートの融点付近まで熱を加えてプレスする必要がある。
それらを改善するために、低融点の樹脂を用いれば、薄層発泡シート自体が耐熱性に劣ることになり、薄層発泡シートに柔軟性を付与しようとしても、ゴム成分を添加できず、目標とするスペックの薄層発泡シートが得られないという課題がある。
そこで、薄層発泡シートに関する様々な技術が提案されている。
例えば、特開2013−100459号公報(特許文献1)には、見掛け密度が0.03〜0.30g/cm、50%圧縮時の圧縮応力が5.0N/cm以下、厚みが0.05mm以上0.40mm以下、長さが5m以上、幅が300mm以上であり、(厚み公差)/(厚みの中心値)×100より求められる値が5%以下である樹脂発泡体シートが提案されている。この技術によれば、見掛け密度が低く、薄く柔軟で、巻き取り時の安定性(巻取安定性)に優れる樹脂発泡体シートを提供できるとされている。
また、特開2011−231171号公報(特許文献2)には、表面から内部に至る全体の樹脂組成が同一であり、60°光沢度(JIS Z8741に基づく)が1.5以上である表面を有し、25%圧縮荷重(JIS K 6767に基づく)が2.00N/cm以下である樹脂発泡体が提案されている。この技術によれば、柔軟性に優れ、キャリアテープから剥離させる際のフォーム破壊を抑制または防止することができ、キャリアテープに保持した状態での加工性および搬送性があり、さらに組み付け性に優れる樹脂発泡体を提供できるとされている。
さらに、特開2013−203792号公報(特許文献3)には、0.02〜0.20mmの平均気泡径および30〜100kg/mの見かけ密度を有するポリオレフィン系樹脂発泡体から構成され、1〜30%の気泡破れ率を有し、かつ0%圧縮時および80%圧縮解放から10秒後において、40%以下の反発弾性率を有する電子機器用緩衝材が提案されている。この技術によれば、変形が容易で、落下などのような短時間における強い衝撃に対しても優れた緩衝性を有し、かつ微小なクリアランスにも対応できる電子機器用緩衝材を提供できるとされている。
特開2013−100459号公報 特開2011−231171号公報 特開2013−203792号公報
特許文献1および2の技術では、ポリプロピレンとエラストマーとを混合し、これらの融点付近の温度(150℃)で誘電発熱ロールを用いてプレスしており、シートの熱劣化が起こるという課題がある。
また、一般に、発泡シートでは、厚みが薄くなると機械強度が低下して、シートが切れ易くなるため、粘着加工などの二次加工ができなくなる課題がある。
そこで、本発明は、薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材などに用いるために最適なポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートおよびその製造方法、並びに粘着シートを提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、プラストマーとエラストマーとを最適な割合でポリプロピレン系樹脂に添加することで、従来のシート特性を維持したまま、低い温度でプレスでき、さらにこの樹脂を含む壁により区画された複数の気泡を有し、かつ特定の厚み、発泡倍率、連続気泡率および気泡破れ率を有し、かつシートの厚み方向に、樹脂部比率が第2の領域に対して相対的に多い第1の領域と、樹脂部比率が第1の領域に対して相対的に少ない第2の領域とを有するポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートが、従来の発泡シートよりも薄く、軽量化、小型化されても、フィルムに比べて柔軟性および軽量性に優れており、更に薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材などに用いる場合に最適であることを見出し、本発明に至った。
また、本発明の発明者らは、特定のポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有し、かつ特定の厚み、発泡倍率、連続気泡率、気泡破れ率および平均気泡径を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートの片面を加熱し、そのシート表面をプレスして、特定の圧縮率で圧縮することにより、スライス加工では得られなかった、機械的強度に優れた薄いシートを容易に製造できることを見出し、本発明に至った。
本発明によれば、ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有するシートであり、前記ポリオレフィン系樹脂組成物が、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーとを含み、前記ポリオレフィン系樹脂組成物において、前記(a)と(b)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲でありかつ前記(b1)と(b2)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲であり、0.05〜0.5mmの平均厚み、2〜15倍の発泡倍率、30〜95%の連続気泡率および1〜30%の気泡破れ率を有し、シートの厚み方向に、樹脂部比率が第2の領域に対して相対的に多い第1の領域と、樹脂部比率が第1の領域に対して相対的に少ない第2の領域とを有し、一方のシート表面側の前記第1の領域の樹脂部比率が40〜80%であり、他方のシート表面側の前記第2の領域の樹脂部比率が20〜50%である、ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートが提供される。
さらに、本発明によれば、上記のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法であり、ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有し、0.2〜3.0mmの平均厚み、10〜25倍の発泡倍率、75〜95%の連続気泡率、5〜30%の気泡破れ率および0.02〜0.2mmの平均気泡径を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを得る第1の工程、および得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートの片面を加熱し、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シート表面をプレスして、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートを20〜95%の圧縮率で圧縮したポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得る第2の工程、を含む、ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、上記のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートと、前記ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの少なくとも片面に配置された粘着材とを有する、粘着シートが提供される。
本発明によれば、薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材などに用いるために最適なポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートおよびその製造方法を提供することができる。
実施例2におけるポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真である。 実施例3におけるポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真である。 実施例4におけるポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真である。 比較例1におけるポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真である。 比較例5におけるポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真である。 本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造に用いる金型円環ダイの一例を示す概略断面図である。 発泡シートの気泡破れ率を測定するための断面画像の2値化を説明する図である。 発泡シートの平均気泡径の測定方法を説明する図である。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有するシートである。上記ポリオレフィン系樹脂組成物は、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーとを含む。上記ポリオレフィン系樹脂組成物において、上記(a)と(b)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲でありかつ上記(b1)と(b2)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲である。本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、0.05〜0.5mmの平均厚み、2〜15倍の発泡倍率、30〜95%の連続気泡率および1〜30%の気泡破れ率を有する。
ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、シートの厚み方向に、樹脂部比率が第2の領域に対して相対的に多い第1の領域と、樹脂部比率が第1の領域に対して相対的に少ない第2の領域とを有する。本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートでは、一方のシート表面側の上記第1の領域の樹脂部比率が40〜80%であり、他方のシート表面側の上記第2の領域の樹脂部比率が20〜50%である。
本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法は、上記のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法である。本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有し、0.2〜3.0mmの平均厚み、10〜25倍の発泡倍率、75〜95%の連続気泡率、5〜30%の気泡破れ率および0.02〜0.2mmの平均気泡径を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを得る第1の工程、および得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートの片面を加熱し、上記ポリオレフィン系樹脂発泡シート表面をプレスして、上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートを20〜95%の圧縮率で圧縮したポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得る第2の工程を含む。
本発明によれば、薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材などに用いるために最適なポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートおよびその製造方法を提供することができる。
本発明によれば、特に、引張強度のような機械特性に優れたシートを提供することができる。また、本発明によれば、特に、機械的強度に優れた薄いシートを容易に製造することができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、従来、低温で加熱プレスでき、樹脂成分の熱劣化を低減できると共に、加熱プレスにおいてシート表面、特にプラストマー成分が加熱溶融され、非発泡部分(非発泡層部分)を形成するために、シートの機械強度が向上し、加工性にも優れるものと考えられる。
また、本発明によれば、シートの表面性に優れており、表面性に優れた薄いシートを容易に製造することができる。さらに、本発明によれば、シートの光沢性に優れており、光沢性に優れた薄いシートを容易に製造することができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、好ましくは、以下の構成(1)〜(6)のいずれか1つの条件を備える。本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートが、以下の構成(1)〜(6)のいずれか1つの条件を備える場合に、上記の効果が更に一層発揮される。
(1)シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面の引張強度が、1〜10MPaであり、上記第1切断面に垂直な第2切断面におけるシートの厚み方向に垂直な方向の引張強度が、0.5〜8MPaである。
(2)シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面の引裂強度が、50〜400N/cmであり、上記第1切断面に垂直な第2切断面におけるシートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度が、20〜200N/cmである。
(3)シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面における気泡の平均気泡径が、0.01〜0.18mmであり、上記第1切断面に垂直な第2切断面における気泡の平均気泡径が、0.01〜0.18mmであり、上記第1切断面と上記第2切断面とに垂直な第3切断面における気泡の平均気泡径が、0.01〜0.18mmである。
(4)上記一方のシート表面が0.1〜15μmの算術平均粗さ(Ra)を有する。
(5)ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートが、JIS Z 8741の60°光沢度を有する。
(6)ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートが、シートの厚み方向に2つ以上の気泡を有する。
本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法は、好ましくは、以下の構成(A)〜(C)のいずれか1つの条件を備える。本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートが、以下の構成(A)〜(C)のいずれか1つの条件を備える場合に、上記の効果が更に一層発揮される。
(A)上記加熱の温度が160℃未満であり、かつ上記プレスの圧力が0.1〜1.0MPaである。
(B)上記第1の工程において、発泡剤として炭酸ガスを用いる。
(C)上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートが、気泡の生成部分と生成した気泡の成長およびシートの成形を行う成形部分で構成された金型円環ダイを用いて製造される。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、電子機器用シール材、粘着テープ用基材又はウェアラブル用基材に好適に用いることができる。本発明によれば、上記のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを含む電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材が提供される。
また、本発明によれば、上記のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートと、上記ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの少なくとも片面に配置された粘着材とを有する、粘着シートが提供される。
(ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの詳細)
(1)平均厚み
本発明のポリオレフィン系樹脂薄層薄層発泡シート(以下、「薄型発泡シート」又は「発泡シート」ともいう)は、0.05〜0.5mmの平均厚み(以下「厚み」ともいう)を有している。
薄層発泡シートの厚みの具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
薄層発泡シートの厚みが0.05mm未満では、機械強度が低下し、ロールでの巻取りが困難になることがある。一方、薄層発泡シートの厚みが0.5mmを超えると、薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材として適さなくなるので好ましくない。
薄層発泡シートの厚み(mm)は、例えば、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50である。
好ましい厚みは0.05〜0.4mmの範囲であり、より好ましい範囲は0.05〜0.35mmである。
また、厚みのばらつきは、±0.05mm程度であることが好ましい。
(2)発泡倍率
また、本発明の薄層発泡シートは、2〜15倍の発泡倍率を有している。
薄層発泡シートの発泡倍率は、JIS K 7222−1999に記載の方法に準拠して測定された見掛け密度とポリオレフィン系樹脂密度とから算出した値をいい、具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
薄層発泡シートの発泡倍率が2倍未満では、柔軟性に劣ることがあることや、軽量性に劣ることがある。一方、薄層発泡シートの発泡倍率が15倍を超えると、機械的強度が劣ることがある。
薄層発泡シートの発泡倍率(倍)は、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15である。
好ましい発泡倍率は2〜14倍の範囲であり、より好ましい範囲は2〜13倍である。
(3)連続気泡率
さらに、本発明の薄層発泡シートは、30〜95%の連続気泡率を有している。
薄層発泡シートの連続気泡率の具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
薄層発泡シートの連続気泡率が30%未満では、圧縮した際の応力が高くなることがある。一方、薄層発泡シートの連続気泡率が95%を超えると、シートの機械強度が低下することがある。
薄層発泡シートの連続気泡率(%)は、例えば、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95である。
好ましい連続気泡率は35〜95%の範囲であり、より好ましい範囲は40〜90%である。
(4)気泡破れ率
また、本発明の薄層発泡シートは、1〜30%の気泡破れ率を有している。
気泡破れ率は、薄層発泡シートの断面の走査電子顕微鏡写真を、破れ箇所とそれ以外の箇所が白黒となるように2値化処理し、2値化処理写真から得られた写真の面積に対する破れの面積の割合を意味する。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
薄層発泡シートの気泡破れ率が1%未満では、圧縮した際の応力が高くなることがある。一方、薄層発泡シートの気泡破れ率が30%を超えると、シートの機械強度が低下することがある。
薄層発泡シートの気泡破れ率(%)は、例えば、1.0、2.5、5.0、7.5、10.0、12.5、15.0、17.5、20.0、22.5、25.0、27.5、30.0である。
好ましい気泡破れ率は1〜25%の範囲であり、より好ましい範囲は1〜20%である。
(5)2層構造と樹脂部
また、本発明の薄層発泡シートは、シートの厚み方向に、樹脂部比率が第2の領域に対して相対的に多い第1の領域と、樹脂部比率が第1の領域に対して相対的に少ない第2の領域とを有する。第1の領域における樹脂部比率は、第2の領域における樹脂部比率よりも多い。本発明の薄層発泡シートでは、一方のシート表面側の上記第1の領域の樹脂部比率が40〜80%であり、他方のシート表面側の上記第2の領域の樹脂部比率が20〜50%である。
本発明において、「樹脂部」(樹脂層)とは、発泡していない部分を示し、具体的には、電子顕微鏡で測定した際に気泡が無く、非発泡の部分のことを意味する。本発明の薄層発泡シートは、上記第1の領域(第1の層)と上記第2の領域(第2の層)との2つの領域を有する構造(2層構造)を有する。「2つの領域を有する構造(2層構造)」とは、樹脂部比率が相対的に多い領域(層)と少ない領域(層)とがシートの厚み方向に存在することを意味する。従って、第1の領域と第2の領域とは、シートの厚み方向に、樹脂の比率が第2の領域に対して相対的に多い第1の領域と、樹脂の比率が第1の領域に対して相対的に少ない第2の領域である。第1の領域及び第1の層は、一方のシート表面側の厚み1/2の領域であることが好ましい。第2の領域及び第2の層は、他方のシート表面側の厚み1/2の領域であることが好ましい。後述する実施例の評価の欄では、一方のシート表面側の厚み1/2の領域である第1の領域における樹脂部比率と、他方のシート表面側の厚み1/2の領域である第2の領域とにおける樹脂部比率とを求めた。
樹脂部比率の具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
一方のシート表面側の第1の領域の樹脂部比率は40〜80%である。
一方のシート表面側の第1の領域の樹脂部比率が40%未満では、発泡シートの機械強度が不足し、粘着加工などの二次加工性が劣ることがある。一方、一方のシート表面側の第1の領域の樹脂部比率が80%を超えると、柔軟性が劣ることで、シール材としての性能を発揮することができないことがある。
一方のシート表面側の第1の領域の樹脂部比率(%)は、例えば、40、45、50、55、60、65、70、75、80である。
好ましい一方のシート表面側の第1の領域の樹脂部比率は40〜75%の範囲であり、より好ましい範囲は40〜70%である。
他方のシート表面側の第2の領域の樹脂部比率は20〜50%である。
他方のシート表面側の第2の領域の樹脂部比率が20%未満では、発泡シートの機械強度が不足し、粘着加工などの二次加工性が劣ることがある。一方、他方のシート表面側の第2の領域の樹脂部比率が50%を超えると、柔軟性が劣ることで、シール材としての性能を発揮することができないことがある。
他方のシート表面側の第2の領域の樹脂部比率(%)は、例えば、20、25、30、35、40、45、50である。
好ましい他方のシート表面側の第2の領域の樹脂部比率は20〜45%の範囲であり、より好ましい範囲は20〜40%である。
(6)引張強度
また、本発明の薄層発泡シートは、薄層発泡シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面の引張強度と、第1切断面に垂直な第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引張強度とが、それぞれ1〜10MPaおよび0.5〜8MPaであることが好ましい。
加熱プレスして得られた薄層発泡シートが押出発泡成形した発泡シートに由来する場合には、第1切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向を発泡シートの成形時のシート流れ方向(MD方向)、第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向を発泡シートの成形時のシート幅方向(TD方向)としてもよい。
薄層発泡シートの引張強度は、JIS K 6251−2010に記載の方法に準拠して測定された値をいい、具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
第1切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引張強度が1MPa以上であると、機械強度がより一層高くなり、巻取りがより一層容易になる。一方、第1切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引張強度が10MPa以下であると、二次加工性により一層優れる。
この引張強度(MPa)は、例えば、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0である。
好ましい第1切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引張強度は1.5〜9.0MPaの範囲であり、より好ましい範囲は1.5〜8.0MPaである。
第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引張強度が0.5MPa以上であると、機械強度がより一層高くなり、巻取りがより一層容易になる。一方、第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引張強度が8MPa以下であると、二次加工性により一層優れる。
この引張強度(MPa)は、例えば、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0である。
好ましい第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引張強度は0.5〜7.0MPaの範囲であり、より好ましい範囲は0.5〜6.0MPaである。
(7)引裂強度
また、本発明の薄層発泡シートは、薄層発泡シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面の引裂強度と、第1切断面に垂直な第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度とが、それぞれ50〜400N/cmおよび20〜200N/cmであることが好ましい。
加熱プレスして得られた薄層発泡シートが押出発泡成形した発泡シートに由来する場合には、第1切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向を発泡シートの成形時のシート流れ方向(MD方向)、第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向を発泡シートの成形時のシート幅方向(TD方向)としてもよい。
薄層発泡シートの引裂強度は、JIS K 6767−1999 発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法に記載の方法に準拠して測定された値をいい、具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
第1切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度が50N/cm以上であると、機械強度がより一層高くなり、巻取りがより一層容易になる。一方、第1切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度が400N/cm以下であると、二次加工性により一層優れる。
この引裂強度(N/cm)は、例えば、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400である。
好ましい第1切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度は70〜350N/cmの範囲であり、より好ましい範囲は90〜300N/cmである。
第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度が20N/cm以上であると、機械強度がより一層高くなり、巻取りがより一層容易になる。一方、第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度が200N/cm以下であると、二次加工性により一層優れる。
この引裂強度(N/cm)は、例えば、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200である。
好ましい第2切断面における薄層発泡シートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度は30〜180N/cmの範囲であり、より好ましい範囲は40〜150N/cmである。
(8)平均気泡径
本発明の薄層発泡シートは、薄層発泡シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面における気泡の平均気泡径と、第1切断面に垂直な第2切断面における気泡の平均気泡径と、第1切断面と第2切断面に垂直な第3切断面における気泡の平均気泡径とがそれぞれ、0.01〜0.18mmであることが好ましい。
加熱プレスして得られた薄層発泡シートが押出発泡成形した発泡シートに由来する場合には、第1切断面を発泡シートの成形時のシート流れ方向(MD方向)に平行な面、第2切断面を発泡シートの成形時のシート幅方向(TD方向)に平行な面としてもよい。
薄層発泡シートの各切断面における気泡の平均気泡径の具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
第1切断面の気泡の平均気泡径が0.01mm以上であると、充分なクッション性や緩衝性を有する発泡シートを得ることがより一層容易になる。一方、第1切断面の気泡の平均気泡径が0.18mm以下であると、微細な凹凸への追従性により一層優れる。
第1切断面の気泡の平均気泡径(mm)は、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18である。
好ましい第1切断面の気泡の平均気泡径は0.01〜0.17mmの範囲であり、より好ましい範囲は0.01〜0.16mmである。
第2切断面の気泡の平均気泡径が0.01mm以上であると、充分なクッション性や緩衝性を有する発泡シートを得ることがより一層容易になる。一方、第2切断面の気泡の平均気泡径が0.18mm以下であると、微細な凹凸への追従性により一層優れる。
第2切断面の気泡の平均気泡径(mm)は、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18である。
好ましい第2切断面の気泡の平均気泡径は0.01〜0.17mmの範囲であり、より好ましい範囲は0.01〜0.16mmである。
第3切断面の気泡の平均気泡径が0.01mm以上であると、充分なクッション性や緩衝性を有する発泡シートを得ることがより一層容易になることがある。一方、第3切断面の気泡の平均気泡径が0.18mm以下であると、微細な凹凸への追従性により一層優れる。
第3切断面の気泡の平均気泡径(mm)は、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18である。
好ましい第3切断面の気泡の平均気泡径は0.01〜0.17mmの範囲であり、より好ましい範囲は0.01〜0.16mmである。
(9)非発泡部
本発明の薄層発泡シートは、その少なくとも片側の表層に、厚みが1〜30μmである非発泡部(非発泡層)を有することが好ましい。
非発泡部の厚みが1μm以上であると、機械強度がより一層高くなり、巻取りがより一層容易になる。一方、非発泡層の厚みが30μm以下であると、圧縮した際の応力が高くなりにくくなる。
非発泡部の厚み(μm)は、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30である。
好ましい非発泡層の厚みは1〜25μmの範囲であり、より好ましい範囲は1〜20μmである。
薄層発泡シートの製造方法において詳述するが、非発泡層は発泡シートの加熱溶融により形成することができる。
(10)算術平均粗さ(Ra:「表面粗度」ともいう)
また、本発明の薄層発泡シートは、一方のシート表面(後述する加熱プレス面)が0.1〜15μmの算術平均粗さ(Ra)を有することが好ましい。
薄層発泡シートの表面の算術平均粗さは、JIS B 0601「表面粗さの定義及び表示」に記載の方法に準拠して測定された値をいい、具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
薄層発泡シートの表面の算術平均粗さが0.1μm以上であると、粘着加工などの二次加工時に、コロナ処理などの別工程が必要となりにくく、作業が煩雑となりにくい。一方、薄層発泡シートの表面の算術平均粗さが1.5μm以下であると、微細な凹凸への追従性により一層優れ、衝撃などにより隙間がより一層生じ難く、ホコリ、水などの浸入がより一層生じ難くなる。
この算術平均粗さ(μm)は、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0である。
好ましい薄層発泡シートの表面の算術平均粗さは0.3〜15μmの範囲であり、より好ましい範囲は0.5〜15μmである。
(11)光沢度
また、本発明の薄層発泡シートは、1.5〜30のJIS Z 8741の60°光沢度を有することが好ましい。
具体的な測定法は実施例の欄で説明する。
薄層発泡シートの60°光沢度が1.5以上であると、表面平滑性により一層優れ、微細な凹凸への追従性により一層優れ、衝撃などにより隙間がより一層生じ難く、ホコリ、水などの浸入がより一層生じ難くなる。一方、薄層発泡シートの60°光沢度が30以下であると、粘着加工などの二次加工時に、コロナ処理などの別工程が必要となりにくく、作業が煩雑となりにくい。
この60°光沢度は、例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、15、20、25、30である。
好ましい60°光沢度は1.5〜28の範囲であり、より好ましい範囲は1.5〜25である。
(12)気泡数
また、本発明の薄層発泡シートは、その厚み方向(VD方向)に1つ以上の気泡を有することが好ましく、2つ以上の気泡を有することがより好ましい。
気泡の個数が0であれば、薄層発泡シートの緩衝性が損なわれる傾向がある。一方、気泡の個数が多くなるほど、薄層発泡シートの緩衝性が得られるが、薄層発泡シートの強度が不足しやすい傾向がある。気泡の個数は、気泡径にも因るが、1〜20個程度が好ましい。
(ポリオレフィン系樹脂組成物の詳細)
本発明の薄層発泡シートを構成するポリオレフィン系樹脂組成物は、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーとを含む。上記ポリオレフィン系樹脂組成物において、上記(b1)と(b2)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物では、(b1)エラストマーが柔軟性に、(b2)プラストマーが発泡倍率の向上に、それぞれ寄与しているものと考えられる。これにより、(a)ポリオレフィン系樹脂として、特殊な発泡グレードのポリオレフィン系樹脂ではなく、後述するような溶融張力の低い非発泡グレードのポリオレフィン系樹脂を用いた場合であっても、高い発泡倍率でかつ柔軟な発泡体を得ることができる。
(1)ポリオレフィン系樹脂
ポリオレフィン系樹脂は、上記のようにグレードに特に限定されず、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体などが挙げられる。なお、本発明において、(a)ポリオレフィン系樹脂は、(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーを含まない。
ポリオレフィン系樹脂は、耐熱性をより一層高める点で、ポリプロピレン単独重合体またはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体であることが好ましい。
プロピレンと共重合する他のオレフィンとしては、例えば、エチレンの他に、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどの炭素数が4〜10であるα−オレフィンが挙げられる。
プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、エチレン成分の少ない共重合体であることが好ましく、ランダム共重合体またはブロック共重合体のいずれであってもよいが、耐熱性に優れていることから、ブロック共重合体であることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリプロピレン系樹脂では、通常、溶融張力が5cN未満のものを汎用グレード、溶融張力が5cN以上のものを高溶融張力グレード(HMS−PP)として区分され、高溶融張力は押出発泡に適しているとされている。
本発明では、5cN以上30cN以下の範囲の溶融張力、0.1〜3g/minの範囲のMFRを有する高溶融張力グレードのポリプロピレン系樹脂を好適に用いることができる。
また、本発明では、0.1cN以上5cN未満の範囲の溶融張力、0.1〜5g/minの範囲のMFRを有するグレードのポリプロピレン系樹脂も同様にして、好適に用いることができる。
(2)エラストマー
エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するもので、常温でゴム弾性を示し、高温では熱可塑性樹脂と同様に可塑化され成形できるという性質を有する。
一般的には、ハードセグメントがポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂であり、ソフトセグメントがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのゴム成分または非結晶性ポリエチレンである。
エラストマーとしては、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を多段階で行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機などの混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機などの混練機を用いてハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させる際に架橋剤を加えることによって、ポリオレフィン系樹脂マトリックス中に、ゴム成分を完全架橋または部分架橋させミクロ分散させて得られる、動的架橋されたエラストマーが挙げられる。
本発明では、非架橋エラストマーおよび架橋エラストマーを共に利用することが可能であり、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造された非架橋エラストマーが、製造された発泡体のリサイクル性を考慮すると好ましい。また、非架橋性エラストマーを使用することにより、通常のポリオレフィン系樹脂を押出発泡成形する場合と同様の押出機での製造が可能となる。
さらに、発泡体をリサイクルし再び押出機へ供給して同じ発泡成形をする場合でも、架橋ゴムによる発泡不良などが抑えられる。
一方、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させると同時に、ゴム成分を部分架橋または動的架橋された架橋エラストマーは、ポリオレフィン系樹脂との相溶性に優れることや、得られる発泡体の耐熱性を向上できることなどから好ましい。
このようなエラストマーとして、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーなど各種エラストマーが挙げられる。
上記エラストマーのうち、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーを構成するジエン成分としては、例えばエチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。ここで、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよく、このようなエチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーを使用することにより、通常のポリオレフィン系樹脂を押出発泡成形する場合と同様の押出機での製造が容易となる。
(3)プラストマー
プラストマーとしては、ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィンのような共重合体成分を含むポリエチレン系重合体などのポリエチレン系プラストマーを挙げることができる。
α−オレフィンとしては、炭素数4〜8のものが好ましく、α−オレフィンは、1−ブテン、1−へキセンおよび1−オクテンから選択された少なくとも1種であることがより好ましい。
エチレン/α−オレフィン共重合体としては、例えば、住友化学株式会社製の製品名:エスプレンNO416(エチレン−1−ブテン共重合体)、日本ポリエチレン株式会社製の製品名:カーネルKS240T(エチレン−1−ヘキセン共重合体)およびダウ・ケミカル社製の製品名:アフィニティーEG8100(エチレン−1−オクテン共重合体)などが挙げられる。
ポリエチレン系プラストマーは、密度が0.85〜0.91g/cmの範囲である超低密度ポリエチレン系樹脂であることが好ましい。
ポリエチレン系プラストマーの密度が0.85g/cm以上であると、ポリオレフィン系樹脂発泡体の硬度が下がり過ぎず、所望の強度を得ることが容易である。一方、ポリエチレン系プラストマーの密度が0.91g/cm以下であると、ポリオレフィン系樹脂発泡体の硬度が上がり過ぎず、所望の柔軟性を得ることが容易である。
(4)配合割合
上記ポリオレフィン系樹脂組成物において、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーの合計との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲でありかつ(b1)と(b2)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲である。
(a)が上記の範囲の下限以上、すなわち(b)が上記の範囲の上限以下であると、発泡体の硬度が下がり過ぎず、機械物性などがより一層良好な発泡体が得られる。一方、(a)が上記の範囲の上限以下、すなわち(b)が上記の範囲の下限以上であると、発泡体の硬度が上がり過ぎず、柔軟性の良好な発泡体が容易に得られる。
(b1)が上記の範囲の下限以上、すなわち(b2)が上記の範囲の上限以下であると、樹脂粘度が下がり過ぎず、高倍率の発泡体が容易に得られる。一方、(b1)が上記の範囲の上限以下、すなわち(b2)が上記の範囲の下限以上であると、発泡体の硬度が上がり過ぎず、柔軟性の良好な発泡体が容易に得られる。
好ましくは(a)と(b)との配合割合が質量比で80/20〜20/80の範囲でありかつ(b1)と(b2)との配合割合が質量比で85/15〜15/85の範囲である。
(5)メルトフローレート(MFR)
上記ポリオレフィン系樹脂組成物における上記3成分のMFRは、本発明の効果を得るための重要な要因の1つである。具体的な測定法は、実施例の欄で説明する。
ポリオレフィン系樹脂は、エラストマーおよびプラストマーの物性にもよるが、230℃、荷重21.18Nにおいて0.1〜5.0g/10minの範囲のMFRを有していることが好ましい。この範囲内のMFRを有することで、高倍率の発泡体を提供できる。
MFRが0.1g/10min以上であると、押出機の負荷が小さくなり、発泡体の生産性が高くなり、あるいは発泡剤を含む溶融した樹脂組成物が金型内を円滑に流れやすくなり、得られる発泡体の表面にムラが発生し難くなって、外観の品位が低下し難くなる。一方、MFRが5.0g/10min以下であると、金型円環ダイ手前での樹脂圧力が低下し難く、円環ダイ気泡生成部における樹脂圧力も低下し難いことから、気泡生成部手前で気泡が生成し難くなり、発泡体形成部で破泡が急激に生じ難くなって発泡性が高くなり、得られる発泡体の外観の品位が高くなり、また発泡体が容易に得られやすくなる。より好ましいMFRの範囲は0.2〜4.0g/10minであり、さらに好ましいMFRの範囲は0.3〜3.0g/10minである。
エラストマーおよびプラストマーは、ポリオレフィン系樹脂のMFRを1としたとき、それぞれ1〜50の範囲の比に対応する230℃、荷重21.18Nでのメルトフローレートを有することが好ましい。
エラストマーおよびプラストマーのMFRが上記の下限以上である場合や上限以下である場合には、ポリオレフィン系樹脂のMFRがその下限以上である場合や上限以下である場合と同様の効果が発現する。
エラストマーの好ましいMFRは、1〜15g/10minの範囲である。
また、プラストマーの好ましいMFRは、1〜15g/10minの範囲である。
上記ポリオレフィン系樹脂組成物におけるポリオレフィン系樹脂に対するエラストマーおよびプラストマーの分散状態も本発明の効果、すなわち高倍率でかつ柔軟な発泡体を得るための重要な要因の1つである。
分散状態は、ポリオレフィン系樹脂が「海」となり、かつエラストマーおよびプラストマーが「島」となる海島構造をとることが望ましい。これは、樹脂組成物にせん断が掛かったときに、エラストマーおよびプラストマーが島状のドメインを形成し、このドメインが伸び縮みすることにより、樹脂の粘度が高くなるものと考えられるからである。
エラストマーおよびプラストマーが島状のドメインを形成するためには、ポリオレフィン系樹脂の硬度(デュロ硬度)がエラストマーおよびプラストマーよりも高いことが好ましい。ポリプロピレンの硬度がD50であることから、エラストマーおよびプラストマーの硬度はD50未満であることが望ましい。
一方、ポリオレフィン系樹脂の硬度に対して、エラストマーおよびプラストマーの硬度が低すぎると、押出機内で樹脂組成物にせん断が掛かったときに、ドメインが細かく千切れてしまい、樹脂の粘度を高める効果が低くなる傾向があることから、エラストマーおよびプラストマーの硬度はD10以上であることが望ましい。
(6)他の添加剤
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、公知の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤、耐候性安定剤、光安定剤、顔料、染料、難燃剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤などが挙げられる。
界面活性剤は、すべり性およびアンチブロッキング性を付与するものである。
また、分散剤は、樹脂組成物の構成成分の分散性を向上させるものであり、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミドなどが挙げられる。
添加剤の含有量は、気泡の形成、発泡体の物性などを損なわない範囲で適宜選択でき、通常の発泡体に含まれる含有量を採用できる。
(7)樹脂組成物の物性
見掛けのせん断速度および見掛けの粘度
上記ポリオレフィン系樹脂組成物は、温度190℃、見掛けのせん断速度10〜20sec−1の範囲において、常に20,000〜30,000Pa・secの範囲の見掛けの粘度を有することが好ましい。
樹脂組成物の見掛けの粘度が20,000Pa・sec以上であると、押出機内で圧力が保持され、高倍率な発泡体が容易に得られる。一方、樹脂組成物の見掛けの粘度が30,000Pa・sec以下であると、押出機内での圧力が低くなり、押出機に負荷が掛かりにくくなる。
(ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法)
本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有し、0.2〜3.0mmの平均厚み、10〜25倍の発泡倍率、75〜95%の連続気泡率、5〜30%の気泡破れ率および0.02〜0.2mmの平均気泡径を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを得る第1の工程、および得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートの片面を加熱し、上記ポリオレフィン系樹脂発泡シート表面をプレスして、上記ポリオレフィン系樹脂発泡シートを20〜95%の圧縮率で圧縮したポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得る第2の工程を含む。
例えば、図7(a)は第1の工程で得られた発泡シートの切断面の電子顕微鏡写真(2値化前)、図1〜3は第2の工程で得られた樹脂薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真である。
(第1の工程)
第1の工程では、ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有し、厚みが0.2〜3.0mm、発泡倍率10〜25倍、連続気泡率が75〜95%、気泡破れ率が5〜30%、平均気泡径0.02〜0.2mmであるポリオレフィン系樹脂発泡シート(以下、「発泡シート」ともいう)を得る。
発泡シートは、押出発泡成形法により製造できる。この方法に使用できる押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機などが挙げられる。これらの内、押出条件を調整しやすいことから、タンデム型押出機が好ましい。
発泡シートの原料は、押出機内で混練され、押出機から押し出されて発泡することで発泡シートとなる。発泡シートの原料が押出機から押し出される部位には、通常ダイが設置されている。そのようなダイの一例として、円環ダイ(サイジングダイ)がある。
図6に示す円環ダイD(金型円環ダイD)は、発泡剤含有混練溶融樹脂流路部3の絞りに形成された気泡生成部2と、気泡生成部2に連続し、この生成した気泡の成長および発泡体表面の平滑化を行う発泡体成形部1とを有している。図6中、4は円環ダイイン側金型、5は円環ダイアウト側金型である。円環ダイ手前での樹脂圧力は、押出機先端から円環ダイまでの流路において、ストレインゲージのような測定器によって測定される圧力である。具体的には、押出機先端フランジ、両サイドにフランジのある直管金型、円環ダイと順に接続した直管金型部に取り付けた、ストレインゲージにて測定できる。
上記のような円環ダイを用いて発泡体を形成することで、発泡体を構成する気泡が従来よりも微細であっても、表面平滑性を低下させる多数のコルゲートの表面での発生を抑制できる。これは、円環ダイが、発泡体成形部における適度なすべり抵抗によって、気泡生成部でのコルゲートの発生を抑制できるためであると発明者らは考えている。ここで「コルゲート」とは、円環ダイから出た発泡体が体積膨張による円周方向の線膨張分を吸収するために波打ちしてできる、多数の山谷状のヒダのことを意味する。
円環ダイDの気泡生成部2における樹脂の押出速度Vが50〜300kg/cm・hrかつ円環ダイD手前での樹脂圧力が7〜20MPaとなる条件下で押出発泡させることが好ましい。
押出速度Vが50kg/cm・hr程度以上である場合、気泡の微細化や高発泡倍率の発泡体を得ることが容易である。一方、押出速度Vが300kg/cm・hr程度以下である場合、金型、円環ダイの気泡生成部で樹脂が発熱し難くなって気泡破れが生じ難く、発泡倍率が低下しにくくなる。また、皺状のコルゲートが発生し難くなり、気泡径が均一となって発泡体の表面平滑性がより一層高くなる。押出速度Vは、気泡生成部の断面積、押出樹脂重量(押出量)により適宜調節できる。
ここで、樹脂の押出速度V(吐出速度V)(kg/cm・hr)は、下記式によって、定義された値である。
V=押出樹脂重量/金型気泡生成部断面積・時間
押出樹脂重量は、金型から押出された総重量をいう。従って、押出樹脂重量は、熱可塑性樹脂組成物(ポリオレフィン系樹脂組成物)と発泡剤との合計量となる。また、押出樹脂重量は、1時間当りの吐出量(kg/hr)で表すことができる。
押出速度Vは70〜250kg/cm・hr程度であることが好ましく、100〜200kg/cm・hr程度であることがより好ましい。円環ダイ手前での樹脂圧力は8MPa以上20MPa以下であることが好ましい。上記条件による押出発泡で、ポリプロピレン系樹脂の発泡性を向上でき、気泡を微細化でき、気泡膜の強度を高めることができる。これら条件により、得られた発泡シートは二次加工する場合の加工性が向上し、例えばスライス加工して得られるシート状の発泡シートは、表面平滑性に優れたものが容易に得られる。
気泡生成部の断面積の調整方法としては、金型の気泡生成部の長さ(フラット金型の場合)や口径(円環ダイの場合)を変える方法と、金型の気泡生成部の間隔(フラット金型または円環ダイの場合)を変える方法との2通りの方法が挙げられる。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、0.1MPa以上であると、円環ダイの気泡生成部より手前で気泡生成が始まり難く、良好な発泡シートが容易に得られる。また、20MPa以下であると、押出機の負荷が高くなりすぎない。また、注入圧力が高くなりすぎず、発泡剤を圧入しやすくなる。
円環ダイ手前での樹脂圧力は、溶融樹脂粘度と押出吐出量、円環ダイの気泡生成部の断面積によって適宜調節できる。さらに溶融樹脂粘度は配合樹脂組成物の粘度と発泡剤の添加量、および溶融樹脂温度によって適宜調節できる。なお、溶融樹脂温度とは、円環ダイ手前での樹脂圧力を測定する直管金型において、溶融樹脂に直接接触させる形で取り付けられた熱電対にて測定された温度を意味する。
上記のように、第1の工程において、発泡シートは、気泡の生成部分と生成した気泡の成長およびシートの成形を行う成形部分で構成された金型円環ダイを用いて製造されることが好ましい。
樹脂温度は、概ねポリプロピレン系樹脂組成物の融点より10℃〜20℃の高い範囲とすることが、発泡性を高める上で好ましい。樹脂温度が融点に近づくと、ポリプロピレンの結晶化が始まり難く、急激に粘度が上昇し難く、押出条件が安定化し、押出機の負荷が上昇し難い。樹脂温度が上記上限以下であると、発泡後の樹脂固化が発泡スピードに追い着き、発泡倍率を容易に高めることができる。
樹脂圧力で気泡破れ率を調整するためには、独立気泡発泡シートや気泡破れ率の小さい発泡シートが得られる押出条件よりも、円環ダイ手前での樹脂圧力が10〜30%低くなるようにすればよい。
樹脂温度で気泡破れ率を調整するためには、独立気泡発泡シートや気泡破れ率の小さい発泡シートが得られる押出条件よりも、樹脂温度を1〜3℃高くすればよい。
発泡シートの原料には、発泡剤が含まれる。
発泡剤は、特に限定されず、種々の公知の発泡剤を使用できる。例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテルなどの炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテルなどの低沸点のエーテル化合物、二酸化炭素、窒素、アンモニアなどの無機ガスなどが挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記発泡剤の中でも、無機ガスが好ましく、二酸化炭素が特に好ましい。二酸化炭素として、超臨界状態、亜臨界状態、または液化された二酸化炭素を用いることで、それ以外の形態の二酸化炭素を用いて得られた従来の発泡シートよりも、より微細な気泡を有する発泡シートを得ることができる。微細な気泡を有する発泡シートは、その表面平滑性や柔軟性を向上させることができる。
押出機内に圧入される発泡剤の量は、発泡シートの見掛け密度に応じて適宜、調整できる。しかし、少ないと、薄層発泡シートの見掛け密度が大きくなり、軽量性および柔軟性が低下することがある。一方、多いと、金型内において破泡を生じ、発泡シート中に大きな空隙が生じることがある。従って、発泡剤の量は、発泡シートの原料100重量部に対して1〜10重量部であることが好ましく、2〜8重量部であることがより好ましく、3〜6重量部であることが特に好ましい。
発泡シートの原料には、気泡核剤が含まれていてもよい。
気泡核剤は発泡時に気泡核の生成を促すものであり、気泡の微細化と均一性と気泡破れ率に影響を与える。
気泡核剤としては、例えばタルク、マイカ、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、炭酸水素ナトリウム、ガラスビーズなどの無機化合物あるいはポリテトラフルオロエチレン、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などの有機化合物が挙げられる。それらの中でも、無機化合物ではタルク、有機化合物ではポリテトラフルオロエチレンが、気泡微細化に効果が高いため好ましい。また、ポリテトラフルオロエチレンは分散させた際に、フィブリル状になることで樹脂の溶融張力が上がるようになるものが特に好ましい。
気泡核剤の量は、少ないと、発泡シートの気泡数を増加させることが困難となり平均気泡径を小さくできない、気泡破れ率を大きくできないことがある。一方、多いと、二次凝集を起こして、押出し発泡不良などを生じることがある。従って、気泡核剤の量は、発泡シートの原料100重量部に対して、0.01〜15重量部であることが好ましく、0.1〜12重量部であることがより好ましい。
気泡核剤は、そのものを発泡シートの他の成分と混合することで発泡シートの原料混合物として、または個別に押出機内へ供給してもよい。また、気泡核剤は、取扱いの容易性や粉体飛散による製造環境汚染の防止のため、又熱可塑性樹脂中への分散性を向上させるため、予め基材樹脂と混合することでマスターバッチとして供給することが好ましい。マスターバッチは、通常、熱可塑性の基材樹脂に、添加剤等を高濃度で練り込み、ペレット状とすることにより、得ることができる。
マスターバッチの基材樹脂は、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性に優れる樹脂であることが好ましい。例えば、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどが挙げられる。
(第2の工程)
第2の工程では、得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートの片面を加熱し、上記発泡シート表面をプレスして、上記発泡シートを20〜95%の圧縮率で圧縮したポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得る。
本発明の薄層発泡シートは、誘電加熱ロールやプレス機のような公知の装置を用いて、ポリオレフィン系樹脂発泡シートを加熱プレスすることにより得ることができる。本発明においては、加熱プレスすることにより、発泡シート表面を溶融させることが好ましい。
加熱プレスの条件は、使用する装置、薄層発泡シートの原料、特に樹脂の熱的物性により適宜設定すればよく、加熱の温度が160℃未満であり、かつ上記プレスの圧力が0.1〜1.0MPaであることが好ましい。
加熱温度(℃)は、例えば、40、50、60、70、80、90、100、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155である。
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合には、140〜180℃の範囲の融点mpを有することから、加熱温度は60℃以上160℃未満の範囲であることが好ましい。
また、プレス圧力が0.1MPa以上であると、発泡シートを正確にプレスすることが容易になる。一方、プレス圧力が1.0MPa以下であると、発泡シートが潰れ過ぎない。
プレス圧力(MPa)は、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0である。
プレス速度は、加熱温度やプレス圧力などの条件、下記の圧縮率などにより適宜設定すればよいが、0.1〜20m/min程度である。
また、誘電加熱ロールやプレス機には、目的厚みになるようにスペーサーなどを適宜使用できる。
第2の工程では、発泡シートの20〜95%の厚みまで加熱プレスする(圧縮率)。
加熱プレスが発泡シートの20%以上の厚みまでにする条件であると、充分な厚みの薄層シートを得ることができる。一方、加熱プレスが発泡シートの95%以下の厚みまでにする条件であると、薄層発泡シート中の気泡が適度に多くなり、柔軟性が高くなる。
圧縮率は、例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95である。
好ましい加熱プレスは、発泡シートの20〜90%の範囲であり、より好ましい範囲は20〜85%である。
誘電加熱ロールやプレス機を用いて、発泡体を加熱プレスする際には、発泡体と、加熱ロールまたはプレス機が接する面の間に他の素材を接して加熱プレスを行なってもよい。例えば、PETフィルム、アルミ箔、不織布である。これらの素材は、プレス後に発泡シートと分離してもよいし、貼り合わせたままでもよい。
(ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの用途)
本発明の薄層発泡シートは、従来のスライス加工された発泡シートよりも薄く、軽量であり、樹脂シート(非発泡のフィルム)よりも軽量でしかも緩衝性を有することから、薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材および粘着テープ用基材として用いることができる。
本発明によれば、本発明の薄層発泡シートを含む電子機器用シール材、粘着テープ用基材およびウェアラブル用基材を提供することができる。
本発明の電子機器用シール材の用途としては特に限定はされず、種々の電子機器のパッケージ内部に電子部品を固定する用途に用いることができる。電子機器としては、携帯電話(スマートフォン)、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機、パソコン、タブレット端末、携帯用DVD再生機などが挙げられ、それらの電子機器のマイク、スピーカー、フラッシュ、ファインダー、モーター、LED表示装置周り、スピーカー、キークッション、バッテリークッション、基盤、液晶周りなどが挙げられる。これらの中でも、非常に優れた緩衝(衝撃吸収)性を有するため、タブレット端末、デジタルカメラ、携帯型ゲーム機、携帯電話、携帯用DVD再生機、ノートパソコンなどの持ち運び用の小型電子機器の閉じられた内部に、本発明の電子機器用シール材は好ましく用いることができる。
本発明の粘着テープ用基材の用途としては特に限定はされず、種々の電子機器に加わる衝撃を円滑に吸収し電子機器全体に大きな衝撃が加わるのを防止する用途に用いることができる。また、埃や水などの機器への侵入を防ぐ防塵材、防水材としても好適に使用することができる。電子機器としては、電子機器用シール材の用途に例示したものが挙げられる。
本発明の粘着テープ用基材は、公知の接着剤および両面テープなどの接着材と組み合わせて用いることができる。
また、本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、柔軟性および軽量性に優れ、薄型化、軽量化に優れており、これらの性能が求められる用途であれば、薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材およびウェアラブル用基材以外の用途にも適用することができる。また、本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、機械特性に優れているので、優れた機械特性が求められる用途に適宜用いることができる。また、本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、表面性に優れているので、優れた表面性が求められる用途に適宜用いることができる。また、本発明に係るポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、光沢性に優れているので、優れた光沢性が求められる用途に適宜用いることができる。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。
実施例および比較例においては、得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートおよびポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート(前者を「発泡シート」または「シート」、後者を「薄層発泡シート」または「プレスシート」ともいう)を次のようにして評価した。
なお、以下の評価において用いる装置は特に限定されず、同等の測定が可能な装置を用いてもよい。
[発泡シートおよび薄層発泡シートの平均厚み]
株式会社ミツトヨ社製のシックネスゲージ(型番「NO.547−301」)およびサイズφ10mmの厚み測定器を用いて、発泡シートおよび薄層発泡シートのそれぞれの幅方向(TD方向)の厚みを、無荷重状態で、30mm間隔で12点測定し、それらの平均値をそれぞれ発泡シートおよび薄層発泡シートの平均厚み(mm)とする。
以下の記載では、単に「厚み」ともいう。
[発泡シートの平均気泡径]
次の方法で測定された値を発泡シートの平均気泡径(mm)とする。
発泡シートを幅方向中央部からMD方向(押出方向:図8の矢印1)、TD方向(押出方向に垂直な幅方向:図8の矢印2)に沿ってシート面に垂直に切リ出した断面を、走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所社製、型式:S−3000Nまたは株式会社日立ハイテクノロジーズ社製、型式:S−3400N)を用いて20〜100倍に拡大して撮影する。このとき、印刷した写真の上に描いた60mmの直線上に存在する気泡の数が10〜20個程度となる様に、電子顕微鏡での拡大倍率を調整する。
撮影した画像をA4用紙上に4画像ずつ印刷し、それぞれの方向に平行および垂直な任意の一直線上(長さ60mm)にある気泡数から気泡の平均弦長(t)を次式により算出する。
平均弦長t(mm)=60/(気泡数×写真の倍率)
但し、試験片の厚みが薄く、VD方向(シート厚み方向:図8の矢印3)に60mm長さ分の気泡数を数えられない場合には、30mmまたは20mm分の気泡数を数えて60mm分の気泡数に換算する。任意の直線はできる限り気泡が接点でのみ接しないようにし、接してしまう場合には気泡数に含める。計測は1方向につき画像2枚を用いて、それぞれ3箇所、計6箇所とする。
株式会社ミツトヨ社製「デジマチックキャリパ」を用いて、写真上のスケールバーを1/100mmまで計測し、次式により写真の倍率を求める。
写真倍率=スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
そして次式により各方向における気泡径を算出する。
D(mm)=t/0.616
さらにそれらの積の3乗根を平均気泡径(mm)とする。
平均気泡径(mm)=(DMD×DTD×DVD1/3
MD:MD方向の気泡径(mm)
TD:TD方向の気泡径(mm)
VD:VD方向の気泡径(mm)
[薄層発泡シートの平均気泡径]
拡大倍率を500倍とすること以外は、発泡シートの平均気泡径と同様にして、薄層発泡シートの各方向の気泡径を測定し、それらの平均を薄層発泡シートの平均気泡径(mm)とする。
[発泡シートおよび薄層発泡シートの連続気泡率]
次の方法で測定された値を、それぞれ発泡シートおよび薄層発泡シートの連続気泡率(%)とする。
発泡シートおよび薄層発泡シートを、それぞれ25mm角に切断し、切断シートの相互間に可能な限り隙間が生じないように、厚み約5cmに積み重ねて試料片を得る。得られた試料片の実体積V(cm)を、乾式自動密度計(株式会社島津製作所社製、型式:アキュピックII1340(V1.0))を用いて測定する。一方、試験片の外形からその見掛け体積V0(cm)を算出する。得られた値から次式により連続気泡率(%)を算出する。
連続気泡率(%)=100×(V0−V)/V0
[発泡シートおよび薄層発泡シートの気泡破れ率]
次の方法で測定された値を発泡シートおよび薄層発泡シートの気泡破れ率(%)とする。
発泡シートおよび薄層発泡シートを、それぞれ厚み方向に平行な直線を含む任意の面で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所社製、型式:S−3000N)を用いて倍率20倍に拡大して撮影する。
次に、発泡体評価ソフト(ナノシステム株式会社社製、Nano Hunter NS2K−Pro)に切断面の画像を取り込み、測定範囲を座標幅370×370の正方形とし、しきい値=50で白黒反転させて、例えば、図7(a)(2値化前)と図7(b)(2値化後)のように、設定した範囲の2値化を行う。なお、図7の試料は、加熱プレス前の発泡シートである。
2値化した画像から白色部分を削除し、その部分の面積の計測をし、全体の面積に対する白色部分の面積の割合をその切断面の気泡破れ率A(%)とする。
また、上記の切断面に対して垂直な面で発泡シートを切断し、その切断面についても上記と同様にして計測して気泡破れ率B(%)を求め、それら気泡破れ率AおよびBの平均値を発泡シートの気泡破れ率(%)とする。
[薄層発泡シートの元厚みからの圧縮率]
加熱プレス前の発泡シートの厚み(元厚み)から加熱プレス後の薄層発泡シートの厚みを減じ、元厚みで除した値の百分率を、薄層発泡シートの元厚みからの圧縮率(%)とする。
以下の記載では、単に「圧縮率」ともいう。
[発泡シートおよび薄層発泡シートの発泡倍率]
JIS K 7222−1999に記載の方法に準拠する次の方法で測定された発泡シートおよび薄層発泡シートの見掛け密度とポリオレフィン系樹脂密度とからそれぞれ算出された値を発泡シートおよび薄層発泡シートの発泡倍率(倍)とする。
発泡シートおよび薄層発泡シートを、元のセル(気泡)構造を変えないように、それぞれ10cm以上(半硬質および軟質材料の場合には100cm以上)の試験片に切断し、それらの質量および体積を測定して、次式により見掛け密度を算出する。
見掛け密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
得られた見かけ密度とポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレンおよび熱可塑性エラストマー)の密度とを用いて、次式により発泡倍率を算出する。
発泡倍率(倍)=ポリオレフィン系樹脂密度(g/cm)/見掛け密度(g/cm
[発泡シートの25%圧縮応力]
テンシロン万能試験機(株式会社オリエンテック製、型式:UCT−10T)および万能試験機データ処理ソフト(ソフトブレーン株式会社社製、製品番号:UTPS−458X)を用いて、次の方法で測定された値を発泡シートの25%圧縮応力(kPa)とする。
試験片サイズを50×50×2mmとし、試験片の厚みが2mm以上である場合には試験片をそのまま用い、試験片の厚みが2mm未満である場合には試験片を積み重ねて厚みを約2mmとする。
試験片の幅および長さを、デジタルノギス(株式会社ミツトヨ製、製品名:デジマチックキャリパ、型式:CD−15)を用いて1/100mmまで測定し、試験片の厚みを、テンシロン万能試験機(株式会社オリエンテック製、型式:UCT−10T、ロードセル:10kN、型式:UR−1T−A−SR)を用いて試験片を圧縮し、負荷が2N/25cm(0.8kPa)となる点の上下圧縮板間隔を1/100mmまで測定し、試験開始点とする。
変位の原点を試験開始点、圧縮速度を1mm/minとし、初めの厚み(圧縮負荷が2N/25cmの上下圧縮板間隔値)の25%圧縮時の応力を圧縮応力とする。3個の試験片を測定し、次式により算出した圧縮応力の平均を発泡シートの25%圧縮応力(kPa)とする。
σ25=(F25/A)×10
σ25:圧縮応力(kPa)
25:25%変形時の荷重(N)
:試験片の初めの断面積(mm
なお試験片を、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間以上かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行う。
[薄層発泡シートの厚み方向の気泡数]
次の方法で測定された値を薄層発泡シートの気泡数(個)とする。
薄層発泡シートの平均気泡径の測定で用いた走査型電子顕微鏡の画像から、厚み方向における気泡数(個)を目視で計測し、それらの最低個数nをn個以上(n≦)として薄層発泡シートの厚み方向の気泡数とする。
[薄層発泡シートの樹脂層比率(樹脂部比率)]
次の方法で測定された値を薄層発泡シート(又は発泡シート)の樹脂部比率(%)とする。
薄層発泡シート(又は発泡シート)を、それぞれ厚み方向に平行な直線を含む任意の面で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、型式:S−3000N)を用いて倍率100〜200倍に拡大して、厚み方向に全体が写るように撮影する。切断面を走査型電子顕微鏡で測定する際に、薄層発泡シートは、加熱面が上になるように測定し、薄層発泡シート(又は発泡シート)の上下面は統一して測定する。
次に、発泡体評価ソフト(ナノシステム株式会社製、Nano Hunter NS2K−Pro)に切断面の画像を取り込み、測定範囲を厚み方向に全体が含まれるようにし、目視で樹脂層部分と気泡部分を識別し、樹脂層部分を白色に塗っていく。その際に、走査型電子顕微鏡写真の断面のみを塗り、背面の気泡壁などは塗らないように気をつける。
例えば、図1に示すMD方向における画像処理前の電子顕微鏡写真およびMD方向における画像処理後の電子顕微鏡写真のように、2値化を行う。
2値化した画像から、厚み方向に均等に分割し、上側(加熱面)および下側(非加熱)の白色部分の面積を計測し、上側(加熱面)および下側(非加熱面)の全体の面積に対する白色部分の面積の割合をその切断面の樹脂部比率(%)とする。
[薄層発泡シートの引張強度]
テンシロン万能試験機(株式会社オリエンテック製、型式:UCT−10T)および万能試験機データ処理ソフト(ソフトブレーン株式会社製、製品番号:UTPS−458X)を用いて、次の方法で測定された値を、MD方向およびTD方向の薄層発泡シートの引張強度(MPa)とする。
JIS K 6251−2010に規定するダンベル状3号形の打抜き刃を用いて、薄層発泡シートの流れ方向(MD方向:押出方向)および幅方向(TD方向:押出方向に直交する方向)を長手方向として薄層発泡シートを打ち抜き、各5枚の試験片を得る。
試験片を、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間以上かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下にて測定する。つかみ具間隔を50mm、試験速度500mm/minで測定し、JIS K6251−2010規定の方法により算出する。但し、伸びはつかみ具間の距離から算出する。
引張強度を示す引張強さTS(MPa)は次式により算出する。
TS=Fm/Wt
TS:引張強さ(MPa)
Fm:最大の力(N)
W:打ち抜き刃形の平行部分の幅(mm)
t:平行部分の厚さ(mm)
[薄層発泡シートの引裂強度]
JIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」により、テンシロン万能試験機(株式会社オリエンテック製、型式:UCT−10T)および万能試験機データ処理ソフト(ソフトブレーン株式会社製、製品番号:UTPS−458X)を用いて、JIS K6767に定める試験片を用いて測定する。試験速度は500mm/min、チャック間隔(つかみ治具間の距離)を50mmとする。なお試験片は、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間以上かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行う。
引裂強度は次式により算出する。
引裂強度(N/cm)=最大荷重(N)/試験片厚さ(cm)
上記JISの規定の方法により算出した引裂強度(N/cm)の5枚の平均をそれぞれMD方向およびTD方向の薄層発泡シートの引裂強度(N/cm)とする。
[薄層発泡シートの表面の算術平均粗さ(Ra:表面粗度)]
薄層発泡シートの表面の算術平均粗さは、JIS B 0601:1994「表面粗さの定義及び表示」に記載の方法に準拠する次の方法で測定された値(μm)をいう。
具体的には、表面の平らな試料(表面が湾曲している場合には、平らな台紙に張り付け平らにする)を準備し、ダブルスキャン高精度レーザー測定器(株式会社キーエンス製、型式:LT−9000)及び粗さ測定システム(コムス株式会社製、型式:MAP−2DS)を用いて粗さを測定する。
[薄層発泡シートの光沢度]
薄層発泡シートの光沢度は、JIS B 0601:1994「表面粗さの定義及び表示」に記載の方法に準拠する次の方法で測定された値をいう。
具体的には、入射角を60°に設定し、校正を行ったグロスチェッカ(ハンディ光沢計、株式会社堀場製作所製、型式:IG−330)のセンサー部を薄層発泡シートの加熱プレスされた面に隙間なく密着させ、グロスチェッカのセンター位置マークを軽く押さえて光沢度を測定する。
[IP(防塵・防水)性能]
IP性能は、JIS C0920電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)によるIPコード測定方法に準拠して、以下のようにして測定した。
各厚みの発泡シートを幅2mm、縦150mm×横150mm(内径縦148mm×横148mm)に抜いた試験片を用い、厚みが3mm、縦200mm×横200mmのアクリル板で試験片を挟み、試験サンプルとした。試験片は、厚みの25%圧縮になるようにアクリル板の四隅を均一に挟んだ。
無保護なものをIP00、直径50mm以上の外来固形物の侵入に対して保護され、かつ、鉛直に滴下する水に対して保護されているものをIP11、直径12.5mm以上の外来固形物の侵入に対して保護され、かつ、15°以内で傾斜しても垂直に滴下する水に対して保護されているものをIP22、直径2.5mm以上の外来固形物の侵入に対して保護され、かつ、鉛直に落ちてくる水滴によって有害な影響を受けないものをIP31、直径1.0mm以上の外来固形物の侵入に対して保護され、かつ、鉛直から60度以内の噴霧水による水によって有害な影響を受けないものをIP43、直径1.0mm以上の外来固形物の侵入に対して保護され、かつ、いかなる方向からの飛沫によっても有害な影響を受けないものをIP44とした。若干の粉塵の侵入があっても正常な運転を阻害しない、かつ、規定の圧力及び時間で水中に浸漬しても有害な影響を受けないものをIP57とした。
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂としてのポリプロピレン樹脂(MFR:0.3g/10分、株式会社プライムポリマー製、製品名:E110G)60質量部に、熱可塑性エラストマー(MFR:1.5g/10分、株式会社プライムポリマー製、製品名:R110E)20質量部と、メタロセンプラストマーであるポリエチレン樹脂(MFR:2.2g/10分、日本ポリエチレン株式会社製、製品名:カーネルKS240T)20質量部とを加えて配合樹脂組成物100質量部を調製した。
得られた配合樹脂組成物100質量部に、気泡核剤としてのタルク(平均粒子径13μm)を70質量%含有したマスターバッチ(日東粉化工業株式会社製、製品名:タルペット70P)10質量部と、顔料(トーヨーケム株式会社製、製品名:PPM OYA164 BLK−FD)10質量部とを混合させてポリオレフィン系樹脂発泡用組成物を調製した。
口径が65mmの第一押出機の先端に、口径が75mmの第二押出機を接続してなるタンデム型押出機を用意し、得られたポリオレフィン系樹脂発泡用組成物を、タンデム型押出機の第一押出機に供給して溶融混練した。第一押出機の途中から発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を4.2質量部圧入して、溶融状態のポリオレフィン系樹脂発泡用組成物と二酸化炭素を均一に混合混練した上で、発泡剤を含む溶融樹脂組成物を第二押出機に連続的に供給して溶融混練しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。
その後、第二押出機の先端に取り付けた金型の円環ダイ(気泡生成部口径φ36mm、金型の気泡生成部間隔0.25mm(気泡生成部の断面積:0.275cm)、発泡体(成形部の間隔3.4mm、発泡体成形部の出口口径φ70)から、吐出量30kg/hr(押出速度V=109kg/cm・hr)、溶融物温度176℃、円環ダイ手前での溶融物圧力11.5MPaの条件で押出発泡させることで、円筒状の発泡体を得た。円環ダイの発泡体成形部において成形された円筒状の発泡体を、冷却されているマンドレル上に添わせると共に、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却した。冷却された円筒状の発泡体を、マンドレル上の一点でカッターにより切開して、厚み2.0mmのシート状のポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートをスプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された厚み1.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得た。
次に、誘電加熱ロールを用意し、加熱温度140℃、ニップロール圧力0.5MPa、速度0.5m/minの条件で、得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートのスライス加工された面を誘電加熱ロールとニップロールの間を通紙し、加熱プレスされた厚み0.35mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ77%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例2)
誘電加熱ロールでの加熱温度を110℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.45mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ70%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真を図1に示す。
(実施例3)
両面をスライス加工して厚み1.0mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を50℃、速度1.0m/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.48mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ52%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真を図2に示す。
(実施例4)
両面をスライス加工して厚み1.0mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を110℃、速度1.0m/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.25mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ75%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真を図3に示す。
(実施例5)
両面をスライス加工して厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を50℃、速度1.0m/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.28mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ44%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例6)
両面をスライス加工して厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を110℃、速度1.0m/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.10mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ80%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例7)
配合樹脂組成物の調製において、ポリプロピレン系樹脂としてポリプロピレン樹脂(MFR:2.4g/10分、ボレアリス社製、製品名:WB135)50質量部と、メタロセンプラストマーであるポリエチレン(MFR:12g/10分、日本ポリエチレン社製、製品名:KS571)30質量部を用い、熱可塑性エラストマーを20質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.50mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ67%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例8)
配合樹脂組成物の調製において、ポリプロピレン系樹脂としてポリプロピレン樹脂(MFR:2.4g/10分、ボレアリス社製、製品名:WB135)50質量部と、メタロセンプラストマーであるポリエチレン(MFR:12g/10分、日本ポリエチレン社製、製品名:KS571)30質量部を用い、熱可塑性エラストマーを20質量部に変更したこと、両面をスライス加工して厚み1.0mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を110℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.28mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ72%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例9)
配合樹脂組成物の調製において、ポリプロピレン系樹脂としてポリプロピレン樹脂(MFR:2.4g/10分、ボレアリス社製、製品名:WB135)50質量部と、メタロセンプラストマーであるポリエチレン(MFR:12g/10分、日本ポリエチレン社製、製品名:KS571)30質量部を用い、熱可塑性エラストマーを20質量部に変更したこと、両面をスライス加工して厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を50℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.29mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートは、元厚みに比べ42%の圧縮率で、容易に潰すことが可能で、24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(比較例1)
両面をスライス加工して厚み0.3mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、加熱プレスしなかったこと以外は実施例1と同様にして、厚み0.3mmの加熱プレスされていないポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの引張強度は低く、MD方向が0.87MPa、TD方向が0.39MPaであった。
薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真を図4に示す。
(比較例2)
両面をスライス加工して厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を30℃、速度0.5m/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.45mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの圧縮率は10%であり、その引張強度は低く、MD方向が0.72MPa、TD方向が0.29MPaであった。
(比較例3)
両面をスライス加工して厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を160℃、速度0.5m/minに変更したこと以外は実施例1と同様にして、誘電加熱ロールを用いて発泡シートを加熱プレスしたが、発泡シートが溶融して加熱プレスができず、ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得ることができなかった。
(比較例4)
配合樹脂組成物の調製において、ポリプロピレン系樹脂(MFR:0.3g/10分、日本ポリプロ株式会社製、製品名:SH9000)60質量部、熱可塑性エラストマー(MFR:11g/10分、三菱化学株式会社製、製品名:Z101N)40質量部を用いたこと、両面をスライス加工して厚み1.0mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を110℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.18mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの引張強度は低く、MD方向が1.63MPa、TD方向が0.43MPaであった。
(比較例5)
配合樹脂組成物の調製において、ポリプロピレン系樹脂(MFR:0.3g/10分、株式会社プライムポリマー製、製品名:E110G)60質量部、メタロセンプラストマーであるポリエチレン樹脂(MFR:2.2g/10分、日本ポリエチレン株式会社製、製品名:カーネルKS240T)40質量部を用いたこと、両面をスライス加工して厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡シートを得たこと、誘電加熱ロールでの加熱温度を50℃に変更したこと以外は実施例1と同様にして、加熱プレスされた厚み0.48mmのポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得た。
得られたポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの引張強度は低く、MD方向が0.81MPa、TD方向が0.38MPaであった。
薄層発泡シートの切断面のMD方向における画像処理前および画像処理後の電子顕微鏡写真を図5に示す。
各実施例および比較例で用いた配合樹脂組成物のポリオレフィン系樹脂、エラストマーおよびプラストマーの配合量と配合割合およびMFRを表1に示す。
各実施例および比較例で得られた発泡シートの厚み、発泡倍率、連続気泡率、平均気泡径、25%圧縮応力および気泡破れ率、ならびに加熱温度、プレス圧力およびプレス速度の加熱プレス条件を表2に示す。
また、各実施例および比較例で得られた薄層発泡シートの厚み、元厚みからの圧縮率、発泡倍率、連続気泡率、平均気泡径、気泡破れ率、厚み方向の気泡数、樹脂層比率ならびにシート流れ方向(MD方向)およびシート幅方向(TD方向)の引張強度および引裂強度を表3に示す。
また、各実施例および比較例で得られた薄層発泡シートの表面粗度及び光沢度を表4に示す。
また、各実施例および比較例で得られた薄層発泡シートのIP性能を表5に示す。
表1〜5の結果から、本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート(実施例1〜9)は、比較例のような従来のものよりも、機械特性、特に引張強度に優れ、薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材などとして最適な薄層発泡シートであることがわかる。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート(実施例1〜9)は、比較的低温での加熱プレスにより、容易に製造できることがわかる。
1 発泡体成形部
2 気泡生成部
3 発泡剤含有混練溶融樹脂流路部
4 円環ダイイン側金型
5 円環ダイアウト側金型
D 円環ダイ

Claims (13)

  1. ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有するシートであり、
    前記ポリオレフィン系樹脂組成物が、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーとを含み、
    前記ポリオレフィン系樹脂組成物において、前記(a)と(b)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲でありかつ前記(b1)と(b2)との配合割合が質量比で90/10〜10/90の範囲であり、
    0.05〜0.5mmの平均厚み、2〜15倍の発泡倍率、30〜95%の連続気泡率および1〜30%の気泡破れ率を有し、
    シートの厚み方向に、樹脂部比率が第2の領域に対して相対的に多い第1の領域と、樹脂部比率が第1の領域に対して相対的に少ない第2の領域とを有し、一方のシート表面側の前記第1の領域の樹脂部比率が40〜80%であり、他方のシート表面側の前記第2の領域の樹脂部比率が20〜50%である、ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート。
  2. シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面の引張強度が、1〜10MPaであり、
    前記第1切断面に垂直な第2切断面におけるシートの厚み方向に垂直な方向の引張強度が、0.5〜8MPaである、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート。
  3. シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面の引裂強度が、50〜400N/cmであり、
    前記第1切断面に垂直な第2切断面におけるシートの厚み方向に垂直な方向の引裂強度が、20〜200N/cmである、請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート。
  4. シートの厚み方向に平行な直線を含む第1切断面における気泡の平均気泡径が、0.01〜0.18mmであり、
    前記第1切断面に垂直な第2切断面における気泡の平均気泡径が、0.01〜0.18mmであり、
    前記第1切断面と前記第2切断面とに垂直な第3切断面における気泡の平均気泡径が、0.01〜0.18mmである、請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート。
  5. 前記一方のシート表面が0.1〜15μmの算術平均粗さ(Ra)を有する、請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート。
  6. JIS Z 8741の60°光沢度を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート。
  7. シートの厚み方向に2つ以上の気泡を有する、請求項1〜6のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート。
  8. 電子機器用シール材、粘着テープ用基材又はウェアラブル用基材に用いられる、請求項1〜7のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シート。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法であり、
    ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有し、0.2〜3.0mmの平均厚み、10〜25倍の発泡倍率、75〜95%の連続気泡率、5〜30%の気泡破れ率および0.02〜0.2mmの平均気泡径を有するポリオレフィン系樹脂発泡シートを得る第1の工程、および
    得られたポリオレフィン系樹脂発泡シートの片面を加熱し、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シート表面をプレスして、前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートを20〜95%の圧縮率で圧縮したポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートを得る第2の工程、
    を含む、ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法。
  10. 前記加熱の温度が160℃未満であり、かつ前記プレスの圧力が0.1〜1.0MPaである、請求項9に記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法。
  11. 前記第1の工程において、発泡剤として炭酸ガスを用いる、請求項9または10に記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法。
  12. 前記ポリオレフィン系樹脂発泡シートが、気泡の生成部分と生成した気泡の成長およびシートの成形を行う成形部分で構成された金型円環ダイを用いて製造される、請求項9〜11のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの製造方法。
  13. 請求項1〜8のいずれか1つに記載のポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートと、
    前記ポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートの少なくとも片面に配置された粘着材とを有する、粘着シート。
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