JP2016108422A - ポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法及び粘着シート - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡シート、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法及び粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】厚みが薄いにも関わらず、電子・電気機器等への水、埃等の浸入を防ぐことができるポリプロピレン系樹脂発泡シートを提供する。【解決手段】ポリプロピレン系樹脂と、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びポリエチレン系プラストマーの内の少なくとも1種とを含む樹脂組成物を発泡させることにより得られており、厚み方向の中央部と厚み方向の一方側の第1の表面部と厚み方向の他方側の第2の表面部とがいずれも、前記樹脂組成物により形成されており、厚みが0.05〜0.5mm、引張強度が0.1〜30MPa、25%圧縮応力が10〜150kPaであるポリプロピレン系樹脂発泡シート。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリプロピレン系樹脂を含む樹脂組成物を発泡させることにより得られているポリプロピレン系樹脂発泡シートに関する。また、本発明は、上記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法及び上記ポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いた粘着シートに関する。
従来、熱可塑性樹脂を発泡成形することにより得られる熱可塑性樹脂発泡体が、様々な用途に用いられている。上記熱可塑性樹脂発泡体は、例えば、包装用緩衝材及び自動車用構造部材等に多く用いられている。
また、熱可塑性樹脂発泡体のなかでも、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、加工性及び柔軟性に優れることから、電子・電気機器に用いられる粘着シート、及びシーリング材の基材等として用いられている。電子・電気機器に用いられる粘着シートでは、薄型化及び軽量化の要求が高まっている。
また、電子・電気機器に用いられる粘着シートでは、強度に優れていることも求められる。従来、熱可塑性樹脂発泡体を薄くするために、スライス加工が行われている。しかし、熱可塑性樹脂発泡体をスライス加工しただけでは、強度が低くなるという問題がある。
また、下記の特許文献1〜3には、ポリオレフィン系樹脂発泡体が開示されている。
特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂を含む壁により区画された複数の気泡を有するポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートが開示されている。このポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートでは、厚みが0.05〜0.5mm、発泡倍率が2〜15倍、連続気泡率が30〜95%、気泡破れ率が1〜30%である。
特許文献2では、熱可塑性樹脂としてポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂組成物を用いて、かつ発泡剤として二酸化炭素(炭酸ガス)を用いて、円環状ダイにより押出発泡成形を行うことにより得られるポリオレフィン系樹脂発泡体が開示されている。上記ポリオレフィン系樹脂組成物は、(a)ポリオレフィン系樹脂と、(b)(b1)エラストマーおよび(b2)プラストマーとを含む。上記(a)と(b)との配合割合は、重量比で90/10〜10/90の範囲である。上記(b1)と(b2)との配合割合は、重量比で90/10〜10/90の範囲である。
特許文献3には、発泡体層と表面層とを有する樹脂発泡体が開示されている。上記発泡体層と上記表面層とは同一組成である。上記表面層の表面被覆率は40%以上である。上記発泡体層の密度は0.20g/cm以下である。特許文献3では、上記樹脂発泡体を構成する樹脂は熱可塑性樹脂であり、この熱可塑性樹脂としてポリオレフィン樹脂が例示されている。上記表面層は加熱溶融処理により形成されている。上記樹脂発泡体の厚みは0.2〜5mmである。上記樹脂発泡体は、電気・電子機器類に用いられる。
特開2014−062245号公報 特開2014−084341号公報 特開2013−147667号公報
特許文献1〜3に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体では、引張強度が低いことがある。このため、ポリオレフィン系樹脂発泡体に応力が加わると、発泡体が破断することがある。また、特許文献1〜3に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体では、柔軟性が低いことがある。
また、特許文献1〜3に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体では、厚みを薄くすると、発泡体の引張強度が更に低くなったり、発泡体の柔軟性が更に低くなったりするという問題がある。
本発明の目的は、厚みが薄いにも関わらず、電子・電気機器等への水、埃等の浸入を防ぐことができるポリプロピレン系樹脂発泡シートを提供することである。また、本発明の目的は、厚みが薄いにも関わらず、電子・電気機器等への水、埃等の浸入を防ぐことができるポリプロピレン系樹脂発泡シートを得るポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法を提供することである。また、本発明は、上記ポリプロピレン系樹脂発泡シートを用いた粘着シートを提供することも目的とする。
本発明の広い局面によれば、ポリプロピレン系樹脂と、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びポリエチレン系プラストマーの内の少なくとも1種とを含む樹脂組成物を発泡させることにより得られており、厚み方向の中央部と厚み方向の一方側の第1の表面部と厚み方向の他方側の第2の表面部とがいずれも、前記樹脂組成物により形成されており、厚みが0.05mm以上、0.5mm以下であり、引張強度が0.1MPa以上、30MPa以下であり、25%圧縮応力が10kPa以上、150kPa以下である、ポリプロピレン系樹脂発泡シートが提供される。
本発明に係る発泡シートのある特定の局面では、前記第1の表面部の1mmの範囲における露出した気泡の個数が20個以上であり、前記第2の表面部の1mmの範囲における露出した気泡の個数が10個以下である。
本発明に係る発泡シートのある特定の局面では、前記第2の表面部が、スキン層である。
本発明に係る発泡シートのある特定の局面では、前記第1の表面部の外側の表面において、露出している気泡断面の平均気泡径が20μm以上、200μm以下である。
前記樹脂組成物において、前記ポリプロピレン系樹脂と前記オレフィン系熱可塑性エラストマーと前記ポリエチレン系プラストマーとの合計100重量%中、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量が10重量%以上、90重量%以下かつ前記オレフィン系熱可塑性エラストマーと前記ポリエチレン系プラストマーとの合計の含有量が10重量%以上、90重量%以下であることが好ましい。
前記発泡シートは、電子・電気機器用粘着シートに好適に用いられ、ウェアラブルコンピュータ用粘着シートにより好適に用いられる。
本発明の広い局面によれば、上述したポリプロピレン系樹脂発泡シートを製造する方法であって、前記樹脂組成物を発泡させて、発泡体を得る発泡工程と、前記発泡体を加熱及び圧縮して、ポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る加熱圧縮工程とを備える、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法が提供される。
本発明に係る発泡シートの製造方法のある特定の局面では、前記発泡工程において、厚み方向の一方側の第1の表面部に複数の気泡が露出しており、厚み方向の他方側の第2の表面部がスキン層である発泡体を得て、前記加熱圧縮工程において、前記第2の表面部側から、前記発泡体を加熱及び圧縮して、厚み方向の一方側の第1の表面部の外側の表面に複数の気泡が露出しており、かつ厚み方向の他方側の第2の表面部がスキン層であるポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る。
本発明に係る発泡シートの製造方法のある特定の局面では、前記発泡工程において、厚み方向の他方側の表面をスライス加工せずに、厚み方向の一方側の表面のみをスライス加工して、発泡体を得て、前記加熱圧縮工程において、スライス加工されなかった表面側から、前記発泡体を加熱及び圧縮し、厚み方向に中央部と、スライス加工された第1の表面部と、スライス加工されなかった第2の表面部とを有するポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る。
本発明に係る発泡シートの製造方法のある特定の局面では、前記加熱圧縮工程において、前記発泡体の厚みに対する得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚みの比が0.1以上、0.95以下となるように、前記発泡体を加熱及び圧縮する。
本発明に係る発泡シートの製造方法のある特定の局面では、前記加熱圧縮工程において、前記発泡体を、熱源に接触させながら、0.1秒以上、5秒以下加熱する。
本発明に係る発泡シートの製造方法のある特定の局面では、前記加熱圧縮工程において、前記発泡体を熱源に接触させながら加熱及び圧縮するか、又は、前記発泡体を熱源に接触させながら加熱した後、前記発泡体を冷却時に圧縮する。
本発明の広い局面によれば、上述したポリプロピレン系樹脂発泡シートと、前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの一方の表面上に配置された粘着層とを備える、粘着シートが提供される。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂と、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びポリエチレン系プラストマーの内の少なくとも1種とを含む樹脂組成物を発泡させることにより得られており、厚み方向の中央部と厚み方向の一方側の第1の表面部と厚み方向の他方側の第2の表面部とがいずれも、上記樹脂組成物により形成されており、厚みが0.05mm以上、0.5mm以下であり、引張強度が0.1MPa以上、30MPa以下であり、25%圧縮応力が10kPa以上、150kPa以下であるので、厚みが薄いにも関わらず、電子・電気機器等への水、埃等の浸入を防ぐことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るポリプロピレン系樹脂発泡シートを示す断面SEM画像である。 図2は、発泡シートを得るために用いる発泡体(加熱圧縮処理前)を示す断面SEM画像である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡シート(発泡シートと略記することがある)は、樹脂組成物(ポリプロピレン系樹脂組成物)を発泡させることにより得られる。本発明に係る発泡シートは、複数の気泡を有する。上記樹脂組成物は、ポリプロピレン系樹脂と、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びポリエチレン系プラストマーの内の少なくとも1種とを含む。
本発明に係る発泡シートは、厚み方向の中央部と、厚み方向の一方側の第1の表面部と、厚み方向の他方側の第2の表面部とがいずれも、上記樹脂組成物により形成されている。本発明に係る発泡シートの厚みは、0.05mm以上、0.5mm以下である。本発明に係る発泡シートの引張強度は0.1MPa以上、30MPa以下である。本発明に係る発泡シートの25%圧縮応力は10kPa以上、150kPa以下である。
本発明では、上述した構成が備えられているので、厚みが薄いにも関わらず、破断し難くし、柔軟性を高くすることができる。例えば、厚みが0.5mmよりも大きい場合には、ある程度破断し難くすることができたとしても、厚みが0.5mm以下である場合には、破断し難くすることは困難である。本発明では、厚みが0.5mm以下であっても、破断し難い発泡シートが提供される。また、例えば、厚みが0.5mmよりも大きい場合には、柔軟性をある程度高めることができたとしても、厚みが0.5mm以下である場合には、柔軟性を高めることは困難である。本発明では、厚みが0.5mm以下であっても、柔軟性が高い発泡シートが提供される。
なお、従来の発泡シートは、厚みが薄い場合には柔軟性が無く、微細な凹凸への追従性が悪いため、電子・電気機器等への水、埃等の浸入を防ぐことは困難である。一方、柔軟性の高い発泡シートは、厚みを薄くすることができず、電子・電気機器等の小型化、薄型化に対応することが困難である。従来の発泡シートは、厚みが薄くなると機械強度が低下し、粘着加工などの二次加工ができない課題がある。
本発明に係る発泡シートでは、加熱圧縮処理することで薄層化が可能であると共に、特定の表面状態の第2の表面部が形成されていることで、従来の発泡シートよりも高い機械強度を発現させることができる。また、特定の表面状態の第1の表面部が形成されているため、優れた柔軟性が発現し、微細な凹凸への優れた追従性も発現する。このため、電子・電気機器内部への水、埃の浸入を防ぐことが出来ると共に、機器の小型化、薄型化にも寄与することが可能となる。
上記発泡シートの厚みは、0.05mm以上、0.5mm以下である。引張強度及び柔軟性をより一層高める観点からは、発泡シートの厚みは好ましくは0.06mm以上、より好ましくは0.07mm以上、更に好ましくは0.08mm以上、特に好ましくは0.09mm以上、最も好ましくは0.10mm以上である。薄型化の要求に対応する観点からは、発泡シートの厚みは、好ましくは0.45mm以下、より好ましくは0.40mm以下、更に好ましくは0.35mm以下、特に好ましくは0.30mm以下である。
上記発泡シートの引張強度は0.1MPa以上、30MPa以下である。破断防止性をより一層高める観点からは、発泡シートの引張強度は好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、更に好ましくは0.4MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上、最も好ましくは0.6MPa以上である。
上記発泡シートは、溶融押出発泡成形工程などを経て得られていてもよい。発泡シートの流れ方向(MD方向)における引張強度及び発泡シートの流れ方向と直交する方向(TD方向)における引張強度が上記下限以上及び上記上限以下であることが好ましい。
上記発泡シートの25%圧縮応力は10kPa以上、150kPa以下である。柔軟性をより一層高める観点からは、発泡シートの25%圧縮応力は好ましくは140kPa以下、より好ましくは130kPa以下、更に好ましくは120kPa以下である。
発泡シートにおける両側の表面の算術平均粗さRaが異なることが好ましい。この場合に、算術平均粗さRaが大きい側が、第1の表面部側であることが好ましい。第1の表面部の外側の表面の算術平均粗さRaが、第2の表面部の外側の表面の算術平均粗さRaよりも大きいことが好ましい。算術平均粗さRaは、JIS B0601:1994に準拠して測定される。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、発泡シートにおいて、上記第1の表面部の1mmの範囲(1mm×1mmの正方形の範囲)における露出した気泡の個数は好ましくは20個以上、より好ましくは30個以上、更に好ましくは40個以上、特に好ましくは50個以上である。上記第2の表面部の1mmの範囲(1mm×1mmの正方形の範囲)における露出した気泡の個数は好ましくは10個以下、より好ましくは5個以下、更に好ましくは3個以下、特に好ましくは0個である。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、第2の表面部は、スキン層であることが好ましい。スキン層は、他の領域よりも樹脂密度が高い層である。引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、発泡シートにおいて、第1の表面部は、スライス加工により形成された表面部であることが好ましい。引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、発泡シートにおいて、第2の表面部は、スライス加工されていない表面部であることが好ましい。引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、発泡シートにおいて、第2の表面部の樹脂密度は、中央部よりも樹脂密度が高いことが好ましく、第1の表面部よりも樹脂密度が高いことが好ましい。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、第1の表面部の外側の表面に複数の気泡が露出していることが好ましい。引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、第1の表面部の外側の表面において、露出している気泡断面の平均気泡径は好ましくは20μm以上、より好ましくは25μm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下である。上記気泡断面の気泡径は、気泡断面部分の長径である。上記気泡断面の平均気泡径は、気泡断面部分の長径を平均することにより求められる。
発泡シートにおいて、第1の表面部の外側の表面の全表面積100%中、気泡がない表面積は好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。発泡シートにおいて、第2の表面部の外側の表面の全表面積100%中、気泡がない表面積は好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは100%(表皮層、気泡の露出なし)である。後述する実施例では、第2の表面部の外側の表面の全表面積100%中、気泡がない表面積は100%であった。
上記発泡シートは、加熱圧縮処理を経て得られることが好ましい。上述した組成を有する樹脂組成物を用いているので、加熱圧縮処理により、特定の表面部を容易に形成することができる。上記発泡シートは、樹脂組成物を発泡させて得られる発泡体を、加熱圧縮処理することで得られることが好ましい。上記発泡体は、例えば、加熱圧縮処理前のシートである。加熱時に、上記発泡シートの表面を溶融させることが好ましい。溶融によって、表面部の外側の表面の気泡状態、表面状態及び露出する気泡の数を制御することができる。また、加熱圧縮処理によって、発泡シートをより一層薄型化できる。また、加熱圧縮処理によって、気泡が扁平になり、荷重が付与された際の反発力が小さくなる。
発泡シートを厚み方向に3分割したときに、厚み方向の中央の1/3の領域において、複数の上記気泡の長さ方向を平均した方向が、発泡シートの厚み方向と直交する方向と平行であるか、又は、発泡シートの厚み方向と直交する方向に対して、30°以下で傾斜した方向であることが好ましい。上記気泡の長さ方向を平均した方向が、発泡シートの厚み方向と直交する方向に対して傾斜している場合に、傾斜角度はより好ましくは25°以下、更に好ましくは20°以下、特に好ましくは15°以下である。なお、後述する実施例では、厚み方向の中央の領域における気泡は、発泡シートの厚み方向と直交する方向に延びる扁平状であり、傾斜角度は30°以下であった。
上記発泡シートの平均厚みは、好ましくは0.03mm以上、より好ましくは0.05mm以上、更に好ましくは0.06mm以上、好ましくは0.55mm以下、より好ましくは0.50mm以下、更に好ましくは0.45mm以下である。上記発泡シートの平均厚みが上記下限以上であると、引張強度がより一層高くなる。上記発泡シートの平均厚みが上記上限以下であると、薄型化の要求に対応可能である。また、本発明では、発泡シートの厚みが薄くても、また発泡シートの平均厚みが上記上限以下であっても、引張強度が充分に高くなる。
発泡シートの製造方法は、樹脂組成物を発泡成形して、複数の気泡を有する発泡体を得る発泡工程と、上記発泡体を加熱及び圧縮することで、発泡シートを得る加熱圧縮工程とを備えることが好ましい。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、発泡工程において、厚み方向の一方側の第1の表面部に複数の気泡が露出しており、厚み方向の他方側の第2の表面部がスキン層である発泡体を得ることが好ましい。加熱圧縮工程において、第2の表面部側から、前記発泡体を加熱及び圧縮して、厚み方向の一方側の第1の表面部の外側の表面に複数の気泡が露出しており、かつ厚み方向の他方側の第2の表面部がスキン層である発泡シートを得ることが好ましい。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、発泡工程において、厚み方向の他方側の表面をスライス加工せずに、厚み方向の一方側の表面のみをスライス加工して、上記発泡体を得ることが好ましい。引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、加熱圧縮工程において、スライス加工されなかった表面側から、上記発泡体を加熱及び圧縮することが好ましい。厚み方向に中央部と、スライス加工された第1の表面部と、スライス加工されなかった第2の表面部とを有する発泡シートを得ることが好ましい。
上記加熱圧縮工程において、上記発泡体を、熱源に接触させながら、加熱することが好ましい。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、熱源の温度(加熱温度)は好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、より一層好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上、特に好ましくは75℃以上、最も好ましくは95℃以上、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下である。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、熱源に対する接触時間(加熱時間)は好ましくは0.1秒以上、より好ましくは0.2秒以上、好ましくは5.0秒以下、より好ましくは4.5秒以下、更に好ましくは4.0秒以下である。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、圧縮時の圧力は好ましくは0.05MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、更に好ましくは0.15MPa以上、好ましくは1.1MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更に好ましくは0.9MPa以下である。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、上記加熱圧縮工程において、上記発泡体を熱源に接触させながら加熱及び圧縮するか、又は、上記発泡体を熱源に接触させながら加熱した後、上記発泡体を冷却時に圧縮することが好ましく、上記加熱圧縮工程において、上記発泡体を熱源に接触させながら加熱及び圧縮することがより好ましい。
引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、上記発泡体の厚みは好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.3mm以上、好ましくは3.5mm以下、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは2.5mm以下である。
特定の組成を有する樹脂組成物を用いて引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、上記発泡体の発泡倍率は好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上、更に好ましくは15倍以上、好ましくは25倍以下、より好ましくは24倍以下、更に好ましくは23倍以下である。
特定の組成を有する樹脂組成物を用いて引張強度及び柔軟性を効果的に高める観点からは、発泡体における平均気泡径は好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上、更に好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.2mm以下、更に好ましくは0.15mm以下である。なお、後述する実施例では、発泡体における平均気泡径は0.05mm以上、0.15mm以下の範囲内であった。なお、発泡体における気泡径は、シートの厚み方向と、厚み方向と直交する第1の方向(例えばMD方向)と、厚み方向及び第1の方向と直交する第2の方向(例えばTD方向)との径を平均することにより各気泡の径を求められる。発泡体の気泡径は、複数の気泡の径を平均することにより求められる。
上記加熱圧縮処理時に、上記発泡体の厚みに対する得られる上記発泡シートの厚みの比(発泡シートの厚み/発泡体の厚み)が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.07以上、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.95以下、更に好ましくは0.93以下となるように、発泡体を加熱及び圧縮する。上記の厚みの関係を満足するように発泡体を加熱及び圧縮すると、厚みが適度に薄くなり、かつ引張強度及び柔軟性も十分に高くなる。
上記発泡体を得る工程において、円環状ダイを用いることが好ましい。上記円環状ダイは、気泡を生成させる気泡生成部と、生成した気泡を成長させる気泡成長部とを有することが好ましい。上記気泡成長部は、上記気泡生成部の下流に位置する。また、上記円環状ダイは、一般に、気泡成長部の下流に、シート成形を行う成形部を有する。上記気泡生成部は、樹脂組成物が流れる流路の幅が狭まった部分であることが好ましい。上記気泡成長部は、樹脂組成物が流れる流路の幅が狭まった部分の下流において、流路の幅が拡がる部分であることが好ましい。
次に、樹脂組成物の詳細について説明する。
(樹脂組成物の詳細)
樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂と、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマー及び(C)ポリエチレン系プラストマーの内の少なくとも1種とを含む。
引張強度及び柔軟性を効果的に高くし、表面状態をより一層良好にする観点からは、樹脂組成物は、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーと(C)ポリエチレン系プラストマーとの双方を含むことが好ましい。
樹脂組成物は、(D)黒色顔料を含まないか又は含む。表面状態が良好である発泡シートにおいて、ヒダ(コルゲート)及び汚れをより一層目立たなくする観点からは、樹脂組成物は、(D)黒色顔料を含んでいてもよい。
樹脂組成物は、(E)気泡核材を含まないか又は含む。柔軟性が良好である発泡シートを得る観点からは、樹脂組成物は、(E)気泡核材を含んでいてもよい。
(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマー、(C)ポリエチレン系プラストマー、(D)黒色顔料及び(E)気泡核材はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A)ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノマーを重合させることにより得られる。(A)ポリプロピレン系樹脂は重合体である。重合体には共重合体が含まれる。(A)ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンモノマーの単独重合体、並びにプロピレンモノマーを主成分とする重合成分の共重合体が挙げられる。上記プロピレンモノマーを主成分とする重合成分の共重合体では、重合可能な重合成分100重量%中、プロピレンモノマーの含有量は50重量%以上であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。また、共重合の形態は、ランダムであってもよく、ブロックであってもよい。
(A)ポリプロピレン系樹脂としては、具体的には、プロピレンホモポリマー、プロピレンランダムポリマー及びプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。(A)ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノマーの単独重合体であることが好ましく、プロピレンホモポリマーであることが好ましい。
(A)ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、試験温度230℃及び荷重21.18Nの条件で、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.15g/10分以上、更に好ましくは0.2g/10分以上、好ましくは5g/10分以下である。(A)ポリプロピレン系樹脂のMFRが上記下限以上及び上記上限以下であると、引張強度がより一層高く、表面状態がより一層良好である発泡シートが得られる。
引張強度及び柔軟性を効果的に高くし、表面状態をより一層良好にする観点からは、(A)ポリプロピレン系樹脂の230℃での溶融張力は、好ましくは0.3cN以上、より好ましくは0.5cN以上、好ましくは35cN以下、より好ましくは20cN以下である。また、溶融張力が上記下限以上及び上記上限以下であると、気泡をより一層微細にすることができ、発泡シートの表面の粗度が効果的に小さくなる。
(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有することが好ましい。(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーは、常温(25℃)でゴム弾性を示し、高温では熱可塑性樹脂と同様に可塑化されて成形できるという性質を有する。
(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーは、一般的には、ハードセグメントがポリプロピレン又はポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂であり、ソフトセグメントがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体又はエチレン−プロピレン共重合体などのゴム成分又は非結晶性ポリエチレンである。
(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーとの重合を多段階で行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサー又は二軸押出機などの混練機を用いて、ハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマー;バンバリーミキサー又は二軸押出機などの混練機を用いて、ハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させる際に、架橋剤を加えることによって、ポリオレフィン系樹脂マトリックス中に、ゴム成分を完全架橋又は部分架橋させて、ミクロ分散させて得られる動的架橋されたエラストマー等が挙げられる。
(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーとして、非架橋エラストマー及び架橋エラストマーの双方を用いることが可能である。発泡シートのリサイクル性を高める観点からは、ハードセグメントとなるポリオレフィン系樹脂と、ソフトセグメントとなるゴム成分とを物理的に分散させて製造された非架橋エラストマーが好ましい。また、このような非架橋エラストマーは、上記円環状ダイでの押出発泡成形に好適に用いることができる。また更に、このような非架橋エラストマーの使用により、発泡シートをリサイクルし、再び押出機へ供給して押出発泡成形をする場合でも、架橋ゴムによる発泡不良などが抑えられる。
(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、及び塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー;スチレン系エラストマー;ポリエステル系エラストマー;ポリアミド系エラストマー;ポリウレタン系エラストマー等が挙げられる。
(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーがエチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーである場合に、ジエン成分としては、例えばエチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、及びジシクロペンタジエン等が挙げられる。このようなエチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーは、上記円環状ダイでの押出発泡成形に好適に用いることができる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合体エラストマーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
引張強度及び柔軟性を効果的に高くし、表面状態をより一層良好にする観点からは、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーは、試験温度230℃及び荷重21.18Nの条件で、MFRを有することが好ましく、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーのMFRは、好ましくは1g/10分以上、好ましくは15g/10分以下である。(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーのMFRが上記下限以上及び上記上限以下であると、引張強度がより一層高く、表面状態がより一層良好である発泡シートが得られる。
(C)ポリエチレン系プラストマーとしては、ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィンなどの共重合体成分とを含むポリエチレン系重合体等が挙げられる。
α−オレフィンとしては、炭素数4〜8のα−オレフィンが好ましく、1−ブテン、1−へキセン又は1−オクテンがより好ましい。
エチレン/α−オレフィン共重合体としては、例えば、住友化学社製「エスプレンNO416」(エチレン−1−ブテン共重合体)、日本ポリエチレン社製「カーネルKS240T」(エチレン−1−ヘキセン共重合体)及びダウ・ケミカル社製「アフィニティーEG8100」(エチレン−1−オクテン共重合体)等が挙げられる。
(C)ポリエチレン系プラストマーの密度は、好ましくは0.85g/cm以上、好ましくは0.91g/cm以下である。上記密度が上記下限以上であると、発泡シートの引張強度が効果的に高くなる。上記密度が上記上限以下であると、発泡シートの柔軟性がより一層高くなる。
引張強度及び柔軟性を効果的に高くし、表面状態をより一層良好にする観点からは、(C)ポリエチレン系プラストマーは、試験温度190℃及び荷重21.18Nの条件で、MFRを有することが好ましく、(C)ポリエチレン系プラストマーのMFRは、好ましくは1g/10分以上、好ましくは15g/10分以下である。
引張強度及び柔軟性を効果的に高くし、表面状態をより一層良好にする観点からは、樹脂組成物において、(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーと(C)ポリエチレン系プラストマーとの合計100重量%中、(A)ポリプロピレン系樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下であり、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーと(C)ポリエチレン系プラストマーとの合計の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下である。
樹脂組成物において、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量に対する(C)ポリエチレン系プラストマーの含有量の重量比((C)の含有量/(B)の含有量)は、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、更に好ましくは15/85以上、特に好ましくは20/80以上、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは85/10以下、特に好ましくは80/20以下である。上記重量比((C)の含有量/(B)の含有量)が上記下限以上及び上記上限以下であると、引張強度及び柔軟性が効果的に高くなり、表面状態をより一層良好になる。また、発泡倍率を効果的に高くすることができる結果、発泡シートの柔軟性をより一層高くすることができる。
樹脂組成物において、(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)オレフィン系熱可塑性エラストマーと(C)ポリエチレン系プラストマーとの合計の含有量は好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、好ましくは100重量%(全量)以下である。
樹脂組成物において、(D)黒色顔料の含有量は好ましくは2重量%以上、より好ましくは4重量%以上、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
樹脂組成物のメルトフローレイト(MFR)は、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.15g/10分以上、更に好ましくは0.2g/10分以上、特に好ましくは0.25g/10分以上、好ましくは5g/10分以下、より好ましくは4.5g/10分以下、更に好ましくは4g/10分以下である。樹脂組成物のMFRが上記下限以上及び上記上限以下であると、引張強度及び柔軟性が効果的に高くなり、表面状態をより一層良好になる。また、樹脂組成物のMFRが上記下限以上であると、押出機の負荷が小さくなり、発泡シートの生産性が高くなり、樹脂組成物が円環状ダイの樹脂流路を効率的に流れる。
(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマー、(C)ポリエチレン系プラストマー及び樹脂組成物のMFRは、JIS K7210:1999のB法に準拠して、試験温度230℃又は190℃及び荷重21.18Nの条件で測定される。
引張強度及び柔軟性を効果的に高くし、表面状態をより一層良好にする観点からは、樹脂組成物の230℃での溶融張力は、好ましくは0.1cN以上、より好ましくは0.2cN以上、好ましくは30cN以下、より好ましくは25cN以下である。また、溶融張力が上記下限以上及び上記上限以下であると、気泡をより一層微細にすることができる。
(A)ポリプロピレン系樹脂及び樹脂組成物の溶融張力は、試験温度230℃及び荷重21.18Nの条件で測定される。
樹脂組成物とともに、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、各種の添加剤を用いてもよい。上記添加剤としては、界面活性剤、分散剤、耐候性安定剤、光安定剤、顔料、染料、難燃剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤及び帯電防止剤等が挙げられる。界面活性剤の使用により、滑性及びアンチブロッキング性がより一層高くなる。分散剤の使用により、各配合成分の分散性が高くなる。分散剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル及び高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
(ポリプロピレン系樹脂発泡シート及びポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法の他の詳細)
発泡成形には、発泡剤として、炭酸ガス(二酸化炭素)等が好適に用いられる。
発泡成形時に、樹脂組成物において、海島構造が形成されていることが好ましく、(A)ポリプロピレン系樹脂が海部であり、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマー及び(C)ポリエチレン系プラストマーの内の少なくとも1種が島部であることが好ましい。この場合に、樹脂組成物にせん断が付与されたときに、島部が伸び縮みすることで、樹脂組成物の粘度が適度に高くなる。(B)オレフィン系熱可塑性エラストマー及び(C)ポリエチレン系プラストマーを良好な島部にするために、(A)ポリプロピレン系樹脂の硬度(デュロ硬度)が、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマー及び(C)ポリエチレン系プラストマーの硬度(デュロ硬度)よりも高いことが好ましい。(A)ポリプロピレン系樹脂の硬度は好ましくはD50以上であり、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマー及び(C)ポリエチレン系プラストマーの硬度はそれぞれ好ましくはD50未満である。樹脂組成物にせん断が付与されたときに、樹脂組成物の粘度を適度に高める観点からは、(B)オレフィン系熱可塑性エラストマー及び(C)ポリエチレン系プラストマーの硬度は好ましくはD10以上である。
上記円環状ダイは押出機の先端に取り付けられる。押出機内で樹脂組成物は溶融混練される。上記押出機としては、単軸押出機、二軸押出機及びタンデム型押出機等が挙げられる。押出条件の制御が容易であるので、タンデム型押出機が好ましい。
樹脂流路の上記気泡生成部における樹脂組成物の押出量は、好ましくは15kg/時間以上、好ましくは50kg/時間以下である。押出量が上記下限以上及び上記上限以下であると、引張強度がより一層高く表面状態がより一層良好である発泡シートが得られ、発泡倍率をより一層高くし、気泡をより一層微細にすることができ、かつ連続気泡率及び気泡破れ率が適度である発泡シートを得ることができる。
押出量は、円環状ダイから押出される押出物(樹脂組成物及び発泡剤など)の総重量である。
発泡性を適度に高める観点からは、樹脂組成物の溶融温度は、(A)ポリプロピレン系樹脂の融点をT℃としたときに、好ましくはT+10℃以上、好ましくはT+30℃以下である。溶融温度が上記下限以上であると、(A)ポリプロピレン系樹脂の結晶化が始まりにくく、溶融物の過度の粘度上昇が抑えられる。溶融温度が上記上限以下であると、発泡後の固化速度と発泡速度とが適度になり、発泡倍率を適度に高めることができる。
発泡体及び発泡シートにおいて、厚み方向の気泡数は2個以上であることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。すなわち、発泡体及び発泡シートの両側の表面を厚み方向に結ぶ直線上で、気泡が2個以上又は3個以上配置されていることが好ましい。厚み方向の気泡数が3個以上であると、発泡シートの柔軟性がより一層高くなる。厚み方向の気泡数の上限は、発泡体及び発泡シートの厚み及び平均気泡径などによって適宜調整でき、特に限定されない。厚み方向の気泡数は50個以下であってもよい。
発泡シートの用途は特に限定されない。発泡シートは、包装用緩衝材及び自動車用構造部材等に用いられる。また、発泡シートは、加工性及び柔軟性に優れることから、電子・電気機器用粘着シート、及びシーリング材の基材等として用いられる。
発泡シートの一方の表面上に粘着層を配置することで、粘着シートを得ることができる。この粘着シートは、発泡シートと、発泡シートの一方の表面上に配置された粘着層とを備える。この粘着シートでは、発泡シートの他方の表面上にも、粘着層が配置されていてもよく、発泡シートの両側の表面上に粘着層が配置されてもよい。
発泡シートは、電子・電気機器用粘着シートに好適に用いられ、ウェアラブルコンピュータ用粘着シートに、より好適に用いられる。粘着シートは、電子・電気機器用粘着シートでることが好ましく、ウェアラブルコンピュータ用粘着シートであることが好ましい。このような用途では、特に発泡シート及び粘着シートの厚みが薄いことが求めれる。本発明では、厚みが薄いにも関わらず、破断し難く、柔軟性が高いので、ウェアラブルコンピュータなどの電子・電気機器において、発泡シート及び粘着シートの破断を抑え、発泡シート及び粘着シートによる衝撃吸収性を高めることができる。
以下に実施例を掲げて、本発明を更に詳しく説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂(MFR:0.3g/10分、プライムポリマー社製「E110G」)60重量部に、熱可塑性エラストマー(MFR:1.5g/10分、プライムポリマー社製「R110E」)20重量部と、メタロセンプラストマーであるポリエチレン(MFR:2.2g/10分、日本ポリエチレン社製「KS240T」)20重量部とを加えて、配合樹脂組成物100重量部を調製した。
得られた配合樹脂組成物100重量部に、気泡核材としてタルク(平均粒子径13μm)7重量部と、顔料(トーヨーケム社製「PPM OYA164 BLK−FD」)10重量部とを混合して、樹脂組成物を調製した。
口径が65mmの第一押出機の先端に、口径が75mmの第二押出機を接続したタンデム型押出機を用意した。得られた樹脂組成物を、タンデム型押出機の第一押出機に供給して溶融混練した。第一押出機の途中から発泡剤として超臨界状態の二酸化炭素を5.0重量部圧入して、溶融状態の樹脂組成物と二酸化炭素を均一に混合混練した上で、発泡剤を含む溶融樹脂組成物を第二押出機に連続的に供給して、溶融混練しつつ発泡に適した樹脂温度に冷却した。
その後、第二押出機の先端に取り付けた金型の円環ダイ(気泡生成部口径φ36mm、発泡体成形部の出口口径φ70mm)から、吐出量30kg/hr、溶融物温度179℃、円環ダイ手前での溶融物圧力10.0MPaの条件で押出発泡させることで、円筒状の発泡体を得た。円環ダイの発泡体成形部において成形された円筒状の発泡体を、冷却されているマンドレル上に添わせるとともに、その外面をエアリングからエアーを吹き付けて冷却した。冷却された円筒状の発泡体を、マンドレル上の一点でカッターにより切開して、平均厚み2.5mmの樹脂発泡シートを得た。
得られた樹脂発泡シートの片面を、スプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された平均厚み0.5mmの発泡体(加熱プレス前、シート原反)を得た。
次に、熱源として誘電加熱ロールを用意し、加熱温度(プレス温度)70℃、ニップロール圧力(プレス圧力)0.3MPa、誘電加熱ロールと発泡体との接触時間が1.0秒の条件で、得られた発泡体を、誘電加熱ロールとニップロールとの間に通した。このとき、得られた発泡体のスライス加工されていない表面を誘電加熱ロールに接触させた。この結果、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.20mmである発泡シート(加熱プレス後)を得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率60%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例2)
誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を3.0秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.10mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率80%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例3)
加熱温度を130℃に変更したこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.5秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.05mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率90%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例4)
加熱温度を110℃に変更したこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.5秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.10mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率80%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例5)
加熱温度を90℃に変更したこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.5秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.15mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率70%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例6)
誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.5秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.20mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率60%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例7)
加熱温度を50℃に変更したこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.5秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.30mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率40%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例8)
実施例1で得られた樹脂発泡シートを用意した。樹脂発泡シートの片面を、スプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された平均厚み1.0mmの発泡体(加熱プレス前、シート原反)を得た。
得られた発泡体を用いたこと、加熱温度を140℃に変更したこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.3秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.15mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率85%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例9)
実施例8で得られた発泡体を用意した。
得られた発泡体を用いたこと、加熱温度を140℃に変更したこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.8秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.10mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率90%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例10)
ポリプロピレン樹脂(MFR:0.3g/10分、日本ポリプロ社製「SH9000」)40重量部に、熱可塑性エラストマー(MFR:11g/10分、三菱化学社製「Z101N」)20重量部と、メタロセンプラストマーであるポリエチレン(MFR:20g/10分、日本ポリエチレン社製「KC650T」)40重量部とを加えて、配合樹脂組成物100重量部を調製した。
得られた配合樹脂組成物100重量部に、気泡核材としてタルク(平均粒子径13μm)7重量部と、顔料(トーヨーケム社製「PPM OYA164 BLK−FD」)10重量部とを混合して、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を用いたこと、溶融物温度を175℃に変更したこと、並びに溶融物圧力を11.5MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、平均厚み2.0mmの樹脂発泡体を得た。
得られた樹脂発泡シートの片面を、スプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された平均厚み0.5mmの発泡体(加熱プレス前、シート原反)を得た。
得られた発泡体を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.40mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率20%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例11)
実施例10で得られた発泡体を用意した。
得られた発泡体を用いたこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を3.0秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.30mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率40%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例12)
実施例10で得られた発泡体を用意した。
得られた発泡体を用いたこと、加熱温度を140℃に変更したこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.3秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.09mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率82%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(実施例13)
実施例10で得られた発泡体を用意した。
得られた発泡体を用いたこと、加熱温度を140℃に変更したこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を0.8秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.07mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率86%で圧縮されている。容易に潰すことが可能であった。24時間後の厚みを観察したところ、経時での復元はなく、形状を維持していた。
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂(MFR:0.3g/10分、プライムポリマー社製「E110G」)60重量部に、熱可塑性エラストマー(MFR:1.5g/10分、プライムポリマー社製「R110E」)40重量部を加えて、配合樹脂組成物100重量部を調製した。
得られた配合樹脂組成物100重量部に、気泡核材としてタルク(平均粒子径13μm)7重量部と、顔料(トーヨーケム社製「PPM OYA164 BLK−FD」)10重量部とを混合して、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を用いたこと、溶融物温度を178℃に変更したこと、並びに溶融物圧力を13.5MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、平均厚み1.9mmの樹脂発泡シートを得た。
得られた樹脂発泡シートの片面を、スプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された平均厚み1.0mmの発泡体を得た。
得られた発泡体を用いたこと、並びに加熱温度を140℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.60mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率40%で圧縮されている。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂(MFR:0.3g/10分、プライムポリマー社製「E110G」)60重量部に、メタロセンプラストマーであるポリエチレン(MFR:2.2g/10分、日本ポリエチレン社製「KS240T」)40重量部を加えて、配合樹脂組成物100重量部を調製した。
得られた配合樹脂組成物100重量部に、気泡核材としてタルク(平均粒子径13μm)7重量部と、顔料(トーヨーケム社製「PPM OYA164 BLK−FD」)10重量部とを混合して、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を用いたこと、溶融物温度を177℃に変更したこと、並びに溶融物圧力を10.5MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、平均厚み1.8mmの樹脂発泡シートを得た。
得られた樹脂発泡シートの片面を、スプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された平均厚み1.0mmの発泡体(加熱プレス前、シート原反)を得た。
得られた発泡体を用いたこと、並びに加熱温度を140℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.30mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率70%で圧縮されている。
(比較例3)
ポリプロピレン樹脂(MFR:0.3g/10分、日本ポリプロ社製「SH9000」)60重量部に、熱可塑性エラストマー(MFR:11g/10分、三菱化学社製「Z101N」)40重量部を加えて、配合樹脂組成物100重量部を調製した。
得られた配合樹脂組成物100重量部に、気泡核材としてタルク(平均粒子径13μm)7重量部と、顔料(トーヨーケム社製「PPM OYA164 BLK−FD」)10重量部とを混合して、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を用いたこと、溶融物温度を176℃に変更したこと、並びに溶融物圧力を12.3MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、平均厚み2.2mmの樹脂発泡シートを得た。
得られた樹脂発泡シートの片面を、スプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された平均厚み1.0mmの発泡体(加熱プレス前、シート原反)を得た。
得られた発泡体を用いたこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を8.0秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.90mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率10%で圧縮されている。
(比較例4)
ポリプロピレン樹脂(MFR:0.3g/10分、日本ポリプロ社製「SH9000」)60重量部に、メタロセンプラストマーであるポリエチレン(MFR:20g/10分、日本ポリエチレン社製「KC650T」)40重量部を加えて、配合樹脂組成物100重量部を調製した。
得られた配合樹脂組成物100重量部に、気泡核材としてタルク(平均粒子径13μm)7重量部と、顔料(トーヨーケム社製「PPM OYA164 BLK−FD」)10重量部とを混合して、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物を用いたこと、溶融物温度を176℃に変更したこと、並びに溶融物圧力を11.5MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして、平均厚み1.9mmの樹脂発泡シートを得た。
得られた樹脂発泡シートの片面を、スプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された平均厚み1.0mmの発泡体(加熱プレス前、シート原反)を得た。
得られた発泡体を用いたこと、並びに誘電加熱ロールと発泡体との接触時間を8.0秒に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、スライス加工されていない表面側から加熱プレスされており、平均厚みが0.70mmである発泡シートを得た。
得られた発泡シートは、発泡体に対して、圧縮率30%で圧縮されている。
(比較例5)
実施例1で得られた樹脂シートを得た。
得られた樹脂発泡シートの片面を、スプリッティングマシンによりスライス加工して表皮を除去し、片面がスライス加工された平均厚み1.0mmの発泡体を得た。
得られた発泡体を加熱プレスせずに、比較例5の発泡シートとした。
(評価)
(1)平均厚み
シックネスゲージ(ミツトヨ社製「NO.547−301」)及びサイズφ10mmの厚み測定器を用いて、得られた発泡シートの幅方向(TD方向)の厚みを、無荷重状態で、30mm間隔で12点測定した。測定値の平均値(相加平均)を、発泡シートの平均厚み(A)(mm)とした。
(2)平均気泡径(露出気泡断面)
露出している気泡表面の平均気泡径を求めた。具体的には、第1の表面部及び第2の表面部を、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製「S−3000N」又は日立ハイテクノロジーズ社製「S−3400N」)を用いて、100倍に拡大して撮影した。
撮影した画像をA4用紙上に印刷し、印刷した写真の上に描いた60mmの直線上に存在する気泡の数を測定し、次式により平均気泡径を算出した。
平均気泡径(mm)=60/(気泡の数×100)
なお、ミツトヨ社製「デジマチックキャリパ」を用いて、写真上のスケールバーを1/100mmまで計測し、次式により写真の倍率とした。
写真倍率=スケールバー実測値(mm)/スケールバーの表示値(mm)
また、直線を描く際には、気泡断面のうち、できる限り長径を通るような方向に60mmの直線を描いた。
(3)1mmの範囲における露出した気泡の個数
平均気泡径の測定で用いた写真を用いて、個数の算出を行った。具体的には、平均気泡径の測定で用いた、印刷した写真の上に描いた10mm×10mmの正方形内に存在する気泡の数を目視で数えることで、1mmの範囲における露出した気泡の個数とした。
(4)引張強度
テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)、万能試験機データ処理ソフトUTPS−458X(ソフトブレーン社製)を用いて、以下の方法で測定された値を、MD方向及びTD方向の発泡シートの引張強度(MPa)とした。
JIS K6251:2010に規定するダンベル状3号形の打抜き刃を用いて、発泡シートの流れ方向(MD方向:押出方向)に発泡シートを打ち抜き、5枚の試験片を得た。幅方向(TD方向:押出方向に直交する方向)に発泡シートを打ち抜き、5枚の試験片を得た。
試験片を、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間以上かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下にて測定した。つかみ具間隔を50mm、試験速度500mm/minで測定し、JIS K6251:2010規定の方法により算出した。但し、伸びはつかみ具間の距離から算出した。引張強さTS(MPa)は次式により算出される。
TS=Fm/Wt
TS:引張強さ(MPa)
Fm:最大の力(N)
W:打抜き刃形の平行部分の幅(mm)
t:平行部分の厚さ(mm)
(5)25%圧縮応力
テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、型式:UCT−10T)及び万能試験機データ処理ソフト(ソフトブレーン社製、製品番号:UTPS−458X)を用いて、次の方法で測定された値を発泡シートの25%圧縮応力(kPa)とする。
試験片サイズを50×50×2mmとし、試験片の厚みが2mm以上である場合には試験片をそのまま用い、試験片の厚みが2mm未満である場合には試験片を積み重ねて厚みを約2mmとする。
試験片の幅および長さを、デジタルノギス(ミツトヨ社製、製品名:デジマチックキャリパ、型式:CD−15)を用いて1/100mmまで測定し、試験片の厚みを、テンシロン万能試験機(オリエンテック社製、型式:UCT−10T、ロードセル:10kN、型式:UR−1T−A−SR)を用いて試験片を圧縮し、負荷が2N/25cm(0.8kPa)となる点の上下圧縮板間隔を1/100mmまで測定し、試験開始点とする。
変位の原点を試験開始点、圧縮速度を1mm/minとし、初めの厚み(圧縮負荷が2N/25cmの上下圧縮板間隔値)の25%圧縮時の応力を圧縮応力とする。3個の試験片を測定し、次式により算出した圧縮応力の平均を発泡シートの25%圧縮応力(kPa)とする。
σ25=(F25/A)×10
σ25:圧縮応力(kPa)
25:25%変形時の荷重(N)
:試験片の初めの断面積(mm
なお試験片を、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間以上かけて状態を調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行う。
(6)IPコード
IPコードは、JIS C0920電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)によるIPコード測定方法に準拠して、以下のようにして測定した。
各厚みの発泡シートを幅2mm、縦150mm×横150mm(内径縦148mm×横148mm)に抜いた試験片を用い、厚みが3mm、縦200mm×横200mmのアクリル板で試験片を挟み、試験サンプルとした。試験片は、厚みの50%圧縮になるようにアクリル板の四隅を均一に挟んだ。
無保護なものをIP00、直径2.5mm以上の外来固形物の侵入に対して保護され、かつ、鉛直に落ちてくる水滴によって有害な影響を受けないものをIP31、直径1.0mm以上の外来固形物の侵入に対して保護され、かつ、鉛直から60度以内の噴霧水による水によって有害な影響を受けないものをIP43、直径1.0mm以上の外来固形物の侵入に対して保護され、かつ、いかなる方向からの飛沫によっても有害な影響を受けないものをIP44とした。若干の粉塵の侵入があっても正常な運転を阻害しない、かつ、規定の圧力及び時間で水中に浸漬しても有害な影響を受けないものをIP57とした。
詳細及び結果を下記の表1,2に示す。
比較例2,4で得られた発泡シートについては、IPコード評価が低く、特に電子・電気機器用粘着シートとしての使用に適さない。また、比較例1、3、5で得られた発泡シートについては厚みが厚いため、例えば、ウェアラブルコンピュータ用粘着シートとしての使用に適さない。
また、図1に、本発明の一実施形態に係る発泡シートの厚み方向における断面SEM(走査型電子顕微鏡)画像を示した。図2に、発泡シートを得るために用いる発泡成形体(加熱圧縮処理前)の厚み方向における断面SEM画像を示した。

Claims (14)

  1. ポリプロピレン系樹脂と、オレフィン系熱可塑性エラストマー及びポリエチレン系プラストマーの内の少なくとも1種とを含む樹脂組成物を発泡させることにより得られており、
    厚み方向の中央部と厚み方向の一方側の第1の表面部と厚み方向の他方側の第2の表面部とがいずれも、前記樹脂組成物により形成されており、
    厚みが0.05mm以上、0.5mm以下であり、
    引張強度が0.1MPa以上、30MPa以下であり、
    25%圧縮応力が10kPa以上、150kPa以下である、ポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  2. 前記第1の表面部の1mmの範囲における露出した気泡の個数が20個以上であり、前記第2の表面部の1mmの範囲における露出した気泡の個数が10個以下である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  3. 前記第2の表面部がスキン層である、請求項2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  4. 前記第1の表面部の外側の表面において、露出している気泡断面の平均気泡径が20μm以上、200μm以下である、請求項2又は3に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  5. 前記樹脂組成物において、前記ポリプロピレン系樹脂と前記オレフィン系熱可塑性エラストマーと前記ポリエチレン系プラストマーとの合計100重量%中、前記ポリプロピレン系樹脂の含有量が10重量%以上、90重量%以下かつ前記オレフィン系熱可塑性エラストマーと前記ポリエチレン系プラストマーとの合計の含有量が10重量%以上、90重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  6. 電子・電気機器用粘着シートに用いられる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  7. ウェアラブルコンピュータ用粘着シートに用いられる、請求項6に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートを製造する方法であって、
    前記樹脂組成物を発泡させて、発泡体を得る発泡工程と、
    前記発泡体を加熱及び圧縮して、ポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る加熱圧縮工程とを備える、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  9. 前記発泡工程において、厚み方向の一方側の第1の表面部に複数の気泡が露出しており、厚み方向の他方側の第2の表面部がスキン層である発泡体を得て、
    前記加熱圧縮工程において、前記第2の表面部側から、前記発泡体を加熱及び圧縮して、厚み方向の一方側の第1の表面部の外側の表面に複数の気泡が露出しており、かつ厚み方向の他方側の第2の表面部がスキン層であるポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る、請求項8に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  10. 前記発泡工程において、厚み方向の他方側の表面をスライス加工せずに、厚み方向の一方側の表面のみをスライス加工して、発泡体を得て、
    前記加熱圧縮工程において、スライス加工されなかった表面側から、前記発泡体を加熱及び圧縮し、
    厚み方向に中央部と、スライス加工された第1の表面部と、スライス加工されなかった第2の表面部とを有するポリプロピレン系樹脂発泡シートを得る、請求項8又は9に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  11. 前記加熱圧縮工程において、前記発泡体の厚みに対する得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚みの比が0.1以上、0.95以下となるように、前記発泡体を加熱及び圧縮する、請求項8〜10のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  12. 前記加熱圧縮工程において、前記発泡体を、熱源に接触させながら、0.1秒以上、5秒以下加熱する、請求項8〜11のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  13. 前記加熱圧縮工程において、前記発泡体を熱源に接触させながら加熱及び圧縮するか、又は、前記発泡体を熱源に接触させながら加熱した後、前記発泡体を冷却時に圧縮する、請求項8〜12のいずれか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  14. 請求項1〜7のいずか1項に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートと、
    前記ポリプロピレン系樹脂発泡シートの一方の表面上に配置された粘着層とを備える、粘着シート。
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