JP7266005B2 - 乾式二重床構造 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 東急建設株式会社技術研究所が、東急建設技術研究所報No.45(2019年度)の2020年1月31日発行の第81~84頁にて、堀尾貞治、井上諭、鈴木俊男、今泉隆之及び杉山毅が発明した乾式二重床構造について公開した。
本発明は、建物の躯体床に間隔をおいて設置される複数の床面体を有する乾式二重床構造に関するものである。
床衝撃音は、建物の上下階に連続する住戸において、上階居室での人の歩行や物の落下等による床への衝撃力によって生じる。この床衝撃音は、衝撃の時間・周波数特性や床構造の振動特性、下階の受音室の音響特性に依存するが、特に、床構造の振動特性に依存すると考えられている。
床衝撃音は、軽量床衝撃音と、重量床衝撃音とに分けられる。重量床衝撃音は、人の飛び跳ね、飛び降り等により生じる「ドスン」というような音である。軽量床衝撃音は、家具の引き摺りや小物類の落下等により生じる「コツコツ」というような音である。
軽量床衝撃音は、床の仕上材を適切に選定することにより低減することができる。一方、重量床衝撃音に対しては、例えば、RC造であれば、躯体床のスラブ厚を厚くする等、構造的な対策を行うことが一般的である。
ところで、多くの集合住宅等の建物では、防振ゴム等の弾性体を付けた支持体で床面体を支える乾式二重床が採用されている(例えば、特許文献1参照)。
乾式二重床は、一定の緩衝性能を備えるものの、躯体床スラブの1次固有振動数における重量床衝撃音を増幅させるため、躯体床のスラブ厚をさらに厚くする必要があった。また、乾式二重床の防振材の1次固有振動数を下げて防振性能を向上しようとすると、乾式二重床の質量が過大となったり、歩行感を損なったりする、といった問題を抱えていた。
特許文献1には、中空支持ボルトの下端部を収容する穴部を有する弾性台座と、弾性台座に回動自在に立設された中空支持ボルトと、中空支持ボルトの上端部に取り付けられたレベル調整用ナットを介して高さ調整自在に装着された支持板と、からなるユニット支持脚に、床下地パネルが支持される構成が開示されている。
特開2004-238925号公報
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、1つの床下地パネルの周縁を囲むように、12個のユニット支持脚が配置される構成であり、施工性および耐久性、良好な歩行感を得るために、ユニット支持脚の本数を減らすことができず、弾性台座の振動系の基本固有周波数を下げることができない。そのため、乾式二重床の床衝撃音遮断性能を十分に向上させることができない、という問題がある。
そこで、本発明は、躯体床の厚さを厚くすることなく、かつ、二重床の質量を過剰に増やすことなく、それでいて施工性および耐久性、良好な歩行感を保持しつつ、床衝撃音遮断性能を向上させることができる乾式二重床構造を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の乾式二重床構造は、建物の躯体床に間隔をおいて設置される複数の床面体を有する乾式二重床構造であって、前記床面体の出隅部を連結して支持する支持体と、前記支持体の下端に設けられる、前記躯体床に設置される弾性体と、複数の前記床面体に跨って配置される仕上材と、を備え、隣り合う前記床面体は、前記出隅部において、共通の前記支持体に連結されて支持され、前記床面体は、曲げ振動系の基本固有周波数が、防振対象とする周波数帯域の上限周波数の√2倍以上になるように形成されていることを特徴とする。
ここで、本発明の乾式二重床構造では、前記弾性体は、基本固有周波数が、防振対象とする周波数帯域の下限周波数の1/√2倍以下になるように配置されていてもよい。
また、本発明の乾式二重床構造では、前記弾性体は、基本固有周波数が32Hz以下になるように配置され、前記床面体は、曲げ振動系の基本固有周波数が125Hz以上になるように形成されてもよい。
また、本発明の乾式二重床構造では、前記仕上材は、捨張材を備え、前記捨張材は、ヤング係数が8.5×10(N/mm)以下で、厚さが12mm以下となるように形成されてもよい。
また、本発明の乾式二重床構造では、前記床面体は、少なくとも2つの床面パネルが積層して形成され、前記床面パネルの間には、緩衝材が介在されてもよい。
また、本発明の乾式二重床構造では、前記床面体は、辺の長さが600mm以下の矩形で、厚さが50mm以下となるように形成されてもよい。
さらに、本発明の乾式二重床構造では、前記支持体の設置密度は、3本/m以下とし、前記弾性体は、硬度70以下の合成ゴムとしてもよい。
このように構成された本発明の乾式二重床構造は、床面体の出隅部のみを連結して支持する支持体と、支持体の下端に設けられる、躯体床に設置される弾性体と、複数の床面体に跨って配置される仕上材と、を備え、隣り合う床面体は、出隅部において、共通の支持体に連結されて支持され、床面体は、曲げ振動系の基本固有周波数が、防振対象とする周波数帯域の上限周波数の√2倍以上になるように形成されている。そのため、支持体の本数を減らして、支持体の重量を減らすことができ、弾性体の振動系の基本固有振動数を下げることができる。その結果、躯体床の厚さを厚くすることなく、かつ、二重床の質量を過剰に増やすことなく、それでいて施工性および耐久性、良好な歩行感を保持しつつ、乾式二重床の床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
また、本発明の乾式二重床構造では、弾性体は、基本固有周波数が、防振対象とする周波数帯域の下限周波数の1/√2倍以下になるように配置されている。そのため、弾性体の基本固有周波数を下げて、防振対象とする周波数帯域からずらして、弾性体の振動系による防振効果を向上させることができる。その結果、より広い周波数帯域において防振効果を向上させることができる。
また、本発明の乾式二重床構造では、弾性体は、基本固有周波数が32Hz以下になるように配置され、床面体は、曲げ振動系の基本固有周波数が125Hz以上になるように形成されている。そのため、床面体の曲げ振動系の基本固有周波数を上げ、弾性体の基本固有周波数を下げて、重量床衝撃音遮断性能を向上させるための周波数帯域である63Hz帯域からずらすことができる。
また、本発明の乾式二重床構造では、捨張材は、ヤング係数が8.5×10(N/mm)以下で、厚さが12mm以下となるように形成されているため、捨張材による床面体の曲げ振動系の基本周波数への影響を低減しつつ、良好な歩行感を保持し、歩行時の床鳴りを防止することができる。そのため、躯体床の厚さを厚くすることなく、乾式二重床の床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
また、本発明の乾式二重床構造では、床面体は、少なくとも2つの床面パネルが積層して形成されることで、1つあたりの床面パネルは、持ち運びがしやすいサイズで製作することができ、施工性を向上することができる。また、床面パネルの間には、緩衝材が介在することで床面パネル間での異音(床鳴り)を防止することができる。そのため、目標の基本固有周波数の床面体を、施工性を向上させて形成することができる。
また、本発明の乾式二重床構造では、床面体は、辺の長さが600mm以下の矩形で、厚さが50mm以下となるように形成されているので、床面体の床面積を小さくして、床面体を、曲げ振動系の基本固有周波数が125Hz以上になるように形成することができる。そのため、床面体の曲げ振動系の基本固有周波数を、重量床衝撃音遮断性能を向上させるための周波数帯域である63Hz帯域からずらして、床面体の曲げ振動系による防振効果を向上させることができる。
さらに、本発明の乾式二重床構造では、支持体の設置密度は、3本/m以下とし、弾性体は、硬度70以下の合成ゴムとしているので、弾性体を、基本固有周波数が32Hz以下になるように配置することができる。そのため、弾性体の基本固有周波数を、重量床衝撃音遮断性能を向上させるための周波数帯域である63Hz帯域からずらして、床面体の曲げ振動系による防振効果を向上させることができる。
実施例1の乾式二重床構造を示す斜視図である。 実施例1の乾式二重床構造を示す断面図である。 実施例1の乾式二重床構造を示す平面図である。 実施例1の一般部の乾式二重床構造を拡大して示す断面図である。 実施例1の周囲壁の際の乾式二重床構造を拡大して示す断面図である。 実施例1の弾性体と床面体の理論モデルを示す図である。 実施例1の乾式二重床構造の計算による防振効果を示すグラフである。 実施例1の乾式二重床構造の実験により測定した床衝撃音遮断性能を示すグラフであり、図8(a)が重量床衝撃音遮断性能を表すグラフであり、図8(b)が軽量床衝撃音遮断性能を示すグラフである。
以下、本発明による乾式二重床構造を実現する実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。実施例1では、木造の建物の躯体床に乾式二重床構造を適用する例を説明する。
[乾式二重床構造の構成]
図1は、実施例1の乾式二重床構造を示す斜視図である。図2は、実施例1の乾式二重床構造を示す断面図である。図3は、実施例1の乾式二重床構造を示す平面図である。図4は、実施例1の一般部の乾式二重床構造を拡大して示す断面図である。図5は、実施例1の周囲壁の際の乾式二重床構造を拡大して示す断面図である。以下、実施例1の乾式二重床構造の構成を説明する。
実施例1の乾式二重床構造は、図1及び図2に示すように、建物1の躯体床2の上面に、乾式二重床10が設置される。乾式二重床10は、周囲壁3で囲まれた内部空間に設置される。
乾式二重床10は、床面体20と、床面体20を支持する支持体30と、床面体20の上面に配置される仕上材40と、を備える。
(周囲壁際でない一般部の床面体)
床面体20は、図3及び図4に示すように、長さa×長さbの矩形の板状に形成される。床面体20は、施工性および材料コストの観点から、長さa×長さb(例えば、長さa=600mm,長さb=600mm)の長方形の板状に形成されることが好ましい。
床面体20は、躯体床2の上面に、支持体30を介して、間隔d(例えば、12mm)をおいて複数設置される。間隔d(例えば、12mm)を介して複数設置される床面体20によって、格子状の隙間が形成される。
床面体20は、2枚の床面パネル21が積層して形成される。2枚の床面パネル21の間には、緩衝材22が介在される。
床面パネル21は、例えば、厚さ25mmのパーティクルボード材とすることができる。緩衝材22は、厚さが1mm以下の不織布とすることができる。床面体20は、2枚の床面パネル21の間に緩衝材22を介在した状態で、例えば、ビスによって固定して一体に形成される。すなわち、床面体20の厚さは、例えば、50mmとすることができる。
このようにして、床面体20は、防振対象とする周波数帯域を63Hz帯域とした場合、曲げ振動系の基本固有周波数が125Hz以上になるように形成される。床面体20は、曲げ振動系の基本固有周波数が、防振対象とする周波数帯域の上限周波数の√2倍以上になるように形成される。
なお、床面体20は、1辺の長さが600mm以下の矩形で、厚さが50mm以下となるように形成されてもよい。
(周囲壁際の床面体)
周囲壁3の際の床面体120は、図3及び図5に示すように、長さe×長さfの矩形の板状に形成される。長さeは、長さa以下とする。長さfは、長さb以下とする。
(一般部の支持体)
支持体30は、図4に示すように、弾性体31と、弾性体31から上方に延材する支持脚32と、支持脚32の先端付近に取り付けられる支持台座33と、を備える。
弾性体31は、例えば、合成ゴム製で、硬度65とすることができる。なお、弾性体31は、硬度70以下の合成ゴムとすることもできる。
支持脚32は、金属製ボルトとすることができる。支持脚32の下端に弾性体31が取り付けられる。
支持台座33は、平面寸法88mm×88mで、厚さ15mmのパーティクルボード材とすることができる。支持台座33の平面視で略中央には、インサートナット34が取り付けられる。支持脚32の上端がインサートナット34に挿入されることで、支持台座33が高さ調整(レベル調整)可能に、支持脚32に取り付けられる。
支持体30は、躯体床2の上面に設置される。支持体30は、床面体20の出隅部のみを連結して支持するように配置される。隣り合う床面体20は、出隅部において、共通の支持体30に連結されて支持されている。支持体30は、3本/m以下の設置密度で配置される。なお、出隅部は、床面体20の隅から100mm以内程度の範囲とする。
このようにして、支持体30は、防振対象とする周波数帯域を63Hz帯域とした場合、弾性体31の基本固有周波数が32Hz以下になるように配置される。支持体30は、弾性体31の基本固有周波数が、防振対象とする周波数帯域の下限周波数の1/√2倍以下になるように配置される。
(周囲壁際の支持体)
周囲壁3の際の支持体130は、弾性体3xと、弾性体3xから上方に延材する支持脚32と、支持脚32の先端付近に取り付けられる際根太133と、を備える。
弾性体3xは、例えば、合成ゴム製で、硬度70とすることができる。なお、弾性体3xは、硬度80以下の合成ゴムとすることもできる。
際根太133は、単板積層材(LVL)とすることができる。際根太133は、長さaや長さbより長い長さの断面矩形の棒状に形成され、床の出隅部や入隅部においては、適当な長さに切断して割り当てることができる。際根太133には、インサートナット34が取り付けられる。支持脚32の上端がインサートナット34に挿入されることで、際根太133が高さ調整(レベル調整)可能に、支持脚32に取り付けられる。
(仕上材)
仕上材40は、図4に示すように、複数の床面体20に跨って配置される。仕上材40は、捨張材42と、捨張材42の上面に配置された本体材41と、で構成される。
捨張材42は、厚さ8mmの合板とすることができる。捨張材42は、ヤング係数が8.5×10(N/mm)以下で、厚さが12mm以下となるように形成されてもよい。隣り合う捨張材42間は、隙間を設けずに突き合わせて配置される。
本体材41は、例えば、厚さ12mmの一般的な複合フローリングとすることができる。なお、本体材41は、緩衝材を備えていてもよい。
このように構成された乾式二重床10では、図4に示すように、躯体床2の上面に支持体30を配置する。次いで、支持台座33の上に、床面パネル21を配置して、床面パネル21を、例えば、釘51によって、支持台座33に固定する。次いで、床面パネル21の上に、緩衝材22を配置する。次いで、緩衝材22の上に、床面パネル21を配置して、例えば、釘51によって、床面パネル21を、支持台座33に固定した床面パネル21に固定する。すなわち、床面パネル21は、支持台座33に連結される。次いで、捨張材42を、配置された複数の床面体20に跨って配置し、例えば、ビスによって、捨張材42を床面体20に固定する。次いで、本体材41を、床面体20に固定された捨張材42の上に配置して、釘や接着剤によって、固定する。
また、周囲壁3の際においては、図5に示すように、周囲壁3に取り付けられたスペーサ5(例えば、スポンジ)に、際根太133が接触するように、躯体床2の上面に支持体130を配置する。次いで、際根太133の上に、床面パネル21を配置して、床面パネル21を、例えば、釘51によって、際根太133に固定する。次いで、床面パネル21の上に、緩衝材22を配置する。次いで、緩衝材22の上に、床面パネル21を配置して、例えば、釘51によって、床面パネル21を、際根太133に固定した床面パネル21に固定する。この際、周囲壁3と床面体20とは、距離g1(例えば、10mm)の隙間を設けて配置される。次いで、捨張材42を、配置された複数の床面体20に跨って配置し、例えば、ビスによって、捨張材42を床面体120に固定する。次いで、本体材41を、床面体120に固定された捨張材42の上に配置して、釘や接着剤によって、固定する。この際、周囲壁3と本体材41とは、距離g2(例えば、3mm)の隙間を設けて配置される。また、周囲壁3に取り付けられた巾木4と本体材41とは、距離g3(例えば、2mm)の隙間を設けて配置される。なお、巾木4は、例えば、厚さ7mmの中質繊維板(MDF)とすることができる。このようにして、乾式二重床構造が構築される。
[弾性体と床面体の基本固有周波数の推定]
図6は、実施例1の弾性体31と床面体20の理論モデルを示す図である。図7は、実施例1の乾式二重床構造の計算による防振効果を示すグラフである。以下、実施例1の弾性体31と床面体20の基本固有周波数の推定について説明する。
図6に示すように、弾性体31と床面体20は、2質点系の振動モデルとすることができる。なお、図6中の符号は、以下のように定義する。
:床面体20の減衰定数
:弾性体31の減衰定数
:床面体20のばね定数
:弾性体31のばね定数
を床面体20の曲げ振動系の基本固有周波数とし、fを弾性体31の基本固有周波数とすると、fとfは、以下の計算式によって算出して、推定することができる。
Figure 0007266005000001

:床面体20の曲げ振動系の基本固有周波数[Hz]
D=EΣt /12(1-ν) [Nm
ρ:床面体20の密度[kg/m
Σt:床面体20の層厚[m]
a:床面体20の短辺長さ[m]
b:床面体20の長辺長さ[m]
E:床面体20のヤング率[N/m]
ν:ポアソン比
Figure 0007266005000002

:弾性体31の基本固有周波数[Hz]
K:弾性体31のばね定数[N/m]
M:弾性体31にかかる床質量[kg]
実施例1の乾式二重床10の弾性体31による振動系の基本固有周波数fを、上記式(2)を用いて算出すると、図7に示すように、約15Hz以下となる。実施例1の乾式二重床10の床面体20の曲げ振動系の基本固有周波数fは、一枚分の床面パネル21について、上記式(1)を用いて算出すると、約160Hzとなる。これに対し、一般的な乾式二重床の場合には、弾性体31による振動系の基本固有周波数fは、25Hzとなり、床面体20の曲げ振動系の基本固有周波数fは、75Hzとなる。これらにより、63Hz帯域における振動伝達損失(防振効果)を増加させることができる。そのため、躯体床2の厚さを厚くすることなく、乾式二重床10の床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
[床衝撃音遮断性能の測定結果]
図8は、実施例1の乾式二重床構造の実験により測定した床衝撃音遮断性能を示すグラフであり、図8(a)が重量床衝撃音遮断性能を表すグラフであり、図8(b)が軽量床衝撃音遮断性能を示すグラフである。以下、乾式二重床の床衝撃音遮断性能の測定結果を説明する。
この床衝撃音遮断性能の測定は、JIS A 1418-1「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法-第1部:標準軽量衝撃源による方法」、及び、JIS A 1418-2「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法-第2部:標準重量衝撃源による方法」に準拠して行った。また、測定結果は、JIS A 1419-2「建築物および建築部材の遮断性能の評価方法-第2部:床衝撃音遮断性能」に準拠して床衝撃音レベルを算出した。
ここで、ケースAは、乾式二重床を設置しておらず、躯体床2に二重天井のみが設置された状態である。ケースBは、躯体床2に二重天井と乾式二重床10が設置された状態の測定結果であり、本体材41として、厚さ12mmの一般的な複合フローリングを使用し、くぎで貫通固定したものである。ケースCは、躯体床2に二重天井と乾式二重床10が設置された状態の測定結果であり、本体材41として、厚さ12.3mmの緩衝材付きの複合フローリングを使用し、接着剤で接着固定したものである。
重量衝撃源については、図8(a)に示すように、ケースAはLr-70であるのに対して、ケースBはLr-60まで性能が向上していることが分かる。
軽量衝撃源については、図8(b)に示すように、ケースAはLr-75であるのに対して、ケースBはLr-60,ケースCはLr-50まで性能が向上していることが分かる。
[乾式二重床構造の作用]
次に、実施例1の乾式二重床構造の作用を説明する。実施例1の乾式二重床構造は、建物1の躯体床2に間隔をおいて設置される複数の床面体20を有する。この乾式二重床構造は、床面体20の出隅部のみを連結して支持する支持体30と、支持体30の下端に設けられる、躯体床2に設置される弾性体31と、複数の床面体20に跨って配置される仕上材40と、を備え、隣り合う床面体20は、出隅部において、共通の支持体30に連結されて支持され、床面体20は、曲げ振動系の基本固有周波数fが、防振対象とする周波数帯域の上限周波数の√2倍以上になるように形成されている(図1)。
ところで、各々の床面体を別個の支持体で支持する場合、支持体の本数が増加する。そのため、支持体の重量が増加して、弾性体31の振動系の基本固有振動数を、遮音性能の向上に有効な値まで下げることが困難となる。
実施例1では、隣り合う床面体20同士を、共有の支持体30によって支持することができる。そのため、支持体30本数を減らして、支持体30の重量を減らすことができ、弾性体31の振動系の基本固有振動数を下げることができる。その結果、躯体床2の厚さを厚くすることなく、かつ、二重床の質量を過剰に増やすことなく、それでいて施工性および耐久性、良好な歩行感を保持しつつ、乾式二重床10の床衝撃音遮断性能を向上させることができる。また、支持体30を設置する数を少なくすることができるので、施工性を向上することができる。
また、図7に示すように、床面体20の曲げ振動系の基本固有周波数fを上げて、防振対象とする周波数帯域からずらして、床面体20の曲げ振動系による防振効果を向上させることができる。そのため、より広い周波数帯域において防振効果を向上させることができる。その結果、躯体床2の厚さを厚くすることなく、乾式二重床10の床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
実施例1の乾式二重床構造において、弾性体31は、基本固有周波数fが、防振対象とする周波数帯域の下限周波数の1/√2倍以下になるように配置されている。
これにより、図7に示すように、弾性体31の基本固有周波数fを下げて、防振対象とする周波数帯域からずらして、弾性体31の振動系による防振効果を向上させることができる。そのため、より広い周波数帯域において防振効果を向上させることができる。その結果、躯体床2の厚さを厚くすることなく、乾式二重床10の床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
実施例1の乾式二重床構造において、弾性体31は、基本固有周波数fが32Hz以下になるように配置され、床面体20は、曲げ振動系の基本固有周波数fが125Hz以上になるように形成されている。
これにより、床面体20の曲げ振動系の基本固有周波数fを上げ、弾性体31の基本固有周波数fを下げて、重量床衝撃音遮断性能を向上させるための周波数帯域である63Hz帯域からずらすことができる。そして、弾性体31の振動系と、床面体20の曲げ振動系と、からなる2質点系の振動系として、防振効果を向上させることができる。そのため、躯体床2の厚さを厚くすることなく、乾式二重床10の床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
実施例1の乾式二重床構造において、仕上材40は、捨張材42を備え、捨張材42は、ヤング係数が8.5×10(N/mm)以下で、厚さが12mm以下となるように形成されている。
これにより、捨張材42による床面体20の曲げ振動系の基本固有周波数fへの影響を低減しつつ、良好な歩行感を保持し、歩行時の床鳴りを防止することができる。また、躯体床2の厚さを厚くすることなく、乾式二重床10の床衝撃音遮断性能を向上させることができる。
実施例1の乾式二重床構造において、床面体20は、少なくとも2つの床面パネル21が積層して形成され、床面パネル21の間には、緩衝材22が介在されている(図4)。
これにより、持ち運びのしやすいサイズの床面パネル21を積層して、床面体20を形成することができる。そのため、目標の基本固有周波数fの床面体20を、施工性を向上させて形成することができる。
また、床面パネル21の間には、緩衝材22が介在するので、床面パネル21間での異音(床鳴り)の発生を防止することができる。
実施例1の乾式二重床構造において、床面体20は、辺の長さが600mm以下の矩形で、厚さが50mm以下となるように形成されている。
ところで、複数の床面体が一体化されると、床面の曲げ剛性は増加するが、床面全体の基本固有周波数fがより低くなってしまう。実施例1では、床面体20の床面積を小さくして、床面体20を、曲げ振動系の基本固有周波数fが125Hz以上になるように形成することができる。そのため、床面体20の曲げ振動系の基本固有周波数fを、重量床衝撃音遮断性能を向上させるための周波数帯域である63Hz帯域からずらして、床面体20の曲げ振動系による防振効果を向上させることができる。
実施例1の乾式二重床構造において、支持体30の設置密度は、3本/m以下とし、弾性体31は、硬度70以下の合成ゴムとした。
これにより、弾性体31を、基本固有周波数fが32Hz以下になるように配置することができる。そのため、弾性体31の基本固有周波数fを、重量床衝撃音遮断性能を向上させるための周波数帯域である63Hz帯域からずらして、弾性体31の振動系による防振効果を向上させることができる。
また、床面体20が比較的軽量であっても、弾性体31の振動系の基本固有周波数fを32Hz以下とすることができる。
以上、本発明の乾式二重床構造を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、追加等は許容される。
実施例1では、床面体20は、2枚の床面パネル21を積層して形成される例を示した。しかし、床面体は、1枚の床面パネルで形成されてもよいし、3枚以上の床面パネルを積層して形成してもよい。
実施例1では。床面体20は、厚さは50mmで、長さa×長さb(例えば、長さa=600mm,長さb=600mm)の正方形の板状に形成される例を示した。しかし、床面体は、1辺の長さが600mm以下の矩形で、厚さが50mm以下となるように形成されてもよい。
実施例1では、仕上材40は、捨張材42を備える例を示した。しかし、仕上材は、捨張材を備えてもよい。
実施例1では、本発明の乾式二重床構造を木造の建物の躯体床に適用する例を示した。しかし、本発明の乾式二重床構造は、この態様に限定されず、鉄筋コンクリート造や鉄骨造等の躯体床に適用することもできる。
本発明の乾式二重床構造は、新築工事だけでなく、改装工事や改修工事にも適用することができる。
1 建物
2 躯体床
20 床面体
21 床面パネル
22 緩衝材
30 支持体
31 弾性体
40 仕上材
42 捨張材(仕上材の一例)

Claims (5)

  1. 建物の躯体床に間隔をおいて設置される複数の床面体を有する乾式二重床構造であって、
    前記床面体の出隅部のみを連結して支持する支持体と、
    前記支持体の下端に設けられる、前記躯体床に設置される弾性体と、
    前記弾性体から上方に延材する支持脚と、
    前記支持脚に取り付けられる支持台座と、
    複数の前記床面体に跨って配置される仕上材と、を備え、
    隣り合う前記床面体は、前記出隅部において前記支持台座に固定された状態で、共通の前記支持体に連結されて支持され、
    前記弾性体は、基本固有周波数が32Hz以下になるように配置され、
    前記床面体は、曲げ振動系の基本固有周波数が125Hz以上になるように形成されている
    ことを特徴とする、乾式二重床構造。
  2. 前記仕上材は、捨張材を備え、
    前記捨張材は、ヤング係数が8.5×10(N/mm)以下で、厚さが12mm以下となるように形成されている
    ことを特徴とする、請求項に記載の乾式二重床構造。
  3. 前記床面体は、少なくとも2つの床面パネルが積層して形成され、
    前記床面パネルの間には、緩衝材が介在されている
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の乾式二重床構造。
  4. 前記床面体は、辺の長さが600mm以下の矩形で、厚さが50mm以下となるように形成されている
    ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の乾式二重床構造。
  5. 前記支持体の設置密度は、3本/m以下とし、
    前記弾性体は、硬度70以下の合成ゴムとした
    ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の乾式二重床構造。
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