JP7265601B2 - 発泡成形体 - Google Patents
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押出成形された樹脂シートを圧着ロールと冷却ロールの間に挟んでこれらのロールをポリアリーレンエーテルケトン樹脂のガラス転移点+20℃以下の温度で樹脂シートにそれぞれ接触させることにより、樹脂シートを厚さ100μm以上800μm以下として相対結晶化度を5%以上80%以下とするとともに、樹脂シートの貯蔵弾性率を、樹脂シートのガラス転移点-10℃以上樹脂シートのガラス転移点+50℃以下の温度範囲で2×10 8 Pa以下に低下する凹部を有するようにし、冷却ロールにより冷却された樹脂シートを巻き取り、
樹脂シートに不活性ガスを加圧下で含浸させた後に加圧圧力を1MPa/秒以上の速度で開放し、不活性ガスが含浸した樹脂シートを樹脂シートのガラス転移点-60℃以上ガラス転移点+70℃以下の範囲で加熱した発泡成形体であり、
発泡倍率が1.29倍以上2.38倍以下、平均気泡径が2.0μm以上4.1μm以下、気泡密度が2.3×1010個/cm3以上8.0×1010個/cm3以下であることを特徴としている。
また、熱伝導率が0.10W/mK以上0.18W/mK以下、誘電率が1.9以上2.5以下であることが好ましい。
また、成形材料のポリアリーレンエーテルケトン樹脂が、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトンケトン樹脂、又はポリエーテルケトンエーテルケトンケトン樹脂であることが好ましい。
相対結晶化度(%)={1-(ΔHc/ΔHm)}×100
ここで、ΔHcは樹脂シート2の10℃/分の昇温条件下での再結晶化ピークの熱量(J/g)を表し、ΔHmは樹脂シート2の10℃/分の昇温条件下での結晶融解ピークの熱量(J/g)を表す。
〔実施例1〕
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 製品名:キータスパイアPEEK KT-851NL SP(以下、「KT-851NL SP」と略す〕を用意し、このポリエーテルエーテルケトン樹脂を160℃に加熱した除湿熱風乾燥機〔松井製作所社製 製品名:マルチジェット MJ3〕で12時間乾燥させた。
発泡成形体を製造したら、この発泡成形体の外観を観察し、この発泡成形体の比重を測定して発泡倍率を算出するとともに、平均気泡径、及び気泡密度を求め、相対結晶化度、誘電率、損失正接、及びハンダ耐熱性を測定してその結果を表1に記載した。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの厚さについては、マイクロメータ(ミツトヨ社製 製品名:クーラントプルーフマイクロメータ 符号MDC-25PJ)を使用して測定した。測定に際しては、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの幅方向(押出方向の直角方向)任意の5箇所を測定し、その平均値を樹脂シート厚とした。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの比重(ρ)に関しては、JIS K7112(A法)の測定方法に準拠し、温度23℃の条件で測定した。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの相対結晶化度については、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名:EXSTAR7000シリーズ X-DSC7000)を使用して10℃/分の昇温速度で加熱し、このときに得られる結晶融解ピークの熱量(J/g)、再結晶化ピークの熱量(J/g)から以下の式を用いて算出した。
ここで、ΔHcはポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの10℃/分の昇温条件下での再結晶化ピークの熱量(J/g)を表し、ΔHmはポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの10℃/分の昇温条件下での結晶融解ピークの熱量(J/g)を表す。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートのガラス転移点(Tg)については、樹脂シートの損失弾性率(E”)を測定し、その測定値が極大になった温度をガラス転移点とした。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの貯蔵弾性率は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの押出方向において引張モードにより測定した。具体的には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを押出方向60mm×幅方向(押出方向の直角方向)6mmの大きさに切り出し、粘弾性スペクトロメータ(ティー・エス・インスツルメント・ジャパン社製 製品名:RSA-G2)を用いた引張モードにより、周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度範囲-50~360℃、チェック間21mmの条件で測定した。
B:〔ガラス転移点(Tg)-10℃〕以上〔ガラス転移点(Tg)+50℃〕以下の温度範囲中で一旦2×108Pa以下に低下する凹形になる部分を有しない場合
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の外観については、目視により評価した。
○:発泡成形体に、反り、撓み、うねり、皺や膨れ等により、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体に変形が認められなかった場合
×:発泡成形体に、反り、撓み、うねり、皺や膨れ等により、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体に変形が認められた場合
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の比重(ρf)に関しては、JIS K7112(A法)の測定方法に準拠し、温度23℃の条件で測定した。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の発泡倍率は、以下の式を用いて算出した。
発泡倍率(倍)=ρ/ρf
ここで、ρ :ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの比重
ρf:ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の比重
走査型電子顕微鏡〔日本電子社製 商品名:5300LV〕によりポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の断面を撮影し、Windows(登録商標)用の汎用画像処理パッケージ〔三谷商事社製 商品名:ウインルーフ〕を用いて画像処理し、気泡を100箇所測定してその平均気泡径(直径)を求めた。この平均気泡径は、最大長径により求めた。
気泡密度については、以下の式を用いて求めた。
N0=6{(ρ/ρf)-1}/(πD3)
ここで、N0:気泡密度(個/cm3)
ρ:ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの比重
ρf:ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の比重
π:円周率
D:気泡直径(cm)
気泡直径については、平均気泡径を使用した。
新保 實,Daniel F.Baidwin,Nam P.Suh 成形加工,第6巻,第12号 63(1994)
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の相対結晶化度については、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名:EXSTAR7000シリーズ X-DSC7000)を使用して10℃/分の昇温速度で加熱し、このときに得られる結晶融解ピークの熱量(J/g)、再結晶化ピークの熱量(J/g)から、以下の式を用いて算出した。
ここで、ΔHcはポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の10℃/分の昇温条件下での再結晶化ピークの熱量(J/g)を表し、ΔHmはポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の10℃/分の昇温条件下での結晶融解ピークの熱量(J/g)を表す。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の熱伝導率は、迅速熱伝導率計〔京都電子工業社製 製品名:QTM-500〕を用い、基準物質との比較により求めた。基準物質は、発泡ポリエチレン(熱伝導率:0.0357W/mK)、シリコーンゴム(熱伝導率:0.238W/mK)、及び石英ガラス(熱伝導率:1.409W/mK)の3種類を使用した。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の誘電率は、RFインピーダンスマテリアルアナライザー〔ヒューレットパッカード社製、製品名:HP4291A〕を用いて測定した。誘電率は1GHzで測定した。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の損失正接は、発泡性成形体を長さ60mm×幅6mmに切り出して測定した。この損失正接の測定に際しては、粘弾性スペクトロメータ(ティー・エス・インスツルメント・ジャパン社製 製品名:RSA-G2)を用いた引張モードにより、周波数1Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、測定温度範囲-50~350℃、チェック間21mmの条件で測定し、20℃の損失正接を求めた。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体のハンダ耐熱性については、発泡成形体を260℃のハンダ浴中で10秒間浸漬し、耐熱性を測定した。この耐熱性については、目視により、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体の変形により確認した。
○:変形なし
×:変形あり
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ダイセル・エボニック社製、製品名:ベスタキープ 3300G(以下、「3300G」と略す)〕を用意し、実施例1と同様の方法により、ポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に成形し、この押出成形した樹脂シートの厚さ、比重、相対結晶化度、ガラス転移点、及び貯蔵弾性率を実施例1と同様の方法により評価してその結果を表1に記載した。溶融したポリエーテルエーテルケトン樹脂の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、398℃であった。
発泡成形体を製造したら、実施例1と同様の方法により、発泡成形体の外観を観察し、この発泡成形体の発泡倍率、平均気泡径、及び気泡密度を求め、結晶化度、誘電率、損失正接、及びハンダ耐熱性を測定してその結果を表1に記載した。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ビクトレックス社製、製品名:ビクトレックスピーク381G(以下、「381G」と略す)〕を用意し、実施例1と同様の方法により、ポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に押出成形し、この押出成形した樹脂シートの厚さ、比重、相対結晶化度、ガラス転移点、貯蔵弾性率を実施例1と同様の方法により評価し、その結果を表1に記載した。溶融したポリエーテルエーテルケトン樹脂の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定してところ、397℃であった。
発泡成形体を製造したら、実施例1と同様の方法で発泡成形体の外観を観察し、発泡成形体の発泡倍率、平均気泡径、及び気泡密度を求め、結晶化度、誘電率、損失正接、及びハンダ耐熱性を測定してその結果を表1に記載した。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルケトンケトン樹脂〔アルケマ社製 製品名:KEPSTAN (以下、「8002」と略す〕を用意し、このポリエーテルケトンケトン樹脂を160℃に加熱した熱風乾燥機で12時間乾燥させた。
ポリエーテルケトンケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に押出成形したら、この樹脂シートの厚さ、比重、相対結晶化度、ガラス転移点、及び貯蔵弾性率を実施例1と同様の方法により評価し、その結果を表1に記載した。
先ず、実施例1で作製したポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを用意し、この樹脂シートを押出方向20cm×幅方向(押出方向の直角方向)20cmのサイズに切り出して金属製の耐圧容器に封入し、この耐圧容器に不活性ガスとして液化二酸化炭素を流入させるとともに、40℃、8.1MPa、24時間の条件で静置して樹脂シートに二酸化炭素を含浸させた。
こうして樹脂シートに二酸化炭素を含浸させたら、耐圧容器の圧力を2MPa/秒の速度で開放して二酸化炭素を含浸させた樹脂シートを耐圧容器から取り出し、直ちに樹脂シートを70℃に加熱したオイルバス内にセットして1分間加熱し、ポリエーテルエーテルケトン樹脂製の発泡成形体を製造した。
先ず、実施例1で作製したポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを用意し、この樹脂シートを押出方向20cm×幅方向(押出方向の直角方向)20cmのサイズに切り出して金属製の耐圧容器に封入し、この耐圧容器に不活性ガスとして液化二酸化炭素を流入させるとともに、40℃、8.6MPa、24時間の条件で静置して樹脂シートに二酸化炭素を含浸させた。液化二酸化炭素を耐圧容器に流入させる際、液化二酸化炭素を流入させ、続いて直ちに放出の操作を3回繰り返した後、樹脂シートに含浸させる液化二酸化炭素を流入させた。
発泡成形体を製造したら、実施例1と同様の方法により、この発泡成形体の外観を確認し、発泡成形体の発泡倍率、平均気泡径、及び気泡密度を求め、結晶化度、誘電率、及びハンダ耐熱性を測定してその結果を表2に記載した。
先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として実施例2で使用したポリエーテルエーテルケトン樹脂〔ダイセル・エボニック社製、製品名:ベスタキープ 3300G(以下、「3300G」と略す)〕を用意し、実施例1と同様の方法でポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを帯形に成形した。
各実施例におけるポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の発泡成形体は、発泡倍率が1.29倍以上2.38倍以下、平均気泡径が2.0μm以上4.1μm以下、気泡密度が2.3×1010個/cm3以上8.0×1010個/cm3以下であり、微細な気泡が多数生成された発泡成形体であった。また、発泡成形体の表面には、反り、撓み、うねり、皺や膨れ等による変形は認められず、外観特性に優れていた。
比較例2の場合には、ポリエーテルエーテルケトン樹脂製の樹脂シートの発泡成形を樹脂シートの〔ガラス転移点(Tg)+70℃〕を越える温度で実施した。その結果、発泡成形体は、発泡倍率が2.57倍と十分ではあったが、反り、撓み、うねり、皺や膨れ等が発生して変形していた。
2 樹脂シート
10 溶融押出成形機
13 Tダイス
17 圧着ロール
18 冷却ロール
19 巻取機
20 巻取管
Claims (5)
- ポリアリーレンエーテルケトン樹脂含有の成形材料を溶融押出成形機により溶融混練してTダイスからポリアリーレンエーテルケトン樹脂製の樹脂シートを略帯形に押出成形し、
押出成形された樹脂シートを圧着ロールと冷却ロールの間に挟んでこれらのロールをポリアリーレンエーテルケトン樹脂のガラス転移点+20℃以下の温度で樹脂シートにそれぞれ接触させることにより、樹脂シートを厚さ100μm以上800μm以下として相対結晶化度を5%以上80%以下とするとともに、樹脂シートの貯蔵弾性率を、樹脂シートのガラス転移点-10℃以上樹脂シートのガラス転移点+50℃以下の温度範囲で2×10 8 Pa以下に低下する凹部を有するようにし、冷却ロールにより冷却された樹脂シートを巻き取り、
樹脂シートに不活性ガスを加圧下で含浸させた後に加圧圧力を1MPa/秒以上の速度で開放し、不活性ガスが含浸した樹脂シートを樹脂シートのガラス転移点-60℃以上ガラス転移点+70℃以下の範囲で加熱した発泡成形体であり、
発泡倍率が1.29倍以上2.38倍以下、平均気泡径が2.0μm以上4.1μm以下、気泡密度が2.3×1010個/cm3以上8.0×1010個/cm3以下であることを特徴とする発泡成形体。 - 樹脂シートに不活性ガスが超臨界状態で含浸される請求項1記載の発泡成形体。
- 熱伝導率が0.10W/mK以上0.18W/mK以下、誘電率が1.9以上2.5以下である請求項1又は2記載の発泡成形体。
- 粘弾性スペクトロメータで測定した損失正接が0.033以上0.055以下である請求項1、2、又は3記載の発泡成形体。
- 成形材料のポリアリーレンエーテルケトン樹脂が、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトンケトン樹脂、又はポリエーテルケトンエーテルケトンケトン樹脂である請求項1ないし4のいずれかに記載の発泡成形体。
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