JP6599792B2 - フィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

フィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6599792B2
JP6599792B2 JP2016029005A JP2016029005A JP6599792B2 JP 6599792 B2 JP6599792 B2 JP 6599792B2 JP 2016029005 A JP2016029005 A JP 2016029005A JP 2016029005 A JP2016029005 A JP 2016029005A JP 6599792 B2 JP6599792 B2 JP 6599792B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin film
resin
film
roll
molding material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016029005A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017144654A (ja
Inventor
貴司 権田
清文 田中
純也 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Polymer Co Ltd filed Critical Shin Etsu Polymer Co Ltd
Priority to JP2016029005A priority Critical patent/JP6599792B2/ja
Publication of JP2017144654A publication Critical patent/JP2017144654A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6599792B2 publication Critical patent/JP6599792B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)

Description

本発明は、ポリケトン樹脂を用いるフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法に関するものである。
ここ数年、地球環境問題等に起因してハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の電動機駆動併用車、あるいは電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)の電動機駆動車の市場が拡大して来ているが、これら電動機駆動併用車や電動機駆動車の市場拡大に伴い、これらの車に使用されるフィルムキャパシタの需要も急速に増大して来ている。
フィルムキャパシタは、樹脂フィルムを誘電体とするキャパシタであり、樹脂フィルムとして、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムやポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂フィルム等のポリエステル樹脂フィルム、あるいはポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムが使用されている。これらの樹脂フィルムの中でも、フィルムキャパシタに高耐電圧や低損失(tanδとも言う)が求められる関係上、主にポリプロピレン(PP)樹脂フィルムが使用されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、ポリプロピレン樹脂フィルムの使用温度の上限は105〜110℃であるが、電動機駆動併用車や電動機駆動車用のフィルムキャパシタには、120℃の耐熱性が要求される。したがって、ポリプロピレン樹脂フィルムを誘電体とするフィルムキャパシタは、電動機駆動併用車や電動機駆動車用に使用される場合、耐熱性に大きな問題が生じることとなる。
これに対し、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムやポリエチレンナフタレート樹脂フィルム等のポリエステル樹脂フィルムは、ポリプロピレン樹脂フィルムよりも耐熱性に優れるものの、滑り性(摺動性)に大きな問題がある。滑り性に問題があると、例えば厚さ15μmのポリエステル樹脂フィルムを成形して製造する場合に、樹脂フィルムが巻取機に不適切に巻き付いて巻取りに支障を来したり、スリット形成等の作業が非常に困難になる。さらに、フィルムキャパシタ製造中の金属蒸着工程、素子巻き工程、及び次工程のプレス工程に問題が生じる。したがって、誘電体として、ポリエステル樹脂フィルムを使用する場合には、滑り性を改良する必要がある。
この点に鑑み、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−ジシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレートジベンゾエート(PENBB)等のポリエステルに、二酸化ケイ素粒子、炭酸カルシウム粒子、カオリン粒子、酸化アルミナ粒子等の無機粒子、シリコーン粒子、架橋したポリスチレン粒子、架橋したエポキシ粒子、架橋したアクリル粒子等の有機粒子を添加し、フィルムキャパシタの樹脂フィルム表面に微小な突起を形成して表面の摩擦抵抗を低下させ、滑り性を改良する方法が提案され、実施されている(特許文献3参照)。
特許第5343461号公報 特許第5733428号公報 特開平6‐312453号公報
しかし、樹脂フィルム表面に微小な突起を形成して滑り性を改良する方法の場合、樹脂フィルムの滑り性を改良することができる反面、樹脂フィルムに微小な突起を形成しなければならないので、絶縁破壊電圧が低下し、耐電圧特性の低下を招くという大きな問題が新たに生じることとなる。
一方、ポリフェニレンサルファイド樹脂フィルムは、ポリプロピレン樹脂フィルムよりも耐熱性に優れるが、絶縁破壊電圧が低く、耐電圧特性に劣り、自己修復性(セルフヒーリング性)も低いので、使用範囲が限定されてしまうという問題がある。
本発明は上記に鑑みなされたもので、耐熱性、電気的特性、滑り性に優れ、使用範囲の限定を招くことがなく、樹脂フィルムの製造の容易化を図ることのできるフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法を提供することを目的としている。
本発明者等は上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、優れた絶縁破壊強度や誘電特性等の電気的性質、及び耐熱性を有するポリケトン樹脂に着目し、このポリケトン樹脂により、複数の凹凸部を有するフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムを製造することで本発明を完成させた。
すなわち、本発明においては上記課題を解決するため、ポリケトン樹脂含有の成形材料を押出成形機により溶融混練し、この溶融混練した成形材料を押出成形機のダイスから押し出してフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この押出成形した樹脂フィルムを圧着ロールと冷却ロールとの間に挟んで冷却するとともに、この樹脂フィルムの厚さを1.0〜15μmの範囲内とし、樹脂フィルムに複数の凹凸部を形成して巻取機に巻き取ることを特徴としている。
なお、成形材料を押出成形機に不活性ガスを供給しながら投入し、押出成形機の溶融混練時の温度と、ダイスから樹脂フィルムを押し出す際の温度とをそれぞれポリケトン樹脂の融点〜350℃とすることができる。
また、圧着ロールと冷却ロールの少なくともいずれか一方の周面に凹凸を形成し、この凹凸により、樹脂フィルムの両面のうち、少なくとも片面に微細な複数の凹凸部を形成することができる。
さらに、圧着ロールと冷却ロールの少なくともいずれか一方をエッチングロールとしてその周面には凹凸を形成し、この凹凸により、樹脂フィルムの両面のうち、少なくとも片面に微細な複数の凹凸部を形成することが可能である。
ここで、特許請求の範囲における成形材料には、ポリケトン樹脂の他、必要に応じ、他の樹脂や各種フィラーが含有される。圧着ロール、冷却ロール、又は圧着ロール及び冷却ロールの周面には、凹凸部形成用の凹凸を形成することができる。圧着ロールと巻取機との間には、樹脂フィルム切断用のスリット刃を配置することができる。さらに、凹凸部は、凹部、凸部、又は凹部及び凸部からなる。この凹凸部は、樹脂フィルムの表面、裏面、又は表裏両面に形成される。
樹脂フィルムは、溶融押出成形法、カレンダー成形法、又はキャスティング成形法等の公知の製造方法により、製造することができる。これらの製造方法の中では、樹脂フィルムの厚さ精度、生産性、ハンドリング性の向上、設備の簡略化の観点から、溶融押出成形法により連続的に押出成形して製造することが好ましい。この樹脂フィルムは、無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルム等、いずれの形態でも良い。
本発明によれば、機械的性質、電気的特性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性等に優れ、少なくとも120℃の耐熱性を有するポリケトン樹脂含有の成形材料を用いて樹脂フィルムを押出成形するので、ポリケトン樹脂フィルムを誘電体とするフィルムキャパシタを電動機駆動併用車や電動機駆動車用等に使用しても、耐熱性に問題の生じることが少ない。また、樹脂フィルムに複数の凹凸部を形成するので、滑り性の向上が期待できる。
本発明によれば、耐熱性、耐電圧特性、絶縁破壊強度、誘電特性等の電気的特性、及び滑り性に優れ、使用範囲が限定されないフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムを得ることができるという効果がある。また、樹脂フィルムの製造の容易化を図ることができる。
請求項2記載の発明によれば、成形材料を押出成形機に不活性ガスを供給しながら投入するので、不活性ガスの供給により、成形材料の酸化劣化や酸素架橋を防ぐことができる。また、押出成形機の溶融混練時の温度と、ダイスから樹脂フィルムを押し出す際の温度とをそれぞれポリケトン樹脂の融点〜350℃とするので、ポリケトン樹脂を確実に溶融して樹脂フィルムを成形することができる。加えて、ポリケトン樹脂の分解を防ぐこともできる。
請求項3記載の発明によれば、微細な複数の凹凸部を形成する設備を簡略化することができ、凹凸部のサイズの精度を向上させることができる。さらに、凹凸部を均一に形成したり、凹凸部を連続的、かつ容易に形成することが可能となる。
本発明に係るフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法の実施形態を模式的に示す全体説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態におけるフィルムキャパシタ用の樹脂フィルム2の製造方法は、図1に示すように、ポリケトン樹脂含有の成形材料1を溶融押出成形法の溶融押出成形機10により溶融混練し、この溶融混練した成形材料1を溶融押出成形機10のTダイス13から押し出してフィルムキャパシタ用の樹脂フィルム2を連続的に押出成形し、この押出成形した樹脂フィルム2を複数の圧着ロール17、冷却ロール18、及び巻取機19の巻取管20に順次巻架するとともに、圧着ロール17と冷却ロール18との間に挟持させて冷却し、樹脂フィルム2に複数の凹凸部を形成して巻取機19の巻取管20に巻回するようにしている。
成形材料1のポリケトン樹脂は、一酸化炭素とエチレン型不飽和化合物とからなる共重合体で、特に一酸化炭素由来の繰り返し単位とエチレン型不飽和化合物由来の繰り返し単位とが実質的に交互に連結された構造であり、融点が200〜270℃である。
エチレン型不飽和化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブデン、イソブデン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン及びビニルシクロヘキサン等のα‐オレフィン;スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン及びp−エチルスチレン等のスチレン又はその誘導体;シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、テトラシクロドデセン、トリシクロドデセン、トリシクロウンデセン、ペンタシクロペンタデセン、ペンタシクロヘキサデセン、及び8−エチルテトラシクロデセン等の環状オレフィン;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;エチルアクリレート、メチルアクリレート等のアクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル等があげられる。また、共重合体の構造としては、交互共重合体、ランダム共重合体等があげられるが、カルボニル基の含有率が高くなる交互共重合体が成形性の観点から好ましい。
上記エチレン型不飽和化合物の中では、好ましくはα‐オレフィンであり、より好ましくは炭素数が2〜6のα‐オレフィン、さらに好ましくはエチレンである。これらのエチレン型不飽和化合物は、1種類を単独で、又は2種以上を混合して使用しても良い。このような一酸化炭素とエチレンのみからの完全交互共重合体から構成されるポリケトン樹脂は、機械的性質、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性に優れている。また、2種類以上を混合して使用する場合のエチレンとエチレン以外のエチレン型不飽和化合物としては、プロピレンが好ましい。すなわち、一酸化炭素とエチレンとプロピレンからなる交互共重合体が好ましい。
ポリケトン樹脂の具体例としては、例えばMシリーズ〔HYOSUNG社製 商品名〕等があげられる。また、ポリケトン樹脂の製造方法としては、例えば特公平6‐13608号公報、特開2004‐59730号公報、特開2005‐105122号公報、特開2008‐56887号公報、特開2008‐163291号公報に記載の製法があげられる。また、ポリケトン樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合可能な単量体とのブロック共重合体、ランダム共重合体、あるいは変性体も使用可能である。
成形材料1には、ポリケトン樹脂の他、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等のポリエステル樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂等のポリイミド樹脂、ポリアミド4T(PA4T)樹脂、ポリアミド6T(PA6T)樹脂、変性ポリアミド6T(変性PA6T)樹脂、ポリアミド9T(PA9T)樹脂、ポリアミド10T(PA10T)樹脂、ポリアミド11T(PA11T)樹脂、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド66(PA66)樹脂、ポリアミド46(PA46)樹脂等のポリアミド樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)樹脂等のポリアリールケトン樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルホン(PPSU)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィドスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトンスルホン樹脂等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂(四フッ化エチレン樹脂ともいう)、ポリテトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂(四フッ化エチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂ともいう)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂(四フッ化エチレン‐六フッ化プロピレン共重合体樹脂ともいう)、テトラフルオロエチレン‐エチレン共重合体(ETFE)樹脂(四フッ化エチレン‐エチレン共重合体樹脂ともいう)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)樹脂(三フッ化塩化エチレン樹脂ともいう)、ポリビニデンフルオライド(PVdE)樹脂(フッ化ビニリデン樹脂ともいう)、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロピレン共重合体樹脂等のフッ素樹脂、ポリアセタール樹脂、液晶ポリマー(LCP)等を添加することができる。
成形材料1には、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、帯電防止剤、耐熱向上剤、核剤、無機化合物、有機化合物等が選択的に添加される。
溶融押出成形法は、溶融押出成形機10を使用して成形材料1を溶融混練し、溶融押出成形機10の先端部のTダイス13から樹脂フィルム2を連続的に押し出して製造する方法である。溶融押出成形法で使用される溶融押出成形機10は、例えば単軸押出成形機や二軸押出成形機等からなり、投入された成形材料1を溶融混練するよう機能する。
溶融押出成形機10の上部後方には、成形材料1用の原料投入口11が設置され、この原料投入口11には、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、窒素ガス等の不活性ガス(図1の矢印参照)を必要に応じて供給する不活性ガス供給管12が接続されており、この不活性ガス供給管12による不活性ガスの流入により、成形材料1の酸化劣化や酸素架橋が有効に防止される。
溶融押出成形機10の溶融混練時の温度は、ポリケトン樹脂の融点〜350℃、好ましくは240〜300℃に調整される。これは、ポリケトン樹脂の融点未満の場合には、ポリケトン樹脂を溶融することができず、樹脂フィルム2を成形することができないからである。逆に、350℃を越える場合には、ポリケトン樹脂が分解するからである。
Tダイス13は、溶融押出成形機10の先端部に連結管14を介して装着され、帯形の樹脂フィルム2を連続的に下方に押し出すよう機能する。このTダイス13の押出時の温度は、ポリケトン樹脂の融点〜350℃、好ましくは240〜300℃に調整される。これは、ポリケトン樹脂の融点未満の場合には、ポリケトン樹脂を溶融することができず、樹脂フィルム2を成形することができないからである。逆に、350℃を越える場合には、ポリケトン樹脂が分解するからである。
Tダイス13の上流には、連結管14に装着されたギアポンプ15とフィルタ16とが位置し、ギアポンプ15が成形材料1を一定速度で、かつ高精度にTダイス13にフィルタ16を介して移送する。フィルタ16は、溶融状態の成形材料1のゲル等を分離し、溶融状態の成形材料1をTダイス13に移送する。
樹脂フィルム2は、その表裏面の少なくともいずれか一方の片面に微細な複数の凹凸部が成形され、1.0〜15.0μm以下、好ましくは3.0〜10.0μm、より好ましくは5.0〜8.0μmの厚さに押出成形される。これは、樹脂フィルム2の厚さが1.0μm未満の場合には、樹脂フィルム2の引張強度が著しく低下するので、樹脂フィルム2の製造が困難になるからである。逆に、樹脂フィルム2の厚さが15.0μmを越える場合には、体積当たりの静電容量が小さくなるという理由に基づく。
複数の圧着ロール17は、冷却ロール18を挟持するようTダイス13の下方に回転可能に一対が軸支される。この一対の圧着ロール17のうち、下流の圧着ロール17の下流には、樹脂フィルム2を巻き取る巻取機19の巻取管20が回転可能に設置され、圧着ロール17と巻取機19の巻取管20との間には、樹脂フィルム2の側部にスリットを形成するスリット刃21が昇降可能に配置されており、このスリット刃21と巻取機19の巻取管20との間には、樹脂フィルム2にテンションを作用させて円滑に巻き取るための回転可能なテンションロール22が必要数軸支される。
各圧着ロール17は、所定の温度に調整され、樹脂フィルム2に摺接してこれを冷却ロール18に圧接する。この圧着ロール17の温度調整や冷却方法としては、空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒーター、誘電加熱ロール等があげられる。
圧着ロール17の周面には、樹脂フィルム2と冷却ロール18との密着性を向上させる観点から、少なくとも天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ノルボルネンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム層が必要に応じて被覆形成され、このゴム層には、シリカやアルミナ等の無機化合物が選択的に添加される。これらの中では、耐熱性に優れるシリコーンゴムやフッ素ゴムの採用が好ましい。
冷却ロール18は、例えば圧着ロール17よりも拡径の金属ロールからなり、Tダイス13の下方に回転可能に軸支されて押し出された樹脂フィルム2を圧着ロール17との間に挟持し、圧着ロール17と共に樹脂フィルム2を冷却しながらその厚さを所定の範囲内に制御するよう機能する。この冷却ロール18の温度調整や冷却方法は、空気、水、オイル等の熱媒体による方法、あるいは電気ヒーター、誘電加熱等があげられる。
微細な複数の凹凸部は、例えば断面略すり鉢形の凹部と、略中空円錐台形の凸部とからなり、(1)微細な凹凸を備えた圧着ロール17と微細な凹凸を備えた冷却ロール18とで樹脂フィルム2を挟持する方法、(2)樹脂フィルム2に微小なジルコニア、ガラス、ステンレス等の無機化合物、ポリカーボネート、ナイロン、あるいは植物の種等の有機化合物を吹き付けて形成する方法、(3)樹脂フィルム2を微細な凹凸を備えた金型でプレス成形する方法により、形成される。
これらの方法の中では、設備の簡略化、凹凸部のサイズの精度、凹凸部の形成の均一化、あるいは凹凸部の形成の容易さ、連続的に凹凸部の形成が可能な観点から、(1)の方法が最適である。この場合、各圧着ロール17と冷却ロール18とは、凹部や凸部の角が角張らないよう、サンドブラストロールではなく、エッチングロールが好ましい。凹凸部は、必要に応じ、規則的や不規則に配列されたり、千鳥形等に配列される。
上記において、樹脂フィルム2を製造する場合には図1に示すように、溶融押出成形機10の原料投入口11にポリケトン樹脂含有の成形材料1を不活性ガスを供給しながら投入し、溶融押出成形機10により成形材料1を加熱・加圧状態で溶融混練し、Tダイス13から帯形の樹脂フィルム2を連続的に押出成形する。この際、成形材料1の溶融混練前における含水率は、2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下に調整される。これは、成形材料1の溶融混練前における含水率が2000ppmを越える場合には、樹脂フィルム2が発泡するおそれがあるからである。
樹脂フィルム2を押出成形したら、微細な凹凸を周面に備えた一対の圧着ロール17、微細な凹凸を周面に備えた冷却ロール18、テンションロール22、巻取機19の巻取管20に順次巻架するとともに、樹脂フィルム2を冷却ロール18により冷却し、樹脂フィルム2の両側部をスリット刃21でそれぞれカットし、巻取管20に順次巻き取れば、微細な複数の凹凸部を備えた無延伸のポリケトン樹脂製の樹脂フィルム2を製造することができる。
樹脂フィルム2の微細な凹凸部は、算術平均粗さ(Ra)で0.08〜0.50μm、好ましくは0.08〜0.30μmが好適である。これは、算術平均粗さ(Ra)が0.08μm未満の場合には、目的とする滑り性が得られないからである。また、算術平均粗さ(Ra)が0.5μmを越える場合には、樹脂フィルム2の強度が低下し、成形中に破断を招くおそれがあるからである。
樹脂フィルム2の滑り性は、各種樹脂フィルム2との静的摩擦係数、及び動的摩擦係数で表すことができ、静的摩擦係数で1.0以下、動的摩擦係数で1.0以下が良い。これは、静的摩擦係数が1.0、及び動的摩擦係数が1.0を越える場合には、十分な滑り性が得られないためである。
上記によれば、少なくとも120〜150℃の耐熱性を有するポリケトン樹脂含有の成形材料1を用いて樹脂フィルム2を溶融押出成形するので、ポリケトン樹脂フィルム2を誘電体とするフィルムキャパシタを電動機駆動併用車や電動機駆動車用に使用しても、耐熱性に問題の生じることがない。また、ポリケトン樹脂製の樹脂フィルム2に微細な複数の凹凸部を形成して粗すので、滑り性を向上させることができる。
したがって、樹脂フィルム2を成形して製造する場合に、樹脂フィルム2が巻取機19に不適切に巻き付いて巻取りに支障を来したり、スリット形成等の作業が困難になるのを防止することができる。また、フィルムキャパシタ製造中の金属蒸着工程、素子巻き工程、及び次工程のプレス工程に問題が生じるのを未然に防止することができる。さらに、絶縁破壊電圧や耐電圧特性の低下を招くこともなく、使用範囲の拡大も期待できる。
なお、上記実施形態では各圧着ロール17と冷却ロール18の周面に微細な複数の凹凸をそれぞれ形成したが、各圧着ロール17の周面に微細な複数の凹凸をエッチング形成しても良いし、冷却ロール18の周面に微細な複数の凹凸をエッチング形成しても良い。
以下、本発明に係るフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、成形材料として、ポリケトン樹脂〔HYOSUNG社製 商品名:M330A〕を用意し、この成形材料を80℃に加熱した除湿熱風乾燥機〔松井製作所社製 商品名:マルチジェット MJ3〕中に12時間放置して乾燥させ、この成形材料の含水率が300ppm以下であることを確認後、成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練するとともに、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出してポリケトン樹脂製の樹脂フィルムを帯形に押出成形した。
単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。また、単軸押出成形機は、L/D=32、圧縮比:2.5、スクリュー:フルフライトスクリュータイプとした。この単軸押出成形機のシリンダー温度は290℃、Tダイスの温度は300℃、これら単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は300℃に調整した。溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、290℃であった。
樹脂フィルムを帯形に押出成形したら、連続した樹脂フィルムの両端部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの樹脂フィルムを製造した。
この際、樹脂フィルムは、算術平均粗さ(Ra)が0.44〜0.47μmのシリコーンゴムを備えた一対の圧着ロール、周面に算術平均粗さ(Ra)が1.28μmの凸柄模様を備え、60℃に調整した冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、各圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。各圧着ロールと金属ロールとに挟持させることにより、樹脂フィルムの表裏面に微細な複数の凹凸部を形成した。金属ロールはエッチングロールとした。
樹脂フィルムが得られたら、この樹脂フィルムのフィルム厚、表面粗さ、滑り性、絶縁破壊電圧、及び耐熱性を評価して表1に記載した。樹脂フィルムの表面粗さは算術平均粗さ(Ra)、滑り性は静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)、耐熱性は120℃の環境下の絶縁破壊電圧により評価した。
・樹脂フィルムのフィルム厚
フィルム厚が1.0〜10μmの樹脂フィルムの厚さについては、接触式の厚さ計〔Mahr社製:商品名 電子マイクロメータミロトン1240〕を使用して測定した。測定に際しては、樹脂フィルムの押出方向と幅方向(押出方向の直角方向)が交わる所定位置の厚みを100箇所測定し、その平均値をフィルム厚とした。押出方向の測定箇所は、樹脂フィルムの先端部から100mm間隔で100mm、200mm、300mm、400mm、500mmの位置とした。
これに対し、幅方向の測定箇所は、樹脂フィルムの左端部から25mm、次いで30mm間隔で55mm、85mm、115mm、145mm、175mm、205mm、235mm、265mm、295mm、325mm、355mm、385mm、415mm、445mm、475mm、505mm、535mm、565mm、595mmの箇所とした。
・樹脂フィルムの表面粗さ
樹脂フィルム表面の表面粗さについては、算術平均粗さ(Ra)で評価した。この算術平均粗さ(Ra)は、JIS B0601−2001に準じ、樹脂フィルムの押出方向について金属ロール面側と圧着ロール面側とを測定した。
・樹脂フィルムの滑り性(樹脂フィルム同士の滑り性)
樹脂フィルム表面同士の滑り性については、静的摩擦係数(μs)と動的摩擦係数(μk)とで評価した。これら静的摩擦係数と動的摩擦係数は、JIS K7125−1999に準拠して測定した。
具体的には、表面性測定機 HEDON−14〔新東科学社製:製品名〕を使用し、23℃、50%RHの環境下にて、試験速度:100mm/min、荷重:200g、接触面積:63.5mm×63.5mmの条件で測定した。そして、この条件下で移動テーブル側に樹脂フィルムの金属ロール面側、平面圧子側に樹脂フィルムの圧着ロール面側を固定し、200gの荷重を作用させ、100mm/minの速度で静的摩擦係数と動的摩擦係数とを測定した。
・樹脂フィルムの絶縁破壊電圧
樹脂フィルムの絶縁破壊電圧については、JIS C2110−1994に準じ、気中法による短時間絶縁破壊試験で測定した。具体的には、23℃の環境下で実施し、電極の形状を円柱形(上部形状 直径:25mm、高さ:25mm、下部形状 直径:25mm、高さ:15mm)とした。
・樹脂フィルムの耐熱性
樹脂フィルムの耐熱性については、120℃の環境下の絶縁破壊電圧で評価した。この120℃の環境下の絶縁破壊電圧については、JIS C2110−1994に準じ、気中法による短時間絶縁破壊試験で測定した。具体的には、120℃の環境下で実施し、電極の形状を円柱形(上部形状 直径:25mm、高さ:25mm、下部形状 直径:25mm、高さ:15mm)とした。
〔実施例2〕
実施例1では、成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して厚さ3.2μmの樹脂フィルムを押出成形したが、実施例2では、厚さ4.9μmの樹脂フィルムを押出成形した。また、実施例1では、冷却ロールとして周面に算術平均粗さ(Ra)が1.28μmの凸柄模様を備えた金属ロールを使用したが、実施例2では、冷却ロールとして周面に算術平均粗さ(Ra)が1.86μmの凸柄模様を備えた金属ロールを使用した。この金属ロール温度は、60℃に調整した。その他の部分については、実施例1と同様とした。
樹脂フィルムが得られたら、この樹脂フィルムのフィルム厚、表面粗さ、滑り性、絶縁破壊電圧、及び耐熱性を実施例1と同様の方法により評価し、表1に記載した。
〔実施例3〕
実施例1では、成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して厚さ3.2μmの樹脂フィルムを押出成形したが、実施例3では、厚さ8.3μmの樹脂フィルムを押出成形した。冷却ロールは、実施例2で使用した周面に算術平均粗さ(Ra)が1.86μmの凸柄模様を備えた金属ロールを使用した。この金属ロールの温度は、80℃に調整した。その他の部分については、実施例1と同様とした。
樹脂フィルムが得られたら、この樹脂フィルムのフィルム厚、表面粗さ、滑り性、絶縁破壊電圧、及び耐熱性を実施例1と同様の方法により評価し、表1に記載した。
〔実施例4〕
先ず、成形用材料として、ポリケトン樹脂〔HYOSUNG社製、商品名:M340A〕を用意し、この成形材料を80℃に加熱した除湿加熱乾燥機〔松井製作所社製、商品名:マルチジェット MJ3〕中で12時間放置して乾燥させ、この成形材料の含水率が300ppm以下であることを確認後、この成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練するとともに、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出してポリケトン樹脂製の樹脂フィルムを帯形に押出成形した。
単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。また、単軸押出成形機は、L/D=32、圧縮比:2.5、スクリュー:フルフライトスクリュータイプとした。この単軸押出成形機のシリンダー温度は300℃、Tダイスの温度は315℃、これら単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は310℃にそれぞれ調整した。
溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、303℃であった。ポリケトン樹脂製の樹脂フィルムの押出成形に際しては、実施例2と同様の設備を用いた。
樹脂フィルムを帯形に押出成形したら、連続した樹脂フィルムの両端部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mm、厚さ:14.2μmの樹脂フィルムを製造した。この際、樹脂フィルムは、算術平均粗さ(Ra)が0.44〜0.47μmのシリコーンゴムを備えた一対の圧着ロール、周面に算術平均粗さ(Ra)が1.86μmの凸柄模様を備え、80℃に調整した冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、各圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。
各圧着ロールと金属ロールとに挟持させることにより、樹脂フィルムの表裏面に微細な複数の凹凸部を形成した。金属ロールは、上記実施例同様、エッチングロールとした。
樹脂フィルムが得られたら、この樹脂フィルムのフィルム厚、表面粗さ、滑り性、絶縁破壊電圧、及び耐熱性を実施例1と同様の方法により評価し、表1に記載した。樹脂フィルムの厚さについては、マイクロメータ〔ミツトヨ社製 製品名:クーラントプルーフマイクロメータ 符号MDC−25PJ〕を使用して測定した。
Figure 0006599792
〔比較例1〕
先ず、成形材料として、ポリプロピレン樹脂〔日本ポリプロピレン社製 製品名:ノバッテクPP FB3B〕を用意し、この成形材料を幅900mmのTダイスを備えたφ40mmの単軸押出成形機にセットして溶融混練し、この溶融混練した成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出してポリプロピレン樹脂製の樹脂フィルムを帯形に押出成形した。
単軸押出成形機に成形材料を投入する際、窒素ガス18L/分を供給した。また、単軸押出成形機は、L/D=32、圧縮比:2.5、スクリュー:フルフライトスクリュータイプとした。この単軸押出成形機については、シリンダー温度:230℃、Tダイスの温度:240℃、これら単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度:235℃にそれぞれ調整した。溶融した成形材料の温度については、Tダイス入口の樹脂温度を測定することとし、測定したところ、228℃であった。
樹脂フィルムを帯形に押出成形したら、連続した樹脂フィルムの両端部をスリット刃で裁断して巻取機の巻取管に順次巻き取り、長さ100m、幅620mmの樹脂フィルムを製造した。この際、樹脂フィルムは、算術平均粗さ(Ra)が0.44〜0.47μmのシリコーンゴムを備えた一対の圧着ロール、周面に算術平均粗さ(Ra)が1.86μmの凸柄模様を備え、80℃に調整した冷却ロールである金属ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架し、圧着ロールと金属ロールとに挟持させた。
各圧着ロールと金属ロールとに挟持させることにより、樹脂フィルムの表裏面に微細な複数の凹凸部を形成した。金属ロールはエッチングロールとした。
樹脂フィルムが得られたら、この樹脂フィルムのフィルム厚、表面粗さ、滑り性、絶縁破壊電圧、及び耐熱性を実施例1と同様の方法により評価し、表2に記載した。その他の部分については、実施例1と同様とした。
〔比較例2〕
基本的には実施例1と同様だが、成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して厚さ5.3μmの樹脂フィルムを押出成形した。実施例1では、冷却ロールとして周面に算術平均粗さ(Ra)が1.28μmの凸柄模様を備えた金属ロールを使用したが、この比較例2では、冷却ロールとして周面に算術平均粗さ(Ra)が0.04μmの磨き研磨加工が施された鏡面の金属ロールを使用した。
また、実施例1では、圧着ロールとして算術平均粗さ(Ra)0.44〜0.47μmのシリコーンゴムを用いた圧着ロールを使用したが、比較例2では圧着ロールとしてシリコーンゴムに金属を被覆し、算術平均粗さ(Ra)が0.04μmの鏡面ロールを使用した。その他の部分については、実施例1と同様とした。
樹脂フィルムの製造中、樹脂フィルムを46m巻き取った時点で樹脂フィルムがテンションロールに巻き付いて破断したので、樹脂フィルムの製造を中止した。得られた樹脂フィルムのフィルム厚、表面粗さ、滑り性、絶縁破壊電圧、及び耐熱性を実施例1と同様の方法により評価し、表2に記載した。
〔比較例3〕
基本的には実施例1と同様だが、成形材料を単軸押出機のTダイスから連続的に押し出して厚さ0.5μmの樹脂フィルムの押出成形を試みた。しかしながら、樹脂フィルムが巻取機側の圧着ロールとテンションロール間で破断してしまい、樹脂フィルムを製造することができなかった。
〔比較例4〕
基本的は実施例1と同様だが、成形材料を単軸押出成形機のTダイスから連続的に押し出して厚さ18.2μmの樹脂フィルムを押出成形した。樹脂フィルムが得られたら、この樹脂フィルムのフィルム厚、表面粗さ、滑り性、絶縁破壊電圧、及び耐熱性を評価して表2に記載した。この樹脂フィルムの厚さについては、マイクロメータ〔ミツトヨ社製 製品名:クーラントプルーフマイクロメータ 符号MDC−25PJ〕を使用して測定した。
Figure 0006599792
各実施例の樹脂フィルムについては、機械的性質、絶縁破壊電圧の電気的特性等で優れた結果を得ることができた。また、120℃の環境下においても、高い絶縁破壊電圧を示しており、耐熱性の点でも優れた結果を得ることができた。さらに、樹脂フィルムに複数の凹凸部を形成したので、滑り性が向上し、樹脂フィルムがロールや巻取機に不適切に巻き付いて巻取りに支障を来すことがなかった。
これに対し、比較例1の場合には、樹脂フィルムがポリプロピレン樹脂製なので、120℃の環境中に樹脂フィルムを放置し、絶縁破壊電圧を測定しようとしたところ、樹脂フィルムに細かなシワが発生したので、測定を中止した。したがって、樹脂フィルムがポリプロピレン樹脂製の場合には、120℃以上の耐熱性を得ることができなかった。また、比較例2の場合には、耐熱性は十分であるが、静摩擦係数と動摩擦係数が1.0以上であり、樹脂フィルムの滑り性が不十分であるため、製造中に樹脂フィルムがテンションロールに不適切に巻き付き、破断してしまった。
比較例3の場合には、厚さが0.5μmの樹脂フィルムの作製を試みたが、樹脂フィルムの引張強度が小さいため、製造中に樹脂フィルムが破断してしまい、樹脂フィルムを製造できなかった。さらに、比較例4の場合には、樹脂フィルムの厚さが18.2μmなので、体積当たりの静電容量が小さくなり、その結果、フィルムキャパシタの性能が低下した。
本発明に係るフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法は、フィルムキャパシタの製造分野で使用される。
1 成形材料
2 樹脂フィルム
10 溶融押出成形機(押出成形機)
11 原料投入口
12 不活性ガス
13 Tダイス(ダイス)
17 圧着ロール
18 冷却ロール
19 巻取機

Claims (3)

  1. ポリケトン樹脂含有の成形材料を押出成形機により溶融混練し、この溶融混練した成形材料を押出成形機のダイスから押し出してフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムを連続的に押出成形し、この押出成形した樹脂フィルムを圧着ロールと冷却ロールとの間に挟んで冷却するとともに、この樹脂フィルムの厚さを1.0〜15μmの範囲内とし、樹脂フィルムに複数の凹凸部を形成して巻取機に巻き取ることを特徴とするフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法。
  2. 成形材料を押出成形機に不活性ガスを供給しながら投入し、押出成形機の溶融混練時の温度と、ダイスから樹脂フィルムを押し出す際の温度とをそれぞれポリケトン樹脂の融点〜350℃とする請求項1記載のフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法。
  3. 圧着ロールと冷却ロールの少なくともいずれか一方の周面に凹凸を形成し、この凹凸により、樹脂フィルムの両面のうち、少なくとも片面に微細な複数の凹凸部を形成する請求項1又は2記載のフィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法。
JP2016029005A 2016-02-18 2016-02-18 フィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法 Active JP6599792B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016029005A JP6599792B2 (ja) 2016-02-18 2016-02-18 フィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016029005A JP6599792B2 (ja) 2016-02-18 2016-02-18 フィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017144654A JP2017144654A (ja) 2017-08-24
JP6599792B2 true JP6599792B2 (ja) 2019-10-30

Family

ID=59680583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016029005A Active JP6599792B2 (ja) 2016-02-18 2016-02-18 フィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6599792B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102304170B1 (ko) * 2020-11-09 2021-10-12 주식회사 일웅플라텍 폴리케톤 가공물 제작장치
KR102304169B1 (ko) * 2020-11-09 2021-10-12 주식회사 일웅플라텍 폴리케톤 가공물 제작방법

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61152435A (ja) * 1984-12-27 1986-07-11 Mitsui Toatsu Chem Inc エンボスフイルムの製造方法及びその製造装置
JPS6472831A (en) * 1987-09-14 1989-03-17 Mitsubishi Gas Chemical Co Preparation of polycarbonate mat film
EP0400721A3 (en) * 1989-05-26 1991-02-06 Shell Internationale Researchmaatschappij B.V. Processing of polymers of carbon monoxide and ethylenically unsaturated compounds
JPH10676A (ja) * 1996-06-18 1998-01-06 Sekisui Chem Co Ltd 凹凸模様を有するシートの製造方法
JPH1171513A (ja) * 1997-06-25 1999-03-16 Toray Ind Inc ポリケトン樹脂組成物
DE19757607A1 (de) * 1997-12-23 1999-07-01 Inventa Ag Polyamid/Polyketon-Blends
JP2002194113A (ja) * 2000-12-25 2002-07-10 Polytech Inc アモルファスポリエステルシートの製造方法
JP5241470B2 (ja) * 2008-12-19 2013-07-17 信越ポリマー株式会社 コンデンサ用フィルムの製造方法及びコンデンサ用フィルム
JPWO2012102178A1 (ja) * 2011-01-28 2014-06-30 旭硝子株式会社 樹脂フィルムの製造方法及び製造装置
JP2013208831A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Toppan Cosmo Inc エンボスクリアシートの製造方法
JP6087257B2 (ja) * 2013-10-23 2017-03-01 信越ポリマー株式会社 ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルムの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102304170B1 (ko) * 2020-11-09 2021-10-12 주식회사 일웅플라텍 폴리케톤 가공물 제작장치
KR102304169B1 (ko) * 2020-11-09 2021-10-12 주식회사 일웅플라텍 폴리케톤 가공물 제작방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017144654A (ja) 2017-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5241470B2 (ja) コンデンサ用フィルムの製造方法及びコンデンサ用フィルム
JP5582877B2 (ja) フィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルム
JP5679168B2 (ja) フィルムキャパシタ用フィルムの製造方法
KR102157058B1 (ko) 이형용 2축 배향 폴리에스테르 필름
JP5328626B2 (ja) フィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルム
JP6380104B2 (ja) 離型用二軸配向積層ポリエステルフィルム
JP7079089B2 (ja) 高耐熱・高摺動性フィルム及びその製造方法
JP2008132699A (ja) 表面形状転写樹脂シートの製造方法
JP6087257B2 (ja) ポリエーテルエーテルケトン樹脂フィルムの製造方法
JP6599792B2 (ja) フィルムキャパシタ用の樹脂フィルムの製造方法
JP5679167B2 (ja) フィルムキャパシタ用フィルム
JP5191471B2 (ja) フィルムキャパシタ用フィルムの製造方法及びフィルムキャパシタ用フィルム
JP6483596B2 (ja) 高耐熱・高摺動性フィルムの製造方法
JP5340210B2 (ja) フィルムキャパシタ用フィルム及びその製造方法
JP2018008405A (ja) 非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP7049971B2 (ja) ポリアリーレンエーテルケトン樹脂シート用成形方法
JP6174541B2 (ja) 非晶性熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
JP2018163950A (ja) 基材フィルム及びその製造方法
JP6709302B2 (ja) 高耐熱・高摺動性フィルム
JP5309851B2 (ja) 低密度ポリエチレンの溶融押出成形方法
JP6419639B2 (ja) キャパシタ用基材フィルムの製造方法及びキャパシタ用基材フィルム
KR20220160541A (ko) 필름 콘덴서용 필름, 필름 콘덴서용 금속층 적층 필름 및 필름 콘덴서
JP2020075388A (ja) 樹脂シートの製造装置及び製造方法
JP2024049031A (ja) 熱収縮性フィルム及びその製造方法
JP2024090003A (ja) 光学フィルム及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181009

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190716

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190731

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190917

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191003

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6599792

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250