JP5309851B2 - 低密度ポリエチレンの溶融押出成形方法 - Google Patents
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Description
最も押出機に近い位置に設置されたインナーディッケル(A)と、最もリップ開口部に近い位置に設置されたインナーディッケル(B)とが、以下の要件(1)を満たすように保持されてなるTダイを用いて、メルトフローレートが1〜20g/10分であり、密度が910〜930kg/m3であり、分子量分布が3〜8である、高圧ラジカル重合法で得られる低密度ポリエチレンを溶融押出成形する方法である。
(1)インナーディッケル(A)のリップ開口部側の一辺の直線部における最もダイの中心線に近い点を点(α)、
インナーディッケル(B)の押出機側の一辺における最もダイの中心線に近い点を点(β)、
前記インナーディッケル(B)の押出機側の一辺の延長線と、前記点(α)からの垂線との交点を点(γ)とするとき、
点(β)と点(γ)との距離(ア)が0mm以上40mm以下である
<測定条件>
装置:Water製Waters150C
分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
測定温度:145℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
注入量:500μL
検出器:示差屈折
(1)インナーディッケル(A)のリップ開口部側の一辺の直線部における最もダイの中心線に近い点を点(α)、インナーディッケル(B)の押出機側の一辺における最もダイの中心線に近い点を点(β)、前記インナーディッケル(B)の押出機側の一辺の延長線と、インナーディッケル(A)のリップ開口部側の一辺の直線部における最もダイの中心線に近い点(α)からの垂線との交点を点(γ)とするとき、点(β)と点(γ)との距離(ア)が0mm以上40mm以下である。
(2)インナーディッケル(B)と、該インナーディッケル(B)と接するように設けられたロッド(R)とが、インナーディッケル(B)のリップ開口部側の一辺の直線部における最もダイの中心線に近い点を点(δ)、ロッド(R)の押出機側の一辺における最もダイの中心線に近い点を点(ε)とするとき、点(δ)と点(ε)との距離(イ)が10mm以上である
(3)点(δ)と点(ε)との距離(イ)が40mm以下である
このような要件を満たすように保持されてなるTダイを用いて、上記した高圧法LDPEを溶融押出成形することにより、耳揺れ現象および耳高をより抑制してフィルムを製造することができる。
本発明の方法は厚みの薄いフィルムの製造に適しているため、基材上に本発明の方法により高圧法LDPEを溶融押出して押出ラミネーションする方法として好適である。以下、本発明の方法を押出ラミネーションに適用する場合について、詳細に説明する。
撮影後の動画を解析し、押出ラミネーションしたフィルムの端部が、基材幅方向の中心から最も遠くに位置した地点と、最も近くに位置した地点との差を、耳揺れ幅とした。
ただし上記式(1)中の記号は、図2(b)に示す本発明の方法により得られる押出ラミネーションフィルムの断面図において、fは基材上に押出ラミネーションした後のフィルムの総断面積を、f1は押出ラミネーションしたフィルムの有効幅(24)における該フィルムの断面積を、lは平均厚み(27)を、mはTダイ幅方向ロス部の長さ(26)を表す。
なお、図2(b)に示した押出ラミネーションしたフィルムの有効幅(24)、平均厚み(27)、Tダイ幅方向のロス部の長さ(26)とは、以下のとおりである。
[平均厚み(27)]
フィルムの幅方向の中心から押出ラミネーションされた樹脂の幅の20%(25)について、1mm毎に測定したときの積層フィルム厚みの値の平均値から基材厚みを引いた厚み
[押出ラミネーションしたフィルムの有効幅(24)]
押出ラミネーションしたフィルムの厚みが、(平均厚み±平均厚みの誤差20%)以内の厚みにある、該フィルムの幅
[Tダイ幅方向のロス部の長さ(26)]
押出ラミネーションしたフィルム幅から押出ラミネーションしたフィルムの有効幅を差し引いた値
物性は、次の方法に従って測定した。
JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
JIS K7210−1995に規定された方法に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定した。
ゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)法を用いて、下記の条件により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
<測定条件>
装置:Water製Waters150C
分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
測定温度:145℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
注入量:500μL
検出器:示差屈折
チルロールとニップロールによって押圧された後、巻取機にて巻き取られるまでの積層フィルムについて、基材上に押出ラミネーションしたフィルムの一方の端部が記録されるようにして、押出開始から20分後にビデオ撮影を開始し、3分間撮影を継続した。なお、画像を記録する際に、フィルム幅方向に物差を固定して設置した。
撮影後の動画を解析し、押出ラミネーションしたフィルムの端部が、基材幅方向の中心から最も遠くに位置した地点と、最も近くに位置した地点との差を、耳揺れ幅とした。
押出成形用Tダイから溶融樹脂を基材に押出ラミネーションした後の積層フィルムを幅方向で厚み分布測定((株)山文電気社製、オフラインシート厚み計測装置TYPE−5R01)をオフラインで実施し、測定後の厚み分布データより以下の式(1)を用いて耳高の割合r(%)を算出した。なお測定は、測定子荷重0.4N、測定ピッチ1mmの条件で実施した。
ただし上記式(1)中の記号は、図2(b)に示す本発明の方法により得られる押出ラミネーションフィルムの断面図において、fは基材上に押出ラミネーションした後のフィルムの総断面積を、f1は押出ラミネーションしたフィルムの有効幅(24)における該フィルムの断面積を、lは平均厚み(27)を、mはTダイ幅方向ロス部の長さ(26)を表す。
なお、図2(b)に示した押出ラミネーションしたフィルムの有効幅(24)、平均厚み(27)、Tダイ幅方向のロス部の長さ(26)とは、以下のとおりである。
[平均厚み(27)]
フィルムの幅方向の中心から押出ラミネーションされた樹脂の幅の20%(25)について、1mm毎に測定したときの積層フィルム厚みの値の平均値から基材厚みを引いた厚み
[押出ラミネーションしたフィルムの有効幅(24)]
押出ラミネーションしたフィルムの厚みが、(平均厚み±平均厚みの誤差20%)以内の厚みにある、該フィルムの幅
[Tダイ幅方向のロス部の長さ(26)]
押出ラミネーションしたフィルム幅から押出ラミネーションしたフィルムの有効幅を差し引いた値
押出成形用Tダイから溶融樹脂を基材へ押出ラミネーションした後、基材の両側エッジ部分をビデオカメラにて加工20分後から3分間オンライン撮影し、撮影後のビデオ動画観察より、耳切れの有無を判定した。
65mmφ(L/D=32)の押出機の先端に、800mm幅のTダイ(ストレートマニホールド)を備えた押出装置を用いた。該Tダイは、リップ幅方向の両端部に、ダイの中心線を軸として対称にインナーディッケルを2枚ずつそなえ、かつこれらインナーディッケルよりもリップ開口部側にロッドが設置されたTダイであった。該押出装置に住友重機械モダン(株)社製 共押出ラミネーターを接続し、押出ラミネーションを行った。基材には、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績製(株)東洋紡エステルフィルムE5100)を用い、溶融押出する樹脂には、住友化学(株)製スミカセンCE3526(MFR=4.1g/10min、密度=918kg/m3、分子量分布6.6)を用いた。
Tダイにおけるインナーディッケル(A)とインナーディッケル(B)とが、距離(ア)が0mmとなるように、かつ、インナーディッケル(B)とロッド(R)とが、距離(イ)が0mmとなるように保持した。また、対向するロッド間の距離は、470mmとなるようにした。
押出機の温度を327℃に設定し、Tダイから押出された直後の樹脂温度が320℃となるようにして、前記樹脂を溶融押出した。加工速度を120m/min、エアギャップを160mmとし、基材に押出ラミネーションした樹脂の平均厚みが3.3μmである積層フィルムを得た。実施した押出ラミネートの加工性評価結果を表1に示した。
インナーディッケル(A)およびインナーディッケル(B)の位置を調整して、距離(イ)を30mmとした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施した押出ラミネートの加工性評価結果を表1に示した。
インナーディッケル(A)およびインナーディッケル(B)の位置を調整して、距離(イ)を50mmとした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施した押出ラミネートの加工性評価結果を表1に示した。
インナーディッケル(B)の位置を調整して、距離(ア)を30mmとした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施した押出ラミネートの加工性評価結果を表1に示した。
インナーディッケル(A)およびインナーディッケル(B)の位置を調整して、距離(ア)を30mm、距離(イ)を30mmとした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施した押出ラミネートの加工性評価結果を表1に示す。
インナーディッケル(A)およびインナーディッケル(B)の位置を調整して、距離(ア)を30mm、距離(イ)を50mmとした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施した押出ラミネートの加工性評価結果を表1に示した。
インナーディッケル(A)およびインナーディッケル(B)の位置を調整して、距離(ア)を50mm、距離(イ)を30mmとした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施した押出ラミネートの加工性評価結果を表1に示した。
インナーディッケル(A)およびインナーディッケル(B)の位置を調整して、距離(ア)を50mm、距離(イ)を50mmとした以外は、実施例1と同様の方法で評価した。実施した押出ラミネートの加工性評価結果を表1に示した。
12 最もリップ開口部に近い位置に設置されたインナーディッケル(B)
13 インナーディッケル(A)とインナーディッケル(B)の間に設置されたインナーディッケル(C)
14 ロッド(R)
15 距離(ア)
16 距離(イ)
17 リップ
18 溶融樹脂流路
19 溶融樹脂流路出口
21 ロッド間距離
22 溶融状フィルム幅
23 ネックイン
24 押出ラミネーションされた樹脂の幅
25 フィルムの幅方向の中心から押出ラミネーションされた樹脂の幅の20%の範囲
26 Tダイ幅方向のロス部の長さ
27 平均厚み
31 押出成形用Tダイ
32 溶融状フィルム
33 耳高部
34 基材
Y ダイの中心線
α インナーディッケル(A)のリップ開口部側の一辺の直線部における最もダイの中心線に近い点
β インナーディッケル(B)の押出機側の一辺における最もダイの中心線に近い点
γ インナーディッケル(B)の押出機側の一辺の延長線と、点αからの垂線との交点
δ インナーディッケル(B)のリップ開口部側の一辺の直線部における最もダイの中心線に近い点
ε ロッド(R)の押出機側の一辺における最もダイの中心線に近い点
Claims (2)
- Tダイの溶融樹脂流路出口に形成されたリップの幅方向の少なくとも一方の端部に、板状のインナーディッケルが2枚以上設置されており、さらに前記インナーディッケルよりもリップ開口部側にロッドが設置されているTダイであって、
最も押出機に近い位置に設置されたインナーディッケル(A)と、最もリップ開口部に近い位置に設置されたインナーディッケル(B)とが、以下の要件(1)および要件(2)を満たすように保持されてなるTダイを用いて、メルトフローレートが1〜20g/10分であり、密度が910〜930kg/m3であり、分子量分布が3〜8である、高圧ラジカル重合法で得られる低密度ポリエチレンを溶融押出成形し、厚みが2〜20μmのフィルムを成形する方法。
(1)インナーディッケル(A)のリップ開口部側の一辺の直線部における最もダイの中心線に近い点を点(α)、
インナーディッケル(B)の押出機側の一辺における最もダイの中心線に近い点を点(β)、
前記インナーディッケル(B)の押出機側の一辺の延長線と、前記点(α)からの垂線との交点を点(γ)とするとき、
点(β)と点(γ)との距離(ア)が0mm以上40mm以下である
(2)インナーディッケル(B)と、該インナーディッケル(B)と接するように設けられたロッド(R)とが、
インナーディッケル(B)のリップ開口部側の一辺の直線部における最もダイの中心線に近い点を点(δ)、
ロッド(R)の押出機側の一辺における最もダイの中心線に近い点を点(ε)とするとき、
点(δ)と点(ε)との距離(イ)が10mm以上である - 請求項1に記載の低密度ポリエチレンを溶融押出成形する方法において、さらに以下の要件(3)を満たすように保持されてなるTダイを用いる方法。
(3)点(δ)と点(ε)との距離(イ)が40mm以下である
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